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2024年4月15日 (月)

夢のタッグ

Title:Liam Gallagher & John Squire
Musician:Liam Gallagher & John Squire

最近ではソロミュージシャンとしても人気を獲得し、2022年にはoasis以来となるネプワースでのライブも成功させたリアム・ギャラガー。そんな彼の新作は、なんと、元ザ・ストーン・ローゼズのジョン・スクワイアとタッグ。マッドチェスターの中心的な存在で、もちろん、oasisにも大きな影響を与えたバンド、ザ・ストーン・ローゼズとタッグは、まさに文字通り「夢のコラボ」といって良いでしょう。ネプワースでのライブにジョン・スクワイアが飛び入りで参加するなど、両者は交流を深め、今回のタッグに至ったそうです。

そんな大物同士のタッグとなった本作。ともすればこういう大物同士のタッグはお互いの個性がぶつかりあった結果、チグハグな結果を出すことが多いのですが、これがジョン・スクワイアの書く曲にリアム・ギャラガーがピッタリとマッチ。もともとリアム自体、ローゼズに影響を受けていたこともあったのでしょうが、両者の相性の良さを感じさせる名曲が並んでいました。

冒頭を飾る「Raise Your Hands」は、まず王道とも言えるギターロックの作品。軽快で疾走感あるバンドサウンドとポップなメロディーが心地よく、ある意味、非常に素直さを感じます。続く「Mars To Liverpool」は美メロと称してもよいようなメロディアスでポップなメロディーラインが心地よいナンバーに。さらに「I'm A Wheel」は非常に力強いブルースギターを聴かせるブルースロックのナンバー。oasisでもソロでもここまでブルースに寄った作品は珍しいのですが、それでもリアムのボーカルはしっかりとマッチしています。

そして中盤に位置するのが先行シングルともなっている「Just Another Rainbow」。ミディアムテンポのグルーヴィーでサイケな作風は、まさにザ・ストーン・ローゼズを彷彿とさせるようなナンバーで、こちらもリアム・ギャラガーのちょっと気だるいボーカルにもマッチしています。いかにもoasis+THE STONE ROSESといった感じの曲で、この曲を先行シングルとして理由がよくわかります。

続く「Love You Forever」は力強いギターリフが、70年代を彷彿とさせるようなハードロックナンバー。かと思えば次の「Make It Up As You Go Along」はメランコリックで爽やかな、ポップなメロを聴かせる楽曲に。ここらへんのバラエティー富んだ展開も楽しいところ。そしてラストを飾る「Mother Nature's Song」も、ちょっとビートルズを彷彿とさせる懐かしくもメランコリックなメロを聴かせるギターロックのナンバー。ある意味、こちらはoasis以降のリアムの嗜好を感じさせる楽曲で締めくくられています。

個人的に、oasis解散後のリアムソロ作の中で、本作が一番ピンと来た作品になっていました。確かに、ここ最近のリアムソロ作は高い評価を受けて、それに従って人気の面も復活してきています。ただ、個人的にはoasis時代についたリアムのイメージに沿ったような「いかにも」な楽曲が多く、またそれゆえにやはりノエル曲と比べてしまうと・・・と感じてしまっていました。しかし今回の作品は、ジョン・スクワイアという、見方によってはノエル以上の伝説を持つソングライターを抱えています。その結果として、変にoasis時代のリアムに寄せようとすることなく、自然体でリアムのボーカルにもマッチした曲が聴けたように思います。またリアムについても、変に気負うことなく、ジョン・スクワイアの書いた曲に身をゆだねるように、自然体なボーカルスタイルで聴くことが出来ました。

個人的には年間ベストクラスの傑作にも思う本作。リアムのボーカルをしっかり堪能しつつ、ポップでグルーヴィーな楽曲を楽しむことが出来た傑作になっていました。oasisやローゼズのファンなら間違いなく要チェックの作品です。

評価:★★★★★

Liam Gallagher 過去の作品
AS YOU WERE
Why Me?Why not.
Acoustic Sessions
MTV Unplugged(Live At Hull City Hall)
Down by the River Thames
C'MON YOU KNOW
Knebworth 22

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