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2025年1月18日 (土)

中途半端な印象が否めない

Title:Lab.
Musician:go!go!vanillas

男性4人組ロックバンド、go!go!vanillasによる、約2年ぶりとなるニューアルバム。2014年にメジャーデビューし、昨年、デビュー10周年を迎えた中堅バンドの彼ら。今年は日本武道館2デイズライブを、既にソールドアウトさせるなど、その人気を確立しています。

go!go!vanillasのイメージとしては、いかにも今どきのロックバンドというイメージの軽快でポップなバンドサウンドを鳴らしているグループというイメージ。実際、彼らの楽曲を聴くと、軽快でポップなナンバーが目立ちます。ただ、その中でもメンバー全員がThe Beatlesの影響を公言しているグループのようで、海外のロックの影響をはじめとして、比較的幅広い音楽性はその楽曲から垣間見れることが出来ます。

例えば「クロスロオオオード」はギターサウンドのイントロをはじめ、軽快で疾走感あるサウンドはオルタナ系以降のギターロックの影響を感じさせますし、続く「来来来」はガレージロックの影響も感じさせます。また「SHAKE」はおしゃれな感じのサウンドでAORやシティポップ風の作品となっていますし、「Persona」はファンキーなリズムを取り入れたりもします。

ただ一方ではやはり全体的にはポップなメロディーが主体となっている楽曲になっており、本格的にルーツサウンドを取り込んでいるか、と言われると微妙。様々な音楽性の影響は感じられるし、そこにバンドとしてのルーツを感じさせるのは間違いないのですが、ただ、結果としては、耳ざわりのよいポップなメロを前面に押し出している、よくありがちなギターロックバンドという印象が否定できません。

そしてバンドとしてはどうにも中途半端な立ち位置となっていまっているのが非常に惜しい感じもします。ポップスさを追及するとしても、それだけを売りにするとしてはいまひとつ。逆に中途半端なサウンドのバリエーションが足を引っ張ってしまっている感も否めず。一方でサウンドの方にしても、そのルーツやバリエーションを売り出そうとしても、中途半端にポップなメロに引っ張られてしまって、それを売りにできるような感じでもありません。結果として、非常に中途半端になってしまったというイメージが否めません。

売上的にも、日本武道館2デイズをソールドアウトさせるほどの人気を獲得しつつも、チャート的には20位前後をうろうろしている感じでいまひとつブレイクしきれないのもここらへんの中途半端さが影響している感もします。もっとも、そのバラエティーのある音楽性から感じられる音楽的素養は注目すべき点もありますし、それを上手くポップに落とし込んでいる実力も感じされます。そういう意味では、あと一皮むければおもしろいバンドとなって一気にブレイクできる印象も受けるのですが。そこらへん、今後のさらなる成長を期待したいところです。

評価:★★★★

go!go!vanillas 過去の作品
THE WORLD

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