エレクトロサウンドを取り入れつつ、基本的にはいつものジザメリ
Title:GLASGOW EYES
Musician:The Jesus And Mary Chain
先日はRIDEのニューアルバムを紹介しましたが、まさか2020年代になって、RIDEにジザメリが普通にアルバムをリリースしてくる時代が来るとは・・・。80年代インディーギターロックの雄で、特にデビュー作「Psychocandy」はその後のシューゲイザーバンドにも多大な影響を与えたThe Jesus And Mary Chain。2007年に再結成を果たし、2017年には実に19年ぶりとなるニューアルバムをリリース。その後、しばらく新作のリリースはなかったのですが、ここに来て、約7年ぶりとなるニューアルバムがリリースされました。
先日紹介したRIDEは、ほどよく新しいサウンドを取り入れつつ、基本的には昔ながらのRIDEらしさもしっかり維持しているスタイルが特徴的でしたが、ジザメリに関しても同じような傾向を感じます。特に特徴的だったのが中盤の「Jamcod」で、メタリックなエレクトロビートにシンセのサウンドが前面に押し出されたサウンドなのですが、淡々としたローファイなボーカルにグルーヴィーなバンドサウンドはいかにもジザメリらしい作品。途中、しっかりとギターのノイズが楽曲を埋め尽くすような展開も聴かせてくれます。
同曲に続く「Discotheque」も同様。タイトルそのままのディスコ調のエレクトロビートながらも、ローファイでグルーヴィーなバンドサウンドが重なるスタイルで、こちらもいわばジザメリ流のディスコサウンドと言えるかもしれません。「Silver Strings」も同様で、リズミカルな打ち込みのサウンドにローファイなボーカルが特徴的。エレクトロサウンドを取り入れつつも、マンチェサウンドっぽい作風は、そのままジザメリっぽさとも言えるでしょう。
今回のアルバムはこのように、シンセのサウンドを取り入れたエレクトロ寄りの作風にまとめつつも、全体的には私たちがイメージするジザメリの音といったスタイルの作品となっています。アルバムの冒頭「Venal Joy」も、シンセの音を入れつつ、疾走感あるグルーヴィーなギターサウンドに、いかにもジザメリらしさを感じますし、「American Born」も楽曲を埋め尽くすヘヴィーなギターノイズでグルーヴ感のある彼ららしいナンバー。「Chemical Animal」もローファイな出だしからして、いかにもジザメリらしい楽曲に仕上がっており、しっかりとファンの壺をついた作品が続いていきます。
なかなかユニークなのが「The Eagles And The Beatles」で、タイトル通り、イーグルスとビートルズの融合的な曲調を目指したのでしょうか?確かに、かなり露骨にビートルズっぽい作風を感じさせる内容に。歌詞にもボブ・ディランやらローリングストーンズやらビーチボーイズやらも登場。偉大なるロックの先人たちへのメッセージ的な歌詞も特徴的でした。
前述の通り、エレクトロサウンドを取り入れつつも、基本的にはジザメリらしい作品に。思えば80年代の活動時も、アルバム毎に様々なスタイルを取り入れきた彼らですが、そこから30年以上が経った今でも、そのスタンスは変わらない、といった感じなのでしょうか。楽曲の出来としても往年と変わらない出来栄えですし、かつて彼らを聴いていたような方も是非ともチェックしてほしい作品。なんだかんだ言っても、かつて自分がはまったバンドが、再度、これだけ積極的に活動して新作もリリースしてくれるというのは、やはりうれしいですね。
評価:★★★★★
The Jesus and Mary Chain 過去の作品
Damage&Joy
Sunset 666 (live At Hollywood Palladium)
ほかに聴いたアルバム
Ten Total/1010benja
アメリカはカンザスを中心に、プロデューサーとしても活動しているHIP HOPミュージシャン。今風のトラップ的なサウンドを取り入れつつ、一方ではR&Bやソウルの要素の強い、メロウでメロディアスな歌モノの要素も強い作品。メランコリックなメロディーラインは耳に残りますし、いい意味でHIP HOPリスナー以外へのアピール要素も強い感じ。ソウルのアルバムとしても十分楽しめそう。
評価:★★★★★
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