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2024年3月 1日 (金)

よりMJ Lendermanのコアな部分がわかるライブ盤

Title:And The Wind(Live and Loose!)
Musician:MJ Lenderman

Mjlenderman_live

アメリカのインディーロックバンドWednesdayのギタリストであり、自らもシンガーソングライターとしてソロ作をリリースしているMJ Lenderman。個人的には、今、このWednesday界隈は個人的にはもっとも注目しているミュージシャンのうちの一組で、Wednesdayの最新アルバム「Rat Saw God」は先日紹介したばかりですが、2023年の私的年間ベストアルバムの1位に選びましたし、MJ Lendermanの現時点での最新ソロ作「Boat Songs」も2022年の私的年間ベストアルバムで3位に選ぶなど、個人的にかなりはまっているミュージシャンだったりします。

今回紹介するアルバムは、そんなMJ Lendermanのソロ・ライブアルバム。2023年の夏に行われた、シカゴのリンカーン・ホールとロサンゼルスのロッジ・ルームでのライヴの模様が収録されたアルバムとなっています。ただ、ライブアルバムといっても、特にMCが入っている訳でもなく、また、観客席の盛り上がりが雰囲気として収録している訳ではなく、淡々としたMJ Lendermanのライブの模様がそのまま収録されているアルバム。ある意味、ベスト盤的なアルバムとしても楽しめる作品と言えるかもしれません。

その上で、今回のライブアルバム、以前聴いたソロアルバム「Boat Songs」からMJ Lendermanの音楽的なイメージがちょっと変わりました。「Boat Songs」はホワイトノイズがアルバム全体を覆う、いわばシューゲイザー系からの影響がかなり顕著なアルバムとなっていました。一方、このアルバムに関しては1曲目「Hangover Game」など、ノイジーなギターがまずは前面に出てきています。ただ、同じオルタナ系ロックといっても、例えばマイブラやRideのようなシューゲイザーからの流れというよりは、ソニックユースあたりのインディーロックからの流れを強く感じます。

さらにもっと言えば顕著だったのが、カントリーやフォークといったジャンルからの影響。特にカントリーからの影響はWednesdayの楽曲自体の大きな特徴と言えるのですが、このライブアルバムでは、そのようなジャンルからの影響が特に強く感じ、いわゆるいかにもアメリカンロック的な様相の楽曲が目立ちます。「You Have Bought Yourself A Boat」なども、インディーロック的なバンドサウンドを聴かせつつも、郷愁感のあるギターはいかにもカントリー風。「TLC Cagematch」もしんみりと聴かせるフォーキーな作風ですし、「Dan Marino」「Under Control」も同じく郷愁感漂うカントリーロック風の楽曲を聴かせてくれています。

さらには「SUV」ではヘヴィーなサウンドにシャウト気味のボーカルといった、ガレージロックな作品に仕上げていたり、「You Are Every Girl To Me」ではもっとポップでメロディアスな曲調のオルタナ系のナンバーがあったりと、「Boat Songs」よりもさらに幅広い、ある意味、ロックのルーツ的な部分に忠実な作風を楽しむことが出来ました。

シューゲイザー好きからすると、正直、「Boat Songs」の方が好みのタイプではあるものの、このライブアルバムではよりMJ Lendermanの幅広い音楽性と、彼のコアな部分をより知ることが出来たと思います。ロック好きなら幅広くお勧めしたいアルバムです。

評価:★★★★★

MJ Lenderman 過去の作品
Boat Songs

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