« 2023年12月 | トップページ | 2024年2月 »

2024年1月

2024年1月31日 (水)

あらたなロングヒット候補か?

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

長らく上位を競ってきたAdo「唱」、YOASOBI「アイドル」が今週、なんとベスト3から陥落。ベスト3には、新たなロングヒットになる予感のする3曲が並んでいます。

なんと今週1位を獲得したのは先週5位にランクインしたCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」!ダウンロード数は3位から4位に下がったものの、ストリーミング数は4位から1位、ラジオオンエア数も10位から7位にランクアップし、総合順位で1位獲得となりました。TikiTokで話題という点も大きいでしょうが、かなり中毒性の高いメロディーがヒットの大きな要因に思います。今後、どこまでヒットを伸ばすか、2024年を代表とするヒット曲になるのか、注目されます。

先週1位のtuki.「晩餐歌」はワンランクダウンながらも2位をキープ。ストリーミング数は1位から2位、ダウンロード数も5位から6位とダウンしていますが、まだまだヒットはこれからといった予感もします。これで9週連続のベスト10ヒットとなります。

さらに先週7位にランクインしたMrs.GREEN APPLE「ナハトムジーク」が今週3位にランクアップ。見事ベスト3入りを果たしました。ラジオオンエア数は見事1位を獲得。ストリーミング数は11位から6位にアップ。ただしダウンロード数は1位から7位、YouTube再生回数も6位から9位にダウンしており、勢いという面ではいまひとつ。今後のロングヒットが注目されますが、そのためにはさらなるブレイクが必要になるかも。ちなみに「ケセラセラ」も4位から8位にダウンしたものの、今週もベスト10入りを果たし、2曲同時ランクインとなっています。「ケセラセラ」は通算17週目のベスト10ヒットとなります。

そしてAdoとYOASOBIですが、今週YOASOBI「アイドル」は3位から4位に、Ado「唱」は2位から5位にダウン。両者の順位が再び入れ替わると同時に、「唱」はベスト3ヒットが連続19週で途切れる結果となっています。「アイドル」はYouTube再生回数は先週と同順位の5位を維持したものの、ダウンロード数が10位から16位、ストリーミング数が2位から3位にダウン。「唱」はダウンロード数が6位から12位、ストリーミング数も3位から4位、YouTube再生回数も2位から3位とダウンしています。ベスト10ヒットは「アイドル」が42週連続、「唱」は21週連続となりました。

続いて4位以下の初登場曲ですが、まず6位にスターダストプロモーション所属の男性アイドルグループM!LK「Kiss Plan」がランクイン。CD販売数2位、ストリーミング数34位。オリコン週間シングルランキングでは初動売上4万8千枚で2位初登場。前作「STARS」の初動売上4万1千枚(4位)よりアップしています。

7位には元ジャニーズ系男性アイドルグループ関ジャニ∞「アンスロポス」がランクイン。CD販売数1位、ダウンロード数50位。2月4日に改名が予定されており、「関ジャニ∞」名義ではラストのシングルとなります。オリコンでは初動売上15万9千枚で1位初登場。前作「オオカミと彗星」の初動15万5千枚(1位)よりアップしています。

9位にはロックバンドback number「冬と春」がランクイン。ダウンロード数及びラジオオンエア数2位、ストリーミング数19位、YouTube再生回数28位にランクイン。総合順位はこの位置となりました。

またその他のロングヒット曲ですが、King Gnu「SPECIALZ」は今週8位から10位にダウン。ダウンロード数は19位から31位、ストリーミング数は6位から7位、YouTube再生回数も10位から11位にダウン。これで22週連続のベスト10ヒットとなりましたが、さすがに後がなくなりました。

そしてVaundy「怪獣の花唄」は9位から11位にダウン。ベスト10ヒットは通算53週でまたストップです。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

| | コメント (0)

2024年1月30日 (火)

アイリッシュ・フォークをロックを通じて今風に解釈

Title:False Lankum
Musician:Lankum

Falselankum

今回も2023年度のベストアルバムとして紹介されたアルバムのうち、聴き逃していたものを後追いで聴いた1枚。各種メディアの年間ベストアルバムを集計したサイトAOTY2023年年間ベストアルバムの9位にランキングされた作品で、イギリスのMojo誌で3位、さらにイギリスのガーディアン誌では1位を獲得しており、その高い評価ぶりがうかがえます。さらにもともと彼らはアイリッシュ・フォークのグループであり、ユニークなことにMusic Magazine誌ではワールドミュージック部門で第3位にランクインしています。ワールドミュージックの範疇でとらえられるバンドが通常の「年間ベストアルバム」で上位にランクインしてくることは珍しいケースです。

ただ、アルバムを聴いてみると、確かにワールドミュージックというジャンルのみならず幅広く高い評価を受けるのも納得の傑作アルバムだったと思います。もともとパンクやハードコアに出自を持つバンドなだけに、アイリッシュ・フォークという伝統音楽をロックを通じて現代風に解釈するサウンドが大きな特徴。1曲目の「Go Dig My Brave」も最初は厳かな雰囲気のフォークソングでスタートするのですが、後半はダイナミックでヘヴィーなドローンミュージック的な要素が加わり、雰囲気は一変します。それに続く「Clear Away in the Morning」も、清涼感あるフォーキーなメロディーの歌モノを軸に置きつつ、バックに流れるサウンドはサイケそのもの。こちらもフォークとロックがユニークな形で融合した、独特の音楽性が大きな特徴となっています。

中盤の「Netta Perseus」でも最初はアコギのアルペジオやストリングスで美しくフォーキーに聴かせつつ、後半はここにダイナミックでヘヴィーなバンドサウンドが加わり、こちらもフォークとロックの融合が非常にユニーク。アルバムを締めくくる「The Turn」もメランコリックでフォーキーな歌を聴かせつつも、こちらも分厚いドローン的なサウンドでサイケに装飾されたアレンジがユニーク。最後までアイリッシュ・フォークを軸にしつつも、独自の音世界を構築したアルバムに仕上がっていました。

さらにユニークなのが、その間にはしっかりと清涼感あるフォーキーな曲が挟まっている点でしょう。「Master Crowley's」はアコーディオンで軽快に聴かせる、いかにもトラッドらしいインストナンバーになっていますし、「Newcastle」もアコギのみでしんみり聴かせる典型的なフォークソング。前述のサイケに装飾された楽曲についても、ベースにはフォーキーな歌が流れていますし、また大きな魅力として、このフォーキーなメロディーラインもしっかりとインパクトあって魅力的。おそらくヘヴィーなサウンドを取り除いてアコースティックなアルバムとして仕上げても、十分すぎるほどの傑作になるだろうことは容易に予想できる作品になっていました。

各種メディアでもロックやポップス、HIP HOPやR&Bのアルバムと並んでベストアルバムとして紹介されているのも納得の傑作アルバム。個人的にも年間ベストクラスの傑作アルバムだったと思います。ロックのアルバムとしても聴きごたえありますし、フォークのアルバムとしてその美しいメロに魅了されること間違いない1枚。広いリスナー層にお勧めできる作品でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Pink Tape/Lil Uzi Vert

こちらも2023年度ベストアルバムを後追いで聴いた1枚。Music Magazine誌「ラップ/ヒップホップ」部門で1位を獲得した、アメリカはフィラデルフィア出身のラッパーによる作品。基本的にトラップ的な今風のリズムをベースとしたメランコリックなサウンドをバックとしたラップを聴かせてくれるのですが、メランコリックな歌モノが多く、いい意味で聴きやすさを感じます。さらにはBring Me The Horizonを迎えた「Werewolf」など、ロックを取り入れたミクスチャー的な曲も目立ち、ロックリスナーにも聴きやすさを感じさせる作品に。ちなみに「The End」ではBABYMETALもゲストとして参加しています。HIP HOPのリスナー層はもちろんですが、ポップやロックリスナーまで、幅広いリスナーが楽しめる作品になっていました。

評価:★★★★★

Lil Uzi Vert 過去の作品
Eternal Atake

| | コメント (0)

2024年1月29日 (月)

アフリカと西洋音楽の融合が気持ちよい

Title:What Is Your Breaking Point
Musician:BANTU

今回紹介するのも、2023年のベストアルバムとして紹介された作品を後追いで聴いたアルバム。今回はMusic Magazine誌のワールドミュージック部門で第2位にランクインされていたアルバムとなります。ナイジェリアはラゴスを拠点とする13人組のバンドで、ドイツ系ナイジェリア人のアデ・バントゥを中心に1996年に結成されたベテランバンド。バンド名のBANTUという名前は、彼の名前に由来しているのではなくBrotherhood Alliance Navigating Towards Unity(団結に向けて進む同胞同盟)の頭文字だそうで、これは南アフリカの反アパルトヘイト活動家スティーヴ・ビコを称えるためにつけたそうです・・・といっても、後付けの理由で、実際は彼の名前から付けたのでしょうが。

彼らの音楽は「アフロビート、アフロファンク、ハイライフ、ヨルバ音楽の融合」と紹介されていますが、基本的には非常に気持ちのよいリズミカルなアフロビートが展開していきます。冒頭を飾る「Wayo and Division」はファンキーさを持ったリズムも軽快な正統派とも言えるアフロビート。「Na Me Own My Baby」も女性ボーカルをゲストに迎え、疾走感ある軽快なアフロビートを聴かせる楽曲。事実上のタイトルチューンである「Breaking Point」もホーンセッションに女性コーラスも入ったリズミカルなナンバーが心地よい作品となっています。

ただ、そんな正統派のアフロビートを奏でるバンドかと思いきや、一方でジャズの影響も感じさせるような、メロウであか抜けたサウンドやメロディーを聴かせてくれる点も大きなポイント。冒頭の「Wayo and Division」に続く「Japa Japa」は軽快なアフロビートのナンバーながらも、メロディーラインはメランコリックに聴かせるもの。「Worm&Grass」もメランコリックに歌い上げるボーカルが印象的ですし、さらに「Africa for Sale」は軽快なナンバーながらも、ジャジーなピアノが加わる点も大きな特徴となっています。

ここらへんのジャジーでメランコリックな作風は、ハイライフからの影響と思われます。もともとハイライフ自体、アフリカの音楽と西洋の音楽の融合なのですが、BANTUの音楽は、このアフロビートという、アフリカ的な音楽と、西洋的な雰囲気も強いハイライフの融合というスタイルが非常におもしろく、かつその両者が決してチグハグにならず、しっかりと結びついている点が魅力的。これもドイツ系ナイジェリア人という、西洋とアフリカの両方にルーツを持つアデ・バントゥの出自が影響するものなのかもしれません。

ワールドミュージックのベストアルバムとして紹介されるのも納得の傑作ですし、私もはまってしまいました。メランコリックなメロディーラインは、アフロビートになじみのない方にも聴きやすいかも。アフロビートというと、10分を超えるような長尺の曲が多いのですが、彼の作品は1曲4~5分程度で、このアルバムも全10曲45分という長さで、この点も聴きやすいアルバムとなっていました。アフロビートになじみのないリスナー層を含めて、おすすめできる1枚です。

評価:★★★★★

BANTU過去の作品
Everybody Get Agenda

| | コメント (0)

2024年1月28日 (日)

オーソドックスなR&Bの正統な後継者

Title:JaguarⅡ
Musician:Victoria Monét

今回も、2023年に高い評価を受けながら未聴となっていた1枚となります。アメリカのR&Bシンガー、ヴィクトリア・モネのアルバム。Music Magaine誌の2023年ベストアルバム「R&B/ソウル/ブルース」部門で1位を獲得した作品。現在、34歳の彼女ですが、まだまだ新進気鋭のミュージシャンという立場の彼女。いままでも何枚かEP盤をリリースしたものの、フルアルバムとしては本作が初となるようです。本作ではビルボードのR&Bチャートでは6位にランクイン。さらに今年のグラミー賞では計7部門にノミネートされるなど、まさにブレイク寸前といった様相のミュージシャンとなっています。

そんな話題の彼女ですが、楽曲としては全体的に非常にオーソドックスな内容という印象があります。70年代ソウルの正統な後継者といった印象すら受ける彼女。ゲストにLucky Dayeを迎えた1曲目「Smoke」もミディアムテンポのリズムにのってしんみりと聴かせる楽曲になっていますし、切なくメランコリックに聴かせる「How Does It Make You Feel」「On My Mama」など、まさに正統派R&Bといった雰囲気のナンバー。Earth,Wind&Fireをゲストに迎えた「Hollywood」も、EW&Fのファルセットボーカルを聴かせつつメランコリックに聴かせる、こちらは80年代ソウルをそのまま引き継いだような、そんな作品になっています。

美しい歌声を聴かせてくれる彼女のボーカルも非常に魅力的。メランコリックな楽曲にもピッタリマッチする清涼感あり、適度にスモーキーな雰囲気も漂わせるボーカルも楽曲の中で大きなインパクトとなっています。彼女の歌声に関しても、オーソドックスな感じである意味王道的。彼女の楽曲にもピッタリとマッチしています。

そんな訳で昔ながらもR&B/ソウルの正統な後継者といった印象を受ける彼女。昔からのブラックミュージックのリスナーにとっては難なく受け入れられそうな、そんなミュージシャンだと思います。ただ一方で、今風なサウンドも同時に取り入れている点も大きな魅力で、全体的に強いビートを前面に押し出した構成になっている点などはいかにも今風といった印象。70年代、80年代ソウルの要素を引き継いでいながらも、一方では今風にアップデートしている部分はアップデートしている点も特徴的で、そのため、決して古臭さは感じません。

グラミー賞の結果がどうなるかはわかりませんが、今後、徐々に日本でも注目を集めてきそうな予感のするミュージシャン。2024年には一気にブレイクする可能性も十分ありそう。オーソドックスなR&Bゆえに、多くのリスナーに純粋にお勧めできるアルバム。いまのうちにチェックしておきたい1枚です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Modende/Titi Bakorta

Titi

こちらも2023年ベストアルバムで未聴の1枚を後追いで聴いた1枚。こちらもMusic Magazine誌に、こちらは「ワールドミュージック部門」で1位を獲得したアルバム。キンシャサで生まれ育ったコンゴ人のマルチ・インストゥルメンタリストによるデビューアルバム。軽快でトライバルなサウンドにメランコリックなメロディーライン、さらに独特の疾走感あるギターの音色が強いインパクトを受ける作品。ドリーミーな作品もあったり、エレクトロも取り入れていたりとバリエーションある内容。全体としてちょっとサラッとした薄味の印象も受けるのですが。

評価:★★★★★

| | コメント (0)

2024年1月27日 (土)

渋谷系に通じるポップなメロが魅力的

Title:Me Chama De Gato Que Eu Sou Sua
Musician:Ana Frango Eletrico

今回紹介するのは、ブラジルで活躍している現在25歳のシンガーソングライター、アナ・フランゴ・エレトリコ。今、現代ブラジル音楽界で最も注目を集めるシンガーの一人らしく、2019年にリリースされた「Little Electric ChickenHeart」はラテンミュージックによるグラミー賞、ラテン・グラミー賞(そんな賞がグラミー賞とは別にあることを今回はじめて知りました・・・)にノミネートさせるなど、大きな評価を受けています。

今回、彼女については音を聴くのもはじめてながら、名前を聴くのもはじめて。全くどのようなミュージシャンなのか、前情報なしにアルバムを聴いてみましたが、これが予想外に素晴らしい傑作に仕上がっていました。

アルバムはいきなりファンキーなビートからスタート。冒頭を飾る「Electric Fish」はファンキーなベースに、彼女のメランコリックでキュートなボーカルのポップなメロが載るスタイルが印象的。彼女の歌うメロディーラインはちょっとラウンジポップっぽい雰囲気があり、イメージとして渋谷系に通じる雰囲気がありました。

その後もこのファンキーさを感じるリズムに、フレンチやラウンジの雰囲気の漂いメロディーという組み合わせの曲が目立ちます。「Nuvem Vermelha」などもストリングスを入れたメロウなラウンジに、ファンキーさを感じるメロディーラインが魅力的。「Boy of Stranger Things」などもファンキーなベースラインにホーンセッション、さらには女性コーラスが入り、イメージとしてはちょっとノーザンソウルっぽい雰囲気の漂う曲となっています。

現代ブラジル音楽の旗手的な紹介のされ方をされているのですが、決して小難しいことはなく、ソウルミュージックやラウンジの影響を受けたポップなメロディーラインは、日本人にとっては渋谷系を彷彿させる部分があり、いい意味でのなじみやすさがあります。ピチカート・ファイヴあたりが好きなら絶対気に入りそうな感じ、といっていいでしょう。

後半の「Insista Em Mim」もムーディーな雰囲気に聴かせるメロディーが日本人の琴線に触れそうですし、ラストを飾る「Dr.Sabe Tudo」もエレクトロサウンドを取り入れたリズミカルなダンスチューンが強い印象に残ります。ブラジル音楽に興味のない方でも間違いなく気に入りそうな、素敵なポップソングを楽しむことの出来るアルバムになっていました。

個人的には本年度のベスト盤候補の1枚とも言っていい傑作だったと思います。幅広いリスナー層にお勧めできそうなポップアルバム。前述の通り、渋谷系とカテゴライズされたようなミュージシャンが好みなら是非。おすすめの1枚です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Black Rainbows/Corinne Bailey Rae

こちらは2023年でベストアルバムとして取り上げられていた曲を後追いで聴いた1枚。Music Magazine誌「ロック[イギリス/オーストラリア」部門で1位を獲得した作品です。イギリスのシンガーソングライター、コリーヌ・ベイリー・レイの4枚目となるアルバム。ジャンル的にはロックで、確かにロックを主軸に据えたアルバムではあるのですが、エレクトロやムーディーでちょっとアバンギャルドな作品、パンキッシュだったりサイケだったり、全10曲、いろいろな顔を見せる作品が並んでおり、この捉えどころのなさが大きな魅力となっています。ただ基本的にはメロディアスな歌が流れており、それがひとつの軸となっています。聴いていて素直に楽しさを感じさせるアルバムでした。

評価:★★★★★

| | コメント (0)

2024年1月26日 (金)

ロックンロールへの愛情が伝わる

今回は最近読んだ音楽関連の書籍の感想です。

昨年1月、74歳でこの世を去った鮎川誠。ロックバンド、サンハウスやシーナ&ロケッツでの活躍で知られる彼が2006年に書いた著書「60sロック自伝」。昨年4月に復刊され話題になった同書を読んでみました。

鮎川誠の著書というと、ほかに1冊所有しています。かなり前に買った本になるのですが、著書というよりも彼が監修した「200CDロックンロール」という学研から出版された本。ロックンロールのCD200枚が紹介された、どちらかというと音楽の入門書的な1冊となるのですが、彼が監修しただけあって、取り上げられているCDもロックのみならずブルースやロカビリー、オールディーズなども取り上げられており、また鮎川誠自身がかなりの数、CD評を書いているのですが、彼の話し言葉をそのまま文章にした独特の内容。それもなにより紹介したCDに対する愛情あふれる文章が印象的でした。

今回紹介する「60s ロック自伝」も、その「200CDロックンロール」をそのまま引き継いだような文体が非常に印象的な1冊となっていました。まず本作、「自伝」と書かれていますが、鮎川誠の生い立ちを追った文字通りの「自伝」ではなく「60sロック自伝」と書かれているように、彼が60年代に出会い、彼の人生を決定づけた音楽との出会いについて綴り、かつ、そこで出会ったミュージシャンたちの魅力を余すところなく語った、そんな「60年代ロック入門」としての自伝となっています。

それなので、同書のほとんどの部分を占めているのが、60年代のミュージシャンたちの紹介。彼の人生に大きな影響を与えたビートルズ、ローリンス・ストーンズ、さらにはボブ・ディランに1章ずつ割いているほか、60年代に活躍したロックミュージシャンや、さらに彼に影響を与えたブルースやR&B、ロカビリーやさらに日本の歌謡曲のミュージシャンにまで数多くのミュージシャンたちを紹介。彼の話し言葉そのままを文章にした、彼らしいフランクリーな文体が大きな特徴、かつ魅力です。

何よりも貴重と言えるのが60年代にリアルタイムにロックンロールを経験した人物による音楽評という点が非常に大きいと言えるでしょう。ある意味、その時代をリアルタイムに体験した人だからこそ語れる、その時代の空気感やミュージシャンたちの印象がある意味、忖度抜きに語られています。もちろんリアルタイムだからこそ、逆に変な偏見がある部分もあるのかもしれませんが、ただ、その時代を生きた人にしか語れないような貴重な証言とも言える1冊ともなっています。

また、ミュージシャンらしい、音楽的な観点から語られている部分が多いのも魅力的。どうしても音楽評論家の書く、この手の「ロックの歴史」だと、音楽的な観点が後手になってしまうケースが少なくありませんが、そこはさすがはミュージシャン。音楽的にどのような点が素晴らしいのか、独特なのか、という点もしっかりと言及されており、そういう点でも非常に勉強となりました。

ロックンロールが好きなら間違いなくお勧めしたい1冊。ロックンロールの素晴らしさ、魅力が鮎川誠の「語り」を通じて、強く伝わってくる著書となっています。最後には鮎川誠が選んだシングル、アルバムのベスト100も載っていますので、これをディスクガイドにして、いろいろとチェックしてみたいです。非常に魅力的な著書でした。

| | コメント (0)

2024年1月25日 (木)

アイドル系が上位を占める中、ベテランの頑張りも

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週は上位をアイドル勢が占める中、ベテラン勢のアルバムもランクインしています。

まず1位は≒JOY「きっと、絶対、絶対」がランクイン。指原莉乃がプロデュースする女性アイドルグループによるデビューミニアルバム。CD販売数1位、ダウンロード数47位。オリコン週間アルバムランキングでも初動売上8万7千枚で1位初登場となっています。

2位は先週1位を獲得したSixTONES「THE VIBES」がワンランクダウンながらもベスト3をキープ。3位には先週5位にランクインした韓国の男性アイドルグループTREASURE「Reboot」が2ランクアップで昨年の9月27日付チャート以来のベスト3返り咲き。日本ツアー中ですので、会場物販が反映された影響と思われます。通算12週目のベスト10ヒットで、通算5週目のベスト3ヒットとなります。

続いて4位以下の初登場盤となります。まず4位に「うたの☆プリンスさまっ♪Dramatic Masterpiece Show『ファウスト ラストカンタータ』」がランクイン。CD販売数4位。女性向けゲーム「うたの☆プリンスさまっ♪」から派生した作品で、物語をモチーフにしたドラマCDと、それに関連する楽曲が収録されているCDの第3弾。オリコンでは初動売上8千枚で4位初登場。同シリーズの前作「うたの☆プリンスさまっ♪Dramatic Masterpiece Show『NEVER AGAIN NEVERLAND』」の初動1万1千枚(2位)からダウンしています。

5位にはもう1枚アイドル系。LDHの女性アイドルグループiScream「Selfie」が初登場。CD販売数5位、ダウンロード数92位。オリコンでは初動売上6千枚で5位初登場。前作「i」の初動3千枚(8位)よりアップしています。

6位初登場は女性5人組ヘヴィーメタルバンドNEMOPHILA「EVOLVE」。CD販売数8位、ダウンロード数10位。オリコンでは初動売上5千枚で8位初登場。直近作はカバーEP「The Initial Impulse」で同作の初動1千枚(27位)からアップ。オリジナルアルバムとしては前作「Seize the Fate」の初動6千枚(12位)から微減。

そして9位10位にはベテラン勢。まず9位に中島みゆき「Singles」がランクイン。CD販売数10位、ダウンロード数33位。もともと1987年にリリースされたベストアルバムを、Blu-spec CD2でリマスターしたもの。1987年のベスト盤なので当然「空と君のあいだに」や「地上の星」のような90年代以降の大ヒット曲は未収録となっていますが、それでもベスト10入りしてくるあたり、さすが根強い人気を感じさせます。オリコンでは初動売上6千枚で6位初登場。直近のオリジナルアルバム「世界が違って見える日」の初動3万1千枚(3位)よりはさすがにダウンしています。

さらに10位には日本でも高い人気を誇るアメリカのパンクロックバンド、GREEN DAY「Saviors」がランクイン。CD販売数14位、ダウンロード数4位。こちらもデビュー34年を誇る大ベテラン。オリコンでは初動売上4千枚で14位初登場。前作「Father of All...」の初動5千枚(9位)から微減。

また今週はベスト10返り咲きも。Vaundy「replica」が先週の20位から7位にランクアップ。2週ぶりのベスト10返り咲きとなっています。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

| | コメント (0)

2024年1月24日 (水)

まさかの1位獲得!

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

しばらくYOASOBIとAdoの天下が続くかと思いきや、まさかの1位獲得です。

Tuki

今週、1位を獲得したのはtuki.「晩餐歌」。若干15歳の中学生の女性シンガーソングライターらしく、配信シングルである本作がTikTokを中心に話題となり、昨年12月6日付チャートで初のベスト10ヒット。その後、ベスト10にランクインし続けてきましたが、先週の4位から一気にランクアップ。ランクイン8週目にして初の1位獲得となりました。特にストリーミング数は3位からアップして初の1位獲得。アコギ弾き語りで、切ないボーカルで歌い上げるバラードナンバーは、鬼束ちひろを彷彿とさせます。TikTok発のヒットという点は今時なのですが、楽曲的にはずっと上の世代にも訴求していきそうな雰囲気も。正直そろそろ「アイドル」も「唱」も飽きられはじめている感のある中、次のロングヒットとなりそうです。

とはいえ、まだまだ強いAdo「唱」は今週も2位をキープ。これで20週連続のベスト10ヒット&19週連続のベスト3ヒットとなります。ただ、YouTube再生回数は2位をキープしましたが、ダウンロード数は3位から6位、ストリーミング数も2位から3位にダウンしています。

また先週1位だったYOASOBI「アイドル」は3位にダウン。「唱」と「アイドル」の逆転は1週で終わりました。こちらもベスト10ヒットは41週、ベスト3ヒットは通算38週ながらもダウンロード数は4位から10位、ストリーミング数は1位から2位、YouTube再生回数も4位から5位にダウンしています。ちなみにYOASOBIは「勇者」が今週11位にランクダウン。ベスト10ヒットは連続16週でストップとなりました。

続いて4位以下の初登場曲ですが、まず5位にHIP HOPユニットCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」がランクイン。ダウンロード数3位、ストリーミング数4位、ラジオオンエア数10位。TVアニメ「マッシュル-MASHLE-神覚者候補選抜試験編」オープニング曲で、TikTokではこのオープニングに合わせて踊る「BBBBダンスチャレンジ」が流行中ということ。ダンス動画がTikTokで流行して大ヒットにつながったSEKAI NO OWARI「Habit」と同様、ロングヒットにつながるのでしょうか。

7位にはMrs.GREEN APPLE「ナハトムジーク」が初登場。ダウンロード数で見事1位を獲得。ストリーミング数11位、ラジオオンエア数14位、YouTube再生回数6位で総合順位は7位にランクインしてきています。映画「サイレントラヴ」主題歌。Mrs.GREEN APPLEは昨年、レコード大賞を受賞し、一気に知名度を上げましたが、今年もヒットが続きそうです。ちなみにそのレコ大受賞曲「ケセラセラ」は今週、5位から4位に再びランクアップ。2曲同時ランクインを記録しています。通算16週目のベスト10ヒット。ただダウンロード数は9位から13位、ストリーミング数は4位から5位、YouTube再生回数も6位から7位と下落傾向となっています。

さて、その他のロングヒット曲ですが、まずKing Gnu「SPECIALZ」は6位から8位にダウン。ただストリーミング数は5位から6位にダウンしたものの、ダウンロード数は22位から19位にアップ。YouTube再生回数も先週の10位をキープしています。これで連続21週目のベスト10ヒットとなります。

Vaundy「怪獣の花唄」も7位から9位にダウン。ダウンロード数は23位から27位、ストリーミング数は6位から7位、YouTube再生回数も13位から15位にダウン。ただカラオケ歌唱回数は今週も1位をキープしています。これで通算53週目のベスト10ヒットとなりました。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

| | コメント (0)

2024年1月23日 (火)

話題のプロジェクトの2作目!

Title:Selvutsletter
Musician:Lost Girls

ノルウェーのオスロー出身のシンガーソングライター、Jenny Hvalが、同じくノルウェーのミュージシャン、Håvard Voldenによるプロジェクト、Lost Girlsの2枚目となるアルバム。前作「Menneskekollektivet」が高い評価を受け、一躍注目を集めました。個人的にも前作をチェックし、その魅力的な音楽性にはまってしまったため、2枚目となる本作も期待しつつアルバムをチェックしました。

まず結果として今回のアルバムも、前作に勝るとも劣らない傑作アルバムに仕上がっていました。基本的には、エレクトロ主体のサウンドにJenny Hvalの清涼感ある歌声でポップに聴かせるというスタイルは前作と同様。また、バリエーション富んだ音楽性という点も前作と大きな変化はありません。

今回も「Timed Intervals」でリズミカルでちょっと荘厳さも感じるエレクトロチューンからスタート。リズミカルなエレクトロトラックにギターサウンドが重なり、ちょっと切ない歌を聴かせてくれる「With the Other Hand」に続き、「Ruins」はノイジーなギターサウンドも目立つ、ロックテイストの強い曲へと続きます。

オルガンを模したようなエレピのサウンドと伸びやかに歌い上げるボーカルに荘厳さを感じさせる「World on Fire」に、スペーシーなエレクトロチューン「Jeg Slutter Meg Selv」へと続き、軽快なギターポップチューンの「June 1996」へと続いていきます。

また今回のアルバム、前作と大きく異なる点がひとつあり、それは前作が44分という長さながらもわずか5曲入りという構成だったのに対して、本作は40分8曲入り。曲の長さは主に4分程度となっており、前作よりもポップにまとまった展開となっているのが特徴的。様々なサウンドと取り込んで実験的な要素が強かった前作と比べると、バラエティーには富んだ曲調ながらも、エレクトロを軸としたポップチューンに留めており、ポピュラリティーという観点ではグッと広いリスナー向けとなったアルバムに仕上がっていたと思います。

ただ、そんな中、唯一、9分を超える長尺曲となったのがラストの「Seawhite」で、まさにこの曲は、Lost Girlsの「実験性」を楽しめる作品に。ゆっくりエレクトロサウンドで荘厳さを感じさせる作風から、中盤では分厚いサウンドでドリーミーに歌い上げます。どこか森の中にいるような幻想的な雰囲気が楽曲全体を覆いつつ、ウィスパー気味の美しいボーカルも大きな魅力。どこか緊張感漂うサウンドもあって、最後まで耳の離せない楽曲となっています。

実験性とポピュラリティーを両立させたのが前作。今回も同様、実験性とポピュラリティーを両立させつつ、どちらかというとポピュラリティーに主軸を置いたアルバムになっていたと思います。ただし、今回のアルバムも前作に引き続きの傑作アルバム。むしろ前作以上に聴きやすさもあり、広くお勧めしたい1枚になっていました。

評価:★★★★★

Lost Girls 過去の作品
Menneskekollektivet

| | コメント (0)

2024年1月22日 (月)

様々な音楽性を取り込みつつ、ポップにまとめあげる

Title:Heavy Heavy
Musician:Young Fathers

今回も、年間ベストアルバムを集計したサイトAOTY2023年年間ベストアルバムにランキングされたアルバムのうち、まだ聴いていなかった1枚。11位にランクインしているYoung Fathersというグループの「Heavy Heavy」。これが4枚目のアルバムとなるスコットランドはエディンバラ出身の3人組ユニット。毎作、アルバムがリリースするごとに高い評価を受けているのですが、NMEで年間3位、Mojo誌で年間5位、The Independent誌で年間9位を記録するなど、軒並み高い評価を受けており、さらにチャート的にも全英アルバムチャートで7位と、初のベスト10ヒットを記録しています。

今回、Young Fathersのアルバムもはじめて聴いたのですが、確かに高い評価も納得の、オリジナリティーの高い、魅力的でかつ聴いていてワクワクするようなポップなアルバムを作り上げています。WikipediaではHIP HOPユニットという記載もされているのですが、ロックやR&B、ゴスペルやトラッドなどの要素を取り交ぜて、かつトライバルな要素も加えている、非常に自由度の高いサウンドが特徴的。なおかつ全体的にはポップにまとめあげており、聴いていて非常に楽しくなってくるような傑作アルバムに仕上がっていました。

まずは1曲目「Rice」からユニーク。楽曲的にはどこかレトロな雰囲気のロックといった様相でしょうか。一方でトライバルなリズムが耳に残ります。続く「I Saw」も非常に強いビートが特徴的な作品に。コミカルなトークのようなボーカルからスタートし、サビのメロは至ってポップ。全体的にはロックテイストの強い作品に。さらに「Drum」もタイトル通り、ドラムのリズムが軽快な、疾走感のあるポップチューンに仕上げています。

サンプリングを取り入れてループするトラックが特徴的な「Shoot Me Down」はアルバムの中でも一番HIP HOP的な要素の強い作品に。また後半に聴かせるゴスペル的なコーラスラインも印象的に。「Ululation」もトライバルな雄たけびからスタートしつつ、トラッド的なサウンドも印象に残りますし、「Sink Or Swim」も疾走感ある軽快なサウンドが楽しいポップな作風がインパクトに仕上がっています。

全体的には様々な音楽的要素を取り込み、自由度の高い作品を作りつつも、次々と繰り広げられる新たなサウンドに聴いていてワクワクするような作品となっていました。アルバムの中で流れるトライバルなリズムと融合した、ブラックミュージック的なグルーヴ感も大きな魅力ですし、さらにそんなグルーヴ感を持たせつつもポップにまとめ上げている点も、ある意味、いかにもイギリスのグループといった印象を受けます。

年間ベストで軒並み上位にランクインしてくるのも納得。個人的にも年間ベスト候補に加わる傑作だと思います。幅広いリスナー層にアピールできるお勧めの傑作です。

評価:★★★★★

| | コメント (0)

2024年1月21日 (日)

ポップで明るい80年代ソウルの世界へ

今回は最近読んだ音楽関連の書籍の感想です。

今回は最近読んだ音楽関連の書籍の感想です。今回紹介するのはミュージック・マガジン誌の増刊号のディスクガイドシリーズ「ディスク・セレクション・シリーズ」の最新刊。80年代のソウルミュージックのアルバムを紹介した「80年代ソウル」です。

基本的にはこのシリーズ、ディスクガイドとして非常にオーソドックスな内容。前半は「ARTIST PICK UP」と題して、80年代ソウルを代表するミュージシャンたちを紹介し、そのミュージシャンたちのアルバムを2~3枚程度紹介。後半はジャンル毎に章立てし、1ミュージシャン1アルバムで代表的なアルバムを紹介しています。

「ARTIST PICK UP」で紹介されているのも、マイケル・ジャクソン、プリンスを筆頭に、ホイットニー・ヒューストン、ルーサー・ヴァンドロス、ジャネット・ジャクソンなど、まさに80年代を代表するソウルミュージシャンたちが名前を連ねています。後半でもチャカ・カーンやボビー・ブラウンなど有名どころの代表盤が名前を連ねているほか、基本的にアルバム評に関してもライターの個性的な「感想」は抑えめ。ミュージシャン及びアルバム自体の内容の簡単な紹介にとどめています。そういった意味で80年代ソウルの入門としては最適なオーソドックスなディスクガイドとなっています。

ただ、このディスクガイドの発行でも感じるのですが、この80年代という時代、一昔前までは非常に評価が低かったのですが、ここ最近、特にブラックミュージックのジャンルでは評価が著しく高くなってきていることを感じます。実際、この点については本書の冒頭のコラムでも触れていますし、ブルースや70年代以前のオールドファッションなブラックミュージックの専門誌だった「BLUES&SOUL RECORD」誌が最近は80年代についても取り上げるようになった点、80年代ソウルの評価が変わってきた大きな現れと言えるでしょう。

正直、一昔前の80年代ソウルに対する低い評価の理由については、今でも有効と思われる部分はあります。この時代、ポピュラーミュージック業界が巨大化し、70年代以上に広いリスナー層を意識するような音楽がどんどんと誕生してきました。その結果、70年代ソウルのような、ある意味、パワフルな汗臭さを感じるソウルミュージックが鳴りを潜め、代わりに万人受けを目指したようなポップな音楽が登場してきます。ここらへん、良くも悪くも幅広いポピュラリティーが求められた結果、ブラックミュージックのコアな要素が薄くなってしまった感は否めません。

また、これは致し方ない部分もあるのでしょうが、この時代、サウンドにエレクトロサウンドが用いられ始めたのですが、悲しいかな、技術の発展著しく、90年代以降、この時代のエレクトロサウンドの音色が如何せん、「チープ」に聴こえてしまった点は否めません。この点も80年代のソウルの評価が低くなってしまった要因の一つであることは間違いないでしょう。

ただ一方で、マイナス的な要素を抱え込みつつも、それを補って余りある大きな魅力が80年代ソウルには感じられるのも事実で、それは楽曲全体が非常に魅力的な、ポピュラリティーあるメロディーに溢れかえっている点。また、全体的に非常に明るさを感じさせる点。特に80年代後半は、当時世界を覆っていた冷戦が雪どけムードとなり、社会全体に今よりも明るさを感じられたように記憶しています。このディスクガイドで紹介している作品も、全体的にどこか前向きな希望を感じさせる作品が多く、今よりも世界全体が明るく、どこか希望に満ちていた、そんな空気を感じさせる内容となっていました。

そんなポップで楽しく明るい80年代ソウルの魅力がつまったディスクガイド。前述の通り、非常にオーソドックスな内容となっているため、入門書としてもピッタリな内容だと思います。また今回、同書発売にあわせて「70年代ソウル」も復刊されたそうなので、この2冊あわせてソウル入門としてはピッタリでしょう。このディスクガイドを足掛かりにソウルに世界に酔いしれたい、そんな1冊です。

| | コメント (0)

2024年1月20日 (土)

サンプリング元にはあの有名声優のデビュー作も!

Title:SCARING THE HOES
Musician:JPEGMAFIA&Danny Brown

毎年、1月から2月にかけて、前年の年間ベストアルバムとして各種メディアに選ばれたもののうち、未聴の作品を聴いていますが、今回紹介するのはそんな1枚。以前から利用している、各種メディアの年間ベストアルバムを集計したサイトAOTY2023年年間ベストアルバムにランキングされたアルバムのうち、まだ聴いていなかった1枚となります。

まず今回聴いたアルバムは、アメリカのラッパー、JPEGMAFIAとDanny Brownによるコラボ作。どちらのラッパーもまだ売上的にはブレイク前であり、日本では知る人ぞ知る的なラッパーのようですが、NMEで年間15位、Rolling Stone誌で19位を記録したほか、音楽サイトSputnikmusicでは年間1位に選ばれるなど、高い評価を受けているようです。

JPEGMAFIAはアメリカはメリーランド州ボルチモア出身の33歳のラッパー。ジャマイカ人の両親の下で生まれ、若い頃はアメリカ空軍に在籍。日本にも来ていたことがあるそうです。当初はDevon Hendryxでミックステープをリリースした後、JPEGMAFIA名義で2016年にアルバム「Black Ben Carson」でデビュー。いままでソロ名義で4枚のアルバムをリリースしています。

一方、Danny Brownは同じくアメリカはデトロイト出身の42歳。2010年にアルバム「The Hybrid」でデビュー。翌年リリースされたアルバム「XXX」は非常に高い評価を得て注目を集め、続く3枚目「Old」はビルボード総合チャートで最高位18位、ビルボードラップチャートでは最高位3位を記録するなど、ヒットを記録しています。

そんな2人によるコラボ作なのですが、非常に様々なサウンドを取り込み、多様な音楽性からの影響を感じさせるトラックが印象的。バラエティー富んだ展開にワクワクしながら楽しめるようなアルバムに仕上がっていました。「Steppa Pig」では分厚いエレクトロビートが耳に残りますし、タイトルチューンとなる「SCARING THE HOES」ではフリーキーなサックスが響き、力強いビートでダイナミックでロッキンなナンバーに。ホーンセッションが入ってスケール感あるサウンドが特徴的な「Burfict!」ではビートはトラップのリズムを取り入れていますし、最後を締めくくる「Where Ya Get Ya Coke From?」では迫力のあるサウンドからトライバルなビートへと、賑やかでどこかコミカルなサウンドが印象に残る楽曲となっています。

ちなみに前述の通り、JPEGMAFIAは以前は日本にも駐在していたことがあり、Devon Hendryx名義でのミックステープは日本で録音された作品もあるとか。その影響かどうかは不明ですが、なぜかネタ元が日本のサンプリング音源があり、「Garbage Pale Kids」では冒頭に、おそらく昔のテレビゲームのCMのナレーションではないかと思われるような声がサンプリング。さらに「Kingdom Hearts Key」では坂本真綾のデビューシングル「約束はいらない」のワンフレーズをサンプリングしています。

確かに年間ベストの上位に食い込んでくることも納得の、聴いていて楽しくなってくる作品に仕上がっていました。ワクワクするようなサウンドの展開に、おそらくHIP HOPリスナー以外でも楽しめる作品になっていると思います。彼らの今後の活躍にも期待したくなる1枚でした。

評価:★★★★★

| | コメント (0)

2024年1月19日 (金)

曽我部恵一の充実ぶりのわかる2枚同時リリース

ここ最近、ワーカホリックぶりが目立つ曽我部恵一。2022年はサニーデイ・サービスとしても新譜「DOKI DOKI」をリリースした他、新型コロナ療養中に1枚、ソロアルバムをリリース。さらには数枚のサントラ盤をリリースするなど、積極的な新譜リリースが目立ちました。2023年に入っても、ソロ名義での配信シングルを次々と発表。さらに年末になり、2枚同時にアルバムをリリースしてきました。

Title:ハザードオブラブ
Musician:曽我部恵一

まずこちらは、2023年にリリースした配信シングルを多く収録した、歌モノのアルバム。

Title:ヘブン2
Musician:曽我部恵一

Heven2

で、こちらが同時リリースされたアルバム。2018年に、全編HIP HOPのアルバム「ヘブン」をリリースし大きな話題となりましたが、本作はその続編となるアルバム。全編ラップという非常に挑戦的な異色作となっています。

ただ、カテゴライズ的にはHIP HOPのアルバム、ということになるのでしょうが本作、HIP HOPという色合いは実はさほど強くありません。1曲目「真夜中コインランドリー」はかなり堅いライムで綴ったリリックが印象的な作品や、「境界日誌」のようにサンプリングされた音がループするような、いかにもHIP HOP的な曲も目立ちますが、一方で後半の「結局ここに戻って来る」などは、ラップというよりもポエトリーリーディングの色合いが濃い作品に仕上がっていたりしますし、なにより全編、曽我部恵一のラップは優しくメランコリックで、トラックを含めて非常にメロディアス。「ハザードオブラブ」「ヘブン2」を2作続けて聴いたのですが、歌モノとラップというスタイルとしては大きく異なる両者ですが、2枚続けて聴いても、どこか似たような印象を受けて違和感がありません。

どちらも共通しているのは、さきほど書いた通り、優しさを感じさせるメロディーラインに、日常を綴った歌詞の世界観。ただ、そんな中に「ハザードオブラブ」に収録されている「逃げ水」のような、淡々と値段を歌い上げる歌詞に、軽く社会批判を感じさせるような内容となっていたりして、どこか一筋縄にはいかない、筋の通ったものを感じさせる点も大きな魅力に感じられます。

また、どちらも共通している点としては、様々な音楽性を取り込んでいるという点もそう。例えば「ハザードオブラブ」では冒頭「メタモルフォーゼラブ」では、ハードロックなサウンドにラップというスタイルからスタートし、いわばミクスチャーロック的な曲になっていますし、「仮免」では打ち込みを入れてリズミカルに仕上げています。「ヘブン2」でも「幽霊」はかなりアバンギャルドなトラックになっていますし、「いて座」はアコギとドラムの強いビートで哀愁感たっぷりにまとめあげているトラックが魅力的。「ハザードオブラブ」は全体的にギターロック主体だったのですが、特に「ヘブン2」ではサンプリングにより様々なサウンドを取り込んだ挑戦的な音作りも大きな魅力となっていました。

積極的な活動で次々と新譜をリリースしている曽我部恵一。正直、以前、サニーデイが最初に解散した後、曽我部恵一BANDと並行的に活動していた頃も、新譜を次々とリリースし、その時は若干乱発気味な印象を受けました。ただここ最近の彼の活動に関しては、乱発しているというよりも、脂ののった充実した活動の結果として多くの楽曲をリリースしているという印象があり、この2枚のアルバムに関しても外れの曲がほとんどありません。「運命とたたかえ」のような、ヒットポテンシャルがありそうな、かなりストレートな前向きのギターロックも聴かせてくれたりしており、その活動の充実ぶりがうかがえます。この分だとサニーデイの方も近いうちに新譜が聴けそうな予感も。2枚ともチェックしておきたい文句なしの傑作でした。

評価:どちらも★★★★★

曽我部恵一 過去の作品
キラキラ!(曽我部恵一BAND)
ハピネス!(曽我部恵一BAND)
ソカバンのみんなのロック!(曽我部恵一BAND)
Sings
けいちゃん
LIVE LOVE
トーキョー・コーリング(曽我部恵一BAND)
曽我部恵一 BEST 2001-2013
My Friend Keiichi
ヘブン
There is no place like Tokyo today!
The Best Of Keiichi Sokabe -The Rose Years 2004-2019-
純情LIVE(曽我部恵一と真黒毛ぼっくす)
Loveless Love
プリンは泣かない
Memories&Remedies

| | コメント (0)

2024年1月18日 (木)

またアイドル系が目立つチャートに

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

紅白やレコ大の影響が大きかった先週のチャートから一変、新譜が多いチャートとなった結果、またアイドル系が目立つチャートとなりました。

まず1位初登場が旧ジャニーズ系アイドルグループSixTONES「THE VIBES」。CD販売数1位。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上49万6千枚で1位初登場。前作「声」の初動51万7千枚からダウン。

2位は韓国の男性アイドルグループStray Kids「Social Path (feat. LiSA)」が先週の74位から大幅アップし、5週ぶりにベスト10返り咲き。1月14日に京都パルスプラザでイベントが行われており、そこでの販売分が加算された影響と思われます。

3位にはいれいす「IRREGULAR BULLET」が初登場。You Tubeで歌唱動画をアップしている6人組グループ。CD販売数3位。オリコンでは初動売上2万8千枚で2位初登場。前作「DICE」の初動1万枚(5位)からアップしています。

続いて4位以下の初登場盤です。まず4位にはハロプロ系アイドルグループOCHA NORMA「CHAnnel #1」がランクイン。CD販売数4位、ダウンロード数5位。本作がアルバムとしてはデビュー作となります。オリコンでは初動売上2万5千枚で3位初登場。

6位にはヒプノシスマイク-D.R.B- Rhyme Anima「Welcome 2 Rhyme Anima+」がランクイン。CD販売数6位、ダウンロード数8位。アニメ「ヒプノシスマイク-D.R.B- Rhyme Anima」で使用された楽曲をまとめたアルバム。オリコンでは初動売上1万枚で5位初登場となっています。

7位初登場は25時、ナイトコードで。「25時、ナイトコードで。 SEKAI ALBUM vol.2」。スマホ向けゲーム「プロジェクトセカイ」に登場する架空のグループによるアルバム。CD販売数7位、ダウンロード数3位。オリコンでは初動売上9千枚で7位初登場。前作「25時、ナイトコードで。 SEKAI ALBUM vol.1」の初動1万9千枚(3位)からダウンしています。

8位には、キタニタツヤ「ROUNDABOUT」がランクイン。CD販売数8位、ダウンロード数1位。「青のすみか」が大ヒットを記録した男性シンガーソングライターのブレイク後、初となるアルバム。オリコンでは初動売上6千枚で9位初登場。前作「BIPOLAR」の2千枚(23位)からアップしています。

続いてロングヒット盤ですが、5位に韓国の男性アイドルグループTREASURE「Reboot」が6位からワンランクアップ。日本でのライブツアー中であり、ライブ会場での物販分でのランクインとなります。これで通算11週目のベスト10入りとなります。

また、レコード大賞受賞により話題となったMrs.GREEN APPLE「ANTENNA」は先週の2位から9位にダウンしているものの、ベスト10はキープ。これで通算12週目のベスト10ヒットとなりました。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

| | コメント (0)

2024年1月17日 (水)

1位返り咲き!

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

なんと、1位返り咲きです。

Yoasobiidle

今週1位を獲得したのはYOASOBI「アイドル」。なんと9月6日付チャート以来の19週ぶりの1位返り咲きとなりました。ストリーミング数が先週と変わらず1位獲得。ダウンロード数は3位から4位、YouTube再生回数も3位から4位とダウンしているものの、紅白の影響が大きいのでしょうか、見事1位返り咲きを果たしました。これで40週連続ベスト10ヒット&通算37週目のベスト3ヒット&通算22週目の1位獲得となりました。ちなみに「勇者」も今週10位をキープしており、ベスト10ヒットを16週連続に伸ばしています。

一方Ado「唱」は先週から変わらず2位をキープ。ただ長らく「アイドル」より上位をキープしていましたが、今週、その順位がついに入れ替わってしまいました。ストリーミング数及びYouTube再生回数は2位をキープ。ダウンロード数は2位から3位にダウン。これで19週連続のベスト10ヒット&18週連続のベスト3ヒットとなっています。

3位は先週1位を獲得したTOBE所属の男性アイドルグループNumber_i「GOAT」が2ランクダウンながらもベスト3をキープしています。

続いて4位以下ですが、今週の初登場曲は1曲のみ。8位にヨルシカ「晴る」がランクイン。ダウンロード数2位、ストリーミング数25位、ラジオオンエア数3位、YouTube再生回数94位。日テレ系アニメ「葬送のフリーレン」オープニングテーマ。ちなみに前述のYOASOBI「勇者」は同アニメの第1期オープニングテーマだそうで、本作も「勇者」と同様、ロングヒットとなるのでしょうか。

さてロングヒット曲ですが、まずは年末の音楽番組の影響が一番大きかったであろう、Mrs.GREEN APPLE「ケセラセラ」。今週は4位から5位にダウン。ダウンロード数は6位から9位、ストリーミング数は3位から4位、YouTube再生回数も5位から6位とダウン。ベスト10ヒットを通算16週に伸ばしています。

King Gnu「SPECIALZ」は7位から6位にアップ。ただストリーミング数は5位をキープしたものの、ダウンロード数は15位から22位、YouTube再生回数も9位から10位と全体的に下落傾向は続いています。これでベスト10ヒットは連続20週に。

そしてVaundy「怪獣の花唄」も8位から7位にアップ。ストリーミング数は先週から変わらず6位。カラオケ歌唱回数も1位をキープしています。こちらは通算52週目のベスト10ヒットとなります。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

| | コメント (0)

2024年1月16日 (火)

LUNA SEAらしさがよく出ている全盛期の2作をセルフカバー

今回紹介するアルバムは、ロックバンドLUNA SEAが1990年代にリリースした2枚のアルバムを、セルフカバーした作品となります。

Title:MOTHER
Musician:LUNA SEA

まずこちらが1994年にリリースされた4thアルバム「MOTHER」のセルフカバー。初のベスト3ヒットとなり、LUNA SEAの名前を一気に知らしめた「ROSIER」や、初のNo.1ヒットとなった「TRUE BLUE」が収録されています。

Title:STYLE
Musician:LUNA SEA

で、もう1枚が1996年にリリースした5thアルバム「STYLE」のセルフカバー。本作で、彼ら初となるアルバムでの1位獲得を記録しています。

この2枚のアルバムがリリースされた時、私は高校生から大学生にかけての時期。既に今と同じく、積極的にポピュラーミュージックのアルバムを聴いている時期なのですが・・・LUNA SEAのこの2枚のアルバムをリアルタイムで聴いていたかどうかは正直、いまひとつ記憶にありません・・・。シングル曲は間違いなくリアルタイムで聴いていて、よく覚えているのですが。

そんな訳で今回、はじめて聴くかもしれないこの2枚のアルバム。LUNA SEAが最も勢いのあった時代の曲を聴くと、あらためてLUNA SEAというバンドの特徴がよくわかります。彼らの音楽には大きく3つの要素が感じられました。ひとつは力強いバンドサウンドを聴かせる本格的なロックバンドという側面。ふたつめは、ヒットチャートの本流を行くような、インパクトのあるポップなメロディーを書けるポップミュージシャンとしての側面。そして最後は、耽美的なメロディーと、同じくねちっこさを感じる河村隆一のボーカルに特徴づけられる、いかにもヴィジュアル系バンドという側面でした。

1つ目の側面は、特に「MOTHER」に収録されている「FACE TO FACE」や「STYLE」に収録されているメタリックな「1999」などに顕著にあらわれています。「MOTHER」に収録されている「AURORA」なども全体的にポップなメロが前面に出ている曲ながらも、ノイジーなギターサウンドにシューゲイザー系からの影響を強く感じる点もおもしろさを感じます。

一方、2つ目の側面は特にシングル曲を中心に特徴的な要素ですし、3つ目の側面は「STYLE」に収録されている「FOREVER&EVER」などを含めて、アルバム全体的に感じられる要素となりますし、ある意味、このいかにもヴィジュアル的な耽美的な側面が、LUNA SEAらしさを決定付けている大きな要素にも感じました。

率直に言ってしまうと、ロックバンドとしてのLUNA SEAに非常にカッコ良さを感じる反面、このいかにもヴィジュアル系らしい3つ目の要素が、アルバムの中の「エグみ」に感じてしまいます。そのため、最初は純粋にアルバムを楽しめるのですが、最後の方まで聴くと、徐々にロックバンドとして違和感を覚え、楽しめなくなってしまう、というのが正直な感想。もっとも、この耽美的な側面が、彼らの個性であり、ファンにとってはこの要素が大きな魅力に感じているとは思うのですが・・・。

ちなみに今回のセルフカバーアルバム、オリジナルとサッと聴き比べたのですが、大きな違いはなく、基本的にオリジナルに準拠したアレンジとなっています。ボーカルの河村隆一とか、30年近くが経過して、かつての声をそのまま維持しているのはさすがといった感じなのですが。ただ、全体的には時代に応じてなのか、サウンドはややヘヴィーになった印象も。一部、変化している曲もあり、前述の「AURORA」のシューゲイザー的なギターノイズは、オリジナルにはありませんでした。

もっとも勢いのあった時期のアルバムなだけに、もっともLUNA SEAらしいとも言える2枚のアルバム。全体的にはどちらかというと「MOTHER」はよりポップな側面が前に出ており、「STYLE」はよりヘヴィーでロックなアルバムに仕上がっています。非常にLUNA SEAらしさを感じる2枚のアルバム。このアルバムが気に入れば、LUNA SEAのファンになれそうですし、逆にファンでない方にとっては前述の通り、若干楽しめない側面もあるかも。

評価:どちらも★★★★

LUNA SEA 過去の作品
COMPLETE BEST
LUNA SEA
A WILL
25th Anniversary Ultimate Best-THE ONE-
NEVER SOLD OUT 2

LUV
CROSS

| | コメント (0)

2024年1月15日 (月)

ストーンズの様々な音源を網羅的に紹介

本日は、最近読んだ音楽関連の書籍の紹介です。

昨年、デビュー60周年を迎えたロック界のレジェンド・オブ・レジェンド、The Rolling Stones。今回紹介するのは、彼らの作品を網羅的に紹介した「ローリング・ストーンズ完全版」。他にもヴェルヴェット・アンダーグラウンドやデイヴィット・ボウイで同様の「完全版」が発売されているようで、同シリーズの一環のようです。ミュージシャンやライターとして活躍している和久井光司編集により、様々なライターが寄稿して構成された1冊となります。

まず全体としてはかなりの労作というのが印象的。基本的にローリング・ストーンズのアルバムを録音順に掲載しているほか、そこに挟む形で彼らのライブツアーのスケジュールも掲載されており、文字通り、彼らのバンドとしての歩みを知ることが出来る1冊となっています。そのローリング・ストーンズのアルバムは、ベスト盤や編集盤、ライブ盤も含めてほぼ全て掲載。ライブ盤はリリース時期ではなく、録音時期によって並んでいるため、どんなタイミングでのリリースだったか、よくわかります。またのちにリメイク版や〇周年記念盤などがリリースされているアルバムについては、その記念盤も別枠で取り上げて記載しています。

ストーンズの場合、初期はイギリスとアメリカで別のバージョンのアルバムがリリースされているほか、それぞれの国でベスト盤、編集盤が様々にリリースされており、さらに最近は、「オフィシャル・ブートレグ」と名乗って様々なライブ盤がリリースされていたりするので、それをすべて網羅的に把握するのはファンでも一苦労。そんな中、数多い彼らのアルバムを丁寧に拾い上げて、曲順、リリース日はもちろん、参加ミュージシャンも記載されているのは非常に貴重なデータとなっています。あえて言えば、ヒットチャートの順位も記載してほしかったのですが。

音源に関しては、その他にソロでの作品も収録されており、こちらも貴重なデータに。またライブツアーについては、ツアー日程や主なセットリストも記載。タイトな日程にはそのワーカホリックぶりもうかがわせます。こちらも貴重なデータと言えるでしょう。

活動開始から60年を経て、様々な音源が残されているストーンズにとって、過去の音源を網羅的に、録音順に収録されているという点で、かなり有用な1冊。後追いでファンになった人はもちろん、長年のファンにとっても、いろいろと参考になりそうな1冊だと思います。

ただ一方、「完全版」とは言うものの、これを機にストーンズのアルバムを聴く、という初心者にとってはちょっと厳しい1冊かもしれません。基本的にコラムに簡単なストーンズの歩みは記載されているのですが、ストーンズ自体についての基本的な情報は「所与」のものとなっています。そのため、メンバーがどのように、いつ入れ替わったか、というような記載もありませんし、ミックとキースの出会いに関するエピソードやオルタモントの悲劇の話、ミックの女性関係やキースのドラッグにまつわる話など、ストーンズファンならば当然知っておきたいようなエピソードはあまり記載がない・・・というよりは「知っていて当然」的に話は進んでいきます。そのため、完全な初心者にとっては、ちょっと厳しい1冊だったと思いますし、また「完全版」と名乗るからには、ここらへんのストーンズに関する初歩的な情報やエピソードなども記載してほしかったかも、とは思います。

また、ちょっと残念だったのは、アルバム自体は網羅的に紹介されていたものの、アルバム毎の紹介記事が、アルバム自体の情報を詳しく記載していなかった点。アルバムによっては、ライター自身のストーンズのアルバムにまつわるコラム・エッセイ的な内容になっている点があり、主観的な内容になっているのは残念でした。確かに、それらの記事に関しても決して駄文ではないのですが、本書はどちらかというとストーンズの「辞書」的な内容になっているだけに、ここは、ライターの主観は出来る限り排除した客観的な記事を心掛けるべきだったのではないでしょうか。ここらへんは編集方針がどのようになっていたのか不明なのですが、本書で残念な点でした。

そんな感じで、ストーンズの辞書的な機能面ではちょっと残念な面もあったのですが、前述の通り、様々なストーンズの音源を網羅的に把握するという点においては非常に有用とも言える1冊。とりあえずこの本を足掛かりに、いままで聴いていなかった彼らの音源についてもチェックしてきたいです。

| | コメント (0)

2024年1月14日 (日)

バンドの実力を感じさせる久々のアルバム

Title:THE GREATEST UNKNOWN
Musician:King Gnu

現在も「SPECIALZ」が大ヒット中のKing Gnu。おそらく、現在、もっとも人気のあるバンドの一組となっていますが、そんな彼らのニューアルバムがリリースされました。今回のアルバムは全21曲入りというフルボリューム。ただし、うち11曲は既発表のシングル曲、7曲はインターリュード的なインスト曲、アルバム用の新曲は3曲という構成となっています。

特にここ最近は、立て続けのシングル曲を配信しており、積極的な活動が目立つものの、アルバムとしては2020年の「CEREMONY」より、実に約3年10ヶ月ぶりと、アルバムとしては久々となる作品。前作「CEREMONY」の段階でのKing Gnuのイメージというのは、様々な音楽性を感じさせる一方で、メロはベタなJ-POPなのが気になり、手放しで評価できない、そんなイメージがありました。ただ、そんなKing Gnuのイメージを個人的に一変させたのは、その間にリリースされた常田大希のソロプロジェクトmillennium paradeのアルバム。King Gnuと同様、様々な音楽性を取り込んだ、いわば「音楽的偏差値」の高い作風ながらも、King Gnuに感じた、悪い意味でのJ-POP的要素はゼロ。あのベタなJ-POP的要素は「ワザと」だったんだ、と感じさせる作品になっていました。

今回のアルバムに関しても、そんなKing Gnuの「音楽的偏差値」の高さを感じさせる、様々な音楽性を垣間見る楽曲が少なくありません。例えば、この数少ないアルバム曲である「):阿修羅:(」はHIP HOPの要素を強く感じますし、同じくアルバム曲「2 Μ Ο Я Ο」は、今風のジャズの要素を強く感じます。またインターリュード的な、1分に満たない曲ではあるものの「SUNNY SIDE UP」ではゴスペルの要素も入れてくるなど、King Gnuなりの音楽的挑戦はアルバムの要所要所に垣間見ることが出来ます。

一方では、シングル曲を中心に、あきらかに広いリスナー層へのアピールを考えたような「J-POP」的な要素も強く感じることが出来ます。例えば、現在大ヒット中の「SPECIALZ」などはメランコリックなメロディーラインはいかにもJ-POPを意識したようなわかりやすさを感じますし、「千両役者」などは疾走感あるビートを聴かせつつ、哀愁感のあるテンポよいメロディーラインは、今どきのアニソンっぽさも感じます(・・・が、この曲はアニメタイアップの曲ではないのですが・・・)。また「STARDOM」などもダイナミックなスケール感あるロックアレンジにメランコリックなメロディーラインには、ある種のベタさを感じます。

全体的にアレンジは比較的音数が多く分厚めなのも、いかにもJ-POP的と言えるかもしれません。ただ、それらのシングル曲についても、アレンジについては彼ららしいロックやジャズ、R&Bなどの幅広い音楽性を感じさせるサウンドを聴かせてくれており、そんなサウンドとJ-POP的な要素を上手くバランスさせたような楽曲が特徴的。ある種のベタを含めてKing Gnuの魅力と言えるのでしょう。

前述の通り、全21曲のうち実質的なアルバム曲がわずか3曲のみで、シングルが11曲も入っている点もいかにも「今どき」な感じもします。ただ、同じような、いかにも今どきなミュージシャンのVaundyやYOASOBIのアルバムが、アルバムというよりも「既発表のシングル曲を並べたプレイリスト」のようなイメージを受けたアルバムだったのに対して、King Gnuはアルバム全体の流れも感じさせる、インスト曲も含めて、しっかりと「アルバム」になっている構成も印象的。ここらへんもミュージシャンとしての一種のこだわりも感じさせる作品になっていました。

前作「CEREMONY」は人気上昇中のバンドらしい勢いを感じさせる作品でしたが、今回のアルバムは勢いというよりも、King Gnuの確固たる実力を感じさせるアルバムになっていたようにも感じます。いい意味での安定感も覚える作品。そういう意味ではバンドとしてのさらなる成長を感じさせる作品とも言えるでしょう。今後の彼らの活躍も楽しみです。

評価:★★★★★

King Gnu 過去の作品
Sympa
CEREMONY

| | コメント (0)

2024年1月13日 (土)

こちらも紅白・レコ大の影響が

今週のHot Albums(2024年1月10日付)

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

ある意味、Hot100以上に紅白やレコード大賞の影響が出ているといえるチャートかもしれません。

まずは紅白のパフォーマンスも話題となったAdo「Adoの歌ってみたアルバム」が先週の2位からランクアップし、チャートイン4週目にして初の1位獲得となりました。CD販売数は4位から2位、ダウンロード数も2位から1位にアップしています。さらに今週、彼女の直近のオリジナルアルバム「狂言」が22位から10位に大幅アップ。昨年2月1日付チャート以来のベスト10返り咲きを果たしています。CD販売数が35位から20位に大幅アップ。ダウンロード数も12位から8位にアップし、総合順位もベスト10入りとなりました。「狂言」はこれで通算12週目のベスト10ヒット。他に「ウタの歌 ONE PIECE FILM RED」も25位から15位にランクアップしています。

さらに、先週ベスト10に返り咲いたレコ大受賞ミュージシャンMrs.GREEN APPLE「ANTENNA」が8位から2位にランクアップ。2位は自己最高位タイとなります。ダウンロード数が5位から3位にアップしたほか、CD販売数が9位から1位に大幅アップ。なんだかんだ言って、やはりCDの形で持っておきたい人が多いんだろうなぁ、と思うのと同時に、おそらく、レコード大賞受賞ではじめて彼らのことを知ったような、アラフォー世代以上の人たちが、CDを買いに行った、ということも多いような気もします。これで通算11週目のベスト10ヒット。ベスト3入りは通算3週目となります。また彼らもベストアルバム「5」が52位から18位に大幅アップ。こちらもレコ大効果でしょう。

そしてYOASOBI「THE BOOK 3」が先週の9位から3位にアップ。こちらもダウンロード数が3位から2位にアップ、さらにCD販売数が15位から6位に大幅にアップしています。ちなみに「THE BOOK 2」も29位から16位に大幅にランクを上げています。

またそれ以外にはVaundy「replica」が先週の14位から9位にランクアップし、5週ぶりにベスト10返り咲きとなっています。ここらへんも紅白などの影響もあったのでしょうか。

続いて4位以下の初登場盤ですが、今週は1枚のみ。5位にユニークな歌詞が特徴的なラウドロックバンド、打首獄門同好会「ぼちぼちベテラン」がランクイン。CD販売数5位、ダウンロード数5位。確かに結成から18年なので、そろそろ「ベテラン」と言えば「ベテラン」でしょうか。ちなみに5年前には「そろそろ中堅」というアルバムを出していますが。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上3千枚で5位初登場。前作「2020」の初動4千枚(12位)から若干のダウンとなります。

他にベスト10返り咲きがあと1枚。韓国の男性アイドルグループTREASURE「Reboot」が先週の55位からランクアップし、6位にランクイン。8週ぶりのベスト10返り咲きとなっています。特にCD販売数が40位から4位に大幅アップ。特にオリコンでは6千枚を売り上げて、同作が1位を獲得しています。おそらく1月より日本ライブツアーを開始しており、1月6日の福岡PayPayドームでの物販分が加味されたように思いますが、今後もツアーが続くため、もしそうであるのならば、来週以降もランクインが続くかもしれません。

1月10日付のHot Albumsは以上。来週は通常通り水曜日に!

| | コメント (0)

2024年1月12日 (金)

紅白の影響は?

今週のHot100(2024年1月10日付)

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

1月10日付チャートのチャート対象期間は1月1日から7日。年末のレコード大賞や紅白歌合戦の影響の出るチャートとなっています。

Goat

ただ、初登場で1位を獲得したのは新年とは関係なく、Number_i「GOAT」が獲得。旧ジャニーズ系アイドルグループ、King&Princeのメンバーのうち、旧ジャニーズ事務所を脱退したメンバーが滝沢秀明の結成した音楽事務所、TOBEに移籍し結成したグループの配信限定の第1弾シングル。ダウンロード数、ラジオオンエア数及びYouTube再生回数は1位を獲得。ストリーミング数のみ15位と伸び悩みましたが、総合順位では1位獲得。良くも悪くも、年末から年始にかけて旧ジャニーズがらみの話題がつきませんでした。

そして紅白ではどちらのパフォーマンスも話題となったAdoとYOASOBI。Ado「唱」は先週の1位からダウンし2位に、YOASOBI「アイドル」も同じく2位から3位にダウンという結果になっています。ただ、ストリーミング数では先週まで15週続けて1位を獲得していた「唱」が2位にダウン。代わって「アイドル」が16週ぶりに1位に返り咲いています。またダウンロード数も「唱」が1位から2位にダウンした一方、「アイドル」は6位から3位にアップ。YouTube再生回数だけは「唱」が1位から2位、「アイドル」も2位から3位と仲良くランクダウンしています。年始年末の音楽番組ではどちらのパフォーマンスも話題となりましたが、チャート動向だけ見るとYOASOBIの方に軍配があがる結果となっています。個人的には、顔見せはしなくても、Adoが紅白の会場でパフォーマンスを行えば、もっと話題になったと思うのですが。

これで「唱」は18週連続のベスト10ヒット&17週連続のベスト3ヒットに。「アイドル」は39週連続のベスト10ヒット&通算36週目のベスト3ヒットとなっています。またYOASOBIは「勇者」が9位から10位にダウン。これで15週連続のベスト10ヒットとなったものの、ダウンロード数は10位から11位、ストリーミング数は6位から10位、YouTube再生回数も4位から8位にダウンと全体的に下落傾向。来週以降の動向が厳しくなる結果となっています。

続いて4位以下の初登場曲ですが、今週はあと1曲のみ。Kis-my-Ft2「HEARTBREAKER」が5位初登場。CD販売数のみ1位にランクインし、総合順位はこの位置に。オリコン週間シングルランキングでは初動売上20万1千枚で1位初登場。前作「想花」の初動24万3千枚(1位)からダウンしています。

さて、冒頭に書いた年末のレコード大賞や紅白歌合戦の影響ですが、YOASOBI「アイドル」の動向などで顕著には見られたものの、おそらく一番影響があったと思われるのはレコ大受賞作Mrs.GREEN APPLE「ケセラセラ」でしょう。先週の7位から今週は4位にアップ。ダウンロード数は7位から6位、ストリーミング数は7位から3位、YouTube再生回数も6位から5位といずれもアップしています。

そのほか、紅白出場者の曲について軒並みアップしているものの、キタニタツヤ「青のすみか」15位→11位、Mrs.GREEN APPLE「ダンスホール」18位→12位、10-FEET「第ゼロ感」21位→13位、新しい学校のリーダーズ「オトナブルー」32位→20位と残念ながらベスト10ヒットに至る曲はなし。「ケセラセラ」の動向を見る限り、視聴率とは直接リンクはしないとは思うのですが、AdoとYOASOBIに持っていかれた感じでしょうか。

一方、ロングヒット曲ですが、King Gnu「SPECIALZ」は5位から7位にダウン。ダウンロード数は12位から15位、ストリーミング数は3位から5位、YouTube再生回数も5位から9位にダウンと、全体的に下落傾向となりました。これで19週連続のベスト10ヒットとなります。

Vaundy「怪獣の花唄」は今週も先週と変わらず8位をキープ。カラオケ歌唱回数は先週から引き続き1位をキープ。一方ストリーミング数は5位から6位にダウン。これで通算51週目のベスト10ヒットとなります。

1月10日付Hot100は以上。明日は最後、1月10日付のHot Albumsとなります。

| | コメント (0)

2024年1月11日 (木)

話題のミュージシャンもベスト10返り咲き

今週のHot Albums(2024年1月3日付)

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

年末らしい返り咲きも

まず1位は赤西仁「YELLOW NOTE」が初登場でランクイン。CD販売数1位、ダウンロード数8位。オリジナルアルバムとしては約4年半ぶりとなるニューアルバム。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上1万7千枚で1位初登場。直近作はベスト盤「OUR BEST」で同作の初動2万6千枚(1位)からダウン。オリジナルアルバムとしての前作「THANK YOU」の初動2万枚(2位)からもダウンとなっています。

2位はAdo「Adoの歌ってみたアルバム」が先週の5位からランクアップし、2週ぶりにベスト3返り咲き。CD販売数も7位から4位とアップ。ダウンロード数は先週と変わらず2位をキープしています。

3位には松任谷由実「ユーミン乾杯!!~松任谷由実50周年記念コラボベストアルバム~」が先週の2位からワンランクダウンしているものの、2週連続のベスト3をキープしています。

続いて4位以下の初登場盤ですが、まず4位に「うたの☆プリンスさまっ♪Dramatic Masterpiece Show『NEVER AGAIN NEVERLAND』」がランクイン。CD販売数2位。女性向けゲーム「うたの☆プリンスさまっ♪」から派生した作品で、物語をモチーフにしたドラマCDと、それに関連する楽曲が収録されているCDの第2弾。オリコンでは初動売上1万1千枚で2位初登場。同シリーズの前作「うたの☆プリンスさまっ♪Dramatic Masterpiece Show『Dreaming of OZ』」の初動5千枚(11位)からアップ。

6位には韓国の男性アイドルグループ東方神起「20&2」がランクイン。輸入盤のためダウンロード数のみ1位にランクインし、総合順位も6位にランクインしています。オリコンではCD販売分がカウントされ、初動売上2千枚で17位初登場。直近作は国内盤のミニアルバム「Epitaph」で同作の初動3万6千枚(3位)からダウンしています。

さて今週は冒頭に書いた通り、2023年に話題となったミュージシャンのアルバムがベスト10に返り咲いています。

まずHot100でも「ケセラセラ」がベスト10返り咲きを果たしたレコ大受賞ミュージシャンMrs.GREEN APPLE「ANTENNA」が16位から8位にランクアップし昨年9月6日付チャート以来のベスト10返り咲き。CD販売数は24位から9位、ダウンロード数も8位から5位とそれぞれランクアップしています。またこれでベスト10入りは通算10週目となりました。

またYOASOBI「THE BOOK 3」も先週の12位から9位にランクアップ。こちらも昨年の11月8日付チャート以来のベスト10返り咲き。こちらもダウンロード数が5位から3位にアップしているほか、CD販売数が28位から15位と大幅にアップしています。

さらに今年話題となったアニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」の中の架空バンド、結束バンド「結束バンド」が先週の70位から10位に大きくランプアップ。こちらは昨年の3月8日付チャート以来のベスト10返り咲き、通算12週目のベスト10ヒットとなっています。こちらは12月27日にLP盤がリリースされた影響で、CD販売数が85位から7位に大幅アップ。オリコンでも5千枚を売り上げて7位にランクインしています。

1月3日付Hot Albumsは以上。明日は1月10日付Hot100の紹介です。

| | コメント (0)

2024年1月10日 (水)

お正月明け第1弾

先週の水曜日はちょうど正月真っ最中ということもあり、ヒットチャートはお休み。ビルボードでは今週、2週分のチャートが同時に発表されています。そのため今日から4日間にわたり、1月3日付及び10日付のチャートを紹介していきます。まずは1月3日付チャート。チャート対象期間は12月25日から31日で、ちょうど年末の期間となります。

今週のHot100(2024年1月3日付)

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

1位2位には紅白でも話題となった2023年を代表する2曲が並びました。

Ado_show

まず1位はAdo「唱」。3週連続通算13週目の1位獲得。ストリーミング数は15週連続、YouTube再生回数は13週連続1位を獲得しているほか、今週はダウンロード数も5週ぶりに1位返り咲き。またカラオケ歌唱回数も9位から7位にアップしています。これで17週連続のベスト10ヒット&16週連続のベスト3ヒットとなりました。

そして2位はYOASOBI「アイドル」が先週の3位から再びランクアップ。ストリーミング数は3位から2位に、ダウンロード数も9位から6位に、YouTube再生回数も3位から2位にアップ。またラジオオンエア数も先週の75位から3位に大幅にアップしています。これで38週連続のベスト10ヒット&通算35週目のベスト3ヒットとなります。また、先週5位から9位にダウンした「勇者」は今週も9位をキープ。ストリーミング数は先週と変わらず6位をキープしたものの、ダウンロード数が6位から10位にダウン。ただし、YouTube再生回数は5位から4位にアップしています。これでベスト10ヒットは14週連続となります。

初登場最高位は3位の星野源「光の跡」。CD販売数2位、ダウンロード数5位、ラジオオンエア数1位。映画「劇場版 SPY×FAMILY CODE:White」エンディングテーマ。CDシングルは「不思議」以来、約2年半ぶりとなります。オリコン週間シングルランキングでは初動売上4万8千枚で2位初登場。前作「不思議」の初動13万5千枚(2位)からは大きくダウンしてしまいました。

続いて4位以下の初登場曲ですが、4位以下の初登場は1曲のみ。4位にKinki Kids「シュレーディンガー」がランクインです。CD販売数1位、ラジオオンエア数7位。オリコンでは初動売上17万9千枚で1位初登場。前作「The Story of Us」の初動17万3千枚(1位)よりアップしています。

一方、今週はベスト10返り咲きも。その中で再注目はやはり先週の17位から7位にアップしたMrs.GREEN APPLE「ケセラセラ」でしょう。今年の9月6日付チャート以来のベスト10返り咲き。通算14週目のベスト10ヒットとなっています。12月30日に放送された「レコード大賞」で最優秀作品賞を受賞した影響でしょう。ダウンロード数は15位から7位、ストリーミング数も14位から7位、ラジオオンエア数も97位から13位、YouTube再生回数も19位から6位と軒並み大幅にアップ。毎年「もう終わりだ」と言われつつも大きな話題となる紅白と異なり、最近は徐々に話題にもならなくなってきたレコ大ですが、(毎年思うのですが)大賞作品が放送後、大きくランクを伸ばすことを考えると、その影響力はまだまだ大きいなぁ、と感じてしまいます。

また、先週12位にダウンしたVaundy「怪獣の花唄」は今週8位に再度アップ。これで通算50週目のベスト10ヒットに。特にストリーミング数が8位から5位とアップしているほか、先週2位にダウンしたカラオケ歌唱回数も再び1位に返り咲いています。

さらに緑黄色社会「花になって」も先週の11位から10位にランクアップ。こちらも2週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。

ロングヒット曲ですが、まずKing Gnu「SPECIALZ」は7位から5位に再びアップ。ただしダウンロード数は10位から12位、ストリーミング数も2位から3位にダウン。YouTube再生回数は6位から5位にアップしています。これで18週連続のベスト10ヒットとなりました。

1月3日付Hot100は以上。明日は同日付のHot Albumsとなります。

| | コメント (0)

2024年1月 9日 (火)

初来日公演の模様をフル収録

Title:The Complete Budokan 1978
Musician:Bob Dylan

最近、洋楽のいわゆる大御所の来日ライブで、足を運べるような機会がある場合には、なるべく足を運ぶようにしています。なにしろロック全盛期に活躍していたミュージシャンたちが老境を迎えて、鬼籍に入るミュージシャンも少なくない中、今のうちに見ておかないと最後の機会になってしまうケースが少なくないからです。そんなこともあって、今年4月に足を運んだボブ・ディランも、そんな流れで足を運んだライブのひとつ。言わずと知れたロック界の大レジェンドである彼も御年82歳。まだまだバリバリの現役で元気とはいえ、いつの来日公演が最後ということになっても不思議ではありません。とはいえ、ステージは、渋みを感じさせつつも、現役感あふれるステージで、非常に満足したライブを見せてくれました。

さて、今回紹介するのは、そんなボブ・ディランの最初の来日公演である1978年の日本武道館ライブの模様を収録したライブアルバム。もともと公演直後の1978年に日本で、翌年では海外でもリリースされ、ビルボードチャートでも13位、全英チャートでは4位にランクインするなどヒットを記録。「Budokan」の名前を世界のロックリスナーに知らしめるきっかけとなったライブアルバムだそうです。ただ、その時のライブ音源は、あくまでも武道館のステージからの楽曲の抜粋された構成となっていました。

今回のライブアルバムは「The Complete Budokan」というタイトル通り、その日のステージをそのまま収録したアルバム。この日の来日公演は2月20日から3月4日まで日本武道館で8回公演、3月24日から26日まで大阪の松下電器体育館(現・パナソニックアリーナ)で3回公演が行われたようですが、そのうち2月28日、3月1日の公演がフル収録されているようです。

1978年にリリースされたアルバムは未聴なので、今回、この初来日の音源についてははじめて聴いたのですが、まず感じたのは、思ったよりも明るく、肩の力が抜いたステージになっているように感じた点でした。ひょっとしたら、本国からはるか離れた極東の地のステージなだけに、自由なパフォーマンスが出来たのかもしれません。Wikipediaのアルバム「武道館」の記事ではインタビューで「手を引っ張って日本に連れて行かれライブアルバムを作らされた」と書かれているのですが、この音源を聴く限りでは、率直に「嫌々」というイメージはありません。

また、ボブ・ディランのライブといえば、原曲とは大きく異なるアレンジが特徴的。当初は賛否があったのかもしれませんが、今となっては、それがボブ・ディランのライブということで完全に受け入れられています。この時のステージについても、原曲とは異なるアレンジの曲が多いのですが、全体的には比較的明るく、爽やかな雰囲気のアレンジとなっている印象が。代表曲である「Like a Rolling Stone」もアレンジを変えて披露していますが、原曲よりも明るい雰囲気のアレンジとなっています。そのため、全体的に和やかな雰囲気のステージになっているように感じました。

全4枚組約4時間半に及ぶフルボリュームのアルバム。一気に聴くには体力のいる作品ですが、それでも当時のベスト盤的な内容になっているため、コアなファンならずとも、十二分に楽しんで聴くことが出来るような作品となっていました。ボブ・ディランのライブの魅力を存分に味わえるアルバムでした。

評価:★★★★★

BOB DYLAN 過去の作品
Together Through Life
Tempest
Triplicate
Rough And Rowdy Ways
日本のシングル集
Shadow Kingdom
流行歌集


ほかに聴いたアルバム

New Blue Sun/André3000

2000年代に一世を風靡したHIP HOPデゥオ、OutKast。2006年にリリースしたアルバム「Idlewild」を最後に活動を休止しましたが、そこから実に17年ぶり。OutKastのメンバーだったAndré3000のソロアルバムがリリースされました。ただOutKastのイメージからすると、かなり異なる雰囲気のアルバムに。全編、エレクトロフルートが流れるインストのアルバム。全体的にドリーミーでゆっくりとした雰囲気のアンビエントな作風。こういう作風のアルバムにすること自体、挑戦的とも言えるのですが、正直、万人受けといった感じのアルバムではない点は注意。もろ手をあげてお勧めできるアルバムではないのですが、音楽には、様々なアイディアは垣間見れるアルバムではあり、決して悪くはありません。興味のある方は、といった感じで・・・。

評価:★★★★

| | コメント (0)

2024年1月 8日 (月)

「東京ブギウギ」が与えた影響

Title:踊れ!ブギウギ~蔵出し戦後ジャズ歌謡1948-55

現在、NHK朝の連続テレビ小説で放送中の「ブギウギ」。戦後、「東京ブギウギ」を大ヒットさせ「ブギの女王」と言われた笠置シズ子をモデルにしたドラマということで話題となり、笠置シヅ子関連にCDや書籍が多く発売されています。当サイトでも彼女の関連のCDや書籍をいくつか紹介してきましたが、本作もその流れでリリースされたアルバムのひとつ。「東京ブギウギ」の大ヒットに応じてリリースされた、「ブギウギ歌謡」と呼ばれる曲をあつめた1枚。企画・構成は、当サイトでもよく取り上げている、戦前のSP盤専門のレーベル「ぐらもくらぶ」の主催者である保利透氏によるオムニバスとなっています。

まず本作でユニークなのは、「ブギウギ」の企画によってリリースされたアルバムなのですが、肝心の笠置シヅ子の曲を全く収録していない点。今回は旧ポリドールの音源を使用しているためですが、ただ笠置シヅ子抜きであえてこのような企画を実施するあたりに、挑戦心を感じます。まあ、「ブギウギ」で生じるであろうブームに乗っかかっただけという見方も出来るのですが・・・。

ただ、それだけに当時の「東京ブギウギ」の流行が当時のヒット曲に大きな影響を与えたことを実感できる1枚になっています。そしてそれで感じる点は、皮肉なしに素直に、ヒット曲のたくましさを感じてしまいます。要するに「東京ブギウギ」のヒットから、似たようなジャンルの曲を次々とリリースしてくるヒット曲ならではの傾向。タイトルそのまま「浪曲ブギウギ」など、まさに日本古来の浪曲を、むりやりブギのリズムにのせた、ある意味「トンデモ」感のある曲ですし、「アロハブギウギ」なども、ハワイアンに無理やりブギのリズムを加えたような曲ですし、こういう節操のなさは、ヒット曲の傾向の良くも悪くもといった感じなのですが、ある種のたくましさも感じます。

もうひとつ、このコンピを聴いて感じたのは、笠置シズ子周辺の曲を聴くことで、逆に笠置シズ子の歌手としてのすごさを感じます。今回のアルバムに収録されている楽曲、少なくとも「歌のうまさ」という点では笠置シヅ子とそん色なり歌手も少なくありません。ただ、大きな違いを感じたのはリズム。このリズムという観点で曲を聴いた時、このコンピに収録されている多くのミュージシャンは、バックには軽快でリズミカルなサウンドが流れているにも関わらず、歌は日本古来のベタっとした、リズムのない歌い方に徹しており、非常に違和感を覚えます。一方、笠置シズ子は曲にマッチしたブギウギのリズムを乗りこなしており、この点、大きな差を感じました。笠置シズ子が不在だからこそ、逆に彼女の偉大さを感じる、そんなコンピレーションに仕上がっていました。

そんな訳で、ある意味、笠置シズ子が不在だからこそ、逆に彼女の存在感を覚えるようなそんな作品。それと同時に、「東京ブギウギ」の大ヒットが当時のシーンにどのような影響を与えたかも知ることが出来る貴重なコンピレーションアルバムになっていました。まず肝心の笠置シズ子の曲を聴くことが第一でしょうが、それに続いて当時のシーンに興味を持った方にとっては、うってつけのコンピレーションアルバムでした。

評価:★★★★

| | コメント (0)

2024年1月 7日 (日)

90年代との大きな違いを感じる

Title:昭和40年男コンピレーションアルバム「俺たちの音楽時間旅行~昭和のロック&ニューミュージック編」

今回紹介するのはカルチャー誌「昭和40年男」のコンピレーションアルバム。タイトル通り、この雑誌自体は昭和40年(=1965年)生まれをターゲットとして、その世代の男性が、幼少期や学生時代に慣れ親しんだ文化を取り上げるカルチャー雑誌。自分が高校生の頃にも「70年代リバイバル」みたいなものがあり、上の世代が自分の若い頃を懐かしむブームはあったにはあったのですが、この雑誌「昭和40年男」のようなノスタルジーを煽るような雑誌は最近、特に増えているように思います。日本がそれだけ衰退してきている・・・ということもあるのでしょうが、それ以上に、雑誌が売れなくなってきて、まだ紙の雑誌を買ってくれるような、アラ還世代をターゲットとした企画が増えているのでしょう。

今回のアルバムで取り上げられているのは、その昭和40年生まれの男性が、おそらく中学生から大学生の頃に触れたであろう音楽のうち、ロック、ニューミュージックにカテゴライズされる曲。主に1970年代後半から1980年代前半の曲が取り上げられています。まず並んだ曲を見て感じるのは、多くのミュージシャンが鬼籍に入ったとして話題となった昨年、亡くなったミュージシャンが多い、という点。谷村新司、坂本龍一、もんたよしのり、大橋純子といった名前が並んでいます。また、登場するミュージシャンの中で、忌野清志郎、加藤和彦、かまやつひろしも既に鬼籍に入っており、70年代は遠くになりにけり・・・と思ってしまいます。

もっとも、ミュージシャンは特に早世が多い、というよりは、70年代に最前線で活躍していたミュージシャンも、例えば当時20代だとしても既に70才を優に超えた年齢になっている訳で、彼らが老境に達して、ある程度、亡くなってしまうのはある意味、自然の流れではあります。残念ではありますが、今後もこういう傾向は続いていくでしょう。

そしてもうひとつこのコンピレーションアルバムを聴いて感じるのは、私自身、「昭和50年男」なのですが、この10年の差が非常に大きいな、という点でした。ここに収録されているのは「ロック&ニューミュージック」ということで、当時としては歌謡曲から一定の距離を置いたような、洋楽テイストが強い曲が収録されているはずなのですが、それにも関わらず、今では「昭和歌謡曲」としてカテゴライズされそうな歌謡曲のテイストがベッタリとついた、哀愁たっぷりの曲がほとんどでした。

例えばここから10年後の「昭和50年男」をターゲットとした同じようなコンピレーションが企画されたとすると(実際「昭和50年男」という雑誌も出ているので、今後、十分出てきそうな企画ですが)、主に1980年代後半から1990年代前半の曲が取り上げられたとして、登場するのはバンドブームの中に登場した曲や、その後のトレンディドラマの主題歌、さらにはビーイング系や小室系といった曲たち。ここらへんの曲に「昭和歌謡曲」的な要素はほとんど感じられません。

そう考えると、この70年代から80年代前半にかけての音楽シーンと、80年代後半以降の音楽シーンの違いって、大きいな、ということを今回のコンピレーションアルバムを聴いて感じました。実際、最近のヒット曲を聴いても、90年代J-POPの色合いを感じる曲は多いのですが、それ以前の要素を感じる曲は(自覚的に昭和歌謡曲を目指している曲を除き)ほとんどありません。

もっとも、このコンピの中でもサディスティック・ミカ・バンドの「タイムマシーンのおねがい」やRCサクセションの「トランジスタ・ラジオ」などは、数少ない、「歌謡曲」的な要素をほとんど感じない、今のシーンでも十分通用しそうな曲。そういう意味では、その後の音楽シーンと完全に断絶しているというよりも、その後の90年代J-POP以降に通じる音楽の萌芽は、この時期に既に芽生えていたといってもいいのかもしれません。

おそらく「昭和40年男」にはかなり懐かしさを感じさせるコンピレーションアルバムでしょう。ただ、今回「ロック&ニューミュージック編」ということで、この時代に一世を風靡したアイドルポップスは収録されていません。なんとなく、アイドル編も今後、リリースされそうな気がするのですが。あと、個人的には「昭和50年男」のコンピ盤も聴いてみたいなぁ。

評価:★★★★

| | コメント (0)

2024年1月 6日 (土)

久々となるニューアルバム

Title:在ライフ
Musician:在日ファンク

実に約5年ぶりとなる在日ファンクのニューアルバム。これだけアルバムのインターバルが空いてしまったのは、やはりボーカルのハマケンこと浜野謙太が今や俳優として引っ張りだこだからでしょうか。今年の大河ドラマにも出演していましたし。彼が演じた織田信雄の「わ・ぼ・く♪」のセリフが妙に耳に残るリズミカルさがあって、話題になったのですが、個人的にはなんとなく在日ファンクのフレーズで登場しそうに思ってしまいました。

そんなこと考えつつ今回のアルバムを聴くと、「平和」って曲で「私は、戦いが好きだー!イクサが好きだー!」というフレーズがありビックリしてしまいました。お前の特技は「和睦」じゃなかったのか、と(笑)ただもちろん、戦争を煽る好戦的な歌詞ではなく、基本的に反戦のメッセージをユーモラスに伝える中で登場するシニカルなフレーズ。ここらへんのユニークさも在日ファンクらしさを感じる曲となっています。

この曲をアルバムのほぼ真ん中に配しつつ、アルバムの冒頭「今から本気」「在来外来」は、まさに在日ファンクらしい、JB直系のディープファンクでスタート。楽曲タイトルを無理やりファンクにしているスタイルもいかにも彼ららしい感じ。まず身体が自然に動き出しそうなスタートとなっています。

「平和」に続く中盤の「滞ってる」は、ジャズボーカリストとして活躍している高岩遼をゲストボーカルに起用。彼によるラップも加わり、ムーディーな曲に。この曲から後半「いけしゃあしゃあ」「身に起こる」はミディアムチューンでメランコリックに聴かせる曲になっており、アルバムの中で、いわばチルアウト的な展開となっています。

そしてラストの「おすし」は、タイトル通り、「おすし」という日常語をそのままファンクのリズムにのせているという在日ファンクの真骨頂とも言えるナンバー。最後はいかにも在日ファンクらしい身体が踊りだしたくなるような締めくくりとなっています。

前作「再会」は初期の彼ららしいファンク路線に戻りつつ、インパクト面ではちょっと弱くなった感のあるアルバムでした。率直に言うと今回のアルバムも、以前のアルバムに比べると、インパクト面では若干弱い感じは否めませんでした。そういう意味では、4つと迷う感じの出来ではあったのですが・・・。ただ、中盤のバリエーションと、ラストの「お・す・し♪」のインパクトがあったので、下記の評価に。やはり俳優として忙しいと音楽活動はいろいろと難しくなるのかなぁ。

評価:★★★★★

在日ファンク 過去の作品
在日ファンク
爆弾こわい
ベスト・オブ・在日ファンク~覗いてごらん見てごらん~

連絡
笑うな
レインボー
再会


ほかに聴いたアルバム

Ambivalent/ユッコ・ミラー

派手なルックスとファッションで注目を集めつつ、サックスプレイヤーとして確固たる実力を持つサックスプレイヤー、ユッコ・ミラーの最新アルバム。全体的に軽快でポップな作風の曲が多く、ジャズリスナーでなくても聴きやすさを感じさせるアルバムになっています。また一方、米津玄師の「KICK BACK」やYOASOBIの「アイドル」のカバーも収録しているのですが、ここらへんに関しては、ちょっと安直というか、単なるBGMになっている感も・・・。以前の彼女のアルバムは、本格派な曲とポップな曲がほどよくバランスされていたのですが、このアルバムに関しては、悪い意味でポップ方向にシフトしすぎた感が・・・。ちょっと物足りなさを感じてしまったアルバムでした。

評価:★★★

ユッコ・ミラー 過去の作品
SAXONIC
Kind Of Pink

| | コメント (0)

2024年1月 5日 (金)

「CからはじまるABC」ではなんとあのミュージシャンと!!

Title:いまも忘れらんねえよ
Musician:忘れらんねえよ

もてない男性の心境を痛々しくも素直に綴った歌詞が評判を呼んでいるバンド、忘れらんねえよ。2022年の年末、CDJ222324 (ちょっと どっかに行って 10曲?いや 22曲?いや 23曲?いや 24曲作るまで家に帰りません。)と題して、忘れらんねえよの柴田が都内スタジオにこもって、24曲を作成するまで家に帰れないという企画を行い、最終的には1月1日に24曲を完成させました。さらに今年5月から11月にかけて、10ヶ月連続の配信シングルをリリース。CDJ222324の曲の一部も配信シングルとしてリリースされましたが、その配信シングルを全曲含む、約4年ぶりのオリジナルアルバムがリリースされました。

全15曲入りとなったかなりボリューミーな今回のアルバム。楽曲は基本的に忘れらんねえよらしい、力強いパンキッシュなバンドサウンドとメランコリックなメロディーラインの曲が並びます。そしてなんといっても忘れらんねえよらしいと言えるのがその歌詞。いかにももてない男性の心の叫びみたいな歌詞が多いのですが、ただ、その叫びも、どこか「ひとりよがり」な感もあって、その「ひとりよがり」感を含めて、もてないんだろうなぁ・・・ということが実感できてしまって、逆にリアリティーがある点、大きな魅力だったりします。

かなりストレートに愛の言葉だけを伝えようとする「アイラブ言う」や、よくありがちなテーマの曲ながらも、かなり強烈で、かつひとりよがり感のある歌詞が忘れらんねえよらしい「プロポーズ」などが特徴的。ほかにも今の若者に対するエールとなっている「これだから最近の若者は最高なんだ」や自らを鼓舞するかのような「悲しみよ歌になれ」など、忘れらんねえよらしい曲が並びます。また、特にインパクトがあるのがラストの「犬人間」で、愛犬と合体して犬人間になり、好きな娘の家にあがりこむ・・・という率直に言うと気持ち悪い(苦笑)妄想さく裂の歌詞が非常にインパクトがありユニークな内容となっています。

ただ、そんな忘れらんねえよらしい曲が並ぶ本作ですが、正直言うと、全体的な出来としては傑作だった前作「週間青春」には及ばなかったように思います。悪くはないのですが、メロディーやサウンドにしても、良くも悪くもいつもの忘れらんねえよのスタイルで若干マンネリ気味ですし、歌詞にしても、ユニークでインパクトあるフレーズは随所にあるものの、全体としては「週間青春」や過去の作品に比べると、ワンアイディアで押していくような短く、パンチ不足な曲が多いように思います。やはりさすがに短期間で多くの曲を書くという企画のマイナス面が出てしまった感も否めませんでした。

もっとも今回のアルバムで注目なのは、Disc2の方。バンドと縁の深いミュージシャン5組によるカバーになっているのですが、これがなかなかおもしろい!安藤裕子の「知ってら」やNakamuraEmiの「犬にしてくれ」など、原曲とは全くことなるメロウなナンバーとなっているのですが、柴田隆浩の書くメロディーラインの良さが前に押し出された曲になっていましたし、なんといっても耳がいくのがラストの「CからはじまるABC」「爆音でチャットモンチーを聴いた」の出だしが印象的なこの曲は、なんと元チャットモンチーのボーカル、橋本絵莉子とのデゥオ!歌詞の内容から考えると、なかなか鳥肌モノのコラボとなっています。

オリジナルアルバムの出来としては、忘れらんねえよの魅力も出ていましたし、悪いアルバムではないと思うのですが、前作がかなりの傑作だっただけに、その次のアルバムということを考えるとちょっと残念だったかもしれません。ただ、カバーアルバムの方は鳥肌モノなので、こちらを含めて、間違いなくチェックしておきたい作品です。

評価:★★★★

忘れらんねえよ 過去の作品
忘れらんねえよ
空を見上げても空しかねえよ
あの娘のメルアド予想する
犬にしてくれ
忘れらんねえよのこれまでと、これから。
俺よ届け
僕にできることはないかな
あいつロングシュート決めてあの娘が歓声をあげてそのとき俺は家にいた
週刊青春

| | コメント (0)

2024年1月 4日 (木)

「旅」をテーマに民謡をラテンアレンジ

Title:日本民謡珍道中
Musician:民謡クルセイダーズ

日本の民謡とラテン音楽の融合という新たな試みにより、日本の民謡を全く新しい姿で今の時代に蘇らせ大きな話題となっているバンド、民謡クルセイダーズ。2017年にリリースされた「エコーズ・オブ・ジャパン」が大きな話題となり、その後、コロンビアの「フレンテ・クンビエロ」もリリースされましたが、民謡クルセイダーズ単独名義としては実に約6年ぶりとなるニューアルバムがリリースされました。

今回のアルバムのコンセプトは「旅」。日本全国各地の民謡を取り上げて、彼ら流にラテンアレンジを施し、いままで聴いたことないスタイルに変身させています。取り上げている曲は「佐渡おけさ」「ハイヤ節」「木曽節」「ソーラン節」など、日本人にとっては一度は聴いたことありそうな曲が並んでおり、いままで持っている民謡のイメージが大きく変わるである曲が並んでいます。

例えばまず「佐渡おけさ」。もともと民謡歌手であったフレディ塚本がボーカルをつとめているだけに、こぶしまわしは一流。その歌はしっかり民謡していますが、そこにダウナーな打ち込みや、ダブの要素も加わったアレンジが非常にユニーク。続く「広島木遣り音頭」も軽快なラテンパーカッションが、意外と民謡とピッタリとマッチしている点がおもしろいところです。

「南部俵積み唄」は軽快なパーカッションやホーンセッションも入ったラテンなアレンジそのまま。哀愁感漂うトランペットの音色が意外と民謡の雰囲気にもマッチ。ラテン音楽と日本民謡の意外な相性の良さも感じます。「大漁歌い込み」も原曲のもつ力強さそのままに、スペーシーなシンセが入っているところがユニークに感じます。

アルバムの中でも一番インパクトがあったのが「金毘羅船船」でしょうか。もともと原曲からして、軽快でテンポよいナンバーなのですが、それだけに軽快なナンバーなだけに、ラテンアレンジにもピッタリ。ライブでも盛り上がりそうな楽曲になっています。さらにラストの「ソーラン節」も、ハイテンポなラテンアレンジとなっており、こちらは原曲のイメージとはかなり異なる雰囲気に。かなり軽快で楽しい「ソーラン節」に、この意外な解釈が非常にユニークに感じます。

まさに民謡とラテン音楽を融合させ、両者の意外な親和性を楽しめるのと同時に、曲によっては、原曲の雰囲気とは大きく異なるアレンジになっていたりして、ちょっとミスマッチさも感じる部分もあるのですが、それはそれで楽しめる、そんなアルバムになっていました。ただ、ある程度強引なラテンアレンジも意外とマッチしてしまうのは、やはり日本の民謡の部分の土台がしっかりしているからでしょう。上にも書いた通り、ボーカルのフレディ塚本はもともと民謡歌手。そのため彼の歌の部分はぶれることなく民謡しているため、多少のラテンアレンジではぶれないような「主軸」の部分がしっかりしています。だからこそ、ラテンと融合する大胆な解釈も可能となるのでしょう。

今回のアルバムも文句なしの傑作の1枚。日本の民謡の新たな魅力を感じさせる作品となっていました。民謡のメロディーはどこか日本人の琴線に触れつつ、ラテンなリズムが非常に楽しい作品で、ライブで盛り上がりそうだなぁ。民謡の新たな魅力を感じさせる、そんなアルバムでした。

評価:★★★★★

民謡クルセイダーズ 過去の作品
エコーズ・オブ・ジャパン
民謡クンビエロ(フロム・トーキョー・トゥ・ボゴタ)(民謡クルセイダーズ&フレンテ・クンビエロ)

| | コメント (0)

2024年1月 3日 (水)

ロックンロールの女王

Title:Queen Of Rock'n'Roll
Musician:Tina Turner

音楽ファンにとっては、言うまでもない話かもしれませんが、今年は多くのミュージシャンの訃報が飛び込んできた1年でした。もっとも、「今年が特別」というよりは、ポピュラーミュージック全盛期のミュージシャンが単に寿命を迎えだしたのと、一方、ポップスミュージシャンの活動寿命が延び、60才や70才を過ぎても当然のように現役で活動を続けた結果、現役で活動を続けているミュージシャンの訃報が相次いだから、という理由に過ぎないとは言う点は、以前も当サイトで書いたかと思います。ただ、今年そんな鬼籍に入ったミュージシャンの一人が彼女、ティナ・ターナーでした。享年83。年齢から考えると、大往生ではないものの、寿命を全うした、といった感じでしょうか。そして本作は、そんな彼女の業績を追ったベストアルバム。1975年から2020年に発表された彼女のシングルが年代順に収録。彼女の業績を歴史に沿った形で追える、そんなベスト盤となっています。

アルバムタイトルは「Queen Of Rock'n'Roll」。「ロックンロールの女王」と呼ばれた彼女の、まさにそのままなタイトルとなっています。アルバム冒頭も、レッドツェッペリンのカバー「Whole Lotta Love」からスタート。まさにロックにふさわしい出だしとなっていますし、その後も「ロックンロールの女王」という呼び名がピッタリのロックチューンが多く収録されています。しかし、このベストアルバムを通じて感じるのは、それ以上に、時代に応じえ様々なジャンルの音楽を取り入れ変化していった偉大なミュージシャンの姿でした。

特に60年代から70年代序盤の曲に関しては、前述の「Whole Lotta Love」もそうなのですが、彼女の立ち位置はロックというよりも、むしろソウルミュージシャンという立場から、ロックというジャンルを取り入れているというスタイルの曲が目立ちます。一番印象的なのは、ビートルズの「Help」のカバー。彼女のソウルフルなボーカルによって、原曲のイメージはガラッとチェンジし、力強いソウルバラードに生まれ変わっています。

一方、80年代以降のナンバーについては、一気にロック色が強くなり、なおかつ、いかにも80年代的な曲が目立ちます。典型的なのが「We Don't Need Another Hero(Thunderdome)」で、いかにも80年代的なナンバー。スケール感あるサウンドとメランコリックなメロが懐かしさを彷彿とさせる曲となっており、「あの時代」を思い起こさせる曲となっています。

ただ、80年代以降、ロックに急速にシフトし、「ロックンロールの女王」と呼ばれるような中でも、ソウルミュージシャンとしてそのボーカルの圧倒的な力量を感じさせる曲も少なくありません。特に印象的だったのはDisc2に収録されている「A Change Is Gonna Come」のライブ音源。パワフルに歌い上げるそのボーカルは実にソウルフルで、ボーカリストとしての力量を感じさせる音源となっています。

その後も80年代後半の曲はロックのテイストが強く感じさせる中、「Nutbush City Limits」のような四つ打ちのリズムを取り入れたダンスチューンがあったり、軽快で疾走感ある「Disco Inferno」のような明るくメロディアスな曲があったり、全体的にかなり自由度の高い、クロスオーバー的な活躍が目立ちます。作風も時代に応じて微妙に変えており、80年代の全盛期にはよりポップな作風が目立ちますし、90年代以降の作品に関しては、「In Your Wildest Dreams」のような、ムーディーな大人の雰囲気を感じさせる曲が目立つような印象を受けました。

そのパワフルなボーカルを生かしながら、時代に応じて変化していく自由度の高い活動が彼女の大きな魅力に感じました。そんな彼女の活動を時代に応じて追える、最適なベストアルバムと言えるでしょう。もっとも、「彼女の全貌がわかる」と言うためには、その前の、アイク&ティナ・ターナー時代の活動も欠かせないので、そういう意味で物足りなさも否めないのですが・・・。

また、このアルバム、強烈な違和感のある面もあり、それがラストに収録された「Something Beautiful」。1996年にリリースされた「Something Beautiful Remains」のリメイクなのですが、おそらく日本人にとっては、冒頭、いきなりお題目が流れてくるのでかなり違和感があると思います。彼女、かの創価学会の熱心な信者だったというのは有名な話で、このお題目もその流れなのでしょうが・・・ただ、あまりにも癖の強さが出てしまっているこの「お題目」には、ちょっと仰天してしまいます。欧米人にとっては「何かエキゾチックなサウンド」程度の認識なのかもしれませんが。

そんな点を差し引いても、非常に魅力的なベストアルバム。ティナ・ターナーの魅力をあらためて感じさせてくれるベスト盤でした。

評価:★★★★★

| | コメント (0)

2024年1月 2日 (火)

80年代90年代を彷彿とさせるエレクトロポップス

今年はじめての通常更新となります。このアルバムが一番最初なのはいつも通り、「私が聴いた順」なので特に意味はありません。ただ、新年早々、大変なニュースが続いてしまっていますが、これからは、このアルバムのように、今年が少しでも明るい出来事も多い1年になりますように。

Title:OKシンセサイザー
Musician:ザ・リーザルウェポンズ

今回は最近、急速に話題を集めているロックユニット。プロデュースや作詞作曲を手掛けた日本人のアイキッドと、アメリカはオハイオ州出身のサイボーグジョーの2人組からなるユニットで、アイキッドはももクロや上坂すみれへの楽曲提供でも活躍しています。1980年代から1990年代、特に80年代の音楽をストレートに取り入れた、バリバリのシンセを前面に押し出した楽曲が特徴的。全ての曲にMVが作成されており、そちらでも80年代や90年代の文化を散りばめられている映像作品が大きな話題となっています。このアルバムも、いきなりビルボードのHot Albumsで19位を獲得するなど、ブレイク寸前という人気を獲得しているようです。

2人の風貌も、いかにも80年代を彷彿とさせそうな「古き良きアメリカンポップス」の雰囲気を醸し出していますし、楽曲も、前述の通り、あえてチープさを強調させたような、懐かしさを感じさせるシンセの音を前面に押し出した楽曲。多分、2000年代前半くらいまでならば「カッコ悪い」といったイメージのあり、逆に今となっては一回りして、懐かしさと共に評価されるようになってきたサウンドといった感じでしょうか。

楽曲に関してもかなりユニーク。ハードロック風ながらも、魚が釣れない、ということだけを延々と歌った「ボウズ」や、「ミッション・インポッシブル」のカバーなのですが、歌詞は曲が全然できない、という点を淡々とつづった内容になっています。また、ある年代の人にとっては、歌詞の内容に含めて懐かしさを感じてしまう「夏の日のメガドライブ」なんていう曲もあったりします。

一方、ユーモラスな風貌や曲調とは反して、意外とまじめな曲も多いのも特徴的で、「キングオブポップ」はタイトル通り、マイケルジャクソンに捧げたナンバーですし、学生時代のノスタルジックな思い出を歌った「ウェザーリポート」という曲もあります。アルバム全体としては、イメージとは裏腹に、意外と真面目な構成というイメージを受けました。

もうひとつ特徴的なのが豪華なゲスト陣で、「シューティングスターレディオ」ではRhymester宇多丸が参加。「ねこねこヘヴン」では上坂すみれが参加し、アニソン風の曲に仕上がっていますし、「サムライディスコ」では眉村ちあきが参加。哀愁感ある曲調の、90年代を彷彿とさせるナンバーとなっており、様々な豪華ゲストもアルバムのバリエーションに花を添えています。

80年代や90年代文化をストレートに表現した作風は、素直に楽しく、特にアラフォー以降の世代にとってはノスタルジックさを感じる作品が並びます。そういう意味では非常に楽しめた1枚ではあったのですが、ただ一方で、これといった核となるような作品がなかったのが気になりました。これがザ・リーザルウェポンズだ、という彼らの魅力や特徴を凝縮したよう曲がなく、全体的にインパクトが薄かったようにも感じます。

具体的に言えば、氣志團の「One Night Carnival」に相当するような、そんな1曲があればグッと注目も増して、さらなるブレイクが期待できるような気がするのですが、残念ながら、彼らにとっての「One Night Carnival」に相当するような曲がなかったような気がします。逆に、そういう1曲に恵まれれば、一気に大ブレイクも間違いなさそう。そんな印象を受ける1枚でした。

アラフォー、アラフィフ世代にとっては、ノスタルジーを直撃しそうなそんなポップス。個人的にはライブも楽しそう。今後に期待のユニットです。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

月に願いを/miwa

2022年夏のEP「君に恋したときから」、2023年冬のEP「バレンタインが今年もやってくる」そして2023年春のシングル「ハルノオト」に続く形で秋をテーマとしてリリースされた5曲入りのミニアルバム。表題曲「月が綺麗ですね」は、夏目漱石が「I love you」のことを日本語でこのように訳したという逸話によっているのでしょうが、この逸話自体が創作である説が強いため、若干もやる点も。まあ、それはともかく、全体的には秋らしいしんみりとした曲が並ぶ作品に。2曲目「Wedding Wish」は結婚行進曲をモチーフにしていたりする大ネタになっている点もちょっと気になるのですが、彼女らしい爽やかで聴かせる曲の並ぶポップアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★

miwa 過去の作品
guitarium
Delight
ONENESS
SPLASH☆WORLD
miwa THE BEST
Sparkle
君に恋したときから
バレンタインが今年もやってくる

| | コメント (2)

2024年1月 1日 (月)

謹賀新年

新年、あけましておめでとうございます。本年も、当「ゆういちの音楽研究所」をよろしくお願いします。


ただ、正月早々、北陸で大地震が発生し、大きい被害も出ているようです。こちらもかなり揺れてビックリしましたが、現地で被害にあわれた方に関しましては、心よりお見舞い申し上げます。


年末ですが、いつものように「紅白歌合戦」を見ながら、のんびりと過ごしていました。その「紅白」の前には、チラッと「年忘れにっぽんの歌」も見たりしていたのですが、相も変わらず演歌歌手が多く出演しており、さすがに年齢的に面白くはなかったのですが・・・ただ、ふと気が付いたのですが、既に中高校時代に例えばBOOWYやブルーハーツ、さらにはビーイング系や小室系などを聴いていた世代が、そろそろ50代になりつつあるんですよね。もちろん、この世代が50歳になったからといって演歌は聴かない訳で・・・。ともすれば、自分の親の世代(70代くらい)すら、ビートルズ以降の世代で、基本的に演歌はほとんど聴いていません。そう考えると、もう10年くらいたつと、「年忘れにっぽんの歌」でも演歌歌手が消え、J-POPのミュージシャンたちが歌うようになるのでしょうか・・・?

ただ、そう考えると、紅白の方がむしろ、40代や50代あたりの世代を意識した選曲になっているんですよね。ポケットビスケッツとブラックビスケッツなんて、まさに40代、50代の世代に直撃しそうなセレクトですし。また、トリについては、福山雅治とMISIAが4年連続という点が悪い意味で話題になったのですが、福山雅治にしろ、MISIAにしろ、「桜坂」や「Everything」のヒットって、もう20年以上前の話なんですよね。

そう考えると、福山雅治にしろMISIAにしろ、既に90年代あたりの紅白で言えば「演歌歌手」がその役割を担っていた、「懐メロ歌手」に近い扱いなんですよね。それだけ時代が変わったということなのでしょうか。そんなことを強く感じてしまった年末でした。

それでは、あらためて今年1年、当サイトをよろしくお願いします。

| | コメント (2)

« 2023年12月 | トップページ | 2024年2月 »