ストレートな歌詞がインパクト
Title:日々愛々
Musician:コレサワ
「れ子」と呼ばれる熊のキャラクターを前面に押し出した活動もユニークな、女性シンガーソングライター、コレサワの配信限定での最新ミニアルバム。今回のジャケットでは、その「れ子」の後ろに、アニメとはいえ本人も登場するジャケット写真となっています。ひょっとしたら今後は、アニメキャラであれば、本人も登場してくる、ということなのでしょうか?
コレサワと言えば、大きな特徴なのはその歌詞。女性心理をあまりにストレートで、さらに時にはドギツク描写する歌詞が大きな魅力的。ふわっとしたぬいぐるみのような「れ子」のイメージとのギャップがまたおもしろいシンガーです。今回のアルバム、アニメ「じいさんばあさん若返る」の主題歌にも起用されている、1曲目の「君がおじいちゃんわたしがおばあちゃん」はタイトル通り、年を取るまで一緒にいようという、かわいらしいラブソングですが、続く「Fコード」は、片想いの相手との上手くいかないもどかしさを、ギターコードのFに例えているスタイルがなかなかユニーク。そして彼女らしさを感じるのが3曲目の「ライブ終わりに」で、売れないバンドマンとのもどかしい関係に、ストレートに「ライブ終わりに抱いて」と訴えかける歌詞。この彼女の方も、そんなバンドマンとの関係を抱かれることによってごまかそうとするスタンスが非常に痛々しく、かつストレートな感情が男性の私にも伝わってきます。
続く「君のタトゥー」も、いきなり「少し肌を 見せ合うような関係」とエロチックな表現がまた彼女らしい感じで、かなりストレートな表現が耳に残ります。かと思えば、「デートの前の夜に」では、デートの前の日、明日の準備をする女の子の心境をかわいらしく描いており、これまた、女の子の感情をストレートに描いています。
ここらへんのストレートな女性心理を、時にはエロチックな表現もふくめてドギツク、時にはかわいらしく綴った歌詞が大きな魅力。ここらへん、ただちょっとインパクトのある、ハッとするようなフレーズがちょっと少ない・・・という印象は以前のアルバムに感じられました。ただ今回のアルバムに関しては、前述の「ライブ終わりに抱いて」「少し肌を見せ合うような関係」というドキリとするようなフレーズが多く登場してきます。以前のアルバムに比べると、歌詞の表現について、徐々に進歩してきたように感じます。
一方、サウンドについてはシンプルなギターロックがメイン。ここらへんは歌詞を生かすということを考えると、変に凝ったものではない方がよいかもしれません。メロディーラインについても比較的シンプルなポップがメイン。こちらもそれなりにインパクトのあるフレーズは書いてくるのですが、メロディーだけで勝負するにはちょっと物足りなさも感じてしまう印象が。ここらへん、あれだけの歌詞を書きながらも、いまひとつブレイクしきれない理由ようにも感じます。
個人的には是非ともお勧めしたい注目のシンガーソングライター。そのため、このような形で積極的に紹介しています。ただ、無条件でおすすめできるタイプかと言われると、特にメロディーの面では物足りなさを感じてしまう面も否定できません。もっともっと頑張ってほしいのですが・・・。ただ、女性シンガーソングライター好きには文句なしにお勧めできるアルバム。そのストレートな女性心理は女性はもちろんのこと、男性にも響いてくるものがあります。
評価:★★★★
コレサワ 過去の作品
コレでしょ
失恋スクラップ
純愛クローゼット
ほかに聴いたアルバム
KAZUYOSHI SAITO 30th Anniversary Live 1993-2023 30<31~これからもヨロチクビーム~Live at 東京国際フォーラム 2023.09.22/斉藤和義
恒例の斉藤和義のベスト盤。30周年記念ツアーのファイナル、東京国際フォーラムでの模様を収録したベスト盤。斉藤和義は、毎回ツアー毎にライブアルバムをリリースしているのですが、毎回、MCの部分がカットされています。以前はライブの雰囲気を伝えるためにMC部分も収録してくれればよいのに・・・と思っていたのですが、以前、足を運んだ斉藤和義のライブで、MC部分のエロネタ全開を聴いて「あ、確かにこれはCDには収録できないや・・・」と思いなおしました。が、今回のライブアルバム、後半「君の顔が好きだ」では、途中、替え歌になり、放送禁止のエロ用語を連発(苦笑)。これ、そのまま収録しちゃっていいの??と思ったのですが、さすがに曲の部分ではカットできなかったようで、かなりドギツイ、まあ、ある意味、せっちゃんらしい替え歌が収録されており、本作の聴きどころとなっています(笑)。
ただ、その部分を除いても(?)、今回のライブアルバム、30周年記念ツアーということで選曲がベスト盤的な選曲。彼の代表曲が網羅された選曲になっており、ラストはおなじみ「歩いて帰ろう」で締めくくり。このセットリストのライブ、行きたかったなぁ~と強く感じさせるパフォーマンスになっています。ベスト盤的にも、せっちゃんらしさを感じさせる替え歌を聴くためにも、お勧めできるライブ盤です。
評価:★★★★★
斉藤和義 過去の作品
I (LOVE) ME
歌うたい15 SINGLES BEST 1993~2007
Collection "B" 1993~2007
月が昇れば
斉藤“弾き語り”和義 ライブツアー2009≫2010 十二月 in 大阪城ホール ~月が昇れば 弾き語る~
ARE YOU READY?
45 STONES
ONE NIGHT ACOUSTIC RECORDING SESSION at NHK CR-509 Studio
斉藤
和義
Kazuyoshi Saito 20th Anniversary Live 1993-2013 “20<21" ~これからもヨロチクビ~ at 神戸ワールド記念ホール2013.8.25
KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2014"RUMBLE HORSES"Live at ZEPP TOKYO 2014.12.12
風の果てまで
KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2015-2016“風の果てまで” Live at 日本武道館 2016.5.22
斉藤和義 弾き語りツアー2017 雨に歌えば Live at 中野サンプラザ 2017.06.21
Toys Blood Music
歌うたい25 SINGLES BEST 2008~2017
Kazuyoshi Saito LIVE TOUR 2018 Toys Blood Music Live at 山梨コラニー文化ホール2018.06.02
KAZUYOSHI SAITO 25th Anniversary Live 1993-2018 25<26 〜これからもヨロチクビーチク〜 Live at 日本武道館 2018.09.07
小さな夜~映画「アイネクライネナハトムジーク」オリジナルサウンドトラック~
弾き語りツアー2019 "Time in the Garage" Live at 中野サンプラザ 2019.06.13
202020
55 STONES
KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2020 "202020" 幻のセットリストで2日間開催!~万事休すも起死回生~ Live at 中野サンプラザホール 2021.4.28
KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2021 “202020 & 55 STONES” Live at 東京国際フォーラム 2021.10.31
PINEAPPLE
ROCK’N ROLL Recording Session at Victor Studio 301
斉藤和義 弾き語りツアー「十二月~2022」Live at 日本武道館 2022.12.21
KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2023 “PINEAPPLE EXPRESS” ~明日大好きなロックンロールバンドがこの街にやってくるんだ~
THIS IS ICE/ICE
90年代に渋谷系の代表格ユニットのひとつとして活躍した男女デゥオ、ICE。昨年、デビュー30周年の記念イヤーとしてシングル集と初期ベストがリリースされましたが、30周年の締めくくりとしてリリースされたのが本作。アルバム収録曲と未発表曲からセレクトされたベストアルバム。シングルだけでは収録しきれないICEの魅力をおさめたアルバムで、ロックやファンク、メロウなソウル、ジャジー、ボッサなど、ICEの様々な音楽的要素を感じさせてくれる選曲になっています。まさに「これぞICE」というタイトルにふさわしい、シングル集と合わせることでICEの全貌が見えてくるようなベスト盤になっていました。
評価:★★★★★
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