AOR、R&B好きは必聴の作品
Title:Real
Musician:Vini Vercillo
今日紹介するアルバムも、2023年の年間ベストに選ばれたアルバムを後追いで聴いた1枚。今回はMUSIC MAGAZINE誌ブラジル部門で年間1位を獲得した、現在21歳のブラジルのシンガーソングライター、Vini Vercilloのデビューアルバム。ジョルジ・ベルシーロの息子として話題を呼んでいるそうですが、残念ながらジョルジ・ベルシーロを知らない・・・。日本ではあまり知られていないのですが、本国ブラジルでは大人気を誇るミュージシャンだそうです。
そんな訳でブラジルミュージックのシンガーソングライターなのですが、おそらく何も情報なしに聴き始めたら、一般的にブラジルというイメージはほとんど受けないでしょう。彼の奏でる音楽は、ソウルミュージックやR&Bに影響を受けた、いわば典型的なAORといったイメージ。かなりあか抜けた都会的な楽曲となっており、ブラジルミュージックになじみのないリスナーでも、全く抵抗感なく楽しめるアルバムになっています。
タイトルチューンの「Real」はファルセットボイスをいれつつ、メランコリックなメロディーラインを美しく聴かせてくれますし、「Viva o Que Te Resta」などはテンポのよいバンドサウンドが入り、インパクトも十分。「Somos Nos/To Call Love」は郷愁感あるメロとサウンドが日本人にも耳なじみやすそう。「Imprerfections」もファルセット気味のボーカルで切なくも美しく歌い上げるメロディーラインが強い印象を受けますし、ラストも「Will Be Mine」もテンポよくメランコリックに聴かせる正統派のAORナンバーで締めくくってくれます。
ちょっとおもしろいのは、英語と(おそらくは)ポルトガル語の曲がともに収録されている点。後半は英語詞の曲が並ぶのですが、特に前半はポルトガル語の曲がメインとなっており、英語と異なり私たちにとってはあまり耳なじみない言語であるだけに、これはこれでエキゾチックな雰囲気を感じて、アルバムのひとつのインパクトとなっています。
メロウなR&B色の強いAORなので、日本で言えば、SING LIKE TALKINGや清水翔太あたりが好きな方なら、間違いなく気に入るアルバムだと思います。ブラジルミュージック部門で年間1位というのも大納得の傑作アルバム。あまりブラジルミュージックになじみのない方でも、AORやR&Bが好きならぜひとも聴いてほしい1枚です。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
Work Of Art/Asake
こちらも2023年のベストアルバムを後追いで聴いた1枚。こちらは同じくMUSIC MAGAZINE誌「ワールドミュージック部門」で第5位を獲得したアルバム。ナイジェリアのミュージシャンによる2枚目のアルバムなのですが、前作「Mr Money with the Vibe」はビルボードチャートで最高位22位と、ナイジェリア人ミュージシャン史上最高記録を達成。本作もビルボードチャートでは最高位20位を記録するなど、ナイジェリアの世界的スターとなっています。基本的にリズムはアフリカらしいトライバルなサウンドながらも、メロディーラインはトライバルな要素を感じつつも、あか抜けたAORの要素も強いメロディーを聴かせてくれており、確かにビルボードでも上位にランクインしそうなヒットポテンシャルを感じます。日本でも今度、注目が集まってくるのでしょうか。
評価:★★★★
Models/Lee Gamble
こちらも同様に、MUSIC MAGAZINE誌「エレクトリック・ミュージック」部門で1位を獲得したアルバム。ロンドンを拠点に活動する電子音楽プロデューサーによる新作。「実験の鬼才」と言われているそうで、かなり複雑なエレクトロサウンドが特徴的。このアルバムも、曲によって様相の異なる7曲によって構成。複雑な音世界を作り出しているものの、全体的にはどこか不気味でドリーミーなサウンドが特徴的。ダウナーさを感じるエレクトロサウンドの世界に耳を惹かれるアルバムです。
評価:★★★★★
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