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2024年12月 8日 (日)

もう結成20周年

Title:SUB MACHINE, BEST MACHINE
Musician:UNISON SQUARE GARDEN

バンド結成20周年を記念してリリースされたUNISON SQUARE GARDENのベストアルバム。CD3枚組の本作は、Disc1としてレアトラック集が収録。Disc2、3では過去の代表曲がシングル曲を中心に、リリース順に収録。特に初期の作品については再レコーディングも行われています。さらに初回盤では2015年に行われた日本武道館ライブの模様を収録したBlu-rayを収録。BOX仕様の受注生産限定盤では、ライブやMVを収録したBlu-ray5枚組というボリューミーな内容に仕上がっています。

UNISON SQUARE GARDENといえば、まだまだ若手バンドという括りで見ていたのですが、もうバンド結成から20年もたっているんですね・・・。もっとも、メジャーデビュー2008年なので、そこからは16年なのですが。とはいってもメジャーデビュー16年。昨今ではバンド寿命も長くなったので、デビュー16年というのは、まだ「中堅」くらいのカテゴリーなのですが、時の流れの速さを感じます。

さて、今回のベスト盤、いきなり最初はレア音源集からスタートというちょっと異例(?)な構成になっているのですが、このレア音源集がちょっとユニークで、シングル曲中心のベスト盤と比べると、バンドサウンドを前に押し出した、ロックバンドとしての側面を強く感じさせる曲が目立ちます。

結成後、はじめてスタジオ入りして演奏したという「星追い達の祈り」にしても、分厚いバンドサウンドが目立つ作品となっていますし、「ミカエルは雲の上」にしても、オルタナ系ギターロックのメインストリームを行くようなバンドサウンドを聴かせてくれています。現時点で最新のアルバム「Ninth Peel」では、比較的バンドサウンドを前に押し出して、ロックバンドらしさを感じさせる作風になっていましたが、彼らのとしては、初期から一貫してロックバンド志向であるということを感じました。

じゃあ、それらの作品が彼らに合っているのか、というとちょっと微妙な部分があり、確かに彼らの「売り」であるポップなメロディーや個性的な斎藤宏介のボーカルを生かす形という意味では、ヘヴィーなバンドサウンドを前に押し出したスタイルはあまり合っていない部分も。もっとも、Pixesはじめ、オルタナ系ギターロックバンドの特徴としてヘヴィーなバンドサウンドと相反するようなポップなメロという特徴もあるのですが、正直、彼らのバンドサウンドは、このアルバムの収録曲を聴く限りでは平凡で特に個性もない内容であるため、彼らの「売り」が十分生かされていない感があります。

そういう意味では初期のシングル曲から、バンドサウンドを抑えめにして歌やメロを前に押し出したスタイルを取った彼らに関しては彼らの慧眼を感じさせます。実際、やはりシングル曲の方が彼ららしさがしっかり出ていて、かつボーカルのスタイルにもピッタリ。特にDisc2から3にかけて楽曲の勢いはどんどん増していき、ブレイクポイントとなった「リニアブルーを聴きながら」「シュガーソングとビターステップ」あたりは彼らの勢いを最も感じさせます。

その後の曲、特にDisc3からの曲に関しては、同じような軽快でポップな作品がメインということもあって、正直、少々マンネリ気味というのは否めないのですが、それでも比較的最近の作品「kaleido proud fiesta」もインパクト十分な作品で、彼らの魅力を十分に感じることが出来ます。挑戦心という意味ではちょっと薄いのですが、ここ最近の作品に関しては、中堅バンドらしく安定してきた、と言えるのかもしれません。

そんなUNISON SQUARE GARDENの20年を総括した・・・とも言えそうなベストアルバム。3枚組はそれなりのボリュームですが、ポップな作品が多く、いい意味で聴きやすい内容でした。ここ最近、若干大きなヒットに乏しいような感もあるのですが、これだけインパクトのあるポップソングを書けるのならば、また近いうちに大きなヒットソングも生まれそうです。

評価:★★★★

UNISON SQUARE GARDEN 過去の作品
CIDER ROAD
Catcher In The Sky
DUGOUT ACCIDENT
Dr.Izzy
MODE MOOD MODE
Bee-Side Sea-Side 〜B-side Collection Album〜
Patrick Vegee
Ninth Peel

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