ブルースデゥオだがメロは歌謡曲的
Title:THE BEST OF T字路s
Musician:T字路s
ブルースデゥオのT字路sの初となるベストアルバム。ファンによる人気投票の結果と、メンバーの選曲によって選ばれた全18曲が収録されており、さらにこのうち7曲については、新たにレコーディングされて収録されており、熱心なファンにとってもうれしい1枚となっています。
T字路sで何よりも特徴的だと思うのは、伊東妙子のボーカル。かなり癖のあるだみ声を、これでもかというほど力強く張り上げるボーカルは、一度聴いたら忘れられないインパクトがあります。ブルースデゥオながらも、どちらかというと「ソウルフル」と称されそうなボーカルスタイル。日本では、クリアな声でハイトーンボイスを生かした女性ボーカリストが賞賛される中で、彼女のようなだみ声で、低音を生かした女性ボーカルというスタイルというのは珍しいのではないでしょうか。それだけに、彼女のボーカルが楽曲の中でかなりのインパクトを生んでいます。
ただ、これだけボーカリストが強いインパクトを持っているからこそ、メロディーラインがそのボーカルに比べて薄く感じてしまう・・・というのが、いままでのT字路sのオリジナル楽曲を聴いていての感想だったりします。実際、このベストアルバムでも過去に彼女たちが挑戦したカバーアルバムが収録されているのですが、ベスト盤を聴き終わった後に印象に残ってしまうのが、むしろそのカバーで、RCサクセションの「スローバラード」はまさに絶品。哀愁たっぷりの歌詞やメロディーラインが、伊東妙子のボーカルによって、より強調されています。さらに印象的だったのが「襟裳岬」。こちらも伊東妙子のパワフルなボーカルが楽曲とピッタリとマッチしている名カバーに仕上がっています。
ただし、今回のベストアルバムに収録されている曲も、さすが人気曲を中心に収録している「ベスト」アルバムなだけにオリジナル曲に関しても聴きごたえある曲が並んでいます。人気投票で1位となった「泪橋」も力強く歌い上げるナンバーで、伊東妙子のボーカルがこれでもかというほど発揮された楽曲になっていますし、人気投票の3位「夜明けの唄」も哀愁感たっぷりの泣きメロが聴かせる楽曲になっています。
ただ、あらためて聴くと、T字路sの曲は、ソウルやブルースというよりも、特にメロディーラインについては、非常に歌謡曲的な印象を受けます。哀愁感たっぷりのメロディーラインは、日本人の琴線にピッタリと寄り添うよう。こぶしを利かせた伊東妙子のボーカルにもピッタリとマッチしています。一方、サウンドやリズムに関しては、ソウルやブルースの要素が強く、そのため聴いた感じではバタ臭さを感じさせる点も大きな特徴でしょう。邦楽なメロディーラインと歌詞に、洋楽なサウンドやリズムという両者の融合が、T字路sの大きな魅力であるとも感じました。
ボーカルには大きな癖があるものの、聴きはじめると知らず知らずにその独特なだみ声に魅了されそう。日本人の琴線に触れるメロディーも大きな魅力ですし、もっと注目されてよいミュージシャンだと思うんですけどね。T字路sの入門的に最適なベスト盤。興味ある方は是非。
評価:★★★★★
T字路s 過去の作品
PIT VIPER BLUES
BRAND NEW CARAVAN
COVER JUNGLE 1
COVER JUNGLE 2
ほかに聴いたアルバム
SINGLE CONNECTION&AGR-Metal&Acoustic-/THE ALFEE
2013年から2021年にリリースされたシングルを収録したTHE ALFEEのベストアルバム。Disc2には過去作のセルフカバー「AGR(Alfee Get Requests)-Metal&Acoustic-」も同時に収録されています。実はTHE ALFEEのアルバムを紹介するのはこれがはじめて。シングル集ということで聴いてみたのですが・・・率直に言って、予想以上につまらなかった・・・。というか、これでもかというほど平凡な前向き応援歌の羅列で、楽曲も悪い意味でいかにもTHE ALFEEといった陳腐なメロ。いや、こんなにつまらなかったっけ・・・とDisc2を聴くと、全然そんな印象はなく、いい意味で彼らの趣味であるメタルとフォークと歌謡曲がそのまま混ざらないでポップにまとまっている楽曲を聴かせてくれています。悪い意味で大ベテランとして最近のシングルは完全に失速しちゃっているんですね・・・。ちょっと残念に感じたシングル集でした。
評価:★★★
KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2023 “PINEAPPLE EXPRESS” ~明日大好きなロックンロールバンドがこの街にやってくるんだ~/斉藤和義
恒例の斉藤和義ライブアルバム。昨年リリースしたアルバム「PINEAPPLE」を引き下げたライブツアーのうち、7月22日に川口総合文化センターリリアで行われた模様を収録したアルバム。アルバム「PINEAPPLE」からの曲を中心に、バンドサウンドで時には軽快に、時には力強く聴かせてくれるライブが魅力的。全体的にはメランコリックなメロディーラインを力強いバンドサウンドをバックに聴かせるような曲が多かった印象が。
評価:★★★★
斉藤和義 過去の作品
I (LOVE) ME
歌うたい15 SINGLES BEST 1993~2007
Collection "B" 1993~2007
月が昇れば
斉藤“弾き語り”和義 ライブツアー2009≫2010 十二月 in 大阪城ホール ~月が昇れば 弾き語る~
ARE YOU READY?
45 STONES
ONE NIGHT ACOUSTIC RECORDING SESSION at NHK CR-509 Studio
斉藤
和義
Kazuyoshi Saito 20th Anniversary Live 1993-2013 “20<21" ~これからもヨロチクビ~ at 神戸ワールド記念ホール2013.8.25
KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2014"RUMBLE HORSES"Live at ZEPP TOKYO 2014.12.12
風の果てまで
KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2015-2016“風の果てまで” Live at 日本武道館 2016.5.22
斉藤和義 弾き語りツアー2017 雨に歌えば Live at 中野サンプラザ 2017.06.21
Toys Blood Music
歌うたい25 SINGLES BEST 2008~2017
Kazuyoshi Saito LIVE TOUR 2018 Toys Blood Music Live at 山梨コラニー文化ホール2018.06.02
KAZUYOSHI SAITO 25th Anniversary Live 1993-2018 25<26 〜これからもヨロチクビーチク〜 Live at 日本武道館 2018.09.07
小さな夜~映画「アイネクライネナハトムジーク」オリジナルサウンドトラック~
弾き語りツアー2019 "Time in the Garage" Live at 中野サンプラザ 2019.06.13
202020
55 STONES
KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2020 "202020" 幻のセットリストで2日間開催!~万事休すも起死回生~ Live at 中野サンプラザホール 2021.4.28
KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2021 “202020 & 55 STONES” Live at 東京国際フォーラム 2021.10.31
PINEAPPLE
ROCK’N ROLL Recording Session at Victor Studio 301
斉藤和義 弾き語りツアー「十二月~2022」Live at 日本武道館 2022.12.21
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