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2024年7月

2024年7月14日 (日)

60年代ポップのいいとこ取り

Title:A Drema Is All We Know
Muscian:The Lemon Twigs

ブライアン・ダダリオとマイケル・ダダリオの兄弟による、アメリカのロックデゥオ、The Lemon Twigsの、ちょうど1年ぶりとなるニューアルバム。ここ最近、立て続けに優れたポップなアルバムをリリースし、注目度や評価があがっている彼ら。評価の高かった前作からわずか1年でリリースされた本作もまた、注目高まる彼らへの期待にしっかりと応えたアルバムに仕上がっていました。

まずアルバムの感想を一言で言ってしまえば、これでもかというほど心地よいキュートなギターポップの並ぶ作品となっています。今回のアルバムに関して、彼ら自身「マービー・ビーチ」なる造語で表現しています。こちら音楽的にリバプールとローレル・キャニオン(=カリフォルニアにある60年代から70年代にかけて、数多くのミュージシャンたちが住んでいた地域)と表現しており、要するに、60年代のマージー・ビートと、ビーチ・ボーイズやママス&パパスのような60年代のアメリカ西海岸のポップソングを融合させたような音楽ということを表現したのでしょう。

そんなリバプールのサウンドもローレル・キャニオンのサウンドも、非常にキュートなメロディーラインを聴かせてくれるポップスという共通項がありますが、今回のアルバムはそんな両者の楽曲の良いとこ取りをしたポップスが並ぶ作品になっています。まず1曲目「My Golden Years」の最初のギターのストロークから、思わずガッツポーズをしてしまうようなポップスリスナーも多いのではないでしょうか。ポップでちょっぴり切ないキュートなギタポの本作。まさに「マービー・ビーチ」ということを実感させられる本作。個人的にはどこかラーズや、80年代のギタポの要素も感じます。

「They Don't Know How To Fall In Place」もギターのエフェクトがいかにも60年代的ですし、途中に入るハーモニーも、60年代フォークの影響を色濃く感じるキュートでポップな作品。タイトルチューンの「A Dream Is All I Know」も、ちょっぴり切ないメロディーが心地よいポップソング。イントロにテルミンを入れていたり、隠し味的に入っているサイケな楽曲に深みを与えています。

ミディアムチューンでドゥーワップの要素を入れた「In The Eyes Of The Girl」は、マージービートというよりもアメリカの色合いの強いポップス。軽快なバンドサウンドで楽しさと切なさを同居させたような「How Can I Love Her More?」も、いかにも60年代的なポップスで、耳を惹きます。

絶妙なハーモニーが実に美しく、暖かいメロディーを聴かせてくれる「Ember Days」も魅力的ですし、マイナーコードでちょっと怪しい雰囲気を醸し出す「Peppermint Roses」も、こちらはマージービートの色合いの強いナンバーで耳を惹きます。そしてラストを飾るのは「Rock On(Over and over)」で、タイトル通り、ノイジーなギターサウンドも耳を惹くロックンロールのナンバー。こちら懐かしい60年代的な雰囲気満載で、アルバムは幕を下ろします。

まさに前述した通り、英米の60年代ポップスのいいとこどりしたような、これでもかというほどキュートでポップなアルバム。もっと言えば、うっすら80年代ギタポの影響も感じられ、そういう意味では今から昔に至るまでのポップソングをいいとこどりした感じもあり、そりゃあ、これだけの傑作が生みだされるような、といった印象も受けます。もちろん、それはネガティブな意味ではなく、昔の曲のいいとこどりしつつも、これだけの優れたポップソングにまとめあげているのは彼らの実力。申し分ない傑作アルバム、それも今年を代表する1枚と言ってもいい作品に仕上がっていました。

ただ、残念ながらチャートアクションはあまり芳しくなく、スコットランドチャートでベスト10入りしているものの、アメリカビルボードでは圏外。イギリスでもダウンロードチャートで24位にランクインしている程度に留まっており、ブレイクにはまだほど遠い状況となっています。ただ日本では、ビルボードチャートで82位にランクイン。こちらもチャート下位とはいえ、洋楽が苦戦している日本の状況を考えると、英米でブレイクしていない彼らがチャートインしてくることがある意味快挙で、それだけ日本での注目度の高さを伺えます。いわば「ビッグ・イン・ジャパン」的な立ち位置になるのでしょうか?でも、これだけ優れたポップソングを書くバンドなだけに、いずれ英米でも人気は高まるはず。日本での人気の高さに日本人の先見性の高さを誇りたいところ。これからの活躍に期待です。

評価:★★★★★

The Lemon Twigs 過去の作品
Songs For The General Public
EVERYTHING HARMONY


ほかに聴いたアルバム

Blue Electric Light/Lenny Kravitz

ちょっと久しぶり、約6年ぶりとなるレニー・クラビッツのニューアルバム。今回のアルバムも実に彼らしさを感じるアルバムで、ほどよくヘヴィーでノイジーなテンポのよいギターサウンドが心地よく、いかにも「ロック然」とした楽曲が並んでいます。ギターサウンドの中にほどよくエレクトロサウンドを取り入れている点も、楽曲にダイナミズムを増してほどよいインパクトに。目新しさはありませんが、レニー・クラビッツを聴いた、ロックを聴いたという満足感を覚えるアルバムになっていました。

評価:★★★★

Lenny Kravitz 過去の作品
Black and White America
Strut
Raise Vibration

66/Paul Weller

66歳の誕生日の前日にリリースされた、ポール・ウェラー兄貴のニューアルバム。四捨五入して70歳という年に達しても、まだまだ現役感あふれる活動で元気いっぱいの兄貴。ただ、楽曲の円熟味は以前に増しているような感もあります。今回もムーディーな雰囲気の、いかにも「大人のロック」といった雰囲気の曲が並ぶアルバムに。卒はない、といった印象もありますが、完成度も高く、大ベテランの彼らしいアルバムに仕上がっていました。最近は70歳を過ぎても元気いっぱいなロックシンガーも少なくありませんが、彼もまだまだ元気にその活動を続けてくれそうです。

評価:★★★★

Paul Weller 過去の作品
22 DREAMS
Wake Up The Nation
Sonik Kicks
A Kind Revolution
True Meanings
In Anohter Room
Fat Pop
An Orchestrated Songbook

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2024年7月13日 (土)

スキマスイッチのポップミュージシャンとしての実力を改めて認識

Title:SUKIMASWITCH 20th Anniversary Tribute Album「みんなのスキマスイッチ」

2023年にデビュー20周年を迎えたスキマスイッチ。昨年には20周年記念のベスト盤をリリースしましたが、その20周年イヤーの最後に、初となるトリビュートアルバムがリリースされました。彼女自身、スキマスイッチからの影響を公言しているUruや、Aimerといった若手のミュージシャンから、いきものがかり、HYといったベテラン、さらには徳永英明のような大御所(?)まで、主にポップ系のミュージシャンを中心に様々なミュージシャンが参加。まさにタイトル通り、みんなに愛される「みんなのスキマスイッチ」を体現化するかのような構成となっています。

その中で、まずは耳を惹くのがアルバムの冒頭を飾るUruの「奏」。この曲を選曲した段階で勝ちは決まっているようなものなのですが、ちょっとかすれた感のあるボーカルが切なさを醸し出しており、曲との相性もバッチリ。もともとカバーには定評のある彼女ですが、聴きごたえのあるカバーに仕上がっています。

続くHY「ふれて未来を」も良カバー。沖縄民謡風のリズムを取り入れたカバーで、完全に彼らのフィールドに引き寄せています。SHISHAMOの「全力少年」も完全にSHISHAMOらしいギターロックの作品にまとめており、サビに向かって盛り上がる曲調がギターロックのアレンジともマッチしています。

ピアノとホーンセッションを入れて陽気にまとめているsumikaの「ガラナ」も完全に彼らの色に染め上げたカバーに。こういうアレンジが「ガラナ」に似合うというのもちょっと意外な感もあります。予想外の出来だったのが星街すいせいの「ゴールデンタイムラバー」で、VTuberによるカバー。正直、全く期待していなかったのですが、ちょっとドスを利かせたような力強いボーカルが、曲にマッチしている良カバーに仕上がっています。そして最後のtonun「デザイナーズマンション」も今風のメロウなシティポップ風のカバー。心地よいちょっとムーディーな雰囲気でアルバムは幕を下ろします。

今回のトリビュートアルバムであらためて感じたのは、スキマスイッチというミュージシャンは非常に優れたポップミュージシャンなんだな、という事実でした。楽曲はいい意味で非常に王道なポップソング。そのため、どんなタイプのミュージシャンでも卒なくカバーがこなすことができますし、メロディーラインの強度が非常に強いがために、どのようなタイプの楽曲にも染まりやすい感じがします。

そのため、基本的にどの楽曲についても、それぞれのミュージシャンの色が出ていてよく出来たカバーに仕上がっていたように思います。ネガティブな言い方をしてしまうと「卒がない」という印象を受けるのですが、卒なくカバーできてしまうあたりはやはりスキマスイッチの楽曲がよく出来たポップスである所以でしょう。個人的には参加しているミュージシャンたちは予想できてしまうポップフィールドのミュージシャンたちばかりだったので、もうちょっと意外なミュージシャンが参加していたり、ポップスがゆえにカバーの出来も予想できてしまうため、もっと楽曲をガラッと解体してしまうような奇抜なカバーを期待したいところだったのですが、その点はちょっと残念。ただ、そこらへんはあくまでも私の願望なので、それを差し引いても、スキマスイッチのファンも、参加ミュージシャンのファンも文句なしに楽しめるトリビュートアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

ARCHAIC SMILE/中田裕二

中田裕二約1年ぶりのニューアルバム。タイトルの「ARCHAIC SMILE」とは、もともと古代ギリシアのアルカイク美術の彫像に見られる表情で、日本の仏像でもよく見られる、慈悲深い優しいほほえみを指します。基本的にはいままでの彼の作品と同様、歌謡曲にも通じるような哀愁感たっぷりのメロディーラインで優しく歌い上げるスタイル。まさに「ARCHAIC SMILE」というタイトルにもピッタリくるような優しさを感じさせるアルバムになっていました。

評価:★★★★

中田裕二 過去の作品
ecole de romantisme
SONG COMPOSITE
BACK TO MELLOW
LIBERTY
thickness
NOBODY KNOWS
Sanctuary
DOUBLE STANDARD
PORTAS
TWILIGHT WANDERERS -BEST OF YUJI NAKADA 2011-2020 -
LITTLE CHANGES
MOONAGE

((ika))/Tempalay

フジロック出演などでも話題となった、最近人気上昇中のスリーピースロックバンド。シティポップ風のメランコリックなメロディーラインに、サイケな要素も詰め込んだサウンドをのせるスタイルがユニーク。ゴスペルやらギターロックやら歌謡曲やらHIP HOPやら、果てはソーラン節まで、様々な音楽性を詰め込んだ作風が非常にユニークに感じる一方、全体的にはちょっと詰め込みすぎといった印象も同時に受けてしまいます。注目の実力派バンドであることは間違いないとは思うのですが。

評価:★★★★

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2024年7月12日 (金)

ただただそのボーカルのすごみに立ち尽くしてしまいました。

Title:浅川マキ ゴールデン☆ベスト
Musician:浅川マキ

「アンダーグラウンドの女王」と呼ばれ、目立ったヒット曲こそないものの、一部では熱烈な支持を集めているシンガー、浅川マキ。2010年に67歳という若さでこの世を去ってから早14年。日本のみならず海外でも評価が高いようで、2015年にはイギリスでベスト盤もリリースされたようです。

ただし、今回紹介するのはレコード会社各社共同の廉価版ベスト企画「ゴールデン☆ベスト」の一環としてリリースされたベストアルバム。正直、この手の企画に似つかわしいかどうかかなり微妙な感もあります。しかし、実際に聴いてみるとそんな懸念は一掃されます。まさに「情念」とでも言うべき彼女のそのスモーキーでムーディー、感情たっぷりの歌声に心揺さぶられるベストアルバムとなっていました。

彼女の楽曲は、基本的にフォークやブルースの影響を強く感じさせる楽曲。そこにジャズやロック、さらには歌謡曲的な要素も強く感じます。いわゆるムード歌謡曲的な「日本のブルース」とも少々異なるのですが、かといってアメリカのブルースをそのままカバーしているのとも異なる、「和製ブルース」という表現が一番ピッタリくるかもしれません。

ただ、なによりそんな楽曲の中で際立っているのが彼女のボーカル。上にも書いた通り、その独特のボーカルには聴いていてゾクゾクさせられます。このベスト盤の冒頭を飾るのが「夜が明けたら」というメジャーデビュー作。感情こもった低音のボーカルも魅力的なのですが、なによりも曲の中での息づかいや間の取り方が実に絶妙。力強くも色っぽく、聴いていて一気に耳を惹かれます。事実上のデビュー作からこの完成度というのは、本当に驚かされます。

「赤い橋」もかなり印象に残る1曲。アコギアルペジオでフォーキーな作風で、非常に不気味さを感じさせる曲が特徴的なのですが、それを軽くビバーブをかけたボーカルで歌われると、幻想的で不気味な雰囲気が増幅されて非常に心に響いてきます。また、「朝日楼(朝日のあたる家)」も特筆すべき作品。ボブ・ディランやアニマルズのカバーでも知られるアメリカのフォークソングなのですが、娼婦に身を落とした女性の怨念を、これでもかというほど表現したボーカルで、これほど浅川マキの歌手としての方向性とマッチした曲はないのではないでしょうか。基本的にアコギ1本のシンプルなカバーなのですが、彼女のボーカルのすごみを嫌というほど感じさせるカバーに仕上がっています。

「ブルー・スピリット・ブルース」もそのボーカルが耳を惹きます。こちらもアメリカの楽曲のカバーなのですが、彼女にかかると、非常に女性の怨念を感じるくすんだ雰囲気の楽曲へと変貌を遂げます。女性の心情を力強く感情たっぷりに歌い上げるそのスタイルは、間違いなく心に響いてきます。「それはスポットライトではない」は、郷愁感あふれるナンバー。楽曲的には70年代フォークの色合いが強いのですが、彼女の力強いボーカルによって、しっかりと浅川マキの世界観を作り上げています。

女性の怨念、情熱、感情をこれでもかというほど込めたボーカルは、聴いていて思わず立ち尽くしてしまうようなすごみがあります。正直、ボーカリストとしての表現力という観点だけで言えば、間違いなく歴史的にも日本屈指のボーカリストであることは間違いないと思います。今回のアルバムも、聴き始めると、いわゆる「ながら聴き」が出来なくなり、彼女のボーカルにただただ聴き入るだけ、という状況になってしまいました。以前、一度ベスト盤は聴いたことはあったものの、あらためて浅川マキというボーカリストのすごさを実感できたベストアルバム。このベスト盤に限らなくてもいいのですが、一度は是非、彼女のボーカルにふれてほしい、そう強く感じます。

評価:★★★★★

浅川マキ 過去の作品
Long Good-bye


ほかに聴いたアルバム

SEX MACHINEGUNES ゴールデン☆ベスト/SEX MACHINEGUNS

各レコード会社共通の廉価版ベストシリーズ、ゴールデン☆ベストの、こちらはSEX MACHINEGUNS版。2008年まで所属した東芝EMI時代の曲を収録した作品で、要するに、彼らが今よりも人気のあった時期の作品を収録したベスト盤。代表曲は過不足なく収録されており、1枚のアルバムで収められていることから、入門盤としても最適な1枚。何度も聴いた代表曲ばかりですが、本格的なヘヴィーメタルなサウンドとコミカルな歌詞のギャップがおもしろく、何度聴いても思わずクスっと笑ってしまう部分も。一時期に比べると、すっかり人気の面で落ち込んでしまった彼らですが、昨年、はじめて足を運んだライブを見る限り、バンドとしての実力は全く衰えていません。今からでも遅くないので、マシンガンズ未経験者は是非ともチェックしてほしい1枚です。

評価:★★★★★

SEX MACHINEGUNS 過去の作品
キャメロン
SMG
LOVE GAMES
METAL MONSTER
マシンガンズにしやがれ!!
IRON SOUL
地獄の暴走列車

eyes/おいしくるメロンパン

3ピースバンド、おいしくるメロンパンの約1年ぶりの新作は5曲入りのミニアルバム。ポップ志向が強く、ヒットポテンシャルもあるメランコリックで爽やかなメロディーラインと、意外と骨太で分厚いバンドサウンドの対比が今回もユニーク。かなりロックなバンドサウンドには耳を惹かれます。ただ、ミニアルバムばかりでこれで8枚目。そろそろフルアルバムを聴きたいのですが。

評価:★★★★

おいしくるメロンパン 過去の作品
indoor
hameln
flask
theory
cubism
answer

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2024年7月11日 (木)

こちらも韓国勢が2枚ランクイン

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

上位は男性アイドル勢が並んでいます。

まず1位初登場は韓国の男性アイドルグループRIIZE「RIIZING」が獲得。CD販売数1位。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上6万枚で1位初登場。前作「Get A Guitar」の初動1万1千枚(12位)からアップしています。

2位初登場は黒崎蘭丸(鈴木達央) 「うたの☆プリンスさまっ♪ソロベストアルバム 黒崎蘭丸 MUSIC FOR LIFE」。女性向け恋愛ゲーム「うたの☆プリンスさまっ♪」に登場するキャラクターによるベストアルバム。CD販売数2位。オリコンでは初動売上1万8千枚で2位初登場。

3位はWayV「Give Me That」が先週の16位からランクアップし、2週目にしてベスト10入り。韓国の男性アイドルグループNCTより、中国系メンバーを集めたサブグループ。オリコンでは6月17日付チャートで2千枚を売り上げて22位に初登場し、今週、5週目にして8千枚をうりあげて5位にランクインしています。ちなみに前作「On My Youth」はこちらもランクイン3週目にして1万7千枚を売り上げて、同じく5位にランクインし、ベスト10に初登場しています。

続いて4位以下の初登場盤。4位に倉木麻衣「forever for YOU」が初登場。アニメ「名探偵コナン」主題歌を中心に収録した6曲入りのEP盤。5位は菅田将暉「SPIN」がランクイン。3枚目のアルバムとなります。6位はLDH所属の女性アイドルグループLucky2「こくご・さんすう・りか・恋愛」が初登場でランクイン。新曲3曲+同作のインスト版という、事実上のシングルを無理やりアルバム扱いしたもの。最後9位には、声優堀江由衣「文学少女の歌集III -文学少女と夜明けのバス停-」が初登場でランクインしています。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

今週のHeatseeekersは男性シンガーソングライター808「You」が2週ぶりの1位返り咲き。4週目の1位獲得となりました。


今週のTikTok Weekly

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=tiktok

今週の1位もKOMOREBI「Giri Giri」が1位を獲得。これで5週連続の1位。ちなみに先週Heatseekersで1位を獲得したこっちのけんと「はいよろこんで」が2位にランクアップしており、こちらの動向も気になります。「はいよろこんで」は今週、動画再生回数で1位を獲得。総合チャートでも19位にランクインしています。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

VOCALOIS SONGSですが、今週もニコニコ動画がサーバー攻撃のため休止中の影響のため、ランキングは発表されていません。ちなみにサツキ「メズマライザー」は動画再生回数が8位から14位にダウンしています。

今週のHot Albums&各種チャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2024年7月10日 (水)

日韓アイドルのコラボが1位獲得

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週1位を獲得したのは日韓の男性アイドルグループのコラボ作です。

Befirstattz

1位初登場は日本の男性アイドルグループBE:FIRSTと、韓国の男性アイドルグループATEEZとのコラボ作、BE:FIRST×ATEEZ名義による「Hush-Hush」が獲得です。配信限定シングルで、ダウンロード数、ラジオオンエア数及び動画再生回数で1位獲得。ストリーミング数で12位、総合順位で1位獲得となりました。

一方、2位も韓国の男性アイドルグループTOMORROW×TOGETHER「ひとつの誓い (We'll Never Change)」が獲得。CD販売数1位、ダウンロード数7位。オリコン週間シングルランキングでも同作を収録した「誓い(CHIKAI)」が初動売上35万8千枚で1位を獲得。前作「Good Boy Gone Bad」の初動36万7千枚(2位)から若干のダウンとなっています。

そして3位はCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」が先週と同順位をキープ。ストリーミング数は3週連続の2位、動画再生回数は1位から2位に再びダウン。ダウンロード数は5位から9位までダウン。これで25週連続のベスト10ヒット、通算23週目のベスト3ヒットとなりましたが、全体的に勢いは下降気味です。

次に4位以下の初登場曲ですが、まず6位に韓国の女性アイドルグループaespa「Hot Mess」が初登場でランクイン。CD販売数3位、その他は圏外。オリコンでは初動売上6万1千枚で2位初登場。本作がCD形態では初のシングルとなります。

10位初登場はYOASOBI「UNDEAD」。ダウンロード数2位、ストリーミング数17位、ラジオオンエア数15位。西尾維新によるライトノベルシリーズを元としたアニメ「〈物語〉シリーズ オフ&モンスターシーズン」主題歌。ストリーミング数含む、初動順位は低めですが、今後、上位に食い込んでくるのでしょうか。

また今週、ベスト10への返り咲き曲としてMY FIRST STORY×HYDE「夢幻」が先週の11位から8位にランクアップ。4週ぶりの1位返り咲きとなっています。特にストリーミング数が14位から6位に大きく増加。7月3日にフジテレビ系「2024FNS歌謡祭 夏」への出演の影響でしょうか。テレビアニメ「鬼滅の刃」柱稽古編という好タイアップがついていながら、売上は今一つな感は否めないのですが、これを機に、上位に食い込んでくるのでしょうか。

Omoinotake「幾億光年」は6位から7位にダウン。ストリーミング数は8週連続の3位。ただ動画再生回数が10位から12位にダウン。ダウンロード数も20位までダウンしており、全体的な勢いには欠ける感も。これで21週連続のベスト10ヒットとなりました。

さらに今週、tuki.「晩餐歌」は9位から11位にダウン。ベスト10ヒットは通算30週でストップ。ロングヒット曲は全体的に勢いがなく、次のヒット作が待たれます。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&各種チャート!

一方、ロングヒット曲は、まずMrs.GREEN APPLE「ライラック」は5位から4位にアップ。ストリーミング数は3週連続の1位。また動画再生回数が9位から4位と一気にアップしています。これで12週連続のベスト10ヒットも。ちなみに先週まで2曲同時にランクインしていた「コロンブス」は今週12位にダウンしています。

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2024年7月 9日 (火)

世界的に「バズった」SSWのデビュー作

Title:凡才
Musician:imase

デビューアルバムである本作がHot Albumsでいきなり2位にランクイン。一気にブレイクを果たした男性シンガーソングライター。ただ、もちろん本作でいきなり出てきたシンガーではなく、もともと2022年にリリースされた「NIGHT DANCER」がTikTokを中心に話題となりヒットを記録。特に日本以上に海外で話題となり、韓国では最高位14位という日本以上のヒットを記録(日本では最高位38位)。むしろ東アジアや東南アジア方面で高い評判を得て話題となりました。

特に韓国ではK-POPのアイドルが、「NIGHT DANCER」を使用した「踊ってみた」動画が話題となり、ヒットの要因となったようです。それだけに、いかにも今時のTikTokで流行りそうなシンガーソングライター、といったイメージで構えて聴いてみたのですが・・・これが思ったよりもよく出来たポップスアルバムに仕上がっていたから驚きです。

この話題となった「NIGHT DANCER」もタイトル通り、リズミカルなダンスチューンなのですが、リズミカルなエレクトロビートをバックにメランコリックに聴かせる曲調は、ちょっと気だるさもあり、シティポップ風にまとめあげているダンスチューン。それに続く「Nagisa」は、今度は同じダンスチューンながらもホーンセッションやストリングスも入れた爽やかで鮮やかな曲調が特徴的な明るく楽しいポップチューン。かと思えば「でもね、たまには」ではファルセットボーカルにラップも入ったHIP HOP風のポップス。

他にも「ヒロイン」はちょっとジャズ風なサウンドにバンドサウンドを取り入れたポップスに仕上げていますし、「Shine Out」は完全にエレクトロ風なダンスチューン。最後を締めくくるデビューシングル「Have a nice day」はファルセットも入った爽やかでメランコリックなピアノポップ風にまとめています。

かなりバリエーションの富んだ曲調で、ほどよくソウル風、ジャズ風、ロック風な要素を取り入れて、全体的にはシティポップ風に聴かせる曲調が特徴的。あえて言えば、藤井風をもうちょっとポップにした感じといったところでしょうか。意外とバラエティー富んだ作風を楽しめる素直なポップスになっており、変に売りや今時を狙ったようなあざとさもありませんし、最近、よくありがちなとにかくマイナーコードのメランコリックな曲調を聴かせるようなメロディーラインもありません。

さらに驚きなのが彼、もともと2021年に「音楽経験0の素人がオリジナル曲を作ってみた」という動画投稿からその活動をスタートさせたようで、音楽活動を開始してから、まだわずか3年という経験しかないそうです。ただ、才能があれば、音楽経験が全くなくても、いきなり「名曲」を作れてしまうところが、大衆音楽のおもしろいところであり、怖いところであったりもします。音楽経験がほとんどない素人が、わずか3年でこれだけの曲を作れてしまうあたりが、かなりセンスの良さを感じました。

ただ一方で、やはり経験不足がマイナスに感じる部分もあり、それがさきほどから彼の音楽に対して「~~風」という表現をあえて使っている点。やはり聴いていて、あくまでも様々な音楽的な要素は「~~風」のような、風味を感じるだけであって、深い音楽的な素養という点では底の浅さは正直感じてしまいます。ここらへんは、良く出来たアルバムとはいえ彼のアキレス腱でもあり、このアルバムを傑作として大絶賛するにはちょっと躊躇してしまう、大きな要素だったりします。

もっとも、この「音楽的素養」なんてものは、いくらでも後付けで身に着けられるもの。まだ、デビューから3年という経験しかない彼ですが、今後、経験を積むことによって、どんどん音楽性は深化していく可能性も感じます。そういう意味では、まだまだ未熟さも感じるものの、末恐ろしい感じもするミュージシャン。音楽的なセンスは間違いなくあるだけに、これからのさらなる成長を期待したい、そう強く感じられるアルバムでした。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

アンジェラ・アキ sings「この世界の片隅に」/アンジェラ・アキ

2006年にリリースされたデビューアルバム「Home」が大ヒットを記録し、一躍人気ミュージシャンとなったシンガーソングライターのアンジェラ・アキ。紅白に6年連続出演するなど人気を博したものの、2014年にアメリカの音楽大学へ留学するために活動を休止しました。ただ、それから10年、久々の活動を再開。約12年ぶりとなるオリジナルアルバムが本作。ミュージカル「この世界の片隅に」に提供した曲を自ら歌ったアルバムとなります。

基本的にピアノの弾き語りでしんみりと聴かせるスタイル。太鼓を取り入れた曲があったり、ミュージカル俳優の海宝直人が参加した曲があったりと、ミュージカルでの使用を感じさせる曲もあったものの、ゆっくり力強いボーカルで歌い上げるスタイルは、かつてのアンジェラ・アキそのまま。いい意味で変わっていない彼女の姿を感じます。音楽大学の経験は、このアルバムを聴く限りだとあまり反映されていないのですが、ミュージカルへの楽曲提供など、今後は幅を広げて精力的に活動してくれそう。今後の彼女の活躍にも期待したいところです。

評価:★★★★

アンジェラ・アキ 過去の作品
ANSWER
LIFE
WHITE
SONGBOOK
BLUE
TAPESTRY OF SONGS-THE BEST OF ANGELA AKI

DON'T THINK,POP!!/及川光博

俳優としても精力的に活動を続けつつも、本業ミュージシャンとしてコンスタントにライブ活動と新作リリースを続けるミッチー。2年ぶりとなる新作は、よくモチーフとして取り上げられるブルース・リーの名セリフを元としたタイトルですが、タイトル通り、ミッチーらしいポップな曲が並ぶ作品。ただ、冒頭のタイトルチューン「DON'T THINK,POP!!」はGファンクを取り入れたようなかなりカッコいいファンクチューンになっており、続く「Amazing Love」も同じくファンキーにカッコよく聴かせてくれます。後半は、ちょっと平凡なJ-POP路線になってしまって尻つぼみ的な感じも否めませんが、全体的にはタイトル通り、考えるよりもポップなメロを楽しませてくれる楽曲に仕上がっています。久しぶりにライブにも行きたいなぁ。

評価:★★★★

及川光博 過去の作品
RAINBOW-MAN
美しき僕らの世界
喝采
銀河伝説
ファンタスティック城の怪人
さらば!!青春のファンタスティックス
男心DANCIN'
20 -TWENTY-
パンチドランク・ラヴ
FUNK A LA MODE
BEAT&ROSES
BE MY ONE
XXV
気まぐれサーカス

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2024年7月 8日 (月)

70年代ソウルを今に継承

Title:Ten Fold
Musician:Yaya Bey

Tenfoldyayabey

アメリカはニューヨーク、ブルックリン出身のシンガーソングライターでマルチアーティストとしても活躍するYaya Beyの約2年ぶりとなるニューアルバム。非常に高い評価を受けた前作「Remember Your North Star」ではじめて彼女のアルバムを聴き、そのオーガニックでメロウな作風に強く惹かれたのですが、今回のアルバムもまた、ムーディーでメロウなネオ・ソウルの楽曲に強く惹かれる傑作アルバムに仕上がっていました。

まず1曲目「crying through my teeth」のスタートから、思わず心の中でガッツポーズを取るソウルリスナーも多いのではないでしょうか。いきなりグルーヴィーなドラムとベースラインに彼女のファルセットボーカルからスタート。スモーキーでメロウな出だしは、まさにネオ・ソウルらしい作風。ハイトーンボーカルで包み込むように聴かせる彼女のボーカルに、まずは強く惹かれること間違いなしでしょう。

その後も軽快なリズムでダンサナブルな「sir princess bad bitch」や、ループするトラックが狂おしいほどメロウで美しい「chasing the bus」、グルーヴィーなドラムとベースとムーディーなボーカルの絡みが美しい「me and all my niggas」、ギターの音色がメロウに彩りを添える「career day」、ファンキーなギターにも耳がいく「carl thomas sliding down the wall」など、聴きどころたっぷりのネオ・ソウルの曲が続いていきます。全体的に、ドラムやベースラインなど重低音を重視したサウンドは、比較的音数も少なくシンプルにグルーヴ感を醸し出しており、そのサウンドに下支えされた、ファルセットを入れつつもメロウで、かつ力強さも感じるYaya Beyのボーカルも実に魅力的な作品に仕上がっています。

ダニー・ハザウェイなどを引き合いに出されることの多い彼女は、基本的に70年代あたりのソウルを継承しているスタイルが耳を惹くのですが、一方ではしっかりと今時のサウンドにもアップデートされており、基本的には「east coast mami」に代表されるような重低音を強調したサウンドメイキングは今風なサウンド。「all around los angeles」のように、リズムからラテンの影響を感じさせる軽快な曲もありますし、「so fantastic」では2022年に亡くなったラッパー、Grand Daddy I.U.も参加(なんと彼女の父親らしいです!)し、HIP HOPの要素も強い作品となっています。

このように適度に今風のサウンドにアップデートし、様々な曲調を取り入れつつも、ソウルミュージックをしっかりと継承し、そのボーカルを聴かせるという、ある意味、非常に理想的とも言える傑作アルバム。優しさと力強さを同居させる彼女のボーカルも実に魅力的で、ソウルミュージックが好きなら、是非とも聴いてほしいアルバムだと思います。今年を代表する傑作アルバムの1枚と言ってもいいかもしれません。そのグルーヴィーでメロウな楽曲に強く惹かれる作品でした。

評価:★★★★★

Yaya Bey 過去の作品
Remember Your North Star


ほかに聴いたアルバム

Almighty So 2/Chief Keef

Almightyso2

シカゴ・ドリルの代表的なラッパー、Chief Keefのニューアルバム。UKガラージや、ハウス系ミュージックにHIP HOPの要素を取り入れたグライムのサウンドを取り入れつつ、不穏な雰囲気で聴かせるトラックが特徴的だそうで、実際、全編、リズミカルなビートに不穏な雰囲気のサウンドやラップがのるスタイル。ダークな雰囲気が耳に残る1枚でした。

評価:★★★★

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2024年7月 7日 (日)

ダンサナブルな曲が目立つ

Title:ディスコの卵
Musician:ゲスの極み乙女

Disco_gesu

途中、ベスト盤のリリースも挟みつつ、オリジナルアルバムとしては約4年ぶりとちょっと久々となったゲスの極み乙女のニューアルバム。例の川谷絵音の騒動から、かなりの月日も経たため、良くも悪くもゲスとしての注目度も落ち着いた感もありますが、川谷絵音のワーカホリックぶりは相変わらず。ゲス以外にもindigoやジェニーハイ、さらには他にもいくつかのバンドの掛け持ちを続けており、その精力的な活動ぶりが目を見張ります。

ただ、このワーカホリックぶりの中で驚くべきことは、楽曲としてのクオリティーが全く落ちていないという点。バンドなどを掛け持ちしてワーカホリックな活動を行うミュージシャンは他にもいますが、ほぼ例外なく、やはり作品が乱発気味となり、全体のクオリティーが落ちてしまいます。

しかし、今回の新作を聴く限りだと、川谷絵音の楽曲のクオリティーは落ちるどころか、むしろ脂に乗っている感すら今回のアルバムでは感じることが出来ます。全14曲長さ48分の今回のアルバムは、2~4分という比較的短めな曲が並ぶ作品になっているのですが、それだけに次から次へと展開されるバリエーションある作風がユニークな構成に仕上がっていました。

今回のアルバムで特に特徴的なのが、「ディスコの卵」というタイトル通り、リズミカルなダンスチューンが目立つ点でしょう。ちょっとメランコリックなディスコチューン「Funky Night」からスタートし、ミディアムテンポからスタートし、サビでハイテンポなディスコチューンへと展開する「ゴーストディスコ」、ファンキーなベースラインが入ってダンサナブルな「DJ卵」、女性ボーカルを入れてメランコリックに聴かせるダンスチューン「ドーパミン」などなど、全体的にはダンサナブルな曲が多く、アルバムの大きなインパクトとなっています。

他にもジャジーな要素を加えたダンスチューン「悪魔のおまけ」や、ラップを取り入れた「晩春」、indigo la Endを彷彿とさせるような哀愁感たっぷりのメロディーが印象的な「ハードモード」など、バラエティー富んだ音楽性は本作ももちろん健在。アルバムの中でちょっとユニークなのが「作業用ディスコ」「作業用ローファイ」なるナンバー。YouTubeなどで「作業用~」として、ながら聴きが出来るような音源が配信されていたりするのですが、おそらくそれに倣ったものでしょう。シンプルなインスト気味の、インターリュードを兼ねたような曲になっているのですが、比較的音を絞ったタイトなサウンドがなにげに耳を惹くような楽曲になっており、タイトルとは裏腹に、これらの曲にもしっかりと力が入っていることを感じさせます。

毎作、オリジナルアルバムでは傑作を聴かせてくれる彼らですが、本作も文句なしにそんな傑作に名前を連ねるようなアルバムに仕上がっていたと思います。むしろ、いままでのゲスのアルバムの中でも指折りの出来かもしれません。性格面はともかく、川谷絵音の才能にはあらためて、舌を巻かされます。ゲスの勢いはまだまだ止まりそうにありません。

評価:★★★★★

ゲスの極み乙女 過去の作品
踊れないなら、ゲスになってしまえよ
みんなノーマル
魅力がすごいよ
両成敗
達磨林檎
好きなら問わない
ストリーミング、CD、レコード

Gesu Sped Up


ほかに聴いたアルバム

カネコアヤノ Billboard Live ワンマンショー 2023 - 12.15 Billboard Live OSAKA/カネコアヤノ

Kaneko_billboard

昨年12月15日にギタリストの林宏敏と2人のみで実施したBillboard Live OSAKAでのライブの模様を収録したライブアルバム。ギターのみをバックとしたシンプルなサウンドの中、力強く歌い上げるカネコアヤノの歌声が大きな魅力。シンプルだからこそ、彼女の歌の良さを引き出しているライブアルバムとなっています。

評価:★★★★★

カネコアヤノ 過去の作品
燦々
燦々 ひとりでに
よすが
タオルケットは穏やかな
カネコアヤノ 単独演奏会 2022 秋 - 9.26 関内ホール
タオルケットは穏やかな ひとりでに
よすが ひとりでに

The Crown/MY FIRST STORY

マイファスのニューアルバムは、今年1年かけて毎年リリースされた配信シングルをまとめて収録した企画盤的なアルバム。加えて、TikTokを機に大ヒットを記録した「I'm a mess」のリミックス版も収録されています。これでもかというほどダイナミックなアレンジに、これまた過剰なまでメランコリックなメロは、全体的に過剰感がありつつ、マイファスらしい曲が並ぶ印象。「I'm a mess」もヒットしたのだからオリジナルバージョンを入れればよかったのに、とも思ったのですが、同曲がカップリングとして収録されたCDシングル「告白」も未収録ですので、次のオリジナルアルバムに取ってあるということでしょうか。毎月リリースされたシングルを並べただけなので、ちょっと統一感は乏しいのですが、一方で、シングル曲ばかりなのでマイファスらしさは強く感じられるアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★

MY FIRST STORY 過去の作品
ANTITHESE
V
X

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2024年7月 6日 (土)

初期鬼束ちひろ作品を網羅

Title:UN AMNESIAC GIRL ~First Code (2000 - 2003)~
Musician:鬼束ちひろ

鬼束ちひろの東芝EMI在籍時にリリースした「インソムニア」「This Armor」「Sugar High」の3枚のアルバムのリマスター版に、初期の貴重な音源を収録した「スペシャル・トラック集」を加えた4枚組のCD BOX。2000年に「月光」がドラマ「トリック」の主題歌となりスマッシュヒットを記録。一躍注目を集めた彼女の、最も勢いのあった時期をまとめたBOXセットとなります。

今回、収録されているアルバムについては、リアルタイムに聴いているのですが、その当時、旧サイトに書いた感想をこちらに再掲します。今、以上に拙い文章になるのですが、ご容赦ください・・・。



インソムニア

昨年は「月光」がロングヒットを記録して、今年は「眩暈」がこれまた大ヒットし、ヒットチャートの常連の「仲間入り」をした感の強い鬼束ちひろですが、このたびようやく1stアルバムが発売されました。私は最初正直彼女にはあまり興味がなかったのですが、何度か彼女の歌声を聴くうちに、その力強さみ魅せられていきました。
 ただ、その期待をもって聴いた1stアルバム、確かにいいアルバムなことはいいアルバムだったとは思うのですが、思ったほどじゃなかったなぁ、という印象を抱きました。最初から最後まで非常に力強い彼女の歌が聴け、どの曲もそれなりのインパクトもあり、メロディーラインもしっかりしていたのですが、どうも最後まで似たような曲が多かったと思います。結局、「月光」でイメージ付けさせられた彼女のイメージに沿った形でつくられてしまったため、かなり制約の多いつくりの内容になってしまったのではないでしょうか。アルバムというのは必ずしもシングルの延長とは限らない以上、もっと自由なアルバムをつくってもよかったのではないでしょうか。さらにもう一点、全体的にアレンジが安っぽい印象を受けました。確かに、彼女のようなタイプのミュージシャンは、彼女の「歌」が重要である以上、あまりアレンジの部分が突き抜けているのもまた問題です。しかし、このアルバムに関して言えば、ちょっとアレンジが引っ込みすぎて、単なる「伴奏」に終わっていたため、結果、曲自体も安っぽく聴こえてしまいました。以上、2点のために、アルバム全体がシングルを聴いて期待するよりも、いまいちだったような気がします。レコード会社の圧倒的なバックアップのもとブレイクした彼女なだけに、いまだにレコード会社の操り人形状態ではないのか、と思ってしまいました。今後のシングル、及びアルバムにおける自由な曲づくりを期待したいところです。

 



This Armor

ここ最近、人気もすっかり定着した感のある鬼束ちひろですが、このたび、彼女の2ndアルバムがリリースされました。デビューアルバムでもある前作では、シングルなどの鬼束のイメージそのままの、思いっきり感情をこめて歌い上げるようなタイプばかりのナンバーで、ちょっと飽きてしまったのですが、今作も、基本的に前作と同じような路線、歌い上げてじっくりと聴かせるようなタイプの曲の多いアルバムになっていました。

 それにも関わらず、個人的には前作よりもこちらのアルバムが気に入りました。インタビューなどで、「前作をさらに深化させたアルバム」と語っていたのですが、その「深化」が成功したからでしょう。確かに似たようなタイプのナンバーが多いアルバムでしたが、アルバム全体として最後まで飽きさせることのない内容になっているのは、やはり曲の持っているパワーが大きかったからでしょう。そのため、前作と似たようなタイプのアルバムでありながら、マンネリを感じることなく聴くことができました。

 ただ、とはいえそろそろ彼女も前作や今作のような「感情的に歌い上げる」楽曲ばかりではいけない時期に来ていると思います。もっといろいろなタイプの曲を作り、歌い、さらに可能性を広げる時期に来ているのではないでしょうか。シングルをそのまま延長させただけのアルバムはこれが最後、ということを願っています。次回作では、私たちの知らない彼女のあたらしい魅力を見せてくれるアルバムを期待したいところです。



Sugar High

前作より、わずか9ヶ月というインターバルでリリースされたニューアルバム。ジャケットの写真にはちょいとびっくり。鬼束ちひろのイメージと違う・・・(^^;;最初、中澤裕子か小柳ユキかと思ったよ・・・。

 今回のアルバムは、サウンド的には、鬼束ちひろの原点に戻ったような内容だったと思います。基本的にピアノをベースとしたシンプルなサウンド。そのため、より鬼束ちひろの歌声や歌詞の世界がクリアになった作品が並んでいました。鬼束ちひろの、力強いボーカルには、同時に包容力も感じさせます。あくまでサウンドをシンプルにした今回の作品で、彼女は、より自分のボーカリストとしての側面を見つめなおすことができたのではないでしょうか。

 そして今回、私は、サウンドこそ原点に戻ったのですが、一方でアルバム全体の雰囲気は、いままでの鬼束ちひろと大きく異なるものを感じました。今回の作品でも、いままでの鬼束ちひろと同じく、「歌い上げる」ような作品が並んでいました。しかし、いままでの彼女の作品が、ともすれば内向きに感じられる楽曲が多かったのに対して、今回の新作では、より攻撃的に、外向きのベクトルを強く感じさせるような作品が多かったような印象を受けました。そのため、いままでと同じバラードであっても、決してマンネリを感じさせない、鬼束ちひろの世界をさらに一歩押し進めた内容に仕上がっていたと思います。

 前作、彼女は「作品を『深化』させた」と語っていましたが、私はむしろ今作で、その「深化」が実を結んだ印象を受けました。鬼束ちひろにとって、あらたな一歩を感じさせる作品だったと思います。まだまだ彼女の勢いは続いていきそう・・・今後の活躍が楽しみになってくるアルバムでした。

さて、この3枚のアルバムを続けて聴いてみてあらためて感じるのですが、「月光」のイメージが強すぎて、それと似たような曲ばかり最初から最後まで求められていたということを、あらためて強く感じました。結局、このBOXセットでは「スペシャル・トラック集」に収録されている「私とワルツを」を最後に、ユニバーサルに移籍し、移籍後初のシングルとなる「育つ雑草」はロック色の強い作品で、いままでの彼女のスタイルとガラッと変えたということで大きな話題となりましたが、確かに、初期の彼女のようなバラードナンバーばかりを歌わされていたら、こういう曲も歌いたくなるよな、ということは強く感じます。

また彼女、ご存じの通り、デビュー以来、いろいろなトラブルを起こして話題となることも少なくないのですが、このような似たようなバラード曲ばかりを歌わされ続けたのであれば、本人もストレスがたまるだろうな、ということは想像できてしまいます。もっとも、静かに歌い上げるバラード曲の出来が一番良いというのは間違いないので、「月光」のヒットがなかったとしても、結局、同じような道をたどる結果になったのかもしれませんが。

結局は、現状、オリジナル曲としては最新シングルとなる「スロウダンス」は初期のようにストリングスバックに聴かせるバラード曲となっているので、こういうタイプの曲が一番彼女に合っている、ということになってしまうのでしょうが、ただ、このBOXセットであらためて初期の曲を聴くと、ちょっとあまりにも似たような曲が多かったのではないか、ということをあらためて感じてしまいました。

最後の「スペシャル・トラック集」はアルバム未収録のシングルやカップリング曲、またライブ音源、さらにはチューリップの「青春の影」のカバーも収録。ちなみに「青春の影」は配信限定シングルとして、こちらだけはストリーミング配信もされています。こちらも基本的にはピアノやアコギをバックにしんみり聴かせる曲がメイン。このアルバムも含めて、似たような曲が多いという印象は否めない構成になっていました。

とはいえ、それでも名曲は多く、最後までしっかりと聴けてしまうあたりはさすがといった感じなのでしょうが。というか、一般的に知られる彼女の曲は、ほとんどこのBOXセットに収録されているんでしょうが。あらためて、初期鬼束ちひろの作品を網羅的に楽しめたBOXセットになっていました。久しぶりに彼女の魅力に触れたい方はお勧めの作品です。

評価:★★★★★

鬼束ちひろ 過去の作品
LAS VEGAS
DOROTHY
ONE OF PILLARS~BEST OF CHIHIRO ONITSUKA 2000-2010
剣と楓
FAMOUS MICROPHONE
GOOD BYE TRAIN~ALL TIME BEST 2000-2013
シンドローム
Tiny Screams
REQUIEM AND SILENCE
HYSTERIA


ほかに聴いたアルバム

URC銘曲集3 伊藤銀次セレクション ‐フォークとロックの出会い、そして自由への旅立ち

日本インディーレーベルの先駆けと言われるURC。その販売権が2023年にソニーミュージックに移り、URCの名盤がCD化されていますが、それと同時にURCの曲をテーマ別にセレクションしたコンピレーションCDがリリースされています。本作がタイトル通り、その第3弾。URCのセッションでギタリストデビューを果たした伊藤銀次によるセレクション。今回のセレクションはタイトル通り、一般的なフォークソングの枠組みに留まらないような曲が多く、ブルージーな曲、ギターを激しくかきならすようなロックテイストの曲、もっとコミカルな曲など、非常に個性的な曲が並びます。まさに自由への旅立ちの通り、従来のフォークソングに枠組みには飽き足らないミュージシャンたちの曲がセレクトされている印象。非常におもしろかったですし、またURCの奥深さ、当時のミュージシャンたちの勢いも感じさせるようなコンピ盤になっていました。

評価:★★★★★

URC銘曲集-1 戦争と平和
心に響くフォークソング -イムジン河 (URC銘曲集2)

EACH TIME 40th Anniversary Edition/大滝詠一

突然の逝去後、10年以上が立った今でも、次々とアルバムがリリースされる大滝詠一。本作は、1984年にリリースされた、結果として彼の最後のスタジオ・フルアルバムとなった「EACH TIME」の40周年記念盤。洋楽趣味あふれるアレンジで聴かせる爽やかで軽快なポップスは、いかにも大滝詠一らしさを感じます。この後、結果としてスタジオ・フルアルバムをリリースしなかったので、ある意味、大滝詠一サウンドの完成形と言えるのかもしれません。一方、おもしろかったのはDisc2で、本作のリリース直後に作曲家井上大輔のラジオ番組に出た時のトークがまるごと収録。本作に関する裏話や音楽に対する思いなども聴くことができる貴重な音源になっていました。ファンならずとも要チェックの企画盤です。

評価:★★★★★

大滝詠一 過去の作品
EACH TIME 30th Anniversary Edition
Best Always
NIAGARA MOON -40th Anniversary Edition-
DEBUT AGAIN
NIAGARA CONCERT '83
Happy Ending
A LONG VACATION 40th Anniversary Edition
大瀧詠一 乗合馬車 (Omnibus) 50th Anniversary Edition
大滝詠一 NOVELTY SONG BOOK/NIAGARA ONDO BOOK
暑さのせいEP

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2024年7月 5日 (金)

天才の生涯

今回は、音楽関連の映画の紹介です。先日、映画「トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代」を見てきました。

タイトル通り、オリコンチャート史上で最初のミリオンセラーヒット「帰って来たヨッパライ」を歌ったザ・フォーク・クルセイダーズのメンバーであり、その後もサディスティック・ミカ・バンドとして海外で高い評価を得たり、「あの素晴らしい愛をもう一度」などのヒット曲を世に送り出した、日本ポップス史上を代表するミュージシャンのひとり、加藤和彦。2009年にわずか62歳をいう若さで自ら命を絶つという衝撃的な最期を迎るのですが、本作は、その彼の生涯を追ったドキュメンタリー映画となります。

基本的には、この手の音楽ドキュメンタリーによくありがちな、関係者の証言をバストアップのインタビュー映像でつないでいくスタイルの構成。ザ・フォーク・クルセイダーズの相棒である北山修をはじめ、フォークルやサディスティック・ミカ・バンド時代に共に活動をした作詞家の松山猛、ミカ・バンドのプロデューサーだったクリス・トーマスなど、数多くの関係者が登場し、加藤和彦について語っています。特に感涙モノなのが、高橋幸宏と坂本龍一も登場する点。高橋幸宏はおそらく昔のインタビュー映像の使いまわしと思われるのですが、坂本龍一は声だけの出演で、おそらく生前に、病床でのインタビューではないかと思われます。今となっては非常に貴重な証言となってしまいました・・・。

個人的に加藤和彦というと、もちろんフォークルやミカ・バンドとしての活躍は知っていましたし、それを含めて、日本のポップス史上に残るミュージシャンの一人ということはしっかりと認識していました。ただ、この映画であらためて、彼が実にすごい「天才」であったということを再認識させられました。常に新しい音楽性を追い求め、時代の半歩先を進もうとしていたその姿勢。さらには常に一流であることを追い求め、音楽はもちろん、ファッションや食に対しても強いこだわりを見せていたその姿。映画の中での写真の彼は、確かにすらりとした高身長にとてもおしゃれな衣装を身に着けており、そのセンスの良さは、時代を超えて今でもしっかり伝わってきます。

その中でこの映画で特徴的だったのは、まず1点目としてはあくまでも彼の音楽活動にスポットをあてた構成になっていた、という点でしょう。ファッションや食の話も登場してきますが、いずれもやはり彼の先駆的な音楽性を裏付けるためにすぎません。映画のスタートは「帰って来たヨッパライ」のヒットからスタートしますし、それ以前の彼の生い立ちについては全く触れられていません。私生活の話ではミカとの離婚の話題が取り上げられていた程度で、あくまでも彼の音楽活動にスポットがあてられた構成になっています。ただ、逆に彼はそれだけ私生活を表に出すのを嫌っていたのかもしれません。

そしてもう1点は、彼の自殺という最期についても、避けることなく、しっかりと取り上げていたという点でしょう。特に彼の自殺についての関係者の証言は、聴きづらかったでしょうし、答えづらかったでしょう。ただ、関係者それぞれ、しっかりと思うところを証言していたのが映画の中でも重いシーンではあったものの印象的。「あの時、ああしていれば・・・」という後悔を語る関係者も多く、このような後悔を友人たちに残してしまう点が自殺に重い罪だと認識させられました。また、精神科医でもある北山修の証言も重く、そして印象的。自殺の理由について、最終的には断言は避けていたものの、時代の半歩先を進んでいた彼が、半歩先を進めなくなった時に、死を選んだ、ある意味、最期の最期まで、彼は彼らしさを選び続けた、そんな印象を受ける証言となっていました。

映画の構成として、インタビューシーンが多く、例えば当時の貴重なライブ映像、などがあまりなかったのはちょっと残念。何点かライブ映像もはさまれていたのですが、何曲かはフルでライブ映像も見てみたかったな、というのもあります。時代が時代なのであまり残っていないのかもしれませんが・・・。その点はちょっと残念でした。

もう1点は、残念、という点ではないのですが、映画全体の構成として、完全な初心者にはわかりにくかったかもしれない、という点も特徴的と言えるかもしれません。この手のドキュメンタリー映画としては珍しく、ナレーションはなく、インタビューについての背景の説明もさほどなされません。もちろん、ある程度注意深く見て行けば、全くの初心者でも加藤和彦の音楽活動が理解できるようにはなっていましたが、詳しい説明が省略されていたため、彼について、この映画ではじめて知る、という方はちょっとわかりにくかったかもしれません。

そういう気になる点はあるものの、ミュージシャン加藤和彦の素晴らしさについて、しっかりと知ることの出来るよく出来たドキュメンタリー映画だったと思います。ラストは高野寛、高田漣、坂本美雨といった下の世代のミュージシャンも参加しての「あの素晴らしい愛をもう一度」のリメイク版の演奏風景で締めくくられているのも、加藤和彦の業績がしっかりと下の世代に伝えられていることが伝えられており、印象に残りました。加藤和彦というミュージシャンについて、リアルタイムに良く知っているファンはもちろん、フォークルやミカ・バンドなどの業績は知っているものの、詳しくは知らない、という方もお勧めでいるドキュメンタリー。あらためて、日本ポップス史上に残る天才の素晴らしさを感じることが出来る1本でした。

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2024年7月 4日 (木)

やはり強い

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

大人気ユニットからのソロ作が見事1位獲得です。

1位初登場はご存じB'zのボーカリスト、稲葉浩志のソロアルバム「只者」が1位獲得です。CD販売数1位、ダウンロード数2位。稲葉浩志ソロ名義だと2014年の「Singing Bird」以来、実に10年ぶりとなるアルバム。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上7万6千枚で1位初登場。そのソロ名義の前作「Singing Bird」の初動7万8千枚(1位)から若干のダウン。10年ぶりのアルバムと考えると、大健闘の結果でしょう。ちなみに直近作はギタリスト、スティーヴィー・サラスとのコラボ、INABA/SALAS名義の「Maximum Huavo」で、同作の初動5万9千枚(1位)からはアップしています。

2位には韓国の男性アイドルグループTWS「SUMMER BEAT!」が初登場。CD販売数2位。これが2作目となるミニアルバム。オリコンでは初動売上3万8千枚で2位初登場。前作「Sparkling Blue」の初動1万⑦千枚(3位)よりアップしています。

3位初登場はRYUJI IMAICHI「R」。三代目J SOUL BROTHERSのボーカリストによるソロ作。CD販売数及びダウンロード数3位。オリコンでは初動売上1万6千枚で3位初登場。前作「GOLD OLD FUTURE」の初動2万枚(2位)よりダウンしています。

以下、4位からの初登場盤です。4位はBuster Bros!!!「.Buster Bros!!!」。声優及びアニメキャラによるラッププロジェクト「ヒプノシスマイク」のグループによるアルバム。5位初登場はRoselia「Fur immer」。こちらもアニメ等のメディアミックス作品「BanG Dream!」に登場する架空のガールズバンドによるアルバム。9位にはいよわ「映画、陽だまり、卒業式」がランクイン。ボカロPによるアルバム。最後10位にはBAE「Before Anyone Lese」が初登場。こちらもHIP HOPのメディアミックスプロジェクト「Paradox Live」に登場する架空のHIP HOPグループによる新作です。

さらに今週、宇多田ヒカルのベストアルバム「SCIENCE FICTION」が先週のランク圏外から一気に6位にランクインし4週ぶりのベスト10返り咲き。これはアナログ盤のリリースがあった影響で、CD販売数がランク圏外から6位にランクアップしています。ただこれで通算8週目のベスト10ヒットとなりました。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

今週のHeatseeekersは初登場。こっちのけんと「はいよろこんで」が1位獲得。TikiTokで火かついたシンガーソングライターによる作品。こっちのけんとはかの菅田将暉の実の弟という点でも話題になっています。特に、昭和30年代40年代風のアニメ動画で話題となっているかねひさ和哉による、昭和の大人漫画そのままのMVが大きな話題となり、YouTube再生回数で2位を獲得し、Heatseekersで一気に1位獲得となっています。今後、このMVがさらに話題を呼ぶのでしょうか。


今週のTikTok Weekly

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=tiktok

今週の1位もKOMOREBI「Giri Giri」が先週から引き続き1位を獲得。これで4週連続の1位獲得となりました。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

今週もニコニコ動画がサーバー攻撃のため休止中の影響のため、VOCALOID SONGSのランキングは発表されていません。ちなみにサツキ「メズマライザー」はYouTube再生回数は8位から11位にダウン。ただ今週もボカロ系では最上位を維持しています。

今週のHot Albums&各種チャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2024年7月 3日 (水)

またアイドル系が上位に

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

Creepy Nutsが再び1位陥落です。

今週、1位に初登場したのはINI「LOUD」。韓国発のオーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN SEASON2」出身の男性アイドルグループ。CD販売数、ダウンロード数1位、ストリーミング数9位、ラジオオンエア数2位、YouTube再生回数14位。オリコン週間シングルランキングでは同曲が収録されている「THE FRAME」が初動67万2千枚で1位初登場。前作「TAG ME」の初動30万6千枚(1位)からアップしています。

2位もアイドルグループ。櫻坂46「自業自得」が初登場。秋元康系女性アイドルグループ。CD販売数2位、ダウンロード数3位、ストリーミング数5位。オリコンでは初動売上65万6千枚で2位初登場。前作「何歳の頃に戻りたいのか?」の初動43万3千枚(1位)からアップしています。

そしてCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」は今週3位にダウン。ストリーミング数、カラオケ歌唱回数は先週から変わらず2位。ただYouTube再生回数は2位から1位にアップし、2週ぶりの1位返り咲きとなっています。これで24週連続ベスト10ヒット、通算22週目のベスト3ヒットとなりました。

最近、CDをグッズとしてリリースしているアイドル系のシングルがリリースされると、Creepy Nutsの順位が下がる傾向にあるのは、やはり一時期に比べて、「Bling-Bang-Bang-Born」の勢いが落ちている証拠でしょう。ただ一方、この曲に変わる強い曲がない影響で、なかなか上位は入れ替わらないチャートが続いています。「Bling-Bang-Bang-Born」に変わる新たな大ヒット曲誕生が待たれるところです。

さて、4位以下ですが、やはりアイドル系が初登場。4位にNCT  WISH「Songbird」がランクイン。韓国の男性アイドルグループNCTのサブユニットによるシングル。CD販売数3位、ラジオオンエア数4位。オリコンでは初動売上7万1千枚で3位初登場。CDシングルとしては本作が初となります。

8位初登場は男性アイドルグループDa-iCE「I wonder」。ダウンロード数7位、ストリーミング数8位、YouTube再生回数5位。TBS系ドラマ「くるり~誰が私と恋をした?~」主題歌。ドラマ主題歌を旧ジャニーズ系以外の男性アイドルグループが歌うのは珍しいなぁ、と思いつつ、一方、このドラマタイトルでなんで主題歌があのバンドじゃないの?とも思ってしまいますが(苦笑)。

一方、ロングヒット曲ですが、まずMrs.GREEN APPLE「ライラック」は今週5位にダウン。ストリーミング数は今週も1位を獲得していますが、ダウンロード数は9位から10位に、YouTube再生回数も6位から9位にダウン。「Bling-Bang-Bang-Born」の次を担うには、ちょっと勢い不足の感も。これで11週連続のベスト10ヒット。ちなみに「コロンブス」は今週10位にダウン。今週も2曲同時ランクインとなっていますが、こちらのロングヒットは難しそうです。

Omoinotake「幾億光年」は先週から変わらず6位。ストリーミング数は7週連続の1位。ただYouTube再生回数は7位から10位にダウン。これでベスト10ヒットは連続20週となりましたが、こちらもさらなる上位を目指すのは厳しい感じ。

tuki.「晩餐歌」は7位から9位にダウン。ストリーミング数は6位から7位、ダウンロード数は8位から12位、YouTube再生回数も5位から8位にダウン。これで通算30週目のベスト10ヒットとなっていますが、こちらはそろそろベスト10維持も厳しい状況になってきそう。

またILLIT「Magnetic」は今週14位にダウン。ベスト10ヒットは通算12週で一度ストップとなりました。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&各種チャート!

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2024年7月 2日 (火)

あの「千と千尋」がモチーフの曲も話題に

Title:HIT ME HARD AND SOFT
Musician:Billie Eilish

ご存じデビューアルバム「WHEN WE ALL FALL ASLEEP,WHERE DO WE GO?」が大注目となり、グラミー賞も総なめ。一躍、スターの仲間入りとなったビリー・アイリッシュ。約3年ぶり、3作目となる待望のニューアルバムがリリースされました。衝撃的だったデビューアルバムから早5年。前々作、前作は世界各地でチャート1位という状況で、本作も・・・と思いきや、今回は残念ながらアメリカビルボードチャートは2位止まり。1位を拒んだのは誰だ?と思ったら、テイラー・スウィフトのようです。うん、まあ、しょうがないね。

そんな中、日本人にとっては間違いなく注目したいのは、本作にも収録されている「CHIHIRO」でしょう。ここで言う「CHIHIRO」とは、スタジオジブリ映画「千と千尋の神隠し」の「千尋」のこと。MVも本人が監督しており、中には「千と千尋の神隠し」をモチーフにした部分もあるということで話題となっています。

わかりやすいシーンを取り入れた訳じゃないようなので、ちょっと見ただけだと、どこの部分をモチーフにしたのかわからないのですが・・・。ただ、歌詞の一節

Saw your seat at the counter
When I looked away
Saw you turned around
But it wasn't your face

(訳 カウンターに座るあなたを見た。
私が目を離した時、振り向いた君の顔は
いつもの顔とは違っていた)

は、あきらかに映画冒頭の、千尋の両親が豚に変わるシーンをモチーフにしているのでしょうね。先日のKacey Musgravesも宮崎アニメに影響を受けた歌詞がありましたが、宮崎駿監督の全世界への影響力の強さをあらためて感じます。

さて、そんな日本人にとってもなじみのありそうな3作目。前作は1作目と比べて、グッとポップにまとまっていましたが、3作目となる本作は前作以上によりポップにまとまった作品になっていました。前述の「CHIHIRO」もリズミカルな打ち込みのリズムと、メランコリックでドリーミーな歌がポップにまとまっていて耳に残りますし、アルバム冒頭を飾る「SKINNY」も、ファルセットで美しく聴かせる歌声が、まずは耳を惹きつけらえるインパクトある楽曲に。さらにそこから2曲目の「LUNCH」では軽快なビートとギターを入れた、グッとロック寄りとなったナンバーにシフト。彼女の楽曲の幅の広さを感じさせます。

さらに中盤「WILDFLOWER」「THE GREATEST」はアコギでしんみりと聴かせるフォーキーなナンバーに。こちらも前半の曲とはまたちがった作風になっていますが、静かにしんみり聴かせる歌はメロディアスでインパクトも十分。かと思えば、後半「THE DINER」はダウナーなエレクトロチューンに。「BITTERSUITE」も気だるく聴かせるムーディーなエレクトロポップとこれまた新たな展開に。そしてラスト「BLUE」はメランコリックな歌をゆっくりと聴かせる楽曲で、こちらも切なさを感じさせるメロが耳に残ります。

バラエティーに富んだ作風と展開が楽しく、またメロはポップでいい意味で聴きやすく、確かに世界中でヒットとなることも納得の傑作アルバム。前述の通り、1、2作目よりも、いい意味でさらに聴きやすさが増したように思います。ただ、残念ながら「千と千尋」をモチーフにした曲がありながらも、日本ではビルボード最高位15位と、かなり残念な結果に・・・。欧米ポップスが偉いわけじゃないけど、今の日本のミュージックシーンはちょっと閉鎖的すぎるよなぁ。洋楽だからと忌避しないで、是非とも聴いてほしい1枚です。

評価:★★★★★

Billie Eilish 過去の作品
When We All Fall Asleep, Where Do We Go?
Happier Than Ever

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2024年7月 1日 (月)

あれから10年・・・。

Title:「まなざし」~羊毛とおはなトリビュート~

先日もTM NETWORKのトリビュートアルバムを紹介しましたが、本日もトリビュートアルバムの紹介です。羊毛とおはな。オリジナルアルバムは最高でのチャート100位にギリギリ入るか入らないか、といった感じでしたので決して一般的にメジャーなミュージシャンではありませんでした。千葉はなと市川和則の2人組のアコースティックデゥオでしたが、2012年にボーカルの千葉はなが、乳がんを発症。2015年に36歳という若さでこの世を去りました。そこから約10年、2024年は羊毛とおはなの結成20周年の記念すべき年となるのですが、それを記念し、市川和則が中心となり、数多くのミュージシャンたちが参加するトリビュートアルバムがリリースされました。

基本的にシンプルなアコースティックサウンドをベースとするフォーキーなユニット。それだけにシンプルに歌を聴かせる楽曲が並んでいるのですが、まずは参加メンバーもまた、そんな「歌」を聴かせるミュージシャンたちが並んでいます。個人的にはちょっと久々に聞く名前も・・・。1曲目のSalyuも一時期は人気を博していたミュージシャンですが、最近はさほどその名前を聞く機会もなくなり、久しぶりに彼女の名前を聞いたように思います。彼女がカバーした「ミグラトリー」は、ハイトーンボイスが魅力的なカバーに仕上がっています。

続く「大きな木と小さな鳥」をカバーしたアン・サリーも、個人的にかつてかなり注目していたシンガーソングライターだったのですが、最近では完全に自主製作版のみのリリースとなっていたみたいですね。静かに感情を込めた歌声は、久しぶりに聴いたのですがやはり逸品。もっと注目されてよいボーカリストだと思うのですが。鈴木惣一朗のソロプロジェクト、ワールドスタンダードも久しぶりにその名前を聞いたように思います。「冬のうた」はインストによるカバー。暖かさを感じさせるアコースティックな音色が魅力的な作風に仕上げています。

その他には安藤裕子や畠山美由紀など、女性シンガーソングライターが参加。ちょっと意外なところではYUIも参加しています。前述の通り、基本的にはアコースティックなアレンジにより、シンプルに歌を聴かせるカバーがメイン。一方、コトリンゴの「風に吹かれて」やアイナ・ジ・エンドの「輪」、安藤裕子の「エピソード」など、エレクトロアレンジを入れてきた曲もありますが、これらの曲も「歌」を聴かせるスタンスには大きな変化はありません。ただ、アコースティックベースのサウンドの中で、ちょうどよいスパイスのような役目を果たしています。

最後を飾る大橋トリオの「ずっとずっとずっと」はピアノアレンジで完全に大橋トリオの曲に仕上がっているのもまたユニーク。最後までしっかりと歌を聴かせてくれるカバーになっていましたし、その歌についても魅力的かつ個性的なボーカルが多く、それぞれがそれぞれの味付けをしていたカバーになっていました。羊毛とおはなの楽曲自体、決して派手さはないのですが、シンプルがゆえにしっかりと心に残るようなそんな楽曲が並ぶ本作。羊毛とおはなの曲を知らなくても、十分すぎるほど楽しめる傑作アルバムでした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

街よ街よ/橋本絵莉子

元チャットモンチー橋本絵莉子のソロ2枚目となるアルバム。彼女のかわいらしいボーカルにもマッチするキュートでポップなメロが魅力的。そのキュートさと反比例するかのように、バンドサウンドは非常に骨太なのも印象的。ある意味、チャットモンチーに通じるスタイルではあるのですが、一方でチャットモンチーほどの派手さはありません。暖かさがあってほっこりとした気持ちで聴きたいアルバムといった感じ。ただ、ほっこりするにはちょっとバンドサウンドはヘヴィーすぎるのですが、それはそれで大きな魅力。

評価:★★★★★

橋本絵莉子 過去の作品
日記を燃やして

NOBODY/tofubeats

tofubeatsの最新EPは、全曲、ヴォーカルをAI歌声合成ソフト・Synthesizer Vで制作したという挑戦的なアルバム・・・ということを言われるまで、この歌声がAIによるものだと正直気が付きませんでした・・・。ボカロ系などを聴いても、以前よりもかなり不自然さがなくなってきた感も強いのですが、AI技術の進歩には舌を巻きます。楽曲自体はメロウなエレクトロポップといった感じで、tofubeatsらしいポピュラリティーは魅力的なものの、目新しさはあまり感じませんでしたが、今回はAIボーカルが大きな挑戦だったということなのでしょうか。非常におもしろい試みを感じるEPでした。

評価:★★★★

tofubeats 過去の作品
Don't Stop The Music
ディスコの神様
First Album
STAKEHOLDER
POSITIVE
POSITIVE instrumental

POSITIVE REMIXS
FANTASY CLUB
RUN
TBEP
RUN REMIXES
REFLECTION

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