バンド名のイメージと反して・・・
Title:All Hell
Musician:Los Campesinos!
イギリスはウェールズ出身の6人組ロックバンド。全員がラモーンズ風にCampesinos!姓を名乗っている点が特徴的。ちなみに、Los Campesions!という、いかにもラテン風なバンド名はスペイン語で「農民」を意味するそうです。最近、徐々に注目を集めているインディーロックバンドで、このアルバムもイギリスの公式チャートで14位と自己最高位を記録。徐々に人気を伸ばしてきています。
正直、バンド名だけ見ると、ラテン系、あるいはトラッド系のバンドのように最初印象を受けました。また、6人組という大所帯の構成もまた、同じくいかにもトラッド系のバンドにありがちな構成。しかし、アルバムを聴いてみるとその印象とは全く異なります。むしろ、比較的王道なオルタナ系のギターロック路線が彼らの大きな特徴でした。
今回のアルバム、最初はちょっと泥臭さを感じる曲からスタート。冒頭を飾る「The Coin-Op Guillotine」はメランコリックにゆっくりと聴かせるカントリーロック的なナンバー。冒頭を飾るナンバーとしては、ダウナー的な楽曲で、いささか地味さを感じさせる楽曲となっています。
ただ、続く「Holy Smoke(2005)」「A Psychic World」はいずれも疾走感あるギターロックナンバー。ノイジーなバンドサウンドで、まさに王道を行くようなオルタナ系のロックナンバーとなっており、アルバムを最初聴いて、バンドイメージから意外さを感じたのは、まずこの2曲を聴いた時でした。
前半はギターのアルペジオでブルージーに聴かせるインターリュード的な「I.Spit;or, a Bite Mark in the Shape of the Sunflower State」やミディアムチューンの「Long Throes」など、比較的泥臭さを感じさせる楽曲が並び、どちらかというとブルースロック、カントリーロック的な印象も受けます。彼らが本領を発揮したのはアルバム後半。
インターリュード曲を挟んで、ある意味アルバムの後半戦の1曲目ともいえる「To Hell in a Handjob」は疾走感のあるギターロックで、まさに王道のオルタナ系ギターロックナンバー。「Moonstruck」もいかにもなギターロック。ギターのフレーズもどこかで聞き覚えがあるような感じですし、メロディアスでポップな曲調もいかにもといった感じの曲調となっています。
オルタナ系ギターロック好きならば間違いなく気に入りそうなアルバム。個人的にもツボにはまったアルバムでした。ただ一方、楽曲自体は「似たような曲はどこかで聴いたような・・・」という曲は少なくなく、そういう意味ではマイナスだったかも、という点も感じました。メロディアスな楽曲はヒットポテンシャルもありそうで、今後の成長も含めて期待のバンドといった感じでしょうか。オルタナ系ギターロック好きとして十分楽しめたアルバムでした。
評価:★★★★
ほかに聴いたアルバム
Everyone's Getting Involved:A Tribute to Talking Heads' Stop Making Sense
今年2月、4Kレストアバージョンが公開されたトーキング・ヘッズのライブ映画「ストップ・メイキング・センス」に合わせてリリースされた、トーキング・ヘッズへのトリビュートアルバム。Lorde、The National、The Linda Lindasなど、比較的若手のミュージシャンを中心として、トーキング・ヘッズの曲をカバーした作品なのですが、ミュージシャンによって様々な解釈を披露。ムーディーに聞かせたり、ファンクの要素を強めたり、ディスコ風にカバーしたり、様々なタイプの曲が並びます。基本的にアフロビート、ニューウェーヴというトーキング・ヘッズの音楽性に沿ったカバーも多いだけに、全体的にトライバルなリズムが目立つ曲が多いのですが、16組のミュージシャンがそれぞれに個性を発揮している楽しいトリビュートアルバムに仕上がっていました。
評価:★★★★★
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