« 90年代に一世を風靡したバンドのレア音源集 | トップページ | Mrs.GREEN APPLE強し! »

2024年12月10日 (火)

インパクトは十分!

Title:ベスト・オブ・マハラージャン
Musician:マハラージャン

いろいろなポップミュージックを聴いていると、正直、このミュージシャンは何で売れないんだ!?と思うケースは多々あります。特に個人的に結構はまったポップミュージシャンが、思ったほど売れず、徐々にフェイドアウトしてしまうほど残念なケースはありません。森広隆とか、SUEMITSU&THE SUEMITHとか、個人的にはまって、「これは!」と思いつつ、結局売れなかったミュージシャンは何人もいます。

今回紹介するのはこのサイトでも何回か紹介しているポップミュージシャンのマハラージャン。特に2021年のデビュー作「セーラ☆ムン太郎」は話題を呼び注目を集めました。個人的にも2021年にリリースされたアルバム「僕のスピな☆ムン太郎」ではじめて彼の曲を聴いて、「これは!」と思ってはまったのですが・・・ただ、残念ながらこの時点に至ってもブレイクには至っていません。

このマハラージャンというミュージシャン、名前からして大きなインパクトがあるミュージシャン。マネジメント事務所の名前が「油田LLC」という会社なので、その名前にちなんでいるそうです(でもマハラジャはインドの王様で油田は関係ない・・・)。ファンクをベースとしたリズミカルなポップソングが魅力的で、話題となった「セーラ☆ムン太郎」もちょっとブラックミュージックの要素も入った軽快なポップチューンとなっているのですが、同じくファンキーな「いいことがしたい」「適材適所」など、そのリズムが魅力的。また、ディスコ風の「蝉ダンスフロア」やエレクトロチューンの「ラジオネーム オフトゥン大好き」など、ダンスチューンという点を共通項としてバラエティー富んだポップな作品を聴かせてくれますし、「その気にさせないで」のようなアイドルポップのような爽やかなポップチューンも。全体的にいい意味で耳障りのよいポップな楽曲を聴かせてくれており、ヒットポテンシャルは十分ある楽曲が並びます。

さらに大きな魅力であり彼の特徴と言えるのがその歌詞。ちょっとシニカルで、コミックソング的でありつつも真面目なテーマ性も垣間見れる歌詞が魅力的で、ノベルティー的な要素と純粋に真面目なポップソング的な要素がほどよくバランスしている絶妙なポップチューンに仕上げています。

例えば「セーラ☆ムン太郎」はタイトルからしてあきらかにセーラームーンのパロディー風の歌詞なのですが、歌詞の内容については、目立たないところでがんばるような人たちへのエールともとれるような内容に。「蝉ダンスフロア」は長く土の中で時間を過ごし、地上に出てくる蝉をテーマとしつつ、コミカルながらもどこか悲哀さを感じさせる歌詞が特徴的。コミカルな歌詞ながらも、単純に「笑い」を目指したようなコミックソングとは一線を画する歌詞が印象に残ります。

そんなヒットポテンシャルのあるメロも書け、個性もあるミュージシャンながらも、残念ながら現在に至るまで大ブレイクには至っていません。非常に残念でありつつ、これほどのミュージシャンがブレイクできないのが不思議にすら感じてしまうのですが、ただ一方、その理由がなんとなくわからないでもない曲があって、それがエレクトロナンバー「ラジオネーム オフトゥン大好き」。こちら、水曜日のカンパネラでおなじみのケンモチヒデフミが参加した曲なのですが、正直、メロにしろサウンドにしろインパクトの強度がワンランク違います。メロや歌詞もさることながらも、そのサウンドも一度聴けば一発で覚えるような、マハラージャンの他の楽曲に比べてもさらに強いインパクトがあり、ポップミュージシャンがブレイクするためには、このレベルのインパクトがないとダメということかなぁ、ということを感じたりもしてしまいました。

ちなみにこのベスト盤を区切りにマハラージャン、ミュージシャン名義をMHRJとあらため(呼び方は変わらずマハラージャンだそうです)、トレードマークだったターバン姿もやめたそうです。若干迷走気味のような気もしないでもないのですが・・・。とはいえ、彼の曲が魅力的であることは間違いなく、もしまだチェックしていない方がいたら、このベスト盤、是非ともチェックしてほしい1枚。このまま埋もれてしまうにはあまりにも惜しいミュージシャンです。

評価:★★★★★

マハラージャン 過去の作品
僕のスピ☆なムン太郎
正気じゃいられない
ミーンミーンミーン☆ゾーンゾーンゾーン


ほかに聴いたアルバム

King Gnu Dome Tour THE GREATEST UNKNOWN at TOKYO DOME/King Gnu

Kinggnulive

今年1月に開催された東京ドームでのKing Gnuのライブ音源を収録した配信限定のライブアルバム。「W●RK」では椎名林檎本人もゲスト参加。東京ドームでのライブなだけに、全体的にかなりスケール感を覚える作品。全30曲1時間42分に及ぶ楽曲は、King Gnuの代表曲も並びます。全体的にメランコリックに聴かせる楽曲が多く、いい意味でわかりやすいメロディーラインにKing Gnuのポップ志向も感じられます。ただ、正直、東京ドームレベルの大箱にはちょっと合ってない感じも否めないような・・・。

評価:★★★★

King Gnu 過去の作品
Sympa
CEREMONY
THE GREATEST UNKNOWN

|

« 90年代に一世を風靡したバンドのレア音源集 | トップページ | Mrs.GREEN APPLE強し! »

アルバムレビュー(邦楽)2024年」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 90年代に一世を風靡したバンドのレア音源集 | トップページ | Mrs.GREEN APPLE強し! »