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2025年1月 2日 (木)

「名盤」が「名盤」たる所以

Title:Weezer 30
Musician:Weezer

日本でも高い人気を誇るアメリカのパワーポップバンド、Weezer。その彼らのデビューアルバムであり、今でも絶大な人気を誇るのが1994年にリリースされた「Weezer」、通称ザ・ブルーアルバム。名盤の誉れ高い本作ですが、今回、そのリリース30周年を記念して記念盤がリリースされました。アルバム「Weezer」本編の2024年版リマスターが収録されているほか、BBCでのライブ音源に各種デモ音源、また「アーリー・ライブ・レコーディングス」として、本作リリース前の1992年や1993年のライブ音源が収録。全50曲入りというボリュームたっぷりの作品となっています。

今回、あらためて「名盤」と呼ばれるこの作品を聴いてみたのですが、本作が名盤と呼ばれる所以があらためてよくわかりました。簡単に言ってしまえば、メロディーラインの強度が半端ない!私もWeezerは大好きなバンドの一組なので、このアルバムも何度か聴いています。ただ、今回本作を聴いたのは久しぶり。それでもここに収録されている楽曲のメロディーラインが耳に焼き付いており、アルバムを聴きながら、すぐにでも口ずさめてしまいます。

力強いバンドサウンドの「My Name Is Jonas」からスタートし、続く「No One Else」も、ポップなサビのメロは曲を聴きながら思わず口ずさんでしまいましたし、そしてなによりメロディーのインパクトが強いのが「Buddy Holly」。サビは歌詞も含めて普通に歌えてしまいます。その後のミディアムテンポの「Undone」「Say It Ain't So」も、決して派手な曲ではないのにしっかりとメロが耳に残っていますし、ラストの「Only In Dreams」まで、どの曲もシングルカット可能では?というほどのインパクトの強いナンバーが並んでいます。

サウンド的にはシンプルなギターサウンドを前に押し出したパワーポップ。サウンド的には決してバリエーションが多いわけではありません。それにも関わらず、このアルバムがこれだけ名盤足りえているのは、そのヘヴィーなサウンドと相反するような、いわゆる「いけてない連中」視点の歌詞が共感を呼んだ・・・という点も大きいのでしょうが、それ以上にやはりこの、一度聴いたら忘れられない、すぐ口ずさめるようなインパクトあるメロディーラインというのが大きいのでしょう。今回、久しぶりに本作を聴いて、名盤が名盤足りうる理由を、嫌というほど実感しました。

一方、今回、特典として収録された音源は、いずれも1994年のアルバムリリース前の音源がメイン。特にデモ音源は1992年というから、おそらく最初期の音源となるのでしょうが、この時期の作品から楽曲としてはある程度完成されており、同時期のライブ音源が収録されていることからも、デビュー前から繰り返し、演奏されていたということを実感できます。バンドのデビューアルバムというと、アマチュア時代の楽曲の「ベスト盤」的な収録曲になることが多いのですが、彼らについてもそうだったのでしょう。それを差し引いてもとんでもない名曲揃いは、このころの彼らのバンドとしての充実ぶりを感じさせます。

ただ、全体的にはどちらかというと「貴重な音源」という側面が強く、ライブ音源については特に初期の作品については音もあまりよくありませんし、全体的にはファン向けの作品かな、とは思います。もっとも、ライブ音源もデモ音源も、彼らの名曲が繰り返し聴けるだけに、そこまで熱心なファンでなくても、3時間50分に及ぶこのアルバム、文句なしに飽きることなく楽しめる内容だったと思います。あらためてWeezerの魅力とすごさ、そしてこのアルバムの名盤ぶりを実感できた記念盤でした。

評価:★★★★★

WEEZER 過去の作品
WEEZER(Red Album)
RADITUDE
HURLEY
DEATH TO FALSE METAL
Everything Will Be Alright in the End
WEEZER(White Album)
Pacific Daydream
Weezer(Teal Album)
Weezer(Black Album)
OK HUMAN
Van Weezer
SZNZ:SPRING
SZNZ:SUMMER
SZNZ:Autumn
SZNZ:Winter


ほかに聴いたアルバム

Mid Spiral/BADBADNOTGOOD

カナダはトロント出身の3人組のインストバンド。Kendrick LamarやThundercatのアルバムにプロデューサーとして参加したり、数多くのミュージシャンたちに高い評価を得ているバンドで、ミュージシャンズミュージシャンといった感じでしょうか。楽曲は、主にサックスとピアノ、フルートを取り入れて軽快にメロディアスに聴かせるシンプルなインストナンバー。時折、トライバルなパーカッションが加わるのも特徴的。日本だとYOUR SONG IS GOODとかSPECIAL OTHERSとか好きなら気に入るかも。Kendrick LamarやThundercatのプロデューサー、というイメージに惹かれて聴いてみると、シンプルなサウンドにちょっと拍子抜けするかもしれませんが、いい意味で万人向けにシンプルに楽しめる軽快なインストを聴かせてくれるアルバムです。

評価:★★★★

Songs About You Specifically/MICHELLE

てっきり、写真中央の女性がMICHELLEさんで、女性ソロシンガーソングライターによる作品、だと思っていたのですが、6人組の音楽グループのようです。「バンド」ではなく「コレクティブ」とあまり聴きなれない表現を用いていましたので、音楽集団といった感じなのでしょうか。楽曲はシンセの入った軽快なポップ。全体的にメランコリックな曲調のナンバーが多く、テンポよく耳なじみの良い楽曲が特徴的。いい意味で聴きやすさはありますが、独自性という観点ではよくありがちなシンセポップというイメージも?素直に楽しめるポップアルバムではありましたが。

評価:★★★★

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