全盛期oasisの充実ぶりを物語る名盤
Title:The Masterplan - 25th Anniversary Remastered Edition
Musician:oasis
2014年から2016年にかけて、「チェンジング・ザ・サン」プロジェクトと題して、デビュー作「Definitely Maybe」から3rdアルバム「Be Here Now」までの3作の再発・リマスターが行われてきたoasis。今後は徐々に「Standing on the Shoulder of Giants」以降の作品もリマスターされていくのかなぁ・・・と漠然と考えていたのですが、このアルバムを忘れてはいけない!とばかりに、1998年にリリースされた、彼らのシングルのカップリング曲を集めた、いわゆるB面ベストである「The Masterplan」の25周年記念盤がリリースされました。
本作がリリースされた90年代中盤の音楽シーンを、リアルタイムで体験された方ならわかると思うのですが、この時期のoasisの人気はすさまじいものがありました。特に1995年にリリースされた「 (What's the Story) Morning Glory?」の頃の人気はすさまじく、同作は全世界で2500万枚という驚異的なヒットを記録しています。同作は、どの曲もシングルカットできそうなくらいの捨て曲のない充実した内容であり、この時期のoasisの勢いを、内容の面からも感じさせるアルバムになっていると思います。
ただ、もしoasisが1990年代に、いかに脂がのりまくっていて勢いがあったかを知るか知りたい、と言われたら、間違いなくこの「The Masterplan」を勧めるでしょう。
このアルバムは、前述の通り、この時期のシングル曲のカップリングを収録したB面ベスト。通常、シングルのカップリングと言えば、一番目立たない存在であり、ある意味、穴埋め的な曲が多く、もしくは目立たないからこそ、アルバムに収録すると違和感の出るような挑戦的な曲が多い、という印象があります。
しかし、このアルバム、どの曲もシングルカットしても不思議ではないような、インパクトのある楽曲が並んでいます。特に1曲目はいきなり「Acquiesce」からスタート。oasisの代表曲の1曲といっても過言ではない曲で、ノエル、リアム兄弟が2人でボーカルを交互に取っているのが印象的な楽曲。そういえば、この曲ってカップリングだったっけ・・・といまさらながら驚いてしまいます。
続く「Underneath the Sky」もメランコリックなメロディーラインが胸をつく名曲。これと「Don't Look Back In Anger」がカップリングとは・・・どれだけこの時期のノエルのメロディーメイキングは冴えまくっていたんだ、と驚かされます。
その後も疾走感あるギターロック「Fade Away」も、これシングルじゃなかったっけ??って驚かされる、彼らの代表曲の1曲とも言える作品ですし、「Half the World Away」もベスト盤にも収録されている代表曲の1つ。こちらもメランコリックなメロに胸がキュンとなりそうなナンバー。ラストを飾るタイトルチューンともなっている「The Masterplan」も、oasisらしいストリングスやホーンを入れてメランコリックに聴かせる美メロがさく裂している楽曲。こちらもベスト盤に収録されており、彼らの代表曲のひとつと言えます。
カップリング曲集なのに、なんでここまで彼らの代表曲になるような曲が並んでいるのか!とこれだけでも驚かされるのですが、その他にもストリングスが入って、ちょっと優雅にメロディアスに聴かせる「Going Nowhere」やoasisらしい力強いギターサウンドとメランコリックなメロがインパクトある「Listen Up」、爽やかで軽快なギターロックが楽しい「Stay Young」など名曲揃い。下手なオリジナルアルバムに負けない・・・どころか個人的には内容の充実さでは、oasisのアルバムの中でも「 (What's the Story) Morning Glory?」「Definitely Maybe」に次ぐ出来栄えではないか、と感じさせる名盤に仕上がっています。
ちなみに後に、oasisが全盛期ほどの名盤を出せなくなってしまった頃、「あの頃にいい曲を惜しげもなく出しすぎた。取っておけばよかった。」みたいなことをノエルがぼやいていたことを記憶しています。ただ、おそらくあの頃のノエルは、これだけのメロディーが、湯水のごとく、次から次へと浮かんできたのでしょうね。それだけの充実ぶりを感じさせますし、そのころのoasisのものすごさを垣間見れるアルバムとなっています。
ただ、ちょっと残念なのは25周年記念盤ということですが、オリジナル盤をリマスターしただけで、追加のボーナストラックなどは収録されていません。また、日本盤のリリースもなく、輸入盤のみのリリースとなっています。せっかくなので、その当時のライブ音源や、これらの曲のデモ音源、あるはカップリング曲ながらも同作未収録になっている曲などを追加してほしかったのですが・・・。その点は残念なのですが、oasisを語る上で、避けては通れない名盤なのは間違いありません。全ロックリスナー、必聴の1枚です。
評価:★★★★★
oasis 過去の作品
DIG OUT YOUR SOUL
Time Flies 1994-2009
Original 1993 Demos
Definitely Maybe (Remastered) (Deluxe)
(WHAT'S THE STORY)MORNING GLORY?(Remasterd)(Deluxe)
BE HERE NOW(Deluxe)
KNEBWORTH 1996
ほかに聴いたアルバム
RUSH!(ARE U COMING?)/Måneskin
今年1月にリリースされたアルバム「RUSH!」に新曲5曲を加えたリメイク版。最初5曲がこのアルバムの新曲になるのですが、力強いサウンドとメランコリックなメロディーラインというスタイルは他の曲と同様。基本的にそのスタイルに大きな変化はありません。これぞロック!といった感じの力強いギターとリズミカルなビートはとても心地よいのですが、新装版となって22曲1時間7分。このタイプの楽曲なら、もうちょっとすっきりとした短さの方がよかったかも。
評価:★★★★
Måneskin 過去の作品
Teatro d'ira - Vol.1
RUSH!
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コメント
このアルバムの全曲が「チェンジング・ザ・サン」のデラックスエディションに収録されていて、今回新規ではなくその時のリマスター音源を使用と明記されてますし、「The Masterplan」の曲順でプレイリスト組んだ寄せ集めに過ぎないのでさすがに国内発売は見送られたのではないでしょうか。追加収録したところで「チェンジング・ザ・サン」デラックスエディション3作分の内容を薄めるだけにしかなりませんし…。
投稿: Gen | 2023年12月16日 (土) 08時49分
>Genさん
まあ、そうですよね。確かに、以前のデラックスエディションで収録されていましたね・・・。
投稿: ゆういち | 2024年1月 5日 (金) 23時34分