シュールなMVも大きな話題に
Title:HAPPY
Musician:group_inou
2003年に結成。フジロックやRISING SUNなどのロックフェスにも参加し、注目を集めるものの、2016年をもって活動を休止したエレクトロユニット、group_inou。昨年11月に、事前告知一切なく、突如新曲「HAPPENING」が配信リリースされ大きな話題となりました。そして今年の正月、ミニアルバム「HAPPY」がリリース。その後のアナウンスはまだないものの、完全復活を果たして話題となっています。
ただ、(若干「なぜか」なのですが)2016年の活動休止まで、group_inouというミュージシャンは認識はしていたのですが、聴いたことはありませんでした。そもそもgroup_inouを聴いたきっかけが、AC部のつくるシュールなMVが話題となっていた影響。今回の「HAPPENING」も、特にネット上では、AC部のつくるシュールなMVが話題となった大きな要因だったりします。
このユニークなMVが入口になったとはいえ、楽曲の面でも魅力的だったのがアルバムを聴き始めた要因だった訳で、非常に耳なじみのよいポップなエレクトロチューンがgroup_inouの大きな魅力。シュールな歌詞も非常に独特で、かつ大きなインパクト。そのシュールな歌詞もAC部のつくる世界観に非常にマッチしているからこそ、MVも大きな話題になったのでしょう。
このエレクトロなサウンドとシュールな歌詞の世界というと、どうしても電気グルーヴを彷彿とさせられます。実際、方向性としては似たような部分もあり、ファン層もかぶっている部分も大きいかもしれません。ただ楽曲的には電気グルーヴのサウンドがテクノ、さらには80年代のマンチェサウンドの影響を大きく受けているのに対して、group_inouは2000年代以降のエレクトロの影響が顕著。歌詞にしても、電気グルーヴは80年代90年代的な不条理ギャグの要素が強いのに関して、group_inouはもっと醒めたシュールさを感じさせます。またgropu_inouはメンバーにラッパーがおり、基本的にはラップパートのついたポップス寄りの楽曲も特徴的。エレクトロのサウンドとシュールな歌詞の組み合わせというパーツは似ている両者ですが、生み出されるサウンドには違いを感じられます。
今回リリースされた6曲入りのミニアルバムは、いわば活動を再開した彼らのご挨拶的な作品と言えるのではないでしょうか。スペーシーなエレクトロサウンドが楽しい「ON」からスタートし、エレクトロサウンドもメロディアスなポップチューン「HAPPY」、軽快でリズミカルなエレクトロがインパクト十分な先行シングル「HAPPENING」は、「暴れん坊のコギャル猫」というシュールはフレーズも耳に残ります。
後半はミディアムチューンでスペーシーなエレクトロポップ「SKETCH」「FANTASY」と続き、最後を締めくくるものスペーシーなミディアムチューン「MESSAGE」で締めくくり。リズミカルでアップテンポな前半と、ミディアムチューンで、メロウさも感じさせる聴かせる後半という、6曲入りという短さの中に、group_inouの楽曲のバリエーションを感じさせる構成となっていました。
全体的にポップで、いい意味での聴きやすさのあるエレクトロなだけに、幅広いリスナー層にお勧めできそうなアルバム。以前の活動の時期には大ブレイクとまではいかなかったのですが、ネットを中心にMVも話題になっているだけに、活動再開後はひょっとしたら大ブレイクとなるかも。これからの活躍に期待しましょう。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
COVER曲集♪ともしび♪/KODAMA AND THE DUB STATION BAND
元ミュート・ビートのこだま和文率いるKODAMA AND THE DUB STATION BANDの最新作は、カバーアルバム。「花はどこへ行った」「You've Got A Friend」「Africa」といった、比較的カバーの定番曲をダビーに、哀愁たっぷりにカバーしています。そんな中で異色なのが「ゲゲゲの鬼太郎~DUB~」で、タイトル通り、有名なアニメの主題歌。こちらもダブアレンジで哀愁たっぷりに聴かせてくれるのですが、これが意外とアルバムの中にはまっています。聴きなじみある曲が多いので、広い層が楽しめそうなカバーアルバムでした。
評価:★★★★★
All Time Best Album/飯島真理
デビュー40周年を記念してリリースされた、シンガーソングライター飯島真理のオールタイムベストアルバム。アニメ「超時空要塞マクロス」のリン・ミンメイ役で最初に注目され、元祖アイドル声優と呼ばれることもあるとか。ただ、声優としての活動は同作のみのようですが・・・。実際、デビュー当初の作品についてはかなりアイドル色も強くなっているのですが、そんなアイドル色もすぐに抜け、その後は徐々にAORのシンガーとしての脱皮を感じられます。いい意味で徐々に大人のシンガーになっていく成長ぶりがこのアルバムでも感じられました。「マクロス」のリン・ミンメイ役は彼女にとっても重要なキャリアだったのでしょうが、それだけで語られるにはちょっともったいない印象も受けました。
評価:★★★★
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