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2024年9月 8日 (日)

全盛期のblurのナンバーを連発

Title:Live At Wembley
Musician:blur

昨年、8年ぶりのニューアルバム「The Ballad of Darren」をリリース。サマソニにも来日したblur。最近は、時折「これが最後」という発言をしながらも、断続的な活動が続いていますが、昨年11月には再び活動休止を宣言。しかし、その後もまたライブに出演するなど、結局、blurとしての活動を続けています。もう、別にわざわざ活動休止を宣言しなくても、メンバー全員、時間が合った時に断続的に活動を続ければいいと思うのですが・・・。

今回、彼らがリリースしたアルバムは昨年7月8日、9日にイギリスのウェンブリー・アリーナで行われたblur史上最大規模での開催となったライブの模様を収録したライブアルバム。スタジアムライブらしいスケール感を感じさせるパフォーマンスで、特に彼らの代表曲が演奏された時の盛り上がりに感じる広い会場全体を覆うような一体感には、スタジアムライブらしいダイナミックさを感じます。

今回のライブアルバムで特徴的なのはそのセットリスト。バンド史上最大規模のライブということもあって、彼らのその代表曲を惜しげもなく披露しています。最新アルバムからのナンバー「St Charles Square」に続いては、いきなり「There's No Other Way」からスタート。前半でも「Coffee&TV」を披露しているほか、後半戦に入ると「End of a Century」「Country House」「Parklife」「Song2」「This Is a Low」と代表曲が続き、会場のテンションが一気に上がる中、おなじみ「Girls&Boys」で大盛り上がり。その後も「Tender」を披露するなど、まさに代表曲づくしのセットリストとなっています。

さらに大きな特徴として、彼らの勢いが最も強かった1993年の「Modern Life Is Rubbish」、1994年の「Parklife」からの選挙区が特に多いのも特徴的。「Modern Life Is Rubbish」からは5曲が、「Parklife」からはなんと6曲が選曲されています。他に「The Great Escape」からは3曲と意外と少な目。「blur」からは4曲が選曲。26曲中18曲までが、1993年から1997年までのナンバーに集中しています。

一方、最新アルバム「The Ballad of Darren」からはわずか2曲。「13」からは2曲、「Leisure」からは1曲、「Think Tank」からもわずか1曲。さらに前々作「The Magic Whip」からは選曲なしという構成に。ベテランバンドがこの手のベスト的なセットリストが組まれる時に、得てして全盛期以降の比較的最近の曲を選曲しがちなのですが、ほとんどが彼らの全盛期のナンバーからの選曲となっているあたり、彼らの潔さを感じます。

また、そんな選曲になっており、彼らの1990年代の楽曲をあらためて聴いてみたからこそ、blurの魅力、あれだけ人気のあった理由をあらためて実感できるライブ盤になっていました。軽快でポップ、わかりやすいメロディーラインを書きながらも、サウンドにしろメロディーにしろ、どこかひねりが加わり、単純なポップにならないとするアイロニック的な視点を感じさせますし、一工夫の入ったサウンドからは彼らのウィットさも感じさせます。

blurといえば90年代のブリットポップブームの中、最近、再結成が大きな話題を呼んだoasisと比較されることが多いのですが、王道路線を行くようなoasisのロックに比べて、ポップより、かつ王道をあえて外したようなblurの楽曲はまさしく対照的。この両者がしのぎを削っていた90年代のイギリスのロックシーンは、本当にすごかったよな・・・と、リアルタイムを経験した身にとってはなつかしさも感じてしまいました。

まさにblurの魅力のつまったベスト盤的なライブアルバム。あらためてblurのすごさも感じましたし、入門盤としてもピッタリのアルバムだったと思います。しかし、blurのライブ、一度生で見てみたい!また、是非日本に来日してライブを披露してほしいものです。

評価:★★★★★

blur 過去の作品
MIDLIFE:A Beginner's Guide to Blur
All the People... Live in Hyde Park: 2nd July 2009
PARKLIVE
The Magic Whip
THE BALLADS OF DARREN

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