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2024年1月27日 (土)

渋谷系に通じるポップなメロが魅力的

Title:Me Chama De Gato Que Eu Sou Sua
Musician:Ana Frango Eletrico

今回紹介するのは、ブラジルで活躍している現在25歳のシンガーソングライター、アナ・フランゴ・エレトリコ。今、現代ブラジル音楽界で最も注目を集めるシンガーの一人らしく、2019年にリリースされた「Little Electric ChickenHeart」はラテンミュージックによるグラミー賞、ラテン・グラミー賞(そんな賞がグラミー賞とは別にあることを今回はじめて知りました・・・)にノミネートさせるなど、大きな評価を受けています。

今回、彼女については音を聴くのもはじめてながら、名前を聴くのもはじめて。全くどのようなミュージシャンなのか、前情報なしにアルバムを聴いてみましたが、これが予想外に素晴らしい傑作に仕上がっていました。

アルバムはいきなりファンキーなビートからスタート。冒頭を飾る「Electric Fish」はファンキーなベースに、彼女のメランコリックでキュートなボーカルのポップなメロが載るスタイルが印象的。彼女の歌うメロディーラインはちょっとラウンジポップっぽい雰囲気があり、イメージとして渋谷系に通じる雰囲気がありました。

その後もこのファンキーさを感じるリズムに、フレンチやラウンジの雰囲気の漂いメロディーという組み合わせの曲が目立ちます。「Nuvem Vermelha」などもストリングスを入れたメロウなラウンジに、ファンキーさを感じるメロディーラインが魅力的。「Boy of Stranger Things」などもファンキーなベースラインにホーンセッション、さらには女性コーラスが入り、イメージとしてはちょっとノーザンソウルっぽい雰囲気の漂う曲となっています。

現代ブラジル音楽の旗手的な紹介のされ方をされているのですが、決して小難しいことはなく、ソウルミュージックやラウンジの影響を受けたポップなメロディーラインは、日本人にとっては渋谷系を彷彿させる部分があり、いい意味でのなじみやすさがあります。ピチカート・ファイヴあたりが好きなら絶対気に入りそうな感じ、といっていいでしょう。

後半の「Insista Em Mim」もムーディーな雰囲気に聴かせるメロディーが日本人の琴線に触れそうですし、ラストを飾る「Dr.Sabe Tudo」もエレクトロサウンドを取り入れたリズミカルなダンスチューンが強い印象に残ります。ブラジル音楽に興味のない方でも間違いなく気に入りそうな、素敵なポップソングを楽しむことの出来るアルバムになっていました。

個人的には本年度のベスト盤候補の1枚とも言っていい傑作だったと思います。幅広いリスナー層にお勧めできそうなポップアルバム。前述の通り、渋谷系とカテゴライズされたようなミュージシャンが好みなら是非。おすすめの1枚です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Black Rainbows/Corinne Bailey Rae

こちらは2023年でベストアルバムとして取り上げられていた曲を後追いで聴いた1枚。Music Magazine誌「ロック[イギリス/オーストラリア」部門で1位を獲得した作品です。イギリスのシンガーソングライター、コリーヌ・ベイリー・レイの4枚目となるアルバム。ジャンル的にはロックで、確かにロックを主軸に据えたアルバムではあるのですが、エレクトロやムーディーでちょっとアバンギャルドな作品、パンキッシュだったりサイケだったり、全10曲、いろいろな顔を見せる作品が並んでおり、この捉えどころのなさが大きな魅力となっています。ただ基本的にはメロディアスな歌が流れており、それがひとつの軸となっています。聴いていて素直に楽しさを感じさせるアルバムでした。

評価:★★★★★

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