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2025年1月

2025年1月31日 (金)

相手の色もしっかり出したコラボアルバム

Title:HATA EXPO-The Collaboration Album-
Musician:秦基博

シンガーソングライター秦基博の新作は、サブタイトル通りのコラボレーションアルバム。今回のコラボレーションアルバムのために収録した作品6曲に、既発表曲の4曲の全10曲入りとなるアルバム。秦基博が影響を受けたり、縁があったりする様々なミュージシャンとのコラボとなっています。

やはりまずは耳を惹くのはアルバムの冒頭を飾るスピッツの草野マサムネとのコラボ曲「ringo」。昔から敬愛していたミュージシャンだったそうで、草野マサムネが他のミュージシャンと楽曲を共作するのは本作が初だそうです。力強いギターサウンドを目立つロックなアレンジながらも、秦基博らしさも草野マサムネらしさも感じさせる爽やかでポップなメロディーラインが魅力的な楽曲となっています。

この曲もそうなのですが、今回のコラボ曲、いずれもコラボ先のミュージシャンの特徴を生かしたようなコラボが多かったように感じます。続くsumikaの「ハローサーリアル」もホーンセッションやピアノが入った、sumikaらしい祝祭色のある楽曲。リサ・ローブとのコラボとなった「Into the Blue」も、楽曲としてはリサ・ローブに寄せた、英語詞で爽快なアコースティックテイストの洋楽テイストの強いポップス。ハナレグミとのコラボの「No Where Now Here」も、ハナレグミらしい日常を描いた暖かいポップソングに仕上がっています。

ちょっと異色だったのが又吉直樹の「ひとり言」で、こちらは又吉直樹の朗読と秦基博の歌という組み合わせのユニークなコラボに。ただ、又吉って最近、本職のお笑いとして活動しているんでしょうか・・・?

そして今回のコラボアルバムを聴いて思ったのは、秦基博というミュージシャンは、ある意味、非常にコラボしやすいミュージシャンではないか、という点でした。シンガーソングライターとしての実力、シンガーとして暖かみのある声質などもコラボ相手としては最適ですし、また、ひとつ大きな要素だと思うのは、ミュージシャンとしてあまり癖が強くない、という点。秦基博というミュージシャンは楽曲もシンプルなポップですし、声にしても、万人受けするような声であってあまり癖がありません。

この点はシンガーソングライターとして強みでもあるし、ある意味、弱点とも言えるかもしれませんが、ことコラボという点においては、特に相手にとっては非常にやりやすい。ほどよくコラボ相手のカラーをつけつつ、シンガーソングライターとしての実力から、秦基博としての要素もしっかりと入れられる、そんな理想的なコラボに仕上がる感じがあります。それだからこそ、こういったコラボアルバムが出来上がるのですし、また数多くのミュージシャンとのコラボを行っているのでしょう。

そして、今回のコラボアルバムの最後を締めるのは、先日もKANのベストアルバムで紹介したばかりのKANとのコラボ曲「カサナルキセキ」。この曲のすごさについては先日、ここに記載したばかりなので繰り返しませんが、このコラボアルバムの最後を締めくくるにふさわしい、まさにこれぞコラボレーションといった作品となっています。

ちなみに今回、既発表曲はこの「カサナルキセキ」を含めて4曲のみだったのですが、その他にも秦基博はいろいろなミュージシャンとのコラボを行っています。どうせなら、これらのコラボ曲を集めて、コラボベストを企画してほしいような・・・。参加ミュージシャンのファンや秦基博のファンはもちろんのこと、広いリスナー層におすすめできそうなアルバムでした。

評価:★★★★★

秦基博 過去の作品
コントラスト
ALRIGHT
BEST OF GREEN MIND '09
Documentary
Signed POP
ひとみみぼれ
evergreen
青の光景
All Time Best ハタモトヒロ
コペルニクス
evergreen2
BEST OF GREEN MIND 2021
Paint Like a Child

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2025年1月30日 (木)

先週に続き今週もアイドル勢が1位獲得

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先週に引き続き、今週も旧ジャニーズ系アイドル勢が1位獲得です。

1位初登場はSnow Man「THE BEST 2020-2025」。タイトル通り、彼ら初となるベストアルバムです。CD販売数1位、その他はベスト20圏外となっています。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上139万5千枚で1位初登場。直近のオリジナルアルバム「RAYS」の初動108万1千枚(1位)からアップしています。

ただ、2位以下は先週から変わり映えしないチャートとなっていて、Mrs.GREEN APPLE「ANTENNA」「Attitude」が今週も2位3位に並んでランクイン。ストリーミング数は「ANTENNA」は6週連続の1位、「Attitude」は4週連続の2位。「ANTENNA」はこれで通算19週目のベスト10ヒット、通算9週目のベスト3ヒットとなります。

4位以下でも今週は初登場盤はゼロ。一方、ベスト10返り咲き組ではBAD HOP「BAD HOP」が11位から10位にランクアップし、2週ぶりにベスト10に返り咲いています。

ロングヒット盤では、Vaundy「replica」が先週と変わらず4位をキープ。ストリーミング数は先週と変わらず3位。これで通算11週目のベスト10ヒット。また「strobo」も先週から変わらず5位をキープし、今週も2枚同時ランクインとなっています。

その他にはNumber_i「No.I」は6位から7位にダウン。こちらは通算9週目のベスト10ヒット。米津玄師「LOST CORNER」は10位から8位にアップ。こちらは通算12週目のベスト10ヒットとなります。しかし、どう考えてもストリーミングの比率が高すぎるように思うんですよね・・・。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

Heatseekers Songsは、柊マグネタイト「テトリス」が6週連続で1位獲得。動画再生回数は6位をキープ。一方、Hot100では41位から35位と、徐々に順位を上げています。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

今週、ボカロチャートでも柊マグネタイト「テトリス」が5週ぶりに1位返り咲きを果たしています。一方、DECO*27「モニタリング」は2位にダウン。3位は、ぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ「み む かゥ わ ナ イ ス ト ラ イ」と同順位をキープ。1位2位は入れ替わりましたが、今週で8週連続、ベスト3は同じ曲となっています。

今週のHot Albums&Heatseekers&ボカロチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2025年1月29日 (水)

米津玄師vsMrs.GREEN APPLE

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週は今をときめく米津玄師とMrs.GREEN APPLEの新曲が1位2位に並びました。

Plazma

結果、1位を獲得したのは米津玄師「Plazma」。映画「機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-」主題歌に起用された配信限定シングルですが、初登場で見事1位を獲得。一方、Mrs.GREEN APPLE「ダーリン」は今週2位にランクイン。こちらはNHK「Mrs.GREEN APPLE 18祭」テーマソングに起用されています。

ストリーミング数では「ダーリン」が2位、「Plazma」が3位、動画再生回数でも「ダーリン」が1位、「Plazma」が3位となりましたが、一方、ダウンロード数では「ダーリン」が2位に対して「Plazma」1位、ラジオオンエア数でも「ダーリン」18位に対して「Plazma」4位となり、総合順位では米津玄師がMrs.GREEN APPLEを上回る結果となっています。

ただ一方、Hot100全体ではとんでもないことになっているのがMrs.GREEN APPLEで、この2曲に続く3位には、1位からは陥落したものの「ライラック」が3位とベスト3をキープ。以下、5位に「ケセラセラ」、6位に「ビターバカンス」、7位に「Soranji」と、実に10位圏内に5曲同時ランクインという快挙を達成しています。さらにベスト20圏内でも18位に「familie」、19位に「点描の唄 feat.井上苑子」、20位に「青と夏」と合計8曲が同時ランクインしています。各種チャートでは特にストリーミング数では「ライラック」は4週連続1位、「ビターバカンス」が5位、「ケセラセラ」6位、「Soranji」7位、「familie」10位と「ダーリン」と合わせて6曲同時ランクインと上位を占拠。これで「ライラック」は41週連続のベスト10ヒット&通算27週目のベスト3ヒット、「ケセラセラ」は通算32週目のベスト10ヒット、「ビターバカンス」も9週連続のベスト10ヒットを記録しています。

その他のベスト10圏内の初登場曲はあと1曲。10位にロックバンドONE OK ROCK「Puppets Can't Control You」がランクイン。ダウンロード数3位、ラジオオンエア数1位。TBS系ドラマ「御上先生」主題歌に起用されています。

他のロングヒット曲は、まずロゼ&ブルーノ・マーズ「APT.」は今週4位にダウン。2位をキープしてきたストリーミング数及び動画再生回数はいずれも4位にダウンしています。これでベスト10ヒットは連続14週となりましたが、ベスト3ヒットは連続12週でストップ。

Creepy Nuts「オトノケ」も7位から8位にダウン。ダウンロード数は9位から17位、ストリーミング数は6位から8位、動画再生回数も14位から17位にダウン。ただ、ベスト10ヒットはこれで16週連続となっています。

一方、Omoinotake「幾億光年」は10位から9位にジワリとアップ。ただ、ストリーミング数は8位から9位にダウン。これで通算37週目のベスト10ヒットとなりました。

tuki.「晩餐歌」は9位から11位にダウン。ベスト10返り咲きは1週のみとなりました。またベスト10ヒットは通算33週で再びストップです。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heatseekers&ボカロチャート!

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2025年1月28日 (火)

圧倒的にポップ

Title:The Singles-The First Fifty Years
Musician:ABBA

日本でも高い人気を誇るポップミュージシャンABBA。2018年に再結成し、約40年ぶりとなるアルバムをリリースし、大きな話題となったことも記憶に新しいのではないでしょうか。本作は、このたびリリースされた、ABBAのシングルコレクション。1982年にリリースされたシングル集「The Singles - The First Ten Years」の拡張版的な作品で、CDでは2枚組全38曲が収録。楽曲はほぼリリース順となっており、ABBAの歩みも知ることのできるアルバムとなっています。

まずなかなか興味深いのが彼女たちの初期の作品。後のヒット曲のような突き抜けるような爽快さと、都会的なサウンドはなく、最初期の作品については、むしろカントリーやフォークの色合いが強いポップス。女性のツインボーカルについても生かし切れておらず、どこか田舎っぽい野暮ったさも感じさせます。

そして、リリース順という流れで彼女たちのシングル曲を聴くと、彼女たちの代表曲であり、ブレイクのきっかけとなった「Waterloo」のあまりの変化に驚かされます。確かに、それ以前のシングルにも、ABBAらしいポップセンスを感じることは可能です。ただ、この曲で楽曲の雰囲気が大きく変化。例えるならば、田舎から都会に引っ越してきた、野暮ったい田舎の女の子が、化粧を覚えて一気にあか抜け、都会的な美少女にいきなり変身したような・・・そんな大きな変化を感じさせます。

その後の名曲の数々は言うまでもないでしょう。「Mamma Mia」「Dancing Queen」「Gimme!Gimme!Gimme!(A Man After Midnight)」など、私は特にABBAのファンでもなければ、リアルタイムで彼女たちの音楽を聴いていた訳でもないですが、容易に口ずさめる、どこかで確実に聴いたことのあるポップソングが並びます。この「聞いたことのある楽曲」の多さに、今回のシングス集を聴いてあらためて驚かされます。それだけABBAの曲が多くの人たちに親しまれていた、ということなのでしょう。

また、今回のABBAのシングル集を聴いてあらためて感じたのは、ABBAの曲の、ポップスとしての強度の強さでした。今回のシングル集は、全38曲2時間半弱という、かなりのボリュームの内容です。特にABBAのファンでもない私にとっては、代表曲以外や、直近アルバム「Voyage」収録曲以外ははじめて聴く曲ばかりでした。しかし、はじめて聴いたにも関わらず、飽きずにしっかりと楽しめる曲ばかり。かなりボリューミーな内容ながらも、最後までほとんどダレることなく、アルバムを楽しむことが出来ました。

このインパクトのあるポップなメロは、80年代になってABBAの人気が下火になっても健在で、例えば「The Day Before You Came」などは、全英チャートで32位に留まったのですが、爽やかながらも切ないメロは健在。続く「Under Attack」も、全英チャートで26位に留まったものの、こちらも、ちょっと切ないメロが耳を惹き、しっかりと聴き終わった後に印象に残るポップスとなっています。

このシングル集を聴いてあらためて感じたのがABBAの楽曲が圧倒的にポップであるという点。ABBAの楽曲については、人気の面でも評価の面でも時代を通じて紆余曲折があったようですが、この圧倒的なポップスさの前には、どんな音楽リスナーもひれ伏すしかないのではないでしょうか。だかこそ時代を超えて、今の時代はようやくABBAがポップスミュージシャンとして高く評価されるようになったのでしょう。あらためてポップミュージシャンとしてのABBAのすごみを感じたシングル集でした。

評価:★★★★★

ABBA 過去の作品
Voyage

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2025年1月27日 (月)

全日本人必聴のポップスアルバム!

Title:IDEASⅢ~the very best of KAN~
Musician:KAN

2023年11月に、61歳という若さでこの世を去ってしまったシンガーソングライターのKAN。彼の死から、早いものでもう1年が経過しましたが、ここに来て、KANのベストアルバムがリリースされました。2007年にリリースされたベストアルバム「IDEAS the very best of KAN」の続編的なアルバムで、2枚組となっており、Disc1は「IDEAS」がそのまま収録。Disc2は「IDEAS」リリース以降の楽曲が収録された内容となっています。

このサイトではいろいろな形でKANがいかに優れたシンガーソングライターであるか、紹介してきましたので、いまさら言うまでもないかもしれません。ただ、このベスト盤の紹介を借りて、あらためてKANのすばらしさを改めて語るとしたら、ビリー・ジョエルやポール・マッカートニーのような洋楽の要素を楽曲にふんだんに取り込みながらも、彼なりの味付けを行い、しっかりと誰もが楽しめるエンタテイメントとしてのポップソングにまとめあげている、そこが大きな魅力であり、また彼のシンガーソングライターとしての実力を強く感じさせます。「愛は勝つ」のイメージが強く、同作がいかにもJ-POP的な「人生の応援歌」的な歌詞となってしまっていたため、ともすればJ-POPの枠組みでとらえられがちな彼ですが、楽曲の影響としては、あまり邦楽や歌謡曲からの影響は感じられません。しかし、いかにも洋楽の影響を前面に押し出したような、ともすればスノッブ的な要素は皆無。洋楽ポップスの要素を実に自然体に、日本語ポップの世界に取り入れている彼の実力は、もっともっと評価されてもいいのではないでしょうか。今回のベスト盤であらためて彼のすごさを感じました。

ただ、名曲があまりにも多いKANの楽曲の中で、正直、「IDEAS」のセレクトは物足りなすぎます!個人的に、彼の最高傑作とも思っている「REGRETS」も、KANの私的ベストソングである「ときどき雲と話をしよう」も入っていませんし、ライブの定番である「Oxanne-愛しのオクサーヌ-」も未収録ですし、「1989 (A Ballade of Bobby & Olivia) 」も「けやき通りがいろづく頃」も「秋、多摩川にて」も入っていません。まあ、それだけ名曲が多い、ということなのですが・・・。

とはいえ、「IDEAS」の収録曲を眺めると、様々なバリエーションのあるKANの楽曲を、タイプ毎に代表的な曲を取り上げて、ほどよくバランスを取ったセレクトであるとも感じます。ビリー・ジョエル直系のピアノポップ「Songwriter」に、ポール・マッカートニー直系の「サンクト・ペテルブルグ -ダジャレ男の悲しきひとり旅-」、しっかり聴かせるバラードナンバー「星屑の帰り道」に、コミカルな「猿と犬のサルサ」。ほっこりと暖かい「カレーライス」に、素朴なラブソングの「まゆみ」、そして片思いの歌詞が切ない「言えずのI LOVE YOU」に、おなじみの「愛は勝つ」・・・彼のいろいろなタイプの曲がバランスよく選曲されており、KANがどういうミュージシャンなのか、よくわかる魅力的な内容になっていました。

今回、追加収録となった「Disc2」の方は、「IDEAS」リリース後の楽曲なのですが、その後リリースされたアルバムが3枚だけだったため、基本的にはシングル曲を中心のセレクトに。むしろこちらでは、KANが別プロジェクトで録音し、アルバム未収録となっていた楽曲がメインとなっています。現在では入手不可能となっている木村和名義での弾き語りアルバム「何の変哲もないLove Songs」から「何の変哲もない Love song」「雪風」、ジョンB、菅原龍平、ヨースケ@HOMEと組んだCabrellsから「Chu Chu Chu」、シンガーソングライターのKとのユニットK-KANの「赤字のタンゴ」、山崎まさよしとのユニット、YAMA-KAN「記憶にございません」と、KANの積極的な活動が見て取れます。

そんな中でも特筆すべきはアルバムの最後に収録されている秦基博とのコラボ曲「カサナルキセキ」でしょう。こちら、KANが「キセキ」のタイトルで、秦基博が「カサナル」のタイトルで別々に楽曲を発表。実はこの2曲、コードが共通しており、2曲を重ねることにより、楽曲が完成するというスタイル。別々の曲を重ねることにより、別の曲が完成するというスタイル自体は、Corneliusの「STAR FRUITS SURF RIDER」のような例はあるものの、全く別の歌モノの曲を重ね合わせるというスタイルは、かなり珍しいのではないでしょうか。特に歌詞もメロディーラインも、楽曲の途中は重なりあうようで、微妙にすれ違いを続け、最後の最後に歌詞もメロディーも重なりあうという展開は鳥肌モノ。KAN(と秦基博)のとんでもない才能を感じさせる実験的な作品に目をみはります。

まさにKANというミュージシャンの魅力がつまったベストアルバムで、全日本人に(笑)是非とも聴いてほしいベストアルバムです。ちなみに今回のベスト盤が「IDEAⅢ」で、「IDEAⅡ」がない理由は・・・どうもスタッフのおふざけだったようで、なんとなく、ここもKANの精神を受け継いでいるような(笑)。あらためて、KANのすごさを感じることのできるベストアルバムでした。

評価:★★★★★

KAN 過去の作品
IDEAS~the very best of KAN~
LIVE弾き語りばったり#7~ウルトラタブン~
カンチガイもハナハダしい私の人生
Songs Out of Bounds
何の変哲もないLove Songs(木村和)
Think Your Cool Kick Yell Demo!
6×9=53
弾き語りばったり #19 今ここでエンジンさえ掛かれば
la RINASCENTE
la RiSCOPERTA
23歳

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2025年1月26日 (日)

2015年、WEEZER宇宙の旅

rockin'on Sonic extra WEEZER

会場 愛知県芸術劇場大ホール 日時 2025年1月8日(水)19:00~

1月7日に続き、2日連続のライブ。前日と同じく、「rockin'on sonic」からの派生イベントで、この日はWEEZERのワンマンライブ。WEEZERを見るのは今回が完全にはじめて。かなり楽しみにしつつ、会場に足を運びました。今回の会場は愛知県芸術劇場大ホールと、キャパ2,500人という、かなり大きな会場。今回もソールドアウトとまではいかなかったものの、ほぼ満員。WEEZERの日本での人気の高さをうかがわせます。

この日もほぼ定時にライブはスタート。最初はステージバックのスクリーンに、いきなりニュース映像が流れます。なんでも、WEEZERが宇宙飛行士になって「ブループラネット」という惑星に向かって旅立つという設定だそうで、ちょっとした寸劇的な映像からはじまり、そして待望のメンバー登場となりました。

最初は「Anonymous」から、ちょっと荘厳な雰囲気でスタート。その後、「Return To Ithaka」「Dope Nose」と比較的最近の曲が続いた後、ちょっと懐かしい、グリーンアルバムから「Hash Pipe」へと続くと会場から歓声があがり、どんどんとテンションがあがっていきます。

Weezerlive1

その後は最初のMCに。WEEZERのボーカル、リヴァース・クオモは親日家としても知られ、奥さんは日本人。それだけにMCはどうなるのか期待していたのですが、やはり片言の日本語混じりのMC。やはりこうやって日本語で話してくれるのはうれしいですね。この日のライブのコンセプトについて語っていました。

その後の「Beverly Hills」では"Livin'in Beverly Hills"の歌詞を"Livin'in Nagoya,Japan"と歌ってくれるうれしいシーンも。「Island In The Sun」「Perfect Situation」「Getchoo」などといったおなじみのナンバーも続きます。ここで何故か会場は真っ暗に。リヴァースが懐中電灯一本で「見えない・・・」と日本語でつぶやきながら、観客席を照らしました。おそらく、宇宙旅行の中でのトラブル、という演出だったんだと思います(笑)。

どうも、WEEZERをのせた宇宙船が故障して、どこかの星に不時着したようで、宇宙船を直すには、「Pinkerton」の曲を演奏する必要がある・・・という設定のようで、ここからは彼らの2枚目のアルバム「Pinkerton」の楽曲が続きます。「Why Bother?」「Pink Triangle」「Falling For You」と懐かしい「Pinkerton」のナンバーが続き、会場は大盛り上がり。怪しげなモンスター(?)が迫りくる中、宇宙船は無事直り、この星を無事、脱出できたようです。

Weezerlive2

WEEZERを乗せた宇宙船はその後も旅を続け、ついにブループラネットに到着!メンバーが一度、ステージ上から姿を消すと、やがて、WEEZERの旗を持って、メンバーがステージ上に戻ってきました。

Weezerlive3

ただ、ブループラネットは荒廃した状態となっており、このブループラネットを蘇らせるためには、彼らのデビューアルバムである「ブルーアルバム」の曲を演奏しなくてはいけない、ということに。そして、ここからがこの日のライブの山場だったのですが、なんと彼らのデビューアルバム「ブルーアルバム」を曲順にそのまま全曲演奏、ということになりました!

「My Name Is Jonas」からスタートし、「No One Else」「The World Has Turned and Left Me Here」と、まさにアルバムを曲順通りに演奏。いまだに彼らの代表作として名高い名盤をそのまま再現したステージに、もちろん、会場のテンションも一気に最高潮へ。「Buddy Holly」「Undone」「SurfWax America」と、どんどんとテンションがあがっていきます。会場のテンションが上がっていくと同時に、ブループラネットも息を吹き返し、その星の住民たちも登場。最後はブループラネットで大規模なWEEZERのライブが行われる・・・という展開になっていました。

ラスト前「Holiday」の後には短いMCで、リヴァースは日本語で「ありがとうございました」とお礼を述べ、そしてラストの「Only In Dreams」へ。最後の最後まで会場は大盛り上がりの中、ライブは幕を下ろします。最後はメンバー全員がステージ真ん中に集合し、深々とお辞儀をして、ステージを去り、ライブは幕を下ろしました。

Weezerlive4

アンコールはなし。約1時間40分強のライブ。ちょっと短めと言えば短めなのですが、ただ、彼らの代表曲を網羅したようなセットリストに、さらに最後はブルーアルバムを全曲再現という、ファンにとってはたまらないセットリストとなっており、非常に充実したステージに。正直、これだけ曲を演って、たった1時間40分だったの??と、驚かれれるほどでした。

前日のPrimal Screamが、かなりロックバンドらしい荒々しいステージだったのですが、一方WEEZERは、寸劇的な映像まで加わった非常にコンセプチュアルなステージ。対照的とも言える内容でした。ただ、もちろんWEEZERの演奏も非常に力強く迫力満点のパフォーマンス。ライブバンドとしての実力をしっかりと感じられたステージになっていました。名曲の連続で文句なしに楽しめたステージ。非常に満足して会場を後にしました。さすがWEEZER。また、機会があれば、是非とも彼らのステージに足を運びたいです!

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2025年1月25日 (土)

「ブルースとは何か?」を感じさせるモキュメンタリー形式の映画

今日は、最近見た音楽関連の映画の紹介です。

音楽ドキュメンタリー作家、ロバート・マンスーリスが監督をつとめた映画「ブルースの魂」。もともとは1970年代に撮影され、監督自らアメリカのミシシッピ・デルタを旅して、数多くのブルースのミュージシャンたちの映像やインタビューをおさめ、映画は完成されたものの、お蔵入りに。ただ、このたびB.B.KING生誕100周年を記念して、2Kレストア版が作成され、昨年7月にアメリカで公開。さらに昨年末から今年にかけて日本でも公開され、制作から50年以上の月日を経て、ようやく日の目を見ることとなった作品です。

本作の特徴としては、数多くの伝説的なブルースミュージシャンたちの実際の演奏やインタビューを取り上げながら、その間にニューヨークはハーレムに住む、若いカップルを描いた「ドラマ」パートが入ってくる点。ドキュメンタリーとドラマをシームレスにつないだ、ちょっと特殊な感じの構成となっています。ただ、全体的にこの映画が描きたかったのは、ブルースという音楽がどのように誕生し、どのような人たちに聴かれていたのか、という点。そのため、ドラマパートについても、役者へのインタビューの形態をとっている部分があり、まるで「本当のカップル」を取材しているかのような、ノンフィクション的な雰囲気を醸し出しています。いわばモキュメンタリーともとらえられる作品となっていました。

まず、この映画の肝ともなっているのは、なんといってもこの映画の半数を占めるブルースミュージシャンたちの演奏シーンでしょう。時代は1970年代。まだまだレジェンドと呼ばれるブルースミュージシャンたちが現役でバリバリ活動していた時代。今となっては非常に貴重な演奏風景が収められています。特に今となっては、なかなか見ることが出来ない、ブルースミュージシャンたちの卓越した演奏技法にまずは目を奪われます。前半ではファリー・ルイスやブラウニー・マギーなどのギタープレイには特に目を見張るものがありました。

さらにルーズヴェルト・サイクスのパワフルなボーカルやバリバリ現役だったバディ・ガイの、まだまだ若々しく、感情的で迫力のあるギターの演奏に惹かれつつ、なんといってもこの映画のハイライトとも言えるのは、後半にたっぷりと聴かせてくれるB.B.KINGのライブパフォーマンス。顔いっぱいに、これでもかというほどの汗をかきつつ、まさにそれだけ力が入っているということを感じさせるような迫力たっぷりのパフォーマンスを聴かせてくれます。これら多くのレジェンドたちのパフォーマンスを見れるだけでこの映画の価値がある、と言って間違いないでしょう。

一方、ドラマパートの方は、正直言えば、そんなに大したことはありません。公式サイトでは「若いカップルの愛と苦闘の物語」と書いていますが、はっきり言えば、たわいのない痴話喧嘩を取り上げたもの。貧乏な暮らしの中で、偏見からなかなかうまくいかない男性と女性の物語といえば、社会性もありそうですが、本人たちが(特に男性が)上手くいかないのは自業自得な部分や自堕落な部分が多く、正直言えば、同情できるような状況ではなく、どちらかというと、そんな男性に精神的に依存している女性も含めて、主人公は「ダメ人間」の部類に入るような人間でしょう。

ただ、そんな「ダメ人間」であっても、決して否定することなく、優しく寄り添ってくれる音楽、それがブルースという音楽の大きな魅力のように感じました。思えば本作の登場人物たちを「ダメ人間」と否定することは簡単です。しかし、考えてみれば私たちだって、そんな人たちを簡単に糾弾できるような立派な人間でしょうか。私たちだって、ついつい自堕落に走ってしまったり、ダメなことだ、とわかっていてやってしまうことも少なくありません。そんなダメな部分こそ、ある意味もっとも人間が人間らしい部分であり、そしてそんなところも優しく包み込んで、そして寄り添ってくれるような音楽、それがブルースではないか、とこの映画を見ていて強く感じました。

かつて落語の名人、立川談志は、落語のことを「人間の業の肯定である」と語っていました。今回、この映画を見て頭に浮かんだ言葉がそれで、ある意味、ブルースという音楽に関しても同じようなことが言えるのではないでしょうか。特に本作のドラマパートからは、そんなブルースというのがどのような音楽であるのか、その物語を通じて感じ取れるようにも思いました。

そんな訳で、ブルースという音楽が好きなら、あるいは興味を持っているのならば、間違いなくチェックしてほしい映画だと思います。ドラマパートの物語自体には、それほど魅力はないのですが、ただ、この映画を通じて、ブルースとはどんな音楽なのか、感じ取れる素晴らしい映画だったと思います。お勧めです。

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2025年1月24日 (金)

曲をより魅力的に聴かせるパフォーマンス

rockin'on sonic extra PRIMAL SCREAM

会場 ダイアモンドホール 日時 2025年1月7日(火) 19:00~

今年のライブ始めです。ダイアモンドホールにPRIMAL SCREAMのワンマンライブを見に行ってきました。ROCKIN'ONが主催する新ライブイベント「rockin'on sonic」に派生する形で、同イベントに参加したミュージシャンたちが名古屋まで足を運んで行ってくれたワンマンライブ。PRIMAL SCREAMのライブは、かつて2000年のフジロックのステージで見ており、それ以来となります。2000年のフジロックのPRIMAL SCREAMと言えば、オオトリとしてはそれまでのフジロックのラインナップと比べると、若干見劣りをしてしまったため、事前評判はあまりよくなかったのですが、圧倒的なパフォーマンスを見せてくれ、PRIMAL SCREAMの評判を一気に押し上げた、いわば「伝説のステージ」とも言えるライブでした。

当日は、ソールドアウトこそしなかったものの、ほぼ満員の会場。彼らの登場を待ちわびるファンで熱気にあふれていました。そして、ちょっと意外なことにほぼ19時ちょうどのライブスタート。最初はいきなり「Swastika Eyes」からスタート。いきなりの代表曲に大盛り上がりです。ただ、この日はバンド編成でのステージ。エレクトロサウンド主体の原曲とはちょっと異なる雰囲気のアレンジでした。とはいえ、もちろん疾走感あるリズムに会場のテンションは一気にあがります。

Primallive1

その後は前半は最新アルバム「Come Ahead」からの楽曲を中心とした構成。最新アルバムから「Love Insurrection」から、こちらは代表曲「Jailbird」で再び会場のテンションはあがります。こちらは力強いバンドサウンドにサックスの音色も入り、原曲以上に祝祭色ある、よりにぎやかなアレンジに仕上がっていました。

ここで挨拶代わりの簡単なMCが入り、ニューアルバムから、という紹介のあと「Ready to Go Home」へ。アルバムでも酩酊感のあるグルーヴィーなサウンドで、ライブで聴いたら気持ちいいだろうなぁ、と思っていたのですが、ライブで聴くと期待通り、グルーヴィーなサウンドがとても心地よいパフォーマンスを見せてくれ、気持ちよく身体を揺らしました。今後のライブの定番になりそうです。

その後の「Medication」もオリジナル以上ににぎやかなサウンドで会場を盛り上げ、そして中盤はミディアムテンポの聴かせるナンバーが並びます。最新アルバムからの「Innocent Money」ではこちらもオリジナル以上にメロウに聴かせたボビーの歌声で会場を魅せてくれ、その後の「Heal Yourself」でも、同じく、よりメロウな歌声でドリーミーな空間を作り上げていました。

後半も最新アルバム「Love Ain't Enough」へ。こちらもまずはヘヴィーなギターリフのイントロからスタートし、耳を惹きます。そして終盤は彼らの代表曲「Loaded」へ。おなじみのサンプリングからスタートし、再び祝祭色あふれる空気感が会場を覆い、観客も大盛り上がりとなります。

Primallive2

終盤は一気に代表曲の連続。さらに「Movin' on Up」で盛り上がった上で、本編ラストは「Country Girl」へ。会場のテンションはさらに最高潮へ。私も思いっきり盛り上がり、踊りまくります。途中ではボビーが盛り上がる観客を「静かに」と静かにさせ、会場に静寂を漂わせた後に、一気にサビに部分に突入し、テンションを上げまくるという、ちょっと粋なパフォーマンスを見せてくれたりして、会場を煽り立てていました。そんなテンションマックスのまま、ライブ本編は終了となります。

もちろん、その後は盛大なアンコールへ。ほどなくメンバーが再登場し、簡単なメンバー紹介。そしてこちらも代表曲「Come Together」へ。原曲以上にメロディアスに、しっかりと「歌」を聴かせるパフォーマンスになっており、まずは歌を聴き入ります。そして中盤からはサビのコーラスを観客に歌わせ、大合唱へ。こちらも大盛り上がりのステージとなりました。

Primallive3

そして最後は大定番曲「Rocks」へ!もちろん、会場はこの日一番の盛り上がりを見せましたし、私も思いっきり踊りまくります。最後の最後まで会場を盛り上げて、ライブは終幕。会場のテンションは最高潮のまま、メンバーは会場を去っていきました。

19時に始まり、約1時間40分強のステージ。かなりあっという間のパフォーマンスでした。とにかく最高のステージ!新年一発目のステージだったのですが、いきなり今年のベストライブ候補とも言えそうなライブでした。

彼らのステージの何が魅力的だったかというと、それぞれの楽曲の魅力的な部分をより強調したパフォーマンスを行っていたからで、例えば「Jailbird」や「Medication」では、オリジナル以上によりにぎやかなアレンジを聴かせてくれていましたし、ニューアルバムからの楽曲である「Innocent Money」や「Heal Yourself」では、歌声がオリジナル以上にメロウとなっており、よりしんみり聴かせるパフォーマンスを見せてくれていました。2000年のフジロックでも、卓越したパフォーマンスを見せてくれていた彼らでしたが、今回のステージでもそのライブバンドとしての実力をまじまじと感じさせる素晴らしいステージだったと思います。

はじめてみたワンマンライブも期待以上に大満足のステージでした。日本でも人気の高い彼らなだけに、また来日ライブも行われるでしょう。また、是非とも足を運んでみたいです!

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2025年1月23日 (木)

今週はアイドル勢が1位獲得

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週の1位はアイドル勢が獲得です。

まず1位は旧ジャニーズ系アイドルグループSixTONES「GOLD」が獲得。CD販売数1位。オリコン週間アルバムランキングでも初動売上42万2千枚で1位初登場。前作「THE VIBES」の初動49万7千枚(1位)からダウンしています。

さて、今週はCD売上で1位を旧ジャニーズ系アイドルに奪われましたが、まだまだ強いMrs.GREEN APPLE。先週1位の「ANTENNA」はワンランクダウンの2位、「Attitude」もワンランクダウンの3位と、今週もベスト3のうち2作同時ランクインです。「ANTENNA」はストリーミング数が5週連続の1位。ダウンロード数は5位から3位にアップ。これで通算18週目のベスト10ヒット、通算8週目のベスト3ヒットに。また「Attitude」もストリーミング数が3週連続で2位を記録しています。

続いて4位以下ですが、今週は初登場盤が1作ありました。まず7位にちゃんみな「ハレンチ」がランクイン。ストリーミング数6位。人気の女性ラッパーによる2021年のアルバムですが、SKY-HIが運営する音楽プロダクションBMSGとちゃんみなが開催するガールズグループオーディション「No No Girls」が話題となっており、徐々にランクを上げているようです。リリース当初は最高位11位だったので、初のベスト10ヒットとなりました。

また、ベスト10返り咲きも1枚。8位には韓国の女性アイドルグループTWICEの日本人メンバーによるサブユニット、MISAMO「HAUTE COUTURE」が21位からランクアップし、9週ぶりにベスト10返り咲き。CD販売数は22位から2位、ストリーミング数も19位から11位にランクアップ。日本でドームツアーを行った影響と思われます。

他のロングヒット盤は、まずVaundy「replica」は先週から同順位の4位をキープ。これで通算10週目のベスト10ヒット。ストリーミング数は4位から3位にアップ。ちなみに「strobo」も先週と同順位の5位をキープし、今週も2作同時ランクインとなっています。

Number_i「No.I」は先週の3位から6位にダウン。ただ、これで通算8週目のベスト10ヒットに。米津玄師「LOST CORNER」も今週7位から10位にダウン。こちらは通算11週目のベスト10ヒットとなっています。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

Heatseekers Songsは、柊マグネタイト「テトリス」が5週連続で1位獲得。動画再生回数は5位から6位にダウン。一方、Hot100では43位から41位にアップしています。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

ボカロチャートはDECO*27「モニタリング」が今週も1位獲得し、これで4週連続の1位に。また、2位の柊マグネタイト「テトリス」、3位のぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ「み む かゥ わ ナ イ ス ト ラ イ」も先週から変わらず。これで3週連続ベスト3が同一曲となりました。こちらも今後の動向は要注目です。

今週のHot Albums&Heatseekers&ボカロチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2025年1月22日 (水)

Mrs.GREEN APPLEの快進撃が続く 2週目

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先週と同じタイトルになっていますが・・・今週もMrs.GREEN APPLEの快進撃が続いています。

Lilac

まずMrs.GREEN APPLE「ライラック」が今週も1位獲得。これで3週連続通算5週目の1位に。ストリーミング数は3週連続、動画再生回数も4週連続、さらにカラオケ歌唱回数も2週連続の1位。ダウンロード数だけは1位から3位にダウンしていますが、圧倒的な強さを誇り、1位を独走しています。これでベスト10は40週連続、ベスト3は通算26週目となります。

さらに「ケセラセラ」も先週の3位からワンランクダウンとなるものの4位をキープし、通算31週目のベスト10ヒットに。ストリーミング数は2週連続の3位、動画再生回数も4位から3位にアップ。「ビターバカンス」も5位から6位にダウンしているものの、こちらもベスト10をキープ。こちらは今週でついに8週連続のベスト10ヒットに。「Soranji」も10位から8位にアップ。これで今週も4曲同時ランクインを記録。さらに14位に「青と夏」、15位に「familie」、19位に「点描の唄 feat.井上苑子」と、ベスト20圏内に7曲同時ランクインを記録しています。

2位も先週から変わらず。ロゼ&ブルーノ・マーズ「APT.」が同順位をキープ。ストリーミング数は2週連続、動画再生回数は5週連続2位をキープ。またダウンロード数も7位から6位にアップしています。これで13週連続のベスト10ヒット&12週連続のベスト3ヒット。

3位には秋元康系の女性アイドルグループSTU48「地平線を見ているか?」がランクイン。CD販売数1位、その他はすべてベスト20圏外。オリコン週間シングルランキングでは初動売上11万枚で1位初登場。前作「君は何を後悔するのか?」の初動17万6千枚(2位)からダウンしています。

次に4位以下の初登場曲ですが、今週はあと1曲のみ。5位に韓国の男性アイドルグループSEVENTEENのサブグループBSS(SEVENTEEN)「CBZ(Prime time)」がランクイン。CD販売数2位。オリコンでは本作が収録されている「TELEPARTY(CBZ(Prime time))」が初動売上6万3千枚で2位初登場。前作「SECOND WIND」の初動5万4千枚(3位)からアップしています。

さらに今週はベスト10返り咲きで、tuki.「晩餐歌」が先週の11位からアップし、2週ぶりにベスト10返り咲き。通算33週目のベスト10ヒットを記録しています。

ロングヒット曲ではCreepy Nuts「オトノケ」が先週から変わらず7位をキープ。ただ、ダウンロード数は10位から9位にアップしたものの、ストリーミング数は5位から6位、動画再生回数も10位から14位にダウン。これで15週連続のベスト10ヒットになります。

一方、こっちのけんと「はいよろこんで」は今週8位から12位にダウン。ベスト10ヒットは通算22週でストップとなってしまいました。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heatseekers&ボカロチャート!

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2025年1月21日 (火)

懐かしい90年代を感じつつ

Title:ゴールデン☆ベスト CORVETTES
Musician:CORVETTES

ここでも何度か取り上げている、複数のレコード会社共通の廉価版ベストアルバムシリーズ「ゴールデン☆ベスト」。あまりいままでチェックしてこなかったミュージシャンを含め、代表曲を手っ取り早く聴けるため、いろいろと重宝するシリーズなのですが、今回紹介するのは80年代から90年代にかけて主に活動していた男性5人組バンドCORVETTESです。

個人的に彼らを懐かしいなぁ、と思って今回聴いてみたのは、1993年にドラマ主題歌として起用された「瞳を僕にちかづけて」を知っていたから。この1993年という年は、フジテレビ系ドラマ「振り返れば奴がいる」の主題歌となったCHAGE&ASKAの「YAH YAH YAH」が大ヒットを記録したように、ドラマ主題歌が軒並み大ヒットを記録しました。本作は日テレ系ドラマ「日曜はダメよ」の主題歌に起用され、彼らとしては最大のヒット曲となっています。ただし、オリコンシングルチャートでは最高位14位に留まっており、大ヒットには程遠く、おそらくリアルタイムでヒットシーンを追いかけていた方でも、「懐かしい!」と感じる方と「知らない・・・」と思う方が分かれそうに感じます。

そしてこのベスト盤の最初に本作は収録されています。今回、久しぶりに同曲を聴いたのですが、そこで強く感じたのは、とにかく売れることを意識した曲だった、という点でした。この1993年という年、ドラマ主題歌と共に音楽シーンの大きな流行になったのが、いわゆるビーイング系。明確に売れることを狙った、ある意味、工業生産物のような手法を取った乱発気味の音楽制作は、賛否両論がわかれましたが、同曲に関しては、明らかに、当時流行だったビーイングの手法を取り入れています。まずサビ先という楽曲構成。さらにはサビの一番最初に曲のタイトルを持ってくる手法。そして、サビのインパクトだけを異様に重視し、サビ以外のメロがやっつけ気味となっているような楽曲。いずれもいかにもビーイング系の手法を模倣したような、当時の流行にのっかかって、「売れる」ことを意識した曲になっていました。

今回のベスト盤で、はじめて「瞳を僕に近づけて」以外のCORVETTESの曲を聴いたのですが、彼らの代表曲といえる同曲とは異なる作風の楽曲がメインとなっていました。「あのカーブを過ぎたら」のように、いかにも90年代的なアレンジの曲もあったものの、「瞳を僕にちかづけて」の前のシングルとなる「YOKO・・・さよならの向こうに」「Dracula」などはAOR風のちょっとムーディーな大人のポップといった印象も受ける作品に。一方、「NEVER」「ジサンサー」などはいずれもハードロックな作品になっており、彼らの嗜好としてはここにあったのかな、とも感じます。

もっとも、ハードロックとAORという明らかに異なった作風の曲が並んでいるあたり、バンドとしての方向性もいまひとつ定まっていなかったようにも感じました。この点が、バンドとしていまひとつ、大ブレイクに至らなかった大きな要因のようにも感じました。また、バンドとしては、シングル曲は「瞳を僕にちかづけて」が最後。その後、ベスト盤1枚、オリジナルアルバム1枚をリリースし、1994年には活動休止となってしまいます。ただ、その後、1998年に再結成し、その後は活動を続けているだけに、おそらくメンバーの仲が悪くなった訳でも音楽をやめてくなった訳でもなく、純粋にヒット作を求められ、同作があまり大ヒットには至らなかった結果、一時的にバンド内にギクシャクが生まれたのではないでしょうか。

90年代の音楽シーンをちょっと懐かしく感じつつ、その中で迷走気味だったバンドの活動を感じられるベストアルバム。他にも「Danger City」のようにテレビ主題歌になった曲もありますので、懐かしさを感じる方はチェックしてみて損のない1枚だと思います。

評価:★★★

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2025年1月20日 (月)

小西康陽がボーカルに挑戦!

Title:失恋と得恋
Musician:小西康陽

かのピチカート・ファイヴのメンバーとしても知られ、数多くのミュージシャンたちへのプロデュースや楽曲提供を手掛けてきた小西康陽。ここ最近はPIZZICATO ONE名義でのソロ活動が続いてきましたが、今度は本名「小西康陽」名義でのアルバムがリリースされました。

今回、この小西康陽名義のアルバムの最大の特徴は、自らが歌っている、という点。なんでも2022年にギターの弾き語りライブを行ったところ、「過去の自作曲を自ら歌うこと」に目覚めたそうで、本作は主に2023年8月に丸の内コットンクラブで行われた「小西康陽・東京丸の内」のために編曲されたものだそうです。

まず楽曲のアレンジに関しては、そこはさすが小西康陽、文句のつけようのないクオリティーの高い作品を聴かせてくれています。今回はピアノ、ベース、ドラムス、ギター、チェロという5人編成での録音。ジャジーなサウンドが大きな特徴となっており、比較的シンプルながらもしっかりと聴かせるアレンジとなっています。

そんな中でもドラムのリズムだけをバックに歌い上げる「陽の当たる大通り」や、ボッサ風の「むかし私が愛した人」、チェロのみをバックに歌う「きみになりたい」、ピアノジャズアレンジの「動物園にて」など、バラエティーのある作風に。特に、ドラムのみ、チェロのみというアレンジは、小西康陽のボーカルをより際立たせるようなアレンジとなっており、ボーカリスト小西康陽として挑戦的なアレンジとなっていました。

さて、本作で一番の注目すべき点はやはり小西康陽のボーカルというポイントでしょう。正直言えば、彼のボーカルは決して上手いものではありません。穏やかな雰囲気の、大人の渋みも感じさせるボーカルというとポジティブな表現ですが、いかにも「おじさん」という感じのボーカルで声量もなければ、音程もいまひとつ安定していません。

ただ、とはいえ本人としてはそんなことは百も承知。このボーカルがジャズ主体のアレンジにちゃんとマッチして聴こえるあたり、さすがは小西康陽の力量の高さを感じさせます。彼の決して上手くはないボーカルが、ひとつの味として感じられるように、しっかりと作りこまれている感があります。

ただ、それでも、特にピチカートの楽曲を小西康陽が歌う点についてはかなりの違和感が・・・。やはりメロディーラインにしても歌詞にしても、あくまでも野宮真貴を前提としてつくられた曲なだけに、彼のような「おじさん」がそれを歌うと、正直なところ、かなりの違和感を覚えてしまいます。まあ、そのギャップも「味」と言われればそうなのかもしれないのですが・・・。この違和感の強さは最後までぬぐえませんでした。

楽曲自体の出来としては申し分ないですし、小西康陽のボーカルも、それなりの「味」として感じられると思います。ただ、前述の違和感を受け入れられるかどうかで、アルバムの印象は変わりそう。個人的には、違和感が違和感のまま残ってしまった感は否めません。もちろん、小西康陽の実力はしっかりと感じられる作品ではあるのですが、オリジナルは越せなかったかな、とも思う1枚でした。

評価:★★★★

小西康陽(PIZZICATO ONE) 過去の作品
ATTRACTIONS! KONISHI YASUHARU Remixes 1996-2010
11のとても悲しい歌(PIZZICATO ONE)
わたくしの二十世紀(PIZZICATO ONE)
なぜ小西康陽のドラマBGMは テレビのバラエティ番組で よく使われるのか。
井上順のプレイボーイ講座12章(小西康陽とプレイボーイズ)
前夜 ピチカート・ワン・イン・パースン(PIZZICATO ONE)


ほかに聴いたアルバム

Fujii Kaze Stadium Live “Feelin' Good”/藤井風

昨年8月24日、25日に横浜の日産スタジアムで行われたワンマンライブの模様を収録したライブ盤。Blu-ray形式でリリースされているほか、配信盤とCD盤でもリリースされています。全体的にメランコリックな歌をしっかり聴かせる、というイメージのパフォーマンスが多く、そういう意味ではスタジアムライブっぽくない感じもするのですが、それはそれで藤井風の魅力といったところでしょう。ただ、このスタイルのパフォーマンスをしっかりとスタジアムレベルでも聴かせてくれるというのはさすが。一度、彼のライブにも足を運んでみたい、と感じさせるようなライブアルバムでした。

評価:★★★★★

藤井風 過去の作品
HELP EVER HURT NEVER
HELP EVER HURT COVER
Kirari Remixes(Asia Edition)
LOVE ALL SERVE ALL

The Golden Age Of Punk Rock/Ken Yokoyama

ハイスタやBBQ CHICKENSなどで活躍する横山健の新作は、パンクロックのカバーアルバム。ただ選ばれているのは70年代のパンク勢ではなく、主に80年代から90年代にかけて活躍したNOFXやRANCID、Bad Religionなどといったバンドの楽曲。基本的に彼がリアルタイムで体験した、思い入れのあるミュージシャンたちということなのでしょう。パンクロックという枠組みにとらわれず、The Get Up Kidsのようなエモ系や、Blink-182などポップ寄りのバンドも選ばれているのもちょっと意外な印象も。全体的に有名所の王道を抑えたようなセレクションとなっており、奇をてらっていない感、純粋なパンクロックへの敬愛ぶりも感じさせます。横山健が好きな人は、逆にここに紹介されているバンドたちのアルバムを聴いてみるとよいかも。

評価:★★★★

Ken Yokoyama 過去の作品
Four
Best Wishes
SENTIMENTAL TRASH
Ken Yokoyama VS NUMBA69(Ken Yokoyama/NAMBA69)
Songs Of The Living Dead
4Wheels 9Lives
Indian Burn

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2025年1月19日 (日)

新メンバー加入でゼロからの出発

Title:From Zero
Musician:Linkin Park

日本でも高い人気を誇っているアメリカのロックバンド、Linkin Park。2017年にリリースしたアルバム「One More Light」でも全米チャートで1位を記録するなど、圧倒的な人気を誇ってきました。しかし、そんなバンドが悲劇に襲われたのがその2017年。マイク・シノダと並び、バンドのボーカルを担ってきたチェスター・ベニントンが自殺というショッキングな出来事に襲われ、バンドはそのまま活動休止状況となってしまいました。

しかし、その後の過去のアルバムの〇〇周年記念盤などのリリースにより、バンドの看板を守り続け、今年はシングルコレクションを発表。さらに新ボーカルとして女性ボーカリストのエミリー・アームストロング、さらに新ドラマーとしてコリン・ブリテンを迎えて活動を始動。実に前作から約7年ぶりとなる待望のオリジナルアルバムのリリースとなりました。

そんな待望のニューアルバムの大きな特徴は、ゴリゴリにヘヴィーなサウンドを前に押し出した、Linkin Parkらしいヘヴィーロックな作品になっている点でしょう。イントロからスタートし、序盤は比較的、彼ららしいメランコリックなメロを聴かせるようなナンバーが続きますが、「Heavy Is the Crown」ではまずヘヴィーなバンドサウンドを前に押し、エミリーのシャフト気味のボーカルが楽曲となっています。

バンドとしての原点回帰的なヘヴィーロック路線は後半に行くほど顕著で、「Casualty」も最初、エミリーのデス声からスタートしつつ、ヘヴィーなギターリフを前に押し出したメタリックな作品に。「Two Faced」もヘヴィーなギターリフ主導の典型的なラップメタルな作品に。「IGYEIH」も比較的ポップなメロを聴かせてくれつつ、エミリーのシャウトと、それに合わせるようなヘヴィーなバンドサウンドが印象的なダイナミックなナンバー。前作となる2017年「One More Light」ではポップな作風にシフトしており、バンドとして賛否両論(というより否定的な論調の多い)作品となっていましたが、今回は完全にラップメタル回帰の、Linkin Parkらしい作品に仕上がっており、初期からのファンにとっても大きな満足のいく作品だったのではないでしょうか。

そしてなんといっても大きいのは、今回、女性ボーカルのエミリー・アームストロングが加わった点でしょう。「女性だから」ということは関係ない、とばかりのシャウトやデス声、そして力強いボーカルも大きな魅力なのですが、とはいってもやはり女性らしいハイトーンの柔らかい、マイク・シノダとは明らかに異質である声質がバンドにとって大きなインパクトになっています。今回のアルバム、純粋に楽曲部分だけを切り取れば、原点回帰的とはいえ目新しいものは全くありません。ただそれでもこのアルバムに惹きつけられるのは、やはりエミリーのボーカルが大きなインパクトになっているからでしょう。

また、「Over Each Other」ではエミリーがゆっくりと歌い上げるボーカルがソウルフルで、大きな魅力となっている作品。この曲は、まさにエミリーがボーカルだったこそ成り立ったような楽曲になっていたと思います。もともとバンドとしては前作でも「Heavy」で女性ボーカリストをゲストとして迎えており、女性ボーカルとのからみというのをバンドとしての新たな可能性として模索していたのでしょう。そして今回のアルバムでは、その方向性がピッタリとマッチしていました。

正直、サウンド的に新機軸を打ち立てた訳ではないため、これが2作3作と続けば、マンネリ化しそうな印象も否めません。ただ、それを差し引いても、新体制の出発にふさわしい傑作アルバムに仕上がったアルバムと思います。「From Zero」というアルバムタイトル通り、まさにバンドとしてゼロからの始動となった彼ら。ただ、今後の活躍に期待したいところです。

評価:★★★★★

LINKIN PARK 過去の作品
A THOUSAND SUNS
LIVING THINGS
The Hunting Party
One More Light
Papercuts:Singles Collection(2000-2023)

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2025年1月18日 (土)

中途半端な印象が否めない

Title:Lab.
Musician:go!go!vanillas

男性4人組ロックバンド、go!go!vanillasによる、約2年ぶりとなるニューアルバム。2014年にメジャーデビューし、昨年、デビュー10周年を迎えた中堅バンドの彼ら。今年は日本武道館2デイズライブを、既にソールドアウトさせるなど、その人気を確立しています。

go!go!vanillasのイメージとしては、いかにも今どきのロックバンドというイメージの軽快でポップなバンドサウンドを鳴らしているグループというイメージ。実際、彼らの楽曲を聴くと、軽快でポップなナンバーが目立ちます。ただ、その中でもメンバー全員がThe Beatlesの影響を公言しているグループのようで、海外のロックの影響をはじめとして、比較的幅広い音楽性はその楽曲から垣間見れることが出来ます。

例えば「クロスロオオオード」はギターサウンドのイントロをはじめ、軽快で疾走感あるサウンドはオルタナ系以降のギターロックの影響を感じさせますし、続く「来来来」はガレージロックの影響も感じさせます。また「SHAKE」はおしゃれな感じのサウンドでAORやシティポップ風の作品となっていますし、「Persona」はファンキーなリズムを取り入れたりもします。

ただ一方ではやはり全体的にはポップなメロディーが主体となっている楽曲になっており、本格的にルーツサウンドを取り込んでいるか、と言われると微妙。様々な音楽性の影響は感じられるし、そこにバンドとしてのルーツを感じさせるのは間違いないのですが、ただ、結果としては、耳ざわりのよいポップなメロを前面に押し出している、よくありがちなギターロックバンドという印象が否定できません。

そしてバンドとしてはどうにも中途半端な立ち位置となっていまっているのが非常に惜しい感じもします。ポップスさを追及するとしても、それだけを売りにするとしてはいまひとつ。逆に中途半端なサウンドのバリエーションが足を引っ張ってしまっている感も否めず。一方でサウンドの方にしても、そのルーツやバリエーションを売り出そうとしても、中途半端にポップなメロに引っ張られてしまって、それを売りにできるような感じでもありません。結果として、非常に中途半端になってしまったというイメージが否めません。

売上的にも、日本武道館2デイズをソールドアウトさせるほどの人気を獲得しつつも、チャート的には20位前後をうろうろしている感じでいまひとつブレイクしきれないのもここらへんの中途半端さが影響している感もします。もっとも、そのバラエティーのある音楽性から感じられる音楽的素養は注目すべき点もありますし、それを上手くポップに落とし込んでいる実力も感じされます。そういう意味では、あと一皮むければおもしろいバンドとなって一気にブレイクできる印象も受けるのですが。そこらへん、今後のさらなる成長を期待したいところです。

評価:★★★★

go!go!vanillas 過去の作品
THE WORLD

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2025年1月17日 (金)

ポップなメロに、深い音楽性を取り入れて

Title:GOLD HOUR
Musician:大橋トリオ

シンガーソングライター、大橋トリオの約3年8ヶ月ぶりとなるニューアルバム。オリジナルアルバムとしてはちょっと久しぶりとなる新作ですが、ただ、今年はTHE CHARM PARKとのコラボアルバム「Trio&Charm」をリリースしていますし、途中、ベストアルバムやコラボベストのリリースもありましたし、むしろ、精力的に切れ目なく活動している印象すら受ける大橋トリオ。むしろオリジナルアルバムで4年近いインターバルが空いていた方が意外に感じました。

毎回、いい意味でジャズやソウル、AORの要素を組み込んだ大人のポップソングを、アコースティックベースのサウンドで聴かせてくれる彼。いい意味で安定感があり、クオリティーの高いポップを安心して聴ける、という印象を受ける反面、それゆえに正直なところ逆に「地味さ」も感じてしまう点も否定できません。それゆえに、チャート的にはいつも10位~30位程度を行ったり来たりと、それなりにヒットしているけどブレイクまではいかない・・・という煮え切れなさもこの地味さゆえ、なのかもしれません。

本作に関しても、いつもと同様、ジャズやソウル、AORの要素を組み込んだ大人のポップスを安定したクオリティーで聴かせてくれます。そういう意味では良くも悪くもいつもの大橋トリオといった印象を受けるのですが、ただ、そんな中でも今回のアルバムはここ数作の中では頭ひとつ出ている、心にしっかり残る楽曲が並ぶアルバムになっていたように感じました。

まず冒頭を飾る「空とぶタクシー」が心地よい感じ。アコギの爽快なサウンドとリズミカルとすら感じられるテンポのよいリズムが印象的なのですが、爽やかでありつつ切なさも感じられるメロディーラインがキュンと来ます。続く「エトセトラ」も、メランコリックなメロディーラインが印象的。途中のメロディーの転調も個人的にはかなりグッと来る部分があります。

「季節によせて」も強い印象に残るバラードナンバー。エレピで切なく聴かせるナンバーで、「スティーヴィー・ワンダーに歌わせたい」というテーマでつくられた楽曲だそうですが、まさにスティーヴィーの楽曲に通じる、ポップだけどメロウなR&Bナンバーに仕上がっています。

後半も、ジャジーなアレンジにファンキーさも感じるドラムのリズムも気持ちよい「風船メモリー」や、暖かいメロディーラインが印象に残る「カラタチの夢」など、後半も魅力的なナンバーが並びます。「カラタチの夢」はテレビ東京系ドラマ「きのう何食べた? season2」のオープニングテーマで、このドラマは見ていないのですが、ドラマタイトルからして、ドラマにもマッチしたほんわかとした雰囲気も感じさせます。

終盤の「薤露青」はエキゾチックでちょっとサイケさもあるアレンジが耳を惹く楽曲。宮沢賢治の詩にメロをつけた曲だそうですが、ちょっと不思議な雰囲気の曲調がアルバムの中でちょうどよいインパクトになっています。そしてラストの「巡(めぐる)」はアコギやピアノなどアコースティックなサウンドを軸にゆっくりと聴かせる楽曲。実に大橋トリオらしい作品でアルバムは締めくくられます。

最初にも書いた通り、今回のアルバムでも決して目新しい大橋トリオを提示した訳ではなく、いつもの彼らしい大人のポップソングを聴かせてくれます。ポップなメロディーラインで楽曲全体としては広いリスナー層にアピールできそうなポピュラリティーを持っていながら、サウンドなど要所要所にジャズやソウルの要素を取りいれた、その音楽性の広さ・深さを感じさせる仕事ぶりも彼らしいところ。さらに今回のアルバムに関しては、サウンドのバリエーションもさることながら、インパクトのあるメランコリックで切ないメロが強い印象を残す作品になっており、ここ数作の中では一番の出来だったように感じます。あらためて大橋トリオというミュージシャンの魅力を再認識できた傑作でした。

評価:★★★★★

大橋トリオ 過去の作品
A BIRD
I Got Rhythm?
NEWOLD
FACEBOOKII
L
R

FAKE BOOK III
White
plugged
MAGIC
大橋トリオ
PARODY
10(TEN)
Blue
STEREO
植物男子ベランダー ENDING SONGS
植物男子ベランダーSEASON2 ENDING SONGS
THUNDERBIRD
This is music too
NEW WORLD
ohashiTrio best Too
ohashiTrio collaboration best -off White-
カラタチの夢
Trio&Charm(大橋トリオ&THE CHARM PARK)


ほかに聴いたアルバム

ORION/SPECIAL OTHERS ACOUSTIC

昨年は2月から9月にかけて、毎月25日を「ニコニコの日」と称して、にぎやかな新曲をリリースするなど積極的な活動が目立ったSPECAIL OTHERS。本作はそんな彼らのアコースティック編成による別名義のアルバムになるのですが、「ACOUSTIC」名義での活動をスタートさせ、10周年の記念のアルバムとなります。25日にリリースした新曲は、既にスペアザ名義の直近作「Journey」に収録されていますが、こちらもほっこりと心が温まるような楽曲が収録。この寒い冬の季節にもピッタリの、いい意味で安心して聴ける楽曲が並んでいました。

評価:★★★★

SPECIAL OTHERS 過去の作品
QUEST
PB
THE GUIDE
SPECIAL OTHERS
Have a Nice Day
Live at 日本武道館 130629~SPE SUMMIT 2013~
LIGHT(SPECIAL OTHERS ACOUSTIC)
WINDOW
SPECIAL OTHERS II
Telepathy(SPECIAL OTHERS ACOUSTIC)
WAVE
Anniversary
Journey

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2025年1月16日 (木)

Hot AlbumsもMrs.GREEN APPLEが快進撃

今週のHot Albums

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Hot100と同じく、Hot AlbumsでもMrs.GREEN APPLEの強さが目立ちます。

今週も1位はMrs.GREEN APPLE「ANTENNA」が獲得。これで2週連続の1位。また、ベスト10ヒットは通算17週目、ベスト3ヒットは通算7週目となります。ストリーミング数は4週連続の1位。ただし、ダウンロード数は3位から5位に、CD販売数も5位から7位にダウンしています。さらに「Attitude」も2週連続の2位。2週続けてMrs.GREEN APPLEの1、2フィニッシュとなりました。

さらに3位には先週5位のNumber_i「No.I」がランクアップ。こちらは2週ぶりのベスト3返り咲きとなりました。

4位以下の初登場盤は、8位にYouTuberグループすとぷりのベストアルバム「Strawberry Prince Forever」がランクイン。CD販売数1位。また10位にはにじさんじに所属するVTuberグループVOLTACTION「Action!!!!!!!!!!!!」がランクイン。CD販売数2位、ダウンロード数3位。こちらが1stミニアルバムとなります。

以下、ロングヒット盤ではVaundy「replica」は先週と変わらず4位。通算9週目のベスト10ヒット。ちなみに「strobo」は3位から5位にダウンしているものの、今週も2枚同時ランクインとなっています。米津玄師「LOST CORNER」も8位から7位にアップ。こちらは通算10週目のベスト10ヒット。一方、優里「壱」は今週11位にダウン。ベスト10ヒットは通算11週で一度ストップです。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

Heatseekers Songsは、柊マグネタイト「テトリス」が4週連続で1位獲得。動画再生回数も先週から変わらず5位をキープ。一方、Hot100では47位から43位にアップしています。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

ボカロチャートはDECO*27「モニタリング」が今週も1位獲得し、これで2週連続の1位に。また2位は柊マグネタイト「テトリス」、3位にはぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ「み む かゥ わ ナ イ ス ト ラ イ」が先週から同順位をキープしており、今後の動向も気にかかるところです。

今週のHot Albums&Heatseekers&ボカロチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2025年1月15日 (水)

Mrs.GREEN APPLEの快進撃が続く

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

年末のレコ大&紅白の影響が続く形で、Mrs.GREEN APPLEの快進撃が続いています。

Lilac

まずMrs.GREEN APPLE「ライラック」が先週に続く1位を獲得。これで通算4週目の1位獲得となります。ストリーミング数、ダウンロード数及び動画再生回数でいずれも1位を獲得。さらにカラオケ歌唱回数でも今週1位を獲得しています。これで39週連続のベスト10ヒット、通算25週目のベスト3ヒットに。さらに今週「ケセラセラ」も8位から3位にアップ。こちらはなんとここに来ての自己最高位更新となりました。ベスト10ヒットは通算30週目に。

その他も「ビターバカンス」が6位から5位にアップしているほか、「Soranji」が先週の11位から10位にアップしています。2022年11月にリリースされたシングルで、当時は映画「ラーゲリより愛を込めて」の主題歌に起用されていました。こちらは2022年11月16日付チャート以来のベスト10ヒットとなります。これで、ベスト10に4曲同時ランクインという快挙を達成しました。

以下、16位に「青と夏」、18位に「familie」がランクイン。上位20位中6曲までがMrs.GREEN APPLEの曲という結果に。彼らの快進撃が続いています。

2位はロゼ&ブルーノ・マーズ「APT.」が先週と同順位をキープ。ストリーミング数及び動画再生回数2位は先週から変わらず。ダウンロード数は9位から7位にアップ。これで12週連続のベスト10ヒット&11週連続のベスト3ヒットとなりました。

4位以下の初登場曲は、まず4位に旧ジャニーズ系アイドルグループKis-My-Ft2「Curtain call」がランクイン。CD販売数1位。オリコン週間シングルランキングでは初動売上11万7千枚で1位初登場。前作「HEARTBREAKER」の初動20万1千枚(1位)からダウンしています。

6位にはスターダストプロモーション所属の男性アイドルグループLienel「Go Around The World」が初登場。CD販売数2位。オリコン週間シングルランキングでは初動売上4万7千枚で2位初登場。前作「Curry on love」の初動2万9千枚(3位)よりアップ。

そして9位にはLDH系の男性アイドルグループLIL LEAGUE from EXILE TRIBE「刺激最優先」がランクイン。CD販売数及びラジオオンエア数で3位を獲得。オリコンでは初動売上3万1千枚で3位初登場。前作「Youth Spark」の初動4万5千枚(3位)からダウンしています。

その他、ロングヒット曲ではまずCreepy Nuts「オトノケ」が4位から7位にダウン。ストリーミング数は3位から5位、ダウンロード数は7位から10位、動画再生回数は7位から10位といずれもダウン。これでベスト10ヒットは連続14週に。

また、こっちのけんと「はいよろこんで」も5位から8位にダウン。こちらもストリーミング数は9位から15位、ダウンロード数は2位から4位、動画再生回数も5位から9位へダウン。ただ、カラオケ歌唱回数は4位から3位へとアップし、今後、こちらは伸びていきそうな感じも。これでベスト10ヒットは通算22週目となります。

この2曲もそうですが、先週、紅白効果でランクアップした曲は軒並みランクダウン。tuki.「晩餐歌」は9位から11位、Omoinotake「幾億光年」は7位から12位、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」は3位から13位に一気にダウン。ベスト10ヒットはそれぞれ「晩餐歌」は通算32週、「幾億光年」は通算35週、「BBBB」は通算48週でストップ。いずれも紅白の一時的な巻き返し効果の影響なので、来週以降の再ランクアップは難しそうです。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heatseekers&ボカロチャート!

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2025年1月14日 (火)

方向性が異なりつつ、微妙にリンク

今回、紹介するのはニューヨーク生まれチリ育ちのエレクトロミュージシャン、Nicolas Jaarが2枚同時にリリースしたアルバムです。

Title:Piedras 1
Musician:Nicolas Jaar

Piedras1

Title:Piedras 2
Musician:Nicolas Jaar

Piedras2

2枚同時リリースとなった本作ですが、両作で楽曲の方向性は異なります。まず「Piedras 1」の方はラテンの要素も強い哀愁たっぷりのメロディーラインが軸となっている点。「Aqui」がまさにそんな哀愁たっぷりの「歌」を聴かせてくれる楽曲となっていますし、続く「Agua pa fantasmas」は哀愁感あるメロにラテンやトライバルな要素の加わったエレクトロビートが加わります。特に、アルバム中盤では、ラテンやトライバルなビートをより前に押し出したリズミカルなナンバーが強くなります。

特にラテンの要素という点では、彼がチリ育ちということで、やはり中南米系の影響が大きいのでしょう。アルバムでも後半「Mi viejita」などは、まさにラテンの要素を前に出したメランコリックなナンバーとなっています。アルバム全体としてはダウナーな雰囲気の曲が多いのですが、そこにラテン特有の哀愁感のあるメロやサウンド、さらにはトライバルなビートも加わり、独特の味わいのあるサウンドを聴かせてくれます。

一方、「Piedras 2」は全体的にアンビエントの要素の強いアルバムに。特にアルバム前半は「Rio radio correspondecia anfibia」にはじまり、「3eee」「F Collect」など、静かで美しいサウンドを聴かせてくれるアンビエントの曲が続いていきます。「Piedras 1」で感じられたラテン的な要素は薄め。ただ、ダウナーな楽曲という意味では「Piedras 1」に通じるものがありますし、なによりもアンビエントの美しいサウンドが耳を惹く作品となっています。

ただ、この作品、後半になると雰囲気が異なり、「Heterodia」では強いエレクトロビートの、ドリルンベース的な楽曲に。さらにラストの「SSS1」「SSS2」「SSS3」はメタリックなエレクトロビートが疾走感のある楽曲になっており、アンビエントの雰囲気からグッと変化してアルバムが幕を下ろすのもまた、ユニークです。

そんな訳で、2枚同時リリースのアルバム。方向性が異なりつつ、共通項も感じられるのもユニーク。特に「Piedras 1」の1曲目「Cangilon」はアンビエントの作品となっており、「Piedras 2」との結びつきも感じられます。2枚のアルバムが、微妙に異なりつつも、実は微妙にリンクしている、そんな構成もまたおもしろく感じ、どちらのアルバムも楽しめる、そんな作品だったと思います。

今回、はじめて彼の作品を聴いたのですが、もともとデビューアルバム「Space Is Only Noise」から高い評価を受けていたようです。ただ、その理由も納得の、彼の実力をしっかりと感じられた2枚のアルバムでした。

評価:★★★★★

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2025年1月13日 (月)

「Screamadelica」期を彷彿とさせるような

Title:Come Ahead
Musician:Primal Scream

途中、シングルコレクションやライブアルバムのリリースなどのリリースもあったため、そんなに間が空いたんだ、とちょっと意外な感じもするのですが、実に約8年ぶりとなるPrimal Screamのニューアルバム。ジャケット写真はスコットランドの労働組合の重鎮であるボビー・ギレスピーの父親だとか。そういわれれば、面影がどこか似ているような・・・。

そんな久々となる今回のアルバム、作品の全体的な印象としては、どこか彼らの名盤である「Screamadelica」を彷彿とさせるような内容となっていました。アルバムの冒頭を飾る「Ready To Go Home」は、最初、ゴスペルからスタート。それが徐々にテンポをあげていき、本編がはじまると、リズミカルでファンキーなリズムのダンスチューン。ブラックミュージックの影響も強い、軽く酩酊感のあるグルーヴィーなサウンドは、まさに「Scramadelica」を彷彿とさせます。

続く「Love Insurrection」もミディアテムテンポで歌い上げるメロウなボーカルのナンバーながらも、バックに流れるグルーヴィーなサウンドが心地よいミディアムソウル風の楽曲。「Innocent Money」も4つ打ちのリズムで軽快な、ディスコ風のダンスナンバー。こちらも楽曲に流れるストリングスの音色が醸し出す、ちょっと懐かしい70年代的な雰囲気が実に魅力的な楽曲になっています。

軽快なパーカッションがトライバルに聴かせる「Circus of Life」も、まさに「Screamadelica」期を彷彿とさせるリズミカルでグルーヴィーなナンバー。アフロビートっぽい雰囲気も魅力的な楽曲。終盤の「The Centre Cannot Hold」も軽快でリズミカルなダンスチューン。こちらもちょっとトライバルでグルーヴィーなバンドサウンドが大きな魅力となっています。

そんなグルーヴィーでリズミカルな楽曲が並ぶ本作なのですが、ユニークなのがその制作過程で、本作はボビーが、はじめてアコギを使い1人で作曲した作品だそうです。アコギで作成しつつ、これだけグルーヴィーな作品が出来上がるのはちょっと意外な感じがします。一方、本作のタイトル「Come Ahead」はボビーの出身地、グラスゴーの言葉で、喧嘩の時に「出てこい」と挑発する時に使う言葉だそうで、この反骨精神はいまだ変わらず、といった印象を受けます。

また、リズミカルな作品の中に、「Deep Dark Waters」のような、哀愁たっぷりのメロディーをこれでもかというほど聴くことが出来る曲があったり、ラストの「Settlers Blues」も、こちらもメランコリックな歌をサイケフォークなサウンドにのせて聴かせる楽曲。メランコリックな歌も大きな魅力に感じました。

8年前の前作「Chaosmosis」は、彼らの集大成的な作風という印象を受けましたが、8年というインターバルをあけてリリースされた本作は、ある意味、彼らの原点回帰とも言える作品かもしれません。聴いていて素直に心地よかったし、これはライブで聴けば気持ちよさそうだなぁ。Primal Screamというバンドの魅力あふれる傑作でした。

評価:★★★★★

primal scream 過去の作品
Beautiful Future
Screamadelica 20th Anniversary Edition
More Light
Chaosmosis
Give Out But Don't Give Up:The Original Memphis Recordings
MAXIMUM ROCK ‘N’ ROLL: THE SINGLES
Demodelica
Live at Levitation


ほかに聴いたアルバム

Groovy Steppin Sh*t/Lisha G

Lishag

アメリカはサウス・カロライナの女性ラッパー、Lisha Gが、フィラデルフィアのプロデューサーTrini Vivとタッグを組んでリリースしたアルバム。ミディアムテンポのトラップのリズムで聴かせるラップが特徴的。トラップというと、ダウナーでメランコリックというイメージも強いのですが、彼女の場合、ドリーミーな雰囲気はともかくとして、比較的明るい雰囲気のサウンドが特徴的で、個性的で聴きやすさを感じさせます。日本語の情報がほとんどなく、おそらく本作がまだ2作目という彼女ですが、今後の活躍に期待です。

評価:★★★★

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2025年1月12日 (日)

ソウルミュージックの敬愛を感じさせつつ・・・

Title:Acoustic Soul 2021~2024
Musician:スガシカオ

スガシカオが、インディーズで活動していた2014年に、メジャー復帰を決意し、インディーズラスト作としてリリースした「ACOUSTIC SOUL」。そして2020年にリリースした「ACOUSTIC SOUL 2」。今年、メジャー復帰10周年を記念し、パッケージとしては通販及びライブ会場限定でリリースされた、その2作からの曲に新曲も追加してリリースされたのが本作です。ちなみに公式サイトの紹介では、この「ACOUSTIC SOUL」「ACOUSTIC SOUL 2」から4曲+新録6曲という記載となっていますが、4曲は「ACOUSTIC SOUL」から「見る前に跳べ.com」「きみが好きです」の2曲、「ACOUSTIC SOUL 2」からは「発芽」「ヤグルトさんの唄」の2曲を収録。ちなみに「ACOUSTIC SOUL」からは「情熱と人生の間」も収録されていますが、こちらは2024ver.なので新録扱い、ということなのでしょう。

ちなみに「Acoustic Soul」というタイトルなので、アコースティックアレンジのアルバム、といった印象を受けるのですが、そういう意味ではなく「ソウル黄金期のアナログ楽器をつかったソウル」という定義だそうです。そのため、アルバム全体としてはアコースティックアレンジの企画盤、みたいな感じではなく、いつものスガシカオのオリジナルアルバム、といった感覚で聴けるアルバムとなっています。

また、ソウルミュージックに対する敬愛と拘りを感じさせるアルバムとなっており、ミディアムファンクの「ゼロジュウ」からスタートし、エレピでメロウに聴かせる「発芽」、エレピで明るく聴かせつつ、ファンキーなリズムが楽しい「見る前に跳べ」、リゾネーター・ギターでブルージーに聴かせる「きみが好きです」、ホーンセッションも入れて軽快に聴かせるソウルチューン「情熱と人生の間」などなど、ソウルミュージックあるいはブルースからの要素を強く感じされる作風に、彼のブラックミュージックへの傾倒ぶりが感じます。

ただ、基本的にはそんなソウルミュージックの要素を色濃く入れつつも、ゴリゴリのソウルを前面に押し出す訳ではなく、楽曲としてはソウルへ興味のないようなリスナー層へも訴求できるようなポップな作品にまとめあげている、という点が大きな特徴。特に今回のアルバムでは、サウンド的な拘りとは相反するように、J-POP中心のヒットチャートの中でも違和感ないような、歌を前に押し出したポップミュージックが並んでいます。

さらにそんな中でも歌詞が強いインパクトを与える曲が多かったのも印象的で、例えば「ヤグルトさんの唄」は彼の母親に対する思いを歌った歌で、本作の初回盤では、自叙伝的小説の「ヤグルトさんの唄」がついてきます。残念ながら同書は読んでいないのですが、この曲に対する強い思いを感じさせます。また「Soul Music」はタイトル通り、彼のソウルミュージックへの想いを歌ったナンバーで、彼のその愛情を強く感じることが出来ますし、メッセージ性の強い「あなたへの手紙」も印象的。さらに「6月9日」は、この日に急逝した、彼の現場マネージャーへの追悼歌となっており、こちらの歌詞にも胸をうたれます。

そんな訳で、ソウルミュージックへの敬愛を感じさせつつ、全体としてはいつものスガシカオらしいポップミュージックをしっかりと聴かせてくれたアルバム。今回も彼の実力を実感できた傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

スガシカオ 過去の作品
ALL LIVE BEST
FUNKAHOLiC
FUNKASTiC
SugarlessII
BEST HIT!! SUGA SHIKAO-1997~2002-
BEST HIT!! SUGA SHIKAO-2003~2011-

THE LAST
THE BEST-1997~2011-

フリー・ソウル・スガシカオ
労働なんかしないで 光合成だけで生きたい
SugarlessⅢ
イノセント

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2025年1月11日 (土)

こちらも紅白&レコ大の影響か?

今週(2025年1月8日付)のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

Hot100同様、紅白&レコ大の影響を感じさせるチャートとなっています。

まず1位はMrs.GREEN APPLE「ANTENNA」が先週の2位からランクアップ。通算16週目のベスト10ヒット&通算6週目のベスト3ヒットにして、初の1位獲得となっています。ストリーミング数は3週連続の1位。ダウンロード数も6位から3位にアップしたのに加えて、CD販売数も25位から5位にアップ。さらに「Attitude」も7位から2位にアップ。こちらも2019年10月9日付チャート以来のベスト3返り咲き。レコード大賞受賞&紅白出演による露出アップの影響を感じさせます。

さらに3位にはVaundy「strobo」が先週の6位からアップ。こちらはここに来て、自己最高位更新。「replica」も8位から4位にアップし、3位4位にもVaundyが並んでいます。「replica」はこれで通算8週目のベスト10ヒットとなっています。

続いて4位以下ですが、今週は初登場盤はなし。ただし、ベスト10圏外からの返り咲きが数枚あり、まず8位に米津玄師「LOST CORNER」が先週の14位からアップ。こちらは昨年10月16日付チャート以来のベスト10返り咲き。通算9週目のベスト10ヒット。9位にはback number「スーパースター」が11位からランクアップ。こちらは2週ぶりのベスト10返り咲き。さらに10位には優里「壱」が16位からアップし、こちらは2022年5月11日付チャート以来のベスト10返り咲き。通算11週目のベスト10ヒット。こちらは年末の紅白などには全く関係ないのですが・・・優里がこれだけ人気があるのはちょっと意外な感じもします。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

Heatseekers Songsは、柊マグネタイト「テトリス」が今週も1位獲得。これで4週連続の1位となります。動画再生回数は5位から6位にダウン。Hot100は先週と変わらず47位をキープしています。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

今週のボカロチャートは先週に引き続きDECO*27「モニタリング」が1位獲得。ちなみに柊マグネタイト「テトリス」は先週から引き続き2位に。また3位も3週連続ぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ「み む かゥ わ ナ イ ス ト ラ イ」がキープと、ベスト3は先週から変わっていません。今後のこの3曲のデッドヒートも気になるところです。

4日連続のチャート評はこれでおしまい。来週のチャート評は、また通常通り、15日の予定です。

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2025年1月10日 (金)

新指標追加の2週目

今週(2025年1月1日付)のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先週からストリーミング数がチャートに追加され、ガラリと様相が変わったHot Albums。今週も大きく変動のない結果となっています。

ただ今週も1位は主にCD販売数の影響。AKB48「なんてったってAKB48」が1位初登場。CD販売数1位、ダウンロード数12位。アイドルソングをカバーしたカバーアルバム。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上18万4千枚で1位初登場。オリジナルアルバムの直近作「僕たちは、あの日の夜明けを知っている」の初動57万6千枚(1位)から大きくダウンしています。

2位はストリーミング数追加の影響でベスト10に返り咲いたMrs.GREEN APPLE「ANTENNA」が同順位をキープ。ストリーミング数は先週と変わらず1位、ダウンロード数は13位から6位にアップ。通算15週目のベスト10ヒット&通算5週目のベスト3ヒット。ちなみにMrs.GREEN APPLEは同じく先週ベスト10に返り咲いた「Attitude」も今週、2ランクダウンながら7位にランクインしています。

3位にはNumber_i「No.I」が4位から3位にランクアップ。ストリーミング数で2位を獲得。10月2日付チャート以来のベスト3返り咲きとなっています。

続いて4位以下の初登場盤ですが、今週は3枚がランクイン。4位に韓国の男性アイドルグループNCTの派生グループNCT WISH「WISHFUL」がベスト10初登場。CD販売数2位。また9位には、昨年解散したHIP HOPグループBAD HOP「BAD HOP」が先週の16位からランクアップでベスト10初登場。昨年2月にリリースされたアルバムですが、ストリーミング数が追加された影響でランクを大きく伸ばしました。これだけ人気があるというのは、正直、驚きです・・・。最後に10位にはSexyZoneの元メンバー、中島健人「N/bias」が初登場でランクイン。CD販売数4位、ダウンロード数2位。

今週のHot Albumsは先週、ベスト10にランクインしてきたアルバムのうち、back number「スーパースター」「シャンデリア」はベスト10圏外に落ちてしまいましたが、前述のMrs.GREEN APPLE、Number_iの他、Vaundy「strobo」「replica」もそれぞれ6位、8位にランクイン。今後、ここらへんのロングヒットが続きそう。ちょっとストリーミングが強すぎるような気もするのですが・・・。今後の動向にも注目です。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

Heatseekers Songsは、柊マグネタイト「テトリス」が3週連続で1位獲得。ただし、動画再生回数は4位から5位にダウン。一方、Hot100では55位から47位にアップしています。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

一方、ボカロチャートでは7週連続で「テトリス」が1位を獲得していましたが、今週、ついにDECO*27「モニタリング」が1位獲得しています。DECO*27は、2008年から活動を続ける、ボカロPとしては重鎮とも言えるミュージシャン。Adoのヒット曲「踊」の作詞も担当しています。

今週のHot Albums&Heatseekers&ボカロチャートは以上。明日は1月8日付Hot Albums&Heatseekers&ボカロチャート!

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2025年1月 9日 (木)

紅白&レコ大の影響は?

今週(2025年1月8日付)のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

昨日に引き続き、今週は1月8日付のHot100の紹介。チャート集計対象期間が12月30日から1月5日ということで、紅白歌合戦やレコード大賞の影響を受けたチャートとなっています。

Lilac

まず今週1位には、レコード大賞受賞曲、Mrs.GREEN APPLE「ライラック」が昨年9月11日付チャート以来、実に約4か月ぶりの1位返り咲きを果たしています。ストリーミング数も2位から1位にアップし、こちらは10月23日付チャート以来の1位返り咲き。ダウンロード数も6位から1位に、動画再生回数も先週から2位をキープ。カラオケ歌唱回数も3位から2位にアップと軒並みランクアップ。その強さを見せつける結果となっています。これでベスト10ヒットは38週連続、ベスト3ヒットは通算24週目、また通算3週目の1位獲得となりました。

Mrs.GREEN APPLEは「ビターバカンス」も今週、ワンランクダウンながらも6位にランクイン。さらに「ケセラセラ」も今週15位から8位にアップし、こちらは10月2日付チャート以来のベスト10返り咲き。こちらは通算29週目のベスト10ヒットとなっています。さらに「Soranji」が14位から11位、紅白でも披露した「青と夏」が21位から15位、「familie」が22位から18位、「ダンスホール」が24位から19位、「点描の唄 feat.井上苑子」が先週と変わらず20位と、ベスト20のうち実に8曲をMrs.GREEN APPLEが占めるという結果に。レコ大の受賞については賛否を巻き起こしたものの、彼らが現時点で最も人気を獲得しているミュージシャンであることは間違いないでしょう。

2位はロゼ&ブルーノ・マーズ「APT.」がワンランクダウン。こちらは11週連続のベスト10ヒット&10週連続のベスト3ヒットに。ストリーミング数は1位から2位にダウンしたものの、動画再生回数は3週連続で2位をキープするなど、まだまだ高い人気を誇っており、ヒットは続きそうです。

そして3位も紅白&レコ大効果でしょう。Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」が6位から3位にアップ。こちらは実に昨年の8月14日付チャート以来のベスト3返り咲きとなっています。特にストリーミング数が9位から5位にアップ。動画再生回数も6位から3位にアップ。これで通算48週目のベスト10ヒット&通算27週目のベスト3ヒットとなりました。ちなみにそれと入れ替わる形で「オトノケ」は4位にダウン。ただストリーミング数は先週から変わらず3位をキープ。こちらはこれで13週連続のベスト10ヒットとなりました。

今週は集計対象週が正月休み期間ということで新曲のランクインはなし。ただし、紅白出場ミュージシャンの曲が軒並みランクを上げています。まずこっちのけんと「はいよろこんで」は10位から5位にアップ。ダウンロード数が7位から2位、ストリーミング数が13位から9位、動画再生回数も11位から5位にアップ。これで通算21週目のベスト10ヒットとなりました。

Omoinotake「幾億光年」も8位から7位にアップ。総合順位の伸び幅は小さかったものの、ダウンロード数は12位から6位、ストリーミング数は12位から7位、動画再生回数もベスト20圏外から13位と各種チャートは大幅にアップ。これで通算35週目のベスト10ヒットとなりました。

さらに顔を見せない形での出演も話題となったtuki.「晩餐歌」も17位から9位にアップ。こちらは7月17日付チャート以来のベスト10返り咲きとなっています。ダウンロード数は20位から5位、ストリーミング数も21位から13位に、動画再生回数も17位から9位にアップ。これで通算32週目のベスト10ヒットとなっています。

ベスト10以下でも米津玄師「さよーならまたいつか!」が40位から17位、Vaundy「踊り子」が83位から24位、藤井風「満ちていく」がベスト100圏外から27位にランクアップするなど、紅白効果が強く感じられるチャートとなっています。また、紅白でおそらく一番話題となったB'zの「ultra soul」が49位、「LOVE PHANTOM」も57位にランクインし、こちらも紅白の影響を強く感じさせます。

ただ、ネット上であれだけ騒がれてた割には、思ったよりチャートアクションは低め。Download Albumsでベスト盤「B'z The Best "ULTRA Pleasure"」が1位獲得ということで話題となりましたがHot Albumsでは66位と、総じて思ったほど上位には食い込んできていません。また、5日までのチャートということで来週以降、一気にランクアップという可能性もありますが、ただ、ネットとの騒がれ方とのギャップは、何だかんだ言っても、チャート的にはこんなもの、ということなのでしょうか。また、もうひとつ考えられるのが、現在、おそらくネット上で最も目立つのが40代から50代前半のいわばB'z全盛期に青春を経験していた世代。それだけに今回の紅白で、ここらへんの世代が特に騒いでいるため、ネット上では目立っている、ということもあるかもしれません。とはいえ、来週以降、一気にベスト10入りという可能性もあるので、今後の動向にも注目したいところです。

1月8日付Hot100は以上。明日は1月1日付Hot Albums&Heatseekers&ボカロチャート!

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2025年1月 8日 (水)

新年一発目のチャートはクリスマスソングが大幅ランクアップ

今週(2025年1月1日付)のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

正月休みの週を挟んだため、今週、Hot100は2週同時更新となっています。そのため、まずは2025年1月1日付のHot100の紹介です。この週は、集計対象期間が2024年12月23日から29日と、まさにクリスマスを挟んだ週となり、その影響で多くのクリスマスソングがランクアップしています。

まずは先々週からベスト10入りしているback number「クリスマスソング」。ストリーミング数は5位をキープしているほか、動画再生回数が13位から9位、ラジオオンエア数も14位から11位、カラオケ歌唱回数は2週連続の1位と軒並み上位にランクイン。これで通算16週目のベスト10ヒットとなります。もちろん、翌週には一気にランク圏外にダウンするのですが、ただ、来年もまたランクインしそう。完全にクリスマスソングの定番として定着した感じがあります。

これに続いたのがマライア・キャリー「恋人たちのクリスマス」で、こちらは19位から13位にアップ。90年代のクリスマスソングの定番が、いまだに高い支持を受けているというのは意外な感じがします。以下、桑田佳祐「白い恋人達」が32位から25位、山下達郎「クリスマス・イブ」が39位から26位、アリアナ・グランデ「サンタ・テル・ミー」が52位から35位、BoA「メリクリ」が57位から41位、ワム!「ラスト・クリスマス」が58位から44位と、いずれもベスト50入りしています。

ただ、ちょっと気になるのはback number「クリスマスソング」も、2015年と10年近く前の曲。他の曲もいずれそれ以前の曲と、ここ10年近く、新たなクリスマスソングの定番が登場していません。そろそろ新たなクリスマスソングの定番があらわれてもいいような気もするのですが、クリスマスシーズンの短期間に集中的に売れるクリスマスソングは、ヒットには長期間に渡って聞かれる必要性があるストリーミング主体の昨今のヒット形態にマッチしていないのでしょうか。

Apt

そして1位は今週もロゼ&ブルーノ・マーズ「APT.」が獲得。これで2週連続通算5週目の1位&10週連続のベスト10ヒット&9週連続のベスト3ヒットとなっています。ストリーミング数は8週連続1位をキープ。動画再生回数は先週から変わらず2位、ラジオオンエア数も20位から13位にアップ。ただし、ダウンロード数のみ1位から4位にダウンしています。年末ギリギリにヒットした曲の宿命で、年末の賞レースや紅白には登場しないのですが、来年の賞レースや紅白には登場する可能性はあるのでしょうか?

一方、2位は、レコード大賞受賞でも大きな話題となったMrs.GREEN APPLE「ライラック」が2週連続の2位。ストリーミング数は3週連続の2位、動画再生回数は3位から1位にアップし、こちらは10月2日付チャート以来の1位獲得。ダウンロード数は先週から変わらず6位をキープ。これでベスト10ヒットは37週連続、ベスト3ヒットも通算23週目となっています。Mrs.GREEN APPLEは「ビターバカンス」も先週から変わらず5位をキープしており、今週も2週同時ランクインとなっています。

3位はCreepy Nuts「オトノケ」が先週の4位からランクアップ。4週ぶりのベスト3返り咲きとなっています。ストリーミング数は3週連続の3位。ただし動画再生回数は5位から7位、ダウンロード数も3位から7位にダウン。これで12週連続のベスト10ヒット&通算8週目のベスト10ヒットに。なお、Creepy Nutsも「Bling-Bang-Bang-Born」が7位から6位にアップ。こちらは通算47週目のベスト10ヒットを記録しています。

続いて4位以下の初登場曲ですが、今週、初登場曲はなし。ただし、ベスト10からの返り咲きが何曲かランクインしています。まずKing Gnu「ねっこ」が先週の21位からランクアップし、9週ぶりにベスト10返り咲き。ストリーミング数が18位から8位、ダウンロード数も8位から2位と大きくアップ。同作が主題歌となっているTBS系ドラマ「海に眠るダイアモンド」が12月22日に最終回を迎えた影響が大きいと思われます。

Omoinotake「幾億光年」も先週の15位からアップし、5週ぶりのベスト10返り咲き。ストリーミング数は3週連続12位と変わらないものの、ダウンロード数が17位から12位へとアップ。総合順位でベスト10入りを果たしました。

9位には女性アイドルグループCUTIE STREET「かわいいだけじゃだめですか?」が先週の12位からランクアップし、6週ぶりのベスト10返り咲き。「THE FIRST TAKE」出演の影響で、主に動画再生回数が先々週のランク圏外から6位⇒4位とランクアップしている影響が大きいようです。

さらにロングヒット曲ではこっちのけんと「はいよろこんで」が先週から同順位をキープし、10位にランクイン。レコード大賞では最優秀新人賞を受賞するなど、昨年はこの曲のヒットで大きく飛躍した彼。これで通算20週目のベスト10ヒットとなりました。ただ、躁うつ病の影響で今後の活動はしばらくセーブするというニュースが入ってきました。非常に残念なのですが、無理は禁物。ゆっくり静養して、その後の活躍に期待したいところです。

一方、先週までベスト10ヒットを続けていたAKASAKI「Bunny Girl」は今週12位にダウン。ベスト10ヒットは連続10週でストップとなりました。

2025年1月1日付Hot100は以上。明日はこの翌週、1月8日付Hot100の紹介を予定しています。

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2025年1月 7日 (火)

メジャーデビュー15周年で新たな一歩を踏み出した新作

Title:WILD BUNNY BLUES / 野うさぎのブルース
Musician:a flood of circle

今年、メジャーデビュー15周年を迎えたa flood of circle。相変わらず積極的な活動を続ける彼らの約1年9カ月ぶりとなるニューアルバムとなります。

アルバムの冒頭はタイトルチューン「WILD BUNNY BLUES/野うさぎのブルース」からスタート。彼ららしいガレージロックなサウンドに、意外とポップなメロの乗る楽曲なのですが、歌詞も印象的。メジャーデビュー15周年で一区切りをつけた彼らの、特に佐々木亮介の新たな決意を歌っており、

「Baby,夢だった 幻だった 憧れはそのままで
マサムネにも カートにも なれずに死ぬんだな

Bayb,夢じゃない 幻じゃない 俺が叶える日まで
誰にも選ばれない世界を走ってく」
(「WILD BUNNY BLUES/野うさぎのブルース」より 作詞 佐々木亮介)

と、草野マサムネやカート・コバーンという憧れのボーカリストたちの名前を出しつつ、自分は独自の道を進んでいこうという、決意が歌われています。

今回のアルバムでは、他にも「ゴールド・ディガーズ」ではストレイテナーのホリエアツシをプロデューサーに起用。力強く分厚いバンドサウンドに、メランコリックなメロがインパクトのガレージロックを聴かせてくれます。また先行EPともなった「キャンドルソング」ではアジカンの後藤正文をプロデューサーとして起用。こちらも分厚いバンドサウンドは、どこかアジカンっぽさも感じられます。

全体的にはa flood of circleらしい疾走感のあるガレージサウンドに、メランコリックでポップなメロディーラインという彼ららしいスタイルはいつもと同様。というよりは、シンプルでポップなガレージロックは原点回帰的なものも感じさせます。そういう意味でも、15周年を一つの区切りとした新たな一歩を踏み出した作品とも言えるでしょう。

ただ、全体的にはメランコリックに聴かせるミディアムチューンの「Eine Kleine Nachtmusik」やゆっくりと歌い上げるロックバラードの「屋根の上のハレルヤ」などを挟んだり、ポップなメロを聴かせるタイプの曲がメイン。個人的には彼らはポップ寄りの曲が増えると、ちょっと今一つという傾向があるので、やはりガレージロックを追求したアルバムの方が良かったとは思うのですが、アルバム全体としては比較的よく出来ていた良作に仕上がっていたと思います。それだけやはり新たな一歩の作品として力を入れていたといった感じでしょうか。これからの彼らの活躍に期待したい新作でした。

評価:★★★★

a flood of circle 過去の作品
泥水のメロディー
BUFFALO SOUL
PARADOX PARADE
ZOOMANITY
LOVE IS LIKE A ROCK'N'ROLL
FUCK FOREVER
I'M FREE
GOLDEN TIME
ベストライド
"THE BLUE"-AFOC 2006-2015-
NEW TRIBE
a flood of circle
CENTER OF THE EARTH
HEART
2020
GIFT ROCKS
伝説の夜を君と
花降る空に不滅の歌を
CANDLE SONGS


ほかに聴いたアルバム

Laundry/Penthouse

今、注目のピアニスト角野隼斗が所属していることでも知られるロックバンドPenthouseの新作。自称「シティソウル」バンドだそうで、AORの要素を上手くポップにまとめ上げたポップ志向のシティポップが特徴的なのは前作と同様。ただ、前作でも感じたのですが、非常によく出来ているものの、楽曲として上手くまとまりすぎている感じのあるアルバム。東大出身5名+青学出身1名という高学歴バンドなのですが、悪い意味で優等生的になってしまっている点が非常に気になってしまいました。

評価:★★★

Penthouse 過去の作品
Balcony

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2025年1月 6日 (月)

メンバー4人の個性が発揮されたEP

Title:EP2 TSTST
Musician:TESTSET

Ep2tstst

昨年、デビューフルアルバム「1STST」をリリースしたTESTSETが早くも次のアルバムをリリースしました。とはいっても今回のアルバムは、2022年にリリースしたEP「EP1 TSTST」に続く2枚目のEP盤。配信限定シングルとしてリリースした「Sing City(Edit)」を含む、全4曲入りのミニアルバムとなっています。

一応、説明が必要かと思いますが、TESTSETは砂原良徳、LEO今井、GREAT 3の白根賢一、相対性理論の永井聖一の4人からなる、いわゆるスーパーグループ。もともとは高橋幸宏を中心に結成されたバンドMETAFIVEが母体となり、2021年のフジロックで、小山田圭吾の例の件が生じたため、METAFIVEのメンバーの砂原良徳とLEO今井が、白根賢一、永井聖一の2人をサポートに迎え、METAFIVEの特別編成として出演したのがきっかけ。よっぽど相性があったのでしょう、そのままその4人でTESTSETとして活動をスタートさせ、今に至っています。

今回のミニアルバム、わずか4曲入りというミニマムな内容ですが、エレクトロポップという点を共通項にしつつも、4曲ともタイプの異なるバリエーションが楽しめる作品となっていました。

先行シングルとなった「Sing City(Edit)」はちょっとノスタルジーを感じられる街の風景を描写した歌詞に、メロディーラインもメランコリックで郷愁感を覚える暖かい「歌」がメインとなる内容。メロにもインパクトもあり、シングル曲らしい、いい意味で「売れる」ことも狙ったような看板的なナンバー。作詞はLEO今井、クレジットは4人の共作となっていますが、おそらくLEO今井が主導した感があります。

続く「Interface」は、跳ねるような軽快なエレクトロのリズムに、ギターサウンドが重なるようなテンポよいナンバー。こちらは砂原良徳とLEO今井の共作となっていますが、まさにこの2人の音楽性、テクノとロックを融合させたような楽曲に仕上がっています。3曲目「Crybaby Drop」はこちらもリズミカルなエレクトロチューン。ダウナーなメロディーラインに軽快なエレクトロビートが特徴的で、ハウスの要素が強い楽曲となっています。こちらのクレジットは作詞作曲とも、白根、今井、砂原の並びになっており、この並びからすると、白根賢一が主導した曲ということでしょうか?このような音楽性を嗜好していたというのはちょっと意外な感じもしました。

ラストを締めくくる「Yume No Ato」は永井聖一作詞作曲による楽曲で、ボーカルもおそらく永井聖一本人でしょうか。爽快なギターサウンドをバックとしたポップチューンとなっており、ノスタルジックな歌も印象的。永井聖一単独作ということで、他の曲とは少々異なった感じもするのですが、それでもTESTSETのパーツの一部としてしっかりと組み込まれている印象を受けた作品となっていました。

この4曲、おそらくメンバーそれぞれが主導権を握った楽曲が並んだ結果の選曲といった感じがしますし、それだけにメンバーそれぞれの個性が発揮された4曲といった印象を受けます。ただ、そういうアルバムとなると、メンバーが既にバラバラの解散直前のアルバム(ビートルズのホワイトアルバムのような)となることがよくあるのですが、本作に関しては完全にバラバラといった感じではなく、誰かが主導権をとりつつも、他の人の要素も入っているという、いい意味でスーパーグループらしい、ほどよく4人が個性を主張しつつも、ほどよく4人の個性が溶け合った、そんなアルバムになっていました。

TESTSETがバンドとして上手くいっていることも感じさせるアルバム。この手のスーパーグループは、比較的早く内部分裂してしまうケースが多いのですが、彼らの場合は大丈夫そう。今後の活動も、まずは次のフルアルバムのリリースも楽しみです。

評価:★★★★★

TESTSET 過去の作品
EP1 TSTST
1STST

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2025年1月 5日 (日)

アルバムとして非常に惜しい作品

Title:Night Palace
Musician:Mount Eerie

アメリカのシンガーソングライター、Phil Elverumの音楽プロジェクト、Mount Eerie。Mount Eerieとしては2003年から活動を続け、本作でアルバムは11作目となる中堅ミュージシャンですが、アルバムを聴くのは今回がはじめてとなります。

まずアルバムとしては非常にバリエーション豊富な構成となっている作品でした。冒頭を飾るタイトルチューン「Night Palace」はノイズを前面に押し出したサイケな楽曲からスタート。続く「Huge Fire」はミディアムテンポに聴かせるギターロックのナンバーなのですが、続く「Breaths」は、歌こそフォーキーな雰囲気ながらも、サウンドはインダストリアル的な作品。さらに「Swallowed Alive」はわずあ52秒という短い曲ながらも、シャウトが鳴り響く、ハードコア的な楽曲となったかと思えば、「My Canopy」も一転、アコースティックな雰囲気で聴かせるネオアコ風の作品となっています。

その後は、基本的にハードコア的な曲やメタリックな曲はなくなり、メロディアスなギターロックの作品が主軸となります。「Empty Paper Towel Roll」のような、オルタナ系ギターロックの王道を行くような、ポップなギターロックチューンがあったり、「Blurred World」のようなアコギを入れてフォーキーにしんみり聴かせる作品があったり、「Myths Come True」のようなサイケ気味なアレンジにポエトリーリーディングを入れたような曲もあったり、ローファイなギターロックを軸としてバラエティーある作品を聴かせてくれます。

特に印象的なのが「I Spoke With A Fish」のような、コーラスラインを入れて美メロとも言えるメロディーラインの歌を聴かせてくれる曲や、「I Saw Another Bird」のようなメランコリックなメロが切ないナンバー。全体的に派手さはなく、曲によってはバンドサウンドの後ろで細々と歌われるだけというケースもあるものの、美しいメロディーラインをしっかりと聴かせてくれる点、彼の大きな魅力でしょう。

しかし、1つ1つの楽曲だけ取ると、非常に素晴らしい作品だったのですが、一方でそれだけのプラス評価を覆すぐらいの厳しい部分がありました。それはアルバムとして長すぎるという点。今回のアルバム、全26曲1時間20分にも及ぶ内容。これはさすがに長すぎます・・・。

確かにバリエーションに富んだ内容ではあるものの、全体的にローファイで地味な作風の曲が多く、その点、後半はダレてくる点は否めません。さらに前半はメタリックな作品があったりと、明確に違う雰囲気の楽曲が紛れ込んできて大きなインパクトになっているのですが、後半は徐々にメロディアスなギターロック路線に収縮していきます。結果、後半は比較的似たタイプの曲が並んでしまい、聴いていて、飽きてきてしまいました。

さらに、さすがにダレて来たな・・・と感じる頃に、いきなり12分にも及ぶポエトリーリーディングの「Demolition」という曲をぶちこんできます。ここに来て、この展開はさすがにちょっと辛い・・・。

このアルバム、もし曲数を絞って1時間弱の長さとなれば、文句なしの傑作どころか、年間ベストクラスの作品にすらなっていたように思います。また、後半に、もっとぶっ飛んだ曲調の楽曲をアクセントとして入れてこれば、また印象は異なっていたと思います。ただ、さすがに楽曲が詰め込みすぎだし、構成ももうちょっと工夫した方がよかったのでは?楽曲としては優れていても、ただ優れた楽曲を集めただけで傑作のアルバムが出来上がる訳ではないということを、実感できた作品でした。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

JAPANESE SINGLES COLLECTION-GREATEST HITS-/HOWARD JONES

日本でリリースされたシングルをまとめた国内独自企画のベスト盤シリーズ。今回は、主に80年代に、シンセポップのミュージシャンとして日本でも高い人気を誇ったイギリスのミュージシャン、ハワード・ジョーンズのシングル集。正直、名前くらいしか聞いたことないミュージシャンなのですが・・・。前半は実に80年代っぽい明るいシンセポップが並んでいます。ただ後半になるに従い、ギターを前に押し出した作品が多くなり、徐々に方向性が変わったことが伺わせます。ただ、結果、あまり特色のないような楽曲になってしまっている点、90年代以降の失速の原因なのでしょう。ただ、特に前半、80年代らしさを楽しめるポップアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★

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2025年1月 4日 (土)

大胆にリアレンジしつつ、原曲の良さはしっかりと残した理想的な攻めのカバーアルバム

Title:HOSONO HOUSE COVERS

はっぴいえんどやYMOのメンバーとしても活躍し、間違いなく日本を代表するミュージシャンの一人、細野晴臣。その彼が1973年にリリースし、こちらも日本の邦楽史に残る名盤として誉れ高いのが、彼のソロデビューアルバム「HOSONO HOUSE」です。そのリリースから50年が経過し、今なお高い評価を受ける同作ですが、今年の2月から同作のカバープロジェクトがスタート。2月より様々なミュージシャンたちが「HOSONO HOUSE」の楽曲をカバーしましたが、その作品をまとめた形でアルバムがリリースされました。

今回、なかなかおもしろいのが、国内版で「HOSONO HOUSE COVERS」としてリリースされたのですが、一方、海外でも同時にリリース。こちらは「Hosono House Revisited」とタイトルも代え、さらに海外から2組のミュージシャンが参加。全12曲でのリリースとなりました。なお、リリースはフィジカルとしてはLP盤のみでのリリース。ストリーミングなどでの配信も行われているのですが、こちらではちゃんと「Revisited」収録の2曲も加えた、全12曲というスタイルで配信されています。

ちなみに参加ミュージシャンとしては、矢野顕子やTOWA TEI、corneliusといった、ある意味、細野晴臣界隈(?)ではおなじみのメンバーから、never young beachの安部勇磨や原田郁子と角銅真実のユニット、くくくなどといったミュージシャンが参加。さらに海外から韓国のバンド、SE SO NEONやさらにはここにも登場するか!とワーカホリックぶりが目立つSam Gendel。さらに「Revisited」ではフランスのサイケポップデゥオPearl & The Oysters、アメリカのシンガーソングライターJerry Paperが参加しています。

そしてそんな豪華ミュージシャンたちによるカバーは、原曲の良さを重視しつつ、しっかりと個々のミュージシャンの色を自由に残している、ある意味、実力のあるミュージシャンだからこそ出来るカバーに仕上げています。

やはりまず耳を惹くのはrei harakamiの「終わりの季節」でしょう。rei harakamiは2011年に逝去していますので、本作は2005年にリリースされたアルバム「lust」収録の曲。rei harakamiらしい独特なサウンドに、聴けば一発で「ハラカミの曲だ!」とわかるような内容。フォーキーな原曲をかなり大胆にアレンジしているものの、暖かさのある作風に原曲の良さもしっかりと残されています。

矢野顕子の「ろっかまいべいびい」も、ピアノの弾き語りで聴かせる作品で、ちょっと歌い方を崩したボーカルスタイルといい、完全に矢野顕子の曲に仕上がっていますし、Corneliusの「薔薇と野獣」も、ドリーミーなエレクトロポップに仕上がっており、こちらもいかにもCorneliusっぽいナンバー。原曲も、どこかドリーミーさを感じさせる味わいもありましたので、そこをCornelius流に引き出したといった感じでしょうか。

他にもラフな女性ボーカルにちょっとエロティシズムも感じられてユニークなJohn Caroll Kirbyの「福は内 鬼は外」やサイケフォーク風でエキゾチックなサウンドもユニークなくくくの「CHOO CHOO ガタゴト」、静かなアコギの弾き語りでメランコリックに聴かせるSam Gendelの「恋は桃色」など、どれも魅力的。いずれのナンバーも、自分たちの色を出すために大胆にリアレンジを施している一方、楽曲のコアな魅力はそのまま残しているという、ミュージシャンとしての実力があるからこそ出来る理想的な「攻め」のカバーを聴かせてくれています。

外国のミュージシャンも多く参加し、かつ海外でのリリースもあるという点からも、細野晴臣というミュージシャンが、日本のみならず海外でも高い評価を受けていることも実感できます。まさに細野晴臣のアルバムだからこそ出来る、理想的なカバーアルバム。また、カバーアルバムというだけではなく、数多くの実力派が参加したオムニバスという観点でもおすすめできる作品で、オリジナルを聴いたことある人もない人も、チェックして欲しい傑作です。

評価:★★★★★

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2025年1月 3日 (金)

感情が高まっていく

Title:Songs Of A Lost World
Musician:The Cure

実に約16年ぶりとなるイギリスのロックバンド、The Cureのニューアルバム。The Cureはボーカル、ロバート・スミスを中心に1978年に結成され、1979年にデビュー。現在、結成45年目を迎えたベテランバンド。メンバーは入れ替わりながらも、断続的に活動を続けていました。ゴシックロックをベースとしつつ、ポップなメロを加味したサウンドが特徴的で、数々のミュージシャンに影響を与えているそうです。そんな彼らの久々となったニューアルバムは、現在、各種メディア等で大絶賛を受け、年間ベストアルバムの上位にランクインし、大きな話題となっています。

今回のアルバム、楽曲の構成については似たようなタイプの曲が多く、力強いバンドサウンドにストリングスも入ってメランコリックに美しく聴かせるインストからスタート。感情たっぷりのサウンドをこれでもかというほど聴かせて、中盤あたりからようやく歌がスタート。こちらもそんな美しく聴かせるインストに重なるような、ロバート・スミスが哀愁たっぷりに歌い上げる美しいミディアムテンポの歌を聴かせてくれます。

アルバムに先立って発表された「Alone」はまさにそんな楽曲となっており、オープニングにふさわしく、なおかつアルバムを代表するかのようなナンバー。続く「And Nothing Is Forever」も同じく、ストリングスにピアノも重なるような透明感のある美しいインストが長く続き、中盤あたりからようやくメランコリックな歌がスタートします。

ここ最近の曲は、特にストリーミングでいかに聴かせるかというナンバーが多く、特に日本での話になるのですが、イントロが短くなってきている、ということがひとつの話題となっています。一方、そういう流れからすると、このThe Cureの楽曲はまさに真逆。ゆっくりと哀愁たっぷりのイントロを、これでもかというほど聴かせてくれます。ただ、この長いイントロによって、聴くものの感情が徐々に高ぶっていき、中盤からようやく歌が流れ始めたころには、その高ぶった感情を、ロバート・スミスの歌でより盛り上げていく、そんな感情の高ぶりによって聴く者を魅了するアルバムになっていました。

後半は、「Drone:Nodrone」「All I Ever Am」など、前半のストリングスとは代わって、ノイジーなギターサウンドを前に出している楽曲も。ただ、これらの曲も長い哀愁たっぷりのイントロで感情たっぷりに聴かせるというスタイルには大きな変化はありません。そしてそんなアルバムの締めくくりのような楽曲がラストのタイトル通り「Endsong」。最初はストリングスにピアノやバンドサウンドも入って、メランコリックなサウンドでスケール感をもって徐々に盛り上げていきます。10分にも及ぶ楽曲で、歌がスタートするのはようやく6分を過ぎたあたり。メランコリックでノイジーなサウンドに埋まるように感情込めてうたわれるロバート・スミスの歌がこれまた魅力的。最後を締めくくるにふさわしいスケール感あふれる楽曲に仕上がっていました。

確かに、各種メディアで絶賛されているのも納得。ゴシックな部分とポップな部分がほどよく融合し、これでもかというほど感情のたかぶりを感じさせるThe Cureの傑作アルバムでした。デビューから45年を迎えつつ、これだけのアルバムをまだリリースしてくるあたりも驚きを感じる1枚。ゴシックなサウンドは良くも悪くも癖はありますが、ポップなメロはいい意味で聴きやすいので、広い層が楽しめそうな、特にロック好きにはお勧めできる1枚です。

評価:★★★★★

The Cure 過去の作品
4:13 Dream

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2025年1月 2日 (木)

「名盤」が「名盤」たる所以

Title:Weezer 30
Musician:Weezer

日本でも高い人気を誇るアメリカのパワーポップバンド、Weezer。その彼らのデビューアルバムであり、今でも絶大な人気を誇るのが1994年にリリースされた「Weezer」、通称ザ・ブルーアルバム。名盤の誉れ高い本作ですが、今回、そのリリース30周年を記念して記念盤がリリースされました。アルバム「Weezer」本編の2024年版リマスターが収録されているほか、BBCでのライブ音源に各種デモ音源、また「アーリー・ライブ・レコーディングス」として、本作リリース前の1992年や1993年のライブ音源が収録。全50曲入りというボリュームたっぷりの作品となっています。

今回、あらためて「名盤」と呼ばれるこの作品を聴いてみたのですが、本作が名盤と呼ばれる所以があらためてよくわかりました。簡単に言ってしまえば、メロディーラインの強度が半端ない!私もWeezerは大好きなバンドの一組なので、このアルバムも何度か聴いています。ただ、今回本作を聴いたのは久しぶり。それでもここに収録されている楽曲のメロディーラインが耳に焼き付いており、アルバムを聴きながら、すぐにでも口ずさめてしまいます。

力強いバンドサウンドの「My Name Is Jonas」からスタートし、続く「No One Else」も、ポップなサビのメロは曲を聴きながら思わず口ずさんでしまいましたし、そしてなによりメロディーのインパクトが強いのが「Buddy Holly」。サビは歌詞も含めて普通に歌えてしまいます。その後のミディアムテンポの「Undone」「Say It Ain't So」も、決して派手な曲ではないのにしっかりとメロが耳に残っていますし、ラストの「Only In Dreams」まで、どの曲もシングルカット可能では?というほどのインパクトの強いナンバーが並んでいます。

サウンド的にはシンプルなギターサウンドを前に押し出したパワーポップ。サウンド的には決してバリエーションが多いわけではありません。それにも関わらず、このアルバムがこれだけ名盤足りえているのは、そのヘヴィーなサウンドと相反するような、いわゆる「いけてない連中」視点の歌詞が共感を呼んだ・・・という点も大きいのでしょうが、それ以上にやはりこの、一度聴いたら忘れられない、すぐ口ずさめるようなインパクトあるメロディーラインというのが大きいのでしょう。今回、久しぶりに本作を聴いて、名盤が名盤足りうる理由を、嫌というほど実感しました。

一方、今回、特典として収録された音源は、いずれも1994年のアルバムリリース前の音源がメイン。特にデモ音源は1992年というから、おそらく最初期の音源となるのでしょうが、この時期の作品から楽曲としてはある程度完成されており、同時期のライブ音源が収録されていることからも、デビュー前から繰り返し、演奏されていたということを実感できます。バンドのデビューアルバムというと、アマチュア時代の楽曲の「ベスト盤」的な収録曲になることが多いのですが、彼らについてもそうだったのでしょう。それを差し引いてもとんでもない名曲揃いは、このころの彼らのバンドとしての充実ぶりを感じさせます。

ただ、全体的にはどちらかというと「貴重な音源」という側面が強く、ライブ音源については特に初期の作品については音もあまりよくありませんし、全体的にはファン向けの作品かな、とは思います。もっとも、ライブ音源もデモ音源も、彼らの名曲が繰り返し聴けるだけに、そこまで熱心なファンでなくても、3時間50分に及ぶこのアルバム、文句なしに飽きることなく楽しめる内容だったと思います。あらためてWeezerの魅力とすごさ、そしてこのアルバムの名盤ぶりを実感できた記念盤でした。

評価:★★★★★

WEEZER 過去の作品
WEEZER(Red Album)
RADITUDE
HURLEY
DEATH TO FALSE METAL
Everything Will Be Alright in the End
WEEZER(White Album)
Pacific Daydream
Weezer(Teal Album)
Weezer(Black Album)
OK HUMAN
Van Weezer
SZNZ:SPRING
SZNZ:SUMMER
SZNZ:Autumn
SZNZ:Winter


ほかに聴いたアルバム

Mid Spiral/BADBADNOTGOOD

カナダはトロント出身の3人組のインストバンド。Kendrick LamarやThundercatのアルバムにプロデューサーとして参加したり、数多くのミュージシャンたちに高い評価を得ているバンドで、ミュージシャンズミュージシャンといった感じでしょうか。楽曲は、主にサックスとピアノ、フルートを取り入れて軽快にメロディアスに聴かせるシンプルなインストナンバー。時折、トライバルなパーカッションが加わるのも特徴的。日本だとYOUR SONG IS GOODとかSPECIAL OTHERSとか好きなら気に入るかも。Kendrick LamarやThundercatのプロデューサー、というイメージに惹かれて聴いてみると、シンプルなサウンドにちょっと拍子抜けするかもしれませんが、いい意味で万人向けにシンプルに楽しめる軽快なインストを聴かせてくれるアルバムです。

評価:★★★★

Songs About You Specifically/MICHELLE

てっきり、写真中央の女性がMICHELLEさんで、女性ソロシンガーソングライターによる作品、だと思っていたのですが、6人組の音楽グループのようです。「バンド」ではなく「コレクティブ」とあまり聴きなれない表現を用いていましたので、音楽集団といった感じなのでしょうか。楽曲はシンセの入った軽快なポップ。全体的にメランコリックな曲調のナンバーが多く、テンポよく耳なじみの良い楽曲が特徴的。いい意味で聴きやすさはありますが、独自性という観点ではよくありがちなシンセポップというイメージも?素直に楽しめるポップアルバムではありましたが。

評価:★★★★

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2025年1月 1日 (水)

謹賀新年

新年、あけましておめでとうございます。本年も「ゆういちの音楽研究所」を何卒、よろしくお願いします。


今年の紅白はすごかったですね。まさかのサプライズ、生出演のB'zも、やはり世代的にも大興奮でしたし、玉置浩二の圧巻の歌唱力も素晴らしかったですし、星野源や米津玄師のパフォーマンスも素晴らしかったですし、こっちのけんとやMrs.GREEN APPLE、Creepy Nutsなど、2024年の流行をしっかりフォローしつつ、B'zやGLAYなど、私と同年代の世代をフォローしつつ、南こうせつやイルカ、THE ALFEEなどもっと上の世代や、椎名林檎やaikoなど、もうちょっと下の世代にもピッタリとフィットさせるなど、あらゆる世代をフォローしつつ、しっかりと聴かせどころも作るなど、他の民放の音楽番組とは格の違いを感じさせる構成だったように感じます。

B'zの出演もあって話題性が出来た今回の紅白。ただB'z出演前は目玉もなく、かなり酷評されていました。確かにB'zのパフォーマンスはかなり素晴らしかったのですが、ただB'zがいなかったとしても、かなり聴かせどころも多かった内容だったように感じます。個人的には毎年、紅白の出演者の選択については、ちゃんと今のヒットシーンをフォローしつつ、他の世代にも気配りした選択になっており、これで文句を言っている人は、ろくに今のヒットシーンを知らない人、という認識しかないのですが、特に今年に関しては、紅白の力は伊達じゃない、ということを感じさせる内容になっていたと思います。いや、例年以上に楽しませてくれた内容でした。


年末の音楽の話題で、もうひとつ大きな話題となったのが、なんだかんだいってもまだまだ話題になっているレコード大賞。今年はCreepy Nutsではなく、Mrs.GREEN APPLEの「ライラック」が選ばれたことが賛否を呼んだようです。

ただ、レコード大賞という賞は決して「今年1番売れた曲」に対して授けられる賞ではありません。「今年1番優れた曲」に授けられる賞です。じゃあ「Bling-Bang-Bang-Born」と「ライラック」を比べて、後者が前者より優れていた・・・とは個人的には思いませんが(アニメを世界観をしっかり反映させつつ、アニソンという枠を超えて受け入れられるような歌詞に仕上げてきたり、サビのインパクトの強度を残しつつも、スリリングな展開に耳が行く、「BBBB」の方が個人的にはよかったと思っていますが)、ただ、「BBBB」の方が売れたんだから、こちらに賞を与えないレコ大はおかしい、という論調は、ともすれば「売れた曲がいい曲だ」という傾向になりがちな、日本のミュージックシーンの稚拙な論調を感じてしまいました。

あと「BBBB」と「ライラック」がそれだけヒットに差があるかどうか微妙・・・。レコ大は曲に与えられる賞であって、ミュージシャン自体の人気は直接関係ないのでしょうが、ミュージシャン単位で今年の人気を考えたら、Creepy NutsとMrs.GREEN APPLEだったら、間違いなく後者に軍配があがるでしょう。個人的にはそういう意味で昨年の「ケセラセラ」の受賞の方が、むしろ不思議な感が否めないのですが・・・。

そんな感じで、年末は音楽ネタが比較的豊富でしたが、今年もたくさんのいい音楽に出会えますように。また1年、よろしくお願いします。

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