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2024年5月 7日 (火)

とことんシンプルでフォーキーなサウンドが魅力的

Title:Bright Future
Musician:Adrianne Lenker

最近、ここのコーナーでやけに女性シンガーソングライターの作品を取り上げるケースが多いように思います。例えば4月だけでもHurray for The Riff Raff、Hannah Frances、Faye Websterというインディー系の女性シンガーソングライターの作品を紹介しました。インディー系のカテゴリーではありませんが、Norah Jonesもそんなシンガーソングライターの一組でしょう。

特に、インディー系の女性シンガーソングライターはフォークロックの影響を感じられるミュージシャンたちが目立ちます。シンプルで暖かいメロディーラインが特徴的なフォークというジャンルは、女性シンガーソングライターとの相性がいいのかもしれません。今回紹介するAdrianne Lenkerも女性シンガーソングライターの一人。フォーキーな楽曲を清涼感ある暖かい歌声でゆっくりと歌い上げるスタイルは、ここ最近、よく紹介している女性シンガーソングライターと同じようなスタイルと言えるかもしれません。

ただ、彼女はそんなシンガーソングライターたちの中でも、さらにシンプルなサウンドスタイルをとっている点が大きな特徴。例えば1曲目「Real House」はピアノの音色のみをバックにシンプルに聴かせる曲になっていますし、続く「Sadness As A Gift」もアコギとバイオリンのシンプルな編成でのアレンジとなっています。

その後も「No Machine」「Free Treasure」もアコギのアルペジオのみでシンプルに聴かせるスタイル。とことんシンプルでアコースティックにこだわったような暖かいサウンドが特徴的で、そこに流れる歌も非常に暖かく、胸に響きます。もちろん、フォーキーな中にバンドサウンドやサイケなサウンドを取り入れる、アシッドフォークのミュージシャンも大きな魅力ですが、彼女のようなシンプルなフォークを奏でるミュージシャンもとても魅力的に感じます。

実は言うまでもないかもしれませんが、彼女、ここのサイトにも何度か取り上げており、注目を集めているフォークロックバンド、ビッグ・シーフのボーカリスト。実は最初、そのことを知らずにアルバムを聴き始め、後になって彼女がビッグ・シーフのボーカリストということを知りました。ビッグ・シーフもシンプルで美しいメロディーを書く魅力的なバンド。ビッグ・シーフのボーカリストによるソロアルバムならば、それはこれだけ魅力的だよなぁ・・・と納得感を覚えました。

さらにこのアルバムの大きな魅力は、彼女が仲間たちと音楽を奏でている様子を、そのまま録音したかのような状況で音が収められているという点でした。例えば1曲目「Real House」も録音した時の背後の物音も楽曲におさめられています。「Already Lost」も演奏がはじまる前の軽い会話に、最初の掛け声も収録されています。仲間たちと音楽を奏でる、その和気あいあいした雰囲気と、それでいて楽曲を奏でだすとどこか緊張感が伝わってくるピリッとした空気感がアルバムの大きな魅力で、まさにリスナーにとってはすぐ向こうで彼女たちが演奏してくれているような、そんなリアリティーを感じさせる作品となっていました。

ビッグ・シーフが好きなら間違いなく気に入るはずのアルバムですし、少なくともポップス好きならば幅広いリスナー層が気に入るであろう、暖かいポップスアルバムの傑作。彼女の暖かい歌声に魅了された1枚でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

JAPANESE SINGLES COLLECTION-GREATEST HITS-/Culture Club

ここでも何度か取り上げている、日本独自企画による、日本でリリースしたシングルを収録したシングルコレクションの、今回はカルチャークラブ。80年代には日本でも「カーマは気まぐれ」が大ヒットを記録し、印象的なサビはCulture Clubを知らなくても一度は聴いたことあるのではないでしょうか。その他にも軽快で明るいポップが並び、またラテンからの影響も感じさせる曲もチラホラ。一方で「戦争のうた」のような、反戦歌のような硬派な側面も垣間見れたりして、さらに同曲ではサビに日本語も登場してくるのも耳を惹きます。「カーマは気まぐれ」以外はほとんどはじめて聴いた楽曲だったのですが、ポップな作風は今でも楽しめる作品でした。

評価:★★★★

JAPANESE SINGLES COLLECTION-GREATEST HITS-/Whitney Houston

そしてこちらも同じく「JAPANESE SINGLES COLLECTION」の、こちらはホイットニー・ヒューストン版。まさに真打登場の感も強いアルバムですが、おなじみの「そよ風の贈りもの」や、日本でも大ヒットを「オールウェイズ・ラヴ・ユー」ももちろん収録。これでもかというほどの力強いボーカルで歌い上げているソウルなナンバーはまさに圧巻。ボーカリストとしての実力をまざまざと見せつけられるアルバムになっています。

評価:★★★★★

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