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2024年6月18日 (火)

日本の民謡の魅力を伝える

Title:Sparrow's Arrows Fly so High
Musician:すずめのティアーズ

最近、注目を集めている女性2人組ユニット、すずめのティアーズ。宣伝文句をそのまま用いると、「ビートルマニアのシンガーソングライターでガットギターの名手、あがさと、ブルガリア音楽と舞踊に傾倒する佐藤みゆき」によるユニット。「日本の民謡ポリフォニー・ユニット」という紹介のされ方もしているようですが、ポリフォニーとは、複数の独立した声部からなる音楽のこと。要するに、ギターやドラムスなど現代楽器を用いつつ、2人のハーモニーを効果的に聴かせて日本の民謡を歌うユニット。民謡の新しい解釈ということでも注目を集めています。

例えば今回のアルバムの1曲目「かわいがらんせ」は、日本各地を渡り歩いた盲目の歌い手、瞽女の歌なのですが、この曲を2人のハーモニーで美しくはもりつつ、ドラムスのリズムを入れてグルーヴィーに聴かせます。続く「ザラ板節」は、戦後の横浜港における洗濯女たちの労働歌だそうですが、こちらも美しいハーモニーとギターのアルペジオをバックに軽快に歌いあがています。

越中五箇山の民謡「といちんさ」はバンドサウンドを入れてテンポよく聴かせてくれますし、秋田民謡の「秋田大黒舞」ではジャジーなバンドサウンドが楽曲にもピッタリマッチ。「ポリフォニー江州音頭」ではタイトル通り、江州音頭を息の合ったポリフォニーで聴かせてくれる曲。どの曲も彼女たちならではの解釈で民謡を、現代楽器をバックに歌い上げています。

この民謡を独自の解釈で現代風に歌うというスタイルは、例えば最近では民謡クルセイダーズも近いスタンスを感じます。ただ、民謡クルセイダーズは民謡をラテン風に大きくアレンジすることにより、楽曲の雰囲気も大きく変わります。一方、彼女たちに関しては、基本的にバンドサウンドを入れたり、ポリフォニーのアレンジにするという形での楽曲の変化はあるのですが、民謡自体を大きく変えることはありません。

例えば宮崎県民謡の「椎葉駄賃付け節」なども、ギターのフレーズを静かに入れているのですが、途中に入る男性の合いの手を含めて(これを機に、YouTubeのオリジナルな歌唱映像を見てみたのですが)原曲の雰囲気を大きく変えていません。「ポリフォニー江州音頭」も同様で、ポリフォニーのアレンジを加えた点以外は、江州音頭そのままの楽曲となっています。

彼女たちは、日本の民謡がもともと持っていたグルーヴ感を、ポリフォニーやバンドサウンドをちょっと添えることによって、ロックや西洋ポップスに慣れ親しんだ私たちの耳にもわかりやすく届けてくれるユニット、といった印象を受けました。民謡を現代音楽に融合する時に、ともすれば無理にロック風にアレンジしたりするケースもあるのですが、彼女たちの場合、そのアレンジ方法が非常に自然。ほとんど民謡のコアな部分に手を加えることなく、見事に「現代の音楽」として蘇らせています。

これから徐々に注目を集めていきそうなユニット。特に、ライブで聴くと気持ちよさそうだな、ということを感じます。「ポリフォニー江州音頭」などは、思わず身体が踊りだしそう。日本の民謡が本来持っている魅力にあらためて気が付かせてくれる、そんなユニットのアルバムでした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

地球出禁にしていいよ~ディスコあかり~/町あかり

町あかりのちょっと久々となる新作は、ディスコ歌謡をテーマとしたEP盤。全8曲入りで、4曲が新曲+残り4曲はそのカラオケバージョンという構成となっています。彼女らしい歌謡曲をディスコチューンに仕立て上げたナンバーがユニーク。2曲目の「常盤ディスコ港町」は、まさに民謡ディスコとも言うべきユニークな作風に仕上がっています。表題曲「地球出禁にしていいよ」も同じく、哀愁たっぷりに聴かせる楽曲・・・なのですが、ただ問題は、この非常にインパクトのある曲名と反して、「なんで地球が出禁になるのか」が歌詞の中で説明されていない点がかなり難点・・・以前から、時々彼女の楽曲って「曲名のインパクトだけで歌詞がついてきていない」曲が見受けられるのですが、その典型例になってしまっている感も。曲名のインパクト、ワンアイディア勝負といった感じがするのですが、この点、ちょっと残念な印象を受けてしまいました。

評価:★★★★

町あかり 過去の作品
ア、町あかり
あかりの恩返し
EXPO町あかり
収穫祭!(町あかり&池尻ジャンクション)
あかりおねえさんの ニコニコへんなうた
それゆけ!電撃流行歌
別冊!電撃流行歌
総天然色痛快音楽

E-SIDE 3/YOASOBI

Yoasobi__eside_3

YOASOBIの曲の英語版を集めた企画盤の第3弾。相変わらず日本語詞を空耳するような英語のフレーズを取り入れてきているのはユニーク。楽曲的には聴きなじみある曲が並び、アレンジも大きくは変化していないが、曲のインパクトというか強度のようなものは、最近の曲になればなるほど増しているような印象も。

評価:★★★★

YOASOBI 過去の作品
THE BOOK
E-SIDE
THE BOOK 2
E-SIDE 2
THE BOOK 3

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