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2023年12月11日 (月)

新曲が加わり大幅にボリュームアップ!

ご存じ、いまなお絶大な人気があり、多くのミュージシャンへの影響を続けているThe Beatles。今年、なんとここに来て新曲がリリースされて大きなニュースとなりました。さらに、今回、「赤盤」「青盤」の愛称で知られる彼らの2組のベストアルバムに、その新曲や、その他の曲が加えられ、「2023エディション」として再リリースされ、話題を呼んでいます。

Title:The Beatles 1962-1966(2023 Edition)
Musician:The Beatles

こちらは「赤盤」。タイトル通り、1962年から1966年に発表された曲を集めたベストアルバム。

Title:The Beatles 1967-1970(2023 Edition)
Musician:The Beatles

こちらは「青盤」。こちらは1967年から1970年の楽曲が収録されています。

まずやはり注目なのは「The Beatles 1967-1970」の最後に収録されている新曲「Now And Then」。1996年にリリースされた「Real Love」以来、27年ぶりの新曲だそうです。もともとジョン・レノンが70年代後半に書いていた楽曲で、1994年に行われた「ザ・ビートルズ・アントロジー」プロジェクトの際に新曲としてリリースしようと試みたのですが、当時の技術ではデモ音源に入っている雑音の除去が困難ということで、制作作業が中止されていました。ただその後、AI技術の発展により雑音の除去も行えるようになり、このたび見事、「新曲」と日の目を見ることになったそうです。

楽曲は非常にメランコリックなメロディーラインが印象的。ジョンのボーカルに対して、ポール・マッカートニーやリンゴ・スターのコーラスラインが非常に印象的。さらに過去の音源からジョージ・ハリスンの声もバッキングボーカルとして加わっているそうです。4人のハーモニーを聴かせているあたり、4人の繋がりをあえて強調しているように感じます。メロディーラインは物悲しく、ノスタルジックな雰囲気もあり、過ぎ去ったビートルズとして現役だった日々を思い起こしているようにも感じさせます。これが最後であるという物悲しさを、どこか感じさせる楽曲にも感じました。

さて、今回、リメイク盤のリリースにあたり、「1962-1966」では12曲、「1967-1970」では新曲をふくめ9曲、あらたに追加しています。追加曲は「I Saw Her Standing There」「Here And There Everywhere」のような「この曲、ベスト盤に収録されていなかったのか」と驚くような代表曲も多く、The Beatlesの名曲の多さにあらためて感心してしまいました。ちなみに元のベスト盤は全てオリジナル曲だったのですが、「Twist And Shout」「Roll Over Beethoven」のようなビートルズのバージョンが有名なカバー曲が収録されています。

収録曲に関しては言うまでもなく名曲揃いで、ビートルズの魅力をしっかり感じされるアルバムなのは間違いありません。ただ・・・ただ単に収録曲を増やしたという点は若干疑問があって、結果として「1962-1966」は63分から94分、「1967-1970」は99分から134分に一気に収録時間が伸びています。個人的には元のバージョンくらいの長さが、アルバム通じて楽しめる長さとしてはちょうどよい(それでも99分はちょっと長いのですが)と思っていたのですが・・・。ちょっとただ単に長くなりすぎているようにも感じました。もっとも、ストリーミングの時代、これだけの長さにしたのは、ひょっとしたら「プレイリスト」を意識したのかもしれませんが。

しかし、ほぼ毎年のように手を変え品を変え、「ニューアイテム」をリリースし続けるThe Beatles。それがほぼすべてベスト10入りするくらいヒットを続けているあたり驚きなのですが、今年はついに「新曲」をリリース。次の「弾」は何になるのかなぁ。このビートルズ商法、若干呆れつつも、ここまでくると同時に楽しみにもなってくるのですが。さてさて。

評価:どちらも★★★★★

The Beatles 過去の作品
LOVE
On Air~Live At The BBC Volume2
1+ (邦題 ザ・ビートルズ 1+)
LIVE AT THE HOLLYWOOD BOWL
Get Back (Rooftop Performance)


ほかに聴いたアルバム

Japanese Singles Collection-The Greatest Hits-/Janet Jackson

日本でリリースされたシングルを網羅的に収録した日本独自企画によるベスト盤「ジャパニーズ・シングル・コレクション」シリーズ。このシリーズ、どちらかというと80年代に人気を博したミュージシャンが多いのですが、彼女の場合は90年代以降がメイン。本作にも収録されている2000年にリリースされたシングル「Doesn't Really Matter」はリアルタイムでのヒットを知っている世代なだけに、非常に懐かしく感じました。

もちろん彼女は80年代から活躍している訳で、ユニークなのはその時代に応じてスタイルを徐々に変えている点。80年代はやはり80年代っぽく、お兄ちゃんの影響を受けたようなファンキーでリズミカルな曲調が多いですし、90年代以降はもっとメロウなR&Bチューンがメインになってきます。この柔軟さも彼女が長く人気を維持している大きな理由なのでしょう。

現時点で直近のアルバム「Unbreakable」から、もう8年が経過しているものの、同作はビルボードでしっかり1位を獲得するなど、まだまだバリバリの現役の彼女。これからもヒットシングルをリリースし続ける予感も。ただあらためて彼女の実力を振り返るには最適なベストアルバムだったと思います。Janet Jacksonの魅力がしっかりとつまったアルバムでした。

評価:★★★★★

Janet Jackson 過去の作品
Number Ones(ベスト・オブ・ジャネット・ジャクソン)
Unbreakable

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コメント

カセットテープに録音したピアノの弾き語りから、ジョンのヴォーカルをAIで抽出したというファブ4の「ニュー・アンド・ラスト」。
ピアノと間奏のスライド・ギターもポールが弾いています。
BBCのインタヴューで、「ジョージのスタイルで敬意を込めて、リッケンバッカー(ラップ・スチール)を弾いた」と話しています。
(https://www.bbc.co.uk/sounds/play/m001rzkp)

投稿: sknys | 2023年12月15日 (金) 20時10分

>sknysさん
情報ありがとうございました。

投稿: ゆういち | 2024年1月 5日 (金) 23時33分

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