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2025年2月

2025年2月28日 (金)

ブギ連流のブルースも

Title:懲役二秒
Musician:ブギ連

日本を代表するブルースバンド、憂歌団のギタリスト、内田勘太郎と、ご存じブルーハーツ、ハイロウズ、クロマニヨンズで活躍した、日本を代表するロックボーカリスト、甲本ヒロトが組んだブルースユニット、ブギ連。2019年にアルバムをリリースし、大きな話題となりましたが、それから5年。待望となる2ndアルバムがリリースされました。

内田勘太郎のアコースティックギターと、甲本ヒロトの奏でるハープ、そしてボーカルのみという小名木も非常にシンプルなスタイルなのですが、やはり前作同様、非常にブルースへの愛情にあふれた作品になっています。タイトル曲になっている「懲役二秒」は、まさに自堕落な主人公をテーマとしたユニークながらも、ブルーススピリッツあふれた作品に仕上がっています。

特にストレートなブルースへの愛情を感じられるのが「49号線のブルース(スリーピーとハミー)」でしょう。「スリーピーとハミー」というサブタイトルでブルースリスナーならピンと来ると思うのですが、カントリー・ブルースの巨匠、スリーピー・ジョン・エスティスと、彼の相棒、ハミー・ハミルトンをテーマとした内容。1976年には来日して、憂歌団とも共演しているのですが、

「ブラウンズビルから東京
そして 旅してまわった
憂歌団と一緒に」
(「49号線のブルース(スリーピーとハミー)」より 作詞 内田勘太郎)

と、ストレートにその時のことも歌にしています。

また、今回のアルバムでも耳を惹いたのが甲本ヒロトの独特の歌詞の世界。かなりシュールな歌詞が印象的で、畑で鯛が取れると歌った、不思議な歌詞が印象的な「畑の鯛」や、サメの歯について歌ったブルースナンバー「痛えで」など、独特な言葉選びが特徴的で、ここらへんは甲本ヒロトのセンスと実力を感じさせると同時に、基本的には王道なブルース路線のブギ連に、一種の「ブギ連らしさ」を与える要素となっています。

「ブギ連らしさ」という点で言えば、王道のブルース路線かと思えば、意外とブルースとは異なる要素も取り入れてきたりするのも面白いところで、例えば印象的なのが「トッポい世界」。基本的にブルースの形式にはまっている曲ではあるのですが、哀愁たっぷりのメロディーラインをムーディーに聴かせる歌謡曲路線。ブルースといっても(ともすれば本場のブルース愛好家が忌避するような)「日本の歌謡曲としてのブルース」の世界を彷彿とさせる曲になっています。

「海の向こう側」も楽曲としては正統派なブルースなのですが、海を舞台とした郷愁感漂う歌詞は日本的。よくよく考えると、シカゴやメンフィスなど内陸部で生まれることの多いブルースで、海というテーマはあまり取り上げらることが少ないように感じます。この海をテーマとしたブルースも、ブギ連らしさと言えるかもしれません。

ブルースへの愛情をたっぷり注ぎながら、一方ではブギ連らしさも加えた今回のアルバム。ブギ連流のブルースはまさにブルースリスナー必聴の傑作アルバムだったと思います。ブギ連としての活動は今後もコンスタントに続けてほしいなぁ。

評価:★★★★★

ブギ連 過去の作品
ブギ連


ほかに聴いたアルバム

essence-25th Anniversary All Time Best-/KOKIA

デビュー25周年を記念してリリースされた2枚組のオールタイムベスト。ただ、2018年には20周年のオールタイムベストをリリースしており、さすがにその間隔は短すぎるのではないかと思うのですが・・・。独特のクリアボイスが幻想的な世界観を作り上げています。若干、一本調子な部分もある感じはするのですが、それでも彼女のボーカルは非常に魅力的で強く惹かれるものが。30曲2時間半というボリューミーな内容ですが、一気に楽しめる作品。とはいえ、さすがに20周年で4枚組のアルバムをリリースしているだけに、KOKIAを知りたいというのなら、そちらのアルバムの方をまずはチェックした方が・・・。評価はその点を含んでのものです。

評価:★★★★

KOKIA 過去の作品
The VOICE
KOKIA∞AKIKO~balance~
Coquillage~The Best Collection II~
REAL WORLD
Musique a la Carte
moment
pieces
心ばかり
Where to go my love?
I Found You
EVOLVE to LOVE-20 years Anniversary BEST-
Tokyo Mermaid
ALIVE-The live history-

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2025年2月27日 (木)

ボカコレ参加曲が一気にランクイン

今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

今週はまずボカロチャートから。今週のボカロチャートは1位から3位がガラリと入れ替わっています。これは、2月21日~24日に開催されたオンライン型イベント「The VOCALOID Collection~2025 Winter~」(通称「ボカコレ2025冬」)の参加曲が一気にランクインしてきた影響です。

まず1位はあばらや「花弁、それにまつわる音声」が初登場でランクイン。「ボカコレ2025冬」TOP100ランキングの優勝作。あばらやは18歳の誕生日を迎えたばかりのボカロP。18歳らしい、ちょっとゆがんだ自意識の中での楽曲への決意を歌った楽曲になっています。

2位のr-906「匙ノ咒」も同じく、「ボカコレ2025冬」TOP100で2位を獲得した曲。エレクトロビートに、ファンタジックで怪しげな世界観が特徴的なナンバー。

3位のひらぎ「マリオネットダンサー」も同じく、「ボカコレ2025冬」のこちらはルーキー部門で1位を獲得した曲。どの曲も耳を惹く曲になっている一方、どこか疎外感をかかえつつ、自己顕示欲の強さも感じさせる歌詞をマイナーコード主体のメロに載せている点、若干、良くも悪くもボカロらしい、と感じるような曲になっています。この中から、明日の米津玄師は誕生するのでしょうか?ちなみに柊マグネタイト「テトリス」は6位にダウン。先週1位のDECO*27「ハローミライfeat.初音ミク」はベスト20圏外までダウンです。


今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週のHot Albums1位は旧ジャニーズ系男性アイドルグループAぇ!group「D.N.A」がランクイン。CD販売数1位。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上24万7千枚で1位初登場。本作がデビュー作となります。

それに続いて2位に食い込んできたのがロックバンドONE OK ROCK「DETOX」がランクイン。CD販売数2位、ダウンロード数1位、ストリーミング数3位。オリコンでは初動売上7万1千枚で2位初登場。前作「Luxury Disease」の初動7万枚(1位)から若干アップしています。

先週までベスト3を独走していたMrs.GREEN APPLEは、今週「ANTENNA」が3位、「Attitude」が4位にダウン。ただ、ストリーミング数は「ANTENNA」が10週連続の1位、「Attitude」が8週連続の2位と変わっておらず、来週以降は再び上位に返り咲きそう。これで「ANTENNA」は通算23週目のベスト10ヒット&通算13週目のベスト3ヒット、「Attitude」は通算11週目のベスト10ヒットとなります。

4位以下の初登場盤は、YZERR「Dark Hero」が先週の11位から10位にアップし、チャートイン2週目にしてベスト10入り。ストリーミング数9位。YZERR(ワイザー)はBAD HOPの元メンバーで、本作がソロでは初のアルバムとなります。

ロングヒット盤ではVaundy「strobo」が先週から変わらず5位をキープ。一方「replica」は7位から6位にアップ。これで「strobo」は通算11週目、「replica」は通算15週目のベスト10ヒット。Number_i「No.I」は6位から8位にダウン。こちらは通算13週目のベスト10ヒット。米津玄師「LOST CORNER」も8位から9位にダウン。こちらは通算16週目のベスト10ヒットとなりました。一方、ロゼ「ロージー」は今週11位にダウン。ベスト10ヒットは通算10週で一度ストップです。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

ボカロチャートでは大きく順位を落とした柊マグネタイト「テトリス」でしたが、Heatseekers Songsでは今週も1位を獲得。これで実に10週連続の1位となりました。動画再生回数は4週連続の7位をキープ。Hot100は37位から36位と、今週も若干上昇しています。

今週のHot Albums&Heatseekers&ボカロチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2025年2月26日 (水)

1位2位には新曲がランクイン

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先週まで4週連続Mrs.GREEN APPLEがベスト3のうち2曲を占めていましたが、今週は1位2位は新曲がランクインしています。

まず1位は秋元康系女性アイドルグループ、櫻坂46「UDAGAWA GENERATION」が初登場。CD販売数1位、ダウンロード数9位、ストリーミング数18位。オリコン週間シングルランキングでも初動売上48万枚で1位初登場。前作「I want tomorrow to come」の初動48万7千枚(1位)からダウン。

そして2位にはサカナクション「怪獣」がランクイン。ダウンロード数1位、ストリーミング数3位、ラジオオンエア数4位、動画再生回数9位。NHKアニメ「チ。-地球の運動について-」オープニングテーマ。話題のアニメ主題歌ということもあって、ダウンロード数、ストリーミング数共に上位にランクイン。今後のロングヒットも期待できます。

で、この2曲に押し出されるようにMrs.GREEN APPLE「ライラック」は今週3位にダウン。とはいえ、ストリーミング数は3週連続、動画再生回数は2週連続、カラオケ歌唱回数は7週連続の1位を獲得。まだまだ強さを感じさせる結果で、来週以降は再び1位に返り咲く可能性も高そう。これで45週連続のベスト10ヒット&通算31週目のベスト3ヒットとなります。

今週もまた、Mrs.GREEN APPLEは5曲同時ランクイン。「ダーリン」はベスト3からは陥落したものの4位をキープ。ストリーミング数が3週連続の2位を獲得しているほか、動画再生回数が3位から2位にアップ。以下、「ケセラセラ」が7位、「ビターバカンス」が8位、「Soranji」が9位と7位から9位にMrs.GREEN APPLEの曲が並んでいます。「ケセラセラ」「ビターバカンス」はそれぞれ先週の6位、7位からダウン。「Soranji」は先週と同順位をキープ。ストリーミング数は「ケセラセラ」が5週連続6位、「ビターバカンス」は2週連続4位、「Soranji」は6位から7位にダウン。これで「ケセラセラ」は通算36週目、「ビターバカンス」は13週連続のベスト10ヒットとなっています。

Mrs.GREEN APPLEが上位に並んだ影響もあって、今週はロングヒットはあと1曲のみ。ロゼ&ブルーノ・マーズ「APT.」が3位からダウンしたものの5位をキープ。ただ、ストリーミング数は3位から5位、動画再生回数も9位から12位にダウン。これで18週連続のベスト10ヒットとなっています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heat Seekers&ボカロチャート!

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2025年2月25日 (火)

なんだかんだいってもFather John Mistyらしい傑作

Title:Mahashmashana
Musician:Father John Misty

毎作、美しいメロディーラインのポップソング、いわゆる「グッドミュージック」と称されるような楽曲を届けてくれるアメリカのシンガーソングライターFather John Mistyの新作。約4年前にリリースされた前作「Chloë and the Next 20th Century」は全英チャート2位となるヒットを記録しました。今回のアルバムは、残念ながら全英チャートでベスト10入りは逃しましたが、最高位12位を記録。スマッシュヒットを記録しています。

今回のアルバムは、まず聴きなれない奇妙なタイトルに目が行きます。「Mahashmashana」とはサンスクリット語で「偉大な火葬場」を意味する言葉だそうで、彼自身、このアルバムについて「自分の作品から自分自身を消すとどうなるかの実験」と称しているそうです。あえてFather John Mistyらしさを火葬場に葬り去ろうという実験なのでしょうか?ただ、火葬が当たり前の私たちと比べて、基本的に土葬なキリスト教徒にとって、火葬のニュアンスが微妙に異なるかもしれませんが。

ただ、その「自分自身を消す」というコンセプトで、あえてFather John Mistyらしさを回避する、という趣旨だからでしょうか、アルバムとして非常にバリエーションに富んだ展開となっています。タイトルチューンである1曲目「Mahashmashna」はバンドサウンドにストリングスやサックスまで加えた非常に分厚いダイナミックな楽曲からスタートしたかと思えば、続く「She Cleans Up」は、マンチェサウンドを彷彿とさせるようなグルーヴィーなバンドサウンドの楽曲。かと思えば、「Josh Tillman and the Accidental Dose」はストリングスを加えつつも、全体的にはブルージーにまとめた作品と、楽曲毎に雰囲気をガラリと変える曲が続き、Father John Mistyらしさという焦点を、あくまでも外すような構成となっています。

その後も、ピアノでフォーキーに聴かせる「Mental Health」や、ストリングスで優雅に聴かせつつ、途中にギターノイズが入り、ダイナミズムに展開する「Screamland」、エレピとストリングスでしんみり聴かせる「Being You」、ホーンセッションが入って軽快なサウンドに、哀愁感たっぷりの歌が印象的な「I Guess Time Just Makes Fools of Us All」に、ラストはオーケストラアレンジでムーディーに聴かせる「Summer's Gone」で締めくくり。全8曲入りと、比較的曲数は少ないものの、全50分というフルアルバムレベルの長さ。様々な作風を曲に取り入れた、バラエティー富んだ展開になっていますが、その分、全体的には分厚いサウンドでしっかりとデコレイトしたような、スケール感ある作品が並んでいました。

そんな訳で、いろいろな楽曲を並べることによって、あえてFather John Mistyらしさを回避したような作品になっていますが、ただ結果として、アルバム全体を通じて聴くと、やはりFather John Mistyらしさにあふれる作品になっている点は否めませんでした。まずやはり、ストリングスをベースとした分厚くポップなアレンジが多かった点。ここらへんのスウィートも称されそうなサウンドについては、実に彼らしいという印象を強く受けます。そしてもう1つは、何よりもFather John Mistyらしいポップなメロが全編で流れている点。このメロディー、歌がやはり最大の大きな魅力となっていました。

全体としてストリングスをつかった重厚でスケール感ある作品が目立ちつつ、やはり今回も美しいポップなメロを楽しめるFather John Mistyらしい傑作アルバムに仕上がっていました。今回も間違いなく、ポップス好き必聴のアルバムです。

評価:★★★★★

Father John Misty 過去の作品
Pure Comedy
God's Favorite Customer
Chloë and the Next 20th Century

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2025年2月24日 (月)

垢ぬけた歌を聴かせつつ、伝統音楽もしっかりとフォロー

Title:Maisha
Musician:The Zawose Queens

Maisha

今回紹介するアルバムも、2024年のベストアルバムとして各種メディアで紹介されたアルバムのうち、未聴だった作品の1枚。今回はMusic Magazine誌の「ワールド・ミュージック部門」で1位を獲得した作品。タンザニアの女性ミュージシャン2人組のユニット、The Zawose Queensです。この2人は、1970年の大阪万博にも来日した、タンザニアの著名なミュージシャン、フクウェ・ザウォセの孫娘と娘からなるユニット。要するに、叔母・姪の関係のユニットだそうです。

まず、この作品で一番耳を惹かれるのが、この2人の美しいコーラスライン。2人とも、高音域を美しく聴かせる清涼感のある歌声を聴かせてくれており、その2人が奏でるハーモニーの美しさが絶妙。作品は基本的にこの2人のハーモニーを軸として成り立っているのですが、爽やかなハーモニーで歌い上げるメロディーは、垢ぬけたものがあり、トライバルなサウンドが流れているものの、アフリカの音楽らしい泥臭さのようなものはありません。そんなこともあり、いい意味でリスナー層を限定しない聴きやすさも大きな魅力に感じます。

アルバムの冒頭を飾る「kuseka」がまさにそんな2人のハーモニーを上手く生かした楽曲に。基本的にはパーカッション主導のシンプルながらも爽やかなアレンジをバックに、ハーモニーを美しく聴かせつつ、時には2人の軽快なやり取りが楽しい作品に仕上がっています。

そして何より大きな魅力なのが、民俗楽器を多彩に織り込んだそのサウンドでしょう。大型の親指ピアノであるイリンバ、弓で弾く弦楽器であるイゼゼ、さらにはンゴマ・ドラムという楽器を用いつつ、さらにはそこにエレクトロサウンドを導入。伝統的でありながらも、明るく軽快で、垢ぬけた感のある「今時」なサウンドを聴かせてくれます。例えばタイトルチューンである「Maisha」などはその典型で、イリンバの音色と彼女たちのコーラスが軽快でポップに聴かせつつ、エレクトロサウンドを取り入れたヘヴィーなリズムも印象的です。

イリンバの音色を幻想的に聴かせ、彼女たちのボーカルを交えてドリーミーに仕上げている「Fahari Yetu」も印象的ですし、エレクトロも大胆に導入したにぎやかなサウンドが楽しい「Mapendo」も印象的。さらに「Muheme」ではドラムのポリリズムのサウンドで、これでもかというほど力強いビートを奏で、トライバルな雰囲気満載の楽曲に。さらにラストを締めくくる「Chidodo」では、彼女たちと同じくタンザニアのバンドであるWamwiduka Bandが参加。ドラムやパーカッションのサウンドや、彼女たちとWamwiduka Bandのメンバーとの掛け合いで、トライバルな雰囲気のリズミカルで賑やかな空間を作り出しています。こちらはライブで聴くと、軽くトリップできそう・・・。

このように、ポップなメロや爽やかなコーラスであか抜けた雰囲気を醸し出しつつ、しっかりタンザニアの音楽を取り入れたトライバルなサウンドも大きな魅力の彼女たち。ワールドミュージック部門年間1位も納得の傑作アルバムだったと思います。アフリカ音楽好きはもちろん、幅広いリスナー層におすすめできそうな1枚でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Meaning's Edge/DjRUM

Meaningsedge

イギリスのプロデューサー兼DJによる約5年ぶりの新作で、5曲入りのEP盤。ドリルンベースからの影響を感じるエッジの効いた強いビートのエレクトロサウンドからスタートしつつも、フルートが入ってメロディアスなフレーズを聴かせつつ、後半はスペーシーに展開する「Frekm,Pt.1」や、トライバルなビートが印象的な「Frekm,Pt.2」など、バラエティー富んだ構成が魅力的。個性的なビートに5曲30分、強く惹かれるアルバムでした。

評価:★★★★★

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2025年2月23日 (日)

メジャーデビュー50周年!

Title:THE ALFEE 50 SONGS 1974-1996
Musician:THE ALFEE

2024年にメジャーデビュー50周年を迎えたTHE ALFEE。昨年末は実に41年ぶりの紅白出演を果たして大きな話題となりました。本作は、そんな彼らのベストアルバム。タイトル通り、1974年から1996年までの作品から、高見沢俊彦が選曲。全50曲を4枚のCDにおさめたボリューミーな内容に。もちろん、大ヒットした「メリーアン」や紅白で歌った「星空のディスタンス」「Promised Love」なども収録されています。

THE ALFEEは2023年に同じく50周年記念のベストアルバム「SINGLE CONNECTION & AGR - Metal & Acoustic -」をリリースしています。2013年から2021年にリリースしたシングルを収録したベスト盤は、正直なところ「こんなにつまんなかったっけ?」と思うほど陳腐な楽曲が目立ったのですが、さすが本作に関しては、そんなことは微塵も感じられません。悪い意味で最近の曲はマンネリ化してしまっているな・・・ということも感じてしまったのですが・・・。ただ、両作あわせても1997年から2012年の作品は対象外となってしまっており、なぜ、このベスト盤もオールタイムベストという形にしなかったんだろう?という疑問も感じてしまいます。

ただ、今回のベストアルバム、メジャーデビュー作となる1974年の「夏しぐれ」も収録。以前は、デビュー当初のビクター在籍時は、若干「黒歴史」的に扱われるケースもあったのですが、ちゃんと今回は50曲の中に含まれています。このデビュー後の彼らのスタイルは、ロックというよりも完全にフォークユニットといった印象で、ある意味、時代を感じさせます。

これが一気に変化するのがブレイクした「メリーアン」のあたりからで、ここからグッとロック色が強くなり・・・というよりも、メタル色が強くなります。というよりも、今回のTHE ALFEEのベストで、過去の彼らの代表曲を聴いて感じたのは、彼らが思った以上にロック、という以上にメタル色が強いという点でした。確かに以前から彼らの楽曲のメタル色の強さは感じていたのですが、メロディーラインこそ、ある意味ベタな歌謡曲ではあるのですが、サウンド的にはかなりヘヴィーなメタル路線で、思った以上にヘヴィーメタルバンドである彼らの姿を認識させられました。

ご存じの通り、メンバーのうち、坂崎幸之助は思いっきりフォーク畑の人であるだけに、これだけ畑違いのバンドでよく活動を続けるなぁ・・・とも思うのですが、ただ、ここらへんの度量の大きさや、ある意味、ジャンルが変わっても幅広い音楽を愛するというスタイルをメンバーが持っているという点が、彼らが長くバンドとして活動を続けられる秘訣なのかもしれません。

また、あまりヘヴィーメタルという観点からTHE ALFEEを語られることは少ないのですが、日本においてヘヴィーメタルバンドというと、聖飢魔ⅡやX JAPANが取り上げられることが多い中、このヘヴィーメタルというスタイルが、J-POPの中で認容されてきたバックグラウンドとして、ひょっとしたらTHE ALFEEの存在が大きかったのではないか、ということを考えてしまいました。個人的にヘヴィーメタルシーンには詳しくないので、これ以上の言及は出来ないのですが、ヘヴィーメタルバンドとしてのTHE ALFEEがもうちょっとスポットをあてられてもいいのではないか、ということをこのベスト盤で感じてしまいました。

評価:★★★★

さて、そんなメジャーデビュー50周年を迎えた彼らでしたが、昨年はそんな彼らへのトリビュートアルバムもリリースされていましたので、そちらも紹介します。

Title:THE ALFEEトリビュート・アルバム 五十祭

まず参加メンバーがなかなかユニークで、打首獄門同好会やSEX MACHINEGUNSのようなメタル畑やTUBEのような大ベテラン、スチャダラパーのようなHIP HOP勢やChill Beans.のような若手バンド、さらには坂本冬美のような演歌勢まで。かなり幅広いミュージシャンの参加がまず非常にユニークです。

そんなメンバーがそれぞれ自分のスタイルでTHE ALFEEの楽曲をカバーしている結果、非常にバラエティーに富んだ展開の内容に仕上がっています。西川貴教の「恋人達のペイヴメント」はオーケストラを入れて非常にスケール感のあるアレンジに仕上げていますし、怒髪天の「さすら酒」はド演歌な内容に。氣志團の「風曜日、君をつれて」はベタなビートロックになっているのが、ある意味氣志團らしい感じ。「木枯しに抱かれて…」では、スチャダラパーにLUVRAWも参加し、エレクトロアレンジのある意味、挑戦的な内容に。ラストのTUBE「星空のディスタンス」はウクレレを入れたハワイアンなカバーがまたユニーク。どれも個性的なカバーに仕上がっていました。

バラエティー富んだ内容がとても楽しい内容で、参加ミュージシャンのファンならば、他のミュージシャンの曲も含めて楽しめるアルバムではないでしょうか。これだけバラエティー富んだ楽曲でも楽しめるという点、元の楽曲がやはりしっかりとしているから、ということもあるのでしょう。それを含めてTHE ALFEEの楽曲の魅力を再認識できるアルバムでした。

評価:★★★★

THE ALFEE 過去の作品
SINGLE CONNECTION&AGR-Metal&Acoustic-


ほかに聴いたアルバム

ハロウィンと朝の物語/Sound Horizon

メジャーデビュー20周年を迎えたSound Horizonが、その記念作としてリリースした新作。いつもの物語性のある内容となっているのですが、本作の舞台はちょっと珍しく現代の日本。「あずさ55号」というタイトルの曲なんかは、狩人の「あずさ2号」を意識したのか??そのため、彼の作品としては、聴いていて若干、2ドラっぽい雰囲気を感じるような部分も。ただ、ハロウィンをテーマにいつも通りのSound Horizonらしいスケール感あるサウンドが展開されており、独特の世界が楽しめるアルバムとなっていました。

評価:★★★★

Sound Horizon 過去の作品
Moira
Marchen
Chronology[2005-2010]
Nein
進撃の軌跡(Linked Horizon)
進撃の記憶(Linked Horizon)

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2025年2月22日 (土)

Dr.Dreの参加も話題に

Title:CASABLANCO
Musician:Marsha Ambrosius

今回も、毎年恒例、各種メディアの2024年年間ベストアルバムで上位にランクインしているアルバムのうち、聴き洩らしている作品を後追いで聴いた1枚。まずはMusic Magazine誌R&B/ソウル/ブルース部門で1位を獲得した作品。イギリスのシンガーソングライター、Marsha Ambrosiusの約5年9ヶ月ぶりとなるニューアルバム。もともとR&BデゥオFloetryで活躍していた彼女のソロとして4枚目のアルバム。2011年にリリースされたソロデビュー作「Late Nights & Early Mornings」は全米チャートでも1位を獲得するなど、大ヒットを記録していますが、その後は残念ながら同作ほどのヒットが望めず、本作も残念ながらチャートインとはなっていないようです。

ただ、ヒットには恵まれていなくても、迫力があり艶やかな彼女のボーカルは大きな魅力で、このアルバムでもそんな彼女の魅力がいかんなく発揮されています。まずジャジーな「Smoke」ではタイトル通りのスモーキーで色っぽさを感じさせるボーカルで歌い上げていますし、特に耳を惹くのが続く「Tunisian Nights」で、ホーンセッションも入ったジャズ風のナンバーをファルセットも多様しつつ、力強くも伸びやかに歌い上げるボーカルには耳を奪われます。

今回のアルバムの特徴としては、プロデューサーとして、あのDr.Dreとタッグを組んでいる点。「One Night Stand」ではPatrice Rushenの「Remind Me」がサンプリングされていたり、「The Greatest」ではAhmad Jamal Trioの「I Love Music」がサンプリングされていたりと、HIP HOP的な手法も見受けられますが、基本的にはジャジーなサウンドをバックにMarshaのボーカルをしっかりと生かしたようなアレンジの曲が並んでいます。

その「One Night Stand」では力強くメロウなボーカルを聴かせてくれますし、パワフルに歌い上げる「Wet」も耳を惹きます。「The Greatest」も哀愁感たっぷりのメロディーラインと、悲しげに歌い上げる彼女のボーカルが大きなインパクトに。ラストを飾る「Music Of My Mind」のリズミカルな打ち込みのトラックもHIP HOP的な感じ。ただ、こちらも力強い彼女のボーカルに、まずは耳を奪われるナンバーとなっています。

このように、何よりもMarshaのボーカルの魅力に惹かれる今回のアルバム。彼女のボーカルがいかんなくその力を発揮しており、Music Magazine誌で年間1位なのも理解できる作品となっています。ただ一方、正直なところ、目新しさといった観点では物足りなさも感じられる点も否定できません。Dr.Dreとタッグを組んで、大ネタも用いている本作ですが、あくまでも彼女のボーカルを生かしたジャジーなアレンジに仕上げており、この点は問題ないものの、アルバム全体としてのインパクトとしてはちょっと弱さを感じる部分は否めません。この点、チャートアクション的にはいまひとつ奮わない理由のひとつのようにも感じました。

ちなみに、先日既に発表済の私的年間ベストアルバムについては、今後紹介していく、各種メディアで上位にランクインしたものの、聴き洩らしていたアルバムを考慮した後の結果となっています。そういう意味では個人的には年間ベストクラスとは思いませんでした。ただ、とはいえ、彼女の力強く色っぽいボーカルは魅力的で、耳を惹かれた1枚。文句なしの傑作アルバムです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Diamond Jubilee/Cindy Lee

こちらも2024年年間ランキングの上位にランクインされたアルバムで、未聴だった作品。カナダ出身のシンガーソングライターによる新作。全2枚組32曲というボリューミーな内容ながらも高い評価を得て、年間ベストをまとめたサイトAOTY2024では7位にランクインしています。全体的には60年代あたりを彷彿とさせるようなレトロな雰囲気のポップを哀愁感たっぷりに聴かせる楽曲。古き良きポップでキュートなメロが魅力的な一方、ところどころにはサイケな部分も加わっており、実験的な要素も。ただ、この実験的な部分がちょっと強く、全体的には狙いすぎじゃないか?と感じてしまった部分もあり、個人的には年間ベストクラスではなかったかな・・・と思ってしまいました。とはいえ、傑作には変わらなく、評価は以下の通りで。

評価:★★★★★

Tyla+/Tyla

こちらも同じく、2024年の年間ベストで聴きもらしていたアルバム。本作は、ミュージックマガジン誌ポップス部門で1位を獲得した作品。2024年に南アフリカより突然とあらわれ、シングル「Water」がグラミー賞を受賞。次世代のポップアイコンとして注目を集めているTylaのデビューアルバム。昨年3月にオリジナルがリリースされており、こちらは10月にリリースされたデラックス版。ちょっとトライバルな雰囲気を感じさせつつ、ポップにまとめているビートとサウンドに、のびやかで清涼感あるボーカルが耳を惹くポップチューン。美しくも、どこか幻想的にも感じられる歌声も実に魅力的。今後のさらなる飛躍を予感させる作品です。

評価:★★★★★

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2025年2月21日 (金)

ボリューミーなベストアルバムにワクワク感が止まらない

Title:ALL TIME BEST 1984-2024
Musician:BON JOVI

昨年の紅白歌合戦で、その迫力ある生演奏が大きな話題となったB'z。その後、一部ネットでは、90年代のB'zは「ダサい」と言われて馬鹿にされていた、という議論が起こりました。ただ、リアルタイムで90年代を過ごしてB'zを聴いていた立場からすると、少なくとも世間大多数でB'zが馬鹿にされていた、という事実はない、と強く主張したいところ。少なくとも、そんな馬鹿にされていたようなミュージシャンが、ミリオンセールスを連発できる訳もありません。確かに、B'zは、いわゆる音楽ファンや評論家の評価は高くありません。昔はネット上でもB'zのパクリを糾弾するような書き込みも少なくありませんでした。しかし、そういう主張をする人は全体からするとあくまでも一部。少なくともB'zを聴いていて馬鹿にする人よりも、そういう主張をする人たちが好むようなミュージシャンを聴いていると、「なんでそんな聞いたこともない人の音楽を聴いているの?」と馬鹿にするような人たちの方が圧倒的大多数だった、ということを忘れてはいけません。

たった30年前の「歴史」でも、こうやって易々と改ざんされてしまう事実に驚いてしまうのですが、なんてこんな話をアルバムレビューの冒頭に書いてきたかというと、そんなB'zと全く同じような立場にいたのが彼らBON JOVI。B'zがなんでそんなに音楽ファン的な評価が低いか、と言われると、いわゆる「産業ロック」的な括りで語られることが多いことが要因のひとつなのですが、BON JOVIも一方でそんな「産業ロック」の代表格とみなされることも多く、正直、評価もさほど高くありません(といっても、B'zよりは高い評価がされているようですが)。

とはいえ、そんな扱いをされていたのは本当に一部で、特に私が高校生だった90年代中盤においては、日本においても圧倒的な人気を得ていました。1994年にリリースされたベストアルバム「クロス・ロード」は日本でも150万枚というセールスを突破する大ヒットを記録。洋楽はほとんど聴かなくてもBON JOVIは聴いていた、という人が実に多かったように思います。(他にマライア・キャリー、セリーヌ・ディオンあたりが似たような立ち位置だったような。)今回紹介するベストアルバムは、タイトル通り、彼らが「夜明けのランナウェイ」でデビューした1984年から現在までを網羅した全3枚組フルボリュームのオールタイムベスト。日本独自企画であり、なおかつ選曲はファン投票というあたりに日本での高い人気を感じますし、順位に従って収録という点もある種の潔さを感じます。

B'zやBON JOVIが「産業ロック」と呼ばれて評価が低いひとつの要因は、メロディーが万人受けするためにあまりにもわかりやすく、かつ露骨にキャッチーである、という点がひとつの要因ではあるのですが、逆に言えば、それだけ多くの人にとって強い印象を残すメロディーを書いている訳で、今回のこのベストアルバムに関しても、やはり聴いていて素直にワクワクして楽しめるという点は大きな魅力であると言えるでしょう。アルバム冒頭を飾るのが「Livin' On A Prayer」ということは、これがファン人気投票1位ということなのでしょうが、その結果も納得の高揚感あるメロディーラインが大きな魅力で、今でも聴いていても一緒に歌いだしてしまうそうな、そんな楽曲になっています。特にDisc1収録曲は人気投票のベスト16ということで、どれも名曲揃い。どの曲も、曲のタイトルを見るだけで普通に歌いだせてしまうあたり、いかに彼らが心に残る曲を生み出してきたのかがわかります。ただ、16曲目の「Legendary」は昨年リリースされた新曲。これだけは、本当にベスト16に入ってきたの??とは思うのですが、新曲発表直後の人気投票なので上位に入ってきたのか、人気投票とは関係なく、新曲なのでDisc1に押し込んできたのか・・・。

一方、さすがに3枚組全50曲というボリュームとなると、Disc2、3になるにしたがって徐々に飽きてきたのも事実。率直なところ、BON JOVIは曲のバリエーションも良くも悪くもあまり多くありませんし、有名曲のほとんどはDisc1、2に収録されていることもあって、Disc3を聴くころには、ダレてきたというのも率直な感想です。もっとも、Disc3には「Because We Can」「This House Is Not For Sale」のような比較的最近(・・・といっても2010年代以降という意味ですが)も収録されており、ここらへんの曲がちゃんとベスト50にランクインしてくるあたり、BON JOVIが現在においてもしっかりと現役であり、かつ根強い人気を維持しているということを感じさせます。

さて、冒頭のB'z論に関してもう1点気になったことをここで。冒頭の議論は紅白でのB'zの評価を受けて、かつてのB'zの評価と比べ溜飲を下げる趣旨があったのですが、その中で、昔のB'zの低評価について、「売れていたから叩かれていただけ」という主張が支持されていました。ただ、実際は、B'zについても彼らBON JOVIについても、いわゆる「産業ロック」が音楽的に低く評価されてしまう理由としては、昔からのハードロックのおいしいところ取りをしている点が、換骨奪胎的にみなされて評価が低かったり、初期ハードロックに比べてルーツへの嗜好が低かったり、歌やメロディーを前に押し出しすぎて、バンドとしてのグルーヴ感がちょっと弱かったりと、それなりの理由があります。また、個人的にB'zにしてもBON JOVIにしても好きなミュージシャンであることは間違いないのですが、そういう批判に関しても十分理解できます。確かに一部、売れているから叩かれている部分も否定はできないのですが、「売れていたから叩かれていただけ」という主張が支持を得てしまうように、「売れているか否か」でしか音楽を見れない層が結構少なくないという点、以前からある程度気づいていましたが、あらためて強く残念に感じてしまいました。

とはいえ、前にも書いた通り、このアルバム、特にDisc1のワクワク感は他のバンドでは得がたいものであり、BON JOVIの実力・魅力を強く感じさせる点であったりします。B'zは紅白の生のステージで観客を盛り上げましたが、おそらくBON JOVIが生で「Livin'On A Prayer」を歌っても、この上なく盛り上がるんだろうなぁ。ちょっと先日の紅白の後の議論で感じたことをBON JOVIのCD評を使って語ってしまいましたが、両者、似た部分が多いミュージシャン。BON JOVIファンはもちろん、昔、BON JOVIが好きだったアラフォー、アラフィフ世代、さらに、なにげにB'zのファンも似たタイプのミュージシャンなので気に入るかも。ボリューミーな内容ですが、当時を思い出しつつ、ワクワクしながら楽しめたベストアルバムでした。

評価:★★★★

BON JOVI 過去の作品
Lost Highway
THE CIRCLE
GREATEST HITS-THE ULTIMATE COLLECTION
What About Now
Burning Bridges
This House Is Not For Sale
2020
Forever

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2025年2月20日 (木)

Hot AlbumもMrs.GREEN APPLEの快進撃が続く

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

Hot100同様、Mrs.GREEN APPLEが1位2位を独占です。

まず1位はMrs.GREEN APPLE「ANTENNA」が先週の2位からランクアップ。5週ぶりの1位返り咲き。ストリーミング数は9週連続の1位獲得。ベスト10ヒットはこれで通算22週目のベスト10ヒット、通算12週目のベスト3ヒットに。1位獲得は通算3週目となります。また「Attitude」も先週の3位から2位にアップ。こちらもストリーミング数が7週連続の2位。こちらもベスト10は通算10週目、ベスト3も通算8週目となります。これで1月8日付チャート以来、8週連続、この2作がベスト3に並ぶ結果となりました。

そして3位にランクインしてきたのがCreepy Nuts「LEGION」。先週の10位から大きくアップ。ダウンロード数は先週の2位からキープ。ストリーミング数は9位から3位にアップしています。今後、Mrs.GEEN APPLEとのデッドヒートが繰り広げられそうです。

続いて4位以下の初登場盤ですが、初登場は4位に1作。増田貴久「喜怒哀楽」がランクイン。CD販売数及びダウンロード数1位を獲得しています。

ロングヒット盤では、まずVaundy「strobo」は先週から変わらず5位、「replica」は6位から7位にダウン。これで「strobo」は通算10週目、「replica」は通算14週目のベスト10ヒットに。Number_i「No.I」は4位から6位にダウン。これでベスト10ヒットは通算12週に。米津玄師「LOST CORNER」は先週から変わらず8位をキープ。これで通算15週目のベスト10ヒット。さらにロゼ「ロージー」は9位から10位にダウン。こちらは通算10週目のベスト10ヒットとなります。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

Heatseekers Songsは、今週も柊マグネタイト「テトリス」が1位を獲得。これで9週連続の1位となりました。動画再生回数は3週連続の7位をキープ。Hot100は40位から37位と、今週も若干上昇しています。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

ボカロチャートは1位が入れ替わり。DECO*27「ハローミライ feat.初音ミク」が初登場で1位を獲得しています。映画「劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク」挿入歌。DECO*27は以前から上位にランクインしている「モニタリング」も3位にランクインし、ベスト3に2曲同時ランクイン。ちなみにプロジェクト世界公式チャンネルがアップしている初音ミク × 鏡音リン × 鏡音レン × 巡音ルカ × MEIKO × KAITO名義の「ハローミライ」の方も4位にランクインしています。一方、先週1位だった柊マグネタイト「テトリス」は今週2位にダウン。とはいえ、Heatseekersで1位を獲得するなど、まだまだ根強い人気もあり、来週以降の動向にも注目です。

今週のHot Albums&Heatseekers&ボカロチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2025年2月19日 (水)

Mrs.GREEN APPLEの快進撃はまだまだ続く!

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先週に引き続き、Mrs.GREEN APPLEの曲が5曲同時ランクイン。快進撃はまだまだ続いています。

Lilac

特に今週はMrs.GREEN APPLE「ライラック」が先週の2位からランクアップし、1月22日付チャート以来4週ぶりの1位返り咲き。ストリーミング数は2週連続、カラオケ歌唱回数は6週連続1位をキープしているほか、動画再生回数が4週ぶりに1位返り咲き。ダウンロード数も5位から4位にアップしており、圧倒的な強さを見せつけています。これで44週連続のベスト10ヒット&通算30週目のベスト3ヒット、さらには通算6週目の1位となりました。

さらに「ダーリン」も3位から2位にアップ。こちらはストリーミング数が2週連続2位、動画再生回数が3週連続の3位。これで4週連続Mrs.GREEN APPLEの曲がベスト3のうち2曲締める結果となっています。以下、Mrs.GREEN APPLEは「ケセラセラ」が8位からアップしての6位、「ビターバカンス」が先週と変わらず7位、「Soranji」も先週と変わらず9位とベスト10に今週も5曲同時ランクインとなっています。各種チャートではストリーミング数が「ケセラセラ」は4週連続6位、「Soranji」が2週連続7位をキープしているほか、「ビターバカンス」は先週の5位から4位にアップ。これで「ケセラセラ」は通算35週目、「ビターバカンス」は12週連続のベスト10ヒットとなっています。

ベスト3のあと1曲はロゼ&ブルーノ・マーズ「APT.」が先週の5位からランクアップ。4週ぶりのベスト3返り咲き。ストリーミング数は2週連続の3位、動画再生回数は2週連続の9位、動画再生回数も2週連続の9位。これで17週連続のベスト10ヒット&通算13週目のベスト3ヒットとなります。一時期、失速気味でここまでかと思いきや、まだまだ根強い人気を感じる結果となりました。

今週のHot100は以上。Mrs.GREEN APPLEが席巻するチャートになったため、ほかにロングヒット曲はなし、という結果になっています。逆に、強い曲があまりないため、Mrs.GREEN APPLEの快進撃が続いているのですが・・・。この傾向、どこまで続くのでしょうか?明日はHot Albums&Heat Seekers&ボカロチャート!

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2025年2月18日 (火)

90年代らしさを感じる80年代最後のアルバム

Title:Hear(2024 Remaster)
Musician:谷村有美

現在、過去作のリマスター版を順次リリースしている谷村有美。本作はその第3弾。1989年にリリースされた彼女の3rdアルバムとなります。本作で彼女は初となるチャートベスト10ヒットを記録。一躍ブレイクしたことになります。1989年というと、平成元年。この年、プリプリが「Diamonds」で大ヒットを飛ばした年。一方で、工藤静香や光Genjiなども年間チャート上位に食い込んでおり、90年代のアイドル冬の時代の前、まだアイドルも人気を保っていました。ただ、ロックバンドをはじめ、非アイドル勢に勢いがつきはじめ、一方、アイドル冬の時代が到来しようとしている中、「実力派シンガー」的な売り出し方をしつつもアイドル的な人気も確保できる谷村有美のブレイクというのは、ある意味、時代を象徴しているようにも感じます。

楽曲的にも、いまから聴くといかにも90年代的なポップチューンが目立つのも特徴的でしょう。デビュー時は比較的AOR志向が強かった彼女が、前作「Face」では一気にポップス寄りにシフトしましたが、今回のアルバムでは、その傾向がより顕著となっています。いまから聴くと、これぞ90年代のJ-POPといった楽曲が、まずは耳に残ります。

最も特徴的に感じたのは、先行シングルにもなっている「BOY FRIEND」。いきなりサビスタートや楽曲タイトルをサビにわかりやすく入れてくるあたり、90年代的な雰囲気。明るく爽やかだけどもメランコリックなメロディーラインも耳に残りますし、シンセを前面に押し出したアレンジも、90年代の空気を感じます。ちなみにアレンジャーは、後に「踊る大捜査線」で有名になる松本晃彦が担当。

アルバム1曲目を飾る「明日の恋に投げKISS」も明るく爽快なポップチューンで耳に残る作品に。こちらもアレンジはおなじく松本晃彦が担当。こちらもシンセサイザーを前面に押し出したアレンジが、ちょっと時代を感じさせます。かわいらしい歌詞も含めて、90年代J-POPというよりも、80年代の匂いも残した、ちょっとアイドルポップに寄ったような作品になっています。

そんな感じで、前作に続き、ポップ志向がより強まった作品になっているのですが、ただ一方では「傘を持ってでかけよう」のように、デビュー当初を彷彿とさせるAORの色合いが強いナンバーも。また、ピアノ弾き語りをバックに、その清涼感あるボーカルをしっかり聴かせる「もう恋は。」ではボーカリストとしての彼女の実力も感じさせます。アルバム本編ラストを飾る「ポストカード」も、切ない歌詞が印象に残るナンバー。この曲、作詞はかの小西康陽が手掛けており、「ポストカード」というアイテムの使い方もうまい、ちょっとおしゃれな雰囲気が、実に小西康陽らしい名曲に仕上がっています。

そして恒例のシークレットナンバーは、「BOY FRIEND」の再録バージョン。ピアノ弾き語りにパーカッションを組み入れて、ちょっとジャジーなアレンジが特徴的。なにげにもう還暦前の彼女ですが、いまだに往年の魅力を感じさせるクリスタルボイスを聴かせてくれます。というか、かなり高音域まで聴かせるこの曲を、ピッチを変えずに歌っているのはさすがです。

彼女にとって、ブレイクした作品であり、谷村有美らしさを強く感じられるアルバムと言ってもいい本作。ファン以外の方にとっても、最初に聴くアルバムとしてもおすすめできる1枚だと思います。ギリギリ80年代の作品ですが、90年代J-POPの空気感を存分に感じられる1枚でした。

評価:★★★★★

谷村有美 過去の作品
タニムラベスト
Believe In(2024 Remaster)
Face(2024 Remaster)

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2025年2月17日 (月)

本当に突然のゲリラリリース

Title:GNX
Musician:Kendrick Lamar

昨年11月22日、突如リリースされたKendrick Lamarのニューアルバム。匂わせ告知等も一切なく、何の前情報もなしの突然のリリースということで、ファンならずともかなり驚きをもって迎えられた最新作。先行シングル曲などもなく、完全新作という形でのニューアルバムとなっていました。ちなみにタイトルのGNXとは、ゼネラル・モーターズが1987年に発表した高級車の車名だそうで、彼が生まれた年に547台のみ製造され、希少価値も高い自動車だそうで、彼にとっては父親が乗っていた車で、思い入れの深い1台だそうです。

毎回テーマ性を持ったアルバムをリリースしてくる彼ですが、今回はゲリラリリースという点も影響したのか、特に統一的なコンセプトはない模様。ただ一方で、生まれ故郷ロサンゼルスをテーマとした曲が多いようで、特に「dodger blue」は大谷翔平が所属していることで日本人にもおなじみ、ロサンゼルス・ドジャーズをタイトルで掛けたLA讃歌だとか。また、ゲストラッパーも多く参加している本作ですが、ほとんどが日本ではあまり知名度もないようなロサンゼルス出身のラッパーを起用しており、この点でも彼のロサンゼルス愛を感じさせるアルバムとなっています。

ただ、アルバムを聴いてまず感じるのは、全体的にいい意味で聴きやすい内容に仕上がっているという点でした。アルバム1曲目の「wacced out murals」は、かなりダークで、怒っているような雰囲気のラップにちょっとドキリとさせられますが、続く「squabble up」は軽快なラップがダークながらもどこかコミカルさも。さらに3曲目「luther」ではゲストボーカルとしてSZAが参加。彼女のメロウな歌声も優しく響く、メランコリックな歌モノの楽曲に仕上がっています。

その後もメランコリックなピアノのフレーズが美しい「reincarnated」や、リズミカルなラップのやり取りにどこかコミカルさも感じる「tv off」、メランコリックに聴かせる歌モノの「dodger blue」、メロウに聴かせる歌が爽やかな「heart pt.6」に、ラストを締めくくる「gloria」にはゲストボーカルで再びSZAが登場。最後も切ない歌を聴かせる、メランコリックな歌モノの楽曲で締めくくられています。

全12曲44分強という短さもアルバムが聴きやすい大きな要素だと思うのですが、もうひとつ大きな要素だと思うのが、プロデューサーとして、盟友Sounwaveと共に、Jack Antonoffを起用している点も大きいのではないでしょうか。Jack Antonoffは現在、Taylor SwiftやLana Del Reyなどを手掛ける売れっ子プロデューサーなのですが、もともとアメリカのポップロックバンドFUN.で名をはせたミュージシャン。昨年は彼のバンドBleachersで傑作アルバムをリリースしています。どちらかというとポップフィールドのミュージシャンなので、ケンドリックとの組み合わせはちょっと意外性を覚えるのですが、だからこそ、いい意味で聴きやすさを覚えるアルバムになったのではないでしょうか。

個人的には44分強という長さも含めて、ケンドリックのいままでのアルバムで一番楽しめたアルバムのように感じます(ということを前作でも書いていますが、前作よりもさらに楽しめたアルバムだったように感じます)。本年度の年間ベスト候補の1枚。突然のリリースでしたが、さすがケンドリックということを感じさせる作品でした。

評価:★★★★★

Kendrick Lamar 過去の作品
Good Kid M.a.a.D City
To Pimp A Butterfly
untitled unmastered.
DAMN.
Mr. Morale & the Big Steppers


ほかに聴いたアルバム

One Assassination Under God – Chapter 1/Marilyn Manson

約4年ぶりとなるマリリン・マンソンの新譜。ボーカル、マリリン・マンソンが、2021年に元恋人からの性的虐待の告発を受け、しばらく活動休止状態だったようです。日本でもアメリカでも似たような話があるのですが・・・。性的虐待疑惑自体は起訴が出来ないということになり、マリリン・マンソンとしても活動を再開。新譜のリリースとなったようです。ただ、この性的虐待疑惑は、時効となっていたり、明確な証拠がなかったりという理由で起訴が出来なかったようで、完全に冤罪で無罪放免という感じではないようで、若干のモヤモヤ感は残るのですが・・・。

そんなアルバム自体は、「いつものマリリン・マンソン」といった感じ。ヘヴィーなサウンドにメランコリックなメロディーラインで、独特の怪しげな雰囲気を醸し出している内容に。昔からのファンならば、とりあえずは安心して楽しめそうなアルバムになっていますし、いろいろとゴタゴタがあっても、このレベルの作品をしっかりと作り上げてくるあたりには、彼らの実力を感じされます。実にマリリン・マンソンらしいと感じられるアルバムでした。

評価:★★★★

Marilyn Manson 過去の作品
THE HIGH END OF LOW
Heaven Upside Down
WE ARE CHAOS

How To Dismantle An Atomic Bomb(Re-Assemble Edition)/U2

2004年にリリースし、グラミー賞を受賞するなど高い評価を受けたU2のアルバムの20周年記念盤。今回は、オリジナル盤のリマスターに加えて、「How To Re-Assemble An Atomic Bomb」と名付けられた、オリジナルレコーディング時に同時にレコーディングされた未発表音源も収録されています。オリジナルの「How To Dismantle~」は、高い評判が納得の、インパクトあるポップなメロディーが流れつつも、ダイナミックなロックサウンドが特徴的な、U2の魅力がしっかりとつまった作品。基本的に未発表音源も、オリジナルの延長線上の作品。確かにオリジナルに収録されている楽曲ほどのインパクトは薄いかもしれませんが、これはこれで非常に魅力的な楽曲が並んでいます。オリジナルともども、チェックしておきたい作品です。

評価:★★★★★

U2 過去の作品
No Line on the Horizon
Songs of Innocence
Songs Of Experience
The Virtual Road – U2 Go Home: Live From Slane Castle Ireland EP
Live At Red Rocks: Under A Blood Red Sky EP
The Virtual Road – PopMart Live From Mexico City EP
The Virtual Road – iNNOCENCE + eXPERIENCE Live In Paris EP
Songs Of Surrender
ZOO TV Live In Dublin 1993 EP

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2025年2月16日 (日)

KANの全シングルを網羅

Title:KAN A面 Collection
Musician:KAN

昨日紹介した本に続き、今日もKANのCDの紹介です。先日、ベスト盤を紹介したばかりのシンガーソングライターKAN。彼の1周忌に合わせる形でリリースされたのが、こちらは3枚組のシングルコレクションとなります。彼のデビューシングル「テレビの中に」から、結果としてラストシングルとなってしまった「ポップミュージック」まで、彼のシングルがリリース順に収録したアルバムとなります。

ただ本作は、ミュージシャンサイドは非公認の、いわゆるレコード会社側が勝手にリリースしたベストアルバムとなります。そのため、公式サイトでは一切紹介されていません。以前からこの手のベスト盤はたびたびリリースされ、ミュージシャン側とトラブルになるケースが少なくありませんでした。最近は、サブスクの浸透で、あまりこの手のベストがリリースされなくなったので、この手の話はあまり聞かなくなったのですが・・・「死人に口なし」といった感じなのでしょうか。ちょっと悲しい感じもします。

しかし、とはいえ今回のシングルコレクション、そんな点を差し引いても、非常に魅力的な作品集になっていたと思います。以前の「IDEAS3」のレビューでも書いたのですが、KANには傑作が多すぎて、このベスト盤では正直、彼の代表曲を網羅しきれていません。例えばシングルベースでも、「REGRETS」「涙の夕焼け」などといった曲も収録されていません。ある意味、ベスト盤を補完する意味では、チェックしてほしい、と言わざるを得ないベスト盤になっています。

あと、個人的に、ベスト盤にあまり収録されないような曲をあらためて聴けたのがうれしい感じなのですが・・・例えば大ヒットした「愛は勝つ」の後にリリースされた「イン・ザ・ネイム・オブ・ラヴ」。正直、あきらかに「愛は勝つ」の後を意識した楽曲であり、KAN本人にもファンにも評判はよくなく、ライブでもほとんど披露されない曲なのですが(以前、発売されたKANの詞集にも収録されていませんでした・・・)、個人的には実は結構好きなんですよね、この曲。軽快ながらも力強さを感じるポップナンバーが妙に耳に引っ掛かります。「愛は勝つ」の後、はじめてリアルタイムに、リリース直後に聴いたシングルだから、という思い出補正もあるかもしれませんが。

もうひとつ、今回のシングルコレクション、彼のシングルをリリース順に並べてあり、KANの音楽的な変遷を知れる、という点でも意味はある内容だったと思います。特にあらためて感じたのですが、KANはデビューから30年近く音楽活動を続けていたのですが、最後に至るまでほとんどマンネリというのを感じさせません。厳密に言えば、本作のDisc3の導入あたりでは、若干、失速気味に感じる部分もあるのですが、むしろ最後にリリースした2枚のシングル「桜ナイトフィーバー」「ポップミュージック」は、むしろ若い頃の勢いを取り戻したかのような軽快な垢ぬけたポップチューンとなっています。「桜ナイトフィーバー」もその後、ハロプロのアイドルグループがカバーしているのですが、「ポップミュージック」もリリース直後にアイドルグループのJuice=Juiceがカバー。おそらく、当初からアイドルグループへの楽曲提供を想定したいたナンバーなのでしょう。それだけに、「売れる」ことをあえて意識したような、インパクトのあるポップチューンに仕上がっており、あらためて聴くと、これだけインパクトのあるナンバーを、この期に及んで書いてきているあたり、KANの底知れぬポップミュージシャンとしての才能を感じますし、あらためて早すぎる彼の逝去を惜しく感じました。

前述の通り、レコード会社が勝手にリリースしたベストアルバムであるため、賛否両論はありそうな本作。個人的にも、KAN本人の意に沿っているかどうか微妙なこの企画を、もろ手あげて評価してよいのか迷うところはあるのですが・・・とはいえ、前述の通り、それを差し引いても非常に魅力的であり、KANというミュージシャンの実力がしっかりとわかるベストアルバムだったのは間違いないと思います。ベストアルバム「IDEAS3」の次に、チェックしてみて損はないシングル集だと思います。

評価:★★★★★

KAN 過去の作品
IDEAS~the very best of KAN~
LIVE弾き語りばったり#7~ウルトラタブン~
カンチガイもハナハダしい私の人生
Songs Out of Bounds
何の変哲もないLove Songs(木村和)
Think Your Cool Kick Yell Demo!
6×9=53
弾き語りばったり #19 今ここでエンジンさえ掛かれば
la RINASCENTE
la RiSCOPERTA
23歳
IDEASⅢ~the very best of KAN~


ほかに聴いたアルバム

LAST/Anarchy

約3年ぶりとなるAnarchyのニューアルバム。今回のアルバムでは客演が一切なく、彼だけがラップをつづる点が大きな特徴。また、ZOT on the WAVE、Chaki Zulu、DJ JAM、Ryosuke“Dr.R”Sakai、KREVAといった幅広いミュージシャンがトラック作成に関わっているのも大きな特徴となっています。結果として全体的にメランコリックなトラックにメロディアスなラップが特徴的な作品に。今回の作品では特に彼の出自について綴ったラップが目立ち、客演なしという点も含めてAnarchyの原点に立ち返ったアルバムとも言えるかもしれません。ただ、全体的にはどこかネタ切れ気味な感がしてしまい、出自をつづったラップについてもいままでのようなヤバさがあまり感じられなかったのは残念。若干、ちょっと狙いすぎでは?とも感じてしまう部分も・・・。

評価:★★★★

Anarchy 過去の作品
Dream and Drama
Diggin' Anarchy
DGKA(DIRTY GHETTO KING ANARCHY)
NEW YANKEE
BLKFLG
THE KING
NOISE CANCEL

Under Blue/Eve

動画投稿サイトに歌唱動画をアップする、いわゆる「歌い手」やボカロPとしても活躍するシンガーソングライターの約2年半ぶりのニューアルバム。前作まででいかにも昔のボカロっぽい曲は減り、楽曲に一般性が増した反面、バラエティーの面で物足りなさを感じました。一方本作については、ギターロック路線からエレクトロやドリーミーなポップ、ラップ風のボーカルを聴かせる曲などバラエティーがグッと増えた感じに。正直、良くも悪くも器用貧乏でルーツレスっぽい感じはJ-POPらしいなぁ、とは感じるのですが、アルバム毎に進歩している感じがあります。これからの活躍に期待です。

評価:★★★★

Eve 過去の作品
おとぎ
Smile
廻廻奇譚 / 蒼のワルツ
廻人

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2025年2月15日 (土)

KANちゃんの人柄がよくあらわれた1冊

今日は最近読んだ音楽関連の書籍の紹介です。

Kanintheluckyraccoon

音楽ライターの森田恭子が編集・発行を行っていた音楽カルチャー誌「Lucky Raccoon」の中から、KANのコラムやインタビュー記事を抜粋して1冊にまとめた著書「KAN in the Lucky Raccoon」。基本的には書店等での取り扱いはなく、下記サイトからの通販のみのようです。この本の発行については公式サイトで知り、さっそく通販で取り寄せて読んでみました。

KAN in the Lucky Raccoon

生前のKANのコラムやインタビュー記事などの載ったA5サイズの書籍。全191ページとなかなかなボリューム量なのですが、掲載内容もかなり豪華。2003年から2022年までの記事から抜粋されたそうで、アルバムリリース時のインタビュー記事もさることながら、ライブイベント開催時には、共演者のミスチル桜井和寿や和田唱、KANが組んだバンド、カブレルズのメンバーとのインタビューや、藤井フミヤとのインタビュー記事も。どれも貴重な記事なのですが、特に藤井フミヤとのインタビューは、同じ福岡出身で、かつ同じ年。他では、この2人がからんで、という記事はあまり見かけたことはなく、そういう意味でも貴重なインタビュー記事だったように思います。

さらに本作が非常にユニークなのは、最初、いきなりKANによる料理のレシピからスタートすること。音楽関連の書籍で、いきなり料理のレシピからスタートするなんて、はじめて見ましたが、これもまたKANちゃんらしさを感じます。このレシピも読んでみると、しっかりKANの生い立ちやら考え方やらを反映した、列記としたコラム記事となっており、料理関係なく読み応えがあります。

特にこの冒頭の料理コラムでも強く感じたのは、KANという人は非常に拘りがつよい性格だったということで、最初に紹介されている「スパゲティ・アラ・カルボナーラ」でも、特に粒の黒胡椒の使用を指定したり、「グリル千のシャリアピン・ステーキ」では、彼の生まれ故郷の近所にあった洋食レストラン「グリル千」のレシピを完全再現しようとしたり、強いこだわりをかんじます。このこだわりは編集後記でも、記事のレイアウトに細かくこだわったエピソードも載せられており、KANらしいなぁ、ということを感じます。

ただ、このこだわりの強さというのは一歩間違えれば、人間的に嫌われたり敬遠されたりすることにもなりかねませんが、KANちゃんに関しては、このこだわりも含めて多くの人たちに愛されていたようで、それはおそらくそんなこだわりが、あくまでも他の人を楽しませようとする心遣いに通じていたからでしょう。実際に、この本を読んでいても、そんなこだわりの強さは嫌味に感じることはなく、ユーモラスな記述も多く、読んでいて楽しめる本書からは、そのとにかく人に楽しんでもらおうというエンタテイナーであるKANの人柄の素晴らしさがにじみでてきているように感じました。

インタビュー記事にしても、そんなKANちゃんの人柄がとても出ている自然体のインタビューになっており、この点は、おそらく著書の森田恭子氏との関係性もあったように感じます。本書全体を通じて、KANがどんな人物だったのか、どんなミュージシャンだったのか、とてもよくわかる記事にまとまっていたように感じました。特に、この著者との関係性については、最後の編集後記に強くあらわれており、ファンとしては読んでいて胸が熱くなるような記載に。あらためてあまりに早かったKANの最期を残念に感じてしまいました。

上記通販からの申し込みのみなのですが、KANのファンならば要チェックの1冊。本編はKANの人柄があらわれた、要所要所に読んでいて思わず笑ってしまうような記載もある、とても楽しいコラムやインタビュー記事ばかり。あらためてKANというミュージシャンの魅力を遅ればせながら強く感じることの出来た1冊でした。

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2025年2月14日 (金)

多彩なゲスト陣を迎えた結成10周年後の新作

Title:Shades of
Musician:WONK

デビュー当初より、高い音楽性に裏打ちされたクオリティー高い楽曲が各所で評判を呼んでいたエクスペリメンタル・ソウルバンドWONK。2023年に結成10周年を迎えた彼らが、新たな一歩を踏み出しリリースしたニューアルバム。今回は公式サイトによると「自らの音楽的ルーツを見つめ直し、音楽史に名を残してきたソウルやヒップホップ界のレジェンド、そして、これからの音楽史に名を残すであろう面々と」作り上げたアルバムだそうで、数多くゲスト勢の参加が特徴となっています。

まず今回もまた、非常にクオリティーの高い楽曲がズラリと揃っている点も大きな魅力。まずアルバムは、「Fragments」でのピアノの静かな弾き語りからスタート。メランコリックなメロディーラインも耳を惹きますが、後半に至って、徐々にゴスペルライクなコーラスが加わり荘厳感を覚える曲調も大きな魅力に。続く「Essence」も、ピアノとストリングスのサウンドが美しく聴かせるメランコリックな歌が耳に残るナンバーと、清涼感と哀愁感を同居された美しいサウンドとメロが耳を惹く楽曲からスタートします。

その後も、メロウでジャジーな「Fleeting Fantasy」、荘厳なオペラ調なサウンドからハードコアなラップが登場するダイナミックな展開が耳を惹く「Here I Am」、哀愁感たっぷりのメロをたっぷり聴かせる先行シングル曲の「Passione」、郷愁感を覚えるサウンドが特徴的な「Endless Gray」など、メランコリックでメロウなメロディーラインを軸に、バラエティー富んだ楽曲を聴かせてくれています。

一方、冒頭に書いたように、多彩なゲスト勢も魅力的で、おそらくもっとも耳を惹くのが「Life Like This」。メロウなソウルナンバーですが、そのボーカルから一発で久保田利伸とわかるのはさすが。他にも「Skyward」では韓国のラッパー、BewhYが参加していますが、ちょっと耳慣れない韓国語のラップが大きなインパクトに。ラストを締めくくる「One Voice」ではJ Dilaも所属していたラップグループSlum VillageのT3に、デトロイトのトラックメイカーK-Naturalが参加。こちらもピアノとストリングスを軸とした美しくもメロウなトラックと、力強いラップが大きな魅力になっています。

そんな訳でゲストミュージシャンを加えた多彩な音楽性で、非常にクオリティーの高いポップミュージックを聴かせてくれたWONK。ただ、ちょっと気になるのは、クオリティーが高いのは間違いないのですが、全体的にちょっと優等生っぽすぎるかな、とも感じたのも事実。楽曲的に目新しさもあまりありませんでしたし、耳にこびりついて離れないようなポップなメロもなく、無難にまとめ上げている面は否めないとも感じてしまいました。

とはいえ、この点を差し引いても十分に傑作と言えるアルバムに間違いないでしょう。そんな部分も含めて非常に良くできたポップアルバムに仕上がっていたと思います。結成10年を迎えて、新たな一歩を踏み出した彼ら。今後の彼らにも期待できそうです。

評価:★★★★★

WONK 過去の作品
BINARY(WONK×THE LOVE EXPERIMENT)
Moon Dance
EYES
artless


ほかに聴いたアルバム

Pearl/ゴスペラーズ

ゴスペラーズがメジャーデビュー30周年を記念してリリースした5曲入りのEP。全曲、メンバー自ら作詞作曲を手掛けた曲が並び、この30年とこれからの未来に対するメッセージがつまった作品に。昨年リリースしたEP「HERE&NOW」は全曲、他のミュージシャンが作詞作曲を手掛けた曲でしたので、それと対照的な構成となっています。また、ラストは「ひとり」のカップリング曲でファンからの人気も高い「東京スヰート」をビックバンド風にアレンジした「東京スヰート 2024」も収録。そんなアルバムであるため、楽曲は基本的には実にゴスペラーズらしい、王道なナンバーと仕上がっています。その点、目新しさのようなものはないのですが、30周年のメッセージを込めたEPだからこそ、あえて王道を行く楽曲を収録したのでしょう。30周年を区切りに新たな歩みをはじめるゴスペラーズ。これからの彼らの活躍にも注目したいところです。

評価:★★★★

ゴスペラーズ 過去の作品
The Gospellers Works
Hurray!
Love Notes II
STEP FOR FIVE
ハモ騒動~The Gospellers Covers~
The Gospellers Now
G20
Soul Renaissance
What The World Needs Now
G25 -Beautiful Harmony-
アカペラ2
The Gospellers Works 2
HERE&NOW

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2025年2月13日 (木)

今週も1位はアイドル系

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週も1位はアイドル勢が獲得です。

今週1位は日本人9人組ながらも韓国のJYPエンターテイメント所属の女性アイドルグループNiziUのミニアルバム「AWAKE」が獲得しました。CD販売及びダウンロード数で1位獲得。オリコン週間アルバムランキングでも初動売上18万7千枚で1位を獲得。直近のEP「RISE UP」の初動19万6千枚(1位)からは若干ダウンとなっています。

そして2位3位は今週もMrs.GREEN APPLE「ANTENNA」「Attitude」が並んでランクイン。これで4週連続、2位3位に同じアルバムが並ぶことになりました。ストリーミング数も同じく、「ANTENNA」が8週連続の1位で「Attitude」が6週連続の2位。「ANTENNA」はこれで通算21週目のベスト10ヒット、通算11週目のベスト3ヒットに。「Attitude」は通算9週目のベスト10ヒット、通算7週目のベスト3ヒットとなります。

4位以下の初登場盤は1枚のみ。10位にCreepy Nuts「LEGION」がランクイン。ダウンロード数2位、ストリーミング数9位。3月11日発売予定のCDからの先行配信となります。もちろんだヒットした「Bling-Bang-Bang-Born」「オトノケ」も収録。その割に、動きはいまひとつな感じはありますが、今後は徐々に順位を上げてくるのでしょうか。

その他、ロングヒット盤は、Number_i「No.I」は先週と変わらず4位。これで通算11週目のベスト10ヒット。Vaundy「strobo」が6位から5位、「replica」が7位から6位とそれぞれアップ。「strobo」が通算9週目、「replica」が通算13週目のベスト10ヒット。米津玄師「LOST CORNER」も9位から8位にアップ。こちらは通算14週目のベスト10ヒット、入れ替わりでロゼ「ロージー」が8位から9位にダウン。こちらは通算9週目のベスト10ヒットとなります。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

Heatseekers Songsは、柊マグネタイト「テトリス」が8週連続で1位獲得。動画再生回数は先週から変わらず7位をキープ。Hot100は42位から40位と、若干の上昇となっています。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

ボカロチャートでも柊マグネタイト「テトリス」が先週も1位を獲得。これで通算10週目の1位獲得となっています。また、DECO*27「モニタリング」は先週と変わらず2位をキープ。また、先週4位にダウンしたぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ「み む かゥ わ ナ イ ス ト ラ イ」は3位に再びアップ。またこの3曲がベスト3に並ぶ結果となっています。

今週のHot Albums&Heatseekers&ボカロチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2025年2月12日 (水)

今週もMrs.GREEN APPLEがチャートを席巻!

今週のHot100

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今週はまた、Mrs.GREEN APPLEがチャートを席巻!なんとベスト10のうち5曲までが彼らの曲となりました。

ただし1位は新曲。男性アイドルグループBE:FIRST「Spacecraft」がランクイン。CD販売数、ダウンロード数、ラジオオンエア数及び動画再生回数で1位を獲得。ストリーミング数でも9位を獲得し、他を圧倒しての1位獲得となっています。オリコン週間シングルランキングでも初動売上10万枚で1位初登場。前作「Masterplan」の初動10万9千枚(1位)から若干のダウンとなっています。

そしてMrs.GREEN APPLE。まずは2位3位に今週も「ライラック」「ダーリン」が並んでいます。ただし「ライラック」は3位から2位にアップ、「ダーリン」は2位から3位にダウンし、先週とは逆の順位に。「ライラック」はストリーミング数が2週ぶりの1位返り咲き。カラオケ歌唱回数は5週連続の1位、動画再生回数も3週連続の2位をキープ。「ダーリン」はストリーミング数は1位から2位にダウン。一方、動画再生回数は先週から変わらず3位をキープ。ダウンロード数も5位から4位にアップしています。これで「ライラック」は43週連続のベスト10ヒット&通算29週目のベスト3ヒットとなります。

また、以下、「ビターバカンス」が9位から7位、「ケセラセラ」が10位から8位にアップしたほか、「Soranji」が12位から9位にアップし、こちらは2週ぶりのベスト10返り咲きとなっています。ストリーミング数が「ビターバカンス」5位、「ケセラセラ」6位といずれも3週連続同順位をキープ。さらに「Soranji」は8位から7位にアップしています。これで「ビターバカンス」は11週連続、「ケセラセラ」は通算34週目のベスト10ヒットとなっています。

さらに「青と夏」が16位、「点描の唄 feat.井上苑子」が21位、「familie」が18位にランクインしているほか、2019年のシングル曲「僕のこと」が今週15位にランクイン。これでベスト20圏内でMrs.GREEN APPLEは9曲同時ランクインという結果となっています。

今週4位以下では初登場曲はないのですが、ベスト10返り咲きが1曲。女性アイドルグループCUTIE STREET「かわいいだけじゃだめですか」が先週の13位から10位にランクアップ。6週ぶりのベスト10返り咲き。ストリーミング数が15位から11位にアップしているほか、動画再生回数が5位、カラオケ歌唱回数が3位にランクインしています。

そんなMrs.GREEN APPLEに席巻されているチャートなだけに、他のロングヒット曲は1曲のみで、ロゼ&ブルーノ・マーズ「APT.」が今週8位から5位にアップ。ストリーミング数が4位から3位に、ダウンロード数は14位から9位にアップ。ただし、動画再生回数は8位から9位にダウン。先週まで失速気味と思いきや、まだまだ根強い人気がありそう。これで16週連続のベスト10ヒットとなっています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heat Seekers&ボカロチャート!

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2025年2月11日 (火)

blurドキュメンタリー2本同時公開!

先日、blurのドキュメンタリー映画が公開されたので、映画館に足を運んできました。今回はその紹介です。

今回、2本同時公開という形となっており、1本は2023年7月に行われたロンドンのウェンブリースタジアムで行われたライブの模様を収録した「blur:live at wembley stadium」、もう1本は、昨年リリースしたアルバム「The Ballad of Darren」のレコーディングのために集まったメンバーの模様を収録したドキュメンタリー映画「blur:TO THE END」の2本となります。

とはいえ、さすがに2本も映画館で見るだけの時間的余裕はなく、うち「TO THE END」は公開同時に各種動画サイトでの同時公開となったため、そちらで視聴。一方、「live at wembley stadium」の方は映画館でしっかりと見てきました。

   Blurmovie

さて、まずは「TO THE END」。こちらは前述の通り、レコーディングに集まったメンバーの模様から、ウェンブリースタジアムのライブへ挑む姿まで収録されており、「live at wembley stadium」の前哨戦的なドキュメンタリー映画。そういう意味で、まず「live at wembley stadium」の前にこちらの映画を見ることをお勧めします(そのため、動画サイトでの同時公開となっているのでしょう)。

ただ、こちらはレコーディング風景を詳細に追った、という形でも、ウェンブリースタジアムのバックヤードに迫った、という映画ではありません。まあ、そういう風景も収録はされているのですが、この映画で主眼となっているのは、バンドメンバーそれぞれの関係性を、blurの思い出話を重ねながら追った、そんなドキュメンタリー映画となっています。

メンバーが久々に集まったということもあって、同窓会的な雰囲気を醸し出しており、特にアレックスがコメントした、メンバーがそろえばいつでも19歳に戻る、というコメントが非常に印象的。メンバー全員、和気あいあいとした空気が流れており、バンドとしては、いい意味で若い時期の仲間関係をそのまま維持しているんだな、という感じを受けました。

まあ、それだけメンバー全員、歳を取ったなぁ、ということは感じます。デーモンとアレックスは今年57歳、グレアムは56歳、デイヴに至っては今年還暦(・・・という言い方は向こうではしないのでしょうが)ですからね。バンドとして、若い時分を懐かしむ雰囲気になりますよね。私もアラフィフ世代となり、今の彼らの気持ちはなんとなくわかるように思います。

そして「live at wembley stadium」。こちらは映画館の大画面で楽しんできたのですが、非常に音もよく、ライブ会場の臨場感もしっかりと感じられる映画となっていました。

ウェンブリースタジアムはサッカーの聖地とも呼ばれるそうですが、大きなスタジアム満員に詰まった観客に、今なおblurが絶大な人気を誇っていることを感じられます。観客席の映像もよく映ったのですが、30年以上のキャリアを誇るバンドながら、観客層は比較的若い感じがします。90年代の全盛期のみならず、その後もしっかりとファンを確保し続けているということなのでしょう。ちなみに、観客としてやけにかわいい女の子ばかりが映るのはちょっと露骨な感じも・・・(特にアジア系が目立ったのは監督の趣味か?(苦笑))。

セットリストの方は、彼らの代表曲を惜しみなく展開するような構成となっており、おなじみの曲の連続に大興奮。あらためて感じるのですが、やはりblurの曲は、ロックバンドとして高揚感を覚えるというよりは、素直に聴いていてワクワクするようなポップな曲が多い、ということを感じます。ここらへんは、ライブ会場の全員でシングアロングするようなoasisの曲とは対照的ですね。

そういうこともあってか、セットリストの構成としては、途中に聴かせる曲を並べる、とか、最後に高揚感のある代表曲を連発する、という感じではなく、ポップな曲も盛り上がる曲も全体に散らばって配置されている感じ。「Song2」とか「Girls&Boys」のような盛り上がるナンバーも後半とはいえ、一番最後に配されているわけでもなく、ラストも「The Universal」というおとなしいナンバーで終了。ここらへんもある意味、blurらしい、と言えるのかもしれません。

基本的にはウェンブリースタジアムでのライブの模様をそのまま収録しただけのライブ映画ですが、前述の通り、音質には臨場感もあり、また、映像にしてもへんなひねりなどもなく、素直にステージの模様や、ステージ上でのメンバーの表情をしっかりと捉えていました。あまり癖のない作りにはなっていたのですが、その分、ライブを存分に楽しめる映像になっていたように感じました。

このウェンブリースタジアムのライブ、さらには2024年のコーチェラフェスへの出演を最後に、再び活動休止状態になった彼ら。この映画のタイトルも「TO THE END」になっていたり、毎回、「これで最後」みたいなことを(特にデーモンが)口にする傾向があるのですが、ただ、バンドとしての雰囲気は悪くなさそうだし、何年かすると、また懐かしくなって再集結するんでしょうね。彼らのライブはまだ一度も見ていないだけに、是非また来日してライブを実施してほしいのですが・・・。blurの魅力を存分に感じると共に、メンバーも歳を取ったなぁ・・・と感慨に浸ってしまう映画でした。

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2025年2月10日 (月)

平均年齢67歳!

Title:Sustainable Banquet
Musician:吾妻光良&The Swinging Boppers

日本を代表するジャンプ・ブルースバンド、吾妻光良&The Swinging Boppersの約5年半ぶりのニューアルバム。結成45周年、バンドメンバーの平均年齢が67歳という高齢者バンドの彼ら。メンバーは基本的に他の仕事と兼業している「アマチュアバンド」であるというのも大きな特徴(ただ、吾妻光良は既に会社を定年退職しているようですし、他のメンバーも年齢的にそろそろ退職の時期だと思うのですが・・・)。ある意味、日本でもっとも有名な「アマチュアバンド」かもしれません。

総勢12名、ホーンセッションやピアノもメンバーに加わり、非常に賑やかな彼ら。以前から非常に明るいジャンプブルースやスウィングジャズの楽曲を聴かせてくれるのですが、今回は特に終始明るくハッピーなナンバーが並んでいました。タイトル通り、みんなであつまって明るい宴会風景をそのまま描いたような「打ち上げで待ってるぜ」からスタートし(「ドロン」なんていう、いかにも還暦世代らしい死語も登場したり・・・)、軽快でコミカルながらもシニカルな歌詞も印象的な「俺のカネどこ行った?」、ラストを締めくくる「BIG BUG BOOGIE」も非常に楽しいブギウギのナンバーで締めくくられています。

今回はゲスト勢も目立ち、軽快な「Boogie-Oogie」ではEGO-WRAPPIN'が参加。中納良恵が力強いボーカルを聴かせてくれていますし、ナット・キング・コールの「L-O-V-E」のカバーでは、Leyonaが参加し、爽やかなボーカルで軽快で歌い上げています。

基本的に聴いていて純粋に楽しい、ウキウキするようなJUMP&JIVEの曲が並んでいるのが大きな特徴。平均年齢67歳という年齢を感じさせない力強く、軽快で明るいサウンドが非常に魅力的となっています。ただ、一方、前作と同様、気になるのが歌詞の世界で、年をとった自分たち、今の時代についていけなくなった自分たちを自嘲的につづっています。私自身ももうアラフィフ世代に入ってきており、決して若くないのですが、歌詞にはちょっと違和感を覚えます。なにが違和感なのかなぁ・・・と思ったのですが、自分たちの価値観を自嘲的に描いたように見せつつも、実はどこか今の文化・風潮を下に見ている部分が垣間見れる「老害」的な部分を感じてしまうからのように感じます。

ただ、この点について、前作「Scheduled by the Budget」ではHIP HOPを偏見混じりに取り入れたりして、かなり嫌悪感を覚える部分もあったのですが、今回に関しては、そこまでの嫌悪感はありません。楽曲自体の楽しさがしっかりと先に立った感じがあり、ちょっと違和感がある部分はありつつも、楽曲自体の楽しさをさほど歪めるものにはなっていません。

とはいえ1点だけちょっと気になったのは前述の「俺のカネどこ行った?」で、いろいろとお金を取られて辛い・・・といった歌詞なんですが・・・ただ、吾妻光良って、日本テレビの執行役員まで務めて、子会社の社長まで歴任した、サラリーマンとして列記としたエリートなんですよね・・・正直、その経歴を考えると「お金がない」的な歌詞はちょっと違和感を覚えてしまいました。

そんな部分はありつつも、概ね、非常に楽しめるJUMP&JIVEの楽曲を聴かせてくれていたと思います。平均年齢67歳ですが、年齢的な衰えは全くなく、これからもまだまだ元気な活動が続きそうです。心の底から陽気で楽しい音楽が流れてきたアルバムでした。

評価:★★★★

吾妻光良&The Swinging Boppers 過去の作品
Scheduled by the Budget


ほかに聴いたアルバム

901号室のおばけ/柴田淳

しばじゅんの約4年ぶりとなるニューアルバム。彼女らしい切ないラブソング「綺麗なままで」からはじまり、非常に怖い歌詞がインパクトの「〇〇ちゃん」や、歌謡曲風の「透明な私」など、それなりにバリエーションを出しつつ、ピアノとストリングス主体のサウンドでしんみりメランコリックに聴かせるスタイルはいつもと同様。楽曲として安定感はあるものの、一方で、全体的に無難な感じは否めず、インパクトは薄めか。いい意味で安心して楽しめる彼女らしいアルバムではあるのですが。

評価:★★★★

柴田淳 過去の作品
親愛なる君へ
ゴーストライター
僕たちの未来
COVER 70's
あなたと見た夢 君のいない朝
Billborda Live 2013
The Early Days Selection
バビルサの牙
All Time Request BEST~しばづくし~
私は幸せ
プライニクル
おはこ
蓮の花がひらく時
20th Anniversary Favorites:As Selected By Her Fans

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2025年2月 9日 (日)

沖縄のミュージックシーンを知るには最適な1冊

今日は、最近読んだ音楽関連の書籍の紹介です。

「オキナワミュージックカンブリア:ラジオが語る沖縄音楽50年」。沖縄のラジオ局、エフエム沖縄が、本土復帰50周年を記念して放送された、同タイトルの番組を土台に構成された、沖縄のミュージックシーンについて綴った書籍。1970年代から2020年代までの50年にわたる沖縄のミュージックシーンの変遷がまとめられた1冊となっています。

ご存じの通り、沖縄の音楽というのは、本土における音楽とは異なる音楽の歴史・文化を持っています。もともと沖縄・琉球地域は本土とは異なる歴史や文化を持った地域であり、それが音楽にも直接的に反映されており、特に私たち本土の人間からすると、ともすればエキゾチックに感じられる沖縄音楽に対して、異文化的な興味を抱くことが少なくありませんし、かくいう私も、そういう視点から沖縄の音楽シーンについては以前から興味がありました。

本作は、そんな沖縄のミュージックシーンの歴史について簡潔にまとめています。基本的にはラジオ番組をベースとしているため、文章もわかりやすく、かつ、ポップスシーンについて非常に幅広くおさえられているのも特徴的。本土でのいろいろな音楽雑誌や音楽関連の書籍でも、嘉納昌吉やりんけんバンド、知名定男などといったミュージシャンたちは取り上げられることが多いのですが、ジョニー宜野湾とか、パーシャクラブとか、ティンクティンクとか、私も本作ではじめて知ったような、いわば本土の音楽誌ではあまり取り上げられない一方、沖縄ではよく知られており、かつポップスシーンの中で重要と思われるミュージシャンたちも取り上げられています。

いわば本土の音楽雑誌や音楽関連の書籍で取り上げられている沖縄音楽は、外部の人間から見た沖縄のシーンの話であるのに対して、本書は沖縄の人たちが見た沖縄のミュージックシーンの話。それだけに、非常にリアリティーがあり、かつはじめて知るような話ばかり。また、沖縄のミュージックシーンは確かに本土のミュージックシーンとは全く異なる文化が形成されていることを今回、あらためて知り、ますます沖縄のミュージックシーンに対して興味を抱くことが出来ました。

また、本書で特徴的なのは、そんな沖縄のミュージックシーンを代表するミュージシャンたちのインタビュー記事が載せられていること。嘉納昌吉や照屋林賢といった大御所やBEGIN、HY、さらにはCoccoやKiroroなど豪華ミュージシャンたちがインタビューに応じているのは、さすがFM局ならでは、といった感じでしょうし、また、地元で愛されるFM局だからこそ、多くのミュージシャンたちがインタビューに応じているのでしょう。この点も本書の大きな魅力であり、特徴でした。

そんな中で印象的だったのはBEGINの島袋優のインタビューの中で、沖縄の音楽が東京のレコード店でワールドミュージックのコーナーで取り上げられていたことに関して、「沖縄の音楽はワールドミュージックじゃない!日本の歌なんだ!」と言い続けているという話。確かに、沖縄というのは間違いなく日本の一部であって、沖縄の音楽も間違いなく「日本の音楽」の一部なんだよな、ということに、今回ハッと気が付かされました。

沖縄のミュージックシーンについて俯瞰でき、かつあらためて沖縄のミュージックシーンについて多く知ることが出来た1冊。ここに登場してきたミュージシャンたちについては、あらためて聴いてみたい、と強く感じました。ただちょっと残念なのは、その際に最初に聴くべきようなアルバムの紹介がなかったこと・・・。この点はやはりストリーミングの時代となり、名盤ガイドというのはいまさら流行らないのでしょうか・・・。また、基本的にエフエム沖縄が制作し、発行元も沖縄の出版社ということもあり、本土ではほとんど書店に並んでいないにも残念。むしろ沖縄のミュージックシーンを知ってもらうために、もっと本土でも書店に並べてほしい1冊だと思うのですが・・・。ともかく、沖縄のミュージックシーンに興味がある方は、是非、取り寄せてでも読んでほしい1冊。非常に勉強になりました。

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2025年2月 8日 (土)

大人気レジェンド同士の組み合わせ

「玉響(たまゆら)」さだまさし・立川談春二人会

会場 Niterra日本特殊陶業市民会館 フォレストホール 日時 2025年1月22日(水) 18:00~

今回のライブレポートは、いつもとはちょっと異なる感じのイベントです。こちらのイベントは、落語家の立川談春の落語会に、ゲストとして彼と親交のあるさだまさしを呼んだもの。「玉響」と題されたこのイベントは、もともと東京で行われ、この時は斉藤和義やaikoらのミュージシャンとのコラボが行われたそうですが、今回はさだまさしとコラボして全国ツアー。名古屋でも開催されたため、足を運びました。

個人的にはお目当てはどちらかというと立川談春。個人的な趣味で落語会や寄席にもちょくちょく足を運んでいて、彼もその中で、一度落語会を見てみたい落語家の一人でした。立川談春は、「今、もっともチケットが取れない落語家」の一人と言われるほど人気のある落語家で、この日もさだまさしの人気はあるものの、市民会館のフォレストフォールというキャパ2,000人クラスの会場がほぼ満員となっていました。

一方、さだまさしも実は一度くらいは見てみたいなぁ、と思っていたミュージシャン。彼に限らず、邦洋問わず、レジェンドクラスのミュージシャンは見れるうちにライブを見たい、という気持ちもありました。今回、いい機会なのでさだまさしのライブを見てみたい、ということで足を運びました。

さて、18時になりスタート。基本的に落語会ということで、太鼓の音が開幕を知らせます。ちなみに開演前にはさだまさしが、湯飲みを準備しにステージ上にあらわれて、ちょっと会場も沸いたりして・・・。まずは立川談春の登場。立ったままトークを軽く行った後に、ステージ上にセットされた縁台の上の差布団に座り、落語がスタートとなります。この日は事前に古典落語の「芝浜」を演じるということは公表されていたのですが、その「芝浜」に関する、彼の師匠、立川談志との出会いの話。中学生の頃、立川談志の落語会を聴いて、好き嫌い、いい悪いの感情以前にとにかく圧倒され、立川談志への弟子入りを決めたというエピソード。さらに同じ会場に兄弟子の立川志の輔も観客として落語を聴いており、彼もまた、談志の「芝浜」を聴いて落語家になる決心をした、という話。落語のすごさ(というか、談志のすごさ)を物語るエピソードでした。

その後は「芝浜」をスタート。いきなりの大ネタでちょっとビックリしました。最初は1本、違う演目を演ってから、中入り後に「芝浜」だと思っていたので・・・。ただ、こちらは魚屋の勝五郎が拾ってきた財布を、女房が夢としたところでいったん終了。30分程度で談春は一度、ステージを下ります。

そしてここからはさだまさしのステージ。この日のセットリストは家族をテーマに談春からの要望により決めたセットリストだそうで、最初は「案山子」からスタート。1曲終わると、さだまさしのMCに。トークに定評があることは以前から知っていたのですが、このMCが長い(笑)。最初は主に落語論の話で、彼がいかに落語が好きか、また、昭和の名人の話になり、昭和の名人に関するエピソードを延々と語っていました。

さらに続いては「秋桜」に。アコギをつま弾きつつ、有名な名曲をしんみりと歌い上げ、聴いていてこちらも思わず目頭が熱くなります。しかし、曲が終わると、余韻もなく再びトークへ(笑)。このギャップが彼のライブの人気の秘密なのでしょうか。そして3曲目は「北の国から」!いろいろとパロで使われることも多いこの曲なので、思わず「本物の、本人歌唱だ!!」と思ってしまいました。ただ、かなり意外だったのは「みんなも歌ってください」と会場全体で合唱となったこと。この曲、そんな使われ方するんだ!!とかなりビックリしました。

その後は「関白宣言」を歌うのか・・・と見せかけ、「今の時代、こういう曲はやりにくくなった」という話からコントみたいな展開に突入し、結果、「関白宣言」の後日談的な「関白失脚」へ。最後の「がんばれ」の部分で再度の合唱となります。さらに後半は、能登大地震の支援活動の話を挟みつつ、「命の別名」。さらにここで談春が登場し、二人で軽くトークした後、談春からのリクエストということで「最期の夢」で締めくくり。約1時間半弱のステージでした。

中入り15分の休憩の後は、再び立川談春へ。「芝浜」の後半部分をじっくりと聴かせます。まずはおなじみの「また夢になるといけない」というオチで一度落とした後、場面を少し戻して、談春が創作したオリジナルなアナザーストーリーへ展開。最後はさだまさしの「最期の夢」にからめたオチをつけて、幕を下ろします。

談春の「芝浜」は、風景描写などは比較的あっさりとしている反面、登場人物の心理描写、特に主人公の勝五郎と女房の関係性により焦点をあててじっくりと話を聴かせるスタイル。談春は見た目かなりゴッツイおじさんなのですが(笑)、繊細さも感じられ、女房を演じる時には色っぽさも感じるからさすがです。

オチの後はそのまま緞帳が下りずに、軽くトークに入るのが談春のスタイルらしく、最後は写真撮影の許可も出て、みんなで撮ってください、という話に。

Dansyun

舞台上から観客席全体を写す記念撮影を行い、この日の落語会は幕を下ろしました。ちょうど3時間のステージでした。

立川談春の落語ははじめて聴いたのですが、笑いを取りに行くというよりも人情噺をじっくりと聴かせるスタイル。特に心理描写をしっかりと語っており、非常に聴かせる内容でした。個人的にはもう一話、軽い滑稽話とかも聴いてみたかったのですが、それはまた次の機会に、ということで。

さだまさしのステージ、今回はじめて見たのですが、やはり歌が上手いなぁ、と感心しましたし、何よりも泣かせます。その歌とユニークなトークのギャップがまた面白く、その点、多くのファンが惹きつけられるのはわかるような感じはします。ただ一方、ステージ全体の雰囲気というかノリは、自分たちの親世代(60歳後半~70歳程度)に向けられた感があり、若干、居心地の悪さを感じる部分も否めませんでした。

そんな訳でボリュームたっぷりの3時間。非常に楽しめたステージでした。落語と音楽の組み合わせって、時々あるのですが、「異種格闘技戦」のような組み合わせながらも、そこに違和感もなく、非常にマッチしていたステージでした。

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2025年2月 7日 (金)

プロフェッショナリズムを感じさせる偉大なギタリストのコンピ盤

Title:VINTAGE VIOLENCE~鮎川 誠GUITAR WORKS
Musician:鮎川誠

2023年に74歳でこの世を去ったギタリストの鮎川誠。ご存じシーナ&ザ・ロケッツやサンハウスのメンバーとして活躍し、日本のロックシーンを代表するギタリストとして多くのミュージシャンから敬愛されてきた彼。そのため、様々なミュージシャンとのコラボを行い、ギタリストとしても参加してきたのですが、今回は彼が主にギタリストとして参加してきた楽曲をまとめた、サブタイトル通り、彼のワーク集となります。

コラボ、という話をすると彼のギターがコラボとして向くのかどうか、と言われると微妙な部分があって、鮎川誠のギターは、間違いなく目立ちます。彼のギターは、ブラック・ビューティーという愛称を付けられたギブソン・レスポール・カスタムで、そこから紡ぎだされるサウンドは、ブルースやブリティッシュロックに強い影響を受けたガレージサウンドが特徴的。決して派手なギタープレイを聴かせる訳ではないものの、力強いヘヴィーなサウンドと、絶妙なグルーヴ感が強い魅力となっており、どんな楽曲の中でもしっかりと主張してくるため、曲によっては必ずしもマッチしない場合もあるかもしれません。

それでもこのワーク集では、思った以上に様々なタイプの楽曲と、鮎川誠のギターサウンドがコラボしています。自身のバンド、サンハウスやシーナ&ザ・ロケッツ、また鮎川誠ソロ名義の作品も多いのですが、一方でYMOによるビートルズのカバー曲「Day Tripper」や、高橋幸宏の「Murder By The Music」にも参加。鮎川誠のギターのタイプとはちょっと異なりそうなニューウェーヴの楽曲の中で、しっかりそのギタープレイを主張しながらも、楽曲の中に上手く溶け込ませています。

泉谷しげるの「火の鳥」とのコラボもユニーク。かなりハードロック寄りの楽曲で、力強い泉谷しげるのシャウトに、これでもかというほどの鮎川誠のギタープレイも印象的。コラボの中でもあまり抑制されず、好き勝手に弾きまくっているのが爽快な感じ。ジャズピアニストの佐山雅弘とのコラボ「From Dusk Till Dawn」も印象的で、こちらは軽快なピアノと繰り広げられるブルースのインストナンバーに。シンプルながらもしっかりと主張してくるブルージーな鮎川誠のアコースティックギターが強い印象に残ります。

印象に残るコラボといえば、イジワルケイオールスターズ「Say Good Bye (赤バージョン)」でしょう。アニメから派生されたユニットのようですが、甲本ヒロトやチバユウスケ、さらにルースターズのメンバーから、黒夢の清春、プリプリの中山加奈子、さらには元光GENJIの諸星和己まで参加している、よくこれだけ揃えたな・・・と今から考えると、かなり豪華なユニットの中に参加。ここでも鮎川誠のギターが、しっかりと主張しています。

さらに異色なのが原由子の「ヨコハマ・モガ」で、桑田佳祐らしいムーディーな昭和歌謡曲なのですが、ここではギターだけではなく、なんとボーカルで参加。原由子とムーディーなデゥオを繰り広げられています。

これらのコラボで感じるのは、独特で主張の強いギタープレイと反して、その参加している楽曲については、かなりの柔軟性を感じさせるという点。ある意味、彼のギターが楽曲の中でしっかりと組み込まれるのであれば、どんな楽曲であろうと全力で参加するという、彼のプロフェッショナルな精神性も感じられます。

もちろん、彼自身のバンドや鮎川誠ソロ作で、彼が嗜好する楽曲も存分に味わえる本作。あらためて鮎川誠が意外なギタリストであったことを実感できるコンピレーションアルバムでした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

CITRUS CURIO CITY/フレデリック

フレデリックの最新作は全8曲入りのミニアルバム。以前からメランコリックなメロとリズミカルでダンサナブルなリズムの組み合わせはインパクトはあるものの、似た曲が多い、という弱点のあった彼ら。今回のミニアルバムも確かに似たタイプの曲は多い反面、ギターサウンドを前に押し出した曲がメインながらも、「Hapiness」のようなシンセを前に押し出した曲や「hitotoki no raspberry」みたいにファンキーさを前に出してきた曲など、それなりにバリエーションを付ける点にもチャレンジしている感も。ただ、その分、インパクトの面では前作より弱かった印象も。

評価:★★★★

フレデリック 過去の作品
フレデリズム
TOGENKYO
フレデリズム2
ASOVIVA
ANSWER(フレデリック×須田景凪)
フレデリズム3
優游涵泳回遊録

GOOD DAY/ハナレグミ

約3年半ぶりのリリースとなるハナレグミの9枚目のオリジナルアルバム。いつもと同様、日常風景を描いた、ほっこりと暖かい雰囲気のポップスが魅力的。基本的にはアコースティックベースのサウンドがメインなのですが、途中からバンドサウンドも入り、スケール感もある「Wide Eyed World」やエレピが入って軽快な「会いにいこう」のような曲も。ただ、前作同様、全体的にほっこりと暖かい雰囲気ながらもインパクト不足が気になるところ。ちょっと無難すぎるという印象も・・・。

評価:★★★★

ハナレグミ 過去の作品
あいのわ
オアシス
だれそかれそ
どこまでいくの実況録音145分(ハナレグミ,So many tears)
What are you looking for
SHINJITERU
Live What are you looking for
発光帯

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2025年2月 6日 (木)

1位はK-POPのアイドルグループ

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週はK-POPのアイドル勢が1位獲得です。

まず1位は韓国の男性アイドルグループZEROBASEONE「PREZENT」が獲得。日本盤では初となるEP。CD販売数1位、ダウンロード数9位。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上25万7千枚で1位初登場。直近の韓国盤のミニアルバム「CINEMA PARADISE」の初動4万枚(4位)からアップしています。

2位3位は今週もMrs.GREEN APPLE「ANTENNA」「Attitude」が並んでランクイン。これで3週連続2位3位が同じアルバムとなります。またストリーミング数は今週も変わらず、「ANTENNA」が7週連続の1位、「Attitude」が5週連続の2位を獲得。「ANTENNA」はこれで通算20週目のベスト10ヒット、通算10週目のベスト3ヒット、「Attitude」も今週で通算8週目のベスト10ヒット、通算6週目のベスト3ヒットとなりました。

4位以下のベスト10入り初登場は1枚だけで、10位にちゃんみな「Never Grow Up」が先週の24位からランクアップし、ベスト10入り。2019年8月にリリースされた彼女2枚目のアルバムですが、当時はベスト10入りしていませんでしたので、これが初のベスト10ヒットとなります。ちゃんみなは「ハレンチ」も今週、6位からワンランクアップの5位につけており、2作同時ランクインとなっています。

他のロングヒット盤は、No.I「Number_i」が7位から4位にアップ。ベスト10ヒットは通算10週目に。特にストリーミング数が6位から3位に大幅アップ。Vaundy「replica」は今週4位から7位にダウン。ストリーミング数も3位から6位にダウン。ただ、ベスト10ヒットはこれで通算12週目に。Vaundyは「strobo」も5位から6位にダウンしたもののベスト10をキープ。こちらもベスト10ヒットは通算8週目に到達しています。

「APT.」が大ヒット中のロゼ「ロージー」も今週9位から8位にランクアップ。こちらもベスト10ヒットは通算8週目に。米津玄師「LOST CORNER」は8位から9位に再びダウン。ただ、こちらもベスト10ヒットを通算13週に伸ばしています。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

Heatseekers Songsは、柊マグネタイト「テトリス」がこれで7週連続で1位獲得。動画再生回数は6位から7位にダウン。Hot100も35位から42位と、全体的には下落傾向となっています。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

ボカロチャートでも柊マグネタイト「テトリス」が先週に引き続き1位を獲得。DECO*27「モニタリング」は先週と変わらず2位をキープ。一方、ぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ「み む かゥ わ ナ イ ス ト ラ イ」は4位にダウンし、ついにこの3曲が並ぶチャートは8週連続でストップ。代わりにじん「Worlders」が初登場で3位にランクインしてきています。

今週のHot Albums&Heatseekers&ボカロチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2025年2月 5日 (水)

新曲ラッシュ

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週はベスト10のうち4曲が初登場と、比較的、新曲の多いチャートとなりました。

Godi

まず1位初登場は男性アイドルグループNumber_i「GOD_i」が獲得。TOBE所属の元King&Princeのメンバーによるグループの配信限定シングル。ダウンロード数、ラジオオンエア数及び動画再生回数で1位を獲得。ストリーミング数16位。総合チャートでは見事1位を獲得しています。

一方、2位3位は今週もMrs.GREEN APPLE「ダーリン」「ライラック」が並び、先週と同順位をキープ。「ダーリン」はダウンロード数が2位から3位、動画再生回数も1位から3位にダウンしている一方、ラジオオンエア回数は18位から2位、さらにはストリーミング数が2位から1位にアップしています。「ライラック」は4週連続で1位を獲得していたストリーミング数が2位にダウンしたものの、動画再生回数は先週から引き続き2位をキープ。さらにカラオケ歌唱回数は4週連続の1位をキープしています。これで「ライラック」は42週連続のベスト10ヒット&通算28週目のベスト3ヒットとなっています。

さらに今週も、「ビターバカンス」が9位、「ケセラセラ」が10位にランクイン。それぞれ6位、5位からのランクダウンとなりましたが、これで4曲同時ランクインに。一方「Soranji」は12位にダウンと、2週連続の5曲同時ランクインとはなりませんでした。これで「ビターバカンス」は10週連続、「ケセラセラ」は通算33週目のベスト10ヒットとなります。

次に4位以下の初登場曲ですが、まず4位に米津玄師「BOW AND ARROW」が初登場でランクイン。テレビ朝日系アニメ「メダリスト」主題歌。ダウンロード数2位、ストリーミング数7位、ラジオオンエア数8位、動画再生回数19位で、総合チャートもこの位置にランクインしています。ちなみに米津玄師は先週1位だった「Plazma」も今週5位をキープ。2曲同時ランクインとなっています。

6位には、秋元康系女性アイドルグループ日向坂46「卒業写真だけが知ってる」がランクイン。CD販売数1位。オリコン週間シングルランキングでは初動売上42万8千枚で1位初登場。前作「絶対的第六感」の初動47万6千枚(1位)よりダウン。

7位にはハロプロ系女性アイドルグループBEYOOOOONDS「Do-Did-Done」がランクイン。CD販売数2位、ダウンロード数12位。オリコンでは初動売上7万1千枚で2位初登場。前作「灰toダイヤモンド」の初動6万8千枚(3位)からアップしています。

今週は新曲が多かった影響で、ロングヒット曲は軒並みランクダウン。ロゼ&ブルーノ・マーズ「APT.」は4位から8位にダウン。ダウンロード数は12位から14位、動画再生回数も4位から8位にダウン。ただストリーミング数は先週から変わらず4位をキープしていますので、来週以降の巻き返しに期待されます。これで15週連続のベスト10ヒットに。

一方、Creepy Nuts「オトノケ」は8位から14位、Omoinotake「幾億光年」は9位から11位と、いずれもベスト10圏外にダウン。それぞれベスト10ヒットは、「オトノケ」は連続16週、「幾億光年」は通算37週で一度ストップです。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heatseekers&ボカロチャート!

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2025年2月 4日 (火)

2024年年間ベストアルバム(邦楽編)その2

昨日に引き続き年間私的アルバム邦楽編。今日は5位から1位までです。

5位 ミーンミーンミーン☆ゾーンゾーンゾーン/マハラージャン

聴いた当時の感想は、こちら

昨年、ミュージシャン名義をMRJと変えたシンガーソングライターの、旧名称ではラストとなったオリジナルアルバム。ユーモアセンスあふれるファンキーなポップチューンが楽しく、いろいろな意味でインパクト十分。ロックやファンク、ディスコチューン、エレクトロの要素などを取り入れた多彩な音楽性も大きな魅力に。十分ブレイクするポテンシャルはあると思うのですが。

4位 自然のコンピューター/OGRE YOU ASSHOLE

聴いた当時の感想は、こちら

実に5年ぶりとなるOGRE YOU ASSHOLEのニューアルバム。アルバム毎にスタイルを変えて、常に新しい姿を模索し続ける彼らですが、今回のアルバムではエレクトロサウンドを大胆に導入。また新たなOGRE YOU ASSHOLEのサウンドを追求する作品となっています。一方で、そぎ落としたシンプルなサウンドで、独特のグルーヴ感を生み出しているというスタイルは今回も同様。今回も彼らの実力に舌を巻く傑作アルバムに仕上がっていました。

3位 呪文/折坂悠太

聴いた当時の感想は、こちら

アルバムをリリースする毎に、年間ベストクラスの傑作を生み続けているシンガーソングライター折坂悠太の最新作。今回のアルバムに関しては、比較的シンプルに「歌」を聴かせる作品に仕上がっていました。基本的にはアコースティックなサウンドがメインとなる作品なのですが、ただその中にサイケなサウンドを入れてきたり、日常を描く歌詞の世界にも、チラッと社会派な主張を忍び込ませてきたり、単なるポップアルバムとは異なる、折坂悠太らしい味はしっかり覗かせるアルバムに。あらためて彼の実力を感じさせる傑作でした。

2位 Slash-&-Burn/Daoko

聴いた当時の感想は、こちら

自主レーベル移籍後、初となるDaokoのニューアルバム。自主レーベルということで自由度が増したアルバムになっており、バラエティーあふれる音楽性には実験的要素も目立ち、その幅がグッと広がった感も。歌詞にしても、Daokoの本音をつづったような歌詞にドキリとさせられる部分も。もちろん彼女のキュートな歌声は今回も健在。彼女の実力をあらためてアピールする傑作に仕上がっていました。

1位 LOST CORNER/米津玄師

聴いた当時の感想は、こちら

2024年年間ベストアルバム邦楽編の1位は、今をときめくシンガーソングライター米津玄師のニューアルバムが獲得。ヒット曲を連発する彼だけに、楽曲的にはいい意味で万人受けしそうなお茶の間対応でありつつも、しかしよくよく聴くと、昔の米津玄師と同様のひねくれた毒の要素も入っており、根本の部分はいい意味で変わっていないことにも気が付きます。日本のトップシーンを担うミュージシャンが、こういう傑作アルバムをリリースするあたり、非常に頼もしさを感じる作品でした。

あらためて1位から10位を並べると・・・

1位 LOST CORNER/米津玄師
2位 Slash-&-Burn/Daoko
3位 呪文/折坂悠太
4位 自然のコンピューター/OGRE YOU ASSHOLE
5位 ミーンミーンミーン☆ゾーンゾーンゾーン/マハラージャン
6位 らんど/ZAZEN BOYS
7位 ラヴの元型/AJICO
8位 Contact/角銅真実
9位 魔法学校/長谷川白紙
10位 POP DELIVERY/水曜日のカンパネラ

ほかのベスト盤候補は・・・

時をかけるメロディー/小山田壮平
wood mood/藤原さくら
POPCORN/THE BOWDIES
放生会/椎名林檎
ディスコの卵/ゲスの極み乙女
残心残暑/aiko
My Favorite Things/柴田聡子

・・・洋楽同様、全体的には不作気味、特に下期に関してはかなりの不作だったように感じます。どうしちゃったのかなぁ、という印象も。ひょっとしたら、ストリーミング全盛にアルバムが軽視されはじめているのか、という若干の不安も抱きつつ、とはいえ、結果としてベスト10に並んだのは、やはり例年に劣らない傑作にはなっていたと思います。来年は、もっともっと名盤がリリースされればよいのですが。

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2025年2月 3日 (月)

2024年年間ベストアルバム(邦楽編)その1

洋楽編に続き、今日明日は邦楽の2024年年間ベストアルバム。

10位 POP DELIVERY/水曜日のカンパネラ

聴いた当時の感想は、こちら

ボーカリストが詩羽に代わってから、早くも3枚目となるミニアルバム。すっかり、水カンのボーカル=詩羽というイメージがついてしまいました。さすがに年間1位とした前作「RABBIT STAR★」と比べると、若干勢いはダウンしてしまっているものの、今回も水カンらしい聴いていてとても楽しいポップソングがつまったアルバムに仕上がっています。水カンの勢いはまだまだ続きそうです。

9位 魔法学校/長谷川白紙

聴いた当時の感想は、こちら

本作はレーベルをFlying Lotusが主催するBrainfeederに移籍。さらに、自身の写真を公開し、ジェンダーフリーの姿を公表。国境の壁を越えたのと同様、性別の壁を越えた、このボーダーフリーがある意味、ひとつのキーワードともなっている新作。前作よりアレンジはよりアバンギャルドになっている一方で、白紙の美しいクリアボイスで歌い上げるポップな歌は健在。そのテーマ性に問わず、いい意味で幅広く楽しめるポップアルバムは本作も同様でした。

8位 Contact/角銅真実

聴いた当時の感想は、こちら

藤子・F・不二雄先生の短編のコンセプト「すこし・ふしぎ」をアルバムコンセプトとして設定した今回の作品。その場所でなっている音をあるがまま録音したようなサウンドが特徴的で、まさに「すこし・ふしぎ」な雰囲気を醸し出している楽曲になっているのが大きな魅力。彼女の出身地、長崎の民謡を取り入れているなど、バラエティー富んだ作風も特徴となっています。また、彼女のウィスパー気味のボーカルも耳を惹く作品に。前作同様、本作も文句なしの傑作アルバムに仕上がっていました。

7位 ラヴの元型/AJICO

聴いた当時の感想は、こちら

2021年に突然復活したUAとベンジーが組んだロックバンドAJICOの、約2年6か月ぶりのEP。前作「接続」も非常にカッコよかったのですが、今回も前作を上回る傑作アルバムに。ベンジーの書くメロディーとUAのボーカルの相性の良さもあることながら、ベースのTOKIE、ドラムスの椎野恭一と一流揃いのメンバーの演奏もバッチリとはまって、まさに震えるほどカッコいいロックなアルバムに仕上がっていました。今後もコンスタントな活動が期待できるのでしょうか。これからの活動にも要注目です。

6位 らんど/ZAZEN BOYS

聴いた当時の感想は、こちら

実に11年ぶりとなるZAZEN BOYSの新作。基本的には、これぞ向井秀徳節といった感じの歌詞やメロディー、さらに必要最小限に絞ったタイトなサウンドは変わらないものの、おそらく今回、新ベーシストMIYAが加わったことによって、久々の新作ということで新たな一歩を踏み出したのでしょう。以前よりもベースがファンキーになり、ZAZEN BOYSに新たな色が加わったように感じます。昨年久々に見たZAZEN BOYSのライブでは、そんな彼らの新たな進歩も感じられましたし、まだまだ彼らからは目が離せなさそうです。

明日はこれに続く5位から1位の紹介です!

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2025年2月 2日 (日)

2024年年間ベストアルバム(洋楽編)その2

昨日に続き、2024年年間洋楽私的ベストアルバム。今日はその第2弾、5位から1位の紹介です。

5位 What Now/Brittany Howard

聴いた当時の感想は、こちら

現在、活動休止中のバンド、Alabama Shakesのボーカリストによるソロ2枚目のアルバム。いままで、Alabama Shakesと異なるタイプの楽曲をソロではあえて演っていた彼女でしたが、今回はソウルにロックを融合させたAlabama Shakesの路線をそのまま引き継ぐような作品に。Alabama Shakesの活動休止が長引いている中、やはり彼女としてはこのスタイルを演りたかったということでしょうか。ただ、それだけに彼女のボーカルにもピッタリとマッチするような曲の並ぶ、傑作アルバムに仕上がっていました。

4位 Cowboy Carter/Beyonce

Cowboycarter

聴いた当時の感想は、こちら

トランプが大統領につき、国として分断に拍車がかかっている感のあるアメリカ。その中で、分断を乗り越えようとするBeyonceの最新作は、ある意味、2024年を象徴するアルバムと言えるのかもしれません。本作は彼女があえてカントリー音楽に向き合ったという作品。とかく保守白人層の音楽とみなされるカントリーに、彼女があえて挑んだ作品で、彼女自身はこのアルバムを「カントリー」ではなくあくまでも「Beyonceのアルバム」と語っています。先行き不透明なアメリカ、そして世界の中で、彼女みたいなミュージシャンの主張が、少しでも受け入れられることを願いたいものです。

3位 BLEACHERS/Bleachers

聴いた当時の感想は、こちら

今回、9位にランクインしたKendrick Lamarのアルバムでもプロデューサーとして関わっているジャック・アントロノフによるソロプロジェクト。それだけ今、もっとも勢いのあるミュージシャンといってもいい彼ですが、そんな彼のソロプロジェクトのアルバムなだけに、まさに勢いを感じさせる傑作に。とにかく心地よいポップアルバムといった感のある作品で、難しいこと抜きに楽しめる傑作に仕上がっていました。ポップミュージシャンとしてのジャック・アントロノフの実力を感じさせる作品でした。

2位 Hovvdy/Hovvdy

聴いた当時の感想は、こちら

アメリカのシンガーソングライターデゥオによるアルバム。ソングライター同士のデゥオであるため、微妙な音楽性の違いが大きな魅力となっている作品。楽曲によっては、TEENAGE FANCLUBっぽさを感じさせる部分もあり、個人的にはかなり壺にはまりまくった1枚。エレクトロを取り入れたサウンドはシューゲイザーからの影響も感じられ、とにかくメロディーとサウンドの美しさに惹かれまくった傑作に。全体的にはあまり派手さはなかったのですが、しかし、そのメロディーラインはしっかりと胸に響いてくる作品でした。

1位 Come Ahead/Primal Scream

聴いた当時の感想は、こちら

正直なところ、年初のライブが最高だったことがまた、この順位に大きな影響を与えているのも否めないのですが(笑)。ご存じPrimal Screamの最新アルバム、彼らの傑作「Screamadelica」期を彷彿とさせるようなアルバムに。軽い酩酊感のあるグルーヴィーな作品やリズミカルなディスコチューンなど祝祭色たっぷりの作品はライブでも映えまくっていました。原点回帰とも言える今回のアルバムは、Primal Screamの魅力を存分に感じさせる傑作。文句なしに楽しめた作品でした。

あらためてベスト10を振り返ると・・・

1位 Come Ahead/Primal Scream
2位 Hovvdy/Hovvdy
3位 BLEACHERS/Bleachers
4位 Cowboy Carter/Beyonce
5位 What Now/Brittany Howard
6位 Liam Gallagher & John Squire/Liam Gallagher & John Squire
7位 I Got Heaven/Mannequin Pussy
8位 BRAT/Charli xcx
9位 GNX/Kendrick Lamar
10位 No Name/Jack White

ほかの年間ベスト候補として・・・

Wall Of Eyes/The Smile
SAVIORS/GREEN DAY
TANGK/IDLES
The Collective/Kim Gordon
Bright Future/Adrianne Lenker
ONLY GOD WAS ABOVE US/Vampire Weekend
Funeral for Justice/Mdou Moctar
Night Reign/Arooj Aftab
A Drema Is All We Know/The Lemon Twigs
Sentir Que No Sabes/Mabe Fratti
Why Lawd?/NxWorries
Sky Hundred/Parannoul
life till bones/Oso Oso
Cutouts/The Smile
EELS/Beeing Dead
CHROMAKOPIA/Tyler, The Creator

率直なところ、今年は近年まれにみる不作だったように感じます。上位10作については、確かに文句なしの名盤だったとは思うのですが、ただ、例えばPrimal ScreamにしてもBeyonceにしてもJack Whiteにしても、過去の彼らの作品の中でのベストだったかと言われると、残念ながらそうとはいえません。特に上期については比較的名盤が多かった半面、下期についてはかなり失速してしまった感も・・・。今年はもっと多くの名盤に出会えるといいのですが・・・。

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2025年2月 1日 (土)

2024年年間ベストアルバム(洋楽編)その1

今年も恒例の年間私的ベストアルバム。今日から4日間にわたってお送りします。まずは洋楽編。

10位 No Name/Jack White

聴いた当時の感想は、こちら

ゲリラ的なリリース手法も話題となったJack Whiteのニューアルバム。シンプルなガレージロックは、ある意味、いつも通りの彼なのですが、文句なしにカッコいいロックンロールのアルバム。基本的には60年代や70年代のガレージロックの手法をそのまま踏襲しつつも、一方で現代的なサウンドも取り入れており、古臭さは感じない、しっかり現代のロックンロールとして仕上げています。ロックの魅力を堪能できる逸品です。

9位 GNX/Kendrick Lamar

こちらも突然のリリースで話題となったKendrick Lamarの最新作。毎回、外れのない傑作をリリースし続ける彼。今回の作品は、基本的に彼の生まれ故郷であるロサンゼルスへの讃歌をベースとしつつ、全44分程度というシンプルな内容で、いい意味での聴きやすい内容に仕上がっています。ケンドリックの実力をあらためて強く感じさせてくれる傑作でした。

8位 BRAT/Charli xcx

聴いた当時の感想は、こちら

イギリスの女性シンガーソングライターによる新作。主にイギリスのレイブシーンで活躍していたミュージシャンだそうで、エレクトロサウンドが主体のポップアルバムに。とにかくワクワクするようなエレクトロチューンが並んでおり、難しいこと抜きに楽しめるポップアルバムになっています。目新しさという点においては物足りなさも感じるのですが、それをはるかに上回るワクワクさを感じさせるアルバムで、幅広い層に文句なしにお勧めできる1枚です。

7位 I Got Heaven/Mannequin Pussy

聴いた当時の感想は、こちら

アメリカの男女混合パンクロックバンドの最新作。前作「Patience」もパンキッシュでポップな楽曲が壺にはまり、2019年に年間ベスト9位にランクインさせたのですが、今回も同じく、思いっきり壺にはまりました。非常に激しいパンキッシュなサウンドと、それと対照的なポップなメロディーラインのバランスが実に絶妙で壺にはまります。個人的には往年のPIXIESに通じる部分も感じる作品で、文句なしに楽しめるロックアルバムでした。

6位 Liam Gallagher & John Squire/Liam Gallagher & John Squire

聴いた当時の感想は、こちら

2024年はoasis再結成があまりにも大きな話題となり、完全に忘れ去られてしまっている感がなきにしもあらずなのですが・・・。oasisのリアム・ギャラガーとザ・ストーン・ローゼズのジョン・スウワイアによる夢のタッグ。正直、楽曲的にはかなりベタな感じは否めないのですが、ただ、そのベタさが故に、いい意味で安心して聴けるアルバムになっており、なによりもリアムのボーカリストとしての良さがすごく前面に押し出された作品に仕上がっていたと思います。oasis再結成が話題の中、oasisファンならこちらもチェックしておきたいところです。

5位以降はまた明日に!

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