ブームとなった俳優集団のアルバムが再発!
Title:ピラニア軍団
Musician:ピラニア軍団
ピラニア軍団のアルバムがCD/LP版として再リリースされ、話題となっています。ピラニア軍団は1975年に、東映の大部屋所属の俳優を中心に結成された俳優軍団。斬られ役や悪役などをつとめる俳優たちから結成され、一時期はブームにもなったそうです。さらに1977年にはLP版もリリース。プロデュースは三上寛がつとめ、坂本龍一・村上秀一・かしぶち哲郎・後藤次利・斎藤ノブといった一流のミュージシャンたちが参加した作品となっています。そんな一流ミュージシャンたちが一堂に会したアルバムなだけに、今回のCD/LP版での再リリースが話題となりました。
ただ、個人的にこのピラニア集団というグループは、このアルバムではじめて知りました。Wikipediaで参加した俳優も並んでいますが、この中でも川谷拓三や小林稔侍といった俳優は私でも名前をよく知っています。しかし、このピラニア軍団というブームはいままで見たことも聞いたこともありませんでした。もちろん、ブームが起こった頃は私が生まれる前ということも大きいのですが、生まれる前の芸能界のブームも、「懐かしの~」などの番組で取り上げられることも少なくありません。まあ、ブームというのは、時として完全に忘れ去られてしまうことも多いんだな・・・ということも感じてしまいました。
さて、そんなピラニア軍団のアルバムですが、このアルバム自体は率直に言って、かなり厳しい内容になっていました。俳優が本職なので当たり前といえば当たり前なのですが、率直に言って、歌がかなり下手。加えて、かなり内輪ネタ的な歌詞の曲も多く、ブームが遥か昔に去って、参加メンバーもほとんど知らない私が聴いても、かなり厳しい内容になっています。
楽曲的には「死んだがナ」や「やめましょう」のようなフュージョンジャズ風の曲もある一方、浪曲風の「その他大勢の仁義を抱いて」や演歌風の「役者稼業」「有難うございます」など、バラエティーに富んではいるものの、参加ミュージシャンに惹かれて聴いてみたとしたら、ちょっと期待外れになりそうな楽曲も少なくなく、歌の下手さや内輪的な歌詞の内容も含めて、総じて、今聴くとかなりキツい内容になっていたように感じました。
しかし、そんなイメージがガラリと変わるのが、今回、CD版で初音源化されたインストゥルメンタルのバージョンでしょう。こちらこそ、豪華な参加ミュージシャンの魅力を存分に感じられる内容となっていました。
フュージョンジャズの要素は歌付きのバージョンでも感じられたのですが、インストにするとより感じられるのがブラックミュージック的な要素。特に歌付きでは演歌のイメージが強かった「役者稼業」は、インストになるとメロウなサウンドやファンキーなリズムが前面に出てきており、グッと印象が変わります。「死んだがナ」もサックスの音色が耳に残るのに加えて、こちらもファンキーなベースラインが印象的。「はぐれピラニア」もファンキーなリズムをベースに、ホーンやストリングスで感じられるスケール感が心地よい楽曲に。歌付きバージョンとは全くイメージの異なる、ジャジーでファンキーなインストの名盤に仕上がっており、豪華なミュージシャンの参加が伊達ではなかったことに気が付かされます。
正直言って、歌付きのオリジナル盤の方は聴いていてかなり厳しい内容で、★3つ、ともすれば★2つといった内容。ただ一方、インスト版の方は文句なしにカッコいい内容で、★4つ、もしくは★5つでも良いような出来だったと思います。合わせて、下のような評価に。LP版はインスト版が未収録のようなので、聴くなら断然、インスト版込みのCD版で。
評価:★★★★
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