オルタナ系ギターロックからの影響も顕著
Title:Tigers Blood
Musician:Waxahatchee
先日も、女性ソロシンガーソングライターAdrianne Lenkerのアルバムを紹介したばかりですが、今回もまた、女性ソロシンガーソングライターのニューアルバムの紹介です。アメリカの女性シンガーソングライター、ケイティ・クラッチフィールドのソロプロジェクト。どう読むのかかなり迷うところですが、これで「ワクサハッチー」と読むそうです。彼女のアルバムを聴くのは前作「Saint Cloud」に続いて2作目となります。
もともとアメリカーナに影響を受けたミュージシャンながらもロック志向が強かったそうですが、前作「Saint Cloud」はシンプルなサウンドでフォーキーなアルバムに仕上がていました。これはこれで非常に魅力的な作品だったのですが、今回の作品は再びロック路線にシフト。一方ではアメリカーナ的なサウンドも随所に用いられており、前々作以前の彼女の作品は詳しく知らないのですが、おそらく、この路線が本来の彼女の路線なのでしょう。
1曲目「3 Sisters」はギターサウンドをバックにしんみりとフォーキーに聴かせる楽曲で、アメリカーナ路線の強い作品からスタートするのですが、続く「Evil Spawn」はノイジーなギターのリフのイントロからスタートするギターロック路線。さらに続く「Ice Cold」は、まさにイントロはTeenage Fanclubやダイナソー・ジュニアあたりを彷彿とさせるような80年代のギターポップ路線に強く影響を受けたようなサウンドが印象的。ここらへん、オルタナ系ギターロックが好きなら、かなり壺にはまるのではないでしょうか。
その後も「Bored」「Crowbar」のように、ギターサウンドでメロディアスに聴かせるインディー系ギターポップ路線の曲が並んでおり、前作よりもロック路線にシフトした感もありつつも、メロディアスな歌にまずは耳を惹きつけられるような曲が並びます。
ただ、そんなギターロック路線の曲の間にはフォーキーな作風の曲も並ぶのも特徴的。ギターロック路線の「Ice Cold」に続く「Right Back to It」は郷愁感あふれる、いかにもアメリカーナな雰囲気の漂うミディアムテンポのナンバー。同じく、ギターロック路線の「Bored」に続く「Lone Star Lake」は哀愁感たっぷりのギターでゆっくりと聴かせる楽曲に。ここらへん、アメリカ人にとっては郷愁感あふれるイメージなのでしょうが、我々日本人にとっても、どこか懐かしさを感じさせる楽曲となっています。
特に終盤はアコギでフォーキーに聴かせる「365」、郷愁感たっぷりのミディアムチューン「The Wolves」、そしてラストを締めくくるタイトルチューン「Tigers Blood」はこれまた哀愁感たっぷりにフォーキーに聴かせるナンバーと続き、アルバムを聴き終わった印象としては、やはりカントリー、フォーク路線の印象が強く残る作品となっていました。
率直に言うと、冒頭にも書いた通り、先日も似た方向性のシンガーソングライターを紹介したばかりですし、最近多いな、という印象は受けてしまいます。ただ、その中でもやはりポップなメロディーラインは魅力的ですし、インディー系ギターロックの影響を強く受けたギターサウンドはやはり魅力的。素直に郷愁感ただよう歌を楽しめる、そんな良作だったと思います。
評価:★★★★★
Waxahatchee 過去の作品
Saint Cloud
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