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2024年2月 9日 (金)

より羊文学の魅力を強く感じる

Title:12 hugs(like butterflies)
Musician:羊文学

前作「our hope」がいきなりベスト10ヒットを記録。一気に人気バンドの仲間入りを果たしたオルタナ系ロックバンド羊文学。前作から約1年8か月ぶりとなるアルバム「12 hugs(like butterflies)」もビルボードチャートで9位を記録するなど、前作に引き続き大ヒットを記録。その人気を確固たるものとしています。

ただ、率直に言うと、この羊文学。なぜここまで売れたのかちょっと不思議な感じもします。いや、それはネガティブな意味ではありません。むしろポジティブな意味で。彼女たちの音楽性は決してわかりやすいポップスロックのバンドではありません。むしろオルタナ色の強いギターロックであり、メロディーラインについても決してわかりやすいフックが効いている訳ではありません。

あえて言えばそんな中でも前作「our hope」は、比較的わかりやすいメロディーラインが流れているギターロックを聴かせてくれていました。ある種のベタさを感じましたし、そういう点が売れた理由なのかな、とは感じたりしました。しかし今回の新作に関しては、よりオルタナ色が強くなり、前作で感じたベタさは後退。むしろオルタナ系ギターロックが好きな音楽ファンが好んで聴きそう、というイメージを強く感じる作品となっています。

オープニング的な「Hug.m4a」もアコギ1本でしんみり聴かせる、冒頭の取っ掛かりとしては「実験的」と感じられるスタートとなっていますし、続く「more than words」も、アニメ「呪術廻戦 渋谷事変」のエンディングテーマという好タイアップ曲でありながらも、ファルセットボーカルで聴かせる疾走感あるギターロックは、「売れ線のアニメソング」とはちょっと異なる、彼女たちらしさをしっかりと維持した作品となっています。

特に、それに続く「Addiction」はノイジーなギターリフが前面に押し出された、シューゲイザー系からの影響を強く感じる作品になっていますし、「countdown」はガレージロックからの影響がストレートなヘヴィーなバンドサウンドに耳が行きます。さらに「Flower」も最初はメランコリックな歌を聴かせつつ、後半はノイジーでダイナミックなバンドサウンドが一気に前に押し寄せる作品となっており、ヘヴィーなサウンドを聴かせてくれます。

あえて言えばNTTドコモのCMソングになった「永遠のブルー」はポップなメロディーが前面に出ており、売れ線的なものも感じます。ただ、全体的には80年代以降のオルタナ系ギターロック、シューゲイザーやグランジなどの影響を強く受けたバンドサウンドに、ボーカル塩塚モエカのファルセットも多様したハイトーンで幻想的なボーカルの対比がユニークで、かつ、「売れ線」とは一線を画した独自の音楽性を感じます。そんなバンドの魅力が、前作に比べて本作はグッと前に出ていたように感じました。

人気アニメやらCMのタイアップがついたり、そこらへんの「事務所の力」も売れた要因のひとつかもしれませんが、ただ、その事務所のプッシュに見合うだけの実力の持ったバンドだと思います。ただ、彼女たちのようなバンドが売れたのならば、クラムボンだったり、赤い公園だったり、もっと売れてもよかったと思うんだけどなぁ。ここらへんはタイミングというのもあるのでしょうが。正直、前作「our hope」では、さほど個人的に羊文学にはまらなかったのですが、本作ではグッとその魅力を感じることが出来ました。

評価:★★★★★

羊文学 過去の作品
our hope


ほかに聴いたアルバム

THE UNION/Awich

Theunion

最近、女性ラッパーとして急速に注目を集めているAwichのニューアルバム。力強いラップからメランコリックな歌モノまで、一言でHIP HOPといってもバリエーションの多い作風が特徴的。「Burn Down」のようにメッセージ性の強い歌詞も特徴的。「RASEN in OKINAWA」のような沖縄音楽的な要素も入っている作品も魅力的。力強さと優しさが同居するような作風が彼女ならでは、といった感じでしょうか。

評価:★★★★★

喜哀/OMSB

Kiai

前作「ALONE」から約1年5ヶ月ぶりとなるSIM LABのトラックメイカー、OMSBの新作は8曲入りのミニアルバム。全体的には今回は哀愁漂うトラックが印象に残る作品。統一感のある仕上がりとなっています。リリックも、そんなトラックにピッタリとマッチし、日常を描きつつ、哀愁感漂う雰囲気なのが特徴的。特に物語性ある「Tenchi」のリリックは大きなインパクトに。またタイトルチューン「喜哀」「Memento Mori Again」のように、どこか前向きなメッセージ性あるリリックの作品も目立ち、メランコリックな雰囲気ながらも後味の良さを感じさせるアルバムになっていました。

評価:★★★★★

OMSB 過去の作品
Kitajima "36" SubLaw
Think Good
Alone

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アルバムレビュー(邦楽)2024年」カテゴリの記事

コメント

個人的には、The 1975の売れ方と似ている気がします。
パッと聴いた感じは、ポップなものの、実はインディーロック風味というところが、アイドルには上手くハマれず、かといって、マニアックな音楽性を持つアーティストにもうまくハマれないみたいな層に、ドンピシャにハマってしまう感じというか。

投稿: かなた | 2024年3月 8日 (金) 15時04分

>かなたさん
The1975との比較はおもしろい観点かもしれませんね。確かに、アイドル系のポップは聴かないけど、マニアックに行き過ぎるのも・・・という層にピッタリかもしれません。そういう意味ではKing Gnuと同じ売れ方かも。

投稿: ゆういち | 2024年3月10日 (日) 11時59分

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