RADIOHEADの詰め合わせ?
Title:Cutouts
Musician:The Smile
RADIOHEADのトム・ヨークが2020年に立ち上げた新バンドThe Smile。メンバーは同じRADIOHEADのギタリストであるジョニー・グリーンウッド、Sons of Kemetのドラマー、トム・スキナーの3人組。今年の1月に2枚目となるアルバム「Wall Of Eyes」をリリースしたばかりですが、それからわずか9か月という短いスパンで、早くもニューアルバムがリリースされました。
今回のアルバムは、OxfordとAbbey Road Studioで、前作「Wall Of Eyes」と同時期にレコーディングされた作品だとか。そういう意味では前作「Wall Of Eyes」とは姉妹盤のようなアルバムと言えるでしょう。その前作「Wall Of Eyes」は個人的にRADIOHEADが「OKコンピューター」の後にリリースしたかもしれないアルバム、と評しました。そういう意味では今回のアルバムも楽曲の方向性としては同じ。もっと言えば、いかにもRADIOHEAD的な作品を詰め合わせたようなアルバムと言ってしまえるかもしれない作品でした。
アルバム冒頭の「Foreign Spies」のスペーシーなエレクトロ路線もいかにもといった感じですし、「Instant Psalm」のようなアコースティックなサウンドをベースとして聴かせるメランコリックな歌は、こちらもいかにもトム・ヨークらしい、と言ってもいいかもしれません。特に「Colours Fly」のような、サイケ気味のギターサウンドでちょっと不気味に、でもメランコリックに聴かせるスタイルなど、いかにも「OKコンピューター」の頃のRADIOHEADというイメージがあります。
ただ、そんな中で印象に残るのがまず「Zero Sum」。こちらはリズミカルなドラムに、ファンキーさを感じる軽快なギターサウンドが特徴的。ちょっとサイケ気味なギターのエフェクトがトム・ヨークらしい感じもするのですが、ロックンロール的な色合いも感じさせる軽快なギターロックが、こちらはちょっとRADIOHEADとは異なる路線の、方向性も感じさせる曲になっています。
印象に残るという意味では、中盤の「Don't Get Me Started」も耳に残ります。最初は無機質なエレピのリフからスタートし、ドリーミーなトムの哀愁たっぷりの歌が重なります。後半にはここにトライバルなパーカッションが加わり、サイケさが増します。こちらはRADIOHEADらしさを感じさせる作品となっています。
後半には「The Slip」「No Words」のようなギターロック路線の作品も並び、こちらは「The Bends」のあたりのRADIOHEADも彷彿とさせる感じでしょうか。最後はアコギでフォーキーに聴かせる「Bodies Laughing」で締めくくり。最後はしっかりと「歌」で締めくくるアルバムとなっていました。
いろいろな挑戦的なサウンドを取り入れつつも、一方ではしっかりとしたメロディーラインの歌を聴かせて、意外とポップにまとめ上げている点も大きな特徴ですし、こちらもRADIOHEADに通じるものの。この点もトム・ヨークらしい、と言えるのかもしれません。前作と同様、一時期のRADIOHEADのような目新しさは少ないのかもしれません。ただ、こちらも前作と同様、トム・ヨークが演りたい音楽を演りたいように演ったアルバムと言えるかもしれません。前作同様の傑作アルバム。特にRADIOHEADが好きならたまらなく感じられる作品でした。
評価:★★★★★
The Smile 過去の作品
A Light For Attraction Attention
Wall Of Eyes
ほかに聴いたアルバム
In Wave/Jamie xx
イギリスのロックバンドThe xxのメンバー、ジェイミー・スミスのソロプロジェクト、Jamie xxの、実に約9年ぶりとなるニューアルバム。テンポよく軽快なエレクトロチューン。基本的にハウスの要素を強く感じさせつつ、楽曲によってはアンビエントの色合いが強い曲や、よりメロウなR&B的な色合いの強い曲、リズミカルなダンスチューンなど、バラエティー富んだ作風が魅力的。ただ、高揚感一歩手前の抑え気味なサウンドで、全体的には聴き終わった後、どうも印象が薄く感じてしまう点がちょっと気になってしまいました・・・。
評価:★★★★
Jamie xx 過去の作品
In Colour
Harlequin/Lady Gaga
Lady Gagaの新作は、映画「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ」で自身が演じるキャラクターからインスパイアされた曲を収録したアルバム。インスパイアされて作成された新曲から、「聖者の行進」「ザッツ・エンターテイメント」「遥かなる影」などカバー曲も多く収録されています。楽曲的にはムーディーなジャズ風の曲からビックバンド風の曲など、レトロな楽曲が目立ちながらも、ヘヴィーなバンドサウンドを聴かせるロッキンなナンバーも。バラエティーを富み、ほどよくポップに聴かせる、Lady Gagaらしい作品になっていました。
評価:★★★★
LADY GAGA 過去の作品
The Fame
BORN THIS WAY
ARTPOP
Cheek to Cheek(Tony Bennett & Lady Gaga)
Joanna
A Star Is Born Soundtrack(アリー/ スター誕生 サウンドトラック)(Lady Gaga & Bradley Cooper)
Chromatica
BORN THIS WAY THE TENTH ANNIVERSARY
Dawn Of Chromatica
Love For Sale(Tony Bennett & Lady Gaga)
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