伝説のライブ
今回紹介するのは、かなりアンダーグラウンドなテイストの強いライブアルバム。「キングオブノイズ」という異名を持つノイズバンド、非常階段と、一部のライブハウスでは出禁になるほどの過激なパフォーマンスが話題を呼んだパンクロックバンド、ザ・スターリンの共演が大きな話題を呼んだ1981年4月に京都・磔磔で行われた伝説的ライブイベント「Answer」の模様を収録したライブアルバム。特に、ザ・スターリンのライブパフォーマンスはいままでブート盤でしか公表されたことはないそうで、今回、初の正式音源化ということでも大きな話題となっているようです。
Title:Answer 81 1981.4.19. Vol.1
Musician:非常階段+アウシュビッツ+ほぶらきん
こちらはその「キングオブノイズ」非常階段に、共演となるアウシュビッツ、ほぶらきんの3バンドが合わさったライブ盤。まず最初は非常階段の演奏が42分強、延々と続きます。即興のノイズパフォーマンスが続いていき、ただただ分厚いノイズが続くアバンギャルドな演奏。かなり好き嫌いは別れると思いますが、慣れてくると、不思議とこの不協和音的なノイズが心地よく聴こえてくるから不思議です(笑)。この音の洪水を延々に聴かされると、トリップして気持ちよくなるか、気が狂いそうになって気持ち悪くなるか、どちらかのような・・・。
その後のアウシュビッツ、ほぶらきんというバンドは今回が完全な初耳。アウシュビッツはノイズミュージックのためのインディーレーベルとして知られるアルケミーレコードをJOJO広重と共に立ち上げた、ロックバンドINUの元メンバーだった林直人のバンド。ダイナミックでヘヴィーなバンドサウンドを聴かせるロックバンドで、そのサウンドからはプログレからの影響も感じさせます。こちらも分厚いバンドサウンドとギターノイズで埋め尽くされた音が特徴的なのですが、力強い迫力ある演奏が印象に残ります。
そしてユニークだったのがほぶらきんというバンド。関西でわずか4年だけ活動し、4枚のEPと2枚のソノシートだけ残したバンドなのですが、かなりアバンギャルドでユーモラスあふれる音楽性が特徴のバンドで、一部でカルト的な人気を集めたとか。曲はどれも長くて2分程度という曲が続くのですが、フリーキーなサウンドをバックにとにかく叫びまくる音楽性がかなり自由でユニーク。かの石野卓球も音楽的に影響を受けたそうで、確かに、このユーモラスで自由な音楽性は、特に初期に電気グルーヴに通じるものも感じられました。
評価:★★★★★
Title:Answer 81 1981.4.19. Vol.2
Musician:ザ・スターリン
で、Vol.2がスターリンのライブ音源。彼らの音楽性はかなりストレートなパンクロック。疾走感あふれるバンドサウンドに、ボーカル遠藤ミチロウの激しくシャウトするボーカルが特徴的。このライブアルバムは全15曲という内容ながら、30分弱という長さで、1曲あたり2分弱。勢いがあり一気に楽曲を畳みかけるようなライブパフォーマンスとなっています。
音源的には決してクリアではなく、ザラザラとした音感があります。ただ、この決してクリアではない音が逆にまるでライブ会場にいるかのようなリアリティーを与えて、楽曲の迫力をより強く感じさせます。バンドサウンドはかなり荒々しく、とにかくパンクロックの初期衝動をそのまま体現化したようなサウンド。ある意味、売れてしまって毒気が抜かれた「パンクロックバンド」が多くなってしまっている現在ですが、まさにパンクロックが本来持っていた迫力と毒気が、そのまま伝わってくるようなライブアルバムとなっています。
これがパンクロックだ!ということを、ちょっと陳腐な表現ながらも強く感じさせるライブアルバム。これ、生で見たらすごかっただろうな・・・ということを感じてしまいます。確かに、Vol.1の3バンドあわせて、これが同じライブステージで見れたとしたら、かなり圧倒されたろうな、と感じますし、この4つのバンドが同じ場所にいたこと自体が驚きを感じます。確かに、これは「伝説」になるようなライブだ、ということを強く感じた作品。アンダーグラウンド的なバンドが並ぶアルバムですが、ぜひともチェックしてほしいライブアルバムです。
評価:★★★★★
非常階段 過去の作品
初音階段(非常階段 starring 初音ミク)
ザ・スターリン 過去の作品
I was THE STALIN~絶賛解散中~完全版
ほかに聴いたアルバム
Indian Burn/Ken Yokoyama
約2年半ぶりとなる横山健のニューアルバム。ある意味、非常にいい意味で愚直なメロディアスパンクといった印象で、シンプルでストレート、メロディアスなパンクロックのナンバーが並ぶアルバム。前作「4Wheels 9Lives」はバラエティー富んだ展開となっていましたが、本作は「Deep Red Morning Light」のように裏打ちのリズムで軽快に聴かせるようなナンバーもあったり、ヘヴィーなナンバーから、ポップなメロを押し出したナンバーまでそれなりにバリエーションも聴かせつつも、基本的にはシンプルなパンク志向の楽曲となっていたように感じました。
評価:★★★★
Ken Yokoyama 過去の作品
Four
Best Wishes
SENTIMENTAL TRASH
Ken Yokoyama VS NUMBA69(Ken Yokoyama/NAMBA69)
Songs Of The Living Dead
4Wheels 9Lives
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