2023年年間ベストアルバム(洋楽編)その2
昨日に引き続き、私的年間ベストアルバム。今日は洋楽編の5位から1位の紹介です。
5位 False Lankum/Lankum
聴いた当時の感想は、こちら
アイリッシュ・フォークにロックの要素を取り入れて高い評価を集めているバンドLankum。ワールドミュージックにカテゴライズされるようなミュージシャンでありつつ、ポップシーンでも高い評価を受けた1枚となっているのですが、その理由は納得。アイリッシュ・フォークを軸にしつつ、ヘヴィーロックやサイケの要素を取り入れた独特の音楽性が魅力的。一方、フォークというカテゴリーにおいてもアコギのみで美しいメロディーを聴かせるシンプルな曲もあったりして、バンドとしての懐の深さを感じさせます。高い評価が納得の傑作アルバムです。
4位 KNOWER FOREVER/KNOWER
ドラマーであり、プロデューサーやシンガーソングライターとしても活躍しているLouis Coleと女性ボーカリストGenevieve Artadiとのデゥオによるアルバム。Louis Coleは直近のアルバム「Quality Over Opinion」が2022年の年間私的アルバムの10位にランクインしていますが、基本的には、同作と同じような方向性ながらも、女性ボーカリストを入れたことにより、よりポップスさが増した感じが。エレクトロを軸としつつ、ジャズやファンク、さらに超絶なドラムプレイも聴かせてくれるなど、凝ったサウンド構成の中、メロディーは至ってキュートでポップ。年末、ギリギリのリリースでしたが、一気にはまった傑作アルバムでした。
3位 the record/boygenius
聴いた当時の感想は、こちら
それぞれがソロミュージシャンとしても活動しているPhoebe Bridgers, Julien Baker, Lucy Dacusから結成されたスーパーグループ。それぞれがリードボーカルを取り、リードボーカルを取った曲には基本的にそれぞれの作った曲が歌われます。3人とも、オルタナ系という共通項はありつつ、微妙に音楽性が異なる3人。それにも関わらず、アルバム全体としてしっかりとした統一感があるのは不思議なところでありつつ、なおかつそれぞれのメンバーの実力も感じさせます。3人のメンバーの相性の良さも感じさせるアルバム。末永く活動を続けてほしいなぁ。
2位 10,000 gecs/100 gecs
聴いた当時の感想は、こちら
100 gecsはアメリカのハイパーポップデゥオによる新作。エレクトロやハードコア、HIP HOPやスカなどを取り交ぜた様々なポップチューンがつまったアルバムとなっており、何でもありな感じがとにかく楽しく、聴いていて素直にワクワクするようなアルバムに仕上がっています。アルバム全体も10曲入り27分弱というあっという間の展開も楽しさに大きなプラスの要素。「おもちゃをひっくり返したような」というちょっと陳腐な表現がピッタリくる、誰もが楽しめそうな、そんなポップアルバムの傑作でした。
1位 Rat Saw God/Wednesday
聴いた当時の感想は、こちら
上期1位だったWednesdayのアルバムが、そのまま年間アルバムでも1位獲得。同バンドのギタリストMJ Lendermanのアルバム「Boat Songs」は昨年の年間ベストの3位でしたが、今年は本体の方が見事1位獲得です。シューゲイザーや80年代インディーロックの影響をダイレクトに受けたサウンドに、一方ではカントリーのサウンドを融合させ、シューゲイザー直系でありつつもWednesdayらしい独自性を感じさせるアルバムに仕上がっています。文句なしの年間1位の傑作アルバムでした。
あらためてベスト10を振り返ると・・・
1位 Rat Saw God/Wednesday
2位 10,000 gecs/100 gecs
3位 the record/boygenius
4位 KNOWER FOREver/KNOWER
5位 False Lankum/Lankum
6位 Heavy Heavy/Young Fathers
7位 Me Chama De Gato Que Eu Sou Sua/Ana Frango Eletrico
8位 After the Magic/Parannoul
9位 Did you know that there's a tunnel under Ocean Blvd/Lana Del Rey
10位 The Death Of Randy Fitzsimmons/The Hives
ほかの年間ベスト候補作として・・・
Ever Loser/IGGY POP
This Stupid World/Yo La Tengo
Desire,I Want to Turn Into You/Caroline Polachek
Dogsbody/Model/Actriz
First Two Page of Frankenstein/The National
Multitudes/Feist
But Here We Are/Foo Fighters
THE BALLADS OF DARREN/blur
softscares/yeule
Nothing Lasts Forever/TEENAGE FANCLUB
GUTS/Olivia Rodrigo
Changing Channels/Pangaea
The Land Is Inhospitable and So Are We/Mitski
Selvutsletter/Lost Girls
ASAP insallah/Ya Toshiba
今年も素直に傑作アルバムが多い1年だったと思います。ここ最近、豊作の年が続いており、シーン全体として活性的・・・なのですが、日本だといまひとつ洋楽が売れていないのは残念。傑作アルバムは多いのですが。
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コメント
渋谷のWorld Music Disc Shop「EL SUR」の店主H**さんに「顔が怖い。暗黒系じゃないの?」と揶揄しましたが、Lankumのアルバムは文句なしの傑作でしたね。
入手が遅れて、Laurel Haloのアルバム《Atlas》(Awe 2023)を「年間ベスト10」に入れられなかったのが悔やまれます。
投稿: sknys | 2024年2月 4日 (日) 12時32分
>sknysさん
Lankumのアルバムは非常によかったと思います。ジャケットはちょっと確かに「暗黒系」っぽいかもしれないですね(笑)。
投稿: ゆういち | 2024年3月10日 (日) 11時57分