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2024年8月30日 (金)

今度のテーマはフォーク!

Title:町あかりのニューフォーク
Musician:町あかり

女性シンガーソングライター、町あかりの最新作は全4曲+うち1曲の別バージョン1曲、及び同曲のカラオケバージョン全10曲が収録されたEP盤。今年は「町あかりの歌謡曲春夏秋冬2024」というプロジェクトを立ち上げたそうで、春夏秋冬それぞれ別のテーマのEP盤をリリースする予定だとか。既に「春」バージョンとしてディスコをテーマとしたEP「地球出禁にしていいよ」がリリースされ、当サイトでも紹介されましたが、本作はその第2弾。タイトル通り、フォークをテーマとしたEP盤となります。

フォークといっても、60年代や70年代のいわゆる四畳半フォークとった感じではなく、楽曲的にはむしろ80年代以降のニューミュージックや、あるいは歌謡曲的な雰囲気を強く残すタイプの楽曲となっており、彼女の歌謡曲からの影響の強さを感じさせます。もっとも、EPのテーマとして「町あかりの歌謡曲」ですから、60年代フォークよりも歌謡曲の色合いが強いのは、あえての狙いなのかもしれませんが。

町あかりの曲と言えば、いかにも昔ながらの歌謡曲風の楽曲とは相反するような、今時の事象をうまく取り入れたユニークな視点の歌詞が特徴的で、今回の作品に関しても、1曲目「せいぜい星1つか2つ」はWeb上でよくありがちなAmazonなどのレビューコメントに付された星の数を曲に取り込んでいますし、「目立った傷や汚れなし」も楽曲のテーマ的には巣立っていく子供を見送る親をテーマとしつつ、そこにメルカリの評価的なコメントを加えています。

ただやはり気になるのが、いままでの彼女の楽曲でもよくあったのですが、せっかくインパクトある歌詞があったも、ワンアイディアのみで最後まで終わらせてしまって、いまひとつ歌詞の展開に面白さがない曲が少なくないのが残念なところで、本作でいうと、「せいぜい星1つか2つ」がそれ。インパクトある表題曲なのですが、「あいつは星5つ/僕はせいぜい星1つか2つ」という歌詞と「小さな地球でレビューされただけさ/広い宇宙い 僕の星がきっとある」の2つのフレーズが繰り返されるのみで、歌詞の展開としては物足りなさを感じてしまいます。

それでも本作では「100均にあるかもしれない」は、新しい街に来た時の期待が徐々にさみしさと孤独感に変っていく状況を、「100均」をキーワードに展開させていく歌詞は聴かせるものがあり、しっかりと彼女の作詞家としての実力も感じることが出来ました。

そんな訳で、「町あかりの歌謡曲春夏秋冬2024」の第2弾である本作。秋には第3弾、冬には第4弾のリリースが予定されているのでしょうが、今度のテーマは何になるのでしょうか?またユニークなアイディアあふれる歌詞で聴かせてくれそう。楽しみです。

評価:★★★★

町あかり 過去の作品
ア、町あかり
あかりの恩返し
EXPO町あかり
収穫祭!(町あかり&池尻ジャンクション)
あかりおねえさんの ニコニコへんなうた
それゆけ!電撃流行歌
別冊!電撃流行歌
総天然色痛快音楽
地球出禁にしていいよ~ディスコあかり~

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