日本のアニメに影響を受けた曲も
Title:Deeper Well
Musician:Kacey Musgraves
アメリカのカントリーミュージシャン、ケイシー・マスグレイヴスの約3年ぶりとなるニューアルバム。前々作「Golden Hour」が各種メディアで2018年のベストアルバムに選ばれるなど大きな評価を受けました。そのアルバムではじめて彼女の作品を聴いたのですが、続く前作「Star-Crossed」も同じく高い評価を受けたのですがノーチェック・・・で、今回、2作ぶりに彼女のアルバムを聴いてみました。
その前回聴いた「Golden Hour」。カントリーのアルバムで、メロディーラインの美しさが印象的だったものの、正直、大ハマリするほどではありませんでした。それなので前作「Star-Crossed」はチェックしなかった訳ですが。ただ2作ぶりに聴いた本作、非常にシンプルなサウンドでフォーキーに聴かせるアコースティックなアルバムなのですが、その美しいメロディーラインに、あらためて強く惹かれる作品となっていました。
まず1曲目「Cardinal」が素晴らしい内容。アコギにバンドサウンドも加わったアルバムなのですが、マイナーコードのメランコリックなメロディーラインを美しいコーラスラインを重ねたサビに、まずはギュッと胸をつかまれました。続くタイトルナンバー「Deeper Well」も素晴らしい。アコギアルペジオでシンプルに聴かせるフォーキーな楽曲なのですが、切ないメロディーラインが実に美しい楽曲に仕上がっています。
その後もテンポよく、伸びやかにスケール感も覚える「Sway」、ピアノとアコギで暖かく切ないメロが印象的な「Dinner with Friends」、アコギのアルペジオが爽やかな「The Architect」に、ムーディーな雰囲気の「Lonely Millionaire」と、それなりのバリエーションはありつつ、基本的にアコースティックな楽器でシンプルな歌を聴かせる、フォーク/カントリーの楽曲が並びます。ただ、どの曲のメロもシンプルなだけに非常に美しくメランコリック。彼女の清涼感ある歌声もあり、非常に心に響いてくる楽曲が並んでいます。
ジャンル的にはカントリーにカテゴライズされるアルバムで、カントリーのアルバムというと通常、アメリカ以外ではヒットしないのですが、本作はイギリスのナショナルチャートでも3位を獲得するなどヒットを記録。なによりも美メロとも言うべきメロディーが、アメリカのみならず、様々な国の人の心をとらえたのでしょう。
そして日本人にとっても注目したいのが、「Anime Eyes」という曲が収録されている点でしょう。実は彼女、ジブリ映画の大ファンだそうで、本作は、アニメを歌詞の中に取り入れた曲。歌詞の中に、なんとMiyazakiという言葉まで登場してきます。とても暖かさを感じさせる楽曲ですので、日本人ならば間違いなく要チェックの1曲でしょう。
その美しいメロディーラインと歌を楽しめる文句なしの傑作アルバム。普遍的な魅力を持った作品なだけに幅広いリスナー層にお勧めできる作品です。「Anime Eyes」のような曲もあるので、日本でも徐々に知名度が高まっていくかも。いまのうちに要チェックです。
評価:★★★★★
Kacey Musgraves 過去の作品
Golden Hour
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