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2024年7月 2日 (火)

あの「千と千尋」がモチーフの曲も話題に

Title:HIT ME HARD AND SOFT
Musician:Billie Eilish

ご存じデビューアルバム「WHEN WE ALL FALL ASLEEP,WHERE DO WE GO?」が大注目となり、グラミー賞も総なめ。一躍、スターの仲間入りとなったビリー・アイリッシュ。約3年ぶり、3作目となる待望のニューアルバムがリリースされました。衝撃的だったデビューアルバムから早5年。前々作、前作は世界各地でチャート1位という状況で、本作も・・・と思いきや、今回は残念ながらアメリカビルボードチャートは2位止まり。1位を拒んだのは誰だ?と思ったら、テイラー・スウィフトのようです。うん、まあ、しょうがないね。

そんな中、日本人にとっては間違いなく注目したいのは、本作にも収録されている「CHIHIRO」でしょう。ここで言う「CHIHIRO」とは、スタジオジブリ映画「千と千尋の神隠し」の「千尋」のこと。MVも本人が監督しており、中には「千と千尋の神隠し」をモチーフにした部分もあるということで話題となっています。

わかりやすいシーンを取り入れた訳じゃないようなので、ちょっと見ただけだと、どこの部分をモチーフにしたのかわからないのですが・・・。ただ、歌詞の一節

Saw your seat at the counter
When I looked away
Saw you turned around
But it wasn't your face

(訳 カウンターに座るあなたを見た。
私が目を離した時、振り向いた君の顔は
いつもの顔とは違っていた)

は、あきらかに映画冒頭の、千尋の両親が豚に変わるシーンをモチーフにしているのでしょうね。先日のKacey Musgravesも宮崎アニメに影響を受けた歌詞がありましたが、宮崎駿監督の全世界への影響力の強さをあらためて感じます。

さて、そんな日本人にとってもなじみのありそうな3作目。前作は1作目と比べて、グッとポップにまとまっていましたが、3作目となる本作は前作以上によりポップにまとまった作品になっていました。前述の「CHIHIRO」もリズミカルな打ち込みのリズムと、メランコリックでドリーミーな歌がポップにまとまっていて耳に残りますし、アルバム冒頭を飾る「SKINNY」も、ファルセットで美しく聴かせる歌声が、まずは耳を惹きつけらえるインパクトある楽曲に。さらにそこから2曲目の「LUNCH」では軽快なビートとギターを入れた、グッとロック寄りとなったナンバーにシフト。彼女の楽曲の幅の広さを感じさせます。

さらに中盤「WILDFLOWER」「THE GREATEST」はアコギでしんみりと聴かせるフォーキーなナンバーに。こちらも前半の曲とはまたちがった作風になっていますが、静かにしんみり聴かせる歌はメロディアスでインパクトも十分。かと思えば、後半「THE DINER」はダウナーなエレクトロチューンに。「BITTERSUITE」も気だるく聴かせるムーディーなエレクトロポップとこれまた新たな展開に。そしてラスト「BLUE」はメランコリックな歌をゆっくりと聴かせる楽曲で、こちらも切なさを感じさせるメロが耳に残ります。

バラエティーに富んだ作風と展開が楽しく、またメロはポップでいい意味で聴きやすく、確かに世界中でヒットとなることも納得の傑作アルバム。前述の通り、1、2作目よりも、いい意味でさらに聴きやすさが増したように思います。ただ、残念ながら「千と千尋」をモチーフにした曲がありながらも、日本ではビルボード最高位15位と、かなり残念な結果に・・・。欧米ポップスが偉いわけじゃないけど、今の日本のミュージックシーンはちょっと閉鎖的すぎるよなぁ。洋楽だからと忌避しないで、是非とも聴いてほしい1枚です。

評価:★★★★★

Billie Eilish 過去の作品
When We All Fall Asleep, Where Do We Go?
Happier Than Ever

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