本人朗読によるエッセイにドキドキ
今回は最近読んだ音楽関連の書籍の紹介です。
シンガーソングライターの柴田聡子によるエッセイ集「きれぎれのダイアリー 2017~2023」。もともと、文芸春秋社の文芸誌「文學界」に、足掛け7年にわたって連載されたエッセイ「きれぎれのハミング」をまとめた単行本です。
もともとこの書籍自体は、昨年10月に販売されたもの。今回、ちょっと遅ればせながらチェックしてみた理由というのは、こちらのオーディオブック版がリリースされたのですが、このオーディオブック版は、なんと柴田聡子本人の朗読によるもの。柴田聡子の日記形態のエッセイを、本人朗読により聴くことが出来る、これってなかなかのドキドキ体験じゃないですか?
このエッセイ集は、基本的に各月毎に、柴田聡子が日々の生活で感じたことを綴った作品。いわば日記形式のような作品になっています。内容的にはミュージシャンとしての日々、のようなエッセイもあるのですが、それは全体のほんの一部。ほとんどが彼女の日常生活を綴ったエッセイとなっています。
そんな彼女の日常を、彼女自ら読み聞かせてくれる訳ですから、なんか彼女のプライベイトをいろいろと教えてもらっているようで、聴いていてなんかドキドキしちゃいます。失礼ながら彼女の朗読自体は決してうまいものではないのですが、彼女自身にエッセイを読んでもらえる、それだけでオーディオブック版を聴く価値があるようにも感じます。
ちなみに肝心のエッセイの内容の方ですが、意外といったら大変失礼なのですが、柴田聡子の文才を感じさせる文章が非常に魅力的。視点もなかなか独特な部分もありつつ、文体もなかなかユニーク。今回はオーディオブック版なのであくまでも耳から入ってきた情報なので、実際に読んでみるとまた印象が異なるのかもしれませんが、そのユニークな表現は読み手を惹きつけるものを感じます。
特に最後に行けばいくほど、こなれてくる印象があり、表現のユーモアさが増した印象も。後半の「なぜ引越しの手伝いに呼ばれないのか」で、引越しの手伝いに呼ばれない自分を嘆きつつの自己アピールはかなりユニークでおもわず笑ってしまいましたし、「からだが夏になる」も、タイトルから想像できるような、T.M.Revolutionの歌詞に合わせたエッセイの内容が非常にユニークでした。
また、個人的に彼女の熱心なファンではなかったので、このエッセイではじめて知ったのですが、彼女、学生時代はバスケ部に所属していたのですね・・・。正直、風貌的に、あまりスポーツウーマンというイメージが全くなかったので、意外や意外、体育会系女子だったのはかなり意外でした。さらに、彼女、結構、ミーハーだったのが意外な印象。安室奈美恵やビヨンセ、BTSまで登場してくるのは、ちょっと意外な印象も受け、柴田聡子の意外な一面を感じることが出来るエッセイ。このエッセイを聴いて、あらためて彼女の曲を聴いてみたくなりましたし、やはり一度ライブに行ってみたくもなりました。
さて最後に。彼女の本とは直接関係ない話。今回、はじめてオーディオブックというものを体験してみました。率直に言ってしまえば、個人的には今後、積極的にはオーディオブックを聴いてみることはないかな、という印象。自分のペースで読み進めたり、戻ったり、流し読みしたりすることが出来ない(出来ないことはないけど面倒くさい)し、あとから読み返すのも難しいし、聴いている間、ずっと集中していないと、気を抜くと読み飛ばしちゃうし。少なくとも、紙媒体で販売している本の朗読版は、こういう特殊ケース以外は、もう手を出さないかな。個人的にはオーディオブックについては、いまひとつはまりませんでした。
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