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2024年12月 9日 (月)

90年代に一世を風靡したバンドのレア音源集

キュートなボーカルとポップなメロで、90年代に日本でも一世を風靡したスウェーデンのバンド、The Cardigans。かなり久しぶりに聞いた名前ですが・・・今回、そんな彼女たちのアルバム未収録音源などを収録したレア音源集が2枚同時にリリースされました。

Title:The Rest Of The Best - Vol.1
Musician:The Cardigans

Title:The Rest Of The Best - Vol.2
Musician:The Cardigans

個人的にも、大学時代にoasisやblurと並んで、大好きではまっていたバンドの一つだっただけに、久々に彼女たちのアルバムを聴いてみて、懐かしいという気持ちがいっぱいです。収録されている音源は、シングルのカップリングやサントラへの提供曲、限定リリースされたリミックス版や、日本、フランス、イギリスでリリースされたアルバムのボーナストラックに収録された曲が収録されているそうです。

また、今回、完全に初のアルバム収録曲・・・ばかりではなく、日本及びオーストラリアの限定リリースで1997年にレア音源集「The Other Side Of The Moon」をリリースしており、多くの曲が同作と重複していますし、2008年にリリースした「ベスト・オブ・カーディガンズ」のデラックスエディションに収録されていたレア音源とも重複しています。ただ、両作とも、既に製造中止しているため、本作をリリースする意味はあるのですが。ただ、同作は個人的にリアルタイムで聴いていた音源。うっすらと聴き覚えのあるような曲もあるのは、その時聴いていたからでしょうか・・・。

今回、レア音源集ということなのですが、本作の収録曲を聴き、あらためてThe Cardigansというバンドが実に魅力的だったなぁ、ということを強く感じました。本作収録曲でも、アルバム未収録曲とは思えないようあ充実したポップ作も少なくありません。例えばVol.1の冒頭に収録されている「Pooh Song」もそんな1曲でしょう。1994年にリリースしたシングル「Sick&Tired」のカップリング曲なのですが、非常に温かみがあるサウンドとキュートでポップなメロディーラインが実にカーディガンズらしく魅力的。Vol.2に収録されている「(If You Were)Less Like Me」もメロにインパクトがあり魅力的。(おそらく)後期の作品らしく、ボーカルのニーナには大人の魅力を感じさせますし、バンドもロックテイストが強くなり、力強いサウンドが魅力的。こちらは後期カーディガンズの魅力を感じさせる曲となっています。

一方、ただ単純に、暖かいサウンドとキュートなメロのポップバンドというだけではなく、例えばVol.1収録の「Blah Blah Blah」は微妙にひねくれたメロとサウンドに妙なインパクトがありますし、「War(First Try)」のような、ヘヴィーなバンドサウンドを入れて、ロックな側面を強調した曲も。Disc2では「Hold Me」のようなブルージーなギターを聴かせる作品も聴かせてくれたりします。

収録曲は、Vol.1は比較的初期の作品、Vol.2は後期の作品が収録されているようで、そのため、Vol.1ではおそらく日本でのカーディガンズの一般的なイメージに沿ったような、キュートなポップソングが多く、一方、Vol.2では後期カーディガンズで聴かせてくれたような、哀愁感ただよう大人の雰囲気の楽曲が多く収録されています。レア音源集でありつつ、カーディガンズの歩みも感じられる構成になっていました。

ちなみに大ヒットした「Carnival」「Lovefool」は「Puck Version」として収録。こちらは以前、アナログ盤でリリースされたリミックス盤に収録されていたバージョンのようで、アコギ1本で物憂げな雰囲気で聴かせるナンバー。「Carniva」に至っては、ボーカルがニーナではありません(おそらくギターのピーターか?)。ただ、原曲の持つポップスさはそのままで、これはこれで魅力的な楽曲となっています。

レア音源集ということでデモ音源も多く入っていますが、ただ、どれも楽曲としては完成しており、デモ音源でありがちな、明らかに未完成な作品というのはありません。そういう点も含めて、レア音源集とはいえ、基本的にカーディガンズの魅力をしっかりと伝えてくれるような「アナザーベスト」のようなアルバムに仕上がっていました。これが最初の1枚、というのはさすがに厳しいかもしれませんが、少なくともコアなファン向けではなく、カーディガンズというバンドを知っている方だったら、間違いなくお勧めできるアルバム。今は、彼女たちは活動休止状況のようですが、かのoasisも活動を再開させた今、彼女たちも再び、本格的に活動を再開してくれないかなぁ。

評価:どちらも★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Beautiful Happening/Fairground Attraction

1988年にリリースしたデビューシングル「Perfect」が大ヒットを記録。それに続くアルバム「First Kiss」も大ヒットを記録し、一躍注目を集めるものの、1990年に突然解散したFairground Attraction。「First Kiss」はいまだに名盤という評価を受け、伝説のバンドとすらなっていた彼らでしたが、なんと昨年、奇跡の再結成を発表。そしてついにリリースされた2枚目となるアルバムが本作です。

作品は全編、アコースティックギターがメインのフォーキーで暖かい作風。楽曲によっては、ブルースやカントリーの要素も入れつつ、全体的には優しくも懐かしさを感じさせるフォークロックな作風となっています。そのため、全体的に地味という印象も否めず・・・。とはいえ、メロディアスなメロディーラインは魅力的ではあり、35年以上の年月を経て、いまだにその実力を感じさせてくれる1枚でした。

評価:★★★★

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