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2024年4月14日 (日)

今でも人気を誇る伝説のバンド

Title:A Generation of 1993-1996 ~ふたたび新しい旅に出る~
Musician:Spiral Life

Spiral

当時、女子中高生を中心にアイドル的な人気を獲得していたロックバンドBAKUのメンバーだった車谷浩司が、デビューを目指していた石田小吉と組んで結成したユニットSpiral Life。その洋楽テイストの強い音楽性が注目を集め、徐々に人気を集めてきたものの、音楽性の相違からわずか3年で解散。ラストライブは横浜アリーナで行うなど、ブレイク寸前と言われつつも、残念ながらブレイクとまでは至らず、その活動に幕を下ろしています。

そんなSpiral Lifeのデビュー30周年を記念したボックスセットがタワーレコードの通販限定という形でですが、リリースされました。CD5枚組からなる本作は、Disc1から3で、彼らがリリースした3枚のオリジナルアルバムをアナログマスターからリマスター。Disc4では「OTHER SONGS & DEMO TRACKS」と名付けて、シングルのカップリングやデモ音源を収録。さらにDisc5では1993年のライブハウスとホールで行われたライブの模様を収録した未発表のライブ音源集となっています。

個人的に、Spiral Lifeは活動していた最中から名前は知っていたのですが、その当時はさほどチェックしておらず、後追いで知ったバンド。ただ、今となってはリアルタイムで聴いておかなかったことを後悔するような、個人的に私の音楽性の好みからして理想とも言えるバンドだったりします。

彼らの大きな特徴は、まずは90年代のイギリスのインディーロックや同じくアメリカのオルタナ系ギターロックバンドからの影響が顕著なバンドサウンド。シューゲイザー系や、特に後期に関してはスマパンからの影響も顕著で、その影響を全く隠していない無邪気さは、一部ではパクリ扱いされていたりもするのですが、個人的にはかなり壺なサウンド。さらにこのバンドサウンドをバックに奏でられるメロディーラインは非常にキュートでポップ。爽やかながらもメランコリックさが同時にあって胸がキュンとさせられる魅力があります。個人的にも大好きなのが「(DON'T TELL ME NOW!) PLEASE PLEASE MR.SKY -空に鳥がいなくなった日-」で、爽やかな切ないメロディーラインが実に魅力的な名曲です。

さらに彼らの曲を魅力的にしているのが、車谷浩司と石田小吉の音楽性の微妙な違い。車谷浩司は、Spiral Life解散後のAIRとしての活動を見せばわかる通り、特に後期になればなるほどヘヴィーロックへ傾倒していく一方、石田小吉はその後のSCUDELIA ELECTROの活動でわかる通り、シューゲイザー系への傾倒を続けつつ、エレクトロサウンドへの興味を増していきます。この異なる音楽性のせめぎ合いがSpiral Lifeの楽曲に幅を持たせ、大きな魅力となっています。

2人の音楽性が最も異なる方向性を示してしまっているのがラストアルバム「FLOURISH」で、1曲目「GARDEN」は、まさにその後のAIRを彷彿とさせるようなヘヴィーロック路線の曲からスタートしたかと思えば、「MAYBE TRUE」では非常にキュートなメロディーのギターロックが顔を覗かせます。マンチェサウンドを彷彿とさせる「DANCE TO GOD」やホーンセッション入って祝祭色の強い「TRUST ME」などバリエーションも豊富。ラストの「NERO」はこれでもかというほど分厚いギターサウンドを聴かせつつ幕を下ろしています。車谷と石田の異なる音楽的嗜好の中で、お互いが主張し合いつつ、なんとか折り合いをつけたアルバムといった感じなのですが、結果としてはSpiral Lifeの中でもベストと言える傑作に仕上がっていたと思います。

もっとも、この音楽性の違いがゆえに、わずか3年という活動期間で幕を下ろした訳で、そういう意味では諸刃の剣だったということなのでしょうが。ただ、Spiral Lifeの到達点であり、かつ、同作は日本のポップス史上に燦然とその名を残した傑作だったと思います。

このヘヴィーでノイジーなギターサウンドと、ポップでキュートなメロディーラインというのが実に私の好みにピッタリとマッチしており、個人的にはまさに理想的なバンド。ただ、それだけ惹かれている方は少なくないみたいで、本作はタワレコ限定で、かつ1万5千円という高額のボックスセットにも関わらず、オリコンアルバムチャートではなんと34位にランクイン。いまだに高い支持を得ていることをうかがわせます。現在、車谷浩司も石田小吉も、新作をあまり発表しておらず、開店休業状態なのですが、最後には殴り合いの喧嘩をしたというあのCOMPLEXですら再結成ライブを実施しているだけに、Spiral Lifeも再結成して新作・・・とは言わないまでも、ライブくらい演ってくれないかなぁ・・・と思ってしまいます。あらためてSpiral Lifeが素晴らしいバンドであったことを実感させられるボックスセットでした。

評価:★★★★★

Spiral Life 過去の作品
FURTHER ALONG-20th anniversary mix-

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