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2024年11月 9日 (土)

久々のアルバムは既発表曲がメイン

Title:Iris
Musician:BUMP OF CHICKEN

BUMP OF CHICKENの約5年ぶりとなるニューアルバム。全13曲入りのアルバムに、恒例のシークレットトラック1曲がついた実質上、14曲入りとなる作品ですが、今回ちょっと残念なのは、シークレットトラックを除いた13曲のうち11曲までがシングル曲として既に発表された曲ということ。アルバム曲としては2曲のみとなっており、BUMP OF CHICKENのようなベテランバンドが、このような形でアルバムを発表するのはちょっと残念に感じました。

そして、事実上のプレイリストと化してしまったような影響があるかどうかは微妙なのですが、バンプらしい曲が並んでいるものの、アルバム全体としては、彼らのアルバムとしては今一つだったように感じます。特に微妙に感じたのはアルバムの冒頭を飾る「Sleep Walking Orchestra」で、アニメ「ダンジョン飯」のオープニング曲としてタイアップの段階から見ていたのですが、タイアップとしてはピッタリなのですが、なんとなく無理やりバンプっぽさを出したような楽曲となっており、メロディーの展開にチグハグさを感じてしまいます。

「青の朔日」も、数少ないアルバム収録曲だったのですが、バンプらしいメロディアスでちょっと切なさを感じるギターロックなのですが、ただ、いかにもな転調がちょっと無理矢理感が否めず。聴いていて率直なところ、違和感も覚えてしまいました。

もちろん、BUMP OF CHICKENとしての実力を感じさせるギターロックチューンも少なくありません。例えば「SPY×FAMILY」の主題歌となった「SOUVENIR」も、ファルセットボーカルを効果的に用いたバンプらしいポップな作品に。「Flare」もメランコリックなメロながらも、希望を感じさせる歌詞が彼らしい胸をうつポップスに。ダイナミックでスケール感を覚える「窓の中から」も耳を惹きますし、最後を飾る「アカシア」も、疾走感で爽やかなギターロックは、BUMP OF CHICKEの本領発揮とも言える楽曲で締めくくられています。

このように、ちょっと今一つと感じる曲もありつつ、しっかりとBUMP OF CHICKENの魅力を感じさせる曲も配されており、ファンの期待にはしっかりと応えるアルバムにはなっていたと思います。ただ、それでもちょっと物足りなさを感じてしまうのは、逆にいかにもバンプらしい曲、もっと言えばシングル曲ばかりが並んでいた結果、1曲1曲は魅力的ですが、アルバム全体としてのパワー不足を覚えてしまいます。アルバムというよりも、既発表シングル曲のプレイリストを聴いているような感覚。結果として、アルバムを聴き終わった後に、どこか物足りなさを覚えてしまう、そんな内容になっていました。

決して悪いアルバムではないと思うのですが、BUMP OF CHICKENのアルバムとしてはちょっと今一つだったような・・・。特に、聴き終わった後の印象は弱い作品に仕上がっていた感があります。少なくとも、彼らくらいのベテランバンドだったら、アルバム曲を追加して、アルバム全体をひとつの作品として構築してほしかった印象も。惜しい印象を受けた1枚でした。

評価:★★★★

BUMP OF CHICKEN 過去の作品
orbital period
COSMONAUT
BUMP OF CHICKEN Ⅰ[1999-2004]
BUMP OF CHICKEN II [2005-2010]

RAY
Butterflies
aurora arc


ほかに聴いたアルバム

あちゃらか/パスピエ

2020年にリリースした「synonym」以来、ちょうど1年マイナス1日という間隔をあけてのフルアルバムリリースが続いていましたが、今回は昨年12月6日にリリースした「印象万象有象無象」から、わずか約9か月というインターバルでリリースされたミニアルバム。8曲入りのアルバムですが、ブレイクビーツ的なリズムを取り入れた「きもち」や80年代風のサウンドを取り入れた「FFFLLLYYY」、ストリングスを入れてドリーミーな「それから」、さらにバンド初のインストナンバー「幕間」まで、基本的にはエレクトロ+バンドサウンドで聴かせるキュートでポップなメロを主軸としつつ、バラエティー豊かな作風になっているのが特徴的。ミニアルバムで、全32分という短さもあり、ダレることなく、一気にパスピエらしいポップな世界を楽しめるアルバムになっていました。次は12月5日にフルアルバムがリリースされるのでしょうか?

評価:★★★★

パスピエ 過去の作品
ONOMIMONO
演出家出演
幕の内ISM
娑婆ラバ
&DNA
OTONARIさん
ネオンと虎
more humor
synonym
印象万象有象無象

ネビュラロマンス 前篇/Perfume

メジャーデビュー20周年、結成25周年を記念してリリースされたPerfumeの新作は、彼女たち初となるコンセプトアルバムで、「メンバー3人が宇宙を舞台に繰り広げる壮大なドラマを凝縮した、架空の映画のサウンドトラック」だそうです。そのため、楽曲には宇宙をテーマとした曲が多く、また、スペーシーなエレクトロチューンが多いのも印象的。とはいえ、基本的にはいつも通りのPerfumeらしいエレクトロポップがメインであり、そういう意味ではコンセプトアルバムとはいえ、いままでのPerfumeと大きな路線変化はありません。今回も魅力的な中田ヤスタカサウンドの楽しめるポップチューンになっていました。ちなみに、これ、後編はいつ出るのかな?

評価:★★★★

Perfume 過去の作品
GAME
Future Pop
Perfume The Best "P Cubed"
PLASMA

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