懐かしいスペーシーなエレクトロポップ
Title:Paradise State Of Mind
Musician:Foster The People
アメリカのインディーポップバンド、Foster The Peopleの、オリジナルアルバムとしては実に約7年ぶり。4枚目となるニューアルバムがリリースされました。その7年前の前作「Sacred Heart Club」はダウナーな雰囲気の強くなった作品でしたが、今回のアルバムに関しては、非常に明るく、祝祭色あるサウンドにシフト。Foster The Peopleの持つ「ポップス」さがより強調された作品に仕上がっています。
まず1曲目「See You In The Afterlife」から、80年代っぽい雰囲気漂う軽快なエレクトロディスコチューンからスタート。ライブで流れたら盛り上がりそうな、素直にワクワクできるようなポップチューンからスタート。続く「Lost In Space」もリズミカルな重低音のエレクトロトラックからスタート。さらに祝祭色のあるストリングスの音色も加わり、エフェクトのかかったボーカルも含めて、非常にスペーシーで鮮やかなダンスチューンとなっています。
その後も、この80年代的な雰囲気の漂うスペーシーなエレクトロチューンというスタイルは続きます。3曲目の「Take Me Back」は、そこまで盛り上げていたリスナーを落ち着かせるようなミディアムファンクチューン。「Let Go」はフィーリーな雰囲気のミディアムチューン。中盤のタイトルチューン「Paradise Sate Of Mind」も、ちょっとサイケ気味なアレンジの、メランコリックなミディアムポップ。
後半も「Glitchzig」のようなリズミカルなナンバーも挟みつつ、「The Holy Shangri-La」や「Sometimes I Wanna Be Bad」など、80年代のフィリーソウルからの影響も感じる、メロディアスでメロウなミディアムチューンのナンバーが目立ちます。ただ、いずれも明るく爽やかなメロディーラインとサウンドが特徴的で、いい意味で聴きやすく、かつ懐かしく、祝祭色を感じさせるポップチューンが特徴となっています。
終盤の先行シングルとなった「Chasing Low Vibrations」は暖かさを感じさせるスペーシーなエレクトロトラックと懐かしくメロディアスな歌が耳に残る、フックに効いたナンバー。ラストを締める「A Diamond To Be Born」は、この懐かしくもスペーシーなアルバムのラストを締めくくるにふさわしい、ミディアムチューンのエレクトロチューンとなっています。
全体的にフィリーソウルや80年代ポップの影響を感じさせる、ちょっとベタさも感じるスペーシーなエレクトロチューンが印象的なアルバム。ポップで、いい意味でわかりやすく、聴いていて素直にワクワクと楽しめるような作品になっていました。ただ、デビュー当初のサイケな要素は薄れて、良くも悪くも「ベタ」という印象を受けるのは賛否わかれそうな感じはするのですが・・・。もっとも、広いリスナー層におすすめできそうなアルバムである点は間違いないかと思います。1作目2作目といきなりビルボードチャートでベスト10入りしてきた彼らですが、3作目以降、売上面で大きく成績を落としており、本作もビルボードで最高位170位とかなり奮わない結果となってしまったようですが、ただ、これだけポップなアルバムをリリースしてこれば、今後の巻き返しも十分あるかと。これからの活躍に期待したいところです。
評価:★★★★★
Foster the People 過去の作品
Torches
Supermodel
Sacred Hearts Club
In The Darkest Of Nights, Let The Birds Sing
ほかに聴いたアルバム
F-1 Trillion/Post Malone
アメリカのラッパー、Post Maloneの最新アルバムは、なんとカントリーアルバム。日本人でもロック系のミュージシャンがベテランになると、歌謡曲のカバーとかやりだしたりするのですが、それと同じ感覚でしょうか?全編、メランコリックでメロディアスな歌モノのアルバムで、カントリーという以上にカントリーロックに近いような印象も。もっともPost Maloneは直近作「AUSTIN」でもメランコリックな歌を前面に押し出していましたので、そういう意味ではイメージ的に「ガラッと変わった」といった感じでもありません。良くも悪くも保守的という印象は否めませんが。
評価:★★★★
Post Malone 過去の作品
Beerbongs & Bentleys
Hollywood's Bleeding
Twelve Carat Toothache
AUSTIN
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