しっかりと現役感のある傑作
Title:Interplay
Musician:RIDE
シューゲイザー御三家と呼ばれ(まあ、そもそも「御三家」という呼ばれ方をするのは日本だけでしょうが)、90年代のギターロックシーンで絶大な人気を得たロックバンドRIDE。2015年の再結成後は比較的、コンスタントに活動を続け、本作は約3年半ぶりとなるニューアルバム。再結成後のアルバムも、本国イギリスのチャートでもヒットを飛ばしており、本作も全英チャート8位と、変わらないその人気ぶりを伺える結果となっています。
さて、前作「THIS IS NOT A SAFE PLACE」では、バンドとして新たな方向性を模索しつつも、一方ではRIDEらしさをしっかり残した、ある意味、バランスの取れたアルバムになっていました。その観点からすると、今回のアルバムも新たな方向性を模索しつつも、RIDEらしさはしっかりと残したアルバムに仕上がっていました。
例えば1曲目「Peace Sign」は、かなり軽快で明るいポップなアレンジが施されており、爽やかでポップなロックバンドという、ちょっとRIDEのイメージとは違うような、そんな作品に仕上がっていますし、続く「Last Frontier」もかなり明るい雰囲気のサウンドに仕上げられています。先行シングルとなった「Monaco」も、打ち込みのリズムマシーンを入れつつ、サウンド的には明るさを感じさせますし、より明るいポップ志向を感じさせます。
ただ、全体的には前作よりは、もうちょっとシューゲイザーらしいホワイトノイズとグルーヴィーなサウンドを志向した、RIDEらしいと感じさえせる楽曲が多かったようにも思います。前述の作品も、基本的にはノイジーなギターとグルーヴィーなリズムはしっかりと楽曲の中に流れていましたし、特に後半の「Midnight Rider」では、ヘヴィーさを感じさせつつ、うねるように聴かせるバンドサウンドとダウナーなメロディーラインはいかにもRIDEらしさを感じます。
もっとも、ラストに流れる「Yesterday is Just a Song」の重いこと重いこと・・・。シンセも取り入れて荘厳さを感じさせるヘヴィーなサウンドを、これでもかというほど重ね、重厚に音を塗りたくるようなサウンドに、その重厚さに合わせたような重々しく聴かせる歌が特徴的。非常に重厚な印象を抱きつつ、アルバムは幕を下ろします。
基本的にはRIDEらしさをしっかりと主軸に置きつつ、ポップなメロディーラインでより聴きやすさは増した感じのするアルバム。復活後もアルバムをヒットさせ続ける彼らですが、彼らの勢いにも納得できる、しっかりと現役感のある傑作だったと思います。昔のRIDEが好きだった方はもちろん、最近知ったという方にも文句なしにお勧めできる作品です。
評価:★★★★★
RIDE 過去の作品
OX4 -the best of RIDE
Weather Diaries
Tomorrow's Shore
THIS IS NOT A SAFE PLACE
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