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2024年3月31日 (日)

バンドのさらなる成長を感じさせる1枚

Title:TANGK
Musician:IDLES

イギリスのポストパンクバンドIDLESの約2年3ヶ月ぶりのニューアルバム。前作「Crawl」はグラミー賞にノミネート。日本でも徐々に知名度が上がってくるなど、世界的な注目も高まってきています。本作は本国イギリスの公式チャートで2作ぶりの1位を獲得するなど、現在、最も勢いのあるロックバンドのひとつと言えるでしょう。

IDLESの魅力と言えば、まずはダイナミックなバンドサウンド。今回のアルバムでも「Gift Horse」「Jungle」など、分厚く力強いバンドサウンドが耳に押し寄せるような彼ららしい楽曲も目立ちます。先行シングルでもある「Dancer」でもLCDサウンドシステムのジェームス・マーフィーとナンシー・ワンが参加。かなり賑やかなボーカルラインが加わった勢いのある楽曲となっています。

一方、前々作「Ultra Mono」までは、楽曲の方向性については若干一本調子。勢いで最後まで押し切るようなアルバムになっていました。もちろん、その勢いだけで十分楽しめる傑作ではあったものの、前作「Crawer」では音楽的なバリエーションが一気に増え、グッと奥行きの増したアルバムに仕上がっていました。

そして今回のアルバム。前作にも増してバリエーションに富んだアルバムとなっており、バンドとしてのさらなる成長を感じさせる作品となっています。1曲目「IDEA 01」はピアノでフリーキーな曲風に、ハイトーン気味でメロウに聴かせるボーカルの曲からスタートし、正直、ちょっとビックリさせられます。「POP POP POP」もヘヴィーなサウンドが流れつつも、リズムは軽快でリズミカルなビートになっており、一風変わったIDLESを聴かせてくれますし、折り返し地点である「A Gospel」も、エレピとサイケなサウンドで荘厳に聴かせるような、ポストパンクというイメージからはちょっと離れるような曲調になっています。

後半も「Hall&Oates」などは、タイトルからはちょっとイメージし難い、ガレージ色の強い作風に。ラストを締めくくる「Monolith」もゆっくりとヘヴィーなギターが入りつつ、ゆっくりと静かに聴かせるナンバーに仕上がっています。最後はジャジーなサックスで締めくくり。いままでのIDLESとは一風異なった終わり方となっています。

いままでと比べると、一気に楽曲のバリエーションが増して、バンドとしての成長を感じさせるアルバム。それと同時に、いままでのIDLESらしい楽曲もきちんと多く収録されており、いままでのIDLESを期待するような層も十分満足させることが出来る、ある意味、理想的とも言える作品だったと思います。文句なしの傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

IDLES 過去の作品
Joy as an Act of Resistance
Ultra Mono
CRAWLER

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