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2024年4月21日 (日)

メロディーメイカーとしての才を感じる

Title:時をかけるメロディー
Musician:小山田壮平

小山田壮平約3年5ヶ月ぶり、ちょっと久しぶりとなるソロ2作目のニューアルバムがリリースされました。今さら説明不要かと思いますが、小山田壮平は、もともとandymoriのボーカリストとして活躍していたミュージシャン。andymori自体、かなり高い評価を受け、人気も獲得していたものの、2014年に惜しまれつつ解散。その後、小山田壮平はシンガーソングライターの長澤知之とバンドを結成。そちらも活動休止状態となり、2020年にはソロアルバムをリリース。さらに今回、ソロ2枚目のアルバムをリリースし、着実にキャリアを進めています。

いまさらながら、あらためて強く感じるのは小山田壮平のソングライターとしての天性の才能でしょう。今回のアルバムでも、まず特筆すべきは小山田壮平のメロディーメイカーとしての実力。まず冒頭を飾る「コナーラクへ」も、サビだけに特化することなく、楽曲全体としてポップに展開していくメロディーラインの妙に、まずは舌を巻きます。表題曲「時をかけるメロディー」もアコギアルペジオでフォーキーに聴かせつつ、しんみり聴かせる暖かみあるメロディーラインが魅力。ミディアムテンポのノイジーなギターロックナンバーである「彼女のジャズマスター」も、郷愁感あるメロが大きな魅力ですし、ラストを飾るフォークロックナンバー「スライディングギター」もメランコリックなメロを聴かせる楽曲となっています。

小山田壮平がメロディーメイカーとして才能があると感じられるのは、どの曲も決してインパクトある派手なサビがあるわけではなく、淡々とメロディーラインを聴かせつつも、しっかりと心に残るメロを書いてくる点でしょう。はっきり言って派手さはありません。ただ、わかりやすいフックの効いたメロを書かなくても、耳に残るメロディーラインを書いてくる点、小山田壮平の才能を強く感じます。サビでインパクトのあるメロを書いてくるのは、誰でも出来るとは言わないまでも、やはりメロを耳に残すという点ではやりやすい方法ですし、最近ありがちなメランコリックな曲調をメインにするのも、また比較的作りやすいメロディーです。しかし、本当に難しいのは本作の小山田壮平のように、決してわかりやすいフックの効いたメロを書かなくても、しっかりと耳に残るメロを書いてくること。そういう意味で小山田壮平の才能を強く感じさせます。

個人的に、そんな彼のメロディーメイカーとしての才能がもっとも際立ったのが「恋はマーブルの海へ」でしょう。ちょっと切なさを感じさせるメロディーラインは絶品。美メロという枕詞もピッタリとくるようなメロディアスなポップチューンに仕上がっています。小山田壮平のメロディーメイカーとしての才が最も発揮された1曲と言えるでしょう。

さらに、そんなメロディーの魅力に加えて、サウンド的にも凝った部分を感じさせるのも魅力。例えば「マジカルダンサー」も、バンドサウンドにピアノを入れた楽曲なのですが、加えて様々なナンバーをサンプリング。非常に凝った内容に仕上がっています。「アルティッチョの夜」もダイナミックなバンドサウンドがハードロック風で耳に残りますし、「月光荘」も後半、ホーンセッションが登場し、サンバ風に終了するのもユニーク。ちょっと凝ったサウンドに挑戦しようとするあたり、単純なポップスバンドとは一線を画するスタンスを感じ取れます。

派手さは決してないのですが、そのメロディーラインが心に残るそんなアルバム。申し分ない傑作です。ちょっとandymori解散後、ソロの小山田壮平への注目はちょっと薄くなってしまった感もするのですが、アルバムとしてはandymori自体と勝るとも劣らない充実ぶりを感じさせます。ソロとしてさらにキャリアを積み重ねることに期待できそうな作品。小山田壮平のこれからの活躍からも目が離せなさそうです。

評価:★★★★★

小山田壮平 過去の作品
THE TRAVELING LIFE


ほかに聴いたアルバム

BLUE CHEMISTRY/CHEMISTRY

CHEMISTRYの新作は6曲入りのミニアルバム。ただ、うち2曲はTHE FIRST TAKE時出演のセルフカバー音源、2曲は鈴木雅之及び松田聖子の楽曲のカバーで、オリジナルな新曲は2曲のみ。実質的には、昔ならシングルとしてリリースされていた2曲に、追加音源を加えて無理やりアルバム仕様にしたような作品。ただ楽曲の方はいつものCHEMISTRYらしい感じ。新曲のうち1曲目の「Play the Game」はリズミカルな打ち込みを入れたポップなナンバー。2曲目「No More」はしんみりと聴かせるナンバーとCHEMISTRYの2つの側面をしっかりと聴かせるような楽曲。カバー曲2曲はいずれも彼らの歌唱力をいかんなく発揮したミディアムチューン。新曲2曲のみとアルバムとしてはちと物足りなさも感じる部分はありつつ、CHEMISTRYの魅力はしっかりと伝えているアルバムになっていました。

評価:★★★★

CHEMISTRY 過去の作品
Face to Face
the CHEMISTRY joint album
regeneration
CHEMISTRY 2001-2011
Trinity
はじめてのCHEMISTRY
CHEMISTRY
THE Best&More 2001~2022 

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