人気ラッパーと人気プロデューサーのコラボ
Title:WE DON'T TRUST YOU
Musician:Future&Metro Boomin
Title:WE STILL DON'T TRUST YOU
Musician:Future&Metro Boomin
今やヒットシーンの中で代表的なジャンルとなったトラップの第一人者であるアメリカのラッパー、Futureと、数多くのラッパーと組んでヒット曲をリリースしてきたプロデューサー、Metro Boominがコラボを組んだアルバム。3月に「WE DON'T TRUST YOU」というアルバムをリリースしたかと思えば、4月にはその続編となる「WE STILL DON'T TRUST YOU」という、前作から呼応したユニークなタイトルのアルバムを2枚組というボリュームでリリースし話題となっています。
Futureはデビューから既に10年以上活躍し続ける中堅ラッパーで、毎作、ヒットを飛ばしていますが、今回のニューアルバムも2作とも難なくチャート1位を獲得。その人気のほどを見せつけています。それだけの人気を誇るラッパーなだけに今回のアルバムに関しても参加しているミュージシャンが超がつくほど豪華。「WE DON'T TRUST YOU」ではthe WeekndやTravis Scott、Kendrick Lamar、「WE STILL DON'T TRUST YOU」では同じくthe WeekndやJ. Cole、ASAP Rockyといった日本でもおなじみの有名ラッパーが名を連ねています。
その2作連続してリリースされた今回のアルバムですが、その両者の違いは明確。どちらもトラップらしいリズミカルな哀愁たっぷりのサウンドが流れるのですが、「WE DON'T TRUST YOU」は基本的にはラップのアルバム。一方、「WE STILL DON'T TRUST YOU」では歌モノがメインのアルバムとなっています。ただ、「WE DON'T~」でもラップとはいえ、歌心のあるメロディアスなフロウを聴かせてくれますし、「WE STILL~」でも比較的ダウナーで淡々とした歌も多いので、続けて聴いてひとつの作品と感じらえるような構成になっていました。
また、基本的にダウナーなメランコリックな作風の曲が続いており、全体として似たタイプの曲が多い印象も。そのような中で、「WE DON'T TRUST YOU」ではKendrick Lamarが参加している「Like That」のちょっと物悲しい感じの語るようなラップが印象的。Rick Rossが参加している「Everyday Hustle」のくすんだ雰囲気のラップとサウンドも耳を惹きます。一方、「WE STILL DON'T TRUST YOU」では、The Weekndが参加している「All to Myself」のメロウなソウルチューンが絶品。「Right 4 You」も、懐かしいBoyz Ⅱ Menの「End Of The Road」のワンフレーズが用いられているメロウなナンバーとなっています。
ある意味、目新しさや「これ」といった楽曲は正直ないのですが、良い意味で安心して聴けるアルバムだったと思います。似たようなタイプの曲が多いとはいえ、それなりにバリエーションも加え、「WE DON'T~」は1時間弱、「WE STILL~」は1時半弱、しっかりと聴き切れるボリュームになっていました。メロウでポップな要素も強いアルバムなので、HIP HOPリスナーだけではなく比較的幅広いリスナー層が楽しめそうな作品です。
評価:どちらも★★★★
ほかに聴いたアルバム
Lives Outgrown/Beth Gibbons
イギリスのロックバンド、Portisheadのボーカリストによる初のソロ作。基本的にはアコースティックなサウンド主体でメランコリックに、かつダウナーに聴かせる作風ですが、所々にヘヴィーなギターサウンドやバンドサウンドも加わり、ダイナミックさも感じる構成に。彼女の伸びやかな歌声も大きな魅力。全体的には落ち着いた雰囲気のアルバムですが、時折加わるダイナミックなサウンドにロックな要素も強く感じ、思わず聴き入ってしまうようなアルバムでした。
評価:★★★★★
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