貴重な音源ではあるが・・・。
Title:LAST STAGE
Musician:ジャックス
1960年代の後半に活躍。リアルタイムでは売れることはなかったものの、サイケデリックロックを取り入れた音楽性が高く評価され、今では伝説のバンドとして日本のロック史上に大きな痕跡を残したバンド、ジャックス。今回、完全未発表となるライブ音源が発掘されCD化。大きな話題となりました。
2枚組となっている本作。1枚目は1969年8月10日に中津川で行われた第1回全日本フォークジャンボリーのステージを、ほぼ全曲収録したライブ音源。これが彼らの正真正銘のラストステージとなったそうですが、いままで音源は残されていないと言われていたそうですが、音源が見つかったようで、今回、初CD化されました。さらに2枚目の方はその2週間前。1969年7月に東京の護国寺天風会館で行われた第5回ジャックス・ショウの模様をおさめた音源。こちらも今回初CD化となる貴重な音源となります。
いまから55年も前のステージとなる今回の音源ですが、その熱量がいまでも伝わってくるような非常にカッコいいプレイが垣間見れる音源となっています。まずDisc1。彼らの代表曲ともなる「からっぽの世界」や「遠い海へ旅に出た私の恋人」などはフリーキーでサイケデリックな演奏が迫力満点。さらに後半の「マリアンヌ」や「裏切りの季節」のダイナミックなバンドサウンドも印象的。終盤の「第五氷河期」は彼らと親交の深かったバンド、休みの国の曲なのですが、切なさを感じるメロディーラインが耳に残ります。
Disc2でもホーンセッションも入ったダイナミックなバンドサウンドが印象的な「ロールオーバーゆらの助」、さらに2度演奏されている「堕天使ロック」も迫力あるサウンドを聴かせてくれます。ちなみにこちら、そのうち1つは歌詞の異なる「幻の兄弟ヴァージョン」と呼ばれるものらしく、貴重な音源となっているそうです。
ただ、そんな貴重な音源を収録したライブアルバムなのですが、如何せん、音が非常に悪いのがかなりのマイナスポイント。どういう状況での録音なのか不明なのですが、当時の録音技術ではこれが限界だったのでしょう。例えばDisc1では「地獄の季節」などかなり音のバランスが悪いですし、Disc2でも1曲目の「堕天使ロック」などは、バンドサウンドは迫力満点なのですが、ボーカルが後ろに下がりすぎていて、ギリギリ聴こえるという程度になってしまっています。
現在のAI技術を使えば、おそらくかなりクリアになるようにも思うのですが、さすがにそこまでの技術は使用できず。正直、商品化できるかどうかかなりギリギリなレベルだと思いますし、だからこそ今まで表に出てこなかったのかもしれません。また、これだけ音が悪いだけに、率直にこのアルバムを広くお勧めできるか、と言われるとかなり微妙。ジャックスに興味を持った場合に、彼らのデビューアルバムであり代表作である「ジャックスの世界」をお勧めしたいところ。どちらかというとコアなファン向けのアルバムだと思います。
評価:★★★★
ほかに聴いたアルバム
4/the band apart(naked)
the band apartのアコースティック形態の別名義バンドthe band apart(naked)のタイトル通り4枚目となるアルバム。基本的にアコースティックのサウンドでメランコリックに聴かせるポップチューンがメインとなっており、いままでとさほど大きな差はないいつも通りのアルバム・・・とはいえ、軽快なサマーソングの「図書館の幽霊」や、ファンキーなリズムが特徴的の「クライシャドウ」など、アコースティックなサウンドの中でのバリエーションも。卒なさは感じさせるものの、しっかりと魅力的なポップスを聴かせてくれるアルバムでした。
評価:★★★★★
the band apart 過去の作品
Adze of penguin
shit
the Surface ep
SCENT OF AUGUST
街の14景
謎のオープンワールド
1(the band apart(naked))
Memories to Go
前へ(□□□ feat.the band apart)
2(the band apart(naked))
20years
POOL e.p.
3(the band apart(naked))
Ninja of Four
ROBIN HOOD STREET/guca owl
2023年のベストアルバムを後追いで聴いた1枚。本作はMusic Magazine誌「ラップ/ヒップホップ[日本]」部門で1位を獲得したアルバム。guca owl(グカール)は大阪・東大阪市出身の男性ラッパー。最近、注目を集めるラッパーの一人らしく、ミディアムテンポで哀愁たっぷりのトラックをバックにラップするスタイルが特徴的。日常に立脚したちょっとシニカルさも感じられるリリックも魅力的。今後のさらなる飛躍が期待できそうなラッパーです。
評価:★★★★★
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