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2024年7月27日 (土)

海外進出を意識

Title:AG! Calling
Musician:新しい学校のリーダーズ

Agcalling

昨年前は紅白歌合戦の初出場。さらに今年は海外ツアーも実施。アメリカの音楽フェス「コーチェラ」に出演するなど、日本のみならず海外にもその活動の舞台を広げている新しい学校のリーダーズ。「オトナブルー」が大きな話題となりブレイクした後にリリースした2枚のアルバム「一時帰国」「マ人間」はいずれもミニアルバムやEP盤。純粋なオリジナルフルアルバムとしては2019年にリリースした「若気ガイタル」以来、実に5年ぶりとなるニューアルバムとなりました。

今回のアルバムで大きな特徴としてまず一つ目にあげられるのは「オトナブルー」の作曲を手掛けたyonkeyが、11曲中8曲に参加しているという点でしょう。「一時帰国」ではyonkeyをはじめ、複数の作曲家が参加していましたが、yonkeyが最も彼女たちのイメージとマッチしていたように感じました。今回のアルバムでも例えば「Hero Show」は、まさに「オトナブルー」を彷彿とさせるような懐かしさすら感じさせる歌謡曲風のナンバー。「Arigato」も同じく、歌謡曲的なメロが印象的なナンバーとなっており、ここらへんは彼女たちのオフィシャルイメージを形作った「オトナブルー」に続く路線と言えるかもしれません。

もうひとつ大きな特徴として、海外への本格的進出を志しているという点が大きいのでしょう。海外で売るという点を意識したような曲が目立つように思います。まず、実に日本的な曲が目立つという点。まずは「Toryanse」で、歌詞がまず日本の民謡を意識したようなものとなっていますし、和のサウンドを意識したような曲作りがされています。「Omakase」も同様で、こちらは笛の音や和太鼓を意識したようなビートで、いかにも和風な雰囲気を作り出しています。「焼き鳥寿司味噌ラーメン」や「カラオケ」といった日本をイメージしやすい単語が歌詞の中に散りばめられているのも、あえて日本的なイメージを作り出すための狙ったものでしょう。日本的な掛け声をそのまま用いた「Essa Hoisa」も同様でしょう。

また、海外で売るということを意識したという意味では、今どきを感じさせるサウンドが目立つのも大きな特徴でしょう。冒頭を飾る「Fly High」もまた、いかにも今どきなエレクトロチューンからスタート。さらに海外のクリエイターも今回多く起用しており、「Superhuman」ではロストプロフェッツやナイン・インチ・ネイルズと活動したこともあるマルチ楽器奏者のイラン・ルービンが参加。「Forever Sisters」はアメリカの音楽プロデューサー、マニー・マークが参加。メロディーラインこそ、歌謡曲の色を感じさせるものが多い反面、サウンドはかなりカラッとしたあか抜けた雰囲気を感じさせます。

個人的には、ちょっと最近の彼女たちの売り方には心配している部分もあり、正直、世間一般の知名度以上に大きく見せて売り出そうという部分も否定できず、紅白出場時も、若干「誰?」という空気も流れましたし、他にもいかにも「売り込んでいる」といった感が見え見えのプロモーションも目立ちます。それだけに、今後の行方に心配している部分もあるのですが、ただ一方、このアルバムに関しては、そんな周りの「売り方」にもしっかりマッチしているだけの勢いはしっかり感じさせてくれました。楽曲はもちろんのこと、この曲を元としたパフォーマンスも、一度是非見てみたい。これからの彼女たちの活躍にも注目したいところです。

評価:★★★★★

新しい学校のリーダーズ 過去の作品
一時帰国
マ人間


ほかに聴いたアルバム

Plastic Tree/Plastic Tree

デビューから30年以上が経過し、初のセルフタイトルとなる約4年ぶりのニューアルバム。分厚いギターサウンドにヴィジュアル系バンドらしい、耽美的でメランコリックなメロが重なる、いかにもPlastic Treeらしいアルバム。彼らが強い影響を受けたシューゲイザーの色合いはちょっと薄い感じがするのは、個人的にはちょっと残念な感もするのですが、ベテランバンドらしい、いい意味での安定感ある作品で、セルフタイトルらしい、これぞPlastic Treeといった感じのアルバムになっていました。

評価:★★★★

Plastic Tree 過去の作品
B面画報
ウツセミ
ゲシュタルト崩壊
ドナドナ
ALL TIME THE BEST
アンモナイト
インク
echo
剥離
doorAdore
続 B面画報
十色定理
(Re)quest -Best of Plastic Tree-

Life Is a D.A.N.C.E/the telephones

Lifeisdance

今年5月1日から10日まで10日連続新曲をリリースし、その直後にリリースされたのが、約1年8ヶ月ぶりとなるthe telephonesのニューアルバム。その前に配信シングルとしてリリースしていた曲を含む全19曲入りのアルバムとなっています。全編トランシーでリズミカルなダンスチューンの連続。これでもかというほどthe telephonesらしいダンスチューンが怒涛のように展開される構成になっています。正直、ちょっと一本調子な感も否めないのですが、その点を差し引いても、彼ららしい勢いのあるアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★

the telephones 過去の作品
DANCE FLOOR MONSTER
A.B.C.D.e.p.
Oh My Telephones!!! e.p.

We Love Telephones!!!
100% DISCO HITS! SUMMER PACK
Rock Kingdom
D.E.N.W.A.e.p.
Laugh,Cry,Sing...And Dance!!!
SUPER HIGH TENSION!!!
BEST HIT the telephones
Bye Bye Hello
NEW!
Come On!!!

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