2023年年間ベストアルバム(邦楽編)その2
昨日に引き続き年間私的アルバム邦楽編。今日は5位から1位までです。
5位 12/坂本龍一
聴いた当時の感想は、こちら
2023年はミュージシャンの訃報が相次いだことが話題となりました。その一人が坂本龍一。癌の闘病生活の末に、昨年、惜しまれつつこの世を去りました。その彼が最期にリリースしたアルバムが本作。闘病時期の日記のように、日付を記したタイトルの曲が収録されている曲は、アンビエントの作品が並びます。ひとつひとつの音を丁寧に紡ぐその姿は、最後の最後までミュージシャンとして挑戦を続ける坂本龍一の矜持を感じされます。なお、アメリカのPitchforkでの年間ベストで40位にランクインするなど、世界的な評価も高く、「世界のサカモト」の姿を見せつけた傑作ともなっています。
4位 1STST/TESTSET
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もともとは高橋幸宏を中心としたバンドMETAFIVEが、小山田騒動や高橋幸宏の体調不良により活動を休止。その派生グループとしてメンバーの砂原良徳とLEO今井を中心に結成された新バンドがTESTSET。本作は、そのデビュー作となります。一流のプレイヤーたちが揃ったTESTSETの魅力は、基本的にはエッジの効いたファンキーなサウンドが最高にカッコいいのですが、さらにそこにのるLEO今井のボーカルのカッコよさが際立ちます。彼のボーカルはいわば非常に端正で、ともすれば「ベタ」と表現されるものなのですが、それがファンキーなサウンドにピッタリとマッチ。素直にそのカッコよさを楽しめる傑作に仕上がっていました。
3位 e o /cero
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純粋に完成度の高さという観点で言えば、おそらく2023年の最高傑作と言えるアルバムでしょう。ceroのバンドとしては実に5年ぶりとなるニューアルバム。もともと、ジャズやHIP HOPをベースにジャンルレスな音楽を奏でてきたバンドである彼らでしたが、今回はネオソウル、AOR、ジャズ、エレクトロ、ダンスミュージックなど様々な要素を自身の音楽に取り入れたジャンルレスな音楽性が魅力的。その様々なジャンルがどれも最高レベルの水準の音を奏でているあたり、バンドの圧倒的な実力を感じさせます。バンドのさらなる高みへの到達を感じさせる傑作でした。
2位 感覚は道標/くるり
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2023年最大の音楽ニュースのひとつが、間違いなくオリジナルくるりの再集結でしょう。2002年に脱退したくるりのオリジナルメンバーのドラマー森信行がくるりの最新アルバムに参加。オリジナルメンバー3人でのアルバム制作は大きな話題となりました。その最新アルバムは、くるりのバンドとしての側面、スリーピースバンドとしての魅力を織り込んだ作品となっています。楽曲を作り込むというよりも、バンドセッションの中で生み出されたような曲が並ぶ今回のアルバム。3人組バンドだった初期くるりを彷彿とさせつつ、ただ一方では初期くるりとは異なる、年月を経て成長した3人だからこそ生み出せる、あらたなくるりの姿がありました。文句なしの傑作です。
1位 RABBIT STAR★/水曜日のカンパネラ
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上半期で1位を獲得した水曜日のカンパネラが年間ベストでも1位を獲得!水カンの1位獲得は、2年連続1位となった2016年の「UMA」以来3作目!ただ、ボーカルがコムアイから詩羽に代わり、どうなるのか心配していたのですが、今となっては既に水カンのボーカルは詩羽以外考えられなくくらいのはまりようで、全楽曲が傑作という、とんでもないアルバムに仕上がりました。上半期にも書いたのですが、ケンモチヒデフミの衰えない才能のすごさに改めて感嘆してしまう傑作アルバム。ちなみに本作はEP盤で、まだ詩羽としてのアルバムは未発売。来るべきフルアルバムにも期待せざる得なくなってきます。
あらためて1位から10位を並べると・・・
1位 RABBIT STAR★/水曜日のカンパネラ
2位 感覚は道標/くるり
3位 e o /cero
4位 1STST/TESTSET
5位 12/坂本龍一
6位 映帶する煙/君島大空
7位 miss you/Mr.Children
8位 大人の涙/マカロニえんぴつ
9位 タオルケットは穏やかな/カネコアヤノ
10位 夢中夢-Dream In Dream-/cornelius
ほかのベスト盤候補は・・・
あのち/GEZAN with Million Wish Collective
今の二人をお互いが見てる/aiko
イノセント/スガシカオ
夜汽車を貫通するメロディヤ/中川敬
no public sounds/君島大空
Sonicwonderland/上原ひろみ Hiromi's Sonicwonderland
8/ROTH BART BARON
Almost there/GRAPEVINE
日本民謡珍道中/民謡クルセイダーズ
上半期は不作ぶりが目立ったものの、年間通じてみると、なんだかんだ言っても多くの傑作が揃った1年になったように思います。今年もまた、たくさんの素晴らしいアルバムと出会えますように!
ちなみに過去のベストアルバムは
2007年 年間1 2
2008年 年間1 2 上半期
2009年 年間1 2 上半期
2010年 年間1 2 上半期
2011年 年間1 2 上半期
2012年 年間1 2 上半期
2013年 年間1 2 上半期
2014年 年間1 2 上半期
2015年 年間1 2 上半期
2016年 年間1 2 上半期
2017年 年間1 2 上半期
2018年 年間1 2 上半期
2019年 年間1 2 上半期
2020年 年間1 2 上半期
2021年 年間1 2 上半期
2022年 年間1 2 上半期
2023年 上半期
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