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2025年4月

2025年4月30日 (水)

1位返り咲き

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

見事、1位返り咲きです。

今週1位は女性アイドルグループHANA「ROSE」が先週の3位から1位にランクアップ。4週ぶりの1位返り咲きとなりました。今週、CDがリリースされ、3位にランクインしてきた影響。オリコン週間シングルランキングでも初動売上4万3千枚で3位にランクインしています。また、その他は動画再生回数は4週連続の1位。ストリーミング数は2位から3位にダウン。ダウンロード数は先週と変わらず13位。ラジオオンエア数は7位から9位にダウン。総合順位では通算2週目の1位獲得となっています。

2位は男性アイドルグループ&TEAM「Go in Blind(月狼)」が獲得。韓国の芸能事務所HYBEの日本支社YX LABELS所属の日本人7名、台湾人1名、韓国人1名からなるアイドルグループ。CD販売数1位、ダウンロード数15位。オリコンでも初動売上41万5千枚で1位初登場。前作「青嵐(Aoarashi)」の初動33万8千枚(1位)からアップしています。

そして3位はMrs.GREEN APPLE「クスシキ」が先週の1位からダウンしたもののベスト3をキープ。ストリーミング数は3週連続、ラジオオンエア数も2週連続の1位。一方、動画再生回数は2位から3位に、ダウンロード数も3位から5位にダウンしています。

4位以下の初登場盤では7位にアソビシステム所属の女性アイドルグループCANDY TUNE「推し♡好き♡しんどい」がランクイン。CD販売数2位。オリコンでは初動売上6万4千枚で2位初登場。前作「キス・ミー・パティシエ」の初動1万9千枚(9位)からアップしています。

9位にはRADWIMPS「賜物」がランクイン。ダウンロード数8位、ラジオオンエア数2位。NHK朝の連続テレビ小説「あんぱん」主題歌。楽曲自体はいつものRADといった感じですが、それゆえに朝ドラの世界観とミスマッチを起こしていると、賛否両論の主題歌となっていますが、今後、どの程度のヒットになるのでしょうか。また、これを機に紅白出場も?

一方、ロングヒット曲は、まずMr.GREEN APPLE「ライラック」は4位から5位、「ダーリン」は6位から8位、「ケセラセラ」は8位から10位とそれぞれランクダウン。また「Soranji」は今週12位にダウンしており、ベスト10ヒットは通算12週でストップ。ただ、「ライラック」はストリーミング数及び動画再生回数が先週の3位から2位にアップ。カラオケ歌唱回数は今週も1位をキープ。ただ、「ダーリン」はストリーミング数が4位から6位、「ケセラセラ」はストリーミング数が6位から7位とそれぞれダウン。これで「ライラック」は54週連続、「ダーリン」は14週連続、「ケセラセラ」は通算43週目のベスト10ヒットとなりました。

またサカナクション「怪獣」は5位から6位にダウン。ストリーミング数は3週連続の5位、ダウンロード数も先週と変わらず12位、動画再生回数は4位から5位にダウン。これでベスト10ヒットは10週連続となりました。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heat Seekers&ボカロチャート!

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2025年4月29日 (火)

新たな青葉市子の可能性を感じる

Title:Luminescent Creatures
Musician:青葉市子

途中、ライブアルバムやサントラなどでのリリースはあったものの、オリジナルアルバムとしては約4年3か月ぶりの青葉市子のニューアルバム。先日、Pitchforkを見ていたら、いきなり本作が「BEST NEW MUSIC」に選ばれており、かなりビックリしました。

前作「アダンの風」は海外でもリリースされた高い評価を受けたようで、現在は活動の拠点をヨーロッパにおいているようです。本作も全世界的にリリースされ、上記のように高い評価を受けているほか、イギリスのインディーチャートで17位、ビルボードのワールドアルバムチャートでも17位を記録するなど、海外でも一定の売上を獲得しているようです。

さて、青葉市子はいままで、基本的にアコギ1本というスタイルでの楽曲制作が特徴的でしたが、前作「アダンの風」ではストリングスやピアノなどの音を取り入れ、いままでにない分厚いサウンド構成が特徴となりました。当初同作は、架空の映画のサントラ盤というコンセプトのもとに作成されたコンセプチュアルな作品で、このスタイルも一時的なもの・・・と思われました。

ただ、世界的にリリースされた本作の評価が高かった影響でしょうか、今回のアルバムに関してもアコギだけではなく、ストリングスやピアノなどを取り入れた作品に仕上げています。冒頭を飾る「COLORATURA」でも、ピアノやフルートの音色を取り入れて、ファンタジックでメロディアスに聴かせるアレンジが印象的。「Luciférine」もピアノとアコギの音色にストリングスやエレクトロサウンドも加わってドリーミーなサウンドに。「SONAR」もピアノで静かに聴かせつつ、ドリーミーなエレクトロサウンドがバックに流れる作品となっています。

もっとも前作に比べるとアコースティックな楽器でシンプルに寄った作品となっています。ピアノの音色に坂本龍一の影響を感じさせる「tower」はシンプルなピアノ曲ですし、「aurora」「FLAG」も基本的にアコギのみで聴かせるフォーキーな作風に。ファルセット気味で聴かせる彼女のボーカルとあわさり、全体的にドリーミーな楽曲が並ぶ作風に仕上がっています。

前作はある意味、異色的なコンセプト作と考えていただけに、今回もピアノやストリングスを取り入れたドリーミーな作風となったのはちょっと意外な印象も受けます。ただ一方で前作よりもアコースティック寄りとなった点、彼女の中で新たな青葉市子を模索している、といった印象も受けます。その影響もあってか、Amazonのレビューなどを見ると、賛否両論といった意見となっていますが、私は、アコギのみのシンプルな青葉市子もよかったものの、前作や本作のようにピアノやストリングスを取り入れた新たな挑戦は、青葉市子のミュージシャンとしての幅を広げています。かつ、本作に関しても基本的には彼女のイメージを大きく崩すものではなく、しっかりと青葉市子らしさは保持しています。そういう意味でも文句なしの傑作アルバムだったように感じます。

加えて、今回の作品、ピアノやストリングスを取り入れたドリーミーな作風は、どこか生命感あふれるものに感じます。「うたの中/育ってる/みらいの子」と歌う「Luciférine」や「あなたが/そっと蒔いた/惑星の泪」と歌う「惑星の泪(Wakusei No Namida)」にしても、非常にみずみずしく前向き、生命の息吹を楽曲から感じることが出来ます。また、ピアノやストリングスを取り入れたドリーミーなサウンドは、そんな生命の息吹というイメージにもピッタリマッチしています。前作「アダンの風」が評価されたからこそ、今回もピアノやストリングスを取り入れた作品で、ということもあるのでしょうが、それ以上に生命感あふれる世界を表現するのに、今回のようなサウンドは必須だったのではないでしょうか。

前作に引き続き、青葉市子というミュージシャンの可能性をさらに押し広げた傑作アルバムで、個人的には年間ベスト候補にあげられるほどの傑作だったと思います。日本のみならず世界に活躍の場を広げる彼女。今後、世界的な彼女への評価はますます高まりそうです。

評価:★★★★★

青葉市子 過去の作品
うたびこ
ラヂヲ(青葉市子と妖精たち)
0
マホロボシヤ
qp
"gift" at Sogetsu Hall
アダンの風


ほかに聴いたアルバム

DETOX/ONE OK ROCK

約2年半ぶりとなるONE OK ROCKのニューアルバム。今回のアルバムは力強いメッセージを込めた作品で、特に歌詞は「世界平和」を希求した内容になっているとか。ただ、ここ最近のONE OK ROCKのTakaの政治的発言を見る限り、ポピュリズム的な政治家を推す傾向が強く、その中で「世界平和」とか語られても、鼻白む感は否めません。楽曲的にはダイナミックなバンドサウンドにメランコリックなメロディーラインで歌い上げる、ある意味、いつも通りのONE OKE ROCK。1曲1曲を取り上げればカッコいいのですが、比較的似たようなタイプの曲が多く、アルバム全体としてはちょっと物足りなさを感じるのはいつも通り。バンドとしても「政治的発言」も、もう一皮むけてほしい感は否めないのですが・・・。

評価:★★★★

DETOX(International Version)/ONE OK ROCK

で、例のごとく、"International Version"として海外リリースされており、本作はその輸入盤。ただし、今回のアルバム、ほとんどが英語詞となっており、本作では一部残った日本語部分を英語に変えている程度(さらにはなぜか日本語が残ったままの曲も・・・)で、オリジナルとはほとんど変わりありません。よほどのファンじゃなければ、こちらはチェックしても仕方ないような・・・。世界進出と言いながら、その後の活動も不透明ですし、いまひとつ中途半端な感は否めません・・・。

評価:★★★

ONE OK ROCK 過去の作品
Nicheシンドローム
残響リファレンス
人生×僕=
35xxxv
Ambitions
AMBITIONS INTERNATIONAL VERSION
Eye of the Storm
Luxury Disease

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2025年4月28日 (月)

ここ最近の槇原敬之

Title:Buppu Label 15th Anniversary “Showcase!”
Musicna:槇原敬之

槇原敬之のデビュー35周年、そして個人レーベル「Buppu Label」設立15周年を記念してリリースされたベストアルバム。槇原敬之というと、いままでのベスト盤を連発していて、今回のベスト盤は一体何枚目だよ・・・といった感じなのですが、今回のアルバムは彼の個人レーベル「Buppu Label」時代の作品を収録したベストアルバム。シングルでは2010年に配信リリースした「林檎の花」以降、アルバムでは2011年リリースの「Heart to Heart」収録曲以降の楽曲が収められています。

槇原敬之は、彼がブレイクした「どんなときも。」以来のファン。この手の古参のファンでありがちなのは、初期の曲こそ至高!という考え方で、正直私も同様に、おそらく槇原敬之のベスト20を選べ、といわれたらおそらくほとんど1999年の「Cicada」以前の楽曲から選んでしまう自信はあります。特に覚せい剤の1度目の逮捕以降、「ライフソング」と称する、説教くさく自己啓発的な曲も目立っていて、個人的にはその類の曲で苦手な曲も少なくなく、最近の曲を集めたベスト・・・ということで、どうだろう、と思いつつこのベスト盤を聴いてみました。

ここのサイトでも紹介している通り、基本的に槇原敬之のアルバムはすべてチェックしているため、今回のベストアルバム収録曲に関しても、新曲として収録された「You Are The Inspiration」以外、一度は聴いたことある曲が並んでいます。ただ、あらためてここ数年の彼の曲のうち、ベストとしてセレクトされた楽曲を聴くと、予想していたよりかなりいいじゃん、という印象を受けました。

特に「林檎の花」などは、恋愛の切なさ、すばらしさを綴った、実に槇原敬之らしい楽曲になっていますし、「運命の人」などは、自分の好きな子が、自分の友達のことが好きで・・・と、かつての彼のヒット曲「彼女の恋人」をはじめとする、まさに槇原敬之の王道路線ともいえる切ない歌詞が印象的なナンバー。そんな槇原敬之らしさを感じるラブソングもしっかり健在ですし、死んだ人への想いを綴った「悲しみは悲しみのままで」など、しっかしと「歌詞」を聴かせる、槇原敬之の真骨頂は、ここ最近の曲でもしっかりと感じられることをあらためて実感しました。

この時期の楽曲はメロディーラインに関しては安定感もあり、インパクトのあるメロディーラインをさらっと書いているあたり、メロディーメイカーとしては脂がのった状況であると感じます。例えば「超えろ。」などは、私があまり好きではない説教臭さを感じる歌詞なのですが、メロディーラインが秀逸であるため、聴いていて違和感はほとんど覚えません。思えば彼がブレイクした「どんなときも。」も、ある意味、説教臭いといえば説教臭い楽曲。それをメロディーラインの良さで、それほど嫌味なく聴かせている訳で、この「超えろ。」についても、そんな「どんなときも。」と同じようなスタイルを感じさせます。

ただ一方、説教臭い曲については正直、ちょっと厳しいなと思う曲も何曲かあって、例えば「信じようが信じまいが」「与えた分が自分に返る/信じようが信じまいが/これは動かしようのない/この宇宙の法則」って歌詞はさすがに自己啓発的すぎてひいてしまいます。楽曲自体は、ネット上の匿名の罵詈雑言などに対する批判なのですが、この曲に限らず、ちょっと彼のこの手の曲はひねりがなさすぎて、心に響いてきません。

とはいえ、ベスト盤全体としては、やはり槇原敬之らしさを感じさせる名曲も多く、昔ファンだったけど、ここ最近の曲は聴いていない、という方に、最近の彼の動向を知るためにはうってつけのベスト盤かもしれません。昔からのファンらしく初期の曲がやはり好き・・・という自分でも、なんだかんだ言っても、槇原敬之の曲は最近の曲も含めて魅力的だな、と再認識したアルバムでした。

評価:★★★★★

槇原敬之 過去の作品
悲しみなんて何の役に立たないと思っていた
Personal Soundtracks
Best LOVE
Best LIFE

不安の中に手を突っ込んで
NORIYUKI MAKIHARA SYMPHONY ORCHESTRA CONCERT CELEBRATION 2010~SING OUT GLEEFULLY!~
Heart to Heart
秋うた、冬うた。
Dawn Over the Clover Field

春うた、夏うた。
Listen To The Music 3
Lovable People
Believer
Design&Reason
The Best of Listen To The Music
宜候
Bespoke


ほかに聴いたアルバム

Channel U/緑黄色社会

昨年の紅白でも歌った「僕たちはいきものだから」も収録された、約1年9ヶ月ぶりとなる5枚目のフルアルバム。個人的に「僕たちはいきものだから」を歌っているのがいきものがかりではないという点に納得感がいっていないのですが。曲調もいきものがかりっぽいし。ただ、この曲を含めて全17曲、ピアノやストリングスを入れてスケール感を出した曲、ギターロック、エレクトロチューンなどなど、かなりバラエティー富んだ曲調となっています。ここらへんの雑食性は、良くも悪くもJ-POPらしさを感じさせる1枚。本人たちもかなり手ごたえを感じるアルバムになっているようですが、確かに緑黄色社会の持っている音楽性をかなり広く提示できたアルバムになっていました。

評価:★★★★

緑黄色社会 過去の作品
SINGALONG
Actor
pink blue

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2025年4月27日 (日)

成功談を語るソロデビュー作

Title:Dark Hero
Musician:YZERR

Darkhero

昨年2月、東京ドームでのライブを最後に活動に幕を下ろしたHIP HOPクルー、BAD HOP。いまだにアルバムがチャート上位にランクインしてくるなど、高い人気を誇っていますが、そのフロントマンだったMC、YZERRのソロアルバムがリリースされました。いままでミックステープという形態ではアルバムをリリースしたことのある彼ですが、通常のオリジナルアルバムとしてはこれが初のリリースとなります。

今回のアルバムではLEX、Awich、LANAなどのミュージシャンやラッパーが客演として参加。全体的にはダークで哀愁たっぷりのトラックで、トラップビートのリズムが流れてくるHIP HOPがメイン。いわゆる今時の王道を行くようなサウンドとなっており、メランコリックな雰囲気が強い印象に残ります。

そんな中で今回のアルバム全体でラップされているのが、BAD HOPとして東京ドームまで制覇した、成功者としての彼の自負。「妬むパンピー/褒め言葉に聞こえる成金」と、ある意味煽りまくる「Dead Heat」からスタート。タイトルチューンである「Dark Hero」でも次々と畳みかけるようなライムで、「抗争を制し握る覇権/する圧勝 制するRap Game」と、まさに自分の立場を誇示するようなラップを聴かせてくれますし、それに続く「カリスマ」でもAwichやLANAと共に、タイトル通り、自分たちがカリスマであると高らかに宣言するラップとなっています。

特にラスト2曲が印象的で、「Million Road」では、川崎の池上という、彼らのルーツで過ごした時代を思い起こし、「まだ貧乏そのままでいいか?/覚悟を決めろ稼ぐか死ぬか」と、そんな中から這い上がってきた自分たちから後輩たちへの熱いエールが聴けます。そしてラストの「South Side」はBAD HOPとしての成功談をピアノも入ったメランコリックなサウンドとフロウにのせて歌い上げています。「今ドームに仲間と立って/Yeah,Kawasaki south side」というリリックにもグッと来るものがあります。

いわゆるロックだと、(成功したとしても)自分たちが下の立場に立って、上の立場の連中に物申すような反骨なスタイルが特徴的なのですが、HIP HOPの世界だとむしろ成功した上で、上の立場から自分たちを自負するようなスタイルが目立ちます。時として「成金趣味」にすら陥りやすいこのスタイルは、日本に限らないのですが、今回のYZERRのアルバムは、まさにBAD HOPとして成功をおさめた誇りを歌い上げ、そして時として、同じルーツの後輩たちにエールを送る作品となっており、ある意味、非常にHIP HOPらしい1枚ともなっています。

ただ、そんな中でも必ずしも単純な「成功自慢」一辺倒でもなく、例えば「5 STAR」は、成功者としての自分を誇示しつつも「なりすぎている有名指名手配/顔隠しているとか自然じゃない」と、成功者としての辛さを垣間見せる部分も。また、ちょうど中盤にある「Champion」では

「平凡に生きる人馬鹿にしてた
目標もどうせないんだろあいつら
今では理解できる難しさ
家庭を守っている事の尊さ」
(「Champion」より 作詞 YZERR)

と、まさに平凡に生きる人たちを「Champion」と称しており、こういうリリックが楽曲に奥行きを与えていますし、単純な成功談にならず、リスナーに共感を起こすことができる理由なのでしょう。

他に印象的だったのが和風なトラックが流れる「勝新太郎」で、豪快な生きざまが特徴的だったかつての名優になぞらえて、男らしく豪快に生きろとするトラックは、令和の今、コンプライアンス的にもジェンダー的にも違和感のある部分はありつつも、ただ一方で非常に痛快さを感じる楽曲になっています。

また、最後となりますが、非常に自然にライムを踏んでいるリリックをリズミカルに綴るラップにも、あらためてスキルの高さも感じさせます。BAD HOPとして成功をおさめた彼のソロデビュー作は、成功している彼にふさわしい、その実力を感じさせるアルバムとなっていました。成功者としてさらなる高みを目指す彼。今後の活躍も楽しみです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Alliance of Quintetto/BLUE ENCOUNT

ベースの辻村勇太がアメリカに移住し、バンドとしては新しいスタイルでの活動後初となる、フルアルバムとしては約4年3か月ぶりの新作。もともとヘヴィーなギターサウンドにポップなメロがのるエモロックの影響を受けた楽曲が特徴的でしたが、今回はより洋楽テイストが強くなり垢ぬけた印象も。これまではいわゆる「夏フェス向き」の、平凡なJ-POPバンドという印象も強かったのですが、このアルバムで一皮むけた印象があります。ひょっとしてメンバーのアメリカ移住が、バンドにいい効果をもたらしたのでしょうか。次の作品にも注目したくなる、BLUE ENCOUNTとして一歩進んだ作品となっていました。

評価:★★★★

BLUE ENCOUNT 過去の作品

THE END
VECTOR
SICK(S)
Q.E.D
Journey through the new door

THE TIMERS 35周年祝賀記念品/THE TIMERS

忌野清志郎に"よく似ている人物"ZERRYが率いる4人組の覆面バンドTHE TIMERS。かなりドギツイ社会風刺を含んだ歌詞が大きなインパクトを持ったバンドですが、そのTHE TIMERSのデビューアルバムの35周年記念盤がリリースされました。CD全3枚組となった本作は、2006年及び2016年の再発盤リリース時に収録した曲を収録しつつ、さらに追加トラックとしてレア音源やライブ音源など9曲を追加で収録しています。

今回追加収録された9曲も、かなりドギツイ歌詞の内容が強いインパクト。原発をいわば「ほめ殺し」で皮肉った「原発賛成音頭」やおなじような感じで覚醒剤を皮肉った「覚醒剤音頭」、以前から曲の一部だけが知られており、幻の曲と言われた「君はLOVE ME TENDERを聴いたか?」も収録。今、発表したらSNSで大炎上しそうな曲ばかりなのですが、逆にそのためもあってか、この曲のように、ユーモラスに社会を皮肉った曲って、あまり聴かれなくなってしまいましたね・・・。今の時代だったらTHE TIMERSはどんな曲を歌ったんだろう・・・そんなことも考えてしまったアルバムでした。

評価:★★★★★

THE TIMERS 過去の作品
THE TIMERS スペシャル・エディション

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2025年4月26日 (土)

完成度の高いデビュー作

Title:1st OPTION
Musician:BARBEE BOYS

KONTAと杏子という男女ツインボーカルを擁し、その男女ツインボーカルを最大限に生かした男女のやり取りを歌詞に織り込んだ、独自性あふれる音楽性で80年代後半に一世を風靡したロックバンド、BARBEE BOYS。2014年はそんな彼らのデビュー40周年ということで、記念企画が発動。彼らのアルバムがリマスターされ、Blu-spec CDとアナログ盤で再リリースされているのですが、本作はその第1弾。1985年にリリースされた彼らのメジャーデビューアルバムとなります。

このアルバムはリリース当時、オリコン最高位は87位に留まっており、決してヒットしたアルバムではありません。もちろん、私自身、この頃はまだ小学生でしたのでリアルタイムで聴いていたアルバムではなく、今回、はじめてアルバムを聴いてみました。まだまだデビューしたての新人バンド。人気という面でもまだまだこれから、という立ち位置のバンドだったのですが、アルバムを聴いて驚いたのは、既にこの段階でBARBEE BOYSとしての個性がしっかりと確立されていた、という点でした。

アルバムの冒頭を飾る「帰さない」こそ、KONTAのみがボーカルを取っている楽曲となっており、歌詞の面でBARBEE BOYSらしさはまだ出ていませんが、続く「ふしだらVSよこしま」ではさっそくKONTAと杏子がツインボーカルを取っている楽曲。男女のやり取りにエロチックな歌詞が耳に残る楽曲になっていますし、続く「Shit! Shit! 嫉妬」も恋愛をめぐる男女の駆け引きがKONTAと杏子という2人の個性的なボーカリストによって繰り広げられておりスリリングな楽曲となっており、聴いているだけでドキドキしてきます。さらに「プリティードール」は、同じ女性を巡る男性側の視点と、女性側の内心の2面性ある歌詞をKONTAと杏子のボーカルで描いており、男女ツインボーカルを上手く生かした奥行きのある歌詞が大きな魅力となっています。

このように、BARBEE BOYSの大きな特徴である男女ツインボーカルを生かした男女の恋愛での駆け引きを、時には危険な恋愛を絡ませながら描くというスタイルが既に確立されていることがこのアルバムでわかります。一方、バンドとしても既にこの段階で非常に完成度の高いサウンドを聴かせてくれているのも特徴的。例えば「a nine days' wonder」「暗闇でダンス」で聴かせてくれるイマサこといまみちともたかが聴かせるファンキーさのあるギターは非常にカッコ良いですし、スリリングな男女の駆け引きを描いた歌詞にマッチしたような緊張感あるサウンドも大きな魅力。歌詞と同様、BARBEE BOYSらしいサウンドも、この段階で既に完成されていたことがわかります。

BARBEE BOYSは、2003年以降、断続的に再結成を行っており、2019年には久々となるアルバムもリリースしているのですが、当初の活動は1985年にリリースされたデビュー作以降、ラストアルバムは1990年。当初の活動は結成から解散まで10年、メジャーデビューから最後のシングルまではわずか6年という比較的短い期間に終わっています。ただ、確かにデビュー当初からここまで完成されてしまっているのならば、解散までの期間が短かったというのは納得がいきます。売上面ではヒットには至っていませんが、非常に完成度の高いデビューアルバム。BARBEE BOYSらしさがつまった作品でした。

評価:★★★★★

BARBEE BOYS 過去の作品
Master Bee


ほかに聴いたアルバム

MOON/04 Limited Sazabys

途中、カバーアルバムを挟んで、新譜としては約2年半ぶり。ちょっと久々となる04 Limited Sazabysの新作は、4曲入りのEP盤。ハイテンポなパンクサウンドながらもポップでメランコリックなメロの「magnet」や、力強いバンドサウンドのギターロック「GATE」、ミディアムチューンでメロディアスな「Kick it」など、彼ららしいパンキッシュなバンドサウンドにメランコリックでキュートとも言えるメロが乗る楽曲が並びます。ラストはなんとジュディマリの「mottö」のカバーを収録。ガーリーな曲ながらも、GENのボーカルがハイトーンがゆえに違和感ないカバーに仕上がっていて、懐かしく聴くことができました。ただ、新曲3曲はいずれも04 Limited Sazabyらしい楽曲に仕上がっているのですが、久々の新譜にも関わらず、4曲入りのEP、さらにうち1曲がカバーという状況は、ちょっと心配になってしまうのですが・・・次の新譜に向けての準備運動だと思うのですが。

評価:★★★★

04 Limited Sazabys 過去の作品
CAVU
eureka
SOIL
Harvest
Re-Birth

Pieces/Omoinotake

昨年、「幾億光年」が大ヒットを記録し、一躍ブレイクしたスリーピースバンドによるブレイク後、初のアルバム。もちろん大ヒットした「幾億光年」も収録されています。同曲はジャズやR&Bの要素をほどよく加えつつ、軽快にポップにまとめあげた作品となっており、ポップスとして非常に高いクオリティーの楽曲になっています。ただ、それだけ期待してアルバムも聴いてみたのですが、残念ながら同曲を超えるような曲は出会えず。さらに残念なことに、この「幾億光年」に似たようなタイプの曲が並んでおり、あれがバンドとしての限界なのか・・・とも感じてしまいます。ヒットした曲だけが突出しているという、悪い意味で「一発屋」的なアルバムになっており、これからがんばらないと厳しそうな印象もしてしまった作品でした。

評価:★★★

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2025年4月25日 (金)

初の楽曲提供曲のセルフカバーも収録

Title:すうぉ~む!!
Musician:竹原ピストル

途中、ミニアルバムやライブアルバムのリリースを挟みつつ、フルアルバムとしては約3年半ぶりとなる竹原ピストルのニューアルバム。毎回、社会の中でもがき苦しんで生きる人たちの生きざまをリアルに描写し、その中で、そんな人たちの背中を押すような歌詞を描いてくる彼。今回の作品も、やはり聴いていて心に響いてくるような歌詞が数多く綴られていました。

例えば「一夜」などは、過去に対しての後悔をつづったような歌詞。誰でも持っている「あの時、ああしておけばよかった」という感情が重くのしかかってくる内容になっていますし、その楽曲タイトルを力強く歌い上げる応援歌的な歌詞の「誇れよ、己を。」も印象的。反骨的な歌詞が力強い「アンチヒーロー」も心に響く1曲。特に

「人生は一度きりだけどチャンスは何度もあるってことと
チャンスは何度もあるけど、人生は一度きりだってこと」
(「アンチヒーロー」より 作詞 竹原ピストル)

という歌詞が強く印象に残ります。

今回、旧ジャニーズ系アイドルグループWEST.に提供した「ぼくらしく」のセルフカバーも収録。彼にとって初の楽曲提供曲なのですが、いつもの竹原ピストル節といった曲。

「大人になったけど、大人になったけど
大人になったけど、大人になっただけ。」
(「ぼくらしく」より 作詞 竹原ピストル)

という歌詞は、聴いていて「大人の年齢」になった自分にはギクッとさせられます。竹原ピストルが歌うから心に響くのであって、旧ジャニーズ系アイドルに歌われても、いまひとつ響いてこないような・・・。ちなみにこの曲はアルバムの、それも特定の初回版限定の収録曲だそうで、そんな扱いをされるのも、若干なんだかなぁ、とは思います。

また、フルアルバムとしての前作「STILL GOING ON」はコロナ禍の最中のリリースともあって、弾き語りがメインのアルバムとなっていましたが、今回のアルバムは、もちろん弾き語りの曲もあるものの、音楽の形態的にはバリエーションのある内容。「見事的中!!予想的中!!」のような疾走感あるギターロックのナンバーだったり、「ぼくらしく」のようなシンセのリズムを取り入れた爽やかなナンバーもあったり、「~枯れススキ~」のようなダークなHIP HOPのようなトラックの曲もあったりと、バリエーションに富んだ展開となっています。

そんな聴きごたえのある竹原ピストルの新譜なのですが、ちょっと気にかかる部分もあって、例えば「ゆきちゃんゆきずりゆきのまち」。おそらく北海道の寂れた港町に住む「ゆきちゃん」をテーマとした歌詞なのですが、状況描写だけされており、「ゆきちゃん」を巡る話は描かれていません。そのため聴いていて、ちょっと消化不良に感じてしまう歌詞になっています。

そのほかにも結構こういった状況描写はするけど、それ以上の物語は提示しないような歌詞も多く、これはこれで「そこから先は聴き手が想像してほしい」という意図かもしれないのですが、ただ、個人的には物語の設定だけ広げて、それで放置されたような消化不良感に陥ってしまいます。

また、全17曲1時間弱というアルバムの長さも、これだけ重い曲が多いだけにちょっと長かったような印象も。あと2、3曲くらい減らせば、ちょうどよいバランスだったようにも思います。その点もちょっと気にかかりました。

ここらへん、いろいろと惜しさを感じる部分も多いアルバム。一方で印象に残る歌詞やフレーズも多く、その点では竹原ピストルの魅力、実力を感じる1枚でした。いい意味で、いつも通りの竹原節の楽しめる1枚でした。

評価:★★★★★

竹原ピストル 過去の作品
PEACE OUT
GOOD LUCK TRACK
It's my Life
STILL GOING ON
悄気る街、⾆打ちのように歌がある。
One for the show


ほかに聴いたアルバム

STAR/千葉雄喜

Starchiba

今、おそらく日本で最も注目を集めるラッパーといえるかもしれない千葉雄喜。昨年、アメリカのラッパー、メーガン・ザ・スタリオンの楽曲「Mamushi」で客演し、この曲ばビルボードチャートで36位にランクインしたことから、一気に知名度が増しました。もともと、以前はKOHH名義でリリース。注目を集めていたものの、2021年限りで突然引退していました。それが2024年に本名名義で活動を再開。いきなりアメリカのラッパーとの共演で注目度を増しています。本作はそんな彼が、千葉雄喜名義でリリースした初のアルバムとなります。

ただ、アルバムは全体的に今の自分の立ち位置、成功談を語るリリックを、ダークでメランコリックなトリップビートに乗せるスタイル。1曲1曲はカッコいいものの、サウンド的にもほとんど変化はなく、歌っている内容もほぼ一緒。おそらく、これはこれでこういうスタイルを狙って演っているのでしょうが、正直、さすがにアルバム1枚、歌っている内容もトラックもほぼ同じスタイルというのは・・・。

評価:★★★

KOHH 過去の作品
UNTITLED
worst

MOLTING AND DANCING/indigo la End

ゲスの極み乙女やジェニーハイなど、数多くのバンドで精力的な活動を続けている川谷絵音のバンド、indigo la End。というよりは、このバンドが彼にとっては「本籍地」なのですが、そんな彼らが結成15年目を迎えてリリースした新作。公式サイトの紹介文で「直訳すると“脱皮して踊る”という意味の通り、結成15年を迎えても尚、“変化と挑戦”を繰り返してきたバンドらしい、フレッシュでオルタナティブな楽曲が収録された意欲作」と記載されており、各メディアではこれのコピペを使用しているのですが、正直言って、そんなに「変化と挑戦」しているか、と言われると微妙な感じ。確かにタイトル通り、ダンスチューンが多くなっているこの作品。ストリングスやエレクトロサウンドなどを取り入れた楽曲に、要所要所に挑戦的な部分は感じるのですが、哀愁感漂うメロディーを聴かせる「歌モノのポップ」というスタイルは変わらず。よくも悪くもindigo la Endらしい、という印象は変わりません。まあ、川谷絵音の場合、ガラッと変わる音楽性は、他のバンドで演っちゃうんでしょうが。

評価:★★★★

Indigo la End 過去の作品
あの街レコード
幸せが溢れたら
藍色ミュージック
Crying End Roll
PULSATE
塗れゆく私小説
夜行秘密
哀愁演劇

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2025年4月24日 (木)

1位は先週と変わらず

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週の1位は先週と変わらず。

1位は先週に引き続きSnow Manのベストアルバム「THE BEST 2020-2025」が獲得。ダウンロード数5位、ストリーミング数1位で総合順位も1位となりました。

2位はMrs.GREEN APPLE「ANTENNA」が先週からワンランクアップ。ストリーミング数は先週から引き続き2位。これで通算31週目のベスト10ヒット&通算21週目のベスト3ヒットに。またMrs.GREEN APPLEは「Attitude」も先週から変わらず4位にランクイン。こちらもストリーミング数は先週と変わらず3位。ベスト10ヒットは通算19週となります。

3位も旧ジャニーズ系。Hey!Say!JUMPのメンバー、山田涼介がRyosuke Yamada名義でリリースしたソロデビューアルバム「RED」が初登場。CD販売数1位、ダウンロード数3位。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上11万4千枚で1位に初登場しています。

今週、4位以下では初登場盤はなし。ロングヒット盤は、Number_i「No.I」は8位から6位にアップ。通算21週目のベスト10ヒット。Vaundy「strobo」は6位から8位、「replica」は先週と変わらず10位。それぞれ通算19週、通算22週目のベスト10ヒット。さらに今週、旧ジャニーズ系アイドルグループ、SexyZoneが改名したtimeleszの配信限定のベスト盤「Hello! We're timelesz」が7位にランクインし、8週連続のベスト10ヒットを記録しています。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

今週のHeatseekers Songsは、BILLY BOO「ラプソディ」が1位初登場。BILLY BOOは、昨年デビューし、本作を含むシングル4曲、EP1作をリリースしている4人組バンド。R&Bやソウルを基調とした楽曲を聴かせるバンドのようですが、ボーカルがハイトーンで端整なため、良くも悪くも今どきのアイドルソングっぽく聴こえてしまいます。そのため、ポップソングとして幅広く聴かれそうなヒットポテンシャルはある一方、R&Bバンドとして今後、どう捉えられるのかは微妙な部分も。フジテレビ系アニメ「謎解きはディナーのあとで」のエンディングテーマに起用され、注目を集めています。ラジオオンエア数の3位がHeatseekers Songsの1位の最大の要因の模様。ちなみにHot100では45位にランクインしています。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

今週は雨良 Amala「ダイダイダイダイダイキライ」が先週に引き続き1位を獲得。通算3週目の1位獲得となりました。さらに2位にはサツキ「メズマライザー」がここに来て上位返り咲き。3位は先週2位のDECO*27「テレパシー」と並んでいます。

今週のHot Albums&Heatseekers Songs&ボカロチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2025年4月23日 (水)

今週もMrs.GREEN APPLEの新曲が1位

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

Mrs.GREEN APPLEの新曲が2週連続の1位となっています。

1位はMrs.GREEN APPLE「クスシキ」が2週連続の1位を獲得。ストリーミング数は2週連続2位を獲得しているほか、ラジオオンエア数が今週1位を獲得。動画再生回数は2週連続の2位。一方、ダウンロード数は2位から3位にダウンしています。

2位には女性アイドルグループME:I「MUSE」が初登場で2位を獲得。CD販売数1位、ダウンロード数10位、ラジオオンエア数2位。韓国の音楽事務所CJ ENMと吉本興業の合弁会社LAPONEエンタテイメント傘下の事務所に所属しているグループ。オリコン週間シングルランキングでは19万8千枚で1位初登場。前作「Hi-Five」の初動24万9千枚からダウンしています。

3位は先週2位のHANA「ROSE」がワンランクダウンながらもベスト3をキープ。ストリーミング数は3週連続2位、動画再生回数も3週連続で1位をキープしています。

続いて4位以下ですが、初登場は1曲のみ。7位にKing Gnu「TWILIGHT!!!」がランクイン。ダウンロード数1位、ラジオオンエア数12位、動画再生回数8位。劇場版「名探偵コナン 隻眼の残像」主題歌。大ヒット中の映画主題歌なだけに、今後のロングヒットが期待できそう。

また、ベスト10返り咲き組も1曲。9位に米津玄師「Plazma」が先週の11位からランクアップし、8週ぶりのベスト10返り咲きとなります。これは本作が主題歌となっている日テレ系アニメ「機動戦士Gundam ジークアクスGQuuuuuuX」が放送開始された影響かと思われます。特に今週、ストリーミング数が20位から13位にアップし、ベスト10入りの大きな要因となっています。一方、先週までベスト10ヒットを続けていた「BOW AND ARROW」は今週11位にダウン。ベスト10ヒットは通算10週で再びストップです。

一方、ロングヒット曲は、まずMrs.GREEN APPLE。「ライラック」は今週4位にダウン。ストリーミング数及び動画再生回数3位、カラオケ歌唱回数1位は先週から変わらず。これで53週連続のベスト10ヒットに。以下「ダーリン」は先週と変わらず6位。ベスト10ヒットは連続13週に。「ケセラセラ」は7位から8位にダウン。ベスト10ヒットは通算42週目。そして「Soranji」は8位から10位にダウン。こちらのベスト10ヒットは通算12週目。結果、今週もベスト10のうち5曲がMrs.GREEN APPLEという結果となっています。

サカナクション「怪獣」は先週と変わらず5位をキープ。ストリーミング数は先週と変わらず5位、動画再生回数も先週から変わらず4位。これで9週連続のベスト10ヒットとなっています。

一方で、先週ベスト10に返り咲いたロゼ&ブルーノ・マーズ「APT.」は今週再び12位にダウン。ベスト10ヒットは通算24週で再びストップです。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heat Seekers&ボカロチャート!

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2025年4月22日 (火)

いなくなった友へ捧げる曲が印象的

Title:viraha
Musician:BRAHMAN

ここ最近、OAUとしての活動が活動が続いていただけに、BRAHMANとしては久しぶり、実に7年ぶりとなるニューアルバムです。今回のアルバムもまた、重厚感あるハードコアなバンドサウンドをバックに、哀愁感漂う、どこか和風な要素も加わったメロディーラインが印象的な作品。ある意味、BRAHMANらしいと言えるアルバムに仕上がっています。

そんなアルバムの幕開けとなる「順風満帆」は久々のアルバムのオープニングを飾るにふさわしい彼ららしいナンバー。トライバルな要素を感じさせるリズムに、メランコリックなメロディーラインが乗った力強い楽曲なのですが

「まるで地獄 怒号響かう
底なしの沼 奈落の底」
「この世は乱調」
「終わりない大凶
常に異状」
(「順風満帆」より 作詞 TOSHI-LOW)

と現実を描写しつつ、それでも「順風満帆」と歌う楽曲は、皮肉を利かせつつも、一方ではそれでも前に進んでいこうという力強さを感じさせます。

また今回のアルバムタイトル「viraha」は、ヒンディー語で「離れたことではじめて気づく相手の大切さ」を意味する言葉だそうで、この時期にリリースされると、コロナ禍を彷彿させるのですが、おそらくそのアルバムタイトルがもっとも反映されているのが4曲目の「charon」でしょう。死者の魂をのせて冥府に運んだというギリシャ神話の人物をタイトルに冠したこの曲は、道半ばでこの世を去った多くの仲間たちへの歌。特におととし亡くなったチバユウスケに対する思いを感じさせる曲で、ガレージロック風のサウンドに歌い方を含めて、チバユウスケを彷彿とさせますし、そもそも「シャロン」というタイトル自体、ROSSOの曲を思い出させます。歌詞にも「祈りが世界の終わりを変える」とミッシェルの名曲を織り込んだと思われるフレーズがあらわれますし、まさにチバへの思いを歌った印象的な楽曲に仕上がっていました。

その後もMotörheadのカバー「Ace Of Spades」ではよりメタリックで力強いナンバーを聴かせてくれたり、それに続く「知らぬ存ぜぬ」ではシャウトも入ったハードコアな楽曲を聴かせてくれたり、作詞に細美武士が加わった最後を飾る「WASTE」でも、メロディアスでパンキッシュな曲を聴かせてくれたりと、バラエティーを富ませつつ、ヘヴィーで力強いバンドサウンドを聴かせてくれます。それぞれの楽器がそれぞれの音を力強く主張しつつ、それでいてバンドとしての一体感を覚えるバンドサウンドは今回も健在で、BRAHMANのバンドとしての実力をこれでもかと感じる作品となっています。

一方、哀愁感たっぷりにポップなメロを聴かせる「春を待つ人」や、同じくメランコリックな「SURVIVOR'S GUILT」など、しっかりとメロディーを聴かせる曲は今回も健在。彼らのメロディーメイカーとしての側面も感じさせる楽曲も並んでおり、このメロディーの良さが力強いバンドサウンドに乗るからこそ、BRAHMANが唯一無二の魅力を醸し出しているバンドであることを実感できます。

久々となったアルバムながらも今回も申し分ない傑作。OAUとしての活動だけではなく、BRAHMANとしてももっとアルバムを聴きたいところなのですが、これだけの熱量のあるアルバムは、やはりなかなか制作できないのかなぁ。正直、BRAHMANとして目新しさを感じさせるアルバムではないのですが、そんな点を差し引いても余りある、バンドサウンドとメロディー、そして印象的な歌詞を聴かせてくれる傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

BRAHMAN 過去の作品
ANTINOMY
ETERNAL RECURRENCE~永劫回帰~
超克
尽未来際
梵唄-bonbai-


ほかに聴いたアルバム

NOSTALGIC NEW WORLD/REBECCA

その後、LINDBERGやジュディマリなどに続く、女性ボーカリスト+男性のリズム隊というスタイルのバンドの元祖的存在であり、「フレンズ」をはじめとして主に80年代に数多くのヒット曲をリリースしてきたバンド、REBECCA。1991年に解散した後、ここ最近、断続的に再結成を行っていますが、昨年も7月から全国ツアーを行い、さらにリリースされたのが本作。2枚組となるアルバムで、Disc1には7年ぶりとなる新曲3曲、Disc2には最新ツアー「REBECCA NOSTALGIC NEW WORLD TOUR 2024」から、8月17日、18日の大宮ソニックホールでのライブの模様が収録されています。

ただ、久々の新曲なのですが、正直言えば、ちょっと厳しい内容。哀愁たっぷりに聴かせるタイプの曲が3曲並んでいるのですが、印象は薄め。ある意味、あの頃のREBECCAそのままの作風なのは、あくまでもファン向けといった感じなのですが、逆にちょっと今にアップデートしてなさすぎでは、とも感じてしまいます。さらにDisc2ではライブ音源が収録されているのですが、わずか5曲のみの収録で、ライブの雰囲気を伝えるのは程遠く。さらにNOKKOの声が出ておらず、やはり久々のライブは厳しいのか、とも感じてしまいます。

新曲が入ったDisc1も、全6曲入りなのですが、新曲以外には過去作のインスト版が収録されており、水増し感は否めず。ライブ音源含めて全11曲という内容ながらも、2枚組アルバム扱いで4,950円という価格設定はなんとも・・・。おそらく、メインとなるファン層は、ストリーミングよりもCD(というよりもレコード?)を欲しがるような世代なのでしょうが、そういう、あくまでもリアルタイムなファンのみに向けた作品になっており、あまりに内向きすぎる作風に感じました。

評価:★★★

ニューゲート/Saucy Dog

彼ら8枚目となるミニアルバム。基本的に切ないメロディーラインのラブソングが主体というのはいままでと変わらず。そんなちょっと軟弱とすら捉えかねられない歌詞に対して、以外と骨太さを感じるバンドサウンドが彼らの特徴。ただ、毎回思うのですが、もうちょっとバリエーションが欲しいところですし、そのためにもフルアルバム形態でも1枚リリースしてほしいのですが。CD版にのみ収録されている人生を共にした人を人生の最期に振り替える歌詞の「エピローグ」は印象に残ります。

評価:★★★★

Saucy Dog 過去の作品
レイジーサンデー
サニーボトル
バットリアリー

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2025年4月21日 (月)

KREVAの魅力と実力に2つの側面から迫る

Title:Project K
Musician:KREVA

2024年にソロデビュー20周年を迎えたKREVA。昨年は長く所属していた事務所から独立するなど、KREVAにとってはデビュー20年で節目となる年となったようです。そんな中でリリースされたのが今回のオリジナルアルバム。タイトルである「Project K」というのは、まさにKREVAのことを指すのでしょうが、デビューから20年という節目の年を経て、今回のアルバムはあらためてKREVAというのはどんなラッパーであるのかという原点に立ち返り制作された作品、そんな印象を受けました。

今回のアルバムでは、中盤の「Project K Interlude」を境として、2部からなる構成となっており、前半と後半でKREVAというラッパーの2つの側面をそれぞれ前面に押し出しています。そのKREVAのラッパーとしての2つの側面というのは、前半はKREVAのラッパーとしての実力にスポットをあてた作品。後半はKREVAのポップな側面にスポットをあてた作品が並ぶ構成となっています。

KREVAというと、もともとKICK THE CAN CREWのMCとして世に名前を知られ、紅白へも出場するなどポップという印象を持たれることが少なくありません。ただ、(有名な話ではあるのですが)彼自身、ラッパーとしてB-BOY PARKのMCバトルで3連覇を達成するなど、その高いスキルでも知られています。もちろん、いままでの作品でもそんなラッパーとしての高いスキルを聴かせてきたのですが、今回のアルバム、特に前半では、ラッパーとしてのスキルをこれでもかというほど前に出したような曲が並んでいます。

アルバムの冒頭を飾る「No Limit」は、まさにそんなラッパーKREVAの実力を前に出したような作品になっていますし、続く「口から今、心。」も、ちょっとトラップを意識したようなダウナーなトラックをバックに、力強いラップを聴かせてくれています。そしてなんといってもラッパーKREVAの実力をこれでもかというほど発揮したのが3曲目の「TradeMark」で、次から次へと機関銃のように繰り出されるラップをテンポよく聴かせ、しっかりと韻を踏んだリリックも印象的。ラッパーKREVAの実力を遺憾なく発揮した作品となっています。

そんな前半と打って変るのが後半で、こちらはメロディアスなフロウが印象的な作品に。特に「Expert」では、爽やかながらもメランコリックなメロディーラインが耳に残ります歌モノとなっていますし、エレクトロトラックをバックにメロディアスなフロウを聴かせる「次会う時」も、そのメランコリックなラップが印象に残ります。思えば、KICK THE CAN CREWがブレイクした時は、そのポップなラップに否定的な意見も少なくありませんでしたが、気づいたらDRAKEのブレイクを機に、本場アメリカのHIP HOPでも、メロディアスなフロウを聴かせるラッパーが少なくなくなりました。こちらもメロディーメイカーとしてのKREVAの実力が発揮された作品が並んでいます。

KREVAの魅力を両面から迫った作品となっているのですが、アルバムとしてはインターリュードを含めて11曲の構成ながらも30分弱という短さ。そのため非常に聴きやすい作品となっているのと同時に、そんな短さの中でKREVAの魅力がしっかりとつまった、ある意味、非常に中身の濃いアルバムに仕上がっていました。デビュー20周年を飾るにふさわしい傑作アルバム。KREVAの実力と魅力をあらためて認識できる作品です。

評価:★★★★★

KREVA 過去の作品
心臓
OASYS
GO
BEST OF MIXCD NO.2
SPACE
SPACE TOUR
KX
嘘と煩悩
存在感
成長の記録 ~全曲バンドで録り直し~
AFTERMIXTAPE
LOOP END/LOOP START


ほかに聴いたアルバム

正しい哺乳類/フラワーカンパニーズ

今年9月に、2度目となる日本武道館ワンマンライブを予定しているフラワーカンパニーズの、約2年半ぶりとなるニューアルバム。「疑問符の歌」のように歌詞を聴かせるグッとくるような楽曲ももあり、フラカンらしい疾走感あるロックンロールなナンバーもあり、彼らの魅力をしっかりと感じられます。ただ、名曲「深夜高速」をはじめ、ベスト盤的なセレクトではあれだけ心をうつ名曲を並べていながらも、オリジナルアルバムでは、1曲2曲、心に響く名曲がありつつも、全体的にはいまひとつ印象が薄くなってしまうのは何故だ?

評価:★★★★

フラワーカンパニーズ 過去の作品
フラカン入門
ハッピーエンド
新・フラカン入門
Stayin' Alive
夢のおかわり
ROLL ON 48
50×4
36.2℃

団地テーゼ/神聖かまってちゃん

ちばぎん脱退後、新メンバーユウノスケ加入後初となるオリジナルアルバムとしては約5年ぶりのニューアルバム。児童虐待をテーマとした「死にたいひまわり」をはじめ、現実の闇や「鬱」をテーマとしたヘヴィーな歌詞は今回も炸裂。楽曲自体もシンプルなギターロックからアバンギャルドなサウンドを取り込んだ曲、ドリーミーなナンバー、ラップ風の曲などバラエティー豊富ながらも、どれもかなり音を詰め込んだ作品になっています。どれも神聖かまってちゃんらしいのですが、全16曲1時間強、聴き終わるとグッタリと疲れるアルバムでした・・・まあ、それもまた、彼ららしいし、それこそ彼らの個性なのでしょうが・・・。

評価:★★★★

神聖かまってちゃん 過去の作品
友だちを殺してまで。
つまんね
みんな死ね

8月32日へ
楽しいね
英雄syndrome
ベストかまってちゃん
夏.インストール
幼さを入院させて
ツン×デレ
児童カルテ
聖なる交差点

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2025年4月20日 (日)

人間関係の光と影を描く

Title:親愛なるあなたへ
Musician:THE BACK HORN

途中、カバーアルバムやライブアルバムを挟みつつ、オリジナルアルバムとしては約2年9ヶ月ぶりとなるTHE BACK HORNのニューアルバム。このアルバムをリリースする前に、昨年7月から4か月連続で「光と影」シリーズとして配信シングルをリリースしてきました。本作にはその配信シングル4作が収録されているのですが、今回のアルバムではそのシングル4曲がアルバムの中で大きなインパクトとなっています。

この「光と影」シリーズは、いわば人間関係の影の部分と光の部分にスポットをあてた作品となっているのですが、前半は「影」の部分からスタート。「ジャンクワーカー」は職場の上司との関係の悩みを綴ったサラリーマンにスポットをあてて楽曲。それに続く「修羅場」は文字通り、彼女の浮気が発覚した状況を描写した楽曲。人間関係の「影」にスポットをあてているのですが、かなりリアリティーありつつ、ちょっとコミカルさも感じる歌詞が大きなインパクトとなっています。

これらの曲に挟まった楽曲も、心の影の部分を描いており、歪んだ正義感を綴る「透明人間」や鬱な状況を描写したような「Mayday」など、「影」の部分を描いた心理描写が非常に印象に残る作品が並んでいます。

一方、後半は「光」の部分にスポットをあてた楽曲。同じく先行シングル「光とシナジー」は気の合う親友との関係を描写した非常に明るいナンバーに。「タイムラプス」は亡くなった大事な人に対するメッセージとなっているのですが、こちらは残された人間として、大事な人への思いを心に秘め、前へ進んでいこうという前向きな楽曲となっています。後半はこの2曲を含めても前向きな明るい曲が多く、ラストを締めくくる「明日世界が終わるとしても」も非常に明るい前向きなメッセージを歌った曲となっています。

そんな感じでコンセプチャルな内容となっている本作ですが、サウンド面でも非常に力強くカッコいいサウンドを聴かせてくれるのが特徴的。冒頭のタイトルチューン「親愛なるあなたへ」もヘヴィーなギターリフのインストからグッと心を惹きつけられますし、前述の「ジャンクワーカー」はお経のようなラップ調のボーカルに、ヘヴィーなギターリフのミクスチャー風の楽曲。「修羅場」もファンキーなリズムにラップ風のボーカルの入る、こちらもミクスチャー風の楽曲。スラングをちりばめたちょっと情報過多気味なユニークな歌詞は今時のボカロ系に通じる部分も感じさせますし、ベテランバンドらしからぬ今時の若さも感じさせます。

加えて今回のアルバムで大きな特徴なのが、バラエティー富んだ楽曲に挑戦している点で、前述のミクスチャーロックのみならず、例えば「SUN GOES DOWN」ではホーンも取り入れて軽快なスカ風のナンバー、ソウルの要素の入った「光とシナジー」、ピアノを入ったブルージーなバラードナンバー「月夜のブルース」など、いままでにないTHE BACK HORNのスタイルを感じます。特に、THE BACK HORNといえば、ヘヴィーで疾走感のあるギターサウンドとメランコリックなメロディーラインが、いわば「大いなるマンネリ」的に大きな特徴となっていたのですが、デビューから30年近くが経過した今となって、これだけ新たな挑戦を行うというのは驚きでもあります。

一方で冒頭を飾る「親愛なるあなたへ」と、ラストを飾る「明日世界が終わるとしても」はいずれも実にTHE BACK HORNらしいと感じさせる楽曲になっており、ちゃんと要所要所はいつもの彼ららしさを出してくるあたり、いい意味での安心感はありますし、ファンにとってはうれしいところなのではないでしょうか。しっかりとTHE BACK HORNらしさを守りつつ、新しいサウンドにも挑戦する、ある意味、理想的な構成に仕上がっていました。

コンセプチャルな内容もユニークでしたし、サウンド面での新たな挑戦も耳を惹きます。その一方でTHE BACK HORNらしさはしっかりと抑えられている、非常に良くできた傑作アルバムだったと思います。ベテランの彼らがここまでの作品を作ってくるというのはちょっと驚きですし、彼らの底力を感じることが出来ました。まだまだTHE BACK HORNのこれからにも期待できそうです。

評価:★★★★★

THE BACK HORN 過去の作品
BEST
パルス
アサイラム
リヴスコール
暁のファンファーレ
運命開花
BEST OF BACK HORN II
情景泥棒
ALL INDIES THE BACK HORN
カルペ・ディエム
この気持ちもいつか忘れる
アンドロギア
REARRANGE THE BACK HORN


ほかに聴いたアルバム

4EVER/OKAMOTO'S

今のメンバーとなってから活動15周年を迎えた彼らの10枚目となるアルバム。「4EVER」というアルバムタイトルといい、最初の曲が「ありがとう」というタイトルといい、ひょっとしたら解散??と危惧したのですが、そういう訳ではなさそう。この「ありがとう」の歌詞、斉藤和義の「ずっと好きだった」に似ているような気がするのですが、偶然?ルーツ志向のギターロック、かと思えば意外とキャッチーでJ-POPに寄ったような楽曲も目立ち、良くも悪くもバラエティー富んだ内容なのですが、それがバンドとして、いまひとつ核の部分の弱さのようにも感じてしまいます。今回は特にポップに寄ったような作風が目立ち、結果、「ベタ」と感じさせるような内容になってしまった、ちょっと惜しい1枚でした。

評価:★★★★

OKAMOTO'S 過去の作品
10'S
オカモトズに夢中
欲望
OKAMOTO'S
Let It V
VXV
OPERA
BL-EP
NO MORE MUSIC
BOY
10'S BEST
Welcome My Friend
KNO WHERE
Flowers

AlterGeist0000/THE ORAL CIGARETTES

途中、EPのリリースを挟みつつ、オリジナルアルバムとしては約4年9ヶ月ぶりとなる新作。特に前半、エレクトロサウンドを取り入れたり、ラップを取り入れたりしつつ、ヘヴィーなバンドサウンドをダイナミックに聴かせるスタイルをより前に押し出した作風に。いままでよりもロックテイストが強まった印象もあります。一方で、後半は疾走感あるサウンドのポップ色の強い楽曲もあり、良くも悪くもJ-POP色の強い作品も。バラエティーあるバンドサウンドは魅力的ですが、メランコリックなメロディーラインはちょっと一本調子か?

評価:★★★★

THE ORAL CIGARETTES 過去の作品
FIXION
UNOFFICIAL
Kisses and Kills
Before It's Too Late
SUCK MY WORLD
MARBLES

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2025年4月19日 (土)

BEGINの魅力のわかる2枚組ベスト盤

Title:BEGIN さにしゃんベスト
Musician:BEGIN

2024年にデビュー35周年を迎えたBEGINによる2枚組のベストアルバム。2019年に既にベストアルバム「BEGIN ガジュマルベスト」をリリースしている彼らですが、本作はその続編的扱い。1枚組の「BEGIN ガジュマルベスト」が、いわば彼らの代表曲を凝縮した初心者向けアルバムだったに対して、さらに彼らの曲をたくさん聴きたいという方にむけてリリースされたのが今回のベストアルバム。ちなみに「さにしゃん」とは石垣島の方言で「うれしい」という意味だそうで、BEGINの曲をいろいろと聴きたい方にとっての「うれしい」ベストアルバムとなっています。

デビュー35周年を向けて、すっかりベテランバンドの仲間入りを果たしたBEGIN。ご存じのようにもともとは1989年に当時、社会現象とも言えるブームとなったテレビ番組「三宅裕司のいかすバンド天国」通称「イカ天」で「イカ天キング」に選ばれて、シングル「恋しくて」でデビュー。いきなり大ヒットを記録し、大きな話題となりました。

ただ、当時大ヒットしたシングルはこれ1枚のみ。2枚目からのシングルではチャートを大きく落として、当初はともすれば「一発屋」とみられるような売上の推移をたどっています。しかし、その後は根強い人気を続け、「島人ぬ宝」や「笑顔のまんま」がスマッシュヒットを記録。2002年、2003年にはデビューから10年以上を経て、2年連続紅白にも出場し、今や彼らを一発屋とみなす人はいません。ある意味、デビュー時に「イカ天」ブームにより消費されかかった彼らでしたが、しっかりとその人気を確保し、今に至っています。

今回のベストアルバムではもちろん彼らの代表曲である「恋しくて」「島人ぬ宝」「笑顔のまんま」も収録。ここらへんは「ガジュマルベスト」と被る内容にはなっていますが、それはそれでやはりBEGINのベストとして抑えておきたい楽曲と言えるでしょう。ただ、この曲を含めて、沖縄民謡の要素を取り込んだ、暖かく優しいポップチューンの連続。決して派手さはないものの、しっかりと心に残る楽曲が並んでおり、なるほど、確かに爆発的なヒットこそ「恋しくて」以降なかったものの、35年の間、第一線で人気を確保し、活動を続けてこれた理由はよくわかります。

例えば「防波堤で見た景色」などは1998年にリリースされた楽曲で、チャート的には最高位99位と全く奮わなかったのですが、昔なじみの仲間と、戻れない過去を懐かしむ歌詞は感涙モノのバラードナンバーで思わず聴き入ってしまいます。また、今回のベスト盤に収録されている曲では「ハンドル」も秀逸。こちらもアコギとピアノでしんみり聴かせるフォーキーな曲ですが、居酒屋を営む夫婦を描いた歌詞が非常に印象に残る物語性のある歌詞で、登場人物の描写が心に残る楽曲に。こういうった彼らの実力、魅力のわかる楽曲が多く収録されています。

また、BEGINの大きな魅力と感じるのは、彼らの生まれ故郷、沖縄の民謡を上手く取り入れつつ、様々な音楽的な要素を同時に取り込んだポップチューンに仕上げているという点。彼らの代表曲と言える「恋しくて」はまさに、ブルースの要素を強く取り入れている一方で、同時にハワイアン的な雰囲気や、どこか沖縄民謡の要素を取り入れており、まさにBEGINしか作りえないようなポップソングに仕上げています。また、ベスト盤に最後に収録されている「渋谷百年総踊り」では、タイトル通り、日本の盆踊りを取り入れつつ、ブラジル音楽の要素も取り入れています。このように、沖縄民謡をベースとしつつ、決してそこに留まらない音楽性をしっかり取り入れつつ、かつポップにまとめあげています。決して沖縄民謡だけを取り入れるわけでもなく、かといってしっかりと沖縄を歌にする、このいい意味での彼らの生まれ故郷、沖縄との距離感が彼らの大きな魅力に感じました。

彼らの35年にも及ぶ音楽活動。初心者向けとして確かに「ガジュマルベスト」のような1枚にまとめたベスト盤も必要でしょうが、一方で、彼らの魅力をしっかり伝えようとするとやはり、この程度のボリュームは必要になってくるのでしょう。そして、このベスト盤でしっかりとBEGINの実力、魅力が伝わってきたと思います。あらためて35年間活動を続けるのはやはり伊達じゃない、そう強く感じたベスト盤でした。

評価:★★★★★

BEGIN 過去の作品
3LDK
ビギンの島唄 オモトタケオ3
ビギンの島唄 オモトタケオのがベスト
トロピカルフーズ
Potluck Songs
BEGIN ガジュマルベスト
BEGINライブ大全集2
ビギンの盆マルシャ


ほかに聴いたアルバム

BUMP OF CHICKEN TOUR ホームシック衛星2024 at ARIAKE ARENA-DAY2-/BUMP OF CHICKEN

Homesickeisei

2008年に行われたツアー「ホームシック衛星」のリバイバル公演として行われた「BUMP OF CHICKEN TOUR ホームシック衛星2024」のツアーファイナル、有明アリーナでの公演の模様を収録した配信限定のライブアルバム。2008年のツアーのリバイバルということもあって、選曲はかなり懐かしい曲の連続。「メーデー」「ラフ・メイカー」「アルエ」「ガラスのブルース」などなど、かなり感涙モノのセットリストとなっており、ちょっと懐かしさに浸ってしまいました。

評価:★★★★★

BUMP OF CHICKEN 過去の作品
orbital period
COSMONAUT
BUMP OF CHICKEN Ⅰ[1999-2004]
BUMP OF CHICKEN II [2005-2010]

RAY
Butterflies
aurora arc
Iris

藤子・F・不二雄 生誕90周年記念 CAFE de FUJIKO・F・FUJIO MUSEUM/今井亮太郎

藤子・F・不二雄先生の生誕90年を記念してリリースされたアルバムで、タイトル通り、川崎市にある「藤子・F・不二雄ミュージアム」内のミュージアム・カフェで流れているBGMをまとめたもの。ブラジル音楽のピアニスト、プロデューサーであり、自身も藤子F先生の大ファンという今井亮太郎が、藤子Fアニメの代表曲をアコースティックサウンドのインスト曲としてリメイクし、演奏した作品。本籍地がブラジル音楽ということでボッサな雰囲気のカバーもあるのですが、全体としてはシンプルで暖かいインスト曲に仕上がっています。カフェのBGMということで雰囲気を壊さないようなBGMに徹したカバーとなっており、部屋に流しておくにはピッタリのアルバムになっていました。

評価:★★★★

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2025年4月18日 (金)

健康と内省

Title:Music For Walking(Out Of The Woods)
Musician:ラブリーサマーちゃん

前作「THE THIRD SUMMER OF LOVE」から約4年半ぶり、ちょっと久しぶりとなるラブリーサマーちゃんことシンガーソングライター今泉愛夏の新譜は全6曲入りのミニアルバム。かわいらしい名前とは反するヘヴィーなギターロックが特徴的な彼女。今回のアルバムも90年代のオルタナ系ギターロック直結のロックなアルバムに仕上げています。

まずアルバムはいきなりヘヴィーなギターのイントロからスタート。さらに力強いドラムのリズムが入ってくるあたりから、ロック好き、それも90年代のオルタナ系ギターロックが好きな方にはワクワクするスタートではないでしょうか。そこにのっかかる彼女の歌声はちょっと気だるい雰囲気で、ヘヴィーなバンドサウンドをバックに聴かせてくれるメロディーラインはポップでキュート。このヘヴィーなバンドサウンドとポップなメロのアンバランスさもまた、オルタナ系ギターロック路線らしいのですが、彼女の大きな魅力。このオルタナ系ギターロックに気だるいボーカルでポップなメロを聴かせるスタイルも、かつてのthe brilliant greenを彷彿とさせます。

ヘヴィーで力強いバンドサウンドが特徴的な「普請中」からスタートし、キュートな歌い方が魅力的なギターポップ「OK,Shady Lane」に、ホーンも入った分厚いサウンドでゆっくり聴かせる「(Song For Walkiing)Out Of The Woods」、さらに今回の6曲中2曲は英語詞となっているのですが、「(Song For Walking)In My Mind」はノイジーなギターで疾走感のあるギターロックチューン、「The Great Time Killer」も力強くテンポのよいロックンロールナンバー。いずれもちょっと懐かしい印象もあるオルタナ系ギターロックの王道を行くような楽曲が並びます。ちなみにラストにはシークレットトラックの「GIMME MONEY」が収録されており、トラップ調のHIP HOP風のユニークな「お遊び」的な楽曲で締めくくられています。

また、今回のアルバムのテーマは「健康と内省」だそうで、コロナのステイホームの中で、「自分の奥に触れてみよう」と感じたこと、「人間一人の身体のミクロさと、その身体が存在する世界・その身体が行ける世界のマクロさ」が今回の歌詞のテーマだそうです。実際、アルバムタイトルとは反して、内省的な歌詞が多いのも特徴的で、英語詞の「(Song For Walking)In My Mind」はまさに「Why don't you take a walk in your mind?」と、そのまま歌詞で内省を薦めていますし、「OK,Shady Lane」でも

「休めサボれ腐れ!
誰にも日陰が必要なのさ」
(「OK,Shady Lane」より 作詞 ラブリーサマーちゃん)

と、こちらも内省の薦めのような歌詞に。一方、事実上のラストに締めくくる「(Song For Walking)Out Of The Woods」では、まさにコロナ禍の中のステイホームの時の心境をつづったような歌詞に。内省的な歌詞、あるいは自分の内面を見つめることを薦めるような歌詞の最後には、逆に外に出て、人に会おうと薦めるような歌詞で締めくくられているのも印象に残る構成になっていました。

全体的にはベタなオルタナ系ギターロックのアルバムで、あの頃のロックが好きならばかなりツボにはまるようなアルバムだったと思います。個人的にも前作同様、かなりツボにはまって心地よく聴けた傑作アルバム。the brilliant greenあたりが好きなら文句なしにおすすめできそう。これからの活躍も楽しみです。

評価:★★★★★

ラブリーサマーちゃん 過去の作品
人間の土地
THE THIRD SUMMER OF LOVE


ほかに聴いたアルバム

ブギウギ ワンダー☆レビュー2024/スターダストレビュー

スタレビ恒例のライブアルバム。今回は2022年秋から2024年5月にかけて、110公演にかけて全国をまわったツアーのうち、昭和女子大学人見記念講堂で行われたフルバンドセットのライブと、大阪・高槻城公園芸術文化劇場トリシマホールで行われたア・カペラ&アコースティック形式のライブの模様を収録した2枚組のアルバムで、一方がフルバンドセット、もう一方がア・カペラ&アコースティック形式でのライブとなっています。基本的にはフルバンドでもア・カペラ&アコースティックでも雰囲気的にはそんなに大きな差はないイメージで、どちらもとにかく楽しそうなステージが印象的。評判の高いスタレビのライブの良さを伝えてくれるようなライブアルバムでした。

評価:★★★★

スターダストレビュー 過去の作品
31
ALWAYS
BLUE STARDUST
RED STARDUST

太陽のめぐみ
B.O.N.D
Stage Bright~A Cappella & Acoustic Live~
SHOUT
スタ☆レビ-LIVE&STUDIO-
還暦少年
STARDUST REVUE 楽園音楽祭 2018 in モリコロパーク
スターダスト☆レビュー ライブツアー「還暦少年」
年中模索
STARDUST REVUE「楽園音楽祭 2019 大阪城音楽堂」
Mt.FUJI 楽園音楽祭2021 40th Anniv.スターダスト☆レビュー Singles/62 in ステラシアター
ブギウギ ワンダー☆レビュー
スターダスト☆レビュー TOUR ブギウギ ワンダー☆レビュー 野外編 with んなアホなホーンズ@日比谷公園大音楽堂

ゴールデン☆ベスト WARNER YEARS/五味美保

レコード会社共通の廉価版ベストシリーズ「ゴールデン☆ベスト」。本作は、90年代から2000年代にかけて活動したシンガー五味美保のベスト盤。89年のデビューシングル「夏の終わりに・・・」以降、1990年までの2年間で、ワーナーにシングル4枚アルバム2枚を残しており、その作品を収録した最初期のベスト盤。いかにも80年代後半や90年代初頭のJ-POPを彷彿とさせるようなシンセの入ったサウンドが時代を感じさせつつ、清涼感あるボーカルは魅力的。かなりアイドルポップ色が強く、後にはシンガーソングライターとして活躍する彼女ですが、初期はアイドル的な売り出され方をしたことが伺わせます。正直、楽曲的に新鮮味は薄く、彼女だけが持つような特色は薄いのですが、このボーカルがその後、どのように生かされていったのかは気になるところ。完全に初耳のシンガーだったのですが、それ以降の時代の楽曲もチェックしてみようかなぁ。

評価:★★★

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2025年4月17日 (木)

1位2位はベストアルバム

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週は上位にベストアルバムが並んでいます。

1位は旧ジャニーズ系。Snow Manのベストアルバム「THE BEST 2020-2025」が獲得。もともと1月にCDがリリースされ、1月29日付チャートで総合1位を獲得しているのですが、このたび、配信が解禁。ダウンロード数及びストリーミング数で1位、CD販売数も15位にアップし、1月29日付チャート以来の1位及びベスト10返り咲きを果たしています。

2位はAdoの初となるベストアルバム「Adoのベストアドバム」が初登場でランクイン。CD販売数1位、ダウンロード数2位、ストリーミング数11位。ちなみにタイトルは「ベストアルバム」ではなく「ベストアドバム」です。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上9万3千枚で1位初登場。前作「残夢」の初動10万枚(1位)からダウンしています。

3位はMrs.GREEN APPLE「ANTENNA」がワンランクダウンでこの位置。ストリーミング数も1位から2位にダウン。これで通算30週目のベスト10ヒット&通算20週目のベスト3ヒットに。「Attitude」もワンランクダウンで4位に。こちらもストリーミング数が2位から3位にダウン。ベスト10ヒットは通算18週目となります。

4位以下には初登場盤はなし。ロングヒット盤ではVaundy「strobo」が先週と変わらず6位をキープ、「replica」は8位から10位にダウン。それぞれ通算18週目、通算21週目のベスト10ヒットに。Number_i「No.I」は7位から8位にワンランクダウン。こちらは通算20週目のベスト10ヒットとなっています。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

Heatseekers SongsはCANDY TUNE「倍倍FIGHT!」が先週に引き続き1位を獲得。通算4週目の1位獲得となりました。動画再生回数は20位から17位にアップ。Hot100では先週の65位から59位にアップ。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

今週は雨良 Amala「ダイダイダイダイダイキライ」が先週の2位から1位に返り咲いて、2週ぶり通算2週目の1位獲得となっています。一方、2位にはDECO*27「テレパシ」、3位は同じくDECO*27「モニタリング」と、ベスト3のうち2曲がDECO*27が占める結果となっています。

今週のHot Albums&Heatseekers Songs&ボカロチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2025年4月16日 (水)

新たなロングヒットとなるか?

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週の上位2曲、新たなロングヒットとなるのでしょうか。

まず1位にはMrs.GREEN APPLE「クスシキ」が先週の6位からランクアップ。チャートイン2週目にして初の1位獲得となりました。特にストリーミング数では先週まで9週連続1位をキープしてきた「ライラック」を下しての1位。ダウンロード数2位、ラジオオンエア数4位、動画再生回数も2位を獲得し、総合チャートで1位を獲得しました。

さらに2位は先週1位だったHANA「ROSE」が今週もベスト3をキープ。ストリーミング数は先週から変わらず2位、動画再生回数は2週連続1位、ダウンロード数は2位から5位にダウンしています。

今年に入って、Mrs.GREEN APPLEの独走態勢が続いており、新たなロングヒット曲がなかなか生まれていない中、この2曲は新たなロングヒットとなりそう・・・って1曲はやはりMrs.GREEN APPLEなのですが・・・。さらにサカナクション「怪獣」が4位から5位にダウンしたものの今週、8週目のベスト10ヒット。NHK Eテレアニメ「チ。-地球の運動について-」オープニングテーマ。ストリーミング数は4位から5位、ダウンロード数は5位から14位、動画再生回数も3位から4位とダウンしており、ちょっと厳しい状況ですが、いろいろなところでこの曲の話題を聞く機会も増えてきており、今年を代表するヒット曲の1曲となりそう。

ただ、Mrs.GREEN APPLEは「ライラック」も先週の2位からワンランクダウンで3位とベスト3をキープ。前述のようにストリーミング数は1位から3位に、動画再生回数も2位から3位にダウンしたものの、まだまだ強さを感じます。カラオケ歌唱回数は今週で14週連続の1位。これで52週連続のベスト10ヒット&通算38週目のベスト3ヒットとなりました。

Mrs.GREEN APPLEは他に「ダーリン」が5位から6位にダウン。一方、「ケセラセラ」は8位から7位、「Soranji」が10位から8位にアップし、今週も5曲同時ランクイン。「ダーリン」は12週連続、「ケセラセラ」は通算41週、「Soranji」は通算11週目のベスト10ヒットとなっています。

4位以下の初登場曲はAKB48系女性アイドルグループ、NMB48「チューストライク」が初登場で4位を獲得。CD販売数で1位獲得。オリコン週間シングルランキングでは初動売上17万5千枚で1位初登場。前作「がんばらぬわい」の初動17万枚(2位)からアップ。

また、先週、11位とベスト10から陥落したロゼ&ブルーノ・マーズ「APT.」は今週10位にランクアップし、2週ぶりにベスト10返り咲き。ベスト10ヒットを通算24週としています。

ロングヒット曲では米津玄師「BOW AND ARROW」が先週と変わらず9位をキープ。ストリーミング数は9位から10位にダウン、動画再生回数は先週と変わらず7位をキープ。これで通算10週目のベスト10ヒットとなっています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heatseekers&ボカロチャート!

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2025年4月15日 (火)

90年代の懐かしいヒット曲の数々を紹介

今回は、最近読んだ音楽関連の書籍の紹介です。

「8cmCDで聴く、平成J-POPディスクガイド 「小室」系、「ビーイング」系、「渋谷」系──CDがもっとも売れた90年代の名曲200」。タイトル通り、1990年代の8cmCD、いわゆる短冊形シングルでリリースしたシングルを紹介するディスクガイド。数多くのミリオンセラーが登場し、日本の邦楽シーンに最も活気があったとも言える1990年代。その音楽シーンで主流であった8cmCDでのシングル曲を紹介した1冊となります。1990年代といえば、私にとっても主に、中学生から大学生にあたる時期。特に前半についてはヒット曲を一番追いかけていた時期になりますし、後半については、当サイトも立ち上げて、もっとも幅広く多い邦楽を聴いていた時期。それだけにかなり思い入れのある時期になるだけに、この1冊も気になり、読んでみました。

このディスクガイドの大きな特徴となっている点は、「売れたシングルを紹介している」という点です。90年代のディスクガイドは、こちらの本こちらの本など、いままでも何度かここで取り上げました。ただ、どちらのディスクガイドもアルバム主体であり、なおかつ、筆者の評価の入った「名盤集」となっています。一方、今回紹介するディスクガイドについては、当時ヒットしたシングルを徹底的に紹介した1冊。さらに原則的に1ミュージシャン1曲のみが取り上げられています。そして、紹介文は基本的には楽曲やミュージシャン自体の紹介が主となっており、評論的な部分は控えめ。あくまでも90年代のヒット曲の紹介に終始した構成となっています。

そして、ここで紹介されているシングルは、私にとってもリアルタイムで聴いていたシングルとなるため、この本を読みながら、非常に懐かしい気持ちになりました。今回、200曲が紹介されているのですが、この感想を書くにあたってあらためて確認したのですが、この200曲の中で私が聴いたことない曲は1曲もありません。かつ、私が今の段階でメロディーを口ずさめない曲も、おそらく、両手で余る程度。ほぼ全ての曲に関して、少なくともサビの部分は口ずさめる曲ばかりが並んでいます。実際、読み進む中で、紹介されている楽曲が頭の中に流れ出してきて、懐かしさを感じつつ、読み進めることが出来ましたし、リアルタイムに90年代のヒット曲を楽しんでいた自分としては、素直に楽しめたディスクガイドでした。

ただ一方、紹介するシングルを8cmCDと限ったというコンセプト上、どうしても90年代のJ-POPシーンを包括的に紹介できているか、と言われると、かなり疑問に残るディスクガイドにもなっていました。

90年代というと、前述の通り、邦楽シーンが最も活気だっていた時期ですが、それは必ずしも8cmCDでシングルをリリースされていたヒットシーンに限りません。例えば、アンダーグラウンドシーンやサブカルチャーシーンでは90年代の比較的初期から、8cmでのシングルはリリースされていませんでしたし、さらに90年代終盤になると、マキシシングルが主流となってきており、8cmCDは徐々にその役割を終えています。

実際、本書の中でも渋谷系の紹介の中で8cmCDではあまりリリースされなかった旨が書かれていますし、90年代にアンダーグラウンドシーンから誕生し、2000年代にかけて徐々に花開いていったHIP HOPやメロコア・パンク、オルタナ系ギターロックなどにはほとんど触れられていません。

本書の前書きで「90年代、平成のJ-POP=8cmシングルだと言っても過言ではありません。」と言っていますが、はっきりいって過言だと思います。特に2025年という現在からみて90年代を振り返った場合、ミッシェル・ガン・エレファント、ブランキージェットシティー、ナンバーガール、ハイスタンダード、ライムスター、キングギドラなどなど、2000年代以降のシーンに大きな影響を残したミュージシャンが数多く1990年代にデビューしていますが、本書では軒並み紹介されていません。ヒットシーンからサブカルチャー、アンダーグラウンドシーンまで、シーン全体に余裕があっただけに百花繚乱、音楽シーンとしての厚みがあった点が90年代J-POPの大きな魅力だと思うのですが、残念ながら本書は「8cmCDのヒット曲」という括りを設けただけに、90年代J-POPの本来の魅力を捉えられていないという印象を受けました。

もちろん、それは本書が、「8cmCDのヒット曲を取り上げる」というコンセプトの下に構成されている以上、仕方ない部分かもしれません。むしろ「ヒット曲」というのは、逆に「名盤集」などで取り上げられずらい部分もあるため(特に90年代J-POPのような、商業主義的に見られがちなメガヒット曲については)本書のような存在は意義深いとも言えるかもしれません。ただ、それはそれで、コラムでフォローするか、これらのCDは、あくまでも90年代J-POPの一部に過ぎない、という点は言及してほしかったようにも思います。

実際、前述の通り、懐かしいヒット曲の連続で懐かしく楽しめた反面、紹介されているCDがそれ以上でもそれ以下でもなかったため、やはり読み進む中でちょっと物足りなさを感じてしまったのも事実。本書のコンセプト上、仕方ない部分ではあるとは思うのですが・・・ちょっと惜しくも感じた1冊でした。

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2025年4月14日 (月)

まさかのラストアルバム

Title:Blank
Musician:the pillows

Blank_pillows

今年2月、非常にショッキングなニュースが飛び込んできました。the pillows解散。昨年、結成35周年を迎えたベテランバンドの彼ら。途中、活動休止の時期を挟みつつも、比較的コンスタントに活動を続けてきたバンドでした。正直、ここまで活動をつづけながら、いまとなって解散というのはちょっとビックリしたのですが、今回、「解散」という言葉をつかったのも「いつか再始動があるかと期待させるような言葉を使うのはためられ」たそうで、彼らとしては、少なくとも今の時点においては今後、the pillowsとして活動することはない、という決意を感じさせます。どちらかというと、結成から30年を超えるようなベテランバンドは、大いなるマンネリになりつつ、途中、活動休止期間をはさみつつも、長く活動を続けるというスタイルを取っているバンドがほとんどなだけに、「解散」という選択肢は逆に非常に意外に感じさせる一方で、その活動にしっかりと「けじめ」をつけるあたり、彼ららしいなぁ、とも同時に感じてしまいます。

今回紹介するのは、もともと昨年10月に通販やライブ会場限定でリリースされたEP盤。正直言うと、当初は「どうせ次のアルバムに収録されるだろう」的な見立てで購入をスルーしていたのですが、解散ということでおそらくこれが事実上のライブアルバムになるだろうということで遅ればせながら購入。ちょっと遅くなってしまいましたが、今回、アルバムを聴いてみました。

まず感じるのは、いい意味でいつものthe pillowsらしい楽曲が並んでいるという点。1曲目のタイトルチューン「Blank」は、そのイントロのギターリフからして、「あ、the pillowsだ!」と感じることが出来る楽曲。現実を悲観的に捉えながらも、前を向こうとする歌詞もまた、まさにthe pillowsらしいといえる楽曲に。2曲目「Beast&Beauty」は軽快なロックンロールナンバーで、ライブ映えしそうな、こちらもthe pillowsらしいナンバー。3曲目「Have You Ever Seen The Chief」は英語詞のミディアムチューンの楽曲。こちらもメランコリックなメロディーラインが耳に残るthe pillowsらしいギターロックに。ボーナストラック扱いのラスト「dog paddle to the world」は、エレクトロサウンドを取り入れたインスト曲。こういう曲もthe pillowsのアルバムには1曲入っているケースも少なくなく、そういう意味でも彼ららしいと言えるでしょう。

ちなみに同封のDVDには2023年3月に東京荻窪のTop Beat Clubでのライブから6曲のライブ映像が収録されています。彼らの過去の代表曲からピックアップされているのですが、バンドとして勢いのあり、しっかりと聴かせる迫力のある演奏を見せてくれており、35年目間近のベテランバンドと信じられないような現役感あふれるステージを見せてくれています。

多分、このEPを聴いて、これが事実上のラストアルバムと感じる方は少ないのではないでしょうか。新曲4曲にしても、いつものthe pillowsらしい勢いのありメロディーラインのインパクトも十分なギターロックを聴かせてくれますし、ライブ映像にしてもバンドとしての一体感は変わらず。しっかりとファンとしても満足いくような演奏を聴かせてくれています。この音源から解散につながる要素はほとんど感じられません。

ただ一方で、4曲ともthe pillowsらしい曲という点からして、the pillowsとしての新機軸は出しておらず、「大いなるマンネリ」となっているのは事実。もうthe pillowsとして演れることは演りつくした、という判断なのかもしれません。もっとも、the pillowsとしての新機軸についてはここ何年も提示されておらず、なぜ今更・・・という感もあるのですが、ただ、その「大いなるマンネリ」路線にも限界が来た、ということかもしれません。

もっとも本作、その点を差し引いても十分名曲と言える曲が並んでおり、駄作どころかファンにとっても十分満足できるような傑作アルバムに仕上がっていました。また、ひょっとしたらこういうアルバムをリリースできるうちに解散という手段を取りたい、という面もあったのかもしれません。これが最後というのは非常に残念ですが、the pillowsが輝いているうちにその幕を下ろすという選択肢もまた、彼ららしいと言っていいのかもしれません。長い間、数多くの名曲、名ステージを、どうもありがとうございました。

評価:★★★★★

the pillows 過去の作品
LOSTMAN GO TO YESTERDAY
PIED PIPER
Once upon a time in the pillows
Rock stock&too smoking the pillows

OOPARTS
HORN AGAIN
トライアル
ムーンダスト
Across the metropolis
STROLL AND ROLL
NOOK IN THE BRAIN
REBROADCAST
劇場版「フリクリ オルタナ/プログレ」Song Collection「Fool on CooL generation」
王様になれ オリジナルサウンドトラック


ほかに聴いたアルバム

Found In Pain/MIYAVI

MIYAVIの最新作は、2部作「Lost In Love,Found In Pain」の後編となる作品。2024年4月には「Lost In Love」をリリースしていますたが、本作はそれに続く作品となっています。2部作といっても「Lost In love」から大きくスタイルを変えることはなく、基本的にメランコリックなメロディーラインに、エレクトロサウンドも取り入れたサウンドが特徴的。そして、「Lost In Love」と同様、彼のダイナミックなギタープレイも前に押し出された作品となっており、ギタリストMIYAVIの作品を聴いたと、満足感を覚えられる作品でした。

評価:★★★★

MIYAVI 過去の作品
WHAT'S MY NAME?(雅-MIYAVI-)
SAMURAI SESSIONS vol.1(雅-MIYAVI-)
MIYAVI
THE OTHERS
FIRE BIRD
ALL TIME BEST "DAY2"
SAMURAI SESSION vol.2
SAMURAI SESSIONS vol.3- Worlds Collide -
NO SLEEP TILL TOKYO
Holy Nights
Imaginary
Lost In Love

Precious Days/竹内まりや

オリジナルアルバムとしては「TRAD」以来、10年ぶりとなるニューアルバム。前作「TRAD」も7年のインターバルを経てのリリースと、寡作ぶりが目立つ彼女。ただ、前作はクオリティーの高い内容ではあるものの、全体的には保守的で、久しぶりのアルバムとしては・・・といった印象だったのですが、今回のアルバムも率直に言えば同じ。どの曲もクオリティーが高いのは間違いないのですが、ある意味、予想通りすぎる内容で、良くも悪くも「大いなるマンネリ」というものを感じてしまいます。さすがにいまさらガラリとスタイルのを変えるのは難しいのでしょうが・・・。

評価:★★★★

竹内まりや 過去の作品
Expressions
TRAD
REQUEST -30th Anniversary Edition-
Turnable
Quiet Life(30th Anniversary Edition)

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2025年4月13日 (日)

かつてのファンに今の爆風スランプを伝えたベストアルバム

Title:40th Anniversary BEST ALBUM IKIGAI 2024
Musician:爆風スランプ

80年代から90年代にかけて活躍し、「Runner」をはじめ数多くのヒット曲を世に送り出して一世を風靡したロックバンド、爆風スランプ。1999年に活動休止した後は、単発的にライブなどを行っていたこともあるのですが、昨年3月、デビュー40周年を機に再始動。新曲をリリースし、ライブツアーも実施。さらに40周年のベスト盤もリリースしました。今回紹介するのは、久々の再始動でリリースされた、そのベスト盤です。

今回のベスト盤は、今回はじめて爆風スランプを知ったような、初心者に向けたベスト盤、という感じではありません。例えば彼らの大ヒット曲となった「Runner」は中国語バージョンでの収録となっていますし、「リゾ・ラバ」「月光」「大きなたまねぎの下で~はるかなる想い」「涙2(LOVEバージョン)」といった代表曲は収録されているのですが、彼らの大ヒット曲のひとつである「旅人よ~The Longest Journey」は未収録となっており、必ずしも彼らの代表曲を網羅している感じではありません。

全体的にはどちらかというと、かつてのファンへのご挨拶的なベスト盤という印象が強く、デビューから40年たった今、ファンへ聴いてほしい楽曲を並べたようなアルバム、といった感じがします。例えばユニークなのが「マイ・ラブ」シリーズと言われる、彼らの故郷について歌った曲を今回フル収録している点。特に「流山マイ・ラブ」は今回、初音源化のようで、まさに待望の音源化となっています。

さらに耳を惹くのが「War」で、1992年のアルバム「アジポン」に収録されている、かなりストレートな反戦曲を今回リテイクされています。1992年は当時、日本が戦争に巻き込まれるとして反対意見が根強かったPKO協力法が成立した年ですので、おそらくそれに触発された曲と思われます。今回、原曲で「50年間も あなたの国は/人を殺さずに きたはずだろうに」という歌詞を「80年間」とリメイクして歌っています。特にここ最近、ウクライナやパレスチナなど戦争が激化している今だからこそ、歌わなくてはいけない曲という強い意志を感じます(ただその一方、「人を殺さずに~」の歌詞を「50年間」から「80年間」にアップデートできたということ、日本人として誇れるのかもしれません)。

もうひとつ大きな特徴として、ロックバンドとしての彼らの実力を強く感じさせるアルバムになっていた、という点でした。特に新曲「IKIGAI」では、いきなりギターのチョッパーからスタートし耳を惹きますし、楽曲自体もレッチリばりのファンキーなミクスチャーロック。歌詞はむしろ、今の爆風スランプのファンの世代の心境に沿った歌詞がユニークなのですが、この中高年の心境を呼んだ歌詞とカッコいいバンドサウンドとのギャップがまた、爆風スランプらしいユニークさを感じます。

今回のアルバム、Disc2が原曲をリマスタリングしただけなのに対して、Disc1では今のメンバーによってリテイクしているそうです。そしてこのリテイクされた音源が、よりバンドサウンドを前に押し出したアレンジとなっており、ロックバンドとしての彼らの実力を聴かせるような演奏となっています。例えば前述の「War」もトライバルな力強いドラムとファンキーなベースラインに惹かれますし、「たいやきやいた」もかなりヘヴィーでメタリックなバンドサウンドが印象的となっています。

爆風スランプというと、特に「Runner」のヒット後に関しては、「ポップなヒット曲を歌うバンド」というイメージが強く、一般的にロックバンドとしての印象は薄くなってしまっているのですが、このアルバムを聴くと間違いなくロックバンドとしての実力を実感できる演奏を聴かせてくれています。昨年、私も彼らの再結成ツアーに足を運んだのですが、そのステージでも彼らのバンドとしての実力を強く感じました。今回のベストアルバムでは、そんな彼らのロックバンドとしての矜持を強く感じましたし、今回、あえてこれらの曲をリテイクした意図はそこだったのかもしれません。

そんな訳で、再結成後のベストにありがちな、初心者に向けたベストアルバム、というよりもむしろ、かつてのファンにむけて、今、爆風スランプとして伝えたい曲を収録したベストアルバム。また、ロックバンドとしての爆風スランプの実力も再認識できた作品でした。さて、再結成ツアーも終わった彼ら、今後は本格的に活動を再開するのでしょうか。公式サイトを見ても、現時点では昨年末以来、新たなニュースは出ていないようなので、ちょっと気になるのですが・・・。リテイクの曲を聴く限り、バンドとしての状況は悪くないようですので、次はオリジナルアルバムを期待したいのですが。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

TB DJ REMIXES/tofubeats

Tbdk

tofubeatsの初期の作品から最新のEPの作品まで、広く網羅したリミックス作品集。これらの曲は実際に彼のライブやDJの現場でプレイしていた曲をまとめたそうで、そのため、フロア対応な曲が入っており、ダンサナブルな楽曲を素直に楽しめるような作品が並んでいます。確かに、こういった楽曲がライブやクラブで流れていたら、何も考えず身体が動きそう・・・と思う一方、ポップなメロディーラインやところどころに感じられるユーモアセンスが聴いているだけで楽しくなってしまうような作品に。tofubeatsのライブに足を運びたくなってくるような、そんなアルバムでした。

評価:★★★★★

tofubeats 過去の作品
Don't Stop The Music
ディスコの神様
First Album
STAKEHOLDER
POSITIVE
POSITIVE instrumental

POSITIVE REMIXS
FANTASY CLUB
RUN
TBEP
RUN REMIXES
REFLECTION
NOBODY

For Prayers/ZIGGY

昨年末、ZIGGYに関してはショッキングなニュースが入ってきました。森重樹一が事務所との契約を突然解除。ライブを含めて活動休止という事態になりました。なんでも彼は極度の被害妄想、強迫性障害の状況にあるということで、活動が出来ない状況のよう。過去からアルコール依存であることも告白しており、今後の彼の健康状況が気になるところです。

このニュースが驚いたのは、ZIGGYとしての活動はむしろここ最近、かなり活発な状況だったから。特にここ最近は積極的なリリースも相次いでおり、かつアルバムの内容としても充実した内容となっています。本作も前作からわずか1年というインターバルでリリースされたニューアルバム。内容的にはかなりダイナミックなハードロック。正直、目新しくもなく、ある意味、ベタなハードロックという感もあるのですが、楽曲としては勢いもありインパクトも十分。なによりも森重樹一のロックへの率直な愛情を感じさせる作品になっています。これが健康状況が悪化している中で作られたというのが信じられないくらい・・・。今後の森重樹一の動向には非常に気にかかるところなのですが、適切な治療を受けて、復帰できるように期待したいところ。ただ、無理はしないようにも願いたいところなのですが。

評価:★★★★★

ZIGGY 過去の作品
SINGLE COLLECTION
2017
ROCK SHOW
HOT LIPS
SDR
SO BAD,IT'S REAL
THE LATEST BEST

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2025年4月12日 (土)

天才音楽家の人生がレゴムービーに!

今回は最近見た、音楽関連の映画の紹介・感想です。今回見てきた映画は「ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース」です。

プロデューサーチーム、ザ・ネピュチューンズのメンバーとして数多くのヒット作を飛ばし、さらには自らもN.E.R.Dのメンバーとしても活動。さらに2014年に発表した「Happy」が世界規模での大ヒット作となり、日本でも大きな話題となったミュージシャン、ファレル・ウィリアムス。その彼の人生を追ったドキュメンタリー映画なのですが、その映像手法が、なんとレゴを使ったアニメーション。ファレル・ウィリアムスの人生が、まさかの「レゴムービー」化!ということで大きな話題となっています。

最初、「レゴムービー」ということで、ファレル・ウィリアムスを人生をレゴでアニメ化したノンフィクションの「物語」と思っていました。ただ、実際に見ると、映画はノンフィクションの「物語」ではなく、完全に「ドキュメンタリー」。この手のドキュメンタリー映画でありがちな、関連する人物のインタビュー映像をつなぎあわせる手法の映画。ファレル本人はもちろんのこと、彼の奥さんや両親、ネプチューンズの盟友、チャドに、スヌープ・ドッグやケンドリック・ラマーなどという著名なメンバーも全員、レゴブロックの人形となってインタビューに応じています。

この「レゴムービー」という手法、非常にユニークな試みだったのですが、本作の中で、実は非常にマッチしているように感じました。この手のドキュメンタリー映画は、よく関係者のバストアップのインタビュー映像と、一部当時の映像をつなぎ合わせて作られる手法がほとんどです。そのため、「絵」としてかなり長いシーンが関係者のインタビュー映像となってしまう場合が多く、時として非常に退屈な絵が続く場合も少なくありません。

その点本作は、レゴによるアニメという手法を使っているため、インタビューの時も、本人の映像が流れるわけではなく、インタビューの内容に沿った、ファレルのアニメが展開されていきます。そのため、インタビューの時もファレルの人生の物語が続いていくことになります。さらにレゴムービーでよかったのは、ファレルの内面を、レゴをつかって映像化することができている点。特に序盤、音楽が、ファレルにとっては非常に鮮やかな色に見せてくるという証言を、レゴを使いうまく映像化しており、ファレルの見えている世界を追体験することができる点、この映画の大きなポイントだったように感じます。

そのため、ドキュメンタリー映画でありつつも、ファレル本人の人生を追った、ノンフィクションのアニメムービーとしても楽しむことができる作品ともなっていました。物語の構成としても、ファレルの幼少期の出来事から、ミュージシャンとしての成功談、さらに成功に至ったからこそのファレルの苦悩、そしてその苦悩を乗り越えた先の「ハッピー」の大ヒット・・・と、起承転結がうまく構成されているサクセスストーリーとして仕上がっており、ちょっとベタな部分はあるのですが、ひとつの物語として、おそらくファレルのことを詳しく知らなくても(といっても「ハッピー」が世界的にヒットした、という事実くらいは知っていた方がいいとは思いますが)楽しめる内容となっていました。

一方、若干物足りなさを感じた点は、終始、レゴムービーによって構成されているため、本人の映像が全く流れない、という点。ノンフィクションをアニメ化した場合、一部だけ実写化する、ということはよくある手法なのですが、本作はレゴ化を徹底しており、本人たちの映像は一切登場しませんし、実写のMVも流れません。レゴムービーということで仕方ないのですが、最後まで本人たちも登場せずMVも流れないため、若干、欲求不満にも感じました。

また、これもレゴムービー化ということで仕方ないのでしょうが、特に人物についてはみんな同じレゴの人形の造形のため、顔のパーツや髪型で区分しているものの、やはりいまひとつ見分けがつきにくい点。短髪キャラは髪型で区別がつきにくいため、見分けるのが難しいですし、主人公のファレルは映画が進む中で成長に従い造形も変化しているため、場面によっては若干混乱します。この点はレゴムービーとして仕方ない部分なのですが、若干のマイナス点に感じました。

あと、映画本編に関係ない余談ですが、この映画、途中、NIGOがインタビューイーとして登場します。このシーンだけ突然日本語が登場してくる(当然、日本語字幕はついていません)のですが、ずっと映画が続く中、突然日本語が登場してくると、頭が切り替わらず、最初、聞き取れないんですね。ちょっとおもしろい発見でした。

そんな気になる点もあるのですが、総じて、非常に楽しめたドキュメンタリー映画でした。私自身、それほどファレルの曲に詳しいわけではないのですが、それでも聞いたことある曲は少なくなく、懐かしさを感じつつ楽しめましたし、彼が手掛けた「ハッピー」が、かつて世界的な大ヒットを記録した、程度の予備知識があった方がよいとは思うのですが、ファレルのことをほとんど知らなくても、ひとりの天才音楽家のサクセスストーリーとして楽しめる内容になっていました。音楽ドキュメンタリーとしてもよくできていながら、広い層が気軽に楽しめる、そんな映画でした。

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2025年4月11日 (金)

アイスランドの廃工場で製作

Title:Waiting Room
Musician:Kathryn Mohr

Waitingroom

今回紹介するのは、アメリカ・オークランドを拠点に活動する女性シンガーソングライターの最新作。「キャサリン・モア」と読むようです。2020年にアルバム「As If」でデビューし、本作が3枚目のアルバムとなるようです。

本作は、基本的にアレンジはギター1本。そのギターが静かな音色を奏でつつ、そこに彼女のローファイ気味なボーカルが乗るスタイル。ジャンル的にはアンビエントフォークと呼ばれるジャンルの音楽で、かなり不気味な雰囲気が漂います。1曲目「Diver」も、ギターには微妙にノイズが加わり、彼女のウィスパー気味なボーカルがのると、なんとも言えない不気味なファンタジーといった様相の味わいに。続く「Rated」「Driven」ではボーカルにエフェクトが加わっており、不気味さが増し、かつサイケな様相の作品に仕上がっています。

このアルバム、なんでもアイスランド東部の廃工場の塀の中で1ヶ月かけて録音が行われたとか。工場の雰囲気、というのはダイレクトには伝わってきませんが、どこかヒヤッとしたサウンドの色合いは、そんな廃工場の雰囲気がアルバムに反映されたのでしょうか。アルバムの特に前半は、静かなギターの音色と、ウィスパー気味のボーカルというスタイルのフォーキーな作品が並んでいるのですが、この退廃的な不気味さは、どこか森田童子を彷彿とすらさせました。

ただ、サウンド的には基本的に用いている楽器はギターのみと思われるのですが、徐々に変化があり、「Take It」はノイジーなギターでゆっくりと聴かせるグランジ系のギターロック色が出ている楽曲に。さらに「Elevator」では歪んだギターノイズを前面に押し出しており、むしろシューゲイザーあたりの影響も感じさせる作品に。「Prove It」では、このアルバムでは珍しくピアノを取り入れたナンバーとなっていますし、最後を締めくくる「Waiting Room」もシンセも取り入れた不気味ながらもドリーミーな作品にまとめています。

どこまで行っても不気味で、廃工場の闇の中から響き渡るようなギターのサウンドと、そんな闇の中での光のような彼女のウィスパー気味のボーカルという対比がおもしろいアルバム。非常に癖の強いアルバムであることは間違いないのですが、独特な雰囲気が癖になるような作品です。

評価:★★★★★

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2025年4月10日 (木)

今週は和製K-POPグループが1位獲得

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週はアイドル系が1位獲得です。

今週1位を獲得したのは男性アイドルグループJO1のベストアルバム「BE CLASSIC」が獲得。CD販売数及びダウンロード数1位、ストリーミング数6位。韓国のオーディション番組「PRODECE101」の日本版「PRODUCE 101 JAPAN」出身のアイドルグループ。オリコン週間アルバムランキングでも初動売上29万枚で1位初登場。直近のオリジナルアルバム「EQUINOX」の初動22万5千枚(1位)からアップ。

2位はMrs.GREEN APPLE「ANTENNA」が先週からワンランクダウン。ただし、ストリーミング数は先週から変わらず1位をキープ。また、3位には「Attitude」が先週と同順位をキープ。こちらはストリーミング数が3位から2位にアップ。2位3位にMrs.GREEN APPLEが並びました。これで「ANTENNA」は通算29週目のベスト10ヒット&通算19週目のベスト3ヒット、「Attitude」は通算17週目のベスト10ヒット&通算11週目のベスト10ヒットとなります。

今週は1位以外に初登場盤はなし。4位以下もロングヒット盤が並びます。まずVaundyは6位「strobo」、8位「replica」と先週と同順位。それぞれ通算17週目、通算20週目のベスト10ヒットに。Number_i「No.I」も先週と変わらず7位。こちらは通算19週目のベスト10ヒットになりました。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

Heatseekers SongsはCANDY TUNE「倍倍FIGHT!」が先週の2位からランクアップし、2週ぶり3週目の1位獲得となりました。動画再生回数では20位にランクイン。Hot100では65位にランクインしています。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

今週のボカロチャートはいよわ「わすれモノ」が初登場でランクイン。軽快なジャズテイストのピアノで爽やかに聴かせるナンバー。

今週のHot Albums&Heatseekers&ボカロチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2025年4月 9日 (水)

新人グループが1位獲得

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週は新人アイドルグループが1位を獲得です。

今週1位はHANAのメジャーデビューシングル「ROSE」が獲得。SKY-HIが代表取締役をつとめるプロダクションBMSGとラッパーのちゃんみなによるガールズグループオーディション「No No Girls」から誕生して7人組女性アイドルグループ。ダウンロード数、ストリーミング数2位、動画再生回数1位、ラジオオンエア数17位を記録し、総合順位でも1位を獲得しています。

2位はMrs.GREEN APPLE「ライラック」が先週と同順位をキープ。ストリーミング数は9週連続、カラオケ歌唱回数は13週連続の1位をキープ。これで51週連続のベスト10ヒット&通算37週目のベスト3ヒットとなっています。

さらに今週、Mrs.GREEN APPLEは新曲「クスシキ」が6位にランクイン。ダウンロード数1位、ストリーミング数14位、動画再生回数4位。日テレ系アニメ「薬屋のひとりごと」オープニングテーマ。こちらも今後はロングヒットにつながるのでしょうか?他にも「ダーリン」が4位から5位にダウン、「ケセラセラ」が5位から8位にダウン、「Soranji」が8位から10位にダウンといずれもダウンしていますが、今週は5曲同時ランクインを記録。「ダーリン」は11週連続、「ケセラセラ」は通算40週目、「Soranji」は通算10週目のベスト10ヒットとなっています。

3位は女性アイドルグループAKB48「まさかのConfession」が初登場。CD販売数1位。オリコン週間シングルランキングでも初動売上37万1千枚で1位初登場。前作「恋、詰んじゃった」の書道29万5千枚(1位)からアップ。

7位初登場はSHOW-WA「外せないピンキーリング」。CD販売数2位。昭和歌謡曲をテーマとする秋元康プロデュースによる男性アイドルグループ。女性アイドルグループだと、秋元康プロデュースはもう売れないし、そもそも秋元康がストリーミングや動画再生サイト主導で曲をヒットさせるノウハウを持っていないから、純烈は年配者相手にCDで売れているみたいだからそちらの路線で、といった感じでしょうか。オリコンでは初動売上6万2千枚で2位初登場。前作「君の王子様」の初動3万9千枚(2位)からアップ。

そのほかのロングヒット曲では、まず米津玄師「BOW AND ARROW」が先週の7位から9位にダウン。ダウンロード数が5位から8位、ストリーミング数が8位から9位、動画再生回数も5位から7位と全体的に下落傾向ですが、ベスト10ヒットは今週で通算9週目となります。

一方、ロゼ&ブルーノ・マーズ「APT.」は今週6位から11位にダウンし、ついにベスト10から陥落。ベスト10ヒットは連続23週でストップとなりました。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heatseekers&ボカロチャート!

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2025年4月 8日 (火)

エレクトロダンスに寄った3枚目

Title:EUSEXUA
Musician:FKA Twigs

アルバムをリリースする毎に高い評価を受けて大きな話題となるイギリスのシンガーソングライター、FKA Twigs。2022年にリリースした「Caprisongs」はミックステープという扱いでしたので、純粋なオリジナルアルバムとしては2019年にリリースされた「Magdalene」以来、実に約4年2か月ぶりとなるニューアルバムとなります。

アルバムは、タイトルチューンである「EUSEXUA」からスタート。この聴きなれない単語は、多幸感を意味する「Euphoria」に「Sex」を混ぜ合わせた造語だそうですが、まずはこのMVが目を惹きます。

スーツ姿の人たちが切れの良いダンスを踊る姿はかつてのWORLD ORDER、途中から、坊主姿の全裸の男性が奇妙なダンスを踊る姿は山海塾を彷彿とさせますが、セクシーでありながらも同時に中性的というのが非常に不思議な感覚を覚えるダンスが印象的。特にFKA Twigsは、ボーカルはキュートで、際どいポーズを繰り広げつつも、一方では女性性を拒否するかのような井出たちで踊りまくる非常にインパクトのあるMVとなっています。

この楽曲は、UKガラージの影響を強く受けたエレクトロのダンスチューンとなっているのですが、今回のアルバムは全体的に4つ打ちのエレクトロサウンドを聴かせるダンスチューン寄りのアルバムに仕上がっています。他にも同じくUKガレージ風のポップなエレクトロダンスチューン「Perfect Stranger」、メタリックなビートを前に押し出した「Drums of Death」、疾走感あるトランス風のダンスチューン「Room Of Fools」と続いていきます。途中、ハイトーンボイスでメロウに聴かせる、幻想的な「Keep It,Hold It」のような曲を挟みつつ、全体的にはダンストラックが目立つ構成となっています。

そして、後半のハイライト的なのが「Childlike Things」。軽快でリズミカルな4つ打ちエレクトロチューンなのですが、かなりキュートでポップな楽曲で、ちょっとコミカルな親しみやすいナンバーとなっています。この曲、かのカニエ・ウェストの娘、ノース・ウェストがゲストとして参加。なんと彼女が日本語でのラップを披露しています。

そんな軽快なインパクトあるダンスチューンが続きつつ、ラストはチルアウト的なミディアムチューン「24hr Dog」、そしてラストは彼女のボーカルをしっかりと聴かせるスケール感あるR&Bチューン「Wanderlust」で締めくくり。最後はほどよい余韻を残しアルバムを締めくくる構成となっています。

今回も実に見事な傑作アルバム。エレクトロサウンドを多彩に取り込んだサウンドで、時にはバリバリのダンスチューンに、時にはポップなメロディーをのせ、最後にはスケール感のあるR&Bを聴かせる展開。最初から最後まで耳を離せませんし、挑戦的でありつつもポップな作風は、広い層の支持を集めそうなインパクトも十分あります。挑戦心とポピュラリティーを両立させた、ある意味、理想的なポップアルバム。今回も高い評価を得ているようですが、間違いなく本年度のベスト盤候補でしょう。彼女の実力をまざまざと見せつけられた作品でした。

評価:★★★★★

FKA Twigs 過去の作品
LP1
MAGDALENE
CAPRISONGS


ほかに聴いたアルバム

Missionary/Snoop Dogg

デビュー作である「Doggystyle」以来、実に30年ぶりにDr.Dreとタッグを組んだことでも話題となったスヌープ・ドッグのニューアルバム。最近は猫も杓子もトラップ由来のビートばかりのHIP HOPの中で、懐かしさすら感じさせるウェストコーストHIP HOPのサウンドを貫いたアルバムとなっており、スヌープ・ドッグらしいというか、Dr.Dreらしさを感じさせるアルバム。これを懐かしく感じるのは私の年齢ゆえかもしれませんが、素直にカッコよい!と感じさせるアルバムになっています。ただ、最近、スヌープ・ドッグがトランプ大統領を支持する発言をしているのは、非常に残念ではあるのですが・・・。

評価:★★★★★

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2025年4月 7日 (月)

原点回帰的な4作目

Title:PRISM(2024 Remaster)
Musician:谷村有美

谷村有美の過去作リマスターの第4弾。本作は1990年にリリースされた彼女4枚目のオリジナルアルバムとなります。前作「Hear」で、初のベスト10ヒットを記録した彼女でしたが、今回のアルバムは最高位4位にランクアップ。さらなる飛躍を見せたアルバムで、いわばこれ以降は谷村有美の全盛期ということになるのでしょうか。今回のアルバムでは10曲中5曲が谷村有美作曲、残り5曲は西脇辰弥が作曲。作詞は2曲を戸沢暢美が担当し、残りは谷村有美が手掛け、編曲はすべて西脇辰弥が担当するという内容に。結果として、この3名のみが制作には参加したアルバムということになっています。

さて、今回のリマスターで彼女のアルバムをリリース順に4作目まで聴いてきました。彼女のアルバムはデビュー作「Believe In」はAORの色合いが強いアルバムでしたが、徐々にポップ色にシフトしつつ、前作「Hear」では80年代最後の作品でありながらも、後に「90年代っぽい」と言われるようなポップ色の強い作品に仕上がっていました。それだけに今回のアルバムもポップス色、それも「ガールズポップ」と言わえっるような作品に仕上がってくるのかと思いきや、意外や意外、今回は再びAORの色合いの強い作品に回帰したアルバムとなっていました。

アルバム冒頭を飾る「BLUEじゃいられない」は、今となってはちょっとチープさと共に懐かしさを感じさせる打ち込みのリズムが印象的なナンバーですが、こちらはリズミカルでAORな色合いが強い作品。続く「6月の雨」も彼女のハイトーンなクリスタルボイスが魅力的なAORのテイストの強く作品になっています。

「友達でいい」も哀愁たっぷりのサックスからスタート。タイトルから想像できるような片想いの切ない楽曲なのですが、メロウな雰囲気のシティポップ的な作品に。「ラッシュ・アワーのアダムとイヴ」も、メロウなストリングスが入り、タイトル通り都会を舞台としたラブソングが、まさに文字通りのシティポップな内容に仕上がっています。ご存じの通り、谷村有美といえば、特にアイドル冬の時代と言われた90年代に、ちょうどアイドルとシンガーソングライターの中間あたりを狙ったような売り方をしたシンガーでした。前作まででその方向性を突き進むのか、と思いきや、今回のアルバムはグッと都会的で大人なナンバーにシフトしています。もともとデビュー作がAOR、シティポップを志向したような作品でしたので、今回のアルバムはいわば原点回帰的な作品に仕上がったということなのでしょう。

そして今回のアルバムでもうひとつ印象に残ったのはそのリズムでした。まず「黄昏のシルエット」。こちらもメロウに聴かせるシティポップな楽曲なのですが、こちらちょっとラテンの雰囲気のあるパーカッションのリズムが印象的。ギターの音色にはブラジル音楽っぽさを感じますし、全体的にラテンやブラジル音楽の要素が含まれている点がユニーク。さらに「シンデレラの勇気」は打ち込みのビートが前面に押し出されているのが耳に残ります。こちらも今となってはちょっと時代を感じさせるのですが、ちょっとクラブ志向を感じさせるリズムトラックに耳が行きます。さらに「つばめに逢える頃に」のパーカッションはちょっとトライバルな要素も。基本的にメランコリックな歌を聴かせるナンバーなのですが、遠い南の国からの渡り鳥のつばめと、エキゾチックなパーカッションをリンクさせたのでしょうか。

このように挑戦的とも言えるリズムを取り入れたのも印象的な今回のアルバム。作詞作曲を手掛けた作家陣がわずか3名のみ、さらにはアレンジはすべて西脇辰弥が手掛けたということもあり、このような嗜好を取り入れることが出来たのでしょうか。原点回帰と同時に、新たな試みも感じさせる作品でした。

前作でチャートベスト10入りとブレイクしたからこそ、このようなアルバムを作れたのかもしれません。このままポップ路線か、と思いきや意外な展開を見せた4枚目でした。ちなみにリマスター版収録の新録では「ひとつぶの涙」を収録。今回もしっかり魅力的なクリスタルボイスを聴かせてくれていますし、こちらもピアノに加えて軽快なパーカッションのリズムが印象的なアレンジに仕上げていました。

評価:★★★★★

谷村有美 過去の作品
タニムラベスト
Believe In(2024 Remaster)
Face(2024 Remaster)
Hear(2024 Remaster)


ほかに聴いたアルバム

G30-Beautiful Harmony 2-/ゴスペラーズ

ゴスペラーズメジャーデビュー30周年を記念してリリースされたカップリング集。25周年の時は「G25-Beautiful Harmony-」と題したシングルコレクションをリリースしていますので、それと対になるようなアルバム。全5枚組というボリューミーな内容で、すべてのシングルのカップリング曲を網羅した内容になっています。

ゴスペラーズというと、デビュー当初はなかなか芽が出ず、その影響か、シングル曲に関しては、彼らが本来志向するソウルやR&Bの曲ではなく、ポップな作品が収録されているのですが、カップリング曲に関してはデビュー当初からソウル/R&Bな曲が並んでおり、こちらこそある意味彼らの「本音」だったことがうかがわせます。そのスタンスはデビュー当初から今に至るまでほとんど変わっておらず、彼らがデビュー当初から今まで、ひとつの音楽をやり続けているというその信念を感じることが出来るカップリング曲集。ライブ音源として代表曲も収録され、他にもカバー曲のメドレーなど、いろいろと聴きどころもたくさん。さすがに5枚組60曲約4時間45分というボリューミーな内容なので、熱心なファン以外にはなかなか進め難いアルバムではあるのですが、それでも彼らの魅力を強く感じられたカップリング曲集でした。

評価:★★★★

ゴスペラーズ 過去の作品
The Gospellers Works
Hurray!
Love Notes II
STEP FOR FIVE
ハモ騒動~The Gospellers Covers~
The Gospellers Now
G20
Soul Renaissance
What The World Needs Now
G25 -Beautiful Harmony-
アカペラ2
The Gospellers Works 2
HERE&NOW
Pearl

自己ベスト-3/小田和正

「自己ベスト-2」から17年ぶりにリリースされた、自身5枚目のベストアルバム。最近リリースされた配信限定のシングル曲を中心に、比較的最近リリースされた曲を中心とした選曲。ただ、基本的に彼は、特にここ最近の楽曲については彼の個性が強い、と言ってしまえばポジティブな表現になるのですが、はっきりいって大いなるマンネリ路線。もちろん、楽曲としてクオリティーが高いのですが、どの曲も似たような曲が並んでいます。そういう意味では安心して聴ける楽曲が並んでいるのは間違いありませんし、逆に、いまさら完全に違う方向の曲を演ってほしい・・・という感じでもないのですが・・・。まあ、良くも悪くもベテランらしい作品といった感じでしょうか。

評価:★★★★

小田和正 過去の作品
自己ベスト2
どーも
小田日和
あの日 あの時
early summer 2022

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2025年4月 6日 (日)

立ち直るきっかけを与えた希望のアルバム

Title:The Bad Fire
Musician:MOGWAI

今年、結成30周年を迎える、スコットランドはグラスゴー出身のポストロックバンドMOGWAIの、約4年ぶりのニューアルバム。前作「As The Love Continues」では、まさかの全英チャート1位を獲得。デビューから20年以上が経過したベテランバンドが、ここに来てブレイクという、予想外の展開となりました。

ただ、バンドとしての大ブレイクは、必ずしもプラスの影響があったわけではなく、メンバーは「『As The Love Continues』をリリースしてハイになった後、その後の数年間は個人的に辛い日々だった。僕たちは、多くの喪失感と向き合ってきた。」と語っており、特にメンバーのバリーは、娘が深刻な病気にかかるなど大変な困難な事態もあったそうです。

しかし、そんな中で行われたレコーディングによって、彼らはそんな困難から立ち直ることになったそうで、「私たちの音楽が人生の困難な時期を乗り越えるのに役立ったという話をよく聞きますが、今回は私たちにも当てはまると思います。」と語っているそうです。ちなみにアルバムタイトルの「The Bad Fire」とは、スコットランドの口語で「地獄」を意味するそうですが、このアルバムはそんな「地獄」から彼らを救った作品と言えるかもしれません。

グラミー賞を受賞したこともあるプロデューサー、John Congletonを迎えてリリースされた今回のアルバムは、まさに彼らが立ち直るきっかけとなったアルバムなだけに、「地獄」と名前のついたアルバムタイトルとは裏腹に、ある種の希望を感じるような作品となっています。1曲目「God Gets You Back」は、タイトルからしてまさに地獄から救い出してくれるような神様というそのままのタイトルなのですが、スペーシーなエレクトロサウンドに明るさを感じさせ、そのサウンドの奥で静かに歌われるメランコリックな歌は、荘厳な神様の声のような希望を感じさせます。

続く「Hi Chaos」「What Kind Of Mix Is This?」はいずれも分厚いギターノイズで覆われたサウンドに、狂おしいほどのメランコリックなメロディーラインが耳に残る切なくも美しいMOGWAIらしい楽曲。中盤のインパクトとなる作品は、これに続く「Fanzine Made Of Flesh」ですが、ダイナミックなギターサウンドにポップなメロディーラインが乗ったオルタナ系ギターロックな作品で、メロやサウンドのインパクトもあり、いい意味でポップな楽曲に。ただ、ボーカルはスペーシーなエフェクトがかかっており、この一ひねりがまたMOGWAIらしいところといった感じでしょうか。

基本的にその後も、ノイジーなギターサウンドをメランコリックに聴かせるナンバーが続いたかと思えば、「18 Volcanoes」のような、ちょっと不気味な感すら覚えるヘヴィーなギターノイズが耳を襲うような楽曲があったり、ダイナミックなバンドサウンドが展開される「Lion Rumpus」のような曲があったり、基本的にはギターの分厚いホワイトノイズをベースとしつつ、そこにメランコリックなフレーズを載せてしんみり聴かせるか、力強いバンドサウンドを加えてダイナミックに聴かせるというMOGWAIのスタイルは大きくは変わりません。

ただ、やはり非常に困難な現状に立ち向かっていた彼らが、このアルバムの作成を通じて立ち直ったという事実を反映するかのように、メランコリックな曲を含めて、楽曲からはどこか明るさやバンドを演ることの楽しさが伝わってきます。そのため、聴き終わった後の後味はとても心地よいものですし、聴いていて素直に楽しめるアルバムになっていたと思います。ポストロックバンドとカテゴライズされることの多い彼らは、ともすれば楽曲が難解にもなりがちなのですが、このアルバムについては、そのような小難しさは一切なく、素直にメランコリックなメロディーやダイナミックなサウンドを楽しめるアルバムになっていました。ちなみにチャート的には全英チャートで5位を記録し、前作に引き続きのヒットを記録。これが今後のバンドにどのような影響を与えるのかわかりませんが・・・ただ、比較的広い層に支持されるのも納得の、いい意味で「ポップ」な傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

MOGWAI 過去の作品
The Hawk Is Howling
HARDCORE WILL NEVER DIE,BUT YOU WILL
Live at All Tomorrow's Parties,9th April 2000
Earth Division EP
Rave Tapes
Les Revenants
CENTRAL BELTERS
ATOMIC
Every Country's Sun
KIN
As The Love Continues


ほかに聴いたアルバム

SOS Deluxe:LANA/SZA

Lana

2022年にリリースされ、大ヒットを記録し、高い評価を得たアルバム「SOS」。今回は同作に曲を追加したデラックスアルバム。オリジナルが23曲1時間8分という長さだったのに対して、本作は曲数が42曲まで増え、それに伴い、2時間4分というかなりボリューミーな作品に仕上がっていました。オリジナルでも楽曲のバラエティーが多く、統一感に若干欠ける印象があったのですが、デラックス盤では42曲まで増えたことにより、楽曲はさらにバラバラに。ただ、ここまでくると、逆にバラバラだったからこそ、最後までダレることなく楽しめるアルバムになっていたようにも思います。彼女の実力をしっかりと感じられる作品でした。

評価:★★★★★

SZA 過去の作品
Ctrl
SOS

DeBÍ TiRAR MáS FOToS/Bad Bunny

Deb-tirar-ms-fotos

今、アメリカを中心に世界中で圧倒的な人気を誇るプエルトリコ出身のラッパー、Bad Bunnyのニューアルバム。スペイン語によるアルバムで、主にヒスパニック系を中心に人気を集めているため、日本での人気、知名度は世界での人気に比べると今一つなのですが、ただ、強いビートによるリズミカルなトラックや、哀愁感たっぷりのフロウは確かに魅力的で、歌詞の内容がわからなくても耳を惹かれるものがあり、高い人気なのも納得感があります。リズミカルなトラックに、ポップなメロからリズミカルなラップ、ほどよく女性のゲストボーカルなども加わり、いい意味でポップで聴きやすいアルバムでした。

評価:★★★★

Bad Bunny 過去の作品
YHLQMDLG
Un Verano Sin Ti

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2025年4月 5日 (土)

クラウドファンディングでリリースされた初のフルアルバム

Title:猫十色
Musician:にゃんぞぬデシ

奇妙な名前がなかなか謎めいているのですが、女性シンガーソングライター、にゃんぞぬデシの新作。2016年に17歳という若さでミニアルバム「はじめまして。17歳です。ハッピーエンド建設中。」をリリース。その当時は大きな話題となり、また私も2016年の年間私的ベストアルバムで6位にあげるなど、かなりお気に入りのアルバムでした。ただ、残念ながら売上面では伸び悩んだようで、デビューから約9年を経て、本作が初となるオリジナルフルアルバム。さらにCDリリースにクラウドファンディングを用いるなど、なかなか厳しい状況となっているようです。

ちなみにこの「にゃんぞぬデシ」という奇妙な名前は、彼女の飼い猫だった「にゃんぞう」の弟子という意味でつけられたそうで、今回のアルバムタイトルも「猫十色」。そのまま猫について歌った「ネコの原理」という曲もあり、その愛猫家ぶりがうかがえます。

さて、そんな彼女の特徴は、特にデビュー時において17歳というとビックリしそうな老成したようなブルージーな楽曲と哀愁感ただよう歌詞でした。まずサウンド的には、前作においてもブルージーな要素は薄れていますが、今回の楽曲においても同じく、ブルージーな要素はかなり薄め。ただその一方、以前に比べて楽曲のバラエティーが増しており、その点では彼女の新たな一歩を感じさせます。

例えば「人生は一度きりらしい」ではエレピやホーンセッションも入ってスケール感のあるポップスに仕上げていますし、前述の「ネコの原理」はファンキーなギターとホーンが魅力的。「神様に秘密」はシンプルなカントリー風なアレンジに仕上げていますし、「サヨナラは緑色」もピアノでしんみり歌い上げるバラードナンバーに。以前からホーンセッションの入った軽快なポップチューンも聴かせてくれていましたが、楽曲によってはよりスケール感が増し、ポップスとしてのインパクトが増したように感じます。

一方で老成したような哀愁感ある歌詞の世界は本作でも健在。特に印象的だったのは「雨はきらい。」の一節で

「雨はきらい。
傘を持たなきゃいけないから。
ならば、好きな人に持ってもらえばいい。
そんなこと言うならあなたが持ってよ」
(「雨はきらい。」より 作詞 にゃんぞぬデシ)

というフレーズ。婉曲的な表現で「あなたが好き」と伝える切ない片思いのラブソングで、その切ない表現を含めて、耳に残ります。また、別れた恋人とのことを描写した「まぼろし」も夜中のコンビニを含め、かつての恋人同士の風景が目に浮かぶような描写が見事。同じく失恋を歌った切ないラブソング「涙バスルーム」も、同じくバスルームという場所を失恋と上手く結び付けており、印象的なラブソングに仕上がっています。

バラエティーに富んでいるとはいえ、サウンドにしろメロディーラインにしろ基本的にはシンプル。また、アイテムを上手く使った歌詞の描写も見事。デビュー時に感じた魅力は変わっていません。今回のアルバム、クラウドファンディングという形態でのリリースとなりましたが、個人的にはもっともっと注目されて売れてもいいミュージシャンだと思うのですが。切ないラブソングを聴きたい方には是非ともおすすめしたいシンガーソングライターです。

評価:★★★★★

にゃんぞぬデシ 過去の作品
はじめまして。17歳です。ハッピーエンド建設中。
魔法が使えたみたいだった


ほかに聴いたアルバム

Sorry Not Sorry/WANIMA

WANIMAの新作は6曲入りのEP盤。「爛々ラプソディ」は実写ドラマ版「【推しの子】」第6話主題歌に起用されており、正直、【推しの子】とWANIMAの組み合わせはかなり意外な感じが・・・。基本的にヘヴィーでパンキッシュな勢いのあるバンドサウンドで押しまくるようなWANIMAの楽曲は本作も健在で、ジャケ写のルックスも含めて、不良然とした感がありつつも、メロは意外とポップで耳なじみやすいというスタイルが、注目される要素なのでしょう。

評価:★★★★

WANIMA 過去の作品
Are You Coming?
Everybody!!
COMINATCHA!!
Cheddar Flavor
Fresh Cheese Delivery
愛彌々(MONGOL800×WANIMA)
Catch Up
愛彌々2(MOGOL800×WANIMA)

LINK/ユッコ・ミラー feat.H ZETTORIO

ジャズ・サックス奏者ユッコ・ミラーの最新作はピアノトリオH ZETTORIOとのコラボアルバム。彼女のサックスの演奏にH ZETTORIOのプレイが重なるスタイルですが、H ZETTORIOの演奏につられるようにユッコ・ミラーのサックスもいつも以上にアグレッシブでカッコいい!前作「Ambivalent」は悪い意味でポップに寄り過ぎたアルバムになっていましたが、今回は迫力ある彼女のサックスのプレイが非常にカッコ良く、アップテンポな曲ではH ZETTORIOの緊迫感あるコラボプレイを楽しめる一方、ミディアムテンポな曲ではムーディーなピアノとあわせるかのような感情たっぷりのサックスを聴かせる作品に。H ZETTORIOが見事にユッコ・ミラーの魅力を引き出している、そんなアルバムでした。

評価:★★★★★

ユッコ・ミラー 過去の作品
SAXONIC
Kind Of Pink
Ambivalent

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2025年4月 4日 (金)

今だからこそ聴かれるべきコンピレーションアルバム

Title:TRA​И​Ƨ​A

Transa

今回紹介するのは、医療への平等なアクセスを通じの多様性の促進を、主にポップカルチャーにより図ることを目的とした非営利団体、Red Hot Organizationによるコンピレーションアルバム。トランスジェンダーへの意識向上や権利拡大を目的としたアルバムで、ノンバイナリーやトランスジェンダーをたたえる曲、全46曲が8枚のアルバムに収録されており、実に100組を超えるミュージシャンたちが参加したかなりボリューミーで豪華なアルバムとなっています。

参加ミュージシャンは主にサブカルチャーのフィールドからのミュージシャンがメインですが、かなり豪華な面子も顔をそろえています。Julian BakerやWilcoのJeff Tweedy、Pefume GeniusやBig ThiefのAdrianne Lenker、さらにはFleet FoxesやSam Smithなどという有名どころも参加。さらにはSadeが約6年ぶりとなる新曲「Young Lion」で参加することも話題となっています。それだけ、このトランスジェンダーに対する意識という点が、ミュージシャンたちにとっては重要な論点であることが伺わせます。

基本的に8枚のアルバムに収録された全8部の構成。1曲目はおそらくトランスジェンダーに関する演説が収録されており、その後は主にアルバム毎にテーマ性をかかげつつ、同じジャンルの曲が並んで収録されています。1枚目はフォーキーな作品がメイン。前述のJeff Tweedy参加の「How Sweet I Roamed」の優しく切ないフォーキーな作品が印象的。2枚目は女性ボーカルのギターポップな作品がメイン。3枚目はドリーミーでサイケな曲が目立ちます。トランスジェンダーとしてのシンガーとしても知られるAnohniが参加した「Is It Cold In The Water?」では美しくも幻想的なファルセットボーカルを聴かせてくれます。4枚目はこちらもドリーミーでサイケな曲がメイン。特にAndre3000が参加した26分にも及ぶアンビエントな大作「Something Is Happening and I May Not Fully Understand But I'm Happy to Stand for the Understanding」は本作のひとつのハイライトとなっています。

5枚目もフォーキーながらも優しい雰囲気の曲がメイン。6枚目のフォーキーながらも明るい雰囲気の曲が多いのは、テーマとして「Awaking」と名付けられ、トランスジェンダーの意識への目覚めを意識した前向きなテーマだからでしょうか。そして7枚目には本作のハイライトのひとつ、Sadeの「Young Lion」が収録。静かで優しい歌声ながらも、ジャジーなサウンドをバックにどこか訴えかけるような緊迫感も覚える楽曲になっています。そしてラストの8枚目はバンドサウンドなども入り、力強さを感じる楽曲。ラストの「Ever New」でSam Smithが参加。明日への希望を感じさせる明るい楽曲となっています。

そんな訳で全46曲3時間50分にも及ぶボリューミーな内容。ただ、実力派揃いの楽曲は、コンピレーションの主張と同様、多様なバリエーションもあって、ボリューミーながらもダレることなく楽しめる内容となっていました。トランスジェンダーへの意識向上という主張とは別に、純粋な音楽のコンピレーションとして楽しめる作品。アルバムの冒頭に演説が入っているのですが、英語なので内容がよくわからないため、それが逆に音楽的に純粋に楽しめる要素にもなっているようにも思います。それが良いのか悪いのかは別として・・・。

一方、ご存じのように、特にアメリカにおいて、現在、この「多様性」という概念が危機に瀕しています。このコンピレーションの企画がスタートしたのが2021年なので、おそらくトランプ大統領の誕生は意識していなかったのでしょうが、結果としてトランプ政権誕生に合わせて本作がリリースされたことは、非常に象徴的な出来事となりました。特に多くのアメリカ企業において、直接的な圧力があった訳でないにも関わらず、多様性への試みを取りやめている企業が相次いでいる事実は、トランスジェンダーをはじめとした多様性への意識が相変わらず低いままであったことを感じさせます。

ただ、個人的にはこの「多様性」という方向性が、今後完全に逆行する、とは考えていません。過去の歴史を振り返ると、人類の歴史というのは様々な人たちの権利を徐々に尊重するように進化しています。その過程において一時的に逆行することはあれど、基本的に完全に昔に戻ることはありません。例えばトランプ政権においても、白人男性をヒエラルキーのトップに据えようとする傲慢さを感じる反面、さすがにその過程で黒人や女性の公民権を取り上げようなどというほどの逆行する発言は行っていません。このように時代が完全に昔に戻るようなことはありえず、どのくらいの期間なのかはわかりませんが、「多様性」に関する意識も、一時的な逆行に過ぎないと考えています。

とはいえ、今回のトランプ政権の制作により虐げられる人たちにとっては、一時的とはいっても決して許容できるものではないでしょう。このコンピで、数多くのミュージシャンたちが、トランスジェンダーの意識向上に対してポジティブな意見を表明していることが、彼ら/彼女らの力になればよいと思いますし、このアルバムを聴くことが、そんな力の一助になればよいと思います。今の時代だからこそ聴くべきコンピレーションアルバムです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Heavy Metal/Cameron Winter

Heavymetal_cameronwinter

アメリカ、ブルックリンの5人組バンドGeeseのフロントマンによるソロアルバム。「Heavy Metal」というアルバムタイトルと反して、アコギやピアノなど、アコースティックな楽器を用いたシンプルでフォーキーな楽曲を聴かせる作品。基本的にドラムレスの楽曲のトラッド志向の楽曲ばかりで、あくまでも彼のボーカル、歌を前に押し出した構成になっており、その歌を聴かせる作品になっていました。

評価:★★★★★

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2025年4月 3日 (木)

1位返り咲き!

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

実に6週ぶりの1位返り咲きとなりました。

1位はMrs.GREEN APPLE「ANTENNA」が先週の2位からランクアップ。実に6週ぶりの1位返り咲きとなります。ストリーミング数は先週に続いての1位。通算28週目のベスト10ヒット&通算18週目のベスト3ヒット。1位獲得は通算4週目となります。また「Attitude」も4位から3位にランクアップ。こちらは3週ぶりのベスト3返り咲き。ストリーミング数は4週連続の3位。通算16週目のベスト10ヒット&通算10週目のベスト3ヒットとなります。

2位はtimelesz「Hello!We're timelesz」が先週の3位から2位にランクアップしています。

4位以下の初登場盤は5位にROF-MAO「MOMENTUM」がランクイン。CD販売数では1位獲得。にじさんじ所属のVTuberユニット。また10位にはJENNIE「ルビー」が先週の12位からランクアップし、初のベスト10入り。韓国の女性アイドル部ループBLACKPINKのメンバーによる、ソロでは初となるフルアルバムとなります。

ロングヒット盤ではまずVaundyが6位に「strobo」、8位に「replica」と先週から同順位をキープ。こちらはそれぞれ通算16週目&通算19週目のベスト10ヒットに。Number_i「No.I」も先週と変わらず7位をキープ。こちらは通算18週目のベスト10ヒットになります。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

今週のHeatseekers Songsでは、Hot Albumsでベスト10入りしてきた韓国のアイドルグループBLACKPINKのメンバー、JENNIE「like JENNIE」が初の1位獲得となりました。Hot100では今週、54位を獲得しています。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

今週1位は雨良 Amala「ダイダイダイダイダイキライ」が先週の2位からランクアップして、初の1位獲得となりました。最近はこういう「罵倒系」の曲が流行りなのでしょうか?

今週のHot Albums&Heatseekers Songs&ボカロチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2025年4月 2日 (水)

女性アイドルグループが1位獲得

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週は秋元康系の女性アイドルグループが1位獲得です。

今週1位は乃木坂46「ネーブルオレンジ」が獲得。CD販売数1位、ダウンロード数9位、ラジオオンエア数13位。オリコン週間シングルランキングでは初動売上48万3千枚で1位初登場。前作「歩道橋」の初動48万4千枚(1位)からほぼ横ばい。

2位はMrs.GREEN APPLE「ライラック」が先週からワンランクダウンでこの位置。ただ、ストリーミング数は8週連続、カラオケ歌唱回数も12週連続の1位を獲得しているほか、動画再生回数も4週ぶりに1位返り咲き。これでベスト10ヒットは50週連続に。ベスト3ヒットも通算36週目のランクインとなっています。

また、Mrs.GREEN APPLEは「ダーリン」が6位から4位にアップ。ストリーミング数は5週連続の3位で、ベスト10ヒットは10週連続に。さらに今週、先週ベスト10圏外にダウンした「ケセラセラ」が11位から5位、「Soranji」が12位から8位に再びアップ。4曲同時のベスト10ヒットとなりました。「ケセラセラ」は通算39週目、「Soranji」は通算9週目のベスト10ヒットとなっています。

3位はサカナクション「怪獣」が先週から同順位をキープ。ストリーミング数は5週連続の2位。ただ、動画再生回数は1位から3位に、ダウンロード数も2位から4位にダウンしています。

続いて4位以下ですが、今週は新曲は1位の乃木坂46のみ。その代わり、ベスト10返り咲きがもう1曲。女性アイドルグループCUTIE STREET「かわいいだけじゃだめですか?」が13位から10位にアップ。2週ぶりのベスト10返り咲きとなっています。カラオケ歌唱回数が8週連続の3位を記録しています。

その他のロングヒット曲は、ロゼ&ブルーノ・マーズ「APT.」が9位から8位にアップ。ただしストリーミング数は4位から6位に、動画再生回数も9位から10位にダウン。これでベスト10ヒットは23週連続に。

また米津玄師「BOW AND ARROW」が先週と変わらず7位をキープ。今週で通算8週目のベスト10ヒットとなっています。テレビ朝日系アニメ「メダリスト」オープニングテーマ。ストリーミング数8位、ダウンロード数5位、動画再生回数5位。2月5日付チャートで4位に初登場した後、3月5日付チャートでは19位までダウン。ただ、その翌週には6位にアップしており、その後は5位⇒7位⇒7位と低位ながらもベスト10をキープしています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heatseekers&ボカロチャート!

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2025年4月 1日 (火)

ジャパニーズ・ソウルを目指して

Title:Zatto
Musician:小袋成彬

シンガーソングライター小袋成彬による、オリジナルアルバムとしては4枚目となる作品。小袋成彬といえば、デビューアルバム「分離派の夏」では、宇多田ヒカルが全面的にプロデュースを担当。そのため大きな話題となり一躍注目を集めました。ただ、その後は宇多田ヒカルの手を離れ、売上的な側面でも減少傾向となっています。

ただし、アルバムとしてはむしろ最近の作品になればなるほど出来がよくなってきているように感じます。以前は様々なスタイルを曲に取り込もうとしてチグハグ感を覚えたのですが、前作「Strides」あたりから小袋成彬らしさが一本の柱としてアルバムの中で感じられるようになり、申し分ない傑作を聴かせてくれるようになりました。今回のアルバムは、その前作「Strides」から約3年3か月ぶりという、ちょっと長いインターバルとなってしまった作品。しかし、出来栄えとしてはおそらく彼の最高傑作とも言える傑作に仕上がっていたように感じます。

今回のアルバムの大きな特徴として、まずは特にイギリスのミュージックシーンで活躍しているミュージシャンが多く参加している点があげられます。彼はここ5年間、ロンドンで生活しているそうで、イギリスのシンガーソングライターSamphaのサポートベーシストRosetta Carr、アフロジャズバンドKokorokoのドラマー、Ayo Salawu、当サイトでも紹介したことのあるアンビエントジャズのミュージシャン、Nala Sinephroのサポートピアニスト、Lyle Bartonが参加。また、こちらは主にアメリカで活動するエンジニアですが、D’Angelo「Voodoo」も手掛けたエンジニアRussell Elevado が参加しているなど、かなり豪華なミュージシャンたちが参加しています。

そして次の特徴として、これはいままでの彼の作品でも特徴的だったのですが、R&Bやソウルをベースに様々なジャンルを取り入れている、という点でした。例えば1曲目を飾る表題曲「Zatto」はリズムセッションでグルーヴィーなリズムを刻みつつ、ホーンセッションやピアノはジャズの要素が強い作品。「Shigure」は、アコギ1本でメロウに聴かせる、ソウルでありつつもフォーキーな要素も強い作品。「Kamifubuki」では、リズムにトライバルな要素を感じさせつつ、ワウワウギターにはファンクやソウルの要素も強い楽曲に仕上がっていますし、「Kagero」は哀愁たっぷりのラテンの楽曲に。ラストを飾る「Hanazakari」も裏打ちのリズムが独特のリズムを刻んでいます。

ただ、この豪華ミュージシャンの参加や様々な音楽性を取り入れた楽曲というのは、いままでの彼でも同様だったと思います。加えて今回のアルバムの大きな特徴となっていたのが、歌謡曲的な要素を取り入れているという点。本人もインタビューの中で、ロンドン在住なゆえに、あえて日本的なものを目指した、といったようなことをコメントしています。「ジャパニーズ・ソウル」という言葉を使っていたりもするのですが、この歌謡曲的な要素がかなり大きな特徴となっており、かつアルバムの大きな柱となっているように感じます。

例えば前述の表題曲「Zatto」は、あくまでも日本語にこだわったようなメロのため、ある種の歌謡曲的にすら感じられるムーディーさを感じますし、特にその要素が強いのは3曲目の「Shiranami」で、むせび泣くようなムーディーなサックスはまさに歌謡曲といった感じですし、歌の節回しも完全に歌謡曲的。「Sayonara」などもこぶしを利かせつつムーディーに歌い上げるスタイルは、ジャパニーズ・ソウルという様相を強く感じます。

この歌謡曲的な方向性は、日本人にとっては若干ベタさに聴こえるマイナス点もありつつ、ただ全体的にはアルバムに統一感を与え、かつ、ロンドンの一流プレイヤーとのコラボにより、洋楽のサウンドと和の要素がほどよく融合し、小袋成彬の個性を作りあげているように感じました。最初にも書いた通り、デビュー以来、方向性が徐々に定まり、アルバムとしてのクオリティーも上がり調子に感じます。彼の最高傑作にも感じられた新譜でした。

評価:★★★★★

小袋成彬 過去の作品
分離派の夏
Piercing
Strides
Strides Remixes


ほかに聴いたアルバム

Purple on Palette/DEPAPEPE

今年、メジャーデビュー20周年を迎えた2人組インストデゥオ、DEPAPEPEのニューアルバム。「器楽曲音楽をポピュラーに」を目標に掲げつつ、正直最近では一時期に比べると人気面では落ち着いてしまった感はあるのですが、いい意味で万人向けの爽やかなギターインスト曲は健在。正直、目新しさは感じられませんが、クオリティー的には以前からほとんど変わりありません。難しいこと抜きに音楽の楽しさが伝わってくるアルバムです。

評価:★★★★

DEPAPEPE 過去の作品
デパクラ~DEPAPEPE PLAYS THE CLASSIC
HOP!SKIP!JUMP!
デパナツ~drive!drive!!drive!!!~
デパフユ~晴れ時どき雪~
Do!
デパクラII~DEPAPEPE PLAYS THE CLASSICS
ONE
Acoustic&Dining
Kiss
DEPAPEPE ALL TIME BEST~COBALT GREEN~
DEPAPEPE ALL TIME BEST~INDIGO BLUE~

COLORS
Seek

Lonely Ghost/土岐麻子

ベスト盤を途中に挟みつつ、オリジナルアルバムとしては約3年ぶりとなる新作。サウンドプロデューサーとしてトウミヨウを迎えた本作は、エレクトロサウンドを主体としつつ、ピアノやアコギといった生楽器も取り入れた、安定感あるシティポップに仕上がっています。また、本人曰く「人間の奇妙な心と、それぞれの特別な人生について愛をもって描いた作品」だそうで、歌詞の方も恋愛模様をバリエーションを持って描いた作品に。全体としてはエレクトロサウンドの影響で、明るい雰囲気のポップアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★

土岐麻子 過去のアルバム
TALKIN'
Summerin'
TOUCH
VOICE~WORKS BEST~
乱反射ガール
BEST! 2004-2011
CASSETTEFUL DAYS~Japanese Pops Covers~
HEARTBREAKIN'
STANDARDS in a sentimental mood ~土岐麻子ジャズを歌う~
Bittersweet
PINK
HIGHLIGHT-The Very Best of Toki Asako-
SAFARI
TOKI CHIC REMIX
PASSION BLUE
HOME TOWN~Cover Songs~
Twilight
Peppermint Time ~20th Anniversary Best~

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