平均年齢67歳!
Title:Sustainable Banquet
Musician:吾妻光良&The Swinging Boppers
日本を代表するジャンプ・ブルースバンド、吾妻光良&The Swinging Boppersの約5年半ぶりのニューアルバム。結成45周年、バンドメンバーの平均年齢が67歳という高齢者バンドの彼ら。メンバーは基本的に他の仕事と兼業している「アマチュアバンド」であるというのも大きな特徴(ただ、吾妻光良は既に会社を定年退職しているようですし、他のメンバーも年齢的にそろそろ退職の時期だと思うのですが・・・)。ある意味、日本でもっとも有名な「アマチュアバンド」かもしれません。
総勢12名、ホーンセッションやピアノもメンバーに加わり、非常に賑やかな彼ら。以前から非常に明るいジャンプブルースやスウィングジャズの楽曲を聴かせてくれるのですが、今回は特に終始明るくハッピーなナンバーが並んでいました。タイトル通り、みんなであつまって明るい宴会風景をそのまま描いたような「打ち上げで待ってるぜ」からスタートし(「ドロン」なんていう、いかにも還暦世代らしい死語も登場したり・・・)、軽快でコミカルながらもシニカルな歌詞も印象的な「俺のカネどこ行った?」、ラストを締めくくる「BIG BUG BOOGIE」も非常に楽しいブギウギのナンバーで締めくくられています。
今回はゲスト勢も目立ち、軽快な「Boogie-Oogie」ではEGO-WRAPPIN'が参加。中納良恵が力強いボーカルを聴かせてくれていますし、ナット・キング・コールの「L-O-V-E」のカバーでは、Leyonaが参加し、爽やかなボーカルで軽快で歌い上げています。
基本的に聴いていて純粋に楽しい、ウキウキするようなJUMP&JIVEの曲が並んでいるのが大きな特徴。平均年齢67歳という年齢を感じさせない力強く、軽快で明るいサウンドが非常に魅力的となっています。ただ、一方、前作と同様、気になるのが歌詞の世界で、年をとった自分たち、今の時代についていけなくなった自分たちを自嘲的につづっています。私自身ももうアラフィフ世代に入ってきており、決して若くないのですが、歌詞にはちょっと違和感を覚えます。なにが違和感なのかなぁ・・・と思ったのですが、自分たちの価値観を自嘲的に描いたように見せつつも、実はどこか今の文化・風潮を下に見ている部分が垣間見れる「老害」的な部分を感じてしまうからのように感じます。
ただ、この点について、前作「Scheduled by the Budget」ではHIP HOPを偏見混じりに取り入れたりして、かなり嫌悪感を覚える部分もあったのですが、今回に関しては、そこまでの嫌悪感はありません。楽曲自体の楽しさがしっかりと先に立った感じがあり、ちょっと違和感がある部分はありつつも、楽曲自体の楽しさをさほど歪めるものにはなっていません。
とはいえ1点だけちょっと気になったのは前述の「俺のカネどこ行った?」で、いろいろとお金を取られて辛い・・・といった歌詞なんですが・・・ただ、吾妻光良って、日本テレビの執行役員まで務めて、子会社の社長まで歴任した、サラリーマンとして列記としたエリートなんですよね・・・正直、その経歴を考えると「お金がない」的な歌詞はちょっと違和感を覚えてしまいました。
そんな部分はありつつも、概ね、非常に楽しめるJUMP&JIVEの楽曲を聴かせてくれていたと思います。平均年齢67歳ですが、年齢的な衰えは全くなく、これからもまだまだ元気な活動が続きそうです。心の底から陽気で楽しい音楽が流れてきたアルバムでした。
評価:★★★★
吾妻光良&The Swinging Boppers 過去の作品
Scheduled by the Budget
ほかに聴いたアルバム
901号室のおばけ/柴田淳
しばじゅんの約4年ぶりとなるニューアルバム。彼女らしい切ないラブソング「綺麗なままで」からはじまり、非常に怖い歌詞がインパクトの「〇〇ちゃん」や、歌謡曲風の「透明な私」など、それなりにバリエーションを出しつつ、ピアノとストリングス主体のサウンドでしんみりメランコリックに聴かせるスタイルはいつもと同様。楽曲として安定感はあるものの、一方で、全体的に無難な感じは否めず、インパクトは薄めか。いい意味で安心して楽しめる彼女らしいアルバムではあるのですが。
評価:★★★★
柴田淳 過去の作品
親愛なる君へ
ゴーストライター
僕たちの未来
COVER 70's
あなたと見た夢 君のいない朝
Billborda Live 2013
The Early Days Selection
バビルサの牙
All Time Request BEST~しばづくし~
私は幸せ
プライニクル
おはこ
蓮の花がひらく時
20th Anniversary Favorites:As Selected By Her Fans
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