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2024年3月 4日 (月)

オリビアを聴きながら

Title:Greatest Hits<Japan Deluxe Edition>
Musician:Olivia Newton-John

2022年に長い闘病生活の末、この世を去ったオーストラリアのシンガー、オリビア・ニュートン=ジョン。日本でも「その風の誘惑」や「フィジカル」などがヒットを記録。高い人気を博していましたが、晩年は癌で闘病生活をおくっていたようで、残念ながら帰らぬ人となってしまいました。「そよ風の誘惑」のような、清涼感ある声を聴かせてくれるかわいらしいシンガーというイメージがあったので、訃報にはちょっとビックリしたのですが、ただ享年73で、確かに大往生といった感じではないものの、一方で早世という歳ではなく、意外とそれなりに年齢は行っていたのか・・・と逆に驚きもしました。

本作は、そんな彼女の過去の代表曲を網羅したベストアルバム。もともと1977年にリリースされた「Greatest Hits Vol.1」と、82年にリリースされた「Greatest Hits Vol.2」を日本独自企画としてまとめて再リリースしたもの。当時、各国でボーナストラックとして追加収録された曲も今回まとめて収録されたそうです。もちろん彼女の活動は82年以降も続いているのですが、これ以降は83年の「運命のいたずら」を最後にビルボードのベスト10ヒットとは縁がなくなってしまっているため、結果としてほぼオールタイムベストとして聴くことの出来るベストアルバムとなっています。

彼女の楽曲は、特にDisc1の「Greatest Hits Vol.1」に収録されている曲は、カントリーの影響をストレートに受けた清涼感あふれるポップスの連続。透き通った歌声に、これでもかというほど淀みのないようなポップチューンの連続で、聴いていて心があらわれてくるよう(笑)。これほど毒気のないポップソングは、今となっては逆に珍しいように感じます。古き良き、という言い方が妥当かどうかはかなり微妙なのですが、そんな表現がピッタリ来るようなポップチューンの連続。特に大ヒットしてスタンダードナンバーとした定着している「Have You Never Been Mellow(邦題 そよ風の誘惑)は透き通った歌声と切ないメロディーラインに、やはり強いインパクトを感じます。

ただ、ユニークなのが、カントリー基調のポップスだった「Greatest Hits Vol.1」と、たった5年しか経ていない「Greatest Hits Vol.2」に大きな変化があること。Disc2の冒頭を飾る「Heart Attack」も、打ち込みのサウンドはいかにも80年代的ですし、シャウト気味のボーカルにはロックの影響も感じます。日本でも大ヒットを記録し、こちらもスタンダードナンバーと言える「Physical」もディスコ調の曲調が80年代的。当時流行していたエアロビクスをモチーフとしたミュージックビデオは、保守派からの反感を買い、一部では放送禁止になったらしいというエピソードは、ある意味、非常に保守的なDisc1のころの作品から隔世の感があります。80年代になってヒットシーンがガラリと変わる中、彼女も大きくそのスタイルを変え、そして、これらの曲のヒットにより、しっかりとアップデートすることが出来た、ということなのでしょう。

時代に応じたオリビアの変化を感じることが出来るこのベストアルバム。ただ、その清涼感ある歌声とインパクトあるポップなメロディーラインという点は時代を通じて変化はありませんでしたし、優れた歌だったからこそ、40年以上を経た今の耳でも、十分すぎるほど楽しむことが出来る名曲の連続でした。ポップス好きなら間違いなく楽しめるアルバム。彼女の代表曲が網羅されているため、お勧めの1枚です。あらためて彼女が素晴らしい歌手だったんだな、ということを感じられる作品。あらためて彼女のご冥福をお祈りしたいと思います。

評価:★★★★★

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