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2024年9月17日 (火)

アジカンの歴史をたどる

Title:Single Collection
Musician:ASIAN KUNG-FU GENERATION

昨年、メジャーデビュー20周年を迎えたASIAN KUNG-FU GENERATION。本作は、そんな彼らのシングルコレクションとなります。アルバムの冒頭に収録されているのが、彼らのメジャーデビュー作であるミニアルバム「崩壊アンプリファー」の1曲目に収録されている「遥か彼方」の再録バージョン。その後は現時点での最新シングルとなる「宿縁」からデビューアルバム「未来の破片」まで、彼らがいままでリリースしたシングル30枚を、最近の曲から過去の曲にさかのぼる形で収録しています。

アジカンのベストアルバムは2012年にベストアルバム「BEST HIT AKG」を、2018年にはその続編「BEST HIT AKG(2012-2018)」と、さらにはオフィシャルブートレグと名乗って「HONE」「IMO」2枚のアルバムをリリースしています。既に、彼らの楽曲についての総括的な印象は、そのベスト盤の時にも記載しているため、今回のシングルコレクションで大きく変わることがありません。

ASIAN KUNG-FU GENERATIONの曲は、端的に言うと、ロックバンドとしてある種の王道的であり、ヘヴィーでノイジーなバンドサウンドが聴いていて直感的に心地よい、という印象を受けています。歌詞にしてもラブソングを主軸としつつ、ほどよく内省的な歌詞やメッセージ性の歌詞も兼ね備えており、バランスの良さも感じます。20年間、第一線で人気を確保してきた彼らですが、確かにロックバンドとしていい意味で広いリスナー層に支持を得ているのも納得の楽曲を作り続けているバンドに感じます。

今回、シングルコレクションということで、彼らのシングルを最近の曲から過去にさかのぼる形で収録していますが、それ故に彼らの楽曲の変遷を感じることが出来ます。とはいっても、そのスタイルはデビュー当初から最近まで大きく変わることはありません。あえて言えば、初期作品の方が、非常に分厚いギターサウンドとポップなメロディーという楽曲を、ある種の迷いもなく発表し続けているのに対して、ここ最近のシングルは、やはり同じスタイルを続けているのに迷いもあるのでしょうか、ギターロックというスタイルをベースとしつつ、バリエーションを増やしてきているように感じます。

例えば「触れたい 確かめたい」では羊文学の塩塚モエカとのデゥオというスタイルを取り入れたり、「エンパシー」ではピアノの音色やドラムンベースなリズムを取り入れたりと、デビュー当初の作品と比べるとシングルのバリエーションを増やしてきているのを感じます。

一方では「出町柳パラレルユニバース」「ダイヤローグ」のように最近の曲でも、初期の作品を彷彿とさせるような、分厚いギターサウンドにポップなメロディーという、いかにもアジカンらしい曲もチラホラ並んでおり、そういう意味ではデビュー当初からそのスタイルを大きくは変更していない点も感じさせます。逆に、こういうアジカンらしいスタイルを極初期から貫かれているということは、デビュー直後から既にその個性を確立していた、という訳で、デビュー当初から注目を集め、早い段階でブレイクした彼らですが、その理由を、今回のシングルコレクションではあらためて感じることも出来ました。

そんな訳で、シングルコレクションらしい逆発売順の選曲により、アジカンの歴史をたどることが出来たベスト盤。ASIAN KUNG-FU GENERATIONというバンドの魅力をあらためて感じることが出来たシングルコレクションでした。

評価:★★★★★

ASIAN KUNG-FU GENERATION 過去の作品
ワールドワールドワールド
未だ見ぬ明日に
サーフ ブンガク カマクラ
マジックディスク
BEST HIT AKG
ランドマーク
THE RECORDING at NHK CR-509 STUDIO
フィードバックファイル2
Wonder Future
ソルファ(2016)
BEST HIT AKG 2(2012~2018)
BEST HIT AKG Official Bootleg "HONE"
BEST HIT AKG Official Bootleg "IMO"

ホームタウン
プラネットフォークス
サーフ ブンガク カマクラ(半カートン)
サーフ ブンガク カマクラ(完全版)


ほかに聴いたアルバム

ghosts/My Hair is Bad

約2年3か月ぶりとなるスリーピースバンドによるニューアルバム。分厚いギターサウンドを聴かせてくれるロックが特徴的ながらも、歌詞については具体性、ドラマ性あるラブソングがメインという、ある意味、意外性のある組み合わせが特徴的なバンド。別れた恋人への思いをつづった「鳩かもめ」など、印象的な歌詞も。ただ今回はそんな中でも「ぶっこむ.com」のような、ラップ的なスタイルを取り入れたユニークな曲もあったりします。とはいえ、良くも悪くも似たタイプのラブソングが多く、個人的にはもうちょっとバラエティーがあった方がいいようにも思うのですが。

評価:★★★★

My Hair is Bad 過去の作品
woman's
mothers
hadaka e.p.
boys
angels

Logic 2/LEX

Logic2

前作「Logic」が2021年度のMusic Magazine誌ラップ/ヒップホップ[日本]部門で1位を獲得するなど、高い評価を受けたMCによるニューアルバム。タイトル通り、基本的には前作「Logic」の続編的な作品で、前作同様、トラップの影響を強く受けたエレクトロのトラックに、メランコリックな要素たっぷりのラップが重なるスタイル。前作同様、歌モノの作品が多く、ちょっと不気味なジャケットと裏腹に、いい意味で聴きやすさを感じる作品でした。

評価:★★★★

LEX 過去の作品
LOGIC

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