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2024年4月

2024年4月30日 (火)

バンドとしてのカッコよさを感じる傑作

Title:ラヴの元型
Musician:AJICO

2021年に突如再結成し、さらには実に約20年ぶりとなる新作をリリースしたAJICO。ご存じの通り・・・・・・と言っても、以前活動していたのが20年以上前になるので、若い方はあまりご存じない方も多いかと思うのですが、ソロシンガーとして活躍していたUAが、元Blankey Jet Cityのベンジーこと浅井健一と組んだということで話題となったバンド。2021年の新作リリース後は、またしばらく活動はなかったのですが、約2年10か月ぶりのリリースに新作をリリース。再び、その活動を再開させました。

AJICOに関してちょっとユニークなのは、「UAとベンジーが組んだバンド」という点で話題でありながらも、今や、UAやベンジー自身の活動よりも人気を博している点でしょう。正直、UAもベンジーも、最近は一時期ほどの人気を確保しているとは言い難く、それぞれアルバムをリリースしてもチャートとしては20位圏内に入るもの難しいところ。しかし、AJICOとしては前作「接続」も、さらには本作もヒットチャートではベスト10入りしてくるという結果を叩き出しています。

ただ、理由としてはなんとなくわかるような気もします。まずは何よりもAJICOとしての楽曲がカッコいい、それに尽きるのではないでしょうか。まずなにより耳を惹くのが1曲目であり、表題曲でもある「ラヴの元型」。疾走感あるギターサウンドに、ちょっと気だるさを感じるUAのボーカルもカッコいいですし、なによりもグルーヴィーなベースのサウンドに惹きつけられます。個人的には2024年のベストソングの1曲かも?とも思えるほどの出来。2曲目「あったかいね」は、日常を切り取った歌詞の世界観まさにベンジーらしい、ベンジーのボーカル曲なのですが、メロディアスなメロディーラインもさることながら、微妙にサイケさも加わったドリーミーなバンドサウンドも耳を惹きます。

「微生物」もアコギのアルペジオで美しく聴かせつつ、UAの伸びやかなボーカルとメランコリックなメロディーラインが魅力的。「キティ」も疾走感あるドラムのビートがグルーヴ感を生み出していますし、最後を飾る「8分前の太陽光線」もメロウなUAのボーカルが魅力的な楽曲で、ちょっと幻想的な雰囲気も大きな魅力の楽曲で締めくくられています。

楽曲としては、基本的にベンジーが作曲で統一感を出しつつ、作詞はUA4曲とベンジー2曲という組み合わせ。SHERBETSだと、ベンジーのボーカルが非常に癖があるゆえか、全体的に「似たような曲が多い」という印象を抱いてしまうのですが、ここにUAボーカルが加わることによって、楽曲の幅がグッと広がる点、SHERBETSよりも売上面でAJICOが上回っている大きな要因なのかもしれません。また、加えて、ベースのTOKIE、ドラムス椎野恭一と繰り広げるバンドとしてのグルーヴも非常にカッコいい点も大きな要素でしょう。SHERBETSもバンドとしてもちろんカッコいいのですが、やはり「ベンジーのバンド」というイメージは否めません。AJICOについては、そんなイメージがなく、バンドメンバー4名が対等にその音を出しているあたりが、バンドとしてのカッコよさをより感じられる大きな要素なのかもしれません。

前作「接続」に勝るとも劣らない傑作で、今年のベスト盤候補の1枚と言っても間違いないでしょう。今後はまたマイペースに活動を続けるのでしょうか。なにげにUAとベンジーの相性も良いので、今後もコンスタントに活動を続けてほしいのですが。もちろんバンドとしても文句なしにカッコよさを感じさせる、そんな傑作でした。

評価:★★★★★

AJICO 過去の作品
接続


ほかに聴いたアルバム

天使だったじゃないか/Base Ball Bear

新作としては約2年4か月ぶりとちょっと久しぶりとなるベボベの新作は、彼らの原点であるギターロックに向き合ったコンセプトアルバム。いつもずっとギターロック路線だったじゃな、と思わなくもないのですが・・・。そう考えると、アルバムタイトルも、いかにも彼ららしい感じなのですが、あえて狙ったということなのでしょう。実際、楽曲についてもベボベらしい分厚いノイジーなギターサウンドを軸としてギターロックの楽曲が並びます。最後に収録された「Power(Pop)of Love」も、冒頭の掛け声が、デビュー当初、彼らが色濃く影響を受けていたナンバーガールそのままなのですが、おそらくそれも狙ったことなのでしょう。核になるようなインパクトのある曲がなかった点はマイナスですが、この路線でフルアルバム1枚は聴いてみたいかも。

評価:★★★★

Base Ball Bear 過去の作品
十七歳
完全版「バンドBについて」
(WHAT IS THE)LOVE&POP?
1235
CYPRESS GIRLS
DETECTIVE BOYS

新呼吸
初恋
バンドBのベスト
THE CUT
二十九歳
C2
増補改訂完全版「バンドBのベスト」
光源
ポラリス
Grape
C3
DIARY KEY

Palehell/Paledusk

最近、注目を集めているロックバンドによる新EP。日本のみならず、海外で活躍しているロックバンドでBRING ME HORIZONの楽曲の編曲を手掛けたり、Lil Uzi Vertに楽曲提供したりと、海外での活躍も目立ちます。楽曲的にはメタルの影響をダイレクトに受けつつ、ハードコアの色合いも感じさせるバンド。今回、このEP盤ではじめて聴いてみました。かなり迫力あるメタリックなサウンドながらも、シンセなども取り入れて、テンポよいリズムもあり、意外とメロディアスで聴きやすく、いい意味でも「人なつっこさ」を感じます。海外での活動も視野に入れているあたりも含めて、coldrainやFACTあたりに近い印象も。海外での活動も含めて、今後に期待したいバンドと言えるでしょう。

評価:★★★★

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2024年4月29日 (月)

はじめてのTM NETWORKワンマン!

TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days 〜YONMARU〜

会場 大阪城ホール 日時 2024年4月26日(金) 19:00~

Tmlive

自分が中学時代から大好きなバンドのひとつだったTM NETWORK。それだけにワンマンライブにも是非一度、足を運びたいと思っていたのですが、TMが活動再開してからもなかなかその機会がありませんでした。で、今回のワンマンライブ。ちょうど大阪出張の日程と重なり、最初、このライブを見ると、自宅に帰るのがかなり遅くなってしまう可能性もあったので躊躇したのですが、正直、TMのメンバーも、もうそこそこの年。見れる機会があるうちに見ておかないと!と思い、足を運んできました。大阪城ホールへ行くのも今回はじめてです。

もともとTM NETWORKのライブは定時にはじまって、定時に終わる、ということで定評がある(?)ということは聴いていたのですが、この日も開演時間の19時ほぼピッタリにスタート。メンバー3人がステージに出てくると、代表曲のひとつ「Self Control (方舟に曳かれて)」からスタート。いきなりのおなじみのナンバーからのスタートと共に、なんといってもあの3人がステージ上に並んでいる姿を目撃して、胸が熱くなる思いもしました。

ただ驚いたのは2曲目。「Maria Club(百億の夜とクレオパトラの孤独)」と、アルバム「Self Control」収録曲の、かなりマイナーなナンバーをいきなり披露。続く3曲目も「1974(16光年の訪問者)」と彼らの最初期のナンバー。こちらは当時のMVがバックに流れ、ちょっと懐かしさを感じさせます。

さらに続いての曲は新曲。宇都宮隆は一度ステージから去り、最初は木根尚登がアコギ弾き語りで、後半は小室哲哉がボーカルを取るスタイル。40周年を迎えた彼らが、いままでの活動を振り返りつつ、ファンへの感謝を述べる歌詞も印象的で、非常にメッセージ性の強い楽曲となっていました。その後は宇都宮隆が再びステージに戻り、「Confession~告白~」とこれまた懐かしいナンバーをしんみりと聴かせてくれます。

そしてここからなんとアルバム「CAROL 〜A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991〜」に収録されていた「Carol組曲」を一通り披露。バックの映像ではアルバムリリース当時では再現できなかった、AIが作り出した「Carol」の世界が映し出され、しばし「Carol」の世界を味わうことが出来る構成に。最後は「JUST ONE VICTORY (たったひとつの勝利)」で締めくくり。まさかの「Carol」再現ライブを披露してくれました。

ここでメンバー3人は一度ステージを去り、サポートメンバー2人のソロ。TM NETWORKワンマンと言うと、MCは原則無しということを聴いていたので、どのような形でサポートメンバーの紹介をするのかな、と思っていたのですが、サポートメンバーのソロコーナーが用意され、その時にバックの映像で、メンバーそれぞれの名前が紹介。ドラムは阿部薫、ギターはFENCE OF DEFFENSEの北島健二という、これまたファンにはおなじみのサポートメンバーがこの日のステージには参加していました。

後半では、ここでようやく「Whatever Comes」と最近の楽曲に。と思いきや、続いては「RAINBOW RAINBOW (陽気なアインシュタインと80年代モナリザの一夜)」とこれまた最初期のナンバーを聴かせてくれます。そしてステージ上からは小室哲哉以外は一度姿を消し、彼のソロパートへ。リズミカルなエレクトロのナンバーをしっかり聴かせつつ、激しい火を使ったような特効を用いて会場を沸かすと、やがて聴こえてきたのはおなじみのあのナンバーのイントロ・・・そう、ここでお待ちかねの「GET WILD」の登場となりました。

ここからライブは終盤へ。「GET WILD」で会場が大盛り上がりとなった後は、これまた懐かしい「ACCIEDNT」、そしてラストは最後のナンバーとしてはちょっと意外だった「ELECTRIC PROPHET (電気じかけの予言者)」で締めくくり。最後は3人が去っていく姿を映像で大きく映し出してエンディングへ。40周年を迎えた心境と、これからもまだまだ音楽を続けていくメッセージを残し、ピッタリ1時間50分、ライブは幕を下ろしました。

完全にMCなし、アンコールもなしの1時間50分。非常に考え込まれたステージを見せてくれるという話は聴いていたのですが、確かにライブ全体として非常に考え込まれて、作りこまれた構成のステージとなっていました。とても完成度の高いステージ。もっとも、その分、ライブであるがゆえのアクシデントが発生するような、そしてライブの魅力のひとつでもある「偶然性」は薄いとも言えるのですが、ただ、この計算しつくされたパフォーマンスもまた、TM NETWORKのライブの味と言えるでしょう。

個人的にうれしかったのが選曲。彼らの「ベストアルバム」に収録されるような代表曲的な曲ではなく、むしろ「アナザーベスト」的な曲に収録されそうな、ファンならば知っているけども一般的にはあまり知られていないような曲が並ぶ選曲。ファンにとってはおなじみのナンバーが多いだけに「マニアック」とまではいかないまでも、誰もが知っているような曲が並ぶような選曲ではなく、そういう意味では非常にファン向けのパフォーマンスと言えるのかもしれません。今回のライブは40周年の記念ライブ。それだけに、この絶妙な選曲は、永年のファンに向けた感謝の意味を込めた選曲なのかもしれません。

待望のTM NETWORKワンマン。もちろん非常に懐かしい思いに浸りつつ、やはり迷ったけどライブに来てよかった、そう感じながら会場を後にすることが出来ました。最後のメッセージからも、今後も彼らは活動を続けてくれそう。また次のライブにも、是非足を運びたいです!

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2024年4月28日 (日)

貴重なパフォーマンス

Title:Live At The Wiltern
Musician:The Rolling Stones

2021年にドラムスのチャーリー・ワッツが惜しまれつつこの世を去ったものの、2023年にはニューアルバムもリリースされ、いまだに現役で活動を続ける偉大なるロックンロールバンド、The Rolling Stones。最近では、過去の偉業を後世に残すべく、ライブアルバムのリリースが続いていますが、今回のアルバムもそんな1枚と言えるでしょう。2002年にバンド結成40周年を記念してリリースされたコンピレーションアルバム「Forty Licks」を引っ提げて行われたライブツアー「リックス・ワールド・ツアー」。本作はそのうち、2002年11月4日にロサンゼルスのウィルターン・シアターでのライブの模様を収録したライブアルバムとなります。

このライブアルバム、大きな特徴として2つあります。まず1点が、このライブ会場がスタジアムではなく、収容人数わずか2,000人というホールでのライブという点。彼らとしてはかなりこじんまりとしたステージでのパフォーマンスで、まさに非常にレアなステージと言っていいでしょう。そのため、パフォーマンスとしてはスタジアムライブよりもタイトなバンドの演奏をしっかりと聴かせるステージだったと思います。

とはいえ、ステージ狭しと走り回るミック・ジャガーのパフォーマンスは変わりませんし、ホーンセッションやコーラス隊も率いた大所帯のステージも、スタジアムのライブとは変わりません。言うまでもありませんが、今から20年以上前のパフォーマンスとはいえ、2002年の段階で既に大ベテランだった彼ら。スタジアムでもホールでも、ベテランバンドらしい安定感あるステージパフォーマンスをきっちりと見せてくれています。

もうひとつ大きな特徴だったのが、この日のセットリストは、おなじみの楽曲がない一方、レア曲が並ぶパフォーマンスだった、という点。ライブは「JUMPIN' JACK FLASH」ではじまり、最後は「TUMBLING DICE」で終わる、とまあ、ここらへんはライブでもおなじみのナンバーなのですが、「刺青の男」に収録されている「NEIGHBOURS」や「Emotion Rescue」に収録されている「DANCE,PART1」、さらに「Sticky Fingers」収録曲の「CAN'T YOU HEAR ME KNOCKING?」など、ライブでは珍しい曲が並ぶセットリストとなっています。

その分、おなじみの「悪魔を憐れむ歌」や「STREET FIGHTING MAN」などといった曲は演奏されなかったのですが、ただ、このホールライブというスタイルといい、レア曲が並ぶセットリストといい、ライブ全体として、かなり特殊なパフォーマンスだった、と言えるでしょう。そういう意味でも貴重なライブ音源と言えるかもしれません。

もうひとつ、本作の見どころとして、中盤にゲストとしてソウルミュージックのレジェンド、ソロモン・バークが登場してくる点でしょう。ソロモンの代表曲「EVERYBODY NEEDS SOMEBODY TO LOVE」をミックとソロモンのデゥオで歌い上げています。ソロモンも2010年に鬼籍に入ってしまったため、今となってはかなり貴重なパフォーマンスを楽しむことが出来ます。

非常に貴重なライブパフォーマンスを楽しめる本作。ここ最近、ライブアルバムが数多くリリースされて、なかなか追い切れない部分もあるのですが、こちらはファンとしては間違いなく要チェックの作品でしょう。DVDもしくはBlu-rayでの映像も収録されているバージョンもリリースされていますので、音源と映像で、貴重なパフォーマンスを楽しめるライブアルバムでした。

評価:★★★★★

The Rolling Stones 過去の作品
Shine a Light: Original Soundtrack
Some Girls LIVE IN TEXAS '78
CHECKERBOAD LOUNGE LIVE CHICAGO 1981(邦題 ライヴ・アット・ザ・チェッカーボード・ラウンジ・シカゴ1981)
(MUDDY WATERS&THE ROLLING STONES
GRRR!
HYDE PARK LIVE
Sweet Summer Sun-Hyde Park Live
Sticky Fingers Live
Blue&Lonesome
Ladies & Gentlemen
ON AIR
Voodoo Lounge Uncut
Honk
The Rolling Stones Rock and Roll Circus
A Little Bang (Bigger Bang Tour EP)
GRRR Live!
Licked Live In NYC
Hackney Diamonds
Hackney Diamonds(Live Edition)


ほかに聴いたアルバム

Blue Lips/ScHoolboy Q

前作まで3作連続ビルボードチャートでアルバムがベスト3入りを記録。グラミー賞へのノミネート経験もあるアメリカの人気ラッパー、ScHoolboy Qの約5年ぶりとなるニューアルバム。ただ、ちょっとインターバルがあった影響か、本作はビルボードチャート最高位13位に留まり、人気の面ではひと段落してしまった感もあります。とはいえ、怪しげでダークながらも、メランコリックさを感じるサウンドは耳を惹きますし、リズミカルなビートも加わり、インパクトは十分。まだまだその実力に衰えは感じさせない、そんな作品に仕上がっていました。

評価:★★★★

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2024年4月27日 (土)

フォーキーなメロが素直に楽しめる

Title:Keeper Of The Shepherd
Musician:Hannah Frances

Hannah-frances 

今回紹介するのはアメリカはシカゴを拠点に活動している女性シンガーソングライターによる新作。インディーシーンで活動を続けるミュージシャンのようで、まだまだ知名度の面では「知る人ぞ知る」的なミュージシャンのよう。今回のアルバムはメディアなどに高い評価を受け、注目を集めているようです。幅広い活動が特徴的で、シンガーソングライターのみならず、詩人やムーブメントアーティストとしても活動しているようです・・・・・・ムーブメントアーティストって何??

楽曲はフォーキーな作風が特徴的ながらも、分厚いバンドサウンドを取り入れて、よりサイケ的な要素を加えた、いわばアシッドフォークと言われるジャンルの音を奏でています。冒頭を飾る「Bronwyn」はまさにそんな挨拶代わりの1曲といった感じで、最初は静かにフォーキーに聴かせつつも、力強いドラムのリズムや、さらには中盤からストリングスの音色も加わり、後半はそんな分厚いサウンドの洪水が押し寄せてくるようなナンバーに仕上がっています。

続くタイトル曲「Keeper of the Shepherd」は軽快なカントリー風のナンバーで爽やかなポップチューンとなっているのですが、続く「Woolgathering」はアコギアルペジオでしんみり聴かせるフォーキーな作風ながらも、背後に重低音のドローン的なサウンドが静かに鳴り響いており、楽曲にアシッド感を加えています。「Floodplain」も同じくアコギをかき鳴らしつつフォーキーな楽曲を聴かせつつも、バックにはストリングスがフリーキーなサウンドを流し続けている点が特徴的。フォーキーな歌を前面に押し出しつつ、分厚いサウンドでサイケに聴かせる手法が耳を惹きます。

清涼感あるものの、ダウナーに低音部を聴かせるHannah Francesのボーカルも魅力的。そんな彼女のボーカルの魅力がいかんなく発揮されたのが「Husk」で、ストリングスでドリーミーに聴かせるサウンドをバックに、彼女の美しい歌声でこれでもかというほど伸びやかに歌い上げている楽曲。続く「Vacant Intimates」でも、分厚いサウンドでダイナミックに聴かせるバンドサウンドをバックとして、彼女の力強いボーカルが映える楽曲となっています。

ラストを飾る「Hauted Landscape,Echoing Cave」も音の洪水が繰り広げられるようなサイケな楽曲。フリーキーさを感じるサックスもあり、ジャズの要素も感じられる楽曲に。こちらもバックのサウンドに負けないHannahの美しい歌声も魅力的な楽曲。最後までドリーミーさを感じる美しいサウンドと、彼女の歌声、そしてフォーキーな歌を楽しめるアルバムとなっていました。

彼女みたいなタイプのアシッドフォークのミュージシャンはあまり珍しい訳ではないため、目新しさがあるかと言われると微妙な感じは否めませんし、圧倒的な個性を持ったシンガー、といった訳ではありません。ただ、美しいメロディーラインと、そのメロをしっかり支える、分厚いアシッドなサウンドは魅力的。素直に良いアルバムと楽しめる作品になっていました。知名度の面ではこれからなミュージシャンですが、これからの活躍も楽しみです。

評価:★★★★★

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2024年4月26日 (金)

今なお、新たなサウンドにも挑戦

Title:The Collective
Musician:Kim Gordon

元SONIC YOUTHのキム・ゴートンによる、単独名義のソロでは2枚目となるアルバム。2019年にソロ1作目「No Home Record」をリリースしていたのですが、こちらはノーチェックでした・・・。今回の作品では、その前作でタッグを組んだジャスティン・ライセンが再びプロデュースを手掛けた作品となっています。

1曲目は先行シングルともなっている「BYE BYE」からスタートするのですが、まずこれがトラップのリズムからスタートするのが非常に驚かされました。トラップ的なリズムに踏み切りの警報音が鳴る不気味なスタートは、ちょっとベタで、純粋にHIP HOPとしてみた場合には、最先端の音、とは言えないものの、(女性の年齢を言うのは失礼ながらも)齢70歳となる超ベテランミュージシャンの彼女が、いまからこのような今風のサウンドを自らの音として取り入れるアグレッシブなスタイルは驚きとしか言いようがありません。

その後は基本的にインダストリアルやノイズの楽曲が続きます。「I Don't Miss My Mind」はメタリックなビートが鳴り響くインダストリアルなナンバー。「It's Dark Inside」もダイナミックでヘヴィーなノイズが耳を突くナンバー。「The Believers」も空間を切り裂くようなメタリックでダイナミックなサウンドが印象に残ります。

また、ノイジーでメタリックなサウンドをバックに流れるキム・ゴートンの歌声・・・というより「語り」も印象的。女性ボーカルらしい「清涼感」が、サウンドと対比してアルバムの中で大きなインパクトとなっています。それと同時に彼女のボーカルからは、バックのサウンドに負けないパワフルさも感じられ、その点もアルバムの大きな魅力だったと言えるでしょう。

さらに大きな特徴として、1曲目にも顕著だったHIP HOPからの影響を感じる点。「I'm A Man」も不穏なノイズが鳴り響く楽曲ですが、こちらもスネアのリズムにはHIP HOPからの影響も感じます。「Psychedelic Orgasm」「Shelf Warmer」にも同じく、HIP HOP的なビートが垣間見れます。ともすれば、場合によっては新しいものを嫌悪しそうな年齢にも関わらず、ちゃんと今の耳にアップデートされているという柔軟性には感心させられますし、ある意味、SONIC YOUTHとして先端を走ってきた彼女の矜持のようなものも感じました。

もちろん、アルバム自体も傑作・・・それも今年を代表する傑作の1枚とも言えるだけの充実作だったと思います。いまなお、シーンの先を走り続ける彼女にあらためて感心する傑作アルバム。現在、70歳とはいえ、まだまだ充実した活動が続きそうです。

評価:★★★★★

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2024年4月25日 (木)

また1位2位は男性アイドル勢

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

1位2位は男性アイドルグループ。

まず1位は韓国の男性アイドルグループBOYNEXTDOORの2枚目のミニアルバム「HOW?」が獲得。CD販売数1位、ダウンロード数9位。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上7万6千枚で1位初登場。前作「WHY...」の初動4万枚(3位)からアップしています。

2位はこちらは日本のアイドルグループ超特急「Just like 超特急」がランクイン。初となるミニアルバム。CD販売数及びダウンロード数2位。オリコンでは初動売上5万枚で2位初登場。前作「B9」の初動5万9千枚(2位)からダウン。

3位は先週の1位から2ランクダウン宇多田ヒカルのベストアルバム「SCIENCE FICTION」。CD販売数は1位から3位にダウンしましたが、ダウンロード数は1位をキープしています。

以下、4位からの初登場盤の紹介。4位はFANTASTICS from EXILE TRIBE「FANTASTICS ARENA LIVE 2023 "HOP STEP JUMP" LIVE CD」。LDH所属の男性ダンスグループによるライブ盤。5位Taylor Swift「The Tortured Poets Department」。日本でも高い人気を誇るアメリカのシンガーソングライターの新作。6位初登場はEvan Call「TVアニメ『葬送のフリーレン』Original Soundtrack」。日テレ系アニメ「葬送のフリーレン」のサントラ盤。Evan Callはアメリカ出身ながらも、来日して主にアニメの劇伴歌を作成している異色の作曲家。7位には蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ「Dream Believers (104期 Ver.)」が初登場。「ラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ」に登場する架空のアイドルグループ。8位は粗品「星彩と大義のアリア」。お笑いコンビ霜降り明星のメンバーであり、ボカロPとしての活動実績もあるお笑いタレントのアルバムデビュー作。9位には韓国の男性アイドルグループNCT DREAMのミニアルバム「DREAM( )SCAPE」が初登場。そしてラスト、10位にはTM NETWORK「40+~Thanks to CITY HUNTER~」がランクイン。アニメ「シティーハンター」に関連する曲をまとめた40周年の記念アルバムです。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

今週1位を獲得したのはBABYMONSTER「SHEESH」。4月1日にリリースされたミニアルバム「BABYMONS7ER」の表題曲となります。ただ、「Heatseekers Song」にランクインしているものの、ミニアルバム「BABYMONS7ER」はHot Albumsで17位にランクインされており、若干、「Heatseekers Song」の意図からは外れているような感もあります。


今週のTikTok Weekly

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=tiktok

先週2位にランクインしていた韓国の女性アイドルグループILLIT「Magnetic」が初の1位を獲得。Hot100でも6位にランクインしているのですが、ストリーミング数が2位にランクアップしてきているので、TikTok人気を考えると、ロングヒットになりそうな感もあります。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

しばらく「好きな惣菜発表ドラゴン」が1位をキープしていましたが、今週は2位にダウン。代わって1位にランクインしたのは吉田夜世「オーバーライド」でした。3月27日付チャートから4週ぶりの1位返り咲き。リズミカルでテンポよいナンバーながらも、マイナーコード主体のメランコリックなメロに、かなりダークな世界観の歌詞は、良くも悪くもボカロ系らしさも感じます。

今週は以上。チャート評はまた来週に!

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2024年4月24日 (水)

Creepy Nutsの独走状態か?

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

Creepy Nutsが独走状態の様を呈してきました。

今週も、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」。これで13週連続の1位&14週連続のベスト10ヒット。ストリーミング数、YouTube再生回数、カラオケ歌唱回数いずれも1位をキープ。ダウンロード数も5位から3位にアップしています。一方、Creepy Nutsにとって代わっての1位を伺っていた米津玄師「さよーならまたいつか!」は今週4位にダウン。ダウンロード数は今週も1位をキープしているものの、ベスト3から陥落。また、同じくロングヒットで上位を伺っていたOmoinotake「幾億光年」は4位から5位にダウン。ベスト10ヒットを10週連続に伸ばしているものの、ストリーミング数が2位から3位にダウン。tuki.「晩餐歌」も先週から7位をキープしているものの、ストリーミング数が5位から6位にダウン。これで21週連続のベスト10ヒットとなったものの、ここから上位への巻き返しは厳しそう。米津玄師の巻き返しがない限り、Creepy Nutsの独走状態が続きそうです。

このCreepy Nutsに続いて2位にランクインしたのが女性アイドルグループME:I「Click」。日韓合同によるオーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS」出身の女性アイドルグループのデビューシングル。CD販売数で1位を獲得。ほか、ダウンロード数10位、ストリーミング数17位、ラジオオンエア数2位を記録し、総合順位で2位を獲得しています。オリコン週間シングルランキングでは同曲を収録したシングル「MIRAI」が初動売上23万2千枚を獲得して1位初登場しています。

3位はレコ大受賞及びそれに伴う「ケセラセラ」の大ヒットにより人気上昇中のロックバンドMrs.GREEN APPLE「ライラック」が先週の11位からランクアップし、ベスト10入り。テレビ東京系アニメ「忘却バッテリー」オープニングテーマ。ダウンロード数及びストリーミング数で4位、ラジオオンエア数8位、YouTube再生回数3位を獲得し、総合順位では見事ベスト3ヒットを記録しました。彼ららしい非常に爽やかでちょっとメランコリックなポップチューン。「ケセラセラ」に続きロングヒットとなるのでしょうか。

続いて4位以下の初登場曲ですが、初登場はあと1曲。9位にaiko「相思相愛」がランクイン。ダウンロード数5位、ストリーミング数12位、ラジオオンエア数3位。5月8日リリース予定のシングルからの先行配信で、劇場版「名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)」の主題歌。昨年の名探偵コナンの映画主題歌のスピッツ「美しい鰭」はロングヒットを記録しましたが、それに続くヒットとなるのでしょうか。

その他のロングヒットですが、今週、8位にランクインしているVaundy「タイムパラドックス」が8週目のベスト10ヒットを記録しています。映画「ドラえもん のび太の地球交響楽」主題歌である本作。現段階で最高位が7位と、派手なヒットは見せていないものの、7位から9位の間でしぶとくチャートをキープ。「怪獣の花唄」以来のヒットを記録しています。今後、さらに上位へ食い込むヒットとなるのでしょうか。

YOASOBI「アイドル」は先週と変わらず10位をキープ。なんとかベスト10ヒットを連続54週に伸ばしています。ただし、ストリーミング数は7位から8位にダウン。来週はついにベスト10陥落となるのでしょうか。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&各種チャート評をお届けします。

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2024年4月23日 (火)

レトロポップが耳を惹く

Title:Visions
Musician:Norah Jones

2021年にはクリスマスアルバム「I Dream Of Christmas」がリリースされ、さらにはライブアルバム「'Til We Meet Again」もリリースされていますが、オリジナルアルバムとしては2020年の「Pick Me Up Off the Floor」以来、約3年9か月ぶりとなるノラ・ジョーンズのニューアルバム。よほど相性が良かったのか、直近のクリスマスアルバム「I Dream Of Christmas」のプロデュースを手掛けたリオン・マイケルズが今回もプロデュースを担当しています。

さて、Norah Jonesといえば、以前からジャズ・シンガーという部分に軸足を置きつつも、ジャズというジャンルに捉われない、幅広い音楽性が大きな魅力ですが、今回のアルバムもまた、Norah Jonesの幅広い音楽性を感じさせる作品となっています。今回、目だったのはレトロポップとも言える、50年代あたりのポップミュージックを彷彿とさせる音楽性。特に1曲目「All This Time」は、ちょっとくすんだ雰囲気の音楽に、キュートな歌声を甘ったるく聴かせるあたり、非常にレトロな雰囲気を醸し出しています。続く「Staring at the Wall」も50年代のレトロなガールズポップを彷彿とさせる、ちょっとガレージも入ったようなサウンドも魅力的。「Queen of the Sea」は、ムーディーなボーカルがNorah Jonesらしさを感じさせるのですが、こちらもどこか懐かしい雰囲気を感じる楽曲となっています。

中盤のタイトルチューン「Visions」以降は、ムーディーな雰囲気でしんみりと聴かせる、いわばNorah Jonesらしい楽曲に。特に「I Just Wanna Dance」は、タイトルとは裏腹のミディアムチューンの聴かせるナンバーで、ムード感たっぷりに歌い上げる彼女の歌声が魅力的。ただ、この曲に関しても、70年代ソウルの影響を感じさせるようなホーンセッションが、楽曲にどこか懐かしい雰囲気を加えています。

そして後半も、再びレトロな雰囲気が魅力的な楽曲に。「Swept Up in the Night」などはまさしく、ピアノやホーンセッションを入れつつ、伸びやかな歌声を着かえるナンバーですが、どこかくすんだ雰囲気に、甘さを感じるサウンドにレトロさを感じさせますし、最後を締めくくる「That's Life」もピアノの音色やコーラスラインに懐かしさを感じさせる、レトロな雰囲気たっぷりのキュートなポップチューンで締めくくっています。

レトロな作風の中でもやはり際立つのが美しく聴かせる表現力たっぷりのNorah Jonesのボーカル。この点に関しては、いままでのアルバムとはもちろん全く変わらず、今回の作品でも大きな魅力となっています。今回のアルバムでも、ジャジーな要素は感じさせますし、「大人のポップス」という枠組みで表現できそうなのは、いつものNorah Jonesと同じ方向性とも言えるかもしれません。ただ、そんな中でも、レトロな雰囲気でスウィートという表現がピッタリ来るような音楽性が大きな魅力。新たな彼女の姿も感じさせますし、その新鮮さがインパクトとなり、個人的にもここ最近の彼女のアルバムの中では指折りの出来だったと思います。今なお進化を続ける彼女。Norah Jonesらしさを維持したまま、新たな魅力を出した、傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

NORAH JONES 過去の作品
THE FALL

...FEATURING NORAH JONES(ノラ・ジョーンズの自由時間)
LITTLE BROKEN HEARTS
COVERS(カヴァーズ~私のお気に入り)
foreverly(BILLIE JOE+NORAH)
DAY BREAKS
First Sessions
Begin Again
Pick Me Up Off The Floor
'Til We Meet Again
I Dream Of Christmas


ほかに聴いたアルバム

Underdressed at the Symphony/Faye Webster

アメリカ・アトランタを拠点に活動する女性シンガーソングライターの新作。個人的には、前作「I Know I'm Funny haha」に続いて彼女のアルバムを聴くのは2枚目。ゆっくりと歌を聴かせるポップなメロディーラインが魅力的ながらも、バンドサウンドを取り入れた比較的ロックなアレンジが魅力的。全体的にも、前作に引き続き、ポップなメロとほぼよくロックなアレンジのバランスが良く、広いリスナー層にお勧めできそうな1枚となっています。前作で「ブレイク寸前」と紹介し、残念ながら今でもブレイクには至っていないのですが・・・まだまだこれから知名度が広がる予感もあるミュージシャンです。

評価:★★★★★

Faye Webster 過去の作品
I Know I'm Funny haha

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2024年4月22日 (月)

はじめての浪曲

Title:ギター古事談
Musician:景友

今回紹介するのは、ちょっと異色的な1枚です。ジャンルはなんと浪曲。天中軒景友という名前で浪曲師として活躍する彼のアルバム。ただ、浪曲でありながら、今風のギターサウンドを取り入れた作風を持ち味としており、本作もプロデューサーはあの久保田麻琴。ミュージックマガジン誌に取り上げられていたこともあり興味を抱き、今回、はじめて「浪曲」というジャンルに挑戦してみました。

ただ、とはいえ浪曲についてはどんなジャンルのか全く知らない状況。まず「浪曲」って何だろう?ということを知るためにも、戦前から戦後にかけて、圧倒的な人気を誇った浪曲師、二代目広沢虎造のアルバム「決定盤<浪曲>広沢虎造集」を聴いてみました。

「浪曲」というと、イメージとしては演歌の元となった、これでもかというほどこぶしを利かせたうねるような節回しの歌、というものでした。ただ、今回はじめて知ったのですが、浪曲って、メインとなるのは物語の「語り」なんですね。で、その「語り」の間に主人公の心象風景を綴った「歌」を聴かせるというスタイル。もともと浪曲は、落語、講談と並び、日本三大話芸と言われているそうで、あくまでも「語り」の部分がメイン。あのうねりを利かせた曲が延々と続くのは辛いなぁ、と思っていたのですが、そういう意味では思ったよりも楽しめました。

ただ一方で、じゃあ今後も積極的に浪曲を聴きたくなったか、と言われると答えは「否」。なぜかというと、浪曲で(少なくとも広沢虎造が活躍していた時代)語られる物語は義理人情に「男とはこうあるべき」「女とはこうあるべき」という建て前の世界観。正直、アラフィフに近くなった私くらいの世代でもかなり聴いていて「時代遅れ」に感じてしまう世界観。積極的に楽しむには厳しい感じは否めません。浪曲が、完全に時代遅れとなってしまい、今、ほとんど聴かれなくなった理由もわかるように思います。

そういう前提で今回、この景友のアルバムを聴いてみたのですが、確かに、この浪曲の世界観はかなり今の時代にアップデートされていました。

本作は2作からなっており、1作目は「人斬り以蔵」で2作目が「舶来巾着切」。「人斬り以蔵」は、その異名で知られた、幕末時代に活躍した土佐藩士、岡田以蔵について、後の時代に勝海舟が昔を振り返って語る形で物語は進行していきます。日本を変えようとして数多くの志士が立ち上がる中、思想性がなく、ただ人を斬ること自体を自己実現の手段としてしまった岡田以蔵の生涯を描いた哀しい物語。ここらへんの岡田以蔵の描き方は、「竜馬が行く」などの歴史小説、ドラマとも共通している部分なのですが、焦点があてられているのは時代にほんろうされてしまう男の物語で、今の時代でも通用するテーマ性となっています。

「舶来巾着切」は、明治初期の頃を舞台に、外国人の巾着切=スリをテーマとした物語で、こちらも異国の地でスリとして生きざるを得なかった男の哀しみを描いた作品。こちらも今の時代でも受け入れられるテーマを持った作品となっています。そういう意味で、今の時代、さすがの浪曲師も、今の時代の価値観にしっかりとアップデートした作品を演じ続けているということなのでしょう。

また、景友に関して面白いのは、その浪曲の「曲」の部分も今の時代にアップデートしているという点で、三味線の音色は入れつつも、アコースティックギターで、ともすればロックやフォーク寄りの楽曲が入ってきたり、さらには「舶来巾着切」では、なんとフラメンコのギターすら登場します。こぶしをこれでもかと聴かせる従来の浪曲のスタイルはほとんどなく、この音楽性なら、今の時代にもすんなり受け入れられる内容になっていると思います。

そういう意味では、広沢虎造の浪曲に関しては正直、他の作品を聴いてみたいとは思わなかったのですが、景友に関しては、他の作品も聴いてみたいし、機会があれば一度、ライブにも行ってみたい、と思うほど楽しめる作品になっていました。時代にアップデートした内容とはいえ、もっと若い世代、20代30代に遡及する内容か、と言えば微妙な部分はありますし、そういう意味では40代だからこそ楽しめた内容と言えるのかもしれませんが、それでも物語を含めて、とても楽しめた1枚となっていました。これで浪曲の魅力をちょっとは感じられたかもしれません。

「浪曲」というジャンルよりも、「語り芸」に興味がある方は、チェックしてほしい1枚かも。特に、日本の昔ながらも大衆芸能に興味がある方ならば、「浪曲」というジャンルの入口としては申し分ないアルバムだと思います。予想以上に楽しめた、今後も景友の作品を聴いてみたいな、と強く思えば傑作でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Coral/辛島美登里

途中、ベスト盤やカバーアルバムのリリースはあったものの、オリジナルアルバムとしては実に10年ぶりとなる、デビュー35周年の記念アルバムとなった本作。1曲目「Favorite Phrase」は、なんと槇原敬之が作詞作曲が加わり、彼自身コーラスでも参加している楽曲。ただ、彼女のボーカルによって完全に辛島美登里らしいナンバーになっているのがユニーク。さらには、永井真理子に提供した「Keep On "Keeoping On"」を永井真理子とのデゥオで披露。永井真理子は「シロツメクサ」でも参加しており、全体的には懐かしさあふれるアラフィフ世代感涙モノの内容になっています。もっとも、楽曲的にはいつもの辛島先生らしいメロディアスで爽やかで、ちょっとメランコリックな楽曲が並ぶ感じ。デビューから35年たっても、前作から10年の月日を経ても、いい意味で変わらぬ辛島先生らしさを感じられるアルバムでした。

評価:★★★★

辛島美登里 過去の作品
オールタイムベスト
辛島美登里 パーフェクトベスト
colorful
Cashmere
カーネーション

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2024年4月21日 (日)

メロディーメイカーとしての才を感じる

Title:時をかけるメロディー
Musician:小山田壮平

小山田壮平約3年5ヶ月ぶり、ちょっと久しぶりとなるソロ2作目のニューアルバムがリリースされました。今さら説明不要かと思いますが、小山田壮平は、もともとandymoriのボーカリストとして活躍していたミュージシャン。andymori自体、かなり高い評価を受け、人気も獲得していたものの、2014年に惜しまれつつ解散。その後、小山田壮平はシンガーソングライターの長澤知之とバンドを結成。そちらも活動休止状態となり、2020年にはソロアルバムをリリース。さらに今回、ソロ2枚目のアルバムをリリースし、着実にキャリアを進めています。

いまさらながら、あらためて強く感じるのは小山田壮平のソングライターとしての天性の才能でしょう。今回のアルバムでも、まず特筆すべきは小山田壮平のメロディーメイカーとしての実力。まず冒頭を飾る「コナーラクへ」も、サビだけに特化することなく、楽曲全体としてポップに展開していくメロディーラインの妙に、まずは舌を巻きます。表題曲「時をかけるメロディー」もアコギアルペジオでフォーキーに聴かせつつ、しんみり聴かせる暖かみあるメロディーラインが魅力。ミディアムテンポのノイジーなギターロックナンバーである「彼女のジャズマスター」も、郷愁感あるメロが大きな魅力ですし、ラストを飾るフォークロックナンバー「スライディングギター」もメランコリックなメロを聴かせる楽曲となっています。

小山田壮平がメロディーメイカーとして才能があると感じられるのは、どの曲も決してインパクトある派手なサビがあるわけではなく、淡々とメロディーラインを聴かせつつも、しっかりと心に残るメロを書いてくる点でしょう。はっきり言って派手さはありません。ただ、わかりやすいフックの効いたメロを書かなくても、耳に残るメロディーラインを書いてくる点、小山田壮平の才能を強く感じます。サビでインパクトのあるメロを書いてくるのは、誰でも出来るとは言わないまでも、やはりメロを耳に残すという点ではやりやすい方法ですし、最近ありがちなメランコリックな曲調をメインにするのも、また比較的作りやすいメロディーです。しかし、本当に難しいのは本作の小山田壮平のように、決してわかりやすいフックの効いたメロを書かなくても、しっかりと耳に残るメロを書いてくること。そういう意味で小山田壮平の才能を強く感じさせます。

個人的に、そんな彼のメロディーメイカーとしての才能がもっとも際立ったのが「恋はマーブルの海へ」でしょう。ちょっと切なさを感じさせるメロディーラインは絶品。美メロという枕詞もピッタリとくるようなメロディアスなポップチューンに仕上がっています。小山田壮平のメロディーメイカーとしての才が最も発揮された1曲と言えるでしょう。

さらに、そんなメロディーの魅力に加えて、サウンド的にも凝った部分を感じさせるのも魅力。例えば「マジカルダンサー」も、バンドサウンドにピアノを入れた楽曲なのですが、加えて様々なナンバーをサンプリング。非常に凝った内容に仕上がっています。「アルティッチョの夜」もダイナミックなバンドサウンドがハードロック風で耳に残りますし、「月光荘」も後半、ホーンセッションが登場し、サンバ風に終了するのもユニーク。ちょっと凝ったサウンドに挑戦しようとするあたり、単純なポップスバンドとは一線を画するスタンスを感じ取れます。

派手さは決してないのですが、そのメロディーラインが心に残るそんなアルバム。申し分ない傑作です。ちょっとandymori解散後、ソロの小山田壮平への注目はちょっと薄くなってしまった感もするのですが、アルバムとしてはandymori自体と勝るとも劣らない充実ぶりを感じさせます。ソロとしてさらにキャリアを積み重ねることに期待できそうな作品。小山田壮平のこれからの活躍からも目が離せなさそうです。

評価:★★★★★

小山田壮平 過去の作品
THE TRAVELING LIFE


ほかに聴いたアルバム

BLUE CHEMISTRY/CHEMISTRY

CHEMISTRYの新作は6曲入りのミニアルバム。ただ、うち2曲はTHE FIRST TAKE時出演のセルフカバー音源、2曲は鈴木雅之及び松田聖子の楽曲のカバーで、オリジナルな新曲は2曲のみ。実質的には、昔ならシングルとしてリリースされていた2曲に、追加音源を加えて無理やりアルバム仕様にしたような作品。ただ楽曲の方はいつものCHEMISTRYらしい感じ。新曲のうち1曲目の「Play the Game」はリズミカルな打ち込みを入れたポップなナンバー。2曲目「No More」はしんみりと聴かせるナンバーとCHEMISTRYの2つの側面をしっかりと聴かせるような楽曲。カバー曲2曲はいずれも彼らの歌唱力をいかんなく発揮したミディアムチューン。新曲2曲のみとアルバムとしてはちと物足りなさも感じる部分はありつつ、CHEMISTRYの魅力はしっかりと伝えているアルバムになっていました。

評価:★★★★

CHEMISTRY 過去の作品
Face to Face
the CHEMISTRY joint album
regeneration
CHEMISTRY 2001-2011
Trinity
はじめてのCHEMISTRY
CHEMISTRY
THE Best&More 2001~2022 

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2024年4月20日 (土)

いつものCocco

Title:ビアトリス
Musician:Cocco

約1年11ヶ月ぶりとなるCoccoのニューアルバム。今回のアルバムタイトル「ビアトリス」は彼女のつくったお手製のマーメイド人形につけられた名前だそうです。ジャケット写真にマーメイド人形に、思いっきり矢印で「ビアトリス」と書かれているのですが、この人形が、そのマーメイド人形ということなのでしょう。

今回のアルバムで一番の特徴となっているのが、長年の盟友である根岸孝旨に加えて、渡辺シュンスケをはじめてサウンドプロデューサーとして起用している点でしょう。全13曲のうち、8曲を根岸が、5曲を渡辺が受け持つスタイルとなっており、その両者を競い合わせた訳ではないとは思うのですが、新たなCoccoのスタイルを模索しようとした結果なのかもしれません。

実際、前作「プロム」でも根岸に加えて様々なミュージシャンがサウンドプロデューサーとして参加し、いままでの作品に比べて音楽的なバリエーションの増えた意欲作となっていました。デビューから25年以上を経て、マンネリに陥るのを防ぐために、Coccoのミュージシャンイメージを保ちつつ、新たな挑戦をしているといった感じなのかもしれません。

ただ、今回のアルバムに関しては、全体的にはCoccoらしい楽曲が並ぶ、安定感のある作品になっていたと思います。いかにも根岸プロデュース作らしいオルタナ系のギターのインストからはじまり、Coccoらしい雄大な沖縄の海を彷彿とさせる「クジラのステージ」からスタート。沖縄をテーマとした「OKINAWAN BLUE」も、沖縄の影も歌いこんだCoccoらしいメランコリックなナンバーに。同じく「飛花落花」も、Coccoらしい哀愁感たっぷりの楽曲。

渡辺シュンスケプロデュースの「春荒らし」も、ピアノやストリングスを美しく聴かせつつ、ダイナミックなバンドサウンドを入れてくる哀愁たっぷりのナンバーで、どこか哀しげに歌い上げるCoccoの歌声にも強く惹かれる楽曲に。こちらもどこか初期くるりを彷彿とさせるようなギターサウンドが印象的な「7th floor」も、ちょっともの悲し気な歌詞も印象に残るナンバー。さらにタイトルとは裏腹に、ダイナミックでヘヴィーなバンドサウンドが印象的な「ファンタジー」と、続いていきます。全体的にそれなりにバリエーションはあるものの、オルタナ系のバンドサウンドで統一された、いかにもCoccoらしい作品が並ぶ今回のアルバム。渡辺シュンスケのプロデュース作も、基本的にはいままでのCoccoのイメージに沿った作風となっており、そういう意味ではCoccoらしいという路線から逸脱することはありません。

そんな中で、ちょっと異色的だったのが「お望み通り」で、哀愁感あるダイナミックさのあるバンドサウンドに、自らの心の奥をさらけ出すような歌詞の世界はデビュー当初の彼女を彷彿とさせるインパクトを持ちつつ、4つ打ちのリズムのダンスチューンに仕上がっており、アルバムの中でも核となるような印象に残る楽曲となっていました。

上にも書いた通り、渡辺シュンスケをあらたなサウンドプロデューサーとして起用したものの、全体的にはいつものCoccoらしい作品といった印象を受けるアルバムとなっていました。ある意味、マンネリさを感じてしまう点は否定できないのですが、一方ではそうとはいっても力強い彼女の歌声とバンドサウンドにやはり惹かれる作品に仕上がっており、最初聴いた時はいいアルバムだけどマンネリ気味かな・・・とも思ったのですが、何度か聴くうちに、Coccoらしい作品に惹きつけられて聴き入ってしまうアルバムになっていることに気が付かされました。マンネリな部分は否定できないものの、やはりCoccoの曲は魅力的だ、そう強く感じさせてくれる1枚でした。

評価:★★★★★

Cocco 過去の作品
エメラルド
ザ・ベスト盤
パ・ド・プレ
プランC
アダンバレエ
20周年リクエストベスト+レアトラックス
Cocco 20周年記念Special Live at 日本武道館 2days~一の巻x二の巻~
スターシャンク
クチナシ
プロム


ほかに聴いたアルバム

Ramble In The Rainbow/TAMTAM

Rambletamtam

アメリカ・ワシントンのレーベル「Peoples Potential Unlimited」から、初の海外リリースとなったTAMTAMの5曲入りのEP盤。もともと、レゲエ/ダブバンドとして注目を集めた彼女たち。最近ではアルバムによって、様々なスタイルを聴かせる彼女たちですが、本作はレゲエの要素はあまりなく、酩酊感あるサイケなサウンドが魅力的。ただ、彼女たちらしいグルーヴ感は健在で、ハイトーンでクリアなボーカルも効果的に用いた、気持ちよいサウンドを楽しめるアルバムになっていました。

評価:★★★★★

TAMTAM 過去の作品
For Bored Dancers
Strange Tomorrow
Newpoesy
Modernluv
We Are the Sun!

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2024年4月19日 (金)

新たな雰囲気を感じさせる傑作

Title:Your Favorite Things
Musician:柴田聡子

前作「ぼちぼち銀河」では、いままでのアコースティックベースのポップスを基軸としながらも、ホーンセッションを取り入れたファンキーな作風の曲も登場するなど、新境地とも言えるアルバムを作成。デビュー10年目にして、いまなお進化を続ける柴田聡子。本作は、その前作から約1年9ヶ月ぶりとなるニューアルバムですが、ここに来て、さらに柴田聡子の楽曲に変化が生じた作品が誕生しました。

まず1曲目「Movie Light」からして雰囲気がガラリと変化しています。ピアノとギター、ストリングスを取り入れたメロウなサウンドが耳に行く楽曲。アコースティックベースのポップスというスタイルは、いままでの彼女の方向性を維持した作品とも言えるのですが、ゆっくりとメロウに聴かせるR&Bの作品となっており、いままでの彼女とは方向性の異なる作風となっています。

続く「Synegy」も同様にギターでテンポよいメロウなR&Bチューン。ちょっとファンキーさもあるリズムも特徴的。「白い椅子」もグルーヴ感を覚えるベースラインのサウンドが耳に残る、今風のソウルチューンに。終盤の「素直」「Your Favorite Things」もメロウな歌を聴かせるナンバーとなっており、全体的にメロウなソウルやR&Bの志向が強くなったアルバムに仕上がっています。

方向性としてはネオソウルへの志向を感じる今回のアルバム。ただ、この志向は、一時期ヒットシーンの中でもひとつの流れとなっていましたが、SuchmosやNulbarichといった人気ミュージシャンたちの活動休止によって、若干停滞気味にも感じます。もっとも彼女のこのアルバムに関しては、ネオソウルへの志向を感じつつも、デビュー以来の柴田聡子らしい作風もしっかり感じられており、雰囲気が変化したとはいえ、本作でもしっかりと柴田聡子らしさを感じることが出来ました。

ほかにも「Kizaki Lake」ではギターのアルペジオを聴かせる幻想的な楽曲が耳を惹きますし、「Side Step」は柴田聡子流のディスコチューンを聴かせてくれたりとバリエーションもあり、柴田聡子の音楽性の広さ、その実力を感じさせる構成にもなっていまいた。

前作「ぼちぼち銀河」では、デビューから10年を経て、はじめてオリコンでチャート50位圏内に入るというヒットを記録。さらに本作では自己最高位を更新するなど、ここに来て、徐々に人気を増している感のある彼女。ようやくその実力と人気が徐々に合致してきた感もあり、その理由も十分にわかる傑作アルバムだったと思います。それだけに、今後もさらなるブレイクも期待できるかも?これからも彼女の活躍が楽しみになる1枚でした。

評価:★★★★★

柴田聡子 過去の作品
柴田聡子
愛の休日
がんばれ!メロディー
ぼちぼち銀河

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2024年4月18日 (木)

やはり宇多田ヒカル、強し!

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

初の公式ベストアルバムが見事1位獲得です。

今週1位を獲得したのは宇多田ヒカル「SCIENCE FICTION」。以前、シングルコレクションをリリースしたり、非公式でUtada名義でのベストアルバムはあったものの、公式名義でのベストアルバムはこれが初という扱い。デビュー25周年の記念盤となります。CD販売数及びダウンロード数1位で、デビューから25年を経ても、いまなお強い人気を感じさせます。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上17万1千枚で1位初登場。直近のオリジナルアルバム「BADモード」の初動9万1千枚(1位)からアップしています。

2位は女性アイドルグループFRUITS ZIPPER「NEW KAWAII」がランクイン。CD販売数2位、ダウンロード数8位。オリコンでは初動売上2万7千枚で2位初登場。本作がデビュー作となります。

3位は韓国の男性アイドルグループSF9「ReStart」が初登場。CD販売数3位。オリコンでは初動売上1万9千枚で3位初登場。前作「THE BEST ~Dear Fantasy~」の初動5千枚(11位)からアップしています。

4位以下の初登場盤は4位に、男性アイドルグループM!LKの元メンバーで、現在は俳優としても活躍している宮世琉弥がRyubi Miyase名義でシンガーソングライターとしてデビューした「PLAYLIST」が初登場。5位には乃木坂46の元メンバー、生田絵梨花のソロデビューEP「capriccioso」がランクイン。6位初登場は「FINAL FANTASY VII REBIRTH Original Soundtrack」。2月にリリースされた「FF VII」のリメイク版第2弾のサントラ。7位には韓国の男性アイドルグループTEMPEST「BANG!」が初登場。8位初登場はNARITA THOMAS SIMPSON「冒険者たちのうた」。元男闘呼組の成田昭次が寺岡呼人、青山英樹と組んだ新バンド。9位にはZIPANG PANDA「Rock Out」がランクイン。LDH所属の男性4人組アイドルグループ。その他、女性アイドルグループ≠ME「Springtime In You」がベスト10圏外から今週10位に返り咲いています。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

今週1位を獲得したのは乃紫「全方向美少女」。「のあ」と読む、女性シンガーソングライター。2022年のデビュー以来、配信限定シングルのみのリリースを続けています。本作はTikTokチャートで1位を獲得し話題に。その後、Heatseekrs Songsでもチャートインから11週目にして1位獲得となりました。タイプ的には初期椎名林檎を彷彿とさせるような、哀愁感あるちょっとレトロな雰囲気のポップソング。TikTok Weeklyでは今週9位に留まっているのですが、今後のブレイクもありうるのでしょうか。


今週のTikTok Weekly

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=tiktok

今週もCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」が2週連続の1位を獲得。Hot100同様、圧倒的な人気を見せています。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

こちらもンバヂ(nbaji)「好きな惣菜発表ドラゴン」がこれで3週連続の1位を獲得。なにげに高い人気を誇っています。

今週は以上。チャート評はまた来週に!

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2024年4月17日 (水)

王者Creepy Nutsに米津玄師が1位を伺う

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

相変わらずCreepy Nutsの快進撃が続いています。

1位は今週も、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」が獲得。これで12週連続の1位&13週連続のベスト10ヒットとロングヒット記録を更新しています。ただ今週、ストリーミング数、YouTube再生回数、カラオケ歌唱回数がいずれも1位をキープした一方で、ダウンロード数は一気に5位までダウン。これがヒットの陰りとなるのか、まだまだ巻き返すのか、気になるところです。ちなみに先週ベスト10入りしてきた「二度寝」は今週12位にダウン。残念ながら2週連続の2曲同時ベスト10入りはなりませんでした。

そして2位にランクインしてきたのが米津玄師の新曲「さよーならまたいつか!」。NHK連続テレビ小説「虎に翼」主題歌。なんとなく、今年の年末に紅白へ出演させるための布石のような感じもしますが・・・。今週、ダウンロード数でCreepy Nutsから1位を奪ったのはこの曲。そのほか、ストリーミング数8位、ラジオオンエア数3位、YouTube再生回数5位で総合ランキング2位に入ってきました。ダウンロードが毎回強い米津玄師。一方、ストリーミング数が意外と伸び悩むのですが、この曲はどうなるのか。今後の動向が気になります。

3位には秋元康系女性アイドルグループ乃木坂46「チャンスは平等」がランクイン。CD販売数1位、ダウンロード数15位、ラジオオンエア数14位。オリコン週間シングルランキングでは初動売上51万7千枚で1位獲得。前作「Monopoly」の初動53万8千枚(1位)からダウンしています。

続いて4位以下ですが、今週の初登場曲はもう1曲。5位に初登場したTOBE所属の男性アイドルグループNumber_i「Blow Your Cover」。配信限定シングルでダウンロード数2位、ラジオオンエア数1位、YouTube再生回数7位で、総合順位は5位にランクインしています。

以下、ロングヒット曲はまずOmoinotake「幾億光年」は先週の2位から4位にダウン。ダウンロード数は7位から8位、YouTube再生回数も5位から6位にダウンしていますが、ストリーミング数は6週連続の2位をキープ。ベスト10ヒットを9週連続に伸ばしています。

tuki.「晩餐歌」も4位から7位にダウン。YouTube再生回数及びカラオケ歌唱回数は3位をキープしていますが、ストリーミング数は4位から5位にダウン。ベスト10ヒットは今週で20週連続となりましたが、ここからの巻き返しを見せるのでしょうか。

YOASOBI「アイドル」は8位から10位にダウンと、ついに後がなくなりました。ストリーミング数7位は先週から変わらず。YouTube再生回数は7位から10位にダウン。これでベスト10ヒットは連続53週となりましたが、来週あたりはついにベスト10陥落となるのでしょうか。

また、Mrs.GREEN APPLE「ケセラセラ」が今週10位から13位にダウン。ベスト10ヒットは通算26週で再びストップとなっています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&各種チャート!

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2024年4月16日 (火)

ヘヴィーなサウンドとキュートなメロのバランスがユニーク

Title:I Got Heaven
Musician:Mannequin Pussy

アメリカの男女混成4人組パンクロックバンド、Mannequin Pussy。前作「Patience」ではじめて彼女たちの楽曲を聴いたのですが、勢いあるパンキッシュなバンドサウンドを奏でながら、メロディーラインはキュートでポップというアンバランスさがとても心地よく、2019年の私的年間ベストアルバムで9位に選ぶなど、かなりお気に入りの1枚となりました。

ただ、前作「Patience」リリース後、ギターのAthanasios Paulが脱退し、一時期、スリーピースバンドとして活動をしていたものの、昨年、ツアーメンバーだったMaxine Steenが正式なバンドメンバーとして参加。再び4人組として活動を行っています。

そんなバンドの遍歴を重ねつつも、バンドとしての方向性は基本的に前作から大きくは変っていません。前作に引き続き、アメリカのパンクの名門レーベル、エピタフ・レコードからリリースされた本作は、パンキッシュで勢いのあるバンドサウンドとキュートという表現すらピッタリとくるポップなメロディーラインのアンバランスさが心地よい作品になっています。

アルバムはいきなりタイトルチューンの「I Got Heaven」からスタートするのですが、タイトルチューンらしく、ある意味、彼女たちらしさを象徴するような1曲に。楽曲はいきなり力強いギターリフと、ボーカルMarisa "Missy" Dabiceの力強いシャフトからスタートしますが、このギターリフはヘヴィーなサウンドながらも、そこで奏でられるメロはポップで耳なじみやすいもの。90年代のインディーロックの色合いも強いギターリフが特徴的なのですが、さらにボーカルのシャウトに続くサビの部分ではボーカルが一転。キュートな歌声でポップなメロディーを聴かせてくれており、全体的にヘヴィーでパンキッシュな楽曲ながらも非常にポップであるという印象を受けます。

その後もハードコア色の強い「OK?OK!OK?OK!」「Of Her」「Aching」のような曲で激しいサウンドを聴かせてくれたかと思えば、「I Don't Know」はギターノイズで楽曲を埋め尽くす、シューゲイザー系からの影響がストレートな楽曲。また「Sometimes」も疾走感あるオルタナ系のギターロックの楽曲となっており、こちらも90年代インディーロックからの影響を強く感じさせます。

そして最後を締めくくる「Split Me Open」はノイジーなギターサウンドを中心に据えつつも、ポップなメロを聴かせるメロディアスなナンバー。途中、幻想的な清涼感ある歌声で歌い上げながらも一方ではパンキッシュなバンドサウンドを聴かせる部分もあったりして、このポップな部分もヘヴィーな部分のバランスがとてもユニーク。彼女たちらしいクロージングとなっています。

ダイナソージュニアやPixiesあたりの90年代オルタナ系ロックバンドの影響を強く受けている彼女たちですが、特にヘヴィーなバンドサウンドを奏でつつメロはキュートでポップというバランス感覚は個人的にPixiesに通じる部分もあり非常に壺。前作に引き続き、年間ベスト候補の傑作アルバムだったと思います。来日してライブを行うのならば是非一度行ってみたいなぁ。オルタナ系ロックが好きならば間違いなく気に入りそうな1枚です。

評価:★★★★★

Mannequin Pussy 過去の作品
Patience

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2024年4月15日 (月)

夢のタッグ

Title:Liam Gallagher & John Squire
Musician:Liam Gallagher & John Squire

最近ではソロミュージシャンとしても人気を獲得し、2022年にはoasis以来となるネプワースでのライブも成功させたリアム・ギャラガー。そんな彼の新作は、なんと、元ザ・ストーン・ローゼズのジョン・スクワイアとタッグ。マッドチェスターの中心的な存在で、もちろん、oasisにも大きな影響を与えたバンド、ザ・ストーン・ローゼズとタッグは、まさに文字通り「夢のコラボ」といって良いでしょう。ネプワースでのライブにジョン・スクワイアが飛び入りで参加するなど、両者は交流を深め、今回のタッグに至ったそうです。

そんな大物同士のタッグとなった本作。ともすればこういう大物同士のタッグはお互いの個性がぶつかりあった結果、チグハグな結果を出すことが多いのですが、これがジョン・スクワイアの書く曲にリアム・ギャラガーがピッタリとマッチ。もともとリアム自体、ローゼズに影響を受けていたこともあったのでしょうが、両者の相性の良さを感じさせる名曲が並んでいました。

冒頭を飾る「Raise Your Hands」は、まず王道とも言えるギターロックの作品。軽快で疾走感あるバンドサウンドとポップなメロディーが心地よく、ある意味、非常に素直さを感じます。続く「Mars To Liverpool」は美メロと称してもよいようなメロディアスでポップなメロディーラインが心地よいナンバーに。さらに「I'm A Wheel」は非常に力強いブルースギターを聴かせるブルースロックのナンバー。oasisでもソロでもここまでブルースに寄った作品は珍しいのですが、それでもリアムのボーカルはしっかりとマッチしています。

そして中盤に位置するのが先行シングルともなっている「Just Another Rainbow」。ミディアムテンポのグルーヴィーでサイケな作風は、まさにザ・ストーン・ローゼズを彷彿とさせるようなナンバーで、こちらもリアム・ギャラガーのちょっと気だるいボーカルにもマッチしています。いかにもoasis+THE STONE ROSESといった感じの曲で、この曲を先行シングルとして理由がよくわかります。

続く「Love You Forever」は力強いギターリフが、70年代を彷彿とさせるようなハードロックナンバー。かと思えば次の「Make It Up As You Go Along」はメランコリックで爽やかな、ポップなメロを聴かせる楽曲に。ここらへんのバラエティー富んだ展開も楽しいところ。そしてラストを飾る「Mother Nature's Song」も、ちょっとビートルズを彷彿とさせる懐かしくもメランコリックなメロを聴かせるギターロックのナンバー。ある意味、こちらはoasis以降のリアムの嗜好を感じさせる楽曲で締めくくられています。

個人的に、oasis解散後のリアムソロ作の中で、本作が一番ピンと来た作品になっていました。確かに、ここ最近のリアムソロ作は高い評価を受けて、それに従って人気の面も復活してきています。ただ、個人的にはoasis時代についたリアムのイメージに沿ったような「いかにも」な楽曲が多く、またそれゆえにやはりノエル曲と比べてしまうと・・・と感じてしまっていました。しかし今回の作品は、ジョン・スクワイアという、見方によってはノエル以上の伝説を持つソングライターを抱えています。その結果として、変にoasis時代のリアムに寄せようとすることなく、自然体でリアムのボーカルにもマッチした曲が聴けたように思います。またリアムについても、変に気負うことなく、ジョン・スクワイアの書いた曲に身をゆだねるように、自然体なボーカルスタイルで聴くことが出来ました。

個人的には年間ベストクラスの傑作にも思う本作。リアムのボーカルをしっかり堪能しつつ、ポップでグルーヴィーな楽曲を楽しむことが出来た傑作になっていました。oasisやローゼズのファンなら間違いなく要チェックの作品です。

評価:★★★★★

Liam Gallagher 過去の作品
AS YOU WERE
Why Me?Why not.
Acoustic Sessions
MTV Unplugged(Live At Hull City Hall)
Down by the River Thames
C'MON YOU KNOW
Knebworth 22

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2024年4月14日 (日)

今でも人気を誇る伝説のバンド

Title:A Generation of 1993-1996 ~ふたたび新しい旅に出る~
Musician:Spiral Life

Spiral

当時、女子中高生を中心にアイドル的な人気を獲得していたロックバンドBAKUのメンバーだった車谷浩司が、デビューを目指していた石田小吉と組んで結成したユニットSpiral Life。その洋楽テイストの強い音楽性が注目を集め、徐々に人気を集めてきたものの、音楽性の相違からわずか3年で解散。ラストライブは横浜アリーナで行うなど、ブレイク寸前と言われつつも、残念ながらブレイクとまでは至らず、その活動に幕を下ろしています。

そんなSpiral Lifeのデビュー30周年を記念したボックスセットがタワーレコードの通販限定という形でですが、リリースされました。CD5枚組からなる本作は、Disc1から3で、彼らがリリースした3枚のオリジナルアルバムをアナログマスターからリマスター。Disc4では「OTHER SONGS & DEMO TRACKS」と名付けて、シングルのカップリングやデモ音源を収録。さらにDisc5では1993年のライブハウスとホールで行われたライブの模様を収録した未発表のライブ音源集となっています。

個人的に、Spiral Lifeは活動していた最中から名前は知っていたのですが、その当時はさほどチェックしておらず、後追いで知ったバンド。ただ、今となってはリアルタイムで聴いておかなかったことを後悔するような、個人的に私の音楽性の好みからして理想とも言えるバンドだったりします。

彼らの大きな特徴は、まずは90年代のイギリスのインディーロックや同じくアメリカのオルタナ系ギターロックバンドからの影響が顕著なバンドサウンド。シューゲイザー系や、特に後期に関してはスマパンからの影響も顕著で、その影響を全く隠していない無邪気さは、一部ではパクリ扱いされていたりもするのですが、個人的にはかなり壺なサウンド。さらにこのバンドサウンドをバックに奏でられるメロディーラインは非常にキュートでポップ。爽やかながらもメランコリックさが同時にあって胸がキュンとさせられる魅力があります。個人的にも大好きなのが「(DON'T TELL ME NOW!) PLEASE PLEASE MR.SKY -空に鳥がいなくなった日-」で、爽やかな切ないメロディーラインが実に魅力的な名曲です。

さらに彼らの曲を魅力的にしているのが、車谷浩司と石田小吉の音楽性の微妙な違い。車谷浩司は、Spiral Life解散後のAIRとしての活動を見せばわかる通り、特に後期になればなるほどヘヴィーロックへ傾倒していく一方、石田小吉はその後のSCUDELIA ELECTROの活動でわかる通り、シューゲイザー系への傾倒を続けつつ、エレクトロサウンドへの興味を増していきます。この異なる音楽性のせめぎ合いがSpiral Lifeの楽曲に幅を持たせ、大きな魅力となっています。

2人の音楽性が最も異なる方向性を示してしまっているのがラストアルバム「FLOURISH」で、1曲目「GARDEN」は、まさにその後のAIRを彷彿とさせるようなヘヴィーロック路線の曲からスタートしたかと思えば、「MAYBE TRUE」では非常にキュートなメロディーのギターロックが顔を覗かせます。マンチェサウンドを彷彿とさせる「DANCE TO GOD」やホーンセッション入って祝祭色の強い「TRUST ME」などバリエーションも豊富。ラストの「NERO」はこれでもかというほど分厚いギターサウンドを聴かせつつ幕を下ろしています。車谷と石田の異なる音楽的嗜好の中で、お互いが主張し合いつつ、なんとか折り合いをつけたアルバムといった感じなのですが、結果としてはSpiral Lifeの中でもベストと言える傑作に仕上がっていたと思います。

もっとも、この音楽性の違いがゆえに、わずか3年という活動期間で幕を下ろした訳で、そういう意味では諸刃の剣だったということなのでしょうが。ただ、Spiral Lifeの到達点であり、かつ、同作は日本のポップス史上に燦然とその名を残した傑作だったと思います。

このヘヴィーでノイジーなギターサウンドと、ポップでキュートなメロディーラインというのが実に私の好みにピッタリとマッチしており、個人的にはまさに理想的なバンド。ただ、それだけ惹かれている方は少なくないみたいで、本作はタワレコ限定で、かつ1万5千円という高額のボックスセットにも関わらず、オリコンアルバムチャートではなんと34位にランクイン。いまだに高い支持を得ていることをうかがわせます。現在、車谷浩司も石田小吉も、新作をあまり発表しておらず、開店休業状態なのですが、最後には殴り合いの喧嘩をしたというあのCOMPLEXですら再結成ライブを実施しているだけに、Spiral Lifeも再結成して新作・・・とは言わないまでも、ライブくらい演ってくれないかなぁ・・・と思ってしまいます。あらためてSpiral Lifeが素晴らしいバンドであったことを実感させられるボックスセットでした。

評価:★★★★★

Spiral Life 過去の作品
FURTHER ALONG-20th anniversary mix-

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2024年4月13日 (土)

ネクライトーキーは、とにかく楽しい

Title:TORCH
Musician:ネクライトーキー

途中、セルフカバーアルバムやEPを挟みつつ、オリジナルフルアルバムとしては約2年9ヶ月ぶりとなるニューアルバム。本作に収録されている「bloom」はNetflixのアニメ「スコット・ピルグリム テイクス・オフ」のテーマ曲となり話題にもなりました。ちょっと久々となる今回のニューアルバムは、同曲も含む14曲を収録。いままでのアルバムよりも曲数はありつつ、全47分。良い意味でほどよいボリューム感のアルバムとなっています。

ネクライトーキーの楽曲と言うと、とにかく聴いていてワクワクする楽しいポップソングというイメージがあります。今回のアルバムに関しても、そんな明るく、素直に楽しいポップチューンの並ぶアルバムになっていました。分厚いビートとシンセのピコピコサウンドがインパクトのある「浪漫てっくもんすたぁ」は、ユーモラスな作風の典型的にネクライトーキーらしい楽曲でしょう。「どたまかち割るね」というユニークな歌詞もネクライトーキーらしい感じ。ネクライトーキーらしいというとシングル曲でもあった「ふざけてないで」もそんな感じでしょうか。軽快なギターロックナンバーなのですが、リズミカルで明るいポップチューン。ちょっとコミカルなギターリフやユーモラスに入ってくるシンセの音も大きな魅力でしょう。

タイトルもユニークながらもメロディーラインも印象的なのは「新島工場探検隊」で、こちらも軽快なギターロックナンバーなのですが、サビの部分で転調するメロディーがインパクト。この転調するサビが、個人的にどことなく、80年代あたりのエピックソニー系あたりの香りを感じさせるのは私だけ?もっともネクライトーキーもソニーミュージック所属で、ここらへんは脈々と流れるレコード会社の空気感が反映されているのでしょうか。

アルバムの中でほどよい空気感を醸し出しているのが「わっしょいまっしょい」で、日常をほんわかした視点で描く脱力系の楽曲になっているのがユニーク。「浴びるように酒を呑んだなら/明日も仕事を頑張りましょい」という歌詞もいい感じ。この歌詞をもっさの舌ったらずなボーカルで歌われると、ちょっと幼さを感じさせるボーカルなのに、「浴びるように酒を呑んだなら」というギャップのある歌詞もまたユニーク。もっとも彼女は既に29歳らしいので、別に浴びるように酒を呑んでいても全く問題はない訳ですが・・・。

そんな脱力感のある楽曲から、ヘヴィーでダイナミックなサウンドが特徴的な「ねぇ、今どんな気分?」という落差のある展開もユニーク。歌詞も、ほんわかに頑張ろうと歌う全曲からいきなり「最低な一日になっちゃった」という、こちらも落差ある展開がユニーク。そんな展開はありつつ、終盤の「だから、」では力強く歌い上げるミディアムテンポのロックナンバーなのですが、

「昨日まで家だったもんが
瓦礫の山になった」
「昨日まで夢だったもんが
砕けた泡になった」
(「だから、」より 作詞 もっさ)

と、かなり虚無的な世界観がドキリとさせられる楽曲で、ただ明るくコミカルなだけではないネクライトーキーの別の側面も感じられます。

そんな感じで、全体的には前作以上にバラエティーのある展開になっている本作。一方、アルバム冒頭の「ちょうぐにゃぐにゃ」やラストの「石ころの気持ち」などはストレートな疾走感あるポップなギターロックとなっており、ギターロックバンドとしての王道路線もしっかり聴かせてくれます。今回も聴いていてとても楽しい傑作になったのは間違いありません・・・が、全体としての出来としては正直、前作の方が上だったかな、とも感じてしまいました。

正直、前作の「はよファズ踏めや」や「誰が為にCHAKAPOCOは鳴る」のような一度聴いたら忘れられないようなインパクトはちょっと薄め。まあ、自分にとって前作ははじめて聴くネクライトーキーで、その分インパクトも大きかった、という点もあるのかもしれませんが、そうだとすれば、今回のアルバム、前作を踏まえての新たな姿が見ることが出来なかった、という点でもちょっと残念だったかもしれません。

もちろん、前作ほどではなかったとはいえ、間違いなく今回のアルバムも傑作に仕上がっていたと思います。最近、比較的メランコリックなメロディーを聴かせるミュージシャンが多い中、ネクライトーキーのような底抜けに明るいロックバンドは貴重。ポップソングのワクワクさを素直に体現化された作品でした。

評価:★★★★★

ネクライトーキー 過去の作品
FREAK
MEMORIES2


ほかに聴いたアルバム

Trio&Charm/大橋トリオ&THE CHARM PARK

ご存じ大橋トリオと、韓国系アメリカ人で、現在は日本を拠点に活動を続けるマルチプレイヤーでシンガーソングライターのCharmのソロプロジェクト、THE CHARM PARKとのコラボアルバム。THE CHARM PARKは以前、アジカンに楽曲提供を手掛けた曲を聴いた程度なので詳しくはわからないのですが、基本的には両者とも、楽曲の方向性は同じようで、アコースティックなサウンドでちょっとメランコリックにしんみり聴かせる「大人のポップス」といった印象の楽曲がメイン。一言で言うと「良質なポップス」といった感じでしょうか。ただ、良くも悪くもいつもの大橋トリオの路線の延長線といった感じで、あまり目新しさを感じなかったのは残念でした。

評価:★★★★

大橋トリオ 過去の作品
A BIRD
I Got Rhythm?
NEWOLD
FACEBOOKII
L
R

FAKE BOOK III
White
plugged
MAGIC
大橋トリオ
PARODY
10(TEN)
Blue
STEREO
植物男子ベランダー ENDING SONGS
植物男子ベランダーSEASON2 ENDING SONGS
THUNDERBIRD
This is music too
NEW WORLD
ohashiTrio best Too
ohashiTrio collaboration best -off White-
カラタチの夢

PORTRAIT/フジファブリック

フジファブリックの新作は、かなりバラエティーに富んだ作風が印象的なアルバム。フレデリックと組んだ「瞳のランデヴー」のようなディスコチューンがあったり、アコギでしんみり聴かせる「月見草」みたいな曲があったり、「ショウ・タイム」のようなギターロックのナンバーがあったりと、バラエティー豊か。その分、若干方向性があいまいな部分もあったりするのですが、それも含めてこの音楽性の自由さがフジファブリックらしさなのかもしれません。

評価:★★★★

フジファブリック 過去の作品
TEENAGER
CHRONICLE
MUSIC
SINGLES 2004-2009

STAR
VOYAGER
LIFE
BOYS
GIRLS
STAND!!
FAB LIVE
F
FAB LIST 1
FAB LIST 2
I Love You

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2024年4月12日 (金)

伝説のライブ

今回紹介するのは、かなりアンダーグラウンドなテイストの強いライブアルバム。「キングオブノイズ」という異名を持つノイズバンド、非常階段と、一部のライブハウスでは出禁になるほどの過激なパフォーマンスが話題を呼んだパンクロックバンド、ザ・スターリンの共演が大きな話題を呼んだ1981年4月に京都・磔磔で行われた伝説的ライブイベント「Answer」の模様を収録したライブアルバム。特に、ザ・スターリンのライブパフォーマンスはいままでブート盤でしか公表されたことはないそうで、今回、初の正式音源化ということでも大きな話題となっているようです。

Title:Answer 81 1981.4.19. Vol.1
Musician:非常階段+アウシュビッツ+ほぶらきん

こちらはその「キングオブノイズ」非常階段に、共演となるアウシュビッツ、ほぶらきんの3バンドが合わさったライブ盤。まず最初は非常階段の演奏が42分強、延々と続きます。即興のノイズパフォーマンスが続いていき、ただただ分厚いノイズが続くアバンギャルドな演奏。かなり好き嫌いは別れると思いますが、慣れてくると、不思議とこの不協和音的なノイズが心地よく聴こえてくるから不思議です(笑)。この音の洪水を延々に聴かされると、トリップして気持ちよくなるか、気が狂いそうになって気持ち悪くなるか、どちらかのような・・・。

その後のアウシュビッツ、ほぶらきんというバンドは今回が完全な初耳。アウシュビッツはノイズミュージックのためのインディーレーベルとして知られるアルケミーレコードをJOJO広重と共に立ち上げた、ロックバンドINUの元メンバーだった林直人のバンド。ダイナミックでヘヴィーなバンドサウンドを聴かせるロックバンドで、そのサウンドからはプログレからの影響も感じさせます。こちらも分厚いバンドサウンドとギターノイズで埋め尽くされた音が特徴的なのですが、力強い迫力ある演奏が印象に残ります。

そしてユニークだったのがほぶらきんというバンド。関西でわずか4年だけ活動し、4枚のEPと2枚のソノシートだけ残したバンドなのですが、かなりアバンギャルドでユーモラスあふれる音楽性が特徴のバンドで、一部でカルト的な人気を集めたとか。曲はどれも長くて2分程度という曲が続くのですが、フリーキーなサウンドをバックにとにかく叫びまくる音楽性がかなり自由でユニーク。かの石野卓球も音楽的に影響を受けたそうで、確かに、このユーモラスで自由な音楽性は、特に初期に電気グルーヴに通じるものも感じられました。

評価:★★★★★

Title:Answer 81 1981.4.19. Vol.2
Musician:ザ・スターリン

で、Vol.2がスターリンのライブ音源。彼らの音楽性はかなりストレートなパンクロック。疾走感あふれるバンドサウンドに、ボーカル遠藤ミチロウの激しくシャウトするボーカルが特徴的。このライブアルバムは全15曲という内容ながら、30分弱という長さで、1曲あたり2分弱。勢いがあり一気に楽曲を畳みかけるようなライブパフォーマンスとなっています。

音源的には決してクリアではなく、ザラザラとした音感があります。ただ、この決してクリアではない音が逆にまるでライブ会場にいるかのようなリアリティーを与えて、楽曲の迫力をより強く感じさせます。バンドサウンドはかなり荒々しく、とにかくパンクロックの初期衝動をそのまま体現化したようなサウンド。ある意味、売れてしまって毒気が抜かれた「パンクロックバンド」が多くなってしまっている現在ですが、まさにパンクロックが本来持っていた迫力と毒気が、そのまま伝わってくるようなライブアルバムとなっています。

これがパンクロックだ!ということを、ちょっと陳腐な表現ながらも強く感じさせるライブアルバム。これ、生で見たらすごかっただろうな・・・ということを感じてしまいます。確かに、Vol.1の3バンドあわせて、これが同じライブステージで見れたとしたら、かなり圧倒されたろうな、と感じますし、この4つのバンドが同じ場所にいたこと自体が驚きを感じます。確かに、これは「伝説」になるようなライブだ、ということを強く感じた作品。アンダーグラウンド的なバンドが並ぶアルバムですが、ぜひともチェックしてほしいライブアルバムです。

評価:★★★★★

非常階段 過去の作品
初音階段(非常階段 starring 初音ミク)

ザ・スターリン 過去の作品
I was THE STALIN~絶賛解散中~完全版


ほかに聴いたアルバム

Indian Burn/Ken Yokoyama

約2年半ぶりとなる横山健のニューアルバム。ある意味、非常にいい意味で愚直なメロディアスパンクといった印象で、シンプルでストレート、メロディアスなパンクロックのナンバーが並ぶアルバム。前作「4Wheels 9Lives」はバラエティー富んだ展開となっていましたが、本作は「Deep Red Morning Light」のように裏打ちのリズムで軽快に聴かせるようなナンバーもあったり、ヘヴィーなナンバーから、ポップなメロを押し出したナンバーまでそれなりにバリエーションも聴かせつつも、基本的にはシンプルなパンク志向の楽曲となっていたように感じました。

評価:★★★★

Ken Yokoyama 過去の作品
Four
Best Wishes
SENTIMENTAL TRASH
Ken Yokoyama VS NUMBA69(Ken Yokoyama/NAMBA69)
Songs Of The Living Dead
4Wheels 9Lives

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2024年4月11日 (木)

Creepy NutsはTikTokチャートでも快進撃

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週、1位は韓国の男性アイドルグループが獲得。

今週1位は韓国の男性アイドルグループTOMORROW×TOGETHERの韓国盤のミニアルバム「minisode 3:TOMORROW」が獲得しました。CD販売数1位、ダウンロード数2位。オリコン週間アルバムランキングでも初動売上17万4千枚で1位初登場。直近作の韓国盤のフルアルバム「The Name Chapter:FREEFALL」の初動22万5千枚(1位)からはダウンしています。

2位はPSYCHIC FEVER from EXILE TRIBE「PSYCHIC FILE Ⅱ」が獲得。名前の通り、LDH所属の男性ダンスグループによる2枚目のEP盤。CD販売数2位、ダウンロード数17位。オリコンでは初動売上2万枚で2位初登場。前作「PSYCHIC FILE Ⅰ」の初動3万枚(3位)からはダウンしています。

そして3位初登場がSwitch「あんさんぶるスターズ!!アルバムシリーズ『TRIP』」。CD販売数3位、ダウンロード数16位。男性アイドル育成ゲーム「あんさんぶるスターズ!!」のキャラクターソングCD。オリコンでは初動売上1万枚で3位初登場。同シリーズの前作流星隊名義による「あんさんぶるスターズ!!アルバムシリーズ 『TRIP』」の初動1万1千枚(4位)からは若干のダウンとなりました。

以下、4位以降の初登場盤です。4位にはNovelbright「CIRCUS」。爽やかでポップなメロがインパクトのある人気上昇中のロックバンドによる4枚目のフルアルバム。6位にはCHIMIRO「CHIMIRO VOL.2」が初登場。韓国の人気俳優チャン・グンソク率いるバンドによるアルバム。9位にはxikers「HOUSE OF TRICKY:Trial And Error」が初登場でランクイン。こちらも韓国の男性アイドルグループによる3枚目のミニアルバムとなります。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

今週の1位はGyubin「Really Like You」。韓国の若干17歳のシンガーソングライター。ギターサウンド中心の作品で、さしずめ「ギター女子」といった感じでしょうか。日本で言えば、miwaあたりを彷彿とさせるような作風。もしくはアヴィリル・ラヴィーンあたりもイメージできるかもしれません。今後、K-POPの波にのって、日本でもブレイクなるでしょうか?


今週のTikTok Weekly

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=tiktok

Hot100でも圧倒的な強さで1位をキープしているCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」がTikTok Weeklyでも1位を獲得。こちらは2週ぶりの1位返り咲きとなります。まだまだこの曲のヒットは続きそうです。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

1位はンバヂ(nbaji)「好きな惣菜発表ドラゴン」が先週から引き続き1位を獲得。ある意味、出オチ的な部分も多いネタ動画なので、ヒットは短期的かな、と思いきや、まだまだ話題は続いているようです。

今週は以上。チャート評はまた来週に!

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2024年4月10日 (水)

Creeoy Nutsの快進撃が続く

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週は、なんとCreepy Nutsの曲がもうあと1曲ランクインしています。

まず1位は今週も、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」。先週に引き続き、ダウンロード数、ストリーミング数、YouTube再生回数、カラオケ歌唱回数で1位を獲得。これで11週連続の1位&12週連続のベスト10ヒットを記録しています。

さらに今週、9位に同じくCreepy Nutsの「二度寝」がランクイン。CD販売数18位、ダウンロード数2位、ストリーミング数8位。こちらは話題となったTBS系ドラマ「不適切にもほどがある!」主題歌で、「Bling-Bang-Bang-Born」と両A面シングルとしてもリリースされています。こちらもかなり強力なタイアップがついている曲なだけに、今後もロングヒットとなっていくのでしょうか。

2位は先週と変わらずOmoinotake「幾億光年」がランクイン。ストリーミング数が5週連続の2位、YouTube再生回数も7位から5位にアップ。ただダウンロード数は3位から7位にダウンしています。これで今週、ついにベスト10ヒットは連続8週に。今後もロングヒットが続くのでしょうか。

一方、先週、3位にランクアップしたtuki.「晩餐歌」は今週4位にダウン。ストリーミング数も3位から4位にランクダウン。ただ一方、ダウンロード数が19位から11位に大幅アップしたほか、YouTube再生回数も4位から3位にアップ。まだまだ根強い人気を感じます。ベスト10ヒットもこれで19週連続となりました。

そして代わりに3位にランクインしてきたのが先週8位にランクインしてきた韓国の女性アイドルグループILLIT「Magnetic」。今週、ストリーミング数が7位から3位にアップし、ランクイン2週目にしてベスト3入りを果たしています。

続いて4位以下の初登場曲ですが、5位にリアルアイドルプロジェクト「トキメキUNITED」がランクイン。男性アイドルグループ38組の参加したプロジェクトによる楽曲。CD販売数1位、その他はランク圏外となっています。オリコン週間アルバムランキングでも今週、初動8万1千枚を売り上げて1位となっています。

ロングヒット曲はまず8位にYOASOBI「アイドル」が先週からワンランクダウンでランクイン。ストリーミング数は6位から7位とダウン。一方、YouTube再生回数は8位から7位と若干のアップ。これでベスト10ヒットは連続52週となりました。

またMrs.GREEN APPLE「ケセラセラ」は9位から10位にダウンするも今週もベスト10をキープ。根強い人気を見せています。これで通算26週目のベスト10ヒットとなっています。

一方でVaundy「怪獣の花唄」は今週10位から11位にダウンして再びベスト10落ち。ベスト10ヒットは通算58週でまたストップとなりました。

今週のHot100は以上。来週はHot Albumほか各種チャートの紹介となります。

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2024年4月 9日 (火)

女王、降臨 再び

Title:ユーミン乾杯!!~松任谷由実50周年記念コラボベストアルバム〜
Musician:松任谷由実

2022年にデビュー50周年を迎え、ベストアルバム「ユーミン万歳!」をリリースした松任谷由実。そのデビュー50周年企画のラストを飾るのが本作。今回はコラボベストと題したアルバムなのですが、過去のコラボ曲を収録・・・という形ではなく、彼女の代表曲を様々なミュージシャンがリアレンジしてコラボするという企画盤。ユーミン自らミュージシャンの選定や企画、選曲にも関わったそうで、今回、10組のミュージシャンとのコラボが実現しています。

そんな中でも大きな話題となったのは、桑田佳祐とのコラボ「Kissin’ Christmas (クリスマスだからじゃない) 2023」。もともとは桑田佳祐&His Friends名義の「Kissin’ Christmas (クリスマスだからじゃない) 」というタイトルで1986年、87年に放送された日テレ系音楽番組「Merry X'mas Show」のテーマ曲として使用されたものの、長らく音源はリリースされず、2012年に桑田佳祐のベストアルバム「I LOVE YOU -now & forever-」に収録されて話題となりました。

今回、その曲をあらためて松任谷由実とのデゥオという形で収録。途中、お互いの代表曲をそれぞれがカバーするという遊びの要素も入るような、ユニークで楽しいカバーに仕上がっています。また、松任谷由実、小田和正、財津和夫名義で1985年にリリースされ、こちらも長いことCD化されてこなかった「今だから」もCD初収録。こちらも大きな話題となっています。

そんな話題性も強いコラボアルバム。岡村靖幸らしいファンキーに仕上げた「影になって」や、PerfumeっぽいエレクトロアレンジのYOASOBIとのコラボ「中央フリーウェイ」、この手のコラボでは常連のRHYMESTERとのコラボ「SATURDAY NIGHT ZOMBIES」、パーカッションやホーンでエキゾチックなバンドサウンドに仕上げたSuchmosのYONCEとのコラボ「真珠のピアス」、原曲の持つ妖艶さをさらに強調したくるりとのコラボ「輪舞曲」、彼女たちらしいロックンロール風のアレンジに仕上げたGLIM SPANKY「真夏の夜の夢」など、ユーミンの曲を様々なスタイルでカバーしたバラエティーに富んだ構成がとてもユニークに感じます。

ただし、ここにユーミンが現れると風景が一変します。もう、どう考えてもユーミンの曲にしか聴こえない。それまで耳に惹かれていたコラボ相手の独特の個性は完全にぶっ飛んで、ユーミンの声しか耳に入ってきません。コラボ相手のミュージシャンたちは完全に「前座」扱い。バンドならばバックバンド扱いですし、ボーカルは完全にバックコーラス。もう圧倒的に松任谷由実の姿しか、そこには入ってきません。

特にすごかったのが乃木坂46と小室哲哉とのコラボによる「守ってあげたい」で、乃木坂46は終始、バックコーラスの「その他大勢」扱い。あれだけ個性の塊である小室哲哉ですら、彼らしいアレンジは控えめで、完全に松任谷由実の曲、としか感じられません。特に乃木坂に対してはボーカリストとしての格の違いを見せつけている、としか思えません。

もちろん、「Kissin' Christmas」に関しては完全に桑田佳祐と対等のコラボとなっていますし、「今だから」もさすがに他のユーミンだけの曲にはなかっていないのですが、本当の意味でコラボ曲と言えるのはこの2曲だけなのでは?あえて言えば、GLIM SPANKYの松尾レミのボーカルは、ユーミンにいい勝負を挑めるだけの個性はありましたし、YONCEやくるり、岡村靖幸のカバーも、それなりにユーミンの曲の中で個性を出したアレンジにはなっていましたが、女王の前でいい勝負が出来た、程度となっており、結果としては完全にユーミンカラーに染め上げられてしまっています。

そう考えるとコラボとしての意義については若干疑問にすら感じてしまいます。もともとユーミン自体、非常にあくの強いボーカリストであり、どんな曲でも彼女が登場すれば完全にユーミン色に染まってしまう訳で、そんな中、コラボ相手に遠慮なく、ボーカルを前に押し出したような楽曲構成については、もうちょっと考えてほしかったな、とは思うのですが。ただ、自己顕示欲の強いミュージシャンたちの中でも、特に自己顕示欲の強い松任谷由実だからこそ、こういうスタイルでのコラボになってしまった、そんな感じがしました。

様々なミュージシャンたちの演奏の中で、まさに松任谷由実が降臨し、他のミュージシャンたちは、ただただ彼女を崇めたてるしかなかった・・・そんな風景が思い浮かぶようなアルバム。逆に言えば、ユーミンのファンにとってみれば、原曲のイメージも崩れず、楽しめるアルバムにはなっていたと思いますし、変なアレンジや試みがない点、いい意味でも安心して聴けるアルバムにはなっていたかと思います。いろいろな意味で松任谷由実らしいアルバムでした。

評価:★★★★

松任谷由実 過去の作品
そしてもう一度夢見るだろう
Road Show
日本の恋と、ユーミンと。
POP CLASSICO
宇宙図書館
ユーミンからの、恋のうた。
深海の街
ユーミン万歳! ~松任谷由実50周年記念ベストアルバム~


ほかに聴いたアルバム

世紀のうた・心のうた -服部良一トリビュート-

戦前から戦後にかけて活躍し、数多くのヒット曲を世に送り出した作曲家、服部良一。今年はNHK朝の連続テレビ小説で、彼が作曲を手掛けて、数多くのヒット曲を歌った笠置シヅ子をモデルとしたドラマが放送されて話題になりました。おそらく、それに連動した企画なのでしょうが、服部良一のトリビュートアルバムがリリース。真心ブラザーズ、曽我部恵一、スチャダラパー、小西康陽など豪華なミュージシャンたちが名前を連ねています。

カバーは基本的に原曲に充実ながらも、それぞれの個性もしっかりと出ている点がユニーク。真心ブラザーズがカバーした「ヘイヘイブギー」はYO-KINGのボーカルもマッチさせた軽快なブギに仕上げていますし、「おしゃれ娘」をサンプリングしたスチャダラパーの「おしゃれミドル」も彼ららしい、ユーモラスで軽快な楽曲に。後半は、石丸幹二、望海風斗、井上芳雄といったミュージカル経験者の歌手がカバーしていますが、こちらも実力者らしい伸びやかで力強い歌をしっかりと聴かせてくれています。実力者がしっかりと集ったカバーアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★★

再生-Saisei-/DJ KRUSH

約4年2ヶ月ぶりとなるDJ KRUSHのニューアルバム。アルバム全体、不穏な空気の流れる作風が印象的。サウンド的には「奇迷-Kimei-」のように、比較的、今風のビートを奏でるような曲もあるものの、全体的には最新鋭のHIP HOPのビートといった感じではありません。ただ、非常にエッジを効かせたタイトなサウンドは非常にカッコ良いものがあり、アルバム全体を流れる空気感も統一されており、耳を惹きつけるものがあります。ビートメイカーとしての実力を感じさせてくれる作品でした。

評価:★★★★★

DJ KRUSH 過去の作品
Butterfly Effect

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2024年4月 8日 (月)

ミュージシャンの個性と楽曲の魅力をしっかりと感じさせるカバー

Title:みんなのさだ

さだまさしのデビュー50周年を記念してリリースされたトリビュートアルバム。数多くのミュージシャンたちがさだまさしの楽曲をカバーしたアルバムなのですが、これが予想していたよりも素晴らしいアルバムに仕上がっていました。

個々のカバーがなかなかの絶品。槇原敬之の「案山子」も、暖かい彼のボーカルが曲とマッチし、マッキーのボーカリストとしての魅力を感じさせる楽曲となっていますし、上白石萌音の「秋桜」も清涼感あるボーカルで楽曲の主人公とちょうど年代も類似しているためか、歌詞の世界がより耳に入ってきます。三浦大知の「風に立つライオン」も、彼のボーカリストとしての実力を存分に感じられる感情たっぷりのカバーで、ボーカリストという側面だけならば、おそらくさだまさしを上回っているかも。高橋優の「精霊流し」も、彼の歌い方がさだまさしと似ているような感があり、原曲の雰囲気そのままなカバーがとてもよい感じ。wacciの「関白宣言」は、若手ミュージシャンによるカバーなだけに、どう仕上がるのかと思っていたのですが、原曲の持つコミカルな感じを上手くすくいあげている名カバーに仕上がっています。

そんな中で異色作とも言えるのがMOROHAの「新約『償い』」で、さだまさしの名曲「償い」からインスパイアされたMOROHAのオリジナル作。ただ、原曲の「償い」が、「交通事故で人を死なせてしまった主人公が、被害者の遺族に償いを続ける」というストーリーなのに対して、「新約」の方は「新型コロナをうつしてしまっい祖父を死なせてしまった主人公が、コロナ感染のきっかけとなった音楽活動を辞めようとするが、祖父の遺言からそれを乗り越えて音楽活動を続けようとする姿」を描いています。新型コロナをうつしてしまうというのは不可抗力な部分があり、多かれ少なかれ過失の要因が強い交通事故とは違いますし、「新約」については「償い」も行っていません。正直、MOROHAの新曲としてはいい曲だとは思うのですが、さだまさしのカバーに並べるとなると、かなり違和感があるのは否めませんでした。

そんな異色なカバーもありつつ、全体的にはカバーしたミュージシャンたちの個性や魅力を反映させつつ、同時にさだまさしの魅力もしっかりと伝わるカバーに仕上がっていたと思います。思うに、さだまさしというミュージシャン、ボーカリストとしては清涼感あるボーカルであくの強いボーカルといった印象は受けません。一方で、メロディーや、特に歌詞の世界に関しては彼の個性が強く反映された、彼にしか書けない作品をつくってきています。そのため、楽曲からボーカルの部分を入れ替えたとしても、さだまさしの魅力はそのまま楽曲に残りますし、逆に楽曲自体の個性が強いだけに、ミュージシャンが自らの個性を楽曲にぶつけても、決して楽曲自体の持つ魅力が損なうことはないのでしょう。そのため、これだけ魅力的なカバーアルバムが生まれてきたのだと思います。

また個人的には、むしろ以前聴いたさだまさしのベストアルバム以上に、さだまさしの魅力を感じることが出来ました。こう書くと、カバー曲が原曲を超えたのか、と誤解されそうですが、そうではなく、以前聴いたさだまさしのベストアルバムは3枚組のフルボリューム。魅力的な曲が多かった反面、3枚組というボリュームになってしまうと、説教臭かったり、若干、歌詞に団塊の世代的な価値観が混じっていたりと、マイナスポイントも気になってしまいました。ただ今回のカバーアルバムは、その中でも選りすぐりの14曲を収録。このくらいのボリュームならば、さだまさしのマイナス点が気にならず、魅力だけを存分に味わうことが出来る構成にもなっていたと思います。

そういう意味ではさだまさしの入門盤としてもむしろ最適なアルバムかもしれません。カバーしているミュージシャンは若手・・・・・・と言えないベテランも少なくないのですが、少なくともさだまさしのファン層よりはかなり下の世代をターゲットとしているミュージシャンなだけに、これをさだまさしの入り口として、という意味では最適でしょうし、そういう意味でも優れた企画だったと思います。個人的には、このアルバムを聴いて、あ、自分、意外とさだまさしの曲、好きだ、と感じたアルバムにもなっていました。カバーを通じてさだまさしの魅力を感じられた作品でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

WINTER SONGS FOR YOU!/カジヒデキ

Winter_

カジヒデキのウィンターソングやクリスマスソングを集めた配信限定のコンピレーションアルバム。カジヒデキらしい軽快で暖かく、ちょっと切なさも感じさせるポップソングが並んでいます。どこを切り取ってもいかにもカジヒデキという曲の連続で、それはウィンターソングだろうがクリスマスソングだろうが変わりません。この点、大いなるマンネリといえばマンネリですが、カジヒデキの楽曲の強度の強さもあらためて感じたアルバムでした。

評価:★★★★

カジヒデキ 過去の作品
LOLIPOP
STRAWBERRIES AND CREAM
TEENS FILM(カジヒデキとリディムサウンター)
BLUE HEART
Sweet Swedish Winter
The Blue Boy
秋のオリーブ
GOTH ROMANCE
THE PERFECT E.P.

音楽/SUPER BEAVER

前作「東京」からちょうど2年ぶりとなるSUPER BEAVERのフルアルバム。ヘヴィーなロック路線で行くのか、ポップ路線で行くのか、いまひとつ立ち位置が中途半端な印象を受け、前作「東京」はその中でポップ寄りの路線を感じましたが、今回のアルバムは再び正統派のギターロックといった感じで、ややヘヴィー寄りにシフトした印象でしょうか。疾走感あってほどよくヘヴィーなバンドサウンドは、確かに良くも悪くも売れ線といった印象もあるのですが。ただラストの「小さな革命」「当事者であれ」という繰り返されるフレーズはかなり共感を覚え、強く印象に残りました。

評価:★★★★

SUPER BEAVER 過去の作品
アイラヴユー
東京

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2024年4月 7日 (日)

初の中日ホール

フラワーカンパニーズ 中日ホール オープニングイベント【竜の叫びを耳にした】

会場 中日ホール 日時 2024年4月2日(火)19:00~

フラワーカンパニーズのワンマンライブに足を運んできました。フラカンのライブに行くのは2019年にセンチュリーホールで行ったスピッツとの対バンのライブイベント以来、約3年半ぶり。ワンマンライブは今回が初となります。フラカンはライブが素晴らしいのでワンマンライブも一度行きたいと思っていたのですが、今回足を運んだのは、中日ホールのプレオープニングイベントだったから、というのも大きな理由。名古屋の中心の繁華街、栄にある中日ビル。2019年に閉館し、建て替え工事が行っていたのですが、新しい中日ビルが完成。4月23日の開館が予定されているのですが、中日ビルの中に新たに作られた中日ホールでのプレ・オープニングイベントとして、彼らのライブが行われ、その新しいホールにも興味があったので、足を運んでみました。

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↑ ある意味貴重な、オープン前の中日ビルの中を進んで6階にある中日ホールへエレベーターで向かいます(写真は帰りに撮った写真ですが)。

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非常に真新しい中日ホールの入り口。キャパはライブ利用だと590人程度だそうで、会場の前半分はフラットなフロアに収納可能な椅子が並び、後ろ半分には据え付け式で座面が折りたたまれるタイプの椅子が並びます。そのような使用が想定されているのかはわかりませんが、前半分の椅子を撤去してスタンディングにすれば、キャパ700人程度の、そこそこの大きさの箱として使えそうな感じ。この日はオール椅子席で7割程度のファンの入りでした。ただ、ファンの年齢層が高い・・・(^^;;おそらく自分の年齢でもかなり下の方。平均年齢50歳はゆうに超えている感じ・・・。

19時ちょっと過ぎにライブはスタート。(ある程度予想していたのですが)今回のライブのタイトルの元ネタである「燃えよドラゴンズ」が流れ、メンバーが登場しました。ライブがスタートすると、まずはいきなり「孤高の英雄」からスタート。さらに「切符」「チェスト」「空想無宿」へとアップテンポなナンバーが続き、会場のテンションはいきなり最高潮に達するスタートとなりました。その後も昨年リリースされたばかりの「天の神さまの言うとおり」から、新曲である「ハートのレース」へと続いていきます。

序盤からテンションが上がりまくりのステージ。ボーカル鈴木圭介も激しく動きまくるパンキッシュなフラカンらしいはじまりとなりました。その後のMCはやはり地元ネタ。特に中日ビルの話になり、グレートマエカワは、前の中日劇場に母親が劇を見に来たことがあるという話から、以前の中日劇場にあった回転レストランの話題なども飛び出して、ある意味、地元民しかわからないような、名古屋出身のフラカンらしいMCとなっていました。

さらにその後も彼らの代表曲が続いていきます。「ピースフル」「丑三つのライダー」から、さらに新曲の「アメジスト」へ。そしておなじみの「深夜高速」がここで登場。ただ、この曲の序盤、マイクトラブルが発生し、鈴木圭介の声が聞こえなくなるトラブルが発生したのですが、そこはおなじみの曲なだけに、みんなが合唱して曲をつなぎ、難なくトラブルを乗り切りました。さらに「私に流れる69」から、「本邦初公開」という「ディスイズナゴヤ」へ。名古屋出身のバンドということをかなりストレートに出した曲に会場は盛り上がります。

そのあとは再びMCをはさみ、ライブではちょっと珍しい曲ということで「哀愁生活」、さらには「履歴書」「春色の道」と比較的力強く聴かせるナンバーが続きます。

次のMCでは、メンバーそれぞれの紹介へ。やはりネタは地元ネタが中心。この日、グレートマエカワはトレードマークのオーバーオールは緑色のでこの日のテーマらしく、昔、地元のテレビ局で行っていた「グリーンキャンペーン」のCMネタへ。ここでローカルCMネタで盛り上がります。さらに、いりなかのCD屋に来ていたアイドルに会いに行った話なども飛び出して、まさに、THE地元といったネタで盛り上がりました。

そしてライブは終盤へ。「アイ・アム・バーニング」「俺たちハタチ族」など、またアップテンポな曲が続き、ラストへ向け、会場のテンションもあがっていきます。さらにはこれまた代表曲のひとつ「恋をしましょう」から、ラストは「最後にゃなんとかなるだろう」そして「終わらないツアー」で締めくくり。一度、ライブは幕を下ろします。

もちろんその後は盛大なアンコールへ。アンコールでは再び「ロックンロール」「元気ですか」とハイテンションの中、アンコールも終了。一度、客電がついたのですが、興奮のるつぼのままアンコールは鳴りやまず、ダブルアンコールへ。このダブルアンコールではメンバーはドラゴンズのユニフォームを着て登場となりました。

ただ、鈴木圭介は、どうもドラゴンズファンというよりは野球自体に興味はないようで、ツアータイトルから「竜の叫びってどんなんだろうね」という話からグレートマエカワが「竜は存在しないから・・・」と返すと、「竜は存在しないのかよ!」と訳わからない(笑)切れ方をして、ユニフォームを地面に脱ぎ捨てて、その後もユニフォームを裏表逆に着ていました(グレートマエカワ曰く「天邪鬼だな・・・」)。まあ、そんな中、ダブルアンコールの曲は「行ってきまーす」で締めくくり。約2時間10分程度のステージは最後までハイテンションのまま幕を下ろしました。

もともとフラワーカンパニーズのライブはイベントなどで見ていて、その熱いステージがとても楽しかったのですが、初のワンマンライブ、やはりフラカンのライブは楽しい!そう実感させてくれる熱いライブでした。とにかく鈴木圭介の力強い歌にパフォーマンスも印象的ですが、バンド自体もいい意味でベテランらしい安定感がありつつも、熱く激しいパフォーマンスを聴かせてくれます。これがフラカンの曲や歌詞の世界にもピッタリとマッチ。聴いていてグッとくるような、そんなパフォーマンスを繰り広げられていました。

最初に平均年齢50歳程度と書いたのですが、そんな決して若くない(失礼!)ファン層にも関わらず、最初から最後までみんな終始立ちっぱなしのステージ。30歳や40歳あたりの年齢層が多い椅子付のライブだと、MCなどでみんな疲れて座って見るケースがほとんどなのですが、フラカンのライブはある意味、ファンも熱いですね、MC含めて、ほとんどみんな、立ちっぱなしでライブを盛り上げていました。

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ちなみにこの日はライブグッズとして小さなチャーム( ↑ )が販売されていました。こちら、販売代金を能登地震の被災者にそのまま送られるのだとか。普段、ライブグッズはほとんど買わない私ですが、この日はこのチャームを買って帰りました。

そんな訳で、初となったフラワーカンパニーズワンマン。ただ、ライブバンドとしてのフラワーカンパニーズの魅力を実感できた素晴らしいステージでした。出来立ての中日ホールでのステージというのも貴重な体験でしたし、非常に満足度の高いライブ。またフラカンのライブには是非とも足を運びたいです!

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2024年4月 6日 (土)

懐かしさを感じさせる音楽

Title:The Past Is Still Alive
Musician:Hurray for The Riff Raff

アメリカ・ニューオリンズを拠点として活動を続ける女性シンガーソングライターAlynda Segarraによるソロプロジェクト、Hurray for The Riff Raffの約2年ぶりとなるアルバム。彼女のアルバムを聴くのは前作「LIFE ON EARTH」に続く2作目となります。前作でも書いたのですが、彼女はこのプロジェクトをアメリカーナ(=アメリカのルーツ音楽)のプロジェクトと位置付けているとか。前回のアルバムでも比較的シンプルなサウンドの楽曲が並んでいましたが、今回のアルバムは前作以上にシンプル。さらに言えばフォーキーな楽曲が並ぶ作品となっています。

さて、彼女の音楽は上にも書いた通り、アメリカのルーツ音楽をたどるような作品となっています。特にアメリカ人にとって、心のふるさとを感じさせるような楽曲が多いのでしょう。ただ同時に、私たち日本人にとっても、聴いていてどこか懐かしく、ホッとできるような作品が多かったように印象を受けました。

そんなことを感じた第一の理由が、アルバムを聴き始めてすぐに訪れます。1曲目「Alibi」のイントロのギターの音色から、聴いていてどこか懐かしさを感じますし、直ぐにはじまる彼女の歌も、暖かく懐かしさを感じさせます。続く「Buffalo」はアコギでしんみり聴かせるフォークの楽曲なのですが、こちらもメランコリックなメロディーラインが郷愁感を覚える作品となっています。

基本的にはその後も、アコースティック色の強いシンプルなアレンジの、フォーキーな楽曲が続きます。3曲目「Hawkmoon」以降の中盤はバンドサウンドを押し出した、比較的「ロック」な作品が並ぶのですが、7曲目「Hourglass」以降の後半は、再びアコースティックなサウンドをバックにメランコリックに聴かせるフォーキーな作品が並び、その優しさにあふれる歌にしんみりと聴き入るような楽曲が並んでいます。

率直に言ってバラエティーという観点で言えば、前作以上にシンプルで似たようなタイプの曲が並ぶアルバムになっていました。ただ、メロディーラインはどこか懐かしく、暖かさを感じる歌声がとても魅力的。そのため最後まで全く飽きることなく、その歌に魅了されるアルバムになっていました。「古き良きアメリカ」が彼女のひとつのテーマなのでしょうが、私たちにとっても懐かしさを感じさせる本作。もちろん、同じ人間として、同じような音やメロに同じような郷愁感を抱くというのもあるのですが、ただ、昔からこういうアメリカ由来の音楽に慣れ親しんでいるから、というのも大きな理由な感じもします。それはともかく、広い層の方が楽しめるアルバムだと思います。素直なポップソングが聴きたい方、フォークロックが好きな方には是非ともお勧めしたいアルバムです。

評価:★★★★★

Hurray for The Riff Raff 過去の作品
LIFE ON EARTH

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2024年4月 5日 (金)

懐かしさを感じられるシンプルなメロディーが魅力的

Title:Loss of Life
Musician:MGMT

アメリカはブルックリン出身のロックバンドMGMT。2007年にリリースされたアルバム「Oracular Spectacular」が高い評価を受け、続くアルバム「Congratulations」がビルボードチャートで2位を獲得する大ヒットを記録。ただ、その後は徐々に人気も落ち着き、バンドも一時、活動休止に。その後、活動再開を経て、本作や約6年ぶり。少々久々となるニューアルバムのリリースとなりました。

インディーロックバンドとして高い評価を受ける彼ら。そのバラエティー富んだ、凝ったサウンドが大きな特徴であり魅力。ただ、加えて彼らの最大の魅力なのは、シンプルで、どこか懐かしさも感じられるポップなメロディーラインでしょう。今回のアルバムも、まず先行シングルにもなっている「Mother Nature」がまず素晴らしい。ちょっと切なさを感じさせる美しいメロディーラインが耳を惹くナンバー。イントロ的な1曲目「Loss of Life(part2)」に続き、この曲がはじまると、グッとアルバムに耳が惹きつけられ、そしてその美しいメロディーに強く魅了されます。

続く「Dancing In Babylon」はフランスの女性シンガーソングライター、エロイーズ・ルティシエによるソロプロジェクトChristine and the Queensをヒューチャーした作品。こちらも男女デゥオのボーカルを上手くいかしたポップなメロディーラインが耳を惹きます。「Nothing To Declare」も、胸がキュンとなるようなフォーキーなメロディーラインが大きな魅力。そのほかの曲も全体的に、美メロと称されるようなポップなメロが魅力的な楽曲が並んでいました。

その美しいメロディーラインを彩るのが、ドリーミーさを感じられるサイケな要素も加わったバンドサウンド。前述の「Mother Nature」も、中盤からノイジーなギターサウンドでダイナミックに聴かせてくれますし、カントリーロック風の「Bubblegum Dog」もダイナミックなメロディーラインをベースとしつつ、様々な音をサンプリングし、分厚いサウンドが魅力的。「Phradie's Song」もフォーキーなメロを彩るサイケでドリーミーなエレクトロサウンドが魅力的ですし、終盤の「I Wish I Was Joking」もドリーミーなエレクトロサウンドに彩られたメランコリックなポップチューンに仕上がっています。

基本的にメロディアスでポップなメロディーとダイナミックさも感じさせるバンドサウンドという組み合わせで、シンプルなギターロック、かと思いきや、ところどころに覗かせるドリーミーでサイケなサウンドが彼らの個性となっており、大きな魅力ともなっている本作。一時期はかなりサイケ寄りにシフトしたものの、活動再開後の前作「Little Dark Age」はポップ寄りに再びシフト。今回のアルバムも、前作同様、比較的ポップ寄りで、いい意味で聴きやすいアルバムに仕上がっていたと思います。前作に引き続き、ポピュラーミュージシャンとしての彼らの魅力を感じさせる傑作でした。

評価:★★★★★

MGMT 過去の作品
Oracular Spectacular
CONGRATULATIONS
MGMT
Little Dark Age

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2024年4月 4日 (木)

ランキング評の掲載内容が変更となります。

先週、ちらっと書きましたが、4月よりランキング評で紹介するランキングの内容が変更になります。具体的にはいままでベスト10を紹介していたHot Albumsの紹介内容を大幅に縮小し、代わりにビルボードのHeatseekers Songs、TikTok Weekly、ニコニコVOCALOID SONGSの1位を紹介することにします。

ここのコーナーでも何度も愚痴っていたように、最近のアルバムチャートは、完全にアイドルグッズのランキングと化しています。いままでシングルで枚数を稼いできたアイドル勢が、ビルボードチャートの普及により、CDの売上だけではランキング上位に入れなくなり、ファンからの集金アイテムをアルバムに変更したことが大きな要因ですが、その結果、アルバムチャートがすっかりアイドルグッズのランキングと化してしまいました。

一方、Heatseekers Songs、Tiktok Weeklyでは次のヒット曲を占うにはちょうどよいランキングですし、また最近のボカロP出身のミュージシャンの活躍で、ボカロソングのランキングも今後のシーンを占うに重要度を増してきています。そのため、今週からは、以下のようにランキングを紹介したいと思います。

・Hot Albums・・・3位までは従来と同様。オリコンのランキングと前作からの初動売上の変化の紹介。4位以下は初登場盤についての紹介のみで、各種チャートの紹介やオリコンとの比較、初動売上の変化の紹介は省略。
・Heatseeker Songs、Tiktok Weekly Top20、ニコニコVOCALOID SONGS・・・1位曲の紹介。

それでは、早速新たな方針のチャート評となります。


今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週も1位はLDH系。

今週1位を獲得したのは三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE「Land of Promise」。先週に引き続きLDH系の男性ダンスグループが1位を獲得。CD販売数1位、ダウンロード数15位。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上6万7千枚で1位初登場。前作はベスト盤とオリジナルアルバムが一体となった「BEST BROTHERS/THIS IS JSB」で、同作の初動9万5千枚(2位)よりはダウン。純然たるオリジナルアルバムとしての前作「RAISE THE FLAG」の13万6千枚(2位)からも大きくダウンする結果となっています。

2位には韓国の男性アイドルグループBTSのメンバーJ-HOPEのソロアルバム「HOPE ON THE STREET VOL.1」がランクイン。CD販売数2位、ダウンロード数1位。ダンスドキュメンタリーシリーズ「HOPE ON THE STREET」と共に公開されるスペシャルアルバムという立ち位置だとか。オリコンでは初動売上2万9千枚で2位初登場。前作「Jack In The Box」の初動2万2千枚(2位)からアップしています。

3位初登場はHot100でも紹介した韓国の女性アイドルグループILLIT「SUPER REAL ME」。CD販売数3位、ダウンロード数3位。オリコンでは初動売上1万1千枚で3位初登場。本作がデビュー作となります。

以下、4位以下初登場盤となります。4位にShe is Legend「春眠旅団」が初登場。She is Legendはスマホゲーム「ヘブンバーンズレッド」の劇中バンド。5位初登場は「PSYCHO-PASS 10th ANNIVERSARY BEST」。アニメ「PYSCHO-PASS サイコパス」シリーズの主題歌集。7位には「GROWING LIGHT: FINAL FANTASY XIV Original Soundtrack」がランクイン。タイトル通り、オンラインPRG「FINAL FANTASY XIV」から、パッチ6.1「新たなる冒険」からパッチ6.5「光明の起点」までの曲を収録したサントラ。8位初登場はGLAY「THE FRUSTRATED Anthology」。2004年にリリースしたアルバム「THE FRUSTRATED」の復刻版。そして10位には「Paradox Live 3rd album"ANTHEM"」が初登場。HIP HOPをテーマとしたアニメ「Paradox Live」の登場人物による楽曲をあつめたアルバムとなっています。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

今週の1位は五十嵐ハル「少しだけ」。元警察官という異色のキャリアを持つ男性シンガーソングライター。今年1月にリリースされた「めんどくさいのうた」がスマッシュヒットを記録。本作もインスタやTikTokを中心に話題となっています。結婚していく好きだった人に「もう少しだけ早ければ相手は自分だったのかも」という感情を抱く、ある意味、王道的な片想いソングのバラード。各種チャートでもラジオオンエア数で7位にランクインされており、今後のブレイクが期待されてます。


今週のTikTok Weekly

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=tiktok

今週の1位はヤングスキニー「ベランダ feat.戦慄かなの」。ヤングスキニーは最近人気上昇中の4人組ロックバンド。本作は、少年院出身という異色の経歴を持つ女性アイドル、戦慄かなのをフューチャーした作品。恋人同士の日常を描くミディアムチューンのナンバーになっています。Heatseekersの五十嵐ハルや、昨年来ヒットしたSaucy Dogやシャイトープ、優里みたいに、王道ラブソングのバラードが最近、人気を人気を集めている印象がありますが、ちょっと保守的すぎてつまらなさも感じてしまいます。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

1位はンバヂ(nbaji)「好きな惣菜発表ドラゴン」。ドラゴンが、ただ好きな惣菜を発表するだけというゆるい動画なのですが、緩いイラストのドラゴンと、お惣菜というアンマッチさが受けて話題となった、いわばネタ動画。こういう曲が流行るところがネットの楽しい部分ですが、楽曲的には至ってメランコリックでシンプルな歌モノとなっています。

今週は以上。チャート評はまた来週に!

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2024年4月 3日 (水)

この3曲が今年を代表するヒットになりそう・・・

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

おそらく今年を代表するヒット曲になるだろうなぁ、という3曲がベスト3に並んでいます。

まず1位は、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」が獲得。今週、ダウンロード数が1位に返り咲き。結果、ダウンロード数、ストリーミング数、YouTube再生回数、カラオケ歌唱回数が1位という圧倒的な強さを見せつける結果となっています。これで10週連続の1位に。ベスト10ヒットも11週連続となりました。この快進撃はまだまだ続きそうです。

そして2位にはOmoinotake「幾億光年」が先週の4位からランクアップ。ベスト10にランクインしてから7週目にして徐々に順位を上げ、ベスト3入りしています。TBS系ドラマ「Eye Love You」主題歌。2021年にデビューしたばかりの若手3人組バンドで、ソウルやR&Bの影響を受けた曲調が特徴的。特にストリーミング数は4週連続の2位をキープ。ダウンロード数も4位から3位、YouTube再生回数も9位から7位にアップしており、今後のロングヒットも期待できそうです。

さらに3位には先週6位にダウンしたtuki.「晩餐歌」が3ランクダウンで2週ぶりにベスト3返り咲き。ストリーミング数3位は今週も変わらず。ただし、YouTube再生回数が2位から4位とここに来てダウン。これで18週連続のベスト10ヒット&通算8週目のベスト3ヒットとなっています。

続いて4位以下の初登場曲ですが、まず5位にKnight A-騎士A-「EDEN」がランクイン。動画投稿サイトで歌唱動画をアップしている男性5人組グループ。CD販売数1位で、その他はランク圏外となっています。オリコン週間シングルランキングでは初動売上5万枚で1位初登場。前作「AllVIN」の初動8万1千枚(2位)からダウンしています。

8位にはILLIT「Magnetic」がランクイン。韓国人3人、日本人2人からなるK-POPの女性アイドルグループ。1stミニアルバム「SUPER REAL ME」がリリースされましたが、同アルバム収録曲がベスト10入り。ダウンロード数7位、YouTube再生回数12位。

また今週はベスト10返り咲き曲が。Vaundy「怪獣の花唄」が先週の12位から10位にランクアップ。5週ぶりのベスト10返り咲き。これで通算58週目のベスト10ヒットとなっています。ただし、ストリーミング数10位、カラオケ歌唱回数2位は先週から変わらず。他はランク圏外となっています。また、Vaundyは「タイムパラドックス」が先週の8位から7位にアップし、今週もベスト10入り。2曲同時ランクインとなっています。

ロングヒット曲ですが、まずYOASOBI「アイドル」。先週の7位からワンランクアップの6位。ただストリーミング数は5位から6位、YouTube再生回数は5位から8位とダウンしており、ジワリと下落傾向。これでベスト10ヒットは51週連続に。

さらにここに来て強さを見せているMrs.GREEN APPLE「ケセラセラ」は先週から変わらず9位。これで3週連続の9位となっています。ただしストリーミング数は7位から8位にダウン。これで通算25週目のベスト10ヒットとなっています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albumsですが・・・この4月からランキングの紹介方法が変更になります。詳しくは明日。

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2024年4月 2日 (火)

36歳の三浦大知

Title:OVER
Musician:三浦大知

前作「球体」から約6年ぶりとなるフルアルバム。その前作「球体」はコンセプトアルバムという立ち位置だったので、純粋なオリジナルフルアルバムとしては「HIT」以来、約7年ぶりとなるニューアルバムとなります。今回、このアルバムレビューを書くにあたって気が付いたのですが、三浦大知って、もう36歳なんですね・・・。Folder5以来のイメージがあるから、もうそんなに「おじさん」になっちゃったんだ・・と思ってしまいました。

さて今回の新作については、まず良くも悪くも今時のサウンドメイキングに、もっと言ってしまえば「売れ線の音」になっていたように感じます。冒頭を飾る先行シングル「Pixelated World」のダイナミックなエレクトロサウンドも、続く「能動」のラップからスタートし、エレクトロサウンドのリズミカルなビートも、また、メランコリックに歌い上げるボーカルスタイルも、正直、ちょっとK-POPっぽさを感じさせる部分もあります。

その後もリズミカルなエレクトロチューン「好きなだけ」や、こちらも売れ線の王道を感じさせるバラードナンバー「Flavor」など、「売れ線」と書いてしまうと、ちょっとネガティブな響きを持ってしまうかもしれませんが、ただ、しっかりと作り込まれたエレクトロサウンドのクオリティーの高さは間違いありません。また、言うまでもないかもしれませんが、声量のあり、かつ非常に伸びやかな三浦大知のボーカルの魅力は本作も健在です。

前作「球体」はコンセプトアルバムということで、サウンドの側面でかなり凝ったアルバムに仕上がっていました。そのため音楽的な評価は高かったのですが、若干取っつきにくさはあったかもしれません。その分今回のアルバムは、楽曲的には決して凝ったアルバムではないのかもしれませんが、その分、下手なギミック的な部分がない分、三浦大知のボーカリストの魅力はより存分に発揮されていたのではないでしょうか。

とはいえ、良くありがちな売れ線のサウンドに関しては、ちょっと物足りなさを感じた前半。そんな印象が大きく変わったのは後半でした。後半のバラードナンバー「羽衣」は、ハイトーンボイスで聴かせるミディアムテンポのナンバーで、感情たっぷりにちょっと切なさも感じられる三浦大知のボーカルは魅力たっぷり。終盤の「Sheep」は非常にシンプルなサウンドで三浦大知のファルセットをこれでもかというほど聴かせるナンバー。まさに三浦大知のボーカリストの力量あっての楽曲となっています。後半は、前半に比べると、より三浦大知のボーカルの魅力を生かした、優れた作品が並んでいたように感じました。

ボーカリストとしての魅力をさらに強く感じさせる傑作アルバム。年齢を重ねて、さらに表現力に磨きがかかってきたようにも感じさせます。彼だからこそ完成させうる、素晴らしいアルバムでした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

The Roller Skating Tour/Nulbarich

約2年半ぶりとなるNulbarichのニューアルバム。メロウなジャズ、ソウルをベースに、ちょっと懐かしいテイストを加味しつつ、軽快でポップにまとめあげているスタイルはいままで通り。前作から引き続き、エレクトロのテイストが目立ち、懐かしさを感じられるAORの要素も強くなった感じも。相変わらずクオリティーの高いポップチューンを聴かせてくれています。ただ、残念ながらNUlbarichは今年いっぱいで活動を休止するとか。確かに完成度の高い作品なだけに、Nulbarichとして演れることは演りつくしたといった感もあるのでしょうか。とはいえ、Nulbarichは事実上、JQのソロプロジェクトなだけに、名義を変えて新たな音楽活動を再開するのでしょう。次の一歩も楽しみです。

評価:★★★★★

Nulbarich 過去の作品
Who We Are
Long Long Time Ago
H.O.T
The Remixies
Blank Envelope
2ND GALAXY
NEW GRAVITY

U30 Contract TAKASHI UTSUNOMIYA ANTHOLOGY 1992-2023/宇都宮隆

TM NETWORKの宇都宮隆のソロデビュー30周年を記念してリリースしたソロキャリアのベストアルバム。ソロでの作品のみならず、BOYO-BOZO名義の作品も収録しているベスト盤になっています。基本的にはTM NETWORKのイメージをそのまま引き継いだような曲が多いのですが、一方で、端正な彼のボーカルを通すと、どんな曲でも宇都宮隆の曲になるような印象が。TM NETWORKの曲も、このボーカルを軸に据えた曲作りを行っていたため、ウツのソロ曲に関してもTMの延長線に感じてしまうのはそのためでしょう。それだけ魅力的かつ個性的なボーカリストと感じます。ただ、残念ながらTM時代の曲を超える曲がないのは残念。また、ソロキャリアの中での最大のヒット「少年」がなぜか未収録なのも残念。一方、ボーナストラックとして、小室哲哉作曲の「JINGI・愛してもらいます」も収録。小室曲をあえてカバーする、というここまでは面白いのですが、間奏になぜかTRFのヒット曲のフレーズがそのまま使われています。小室哲哉に媚びている・・・訳ではないと思うのですが、ただ、ちょっと小室に寄りすぎでは?とも思ってしまったりもして、違和感が・・・。

評価:★★★★

宇都宮隆 過去の作品
TRILOGY
mile stone

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2024年4月 1日 (月)

アコースティックスタイルながらも濃い内容のライブイベント

BABY Q 名古屋場所

会場 名古屋市公会堂 日時 2023年3月29日(金) 19:00~

今回は、イベント形式のライブに足を運んできました。もともと、東京と神戸で開催されたインドア・フェス「Q」の派生イベントだそうで、アコースティックスタイルのステージを見せてくれる回遊イベント。名古屋でのメンバーが曽我部恵一、岸田繁、青葉市子、君島大空という豪華なメンバーだったことから、今回足を運びました。

Babyq

イベントは19時ちょうどにスタート。まず最初に登場したのは君島大空。昨年は「映帶する煙」「no public sounds」という1年間に2枚もの傑作アルバムをリリースしてきた、今、注目されている若手のシンガーソングライター。以前、オンラインでのライブを見たことはあるのですが、生のステージは今回がはじめて。アコギ1本での非常にシンプルな形のステージとなりました。

このアコギを主にアルペジオで奏でて演奏を聴かせてくれるのですが、このアコギの音色の実に美しいこと・・・。夢の中のような音色におもわずうっとりと聴き惚れてしまうようなアコースティックギターの演奏を聴かせてくれます。また、そのアコギの音色にピッタリの、透き通るようなハイトーンボイスも大きな魅力。このアコギと彼の歌声で、夢のような時間が流れていきました。楽曲は「午後の反射光」からスタートし、「˖嵐₊˚ˑ༄」「映画」「向こう髪」と続き、最後は「夜を抜けて」で締めくくられる全30分のステージ。時折、目をつぶってそのアコギと歌声にしんみりと聴き入りつつ、あっという間の30分でした。

2番手は青葉市子。この日のイベントの紅一点です。こちらも以前からアルバムは必ず聴いてきたミュージシャンですが、ライブを見るのははじめてのミュージシャンでした。

アコースティックのステージということもあってセットチェンジはわずか5分程度で終了。最初はエレピ1本で「うちゅうのみなしご」からスタート。彼女もまた、君島大空と同様、ハイトーンボイスで聴かせてくれるのですが、エレクトロピアノのサウンドが加わることによって、君島大空以上にドリーミーなステージを聴かせてくれます。その後はアコースティックギターに持ち替え、アコギ1本でのステージに。この季節にピッタリの「卯月の朧唄」や「テリフリアメ」、さらには1年でこの季節しかライブで演奏しないという「四月の支度」を披露してくれます。

途中のMCでは、このライブの参加者の豪華さの話題をした後に、直前の楽屋では参加メンバーによるジャムセッションが行われていたという、いかにもなエピソードも。そのジャムセッション、見てみたいなぁ・・・。その後も「アンティーヴと眠って」や「おめでとうの唄」へと続き、ラストは再びエレピで「海底のエデン」へ。最後も非常に幻想的な雰囲気での締めくくりに。彼女も全30分程度のステージをドリーミーに聴かせてくれました。

そして3番手は岸田繁の登場。こちらはくるりで何度もステージは見た事あるのですが、彼のソロでのステージははじめてとなります。彼もアコギのみでのライブ。最初はいきなり「鹿児島おはら節」からスタート。ここまでの楽曲の雰囲気とはガラリと異なる楽曲を力強い歌声で歌い上げます。

その後のMCでは、もっぱらこの日のプロ野球開幕の話題に。「開幕戦、見なくていいんですか?」というMCからドラゴンズの話も。ドラゴンズの若手選手の龍空に注目しているという話も。その後はくるりの「男の子 女の子」から、さらにMCではジブリパークの話をした後にカバー曲の「となりのトトロ」へ。会場からは、このカバーにはちょっとしたどよめきや軽い笑い声も起きたのですが、昨年リリースされたジブリのトリビュートアルバムでこの曲を岸田繁が歌っていた、というのを知らない方も多かったのでしょうか。

さらには岸田繁が奥田民生、伊藤大地と結成した「サンフジンズ」の「ふりまいて」に、くるりの「How Can I Do」となかなかのレア曲を連発。ただその後は「さよならリグレット」「BREMEN」とおなじみのナンバーで締めくくり。最後もMCで「セ・リーグで最初に点を取ったのはドラゴンズらしいですよ」と開幕戦の話題に触れて、MCはほぼ野球ネタで30分ちょっとのステージに幕を下ろしました。

ラストには曽我部恵一の登場。彼もアコギ1本でのステージながらも、他の3人と違って立ったままでのステージとなりました。最初は「碧落-へきらく-」からスタート。東京に来てから30年になってしまったという話と、ちょうど15年前に作った曲ということで「東京2006冬」、さらには「いくつになっても恋をしたいよね」というちょっとキザっぽいセリフから「シモーヌ」へと続いていきます。

その後もこの時期らしい「春の嵐」「桜 super love」へと続いていきます。またMCでは主に子供の話題が多く、上の子供はもう24歳(!)だとか。一番下の子供が今年高校受験だったそうで、彼は中高一貫校出身だったので高校受験ははじめての経験で大変だった、といういかにも子持ちの親らしい話題も。あと、この日のMCではじめて知ったのですが、彼はバツイチでシングルファーザーなんですね。子煩悩な父親というイメージも強かったのですが、シングルファーザーだったというのは何気にはじめて知りました・・・。さらに娘が産まれた時の気持ちを歌った「おとなになんかならないで」へ。そんな彼女も既に大学生(!)だそうで、K-POPにはまって、休学して韓国に「推し活」へ行ったとか!日本に帰ってきたそうですが「いないと淋しいけどいるとうるさい」だそうで、そんなエピソードの後に「おとなになんかならないで」を聴くと、時間がたったことを強く感じてしまいます(笑)。

そして最後は「おかえり」で締めくくり。ライブ終了はちょうど9時半。MCのネタもあったので4人でのジャムセッションもちょっと期待していたのですが、残念ながらアンコールもなしに比較的あっさりと終了。4組全2時間半のステージでした。

この日のイベント、アコースティックベースのステージで、ステージもほぼベアの状態というシンプルなステージ。ただ、前半2名の若手は非常にドリーミーで夢のようなステージ(岸田繁のMCでは「妖精が飛び出してきた」と表現していました)。一方、後半2名のベテランは、飄々とした雰囲気ながらも、味のあるステージを聴かせてくれて、非常に充実したステージとなっていました。

ひとり30分程度のステージ。アコースティックライブだっただけに非常にシンプルなステージだったのですが、ただ、それぞれのミュージシャンがしっかりとその魅力を出しつつ、さらには代表曲からレア曲まで少ないセットリストながらも幅広い選曲で楽しむことが出来たライブイベントになっていました。非常に満足度の高い、とても濃い時間が流れた2時間半でした。

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