台風が近づく中で
ZAZEN BOYS×七尾旅人(BAND SET) NAGOYA CLUB QUATTRO 35th Anniversary "rendezvous"
会場 名古屋CLUB QUATTRO 日時 2024年8月29日(木)19:00~
今回足を運んだのは、タイトル通り、名古屋CLUB QUATTROの開設35周年を記念して行われたライブイベント。「rendezvous」と名付けられ、数多くのミュージシャン同士のコラボライブが行われた今回の企画。その中でも、なんとZAZEN BOYSと七尾旅人の対バンという、かなり注目度の高いイベントが開催。さっそく足を運んできました。七尾旅人は2019年のあいちトリエンナーレでのイベントで見て以来、約5年ぶり。ZAZEN BOYSに至っては、2012年のワンマンライブ以来、実に約12年ぶり(!)に見たライブということになります。
この日は台風10号が日本に接近していた影響で、新幹線も止まるなど開催が危ぶまれていましたが、29日の夜の名古屋はまだ台風の影響は限定的で、予定通りに開催。ただ、七尾旅人は翌日、東京でライブが予定されているため、早めに帰る必要があるためか、19時に会場に入ると、既にライブがスタートしていました。基本的にバンドセットということでバンドメンバーを率いて、真ん中に七尾旅人が座りながら演奏しているスタイル。最初はいきなりMCから、トレイシー・チャップマンの「Fast Car」の日本語カバーからスタートしたのですが、最初はこの曲の歌詞について解説。自立を余儀なくされるアメリカの黒人女性の悲哀をうたった歌詞で、それに沿った日本語詞をしんみりと聴かせてくれます。
その後は「Wonderful Life」、そしてホームレス排除をめぐって議論が起こった、渋谷の宮下公園で行われたライブイベントに参加した時に、あえてうたったという「ホームレスガール」。さらには新曲「Alright Alright」と続き、本人曰く、「唯一の代表曲」である「Rollin' Rollin'」へと続きます。この曲では途中、ZAZEN BOYSの曲のフレーズを取り入れたり、さらには観客とのコールアンドレスポンスが行われたりと、代表曲らしい盛り上がりを見せてくれます。
さらにMCでパレスチナ紛争について語った後、こちらも新曲「密航者の壁の向こうへ」。パレスチナ紛争の中、仕事のためにイスラエル側の建設現場で働かざるを得ない、パレスチナ側の人間について歌った歌で、今なお起こっている民族紛争について考えさせられる曲になっていました。そしてラストはZAZEN BOYSの「はあとぶれいく」のカバー。ZAZENのバージョンとは打って変わって、しんみり「歌」を聴かせるカバーに。向井秀徳が持っているメロディーセンスの良さを前に押し出したようなカバーに仕上げていました。
七尾旅人のステージは約1時間弱で終了。20分程度のセットチェンジを経て、続いてはZAZEN BOYSのステージとなります。しかし、登場するやいなやいきなり「アンコール、ありがとうございました」というMCからスタート(笑)。「時空を歪めて、今日はアンコールからスタートします」ということで、いきなりアンコールで、七尾旅人が再びステージ上へ!ZAZEN BOYSとのコラボで「サーカスナイト」を披露。途中、「KIMOCHI」のフレーズを挟みつつ、アンコールらしい(?)盛り上がりを見せていました。
まあ、要するに七尾旅人が台風の影響で、早く東京に帰らなくてはいけないため、本来、アンコールで行う予定だった両者のコラボを先に演ってしまった、ということで、その後、しばらくして、ZAZEN BOYSのライブの途中で機材を運び出し、七尾旅人は一足先に会場を後にしていました。
で、ZAZEN BOYSの本編は「DANBIRA」「HIMITSU GIRL'S TOP SECRET」さらにはライブでの定番「Weekend」と続きます。今回のZAZEN BOYS、私が彼らを見るのは実に12年ぶりとなるのですが、ベーシストがMIYAに代わってからは初のステージ。で、このMIYAのベースプレイが最高にカッコいい!かなりヘヴィーで迫力ありつつも、エッジの効いたベースが、ステージの中でも非常に目立っており、ZAZEN BOYSのパフォーマンスの中でも、かなり強く主張しているように感じました。
その後は「バラクーダ」「八方美人」「チャイコフスキーによろしく」「ブッカツ帰りのハイスクールボーイ」と最新アルバム「らんど」の曲が続き、さらには「COLD BEAT」「泥沼」と、こちらはライブの定番曲が並びます。なぜか、ここらへんで、向井秀徳は曲に合わせて、やたら新しい学校のリーダーズの首ふりダンスを踊っていました。気に入っているのでしょうか(笑)。
さらには大定番曲「ポテトサラダ」で会場は大盛り上がり。さらに、この曲の続編??のような「らんど」から「YAKIIMO」と続き、後半は「永遠少女」「乱土」さらには「胸焼けうどんの作り方」で締めくくり。結果的には、最新アルバム「らんど」からの曲を多く聴かせてくれる構成になっていました。
その後は再度のアンコールへ。「アンコールはもう演ったはずなんだが・・・」と向井秀徳が言いながらも再度、登場。おなじみのビールをかっくらいながらもラストは「はあとぶれいく」へ。最後の最後まで盛り上がり、約1時間強。全体では約2時間半のライブは幕を下ろしました。
いやぁ、ZAZEN BOYS、すごくよかった!!久々に見た彼らのステージでした、MIYA加入後、バンドとしてレベルアップしていたことを感じます。もともと息の合った緊迫感あるパフォーマンスは特徴的だったのですが、MIYAの個性に引っ張られる形か、以前よりも各々のメンバーのプレイが、それぞれの個性をより押し出したようなパフォーマンスになっていました。結果、以前に増して、「向井秀徳のワンマンバンド」というよりも、よりZAZEN BOYSがバンドとして、メンバーそれぞれの立場が対等になっていることを感じました。個人的に、今年のベストアクト候補と言えるパフォーマンスでした。
もちろん、七尾旅人のステージパフォーマンスも素晴らしく、特にその主張のある歌詞が心に響いてきました。どちらのパフォーマンスも非常にクオリティーの高いイベントで、まさにあっという間の2時間半。期待していたイベントでしたが、その期待をはるかに上回る内容になっていました。台風が近づいている中ということもあってか、観客の入りもそこそこといった感じで、ほどよく見やすかったのも良かったかも。非常に満足度の高いライブで、2組のミュージシャンの実力を実感できたパフォーマンスでした。
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