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2024年12月20日 (金)

ロック志向、ルーツ志向の強い35年目のアルバム

Title:SQUEEZE and RELEASE
Musician:真心ブラザーズ

今年、デビュー35周年を迎えた真心ブラザーズ。そういえば、先日紹介したスカパラも35周年でしたね。調べてみると、この年は、フリッパーズ・ギターにドリカム、X JAPAN、THE BOOM、LINDBERGなどなど、かなり豪華なミュージシャンたちがこの年にデビューしており、一種の当たり年だった??時期的に、世の中はバンドブーム真っただ中。それだけに多くのバンドがデビュー出来たのでしょう。そんな中、デビュー以来、一時的な活動休止はあったものの、ほぼコンスタントに活動を続けている真心ブラザーズ。正直、シングル曲ではベスト10ヒット未経験の彼らが、これだけ長く活動を続けているというのは、あらためて振り替えると驚きの感すらあります。

そんなデビュー35周年を迎えてリリースされた今回のオリジナルアルバム。区切りの年でのリリースであることを意識してか、全体としてロックやルーツ志向も強い、骨太でロックなアルバムに仕上がっていました。

まずアルバムの冒頭1曲目、2曲目は実にYO-KINGらしい、真心ブラザーズらしい楽曲が並んでいます。1曲目「あたまの中は大自由」はYO-KINGが叫びまくるヘヴィーなロックチューン。タイトル通りそのままがテーマの、実に自由奔放な歌詞が彼らしさを感じます。続く「オレは音楽」は、こちらもYO-KINGらしい音楽への愛情をそのままつづったブルースロック風のナンバー。ルーツ志向を垣間見せつつ、自己主張も強い歌詞が彼らしさを感じる楽曲となっています。

その後も「DIVIDE」や、「大崎の次は五反田だよ」のようなブルースロック志向やカントリーロック風の「カンナ」、ハードなギターリフ主導のハードロック風ナンバー「ジングルベル」に、ブルースハープとワウワウギターでソウルテイストの強い「おれんち」、そして最後はこれまたヘヴィーなギターでゆっくりダイナミックに聴かせる「急がない人」と、全体的にブルースロックあるいはハードロックの色合いの強い、ルーツ志向、あるいは骨太なロック志向の強い作品が目立ちます。

一方でちょっとユニークなのが「Mic Check」で、桜井ナンバーである本作は、ハードロックにHIP HOPの要素を取り入れた楽曲。ここらへん、ロック志向、ルーツ志向の強いYO-KINGとは異なる、比較的、幅の広い音楽に興味を持つ桜井秀俊らしい作風となっていますし、そんな2人が同じバンドとして活動している点が真心ブラザーズのおもしろさなのでしょう。

また、もうひとつ特徴的なのは、歌詞で、全体的に身近な出来事をテーマとしつつ、どこかユーモアを交えた視点で綴っているのもまた、真心の大きな魅力と言えるでしょう。「大崎の次は五反田だよ」も、そんな恋人の日常風景を描いた歌詞が、親近感を覚えますし、ユーモラスといえば「ジングルベル」で、ここ最近の10月やともすれば11月になっても、日のよっては暑さを感じる最近の日本を、秋や冬のイベントをからめてユーモラスに描写しているのも彼ららしさを感じます。どの曲も、そんな日常的な風景描写が目立ち、ちょっとほっこり、そしてどこかユーモラスを感じさせるのが、彼ららしさといった感じでしょう。

今回のアルバムはいい意味で非常に真心ブラザーズらしさにあふれた作品で、そういう意味でも35周年という区切りの年にふさわしい1枚だったと言えるかもしれません。また、35年目というベテランバンドでありながらも、ともすれば勢いすら感じさせる作品なのも見事。何よりも純粋に音楽、特にロックへの愛情も強く感じる作品になっていました。大きなヒットこそなくても、真心ブラザーズの活躍はまだまだ続きそうです。

評価:★★★★★

真心ブラザーズ 過去の作品
DAZZLING SOUND
俺たちは真心だ!
タンデムダンデイ20
GOODDEST

Keep on traveling
Do Sing
PACK TO THE FUTURE
FLOW ON THE CLOUD
INNER VOICE
トランタン
Cheer
TODAY

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